有価証券報告書-第154期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

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2018/06/26 13:21
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(経営成績等の状況の概要)
当連結会計年度における当グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(1) 財政状態及び経営成績等の状況
当期の世界各国の経済は緩やかながらも拡大基調で推移いたしました。米国経済は好調を維持し、欧州は適温経済が続きました。中国経済は安定成長が続き、アジア新興国の経済も緩やかに成長いたしました。我が国経済も海外経済の成長と為替の安定により好調に推移いたしました。
工作機械の需要動向につきましては、北米市場は自動車や航空機関連などにおいて非常に好調な受注が続きました。欧州市場は好調な輸出を背景に自動車や一般機械等の業種で設備投資が拡大いたしました。中国市場は電気・精密分野から高水準の需要が発現するとともに、自動車やロボット、建設機械等、幅広い業種で需要が急拡大いたしました。
日本市場では、自動車や半導体製造装置、ロボット、減速機、建設機械、油圧機器等、幅広い産業で積極的な設備投資が進みました。
このような経済情勢の下、当グループは付加価値の高い製品・サービスの提供と、生産性向上につながるIoTソリューションの提案を進め、受注・売上・収益の拡大に努めました。
販売戦略におきましては、世界各地の展示会に積極的に出展し、オークマブランドの浸透と拡販に努めました。ロシア最大の産業総合博覧会である「INNOPROM 2017」やタイの「METALEX 2017」など、新興国市場の展示会にも参加し、最新のスマートマシンとスマートマニュファクチャリング技術を積極的にPRいたしました。
そして、アジア市場で販売・サービス拠点の拡充を進めました。中国で2つ目のテクニカルセンターとなる広州テクニカルセンターを開設、また韓国にはOkuma Korea Corporationを設立し、顧客開拓を進めました。
国内では、本社工場で開催いたしました「創業120周年記念オークママシンフェア」の他、国内各拠点でマシンフェアを開催し、受注拡大を図りました。
技術戦略におきましては、世界的に高まる複合加工、5軸加工のニーズに対応した製品の拡充を図りました。省スペースで高い加工能力を持ち、また幅広い加工ニーズに対応するインテリジェント複合加工機「MULTUS B250Ⅱ」と、欧米市場でニーズの強い5軸制御立形マシニングセンタ「GENOS M460V-5AX」を開発いたしました。また、新開発の5軸制御立形マシニングセンタ「MU-S600V」は機内に搬送機能を内蔵し、多品種少量生産から量産加工まで対応可能な新基軸のスマートマシンであり、日刊工業新聞社主催の「第60回(2017年)十大新製品賞本賞」を受賞いたしました。2003年以来、過去15年間で14回の十大新製品賞の受賞となり、当社の技術力について高い評価を得てきています。
製造戦略につきましては、オークマスマートファクトリーの第2弾となるDS2(Dream Site2)の本稼働を開始いたしました。DS2では最新のスマートマシンとロボットや無人搬送装置等の自動化設備を駆使して高度な自動化・無人化を図るとともに、IoTを活用して工場全体の生産最適化を実現しております。また、新生産管理システムの導入と、全ての部品に識別タグ(RFID)を装着し、正確な所在管理と俊敏な作業指示を行う新工程管理システムを導入し、生産性向上を図りました。
なお、国内製造業の繁忙に伴い、一部の部材調達で遅れが続きました。当社は調達先の拡充や調達先との連携強化により部材確保に努め、顧客との約束納期の遵守に大注力いたしました。
これらの事業戦略を確実に実行してまいりました結果、当期の連結受注額は2,071億38百万円(前期比32.0%増)、連結売上高は1,821億30百万円(前期比12.0%増)、営業利益は224億93百万円(前期比44.6%増)、経常利益は225億83百万円(前期比41.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は142億26百万円(前期比38.9%増)となりました。
資産は、前連結会計年度末と比較して234億41百万円増加し、2,345億58百万円となりました。主な要因は、「現金及び預金」の増加131億39百万円、「投資有価証券」の増加52億11百万円、及び「受取手形及び売掛金」の増加31億70百万円などによるものであります。また、負債は前連結会計年度末と比較して、76億92百万円増加いたしました。主な要因は、「支払手形及び買掛金」の増加37億42百万円、及び「未払法人税等」の増加37億20百万円などによるものであります。純資産は、「利益剰余金」の増加114億55百万円、及び「その他有価証券評価差額金」の増加31億51百万円などにより、157億49百万円の増加となりました。この結果、当連結会計期間末の自己資本比率は65.8%となりました。
次に、セグメント別の業績は、次のとおりであります。
① 日本
日本経済は、海外経済の成長と為替の安定により好調に推移いたしました。工作機械需要は、自動車や半導体製造装置、ロボット、減速機、建設機械、油圧機器等、幅広い産業で積極的な設備投資が進みました。
業績につきましては、売上高は1,526億13百万円(前連結会計年度比5.9%増)となりました。損益面では、DS2(Dream Site 2)部品工場の本格稼働、新生産管理システム、新工程管理システムの導入による生産効率向上、海外調達拡大によるコストダウン等を推進し、営業利益は164億59百万円(前連結会計年度比24.3%増)となりました。
セグメント資産につきましては、前連結会計年度末と比較して203億1百万円増加し、1,958億39百万円となりました。
② 米州
米国経済は、好調を維持しました。工作機械需要は、自動車や航空機関連などにおいて非常に好調な受注が続きました。
業績につきましては、売上高は479億31百万円(前連結会計年度比15.3%増)、営業利益は27億65百万円(前連結会計年度比121.3%増)となりました。
セグメント資産につきましては、前連結会計年度末と比較して42億96百万円増加し、376億30百万円となりました。
③ 欧州
欧州経済は、適温経済が続きました。工作機械需要は、好調な輸出を背景に自動車や一般機械等の業種で設備投資が拡大いたしました。
業績につきましては、売上高は270億45百万円(前連結会計年度比22.5%増)、営業利益は8億30百万円(前連結会計年度比61.0倍)となりました。
セグメント資産につきましては、前連結会計年度末と比較して6億47百万円増加し、179億68百万円となりました。
④ アジア・パシフィック
中国経済は安定成長が続き、アジア新興国の経済も緩やかに成長いたしました。中国の工作機械需要は電気・精密分野から高水準の需要が発現するとともに、自動車やロボット、建設機械等、幅広い業種で需要が急拡大いたしました。
業績につきましては、売上高は215億40百万円(前連結会計年度比18.5%増)、営業利益は19億4百万円(前連結会計年度比31.0%増)となりました。
セグメント資産につきましては、前連結会計年度末と比較して31億17百万円増加し、235億93百万円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前年同期と比較して110億2百万円増加し、593億71百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、298億27百万円の収入となりました(前年同期は99億28百万円の収入)。主な資金の増加項目としては、税金等調整前当期純利益225億83百万円、及び仕入債務の増加額63億12百万円などであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、124億41百万円の支出となりました(前年同期は96億33百万円の支出)。主な資金の減少項目としては、有形固定資産の取得による支出78億75百万円、定期預金の純増額19億87百万円、及び無形固定資産の取得による支出15億92百万円などであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、61億35百万円の支出となりました(前年同期は12億64百万円の支出)。主な資金の減少項目は、配当金の支払額28億87百万円、短期借入金の純減額25億94百万円、及びリース債務の返済による支出5億56百万円などであります。
(3) 生産、受注及び販売の状況
① 生産実績
当連結会計年度における当グループの連結生産実績は、1,880億3百万円(前年同期比15.6%増)であります。なお、日本での生産高が90%以上であるため、セグメントごとの記載を省略しております。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高
(百万円)
前年同期比
(%)
受注残高
(百万円)
前年同期比
(%)
日本108,34523.640,35353.7
米州52,21732.614,64741.9
欧州32,08057.612,78967.7
アジア・パシフィック14,49651.53,99955.3
合計207,13832.071,79053.5

(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高
(百万円)
前年同期比
(%)
日本94,2524.8
米州47,88915.3
欧州26,91822.4
アジア・パシフィック13,07141.9
合計182,13012.0

(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 主要な販売先については、総販売実績の100分の10以上を占める販売先がないため、記載を省略しておりま
す。
3. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 当連結会計年度における重要な会計方針及び見積り
当グループの連結財務諸表は、わが国において、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。
連結財務諸表の作成においては、連結会計年度末日における資産・負債の金額及び偶発債務の開示、並びに連結会計年度における収益・費用の適正な計上を行うため、見積りや前提が必要となります。当グループは、過去の実績、または各状況下で最も合理的と判断される前提に基づき見積りを実施しております。
以下、当グループの財政状態や経営成績にとって重要であり、かつ相当程度の経営判断や見積りを必要とする重要な会計方針についてご説明いたします。
① 貸倒引当金
当グループは、貸倒れによる損失に備えるため、連結会社間の債権債務を相殺消去した期末の金銭債権に対し、一般債権につきましては貸倒実績率により、また貸倒れが懸念される債権につきましては、回収可能性を勘案して貸倒見積り額を計上しております。取引先の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
② たな卸資産
当グループは、たな卸資産について、推定される将来需要及び市場状況に基づく時価の見積り額と原価との差額に相当する陳腐化の見積り額について、評価損を計上しております。将来需要または市場状況が当グループの見積りより悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。
③ 繰延税金資産
繰延税金資産のうち、将来において回収が見込めない部分については評価性引当額を設定しております。繰延税金資産の評価は将来の課税所得の見積りに依拠します。将来の課税所得が、経済環境の変化や収益性の低下により予想された額よりも低い場合には、繰延税金資産の金額は調整される可能性があります。
④ 退職給付債務及び費用
従業員の退職給付債務及び費用の計算は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率などが含まれます。当グループは、使用した仮定は妥当なものと考えておりますが、実績との差異または仮定自体の変更により、年金債務と将来の費用に影響を与える可能性があります。
⑤ 投資有価証券の減損
当グループは、その他有価証券のうち、取得価額に比べ実質価額が著しく下落したものにつきましては、回復可能性があると認められる場合を除き、減損処理を行っております。時価のある有価証券につきましては、期末日における時価の簿価に対する下落率が50%以上の場合には、回復可能性はないものと判断し、30%以上50%未満の下落の場合には、当該有価証券の発行会社の財務状況及び将来の展望などを総合的に勘案して回復可能性を判断しております。時価のない有価証券につきましては、その有価証券の発行会社の1株当たり純資産額が、取得価額を50%程度以上下回った場合に回復可能性がないものとして判断し、30%以上50%未満下落の場合には、当該有価証券の発行会社の財務状況及び将来の展望などを総合的に勘案して回復可能性を判断しております。
将来の時価の下落または投資先の業績不振や財政状態の悪化により、評価損の計上が必要となる可能性があります。
⑥ 固定資産の減損
減損損失の認識及び回収可能価額の算定に際し、将来キャッシュ・フローについて見積りを行っております。当グループは将来キャッシュ・フローの見積りは合理的であると考えておりますが、予測不能な事業上の仮定の変化による将来キャッシュ・フローの見積りの変化が、固定資産の評価に影響する可能性があります。
(2) 当連結会計年度における経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当グループは、持続的な「利益ある成長」をすべく、収益性、効率性を高めていく考えで事業戦略を進めております。併せて、中長期的な視点で「利益ある成長」を続けるために、財務の健全性を維持し、企業価値の向上に繋げてまいりたいと考えております。このため、営業利益率を重要な指標として位置付けております。
なお、当連結会計年度における経営成績等の状況は以下の通りであります。
① 売上高
当グループは、オークマブランドの強化・浸透、生産性向上に結び付くソリューションの提案等、顧客拡大に向けた諸施策を進め、受注・売上高の拡大を図ってまいりました。
その結果、売上高は1,821億30百万円(前連結会計年度比12.0%増)となりました。
② 営業利益
生産効率向上、コストダウン施策に注力し、収益力の強化を進め、営業利益は224億93百万円(前連結会計年度比44.6%増)となり、営業利益率は、前連結会計年度に比較して2.8%増加の12.4%となりました。売上総利益率は、前連結会計年度に比較して1.7%増加の31.3%となり、販売費及び一般管理費の対売上高比率は、前連結会計年度に比較して1.0%減少の19.0%となりました。
③ 経常利益
営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は89百万円の利益となりました。そのうち、受取利息及び受取配当金から支払利息を差し引いた金融収支は7億61百万円の利益となりました。また、その他の営業外収益として、受取地代家賃1億69百万円、その他の営業外費用として、寄付金3億78百万円等を計上し、経常利益は225億83百万円(前連結会計年度比41.5%増)となりました。
④ 親会社株主に帰属する当期純利益
税金等調整前当期純利益は225億83百万円となりました。また、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額、非支配株主に帰属する当期純利益を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は142億26百万円(前連結会計年度比38.9%増)となりました。
(3) 資本の財源及び資金の流動性
当グループの運転資金需要のうち主なものは、部材の購入費のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資等によるものであります。
当グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
資金調達は、将来の資金需要、資本コスト、資本構成等を総合的に勘案し、手元流動性資金の活用、金融市場からの調達も視野に入れ、最適な資金調達方法を選択しております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は114億60百万円となってります。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、593億71百万円となっております。
平成30年度の重要な資本的支出として、可児工場の新工場建設及び加工用設備機械の投資の一部を支出する予定であります。その資金の調達源は、全額自己資金の予定であります。