有価証券報告書-第69期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2025/06/24 15:19
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【項目】
163項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績、及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績」という。)の状況の概況は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、米国新政権の政策運営に起因する不透明感や、地政学リスクの高まりや金融引き締めの継続など、依然として先行きが不透明な状況が続きました。日本経済は、自動車の生産回復や賃上げの定着を背景に緩やかな回復基調を維持しましたが、エネルギー価格や材料費の高止まりによる影響が景気の下押し要因となりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産残高は、前連結会計年度末に比べて15億38百万円増加し666億5百万円となりました。
当連結会計年度末の負債残高は、前連結会計年度末に比べて5億29百万円増加し84億21百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産残高は、前連結会計年度末に比べて10億8百万円増加し581億83百万円となりました。
b.経営成績
当社グループは2024年4月から2027年3月までの3年間を実行期間とする「中期経営計画2026」を策定し、①収益力の強化と成長領域への投資拡大、②生産体制の最適化とコスト競争力の強化、③持続的成長実現に向けた経営基盤構築を解決すべき主要課題として掲げ、持続的成長を目指し、国内外の市場変化に対応するため、新技術・新製品の開発や経営基盤の強化に取り組むとともに、成長投資やDX、人的資本への投資を進め、産業界の発展、人々の豊かな暮らし、そしてサステナブルな社会の実現に向けて、活動を進めています。
本中期経営計画の初年度となる2025年3月期の業績は、国内と欧米市場での売上増加により、増収となりましたが、原価率の上昇および人件費の増加により減益となりました。
当連結会計年度の業績は以下のとおりです。
売上高 272億56百万円(前連結会計年度比 0.7%増収)
営業利益 23億42百万円(前連結会計年度比 12.6%減益)
経常利益 25億10百万円(前連結会計年度比 11.0%減益)
親会社株主に帰属する当期純利益 13億45百万円(前連結会計年度比 26.9%減益)
事業のセグメント別の業績は、次のとおりです。
[迅速流体継手事業]
迅速流体継手事業は、前期後半より好調であった産業機械向け製品の在庫調整による需要減少の影響を受けましたが、生成AIの普及に関連する半導体製造装置向け製品の需要増により、売上高は119億94百万円(前連結会計年度比0.9%の増収)となりました。利益面では、原価率の上昇および製品構成の影響により、営業利益20億67百万円(同13.6%の減益)となりました。
[機械工具事業]
機械工具事業は、国内外の売上げ減少により、売上高は86億5百万円(同2.6%の減収)となりました。利益面では、減収により、営業利益4億15百万円(同27.8%の減益)となりました。
[リニア駆動ポンプ事業]
リニア駆動ポンプ事業は、欧州でのブロワの需要回復により、売上高は43億65百万円(同4.3%の増収)となりました。利益面では、営業損失1億43百万円(前連結会計年度は2億32百万円の営業損失)となりましたが、増収、経費節減により損失幅が減少しました。
[建築機器事業]
建築機器事業は、国内外ともに物件受注が堅調に推移し、売上高は22億90百万円(同6.1%の増収)となりました。利益面では、増収により、営業利益2百万円(前連結会計年度は56百万円の営業損失)となりました。
海外売上高は、欧米での売上増加により、92億48百万円(前連結会計年度比1.0%の増収)となり、海外売上高の連結売上高に占める割合は33.9%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、定期預金の預入による支出137億67百万円、主として新工場建設に伴う有形固定資産の取得による支出47億91百万円、無形固定資産の取得による支出12億73百万円、親会社による配当金の支払い6億74百万円、棚卸資産の増加6億6百万円、法人税等の支払い5億21百万円等による減少があったものの、定期預金の払戻による収入134億51百万円、税金等調整前当期純利益23億40百万円、減価償却費12億70百万円等があったため、前連結会計年度末より53億76百万円減少し、当連結会計年度末には134億29百万円となりました。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は、27億9百万円(前連結会計年度比17.4%増)となりました。これは、税金等調整前当期純利益23億40百万円、減価償却費12億70百万円等による資金の増加があったものの、棚卸資産の増加6億6百万円、法人税等の支払い5億21百万円等による資金の減少があったことによるものであります。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は、68億52百万円(前連結会計年度比1,957.0%増)となりました。これは、定期預金の払戻による収入134億51百万円等による資金の増加があったものの、定期預金の預入による支出137億67百万円、有形固定資産の取得による支出47億91百万円、無形固定資産の取得による支出12億73百万円等による資金の減少があったことによるものであります。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>当連結会計年度における財務活動の結果使用した資金は、13億85百万円(前連結会計年度比63.0%減)となりました。これは、親会社による配当金の支払い6億74百万円、自己株式の取得による支出4億21百万円、リース債務の返済による支出2億87百万円等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(1) 生産実績
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2024年4月1日
至 2025年3月31日)
前年同期比(%)
迅速流体継手(百万円)10,74596.2
機械工具(百万円)9,069107.4
リニア駆動ポンプ(百万円)3,621118.3
建築機器(百万円)2,788117.8
報告セグメント計(百万円)26,224104.7

(注)金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
(2) 受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
(3) 販売実績
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2024年4月1日
至 2025年3月31日)
前年同期比(%)
迅速流体継手(百万円)11,994100.9
機械工具(百万円)8,60597.4
リニア駆動ポンプ(百万円)4,365104.3
建築機器(百万円)2,290106.1
報告セグメント計(百万円)27,256100.7

(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
当連結会計年度
(自 2024年4月1日
至 2025年3月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
㈱山善5,10318.85,15118.9

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1) 財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の資産残高は、前連結会計年度末に比べて15億38百万円(前連結会計年度末比2.4%)増加し666億5百万円となりました。これは主に新工場建設に伴う建設仮勘定の増加39億25百万円、無形固定資産の増加11億82百万円、商品及び製品の増加6億61百万円、投資有価証券の増加4億73百万円、現金及び預金の減少48億52百万円等によるものであります。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債残高は、前連結会計年度末に比べて、未払法人税等の増加2億96百万円、買掛金の増加2億11百万円等により5億29百万円(前連結会計年度末比6.7%)増加し84億21百万円となりました。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産残高は、前連結会計年度末に比べて10億8百万円(前連結会計年度末比1.8%)増加し581億83百万円となりました。これは自己株式の減少47億16百万円、為替換算調整勘定の増加7億73百万円、利益剰余金の減少44億70百万円等によるものであります。
2) 経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、272億56百万円(前連結会計年度比0.7%の増収)となりました。期初の売上目標は282億40百万円を計画していましたが、前期後半より好調であった産業機械向け製品の在庫調整による需要減少により迅速流体継手事業が伸び切らず、また、機械工具事業の売上減少により、計画に比べて3.5%の減収になりました。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は、23億42百万円(同12.6%の減益)となりました。期初の営業利益目標は30億60百万円を計画していましたが、上記要因による減収に加え、中間期に連結子会社である栃木日東工器株式会社において過年度からの棚卸資産の過大計上が判明しましたが、期初計画には当該影響を織り込んでいなかったため、実態と乖離が生じ、計画に比べて23.5%の減益となりました。
売上高と営業利益の各製品セグメントの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は、25億10百万円(同11.0%の減益)となりました。期初の経常利益目標は31億60百万円を計画していましたが、計画に比べて20.6%の減益となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、13億45百万円(同26.9%の減益)となりました。期初の親会社株主に帰属する当期純利益目標は22億20百万円を計画していましたが、計画に比べて39.4%の減益となりました。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における世界経済は、米国新政権の政策運営に起因する不透明感や、地政学リスクの高まりや金融引き締めの継続など、依然として先行きが不透明な状況が続きました。日本経済は、自動車の生産回復や賃上げの定着を背景に緩やかな回復基調を維持しましたが、エネルギー価格や材料費の高止まりによる影響が景気の下押し要因となりました。
このような経営環境の中で当社グループは、2024年4月から2027年3月までの3年間を実行期間とする「中期経営計画2026」を策定し、①収益力の強化と成長領域への投資拡大、②生産体制の最適化とコスト競争力の強化、③持続的成長実現に向けた経営基盤構築を解決すべき主要課題として掲げ、持続的成長を目指し、国内外の市場変化に対応するため、新技術・新製品の開発や経営基盤の強化に取り組むとともに、成長投資やDX、人的資本への投資を進め、産業界の発展、人々の豊かな暮らし、そしてサステナブルな社会の実現に向けて、活動を進めています。
本中期経営計画の初年度となる2025年3月期の業績は、国内と欧米市場での売上増加により、増収となりましたが、原価率の上昇および人件費の増加により減益となりました。
なお、経営成績等の分析の具体的数値については、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及
びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況および②キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
直近、3年間の経営成績の推移は以下のとおりです。
2023年3月期2024年3月期2025年3月期
売上高(百万円)28,09127,07227,256
営業利益(百万円)3,4592,6802,342
営業利益率(%)12.39.98.6

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関わる情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当社グループは、持続的な成長のための資金確保と自然災害等の不測の事態があっても顧客に商品を提供できるように内部留保の充実に努めており、研究開発、生産設備等の投資は自己資金での実施を原則としますが、成長投資のための投資は、適宜、借入の活用も検討します。
事業運営上必要な資金の流動性は、十分に確保しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。本連結財務諸表の作成にあたりましては、当連結会計年度末における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示、ならびに当連結会計年度における収入・費用の報告数値に影響する様な重要な変動に関する事項の予見、予想等を行わなければなりません。将来に関する事項につきましては、本有価証券報告書提出日現在で過去の実績や状況に応じて合理的な基準に従って見積り及び判断したものであります。実際の結果は、見積り予測困難な不確実性があるため、これらの見積りと乖離する可能性がありますのでご留意下さい。
当社グループは、以下の会計上の見積りが連結財務諸表に重要な影響を及ぼすと考えております。
固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損について、主として営業活動から生ずる損益(翌連結会計年度以降の見通しを含む)及び土地等の市場価格に基づいて兆候の判定を行っています。減損の兆候があると判断した場合には、年度計画や中期経営計画における売上高及び営業利益の計画値等に基づき割引前将来キャッシュ・フローを見積ります。