有価証券報告書-第76期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループの主要需要先である国内建設用鋼材市場では、建築・土木分野向けともに鋼材需要は盛り上がりを欠く状況であったことに加え、年明けから期末にかけての新型コロナウイルス感染症の影響によって停滞感が強まり製品市況も軟化する中、製品価格の維持に努めました。一方、鉄スクラップ市況は、期初より下落基調で推移し、11月より一旦上昇に転じましたが、年明けには再び下落基調に転じ、想定を下回る水準となりました。結果として、利益の源泉となる売買価格差(製品価格と原材料価格の差額)は拡大しました。
海外鉄鋼事業については、ベトナム、米国とも、当期後半には競合環境の激化や製品市況の軟化などにより苦戦したものの、堅調な需要の下、全体として前期を上回る業績となりました。
なお、当期に関しては、新型コロナウイルス感染症の経営成績への影響は軽微でした。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて2,723百万円(1.7%)減少し、159,192百万円となりました。これは、現金及び預金が13,476百万円、原材料及び貯蔵品が2,949百万円増加し、受取手形及び売掛金が9,242百万円、電子記録債権が3,353百万円、有価証券が2,100百万円、商品及び製品が1,255百万円、流動資産その他が3,031百万円減少したこと等によります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて14,983百万円(15.0%)増加し、114,657百万円となりました。これは、機械装置及び運搬具が5,841百万円、土地が6,937百万円、建設仮勘定が2,374百万円、投資有価証券が1,070百万円増加し、のれんが3,677百万円減少したこと等によります。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて12,260百万円(4.7%)増加し、273,850百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて2,338百万円(2.9%)増加し、82,238百万円となりました。これは、短期借入金が5,880百万円、流動負債その他が3,113百万円増加し、支払手形及び買掛金が7,334百万円減少したこと等によります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて2,122百万円(7.6%)増加し、30,032百万円となりました。これは、退職給付に係る負債が3,957百万円、繰延税金負債が1,093百万円増加し、長期借入金が3,429百万円減少したこと等によります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて4,460百万円(4.1%)増加し、112,269百万円となりました。なお、グループ全体の当連結会計年度末の借入金は、前期末から2,850百万円増加して71,637百万円となり、有利子負債自己資本比率(DEレシオ)は0.5となっております。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べて7,800百万円(5.1%)増加し、161,581百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益11,489百万円、剰余金の配当1,738百万円、その他有価証券評価差額金の減少539百万円、為替換算調整勘定の減少965百万円等によります。
この結果、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末に比べて179円50銭増加し、3,479円31銭となりました。また、自己資本比率は、前連結会計年度末の54.8%から55.2%となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、連結売上高は前期対比2,914百万円(1.2%)減収の239,343百万円となりました。連結営業利益は同10,203百万円(110.9%)増益の19,404百万円、連結経常利益は同10,308百万円(119.2%)増益の18,954百万円、親会社株主に帰属する当期純利益については、前期対比4,985百万円(76.6%)増益の11,489百万円となりました。なお、当連結会計年度において、アルタ・スチール社の取得に伴う負ののれん発生益3,512百万円(第4四半期)を特別利益として、ベトナム北部拠点の一つであるベトナム・イタリー・スチール社(VIS社)の固定資産(のれん含む)の減損損失4,630百万円(第3四半期)を特別損失として、それぞれ計上しております。
セグメントの業績は次のとおりであります。
国内鉄鋼事業
当事業部門については、製品出荷量は前期対比10.2万トン減の165万トンとなりました。鉄スクラップ価格が前期対比8.1千円(23.0%)下落した一方、製品価格は前期と同水準であったため、売買価格差は8.1千円(24.2%)拡大しました。
以上の結果、売上高は前期対比7,953百万円(6.1%)減収の123,299百万円、営業利益は同8,371百万円(86.8%)増益の18,015百万円となりました。
海外鉄鋼事業
当事業部門は、ベトナム及び米国にて鉄鋼事業を展開しております。
ベトナムにおいては、堅調な鋼材需要の下、原材料である鉄スクラップおよび半製品価格が軟調に推移したことから、業績は期初より概ね堅調に推移してきましたが、第3四半期以降は、競合環境が一層厳しさを増す中で北部・南部とも苦戦を強いられました。
米国においては、鋼材需要は底堅く推移しましたが、前期において高騰した製品市況の軟化などにより、第3四半期以降は厳しい結果となりました。
しかしながら、全体としては前期業績を上回り、売上高は前期対比5,183百万円(5.0%)増収の109,063百万円、営業利益は同2,575百万円増益(前年同期は291百万円の損失)の2,284百万円となりました。
環境リサイクル事業
当事業部門については、炭素繊維など処理困難物の処理量は増加したものの、大型のスポット案件が減少したことなどにより、売上高は前年同期対比217百万円(3.2%)減収の6,466百万円、営業利益は同101百万円(8.5%)減益の1,089百万円となりました。
その他
当事業部門については、子会社を通じた土木資材の販売および保険代理店業等のほか、ベトナムで港湾事業を展開しております。売上高は前年同期対比72百万円(16.3%)増収の516百万円となり、営業利益は同187百万円増益(前年同期は40百万円の損失)の147百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて15,678百万円増加し、42,085百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純利益17,032百万円、当連結会計年度末において売上債権が減少したこと等による運転資金負担減7,048百万円の収入があり、更に、減価償却費等による非資金項目を加え、収入37,921百万円を計上しました。また、利息の支払額1,919百万円、法人税等の支払額3,642百万円、利息及び配当金の受取額871百万円等により、最終的には33,246百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、定期預金の預入による支出22,269百万円、定期預金の払戻による収入24,867百万円、当連結会計年度3月より連結子会社となったアルタ・スチール社株式取得による支出15,177百万円、既存鉄鋼製造設備の維持更新や合理化投資、ベトナムの生産拠点の合理化投資のための有形固定資産の取得による支出7,783百万円等により、19,323百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、短期借入金の純増額6,415百万円、長期借入れによる収入1,000百万円、長期借入金の返済による支出3,855百万円、配当金の支払額1,739百万円等により、1,697百万円の収入となりました。
③生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、製造原価によっております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注状況
当社グループの販売実績のうち、見込生産形態によるものが大半を占めるため記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
主要な原材料価格及び販売価格の変動については「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、2018年10月31日に公表した中期経営計画「Quality Up 2020」において、2020年度の売上高2,800億円、経常利益140億円、売上高経常利益率(ROS)5%以上、純資産利益率(ROE)6%以上を目標として掲げております。当連結会計年度においては売上高239,343百万円、経常利益18,954百万円、売上高経常利益率(ROS)7.9%、純資産利益率(ROE)7.8%となっております。これに至った要因と今後の方針については下記のとおり分析・検討を行っております。
国内鉄鋼事業については、建設用鋼材需要が停滞する中、製品出荷量は減少しましたが、徒に数量を追うことなく、近年の副資材ならびに運賃等のコスト高を踏まえ、商慣習の見直しなどにより適正価格の維持に努めた結果、前期対比増益となりました。原材料である鉄スクラップの価格はほぼ通年に亘り下落基調で推移しましたが、製品価格については前期と同水準を維持することができ、利益の源泉となる売買価格差(製品価格と原材料価格の差異)が前期対比拡大しました。
海外鉄鋼事業については、全体としては前年度の赤字計上から黒字転換しましたが、収益性については満足できる水準とはなりませんでした。ベトナムにおいては、堅調な需要の下、上期は原材料安等により好調でしたが、下期に、ベトナム最大手メーカーによる南部市場への製品の拡販が本格化し、これまで北部に比べて安定していた南部市場においても価格競争が激化し、南部拠点のビナ・キョウエイ・スチール社(VKS社)の下期業績は悪化しました。米国においては、堅調な鋼材需要と同国の保護主義政策によって高騰していた鋼材市況が次第に下落したことや、下期の設備トラブルや副資材の在庫評価損の計上など期末に一時的要因により損失を計上したことから、前期対比減収減益となりました。
環境リサイクル事業については、単価の高い処理困難物案件の獲得に努め、前年度とほぼ同水準の利益を計上しました。
当連結会計年度は、国内鉄鋼事業の大幅増益と海外鉄鋼事業の黒字転換により、全体としては前期対比増益となりました。中期経営計画の目標値を大きく超えたとはいえ、未だ多くの課題があると考えております。
今後の方針としては、海外鉄鋼事業の収益力強化を最重要課題と位置付け、中期経営計画の最終年度においても目標を達成すべく売上高・利益水準の向上に努めてまいる所存です。
国内の建設用鋼材需要については、中長期的には国内の鋼材需要は減少するものと認識しております。その上、この度の新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の停滞に伴い、当面は大きく減少し、また回復にも時間を要するものと考えております。しかし、近年上昇した副資材費や運送費が大きく下がることはないと見ており、これらに対しては、電力や各種原材料の使用原単位削減を中心とした徹底的なコスト削減に取り組むとともに、社会情勢や民間需要の動向を見極め、適切な営業活動を行ってまいります。
海外鉄鋼事業については、2018年5月のVIS社(ベトナム)子会社化に加え、2020年3月のアルタ・スチール社(カナダ)の買収により、当社グループの海外鉄鋼事業の基盤はより強化されたと考えておりますが、VIS社は当社子会社化以降利益を上げることができず、当連結会計年度において減損損失を計上するに至りました。一方で、製鋼工程を持たないキョウエイ・スチール・ベトナム社(KSVC社)は、原材料であるビレットの安価調達をベースに、短納期での生産・販売体制が確立し、黒字転換しております。VIS社は、今一度コスト構造を見直し、高い技術力を背景としたブランド力を活かし、KSVC社との連携も図りながら、収益力の強化を図ります。VKS社は、市場環境の変化に対応すべく、販売戦略の見直し、製鋼フル生産とチー・バイ・インターナショナル・ポート社との連携強化によるコスト競争力強化等に努めてまいります。
北米においては、先進国の安定した鋼材需要の下、ビントン・スチール社の生産能力増強、コスト競争力強化等により、収益力を強化してまいります。新たに当社グループに加わったアルタ・スチール社については、当社グループ会社としての運営を軌道に乗せ、ビントン・スチール社と、主に技術面での連携を図ってまいります。
環境リサイクル事業については、引き続き処理困難廃棄物の取扱量拡大、各拠点における処理品目の拡大などに加え、製鋼生産量により産業廃棄物の処理量の制約を受ける電気炉以外の処理炉建設など、処理能力の拡充が今後の課題であると認識しております。
当社グループは、本中期計画にて定めたあるべき姿、即ち、「世界のインフラ・環境づくりに貢献する企業」、「利益水準を向上しステークホルダーに還元する企業」、「コンプライアンス・品質を重視する企業」、「働きがいのある安全で働きやすい職場」の実現を目指し、一丸となって取り組んでまいります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a. キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。
b. 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは原材料である鉄スクラップ、合金鉄等の副資材の購入費用、その他製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
投資を目的とした資金需要は製造設備の更新等の設備投資、投資有価証券の購入等によるものであります。
当社グループは、原材料価格と製品販売価格の市況変動に対応可能な事業資金を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資等の投資資金は金融機関からの長期借入を基本としております。
また、経営基盤である財務の健全性や経営の透明性を高めるとともに、資金調達の多様化や安定化を図り、経営環境の変化に対応した機動的な資金調達を可能にするため、当社は株式会社日本格付研究所から格付けを取得しており、本報告書提出時点において、格付は「A-(見通し:安定的)」となっております。また、主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しており、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転資金、資金の調達に関しては問題なく実施可能と認識しております。さらに、手元現預金は相応の水準を維持しており、足元資金繰り等に問題はありませんが、今後、新型コロナウイルス感染症の影響が拡大する場合においても、投資計画・資金計画の見直しや取引先金融機関からの資金調達により、事業継続に必要な運転資金を確保できるものと考えております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
当社グループは、特に次の重要な会計方針が、連結財務諸表の作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。なお、新型コロナウィルス感染症の影響については不確実性が大きく将来事業計画等の見込み数値に反映させることが難しい面もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証を行っております。
a. 固定資産の減損
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会))および「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号)等を適用しております。将来、企業収益が大幅に低下する場合、経済環境の著しい悪化および市場価格の著しい下落等により、固定資産の減損処理が必要となる可能性があります。
b. 繰延税金資産
当社グループは繰延税金資産について、将来の課税所得の十分性やタックスプランニングをもとに、回収可能性があると判断される金額を計上しております。繰延税金資産の評価は、将来の課税所得の見積りと、税務上の実現可能と見込まれる計画に依拠します。市場環境や経営成績の悪化により将来の課税所得が見込みを下回る場合は、繰延税金資産の金額が大きく影響を受ける可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループの主要需要先である国内建設用鋼材市場では、建築・土木分野向けともに鋼材需要は盛り上がりを欠く状況であったことに加え、年明けから期末にかけての新型コロナウイルス感染症の影響によって停滞感が強まり製品市況も軟化する中、製品価格の維持に努めました。一方、鉄スクラップ市況は、期初より下落基調で推移し、11月より一旦上昇に転じましたが、年明けには再び下落基調に転じ、想定を下回る水準となりました。結果として、利益の源泉となる売買価格差(製品価格と原材料価格の差額)は拡大しました。
海外鉄鋼事業については、ベトナム、米国とも、当期後半には競合環境の激化や製品市況の軟化などにより苦戦したものの、堅調な需要の下、全体として前期を上回る業績となりました。
なお、当期に関しては、新型コロナウイルス感染症の経営成績への影響は軽微でした。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて2,723百万円(1.7%)減少し、159,192百万円となりました。これは、現金及び預金が13,476百万円、原材料及び貯蔵品が2,949百万円増加し、受取手形及び売掛金が9,242百万円、電子記録債権が3,353百万円、有価証券が2,100百万円、商品及び製品が1,255百万円、流動資産その他が3,031百万円減少したこと等によります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて14,983百万円(15.0%)増加し、114,657百万円となりました。これは、機械装置及び運搬具が5,841百万円、土地が6,937百万円、建設仮勘定が2,374百万円、投資有価証券が1,070百万円増加し、のれんが3,677百万円減少したこと等によります。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて12,260百万円(4.7%)増加し、273,850百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて2,338百万円(2.9%)増加し、82,238百万円となりました。これは、短期借入金が5,880百万円、流動負債その他が3,113百万円増加し、支払手形及び買掛金が7,334百万円減少したこと等によります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて2,122百万円(7.6%)増加し、30,032百万円となりました。これは、退職給付に係る負債が3,957百万円、繰延税金負債が1,093百万円増加し、長期借入金が3,429百万円減少したこと等によります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて4,460百万円(4.1%)増加し、112,269百万円となりました。なお、グループ全体の当連結会計年度末の借入金は、前期末から2,850百万円増加して71,637百万円となり、有利子負債自己資本比率(DEレシオ)は0.5となっております。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べて7,800百万円(5.1%)増加し、161,581百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益11,489百万円、剰余金の配当1,738百万円、その他有価証券評価差額金の減少539百万円、為替換算調整勘定の減少965百万円等によります。
この結果、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末に比べて179円50銭増加し、3,479円31銭となりました。また、自己資本比率は、前連結会計年度末の54.8%から55.2%となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、連結売上高は前期対比2,914百万円(1.2%)減収の239,343百万円となりました。連結営業利益は同10,203百万円(110.9%)増益の19,404百万円、連結経常利益は同10,308百万円(119.2%)増益の18,954百万円、親会社株主に帰属する当期純利益については、前期対比4,985百万円(76.6%)増益の11,489百万円となりました。なお、当連結会計年度において、アルタ・スチール社の取得に伴う負ののれん発生益3,512百万円(第4四半期)を特別利益として、ベトナム北部拠点の一つであるベトナム・イタリー・スチール社(VIS社)の固定資産(のれん含む)の減損損失4,630百万円(第3四半期)を特別損失として、それぞれ計上しております。
セグメントの業績は次のとおりであります。
国内鉄鋼事業
当事業部門については、製品出荷量は前期対比10.2万トン減の165万トンとなりました。鉄スクラップ価格が前期対比8.1千円(23.0%)下落した一方、製品価格は前期と同水準であったため、売買価格差は8.1千円(24.2%)拡大しました。
以上の結果、売上高は前期対比7,953百万円(6.1%)減収の123,299百万円、営業利益は同8,371百万円(86.8%)増益の18,015百万円となりました。
海外鉄鋼事業
当事業部門は、ベトナム及び米国にて鉄鋼事業を展開しております。
ベトナムにおいては、堅調な鋼材需要の下、原材料である鉄スクラップおよび半製品価格が軟調に推移したことから、業績は期初より概ね堅調に推移してきましたが、第3四半期以降は、競合環境が一層厳しさを増す中で北部・南部とも苦戦を強いられました。
米国においては、鋼材需要は底堅く推移しましたが、前期において高騰した製品市況の軟化などにより、第3四半期以降は厳しい結果となりました。
しかしながら、全体としては前期業績を上回り、売上高は前期対比5,183百万円(5.0%)増収の109,063百万円、営業利益は同2,575百万円増益(前年同期は291百万円の損失)の2,284百万円となりました。
環境リサイクル事業
当事業部門については、炭素繊維など処理困難物の処理量は増加したものの、大型のスポット案件が減少したことなどにより、売上高は前年同期対比217百万円(3.2%)減収の6,466百万円、営業利益は同101百万円(8.5%)減益の1,089百万円となりました。
その他
当事業部門については、子会社を通じた土木資材の販売および保険代理店業等のほか、ベトナムで港湾事業を展開しております。売上高は前年同期対比72百万円(16.3%)増収の516百万円となり、営業利益は同187百万円増益(前年同期は40百万円の損失)の147百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて15,678百万円増加し、42,085百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純利益17,032百万円、当連結会計年度末において売上債権が減少したこと等による運転資金負担減7,048百万円の収入があり、更に、減価償却費等による非資金項目を加え、収入37,921百万円を計上しました。また、利息の支払額1,919百万円、法人税等の支払額3,642百万円、利息及び配当金の受取額871百万円等により、最終的には33,246百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、定期預金の預入による支出22,269百万円、定期預金の払戻による収入24,867百万円、当連結会計年度3月より連結子会社となったアルタ・スチール社株式取得による支出15,177百万円、既存鉄鋼製造設備の維持更新や合理化投資、ベトナムの生産拠点の合理化投資のための有形固定資産の取得による支出7,783百万円等により、19,323百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、短期借入金の純増額6,415百万円、長期借入れによる収入1,000百万円、長期借入金の返済による支出3,855百万円、配当金の支払額1,739百万円等により、1,697百万円の収入となりました。
③生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 国内鉄鋼事業(百万円) | 87,599 | 68.5% |
| 海外鉄鋼事業(百万円) | 77,564 | 76.5% |
| 環境リサイクル事業(百万円) | 4,593 | 69.4% |
| その他(百万円) | 340 | 72.0% |
| 合計(百万円) | 170,096 | 72.0% |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、製造原価によっております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注状況
当社グループの販売実績のうち、見込生産形態によるものが大半を占めるため記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 国内鉄鋼事業(百万円) | 123,299 | 93.9% |
| 海外鉄鋼事業(百万円) | 109,063 | 105.0% |
| 環境リサイクル事業(百万円) | 6,466 | 96.8% |
| その他(百万円) | 516 | 116.3% |
| 合計(百万円) | 239,343 | 98.8% |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | ||
| 金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
| エムエム建材株式会社 | 24,375 | 10.06 | 23,598 | 9.86 |
| 阪和興業株式会社 | 26,664 | 11.01 | 23,520 | 9.83 |
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
主要な原材料価格及び販売価格の変動については「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、2018年10月31日に公表した中期経営計画「Quality Up 2020」において、2020年度の売上高2,800億円、経常利益140億円、売上高経常利益率(ROS)5%以上、純資産利益率(ROE)6%以上を目標として掲げております。当連結会計年度においては売上高239,343百万円、経常利益18,954百万円、売上高経常利益率(ROS)7.9%、純資産利益率(ROE)7.8%となっております。これに至った要因と今後の方針については下記のとおり分析・検討を行っております。
国内鉄鋼事業については、建設用鋼材需要が停滞する中、製品出荷量は減少しましたが、徒に数量を追うことなく、近年の副資材ならびに運賃等のコスト高を踏まえ、商慣習の見直しなどにより適正価格の維持に努めた結果、前期対比増益となりました。原材料である鉄スクラップの価格はほぼ通年に亘り下落基調で推移しましたが、製品価格については前期と同水準を維持することができ、利益の源泉となる売買価格差(製品価格と原材料価格の差異)が前期対比拡大しました。
海外鉄鋼事業については、全体としては前年度の赤字計上から黒字転換しましたが、収益性については満足できる水準とはなりませんでした。ベトナムにおいては、堅調な需要の下、上期は原材料安等により好調でしたが、下期に、ベトナム最大手メーカーによる南部市場への製品の拡販が本格化し、これまで北部に比べて安定していた南部市場においても価格競争が激化し、南部拠点のビナ・キョウエイ・スチール社(VKS社)の下期業績は悪化しました。米国においては、堅調な鋼材需要と同国の保護主義政策によって高騰していた鋼材市況が次第に下落したことや、下期の設備トラブルや副資材の在庫評価損の計上など期末に一時的要因により損失を計上したことから、前期対比減収減益となりました。
環境リサイクル事業については、単価の高い処理困難物案件の獲得に努め、前年度とほぼ同水準の利益を計上しました。
当連結会計年度は、国内鉄鋼事業の大幅増益と海外鉄鋼事業の黒字転換により、全体としては前期対比増益となりました。中期経営計画の目標値を大きく超えたとはいえ、未だ多くの課題があると考えております。
今後の方針としては、海外鉄鋼事業の収益力強化を最重要課題と位置付け、中期経営計画の最終年度においても目標を達成すべく売上高・利益水準の向上に努めてまいる所存です。
国内の建設用鋼材需要については、中長期的には国内の鋼材需要は減少するものと認識しております。その上、この度の新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の停滞に伴い、当面は大きく減少し、また回復にも時間を要するものと考えております。しかし、近年上昇した副資材費や運送費が大きく下がることはないと見ており、これらに対しては、電力や各種原材料の使用原単位削減を中心とした徹底的なコスト削減に取り組むとともに、社会情勢や民間需要の動向を見極め、適切な営業活動を行ってまいります。
海外鉄鋼事業については、2018年5月のVIS社(ベトナム)子会社化に加え、2020年3月のアルタ・スチール社(カナダ)の買収により、当社グループの海外鉄鋼事業の基盤はより強化されたと考えておりますが、VIS社は当社子会社化以降利益を上げることができず、当連結会計年度において減損損失を計上するに至りました。一方で、製鋼工程を持たないキョウエイ・スチール・ベトナム社(KSVC社)は、原材料であるビレットの安価調達をベースに、短納期での生産・販売体制が確立し、黒字転換しております。VIS社は、今一度コスト構造を見直し、高い技術力を背景としたブランド力を活かし、KSVC社との連携も図りながら、収益力の強化を図ります。VKS社は、市場環境の変化に対応すべく、販売戦略の見直し、製鋼フル生産とチー・バイ・インターナショナル・ポート社との連携強化によるコスト競争力強化等に努めてまいります。
北米においては、先進国の安定した鋼材需要の下、ビントン・スチール社の生産能力増強、コスト競争力強化等により、収益力を強化してまいります。新たに当社グループに加わったアルタ・スチール社については、当社グループ会社としての運営を軌道に乗せ、ビントン・スチール社と、主に技術面での連携を図ってまいります。
環境リサイクル事業については、引き続き処理困難廃棄物の取扱量拡大、各拠点における処理品目の拡大などに加え、製鋼生産量により産業廃棄物の処理量の制約を受ける電気炉以外の処理炉建設など、処理能力の拡充が今後の課題であると認識しております。
当社グループは、本中期計画にて定めたあるべき姿、即ち、「世界のインフラ・環境づくりに貢献する企業」、「利益水準を向上しステークホルダーに還元する企業」、「コンプライアンス・品質を重視する企業」、「働きがいのある安全で働きやすい職場」の実現を目指し、一丸となって取り組んでまいります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a. キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。
b. 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは原材料である鉄スクラップ、合金鉄等の副資材の購入費用、その他製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
投資を目的とした資金需要は製造設備の更新等の設備投資、投資有価証券の購入等によるものであります。
当社グループは、原材料価格と製品販売価格の市況変動に対応可能な事業資金を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資等の投資資金は金融機関からの長期借入を基本としております。
また、経営基盤である財務の健全性や経営の透明性を高めるとともに、資金調達の多様化や安定化を図り、経営環境の変化に対応した機動的な資金調達を可能にするため、当社は株式会社日本格付研究所から格付けを取得しており、本報告書提出時点において、格付は「A-(見通し:安定的)」となっております。また、主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しており、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転資金、資金の調達に関しては問題なく実施可能と認識しております。さらに、手元現預金は相応の水準を維持しており、足元資金繰り等に問題はありませんが、今後、新型コロナウイルス感染症の影響が拡大する場合においても、投資計画・資金計画の見直しや取引先金融機関からの資金調達により、事業継続に必要な運転資金を確保できるものと考えております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
当社グループは、特に次の重要な会計方針が、連結財務諸表の作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。なお、新型コロナウィルス感染症の影響については不確実性が大きく将来事業計画等の見込み数値に反映させることが難しい面もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証を行っております。
a. 固定資産の減損
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会))および「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号)等を適用しております。将来、企業収益が大幅に低下する場合、経済環境の著しい悪化および市場価格の著しい下落等により、固定資産の減損処理が必要となる可能性があります。
b. 繰延税金資産
当社グループは繰延税金資産について、将来の課税所得の十分性やタックスプランニングをもとに、回収可能性があると判断される金額を計上しております。繰延税金資産の評価は、将来の課税所得の見積りと、税務上の実現可能と見込まれる計画に依拠します。市場環境や経営成績の悪化により将来の課税所得が見込みを下回る場合は、繰延税金資産の金額が大きく影響を受ける可能性があります。