有価証券報告書-第81期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 13:16
【資料】
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【項目】
149項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、当連結会計年度より「収益認識に関する会計基準」等(以下、収益認識会計基準等)を適用しました。
これにより、当期(2019年4月1日~2020年3月31日)と比較対象となる前期(2018年4月1日~2019年3月31日)の収益認識基準が異なるため、経営成績に関する説明においては前期比増減を記載しておりません。
顧客である半導体メーカの設備投資は、上期において慎重な姿勢が続いたものの、下期から一部量産用途において投資再開の動きが見られたことなどから、精密加工装置の出荷額は底堅く推移しました。また、消耗品である精密加工ツールは、顧客の設備稼働率に持ち直しの動きなどが見られ、出荷は高水準で推移しました。
こうした状況のなか、当期の売上高は1,410億83百万円となりました。
損益については、製品構成の変化などの影響によりGP率は高水準となりましたが、売上高の水準が若干低下したことにより、利益水準や収益性は以下の通りとなりました。
売上高 1,410億83百万円 (前期は1,475億円)
営業利益 364億51百万円 営業利益率 25.8% (前期は386億45百万円)
経常利益 383億14百万円 経常利益率 27.2% (前期は389億74百万円)
親会社株主に帰属する当期純利益 276億53百万円 純利益率 19.6% (前期は288億24百万円)
なお、当期時点で「4年累計経常利益率」は27.4%(前期は26.7%)となり、当社の目指すべき目標の一つである「4年累計経常利益率20%以上」を4期連続で達成しました。
財政状態については、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末(以下、前期末)と比べ161億45百万円増加して2,743億25百万円となりました。これは主に桑畑工場A棟Dゾーンや茅野工場新棟などの取得により、有形固定資産が増加したことによるものです。また、収益認識会計基準等の適用に伴う会計方針の変更により、製品在庫を中心にたな卸資産が増加し、売掛金が減少しております。
負債は、前期末と比べ93億64百万円増加して474億35百万円となりました。これは主に収益認識会計基準等の適用に伴う会計方針の変更により、流動負債その他に含まれる前受金が増加したことによるものです。
純資産は、前期末と比べ67億81百万円増加して2,268億90百万円となり、自己資本比率は前期末から2.6ポイント低下の82.2%となりました。
これらの資本構成の結果、各指標は以下の通りとなりました。
総資産利益率(ROA) 10.4% (前期は11.2%)
自己資本利益率(ROE) 12.7% (前期は13.6%)
4年累計RORA(Return On Risk Assets) 35.3% (前期は36.3%)
自己資本比率 82.2% (前期は84.8%)
当連結会計年度の後半に新型コロナウイルス感染症の拡大があったものの、顧客の引き合いに大きな変化は見られず、当連結会計年度の業績に重大な影響を与えたとは認識しておりません。
また、2020年4月7日に日本政府より、緊急事態宣言下においても事業継続が求められるものとして半導体工場が追加指定されました。当社グループは、お客様の半導体工場の継続稼働を支える製品を製造する立場であり、今後も前述のBCM体制のさらなる強化に取り組み、半導体生産向けの消耗品である精密加工ツールおよび精密加工装置等を生産し、納入してまいります。
(2)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当社グループは精密加工システム事業の単一セグメントであり、当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
精密加工システム事業(百万円)102,28495.4
合計(百万円)102,28495.4

(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
当社グループは精密加工システム事業の単一セグメントであり、当連結会計年度における受注状況は次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)
精密加工システム事業151,869105.648,996128.2
合計151,869105.648,996128.2

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.「収益認識に関する会計基準」等を当連結会計年度の期首から適用しており、受注残高の前年同期比については、当該会計基準等を適用した後の期首の受注残高と比較しております。
③ 販売実績
当社グループは精密加工システム事業の単一セグメントであり、当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
精密加工システム事業(百万円)141,083-
合計(百万円)141,083-

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.「収益認識に関する会計基準」等を当連結会計年度の期首から適用し、当該会計基準等に基づき収益を認識しております。このため、当該会計基準等適用前の前連結会計年度の実績値に対する増減率は記載しておりません。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
① キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
営業活動によるキャッシュ・フローは、312億99百万円の収入となりました。(前期比 14.6%増)
これは、主に税金等調整前当期純利益や減価償却費の計上と法人税等の支払いによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、256億60百万円の支出となりました。(前期比 76.8%増)
これは、主に桑畑工場A棟Dゾーンや茅野工場新棟などの有形固定資産の取得による支出によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、105億80百万円の支出となりました。(前期比 18.5%減)
これは、主に配当金の支払いによるものです。
これらの結果、当期末の現金及び現金同等物の残高は、797億82百万円となりました。(前期末から55億68百万円の減少)また、「営業活動によるキャッシュ・フロー」と「投資活動によるキャッシュ・フロー」を合算した「フリー・キャッシュ・フロー」は56億39百万円となりました。
② 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、運転資金、設備資金についてはまず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入し、不足分について必要な資金を調達しております。これらの自己資金は、機動的な事業経営、柔軟な研究開発活動を目的として、会社の対応力向上のために活用しております。
なお、設備投資の計画については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」をご参照ください。
また、株主還元としては、「配当による還元」を基本方針としております。
基本の配当性向は25%(業績連動)とし、年度末時点で将来に備えた投資資金を勘案した上で余剰資金が発生した場合、その余剰資金の3分の1を追加配当として還元いたします。
余剰資金が発生した場合、その時点で全てを還元するとその年度においては配当額が多額となる一方、次年度には大幅な減配となります。これを防ぐため、配当額をある程度平準化して安定的に支払うためにも余剰資金は毎年3分の1ずつ還元しております。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
連結財務諸表の作成においては、会計方針の適用や会計上の見積り及び仮定の設定を行っています。これらの見積り及び仮定は、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づく経営者の最善の判断に基づいています。しかし、実際の結果は、その見積り及び仮定と異なることがあり、将来の不確実な経済条件の変動等による影響を受けて、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直され、これらの見直しによる影響は、当該見積りを見直した連結会計年度及び将来の連結会計年度において認識しております。
なお、現時点では新型コロナウイルス感染症の拡大が翌連結会計年度の連結財務諸表に重大な影響を及ぼすとは認識しておらず、当該感染症による影響は見積り及びその基礎となる仮定に含んでおりません。
連結財務諸表で認識する金額に重要な影響を与える見積り及び仮定は、以下のとおりであります。
① たな卸資産の評価
たな卸資産は、取得原価をもって貸借対照表価額とし、期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額としています。また、過去の販売実績や将来の販売予測等に基づいて営業循環過程から外れたたな卸資産を識別し、処分見込価額まで帳簿価額を切り下げております。
たな卸資産の評価は、経営者が最善と判断した見積りに基づいて実施しておりますが、客先の設備投資動向や生産動向の影響による将来の需給バランスや市況の変化等により、正味売却価額や将来の販売予測等に変更が生じた場合には、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
② 退職給付債務の測定
退職給付債務は、割引率や将来の退職率・死亡率・昇給率などの計算基礎に基づき算定しており、これらの仮定の合理性については、外部の年金数理人からの助言を得ています。これらの仮定は、経営者が最善と判断した見積りにより決定しておりますが、関連法令の改正等により計算基礎に変更が生じた場合には、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
③ 繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産は、将来の課税所得の見積額及び実行可能なタックス・プランニング等を踏まえ、経営者が最善と判断した見積りに基づいて金額を算定しておりますが、将来の課税所得の見積額は業績等により変動するため、実際の課税所得の金額が見積りと異なった場合や、タックス・プランニング等に変更が生じた場合には、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
④ 固定資産の減損
減損損失の認識において使用される将来キャッシュ・フロー、成長率、割引率等の前提条件については、一定の仮定に基づき設定しております。これらの仮定は、経営者が最善と判断した見積りに基づいて決定しておりますが、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更が生じた場合には、固定資産の減損処理を行い、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。