有価証券報告書-第85期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当期におけるわが国経済は、産業・工作機械分野では、中国を中心とした海外需要の減速が内需にも波及し、設備投資が鈍化するとともに、半導体をはじめとする電子部品分野では、スマートフォン向けを中心にICT関連需要が落ち込んでいることで輸出が弱含むなど景気の後退局面入りのリスクが当期後半より高まり始めました。
また、海外においては、中国経済は、米中貿易摩擦を受けた株安や設備投資に対する慎重姿勢から、減速傾向で推移した一方、米国経済は、雇用環境の改善を背景とした所得の増加に支えられ、堅調に推移いたしました。
しかしながら、米中貿易摩擦の激化を発端とする株価急落などの金融市場の混乱が世界経済へ悪影響を及ぼす懸念など、依然として先行きの不透明な状況が続いています。
このような状況の中、当社グループは、STGビジョン(ICT技術で未来を創造するSystem Technology Groupを目指す)のもと、中期経営計画「GP2020:Growing Profit 2020」を策定し、これまで培ってきた技術とサービス、そして私たちの夢を結集し、グループ総合力で事業拡大を図るため、お客様に密着した営業活動をより一層強化するとともに、広範な顧客基盤を活かし、収益機会の拡大に努めてまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は575億3千4百万円、前期に比べて4.9%の増収、営業利益は2億8千8百万円、前期に比べて58.1%の増益、経常利益は2億5千万円、前期に比べて31.6%の増益、親会社株主に帰属する当期純損失は、連結子会社での法定船用品(救命設備)の再整備費用として、5億2千3百万円並びに連結子会社2社で固定資産の減損損失として、1億3千9百万円、合計で6億6千2百万円を特別損失に計上したことにより、3億8千5百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益1億5千2百万円)という成績になりました。
当連結会計年度のセグメントの概況は次のとおりです。
(商事部門)
商事部門においては、売上高は、順調に推移いたしましたが、利益面は、利益率の改善が進捗せず利益確保にやや苦戦いたしました。
事業別の詳細は以下のとおりです。
<半導体デバイス事業>半導体分野では、自動車関連は、国内向けは弱含みましたが、中国、北米及び欧州向けが伸長し、堅調に推移いたしました。また、車載機器装置向けは、市場拡大に一服感が見え始めましたが、堅調に推移いたしました。
白物家電関連では、空調機は、国内向けが好調を維持するとともに、中国向けも増加傾向で推移し、全体としては順調に推移いたしました。
産業機関連では、中国経済の成長が鈍化するなかでも、工場での省力化需要により、半導体製造装置向けは、堅調に推移いたしました。
電子デバイス分野では、スマートフォン関連向けが、低調に推移いたしました。
産業メカトロニクス分野では、主要な市場である中国経済が減速傾向で、同国内での設備投資に対する慎重姿勢を受け、中国向け製造装置の輸出が減少したため、電子部品向け部材用加工機関連等は、低調に推移いたしました。
FA機器分野では、半導体製造装置メーカーに対する積極的な受注活動及び主要仕入先との連携による拡販活動により、堅調に推移いたしました。
3Dプリンタビジネス分野では、新規仕入先開拓による商談増加及び保守ビジネスの拡大により順調に推移いたしました。
環境ビジネス分野は、堅調に推移いたしました。
<その他>協栄マリンテクノロジ株式会社が行う救命いかだの整備サービス事業は、低調に推移いたしました。
なお、2019年4月15日に「特別損失の計上に関するお知らせ」で公表いたしましたとおり、同社が事業の用に供している固定資産について、減損損失1千9百万円を特別損失として計上するとともに、再整備費用引当金繰入額を算定し直し、既に発生している再整備費用と合わせて通期合計で5億2千3百万円を特別損失に計上いたしました。
(ICT部門)
ICT部門においては、総じて順調に推移いたしました。
事業別の詳細は以下のとおりです。
<ビジネスソリューション事業>ビジネスソリューション事業は、全般的に好調に推移いたしました。
エンドユーザー向け提案型システム開発は、開発案件の受注が好調に推移いたしました。
サービス提供型ビジネスは、FACE(FAX送受信の代行サービス)で、新規顧客の運用開始及び既存顧客の利用規模拡大もあり、順調に推移いたしました。
パッケージソフト販売は、新製品のBIM対応積算システム「FKS SecondStage」のリリースもあり好調に推移いたしました。(※)
受託ソフト開発は、電力関連向けの大規模開発案件並びにリプレース案件の継続受注もあり好調に推移いたしました。
※ BIMとは、Building Information Modelingの略
<エンベデッドシステム事業>エンベデッドシステム事業は、全般的に堅調に推移いたしました。
特定用途向け専用装置販売は、通信制御装置の受注増加により、堅調に推移いたしました。
受託開発は、自動車向け組込ソフト開発は低調でしたが、運輸交通関連等のシステム開発は、順調に推移いたしました。
IC設計事業は、主要顧客からの受注により順調に推移いたしました。
(製造部門)
製造部門においては、車載向け特殊基板を中心に受注が伸長し、売上高は順調に推移いたしましたが、利益面では、一部基板の歩留りの改善が進まなかったことと労務費等の原価上昇分を吸収しきれず、低調に推移いたしました。
事業の詳細は以下のとおりです。
<プリント配線板事業>相模原工場並びに福島協栄株式会社で生産する車載向け基板は、メタルコア基板、厚銅箔基板、特殊技術を活用したLED応用製品向けモジュール基板の受注が伸長し、売上高は、順調に推移いたしました。
しかしながら、労務費等の原価上昇分を吸収しきれないとともに、福島協栄株式会社で一部基板の歩留りが改善しなかったことにより、利益面は厳しい状況で推移いたしました。
そのため、2019年4月15日に「特別損失の計上に関するお知らせ」で公表いたしましたとおり、福島協栄株式会社の事業の用に供している固定資産について、減損損失1億1千9百万円を特別損失として計上いたしました。
一方、海外で中国基板メーカーと連携して行っている基板ビジネスは、車載向けリジット基板及びアミューズメント向けフレキシブル基板の新規製品が立ち上がり、受注が伸長したことにより、売上、利益ともに好調に推移いたしました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ4億5千4百万円増加し、34億1千5百万円(前期は29億6千万円)となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は7億9千2百万円(前期は1億5千8百万円の減少)となりました。これは主として次の要因によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、増加した資金は2億1千万円(前期は7千9百万円の減少)となりました。これは主として投資有価証券の売却による収入等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、減少した資金は5億3千5百万円(前期は3千9百万円の増加)となりました。これは主として借入金の返済による支出等によるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、生産実績中、商事部門の生産実績は、技術商社として、商事部門内にマイコンソフト開発に係る製造部門を有しており、これの生産実績であります。
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記金額には、セグメント間の内部取引高にかかる生産高が含まれております。
3.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
商事部門の一部及びICT部門、製造部門については受注生産を行っており、これらの当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、受注実績中、商事部門の受注実績は、技術商社として、商事部門内にマイコンソフト開発に係る製造部門を有しており、これの受注実績であります。
(注)上記金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成にあたり、当社グループは連結財務諸表に記載されている資産・負債の額及び偶発負債の開示額、並びに収益・費用の額などに影響を与える可能性のある見積り及び前提条件を使用しております。
当社グループは、その見積りと判断を、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要素に基づいて行っており、これらは、資産及び負債の帳簿価額あるいは収益・費用の額についての判断の基礎を形成しております。
実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループは、特に以下の重要な会計方針が、連結財務諸表の作成において使用される重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
a.投資有価証券の減損
当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の顧客及び金融機関に対する株式を所有しております。これらの大半は市場価格のある公開会社の株式で、一部に時価相場のない非公開会社の株式が含まれます。当社グループは公開会社の株式への投資の場合、期末における株価が取得原価に比べ50%以上下落した場合には全て減損処理を行い、30%~50%下落した場合には、当社取扱い要領に基づき、個別銘柄毎の株価推移等から株価の回復可能性を判断して減損処理を行っております。株式市況悪化又は投資先の業績不振により、評価損の計上が必要となる可能性があります。
b.貸倒引当金について
当社グループは売上債権等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。債権管理につきましては最善の注意をはらっておりますが、顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加の引当が必要となる可能性があります。
c.退職給付債務について
当社グループの退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。また、割引率の低下や運用利回りの悪化がある場合は当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.概況
当期におけるわが国経済は、産業・工作機械分野では、中国を中心とした海外需要の減速が内需にも波及し、設備投資が鈍化するとともに、半導体をはじめとする電子部品分野では、スマートフォン向けを中心にICT関連需要が落ち込んでいることで輸出が弱含むなど景気の後退局面入りのリスクが当期後半より高まり始めました。また、海外においては、中国経済は、米中貿易摩擦を受けた株安や設備投資に対する慎重姿勢から、減速傾向で推移した一方、米国経済は、雇用環境の改善を背景とした所得の増加に支えられ、堅調に推移いたしました。しかしながら、米中貿易摩擦の激化を発端とする株価急落などの金融市場の混乱が世界経済へ悪影響を及ぼす懸念など、依然として先行きの不透明な状況が続いています。このような経済情勢の下、当連結会計年度の売上高は575億3千4百万円、前期に比べて4.9%の増収、営業利益は2億8千8百万円、前期に比べて58.1%の増益、経常利益は2億5千万円、前期に比べて31.6%の増益、親会社株主に帰属する当期純損失は、連結子会社での法定船用品(救命設備)の再整備費用として、5億2千3百万円並びに連結子会社2社で固定資産の減損損失として、1億3千9百万円、合計で6億6千2百万円を特別損失に計上したことにより、3億8千5百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益1億5千2百万円)という成績になりました。
<売上高>売上高は、前期に比べて4.9%増収の575億3千4百万円となりました。商事部門では前期に比べて2.1%増収の438億4千6百万円、ICT部門では前期に比べて10.6%増収の64億5千3百万円、製造部門では前期に比べて18.6%増収の72億7千4百万円となりました。
また、国内の売上高は、前期に比べて5.3%増収の428億5千8百万円となりました。海外売上高は、4.0%増収の146億7千6百万円となり、海外売上高は連結売上高の25.5%(前期25.7%)となりました。
<売上原価、販売費及び一般管理費>売上原価は売上の増加に伴い、前期の480億6千5百万円から5.2%増加し、505億8千万円となりました。また、売上高に対する売上原価の比率は0.2ポイント増加し87.9%となっております。
販売費及び一般管理費は前期に比べて1.2%、7千9百万円増加し、66億6千5百万円となりました。これは通信費、旅費交通費、光熱費等の増加等によるものです。
<営業利益>営業利益は、前期の1億8千2百万円に対し、58.1%増益の2億8千8百万円となりました。
商事部門の営業利益は、売上高は、順調に推移いたしましたが、利益面は、利益率の改善が進捗せず利益確保にやや苦戦し、前期に比べて17.2%減益の6億7千1百万円となりました。ICT部門の営業利益は、総じて順調に推移し、前期に比べて13.8%増益の8億4千7百万円となりました。製造部門の営業利益は、車載向け特殊基板を中心に受注が伸長し、売上高は順調に推移いたしましたが、利益面では、一部基板の歩留りの改善が進まなかったことと労務費等の原価上昇分を吸収しきれず、低調に推移し、営業利益2百万円(前期営業損失4千1百万円)となりました。
<営業外損益>営業外収益(費用)は、前期の7百万円の収益(純額)から、3千8百万円の費用(純額)となりました。これは主として、為替差損の増加等によるものです。
<特別利益>特別利益は、前期の9千6百万円に対し7千6百万円増加し、1億7千3百万円となりました。これは投資有価証券売却益が7千7百万円増加したこと等によるものです。
<特別損失>特別損失は、前期の3千9百万円に対し6億2千9百万円増加し、6億6千8百万円となりました。これは当期に再整備費用引当金繰入額3億6千5百万円、再整備費用1億5千7百万円、減損損失1億3千9百万円を計上したこと等によるものです。
<税金等調整前当期純利益>以上を受けて、前期の2億4千6百万円の税引等調整前当期純利益に対し、4億9千2百万円減少し、2億4千5百万円の税引等調整前当期純損失となりました。
<親会社株主に帰属する当期純利益>親会社株主に帰属する当期純利益は、前期の1億5千2百万円に対し、3億8千5百万円の親会社株主に帰属する当期純損失となりました。1株当たりの当期純利益は、前期の50.17円に対し、126.33円の1株当たり当期純損失となりました。
b.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、営業利益率を重要な経営指標として位置付け、営業利益率3%の早期達成に努めております。
当連結会計年度における売上高は575億3千4百万円、営業利益は2億8千8百万円となり、営業利益率は0.5%となりました。引き続き、高収益ビジネスの創出と販管費の削減に努め、当該指標の改善に邁進していく所存です。
c.経営戦略の現状と見通し
わが国経済は、足元では、産業・工作機械分野は、中国を中心とした海外需要の減速が内需にも波及し、設備投資が鈍化するとともに、半導体をはじめとする電子部品分野ではスマートフォン向けを中心にICT関連需要が落ち込んでいることで輸出が弱含むなど景気の後退局面入りのリスクが高まり始めました。
今後は、10月に消費税率の引き上げによる景気の下押し圧力が懸念されますが、一部に軽減税率が適用されることや、各種の経済対策の効果が見込まれるほか、東京オリンピック・パラリンピックが翌年に控えていることにより、景気は緩やかに回復すると思われます。しかしながら、米中貿易摩擦の激化を発端とする株価急落などの金融市場の混乱が世界経済へ悪影響を及ぼす懸念など、依然として先行きの不透明な状況が続くことが予想されます。
このような状況に対しまして当社では、これまで培ってきた技術とサービス、そして私たちの夢を結集し、グループ総合力で事業拡大を図るため、お客様に密着した営業活動をより一層強化するとともに、広範な顧客基盤を活かし、収益機会の拡大を図ってまいります。
新規事業の構築にあたっては、部門横断的な組織である事業戦略本部を中心に、当社グループの設計力、営業力を活かして、ロボットを活用して物流業、自動車他製造業へのビジネスを創出するためハードウェア・ソフトウェア・コンテンツ・サービスの提供を行ってまいります。
商事部門の半導体デバイス事業では、主要商材及び重点顧客の集中と選択により、収益基盤の強化を図るとともに、新商材及び新ビジネスの大型案件に特化し、事業拡大を図るという方針のもと、コンサルタント会社との連携・協業により、成長力のある自動車・中国・IoT市場に注力するとともに、競争力のある新商材の拡大など、新しいビジネススキームの創出を進めてまいります。また、FA・環境システム事業は、IoT技術と階層間ネットワーク接続をキーに、「自動化ソリューション分野」「加工ソリューション分野」「工場可視化ソリューション分野」をターゲットとした、ビジネスに取り組んでまいります。
ICT部門では、自主事業強化のため、建設・食品・流通業等における現場系ソリューションメニューの拡大やロボットビジネスの本格立ち上げ、更に商事部門と連携したFA・環境システムの受注拡大を図り、受託事業における安定した受注量の確保を推進してまいります。さらにより一層お客様の視点に立ち、情報システムの企画、設計、開発、保守、運用をトータルで請け負ってまいります。また、人材育成の強化、品質向上を推進し、事業基盤の安定と利益の拡大を図ってまいります。
製造部門では、収益力の改善が喫緊の課題です。そのため、生産体制を1法人2工場体制にしたうえで、福島工場を基幹工場(フルライン生産)、相模原工場を試作品製造、研究開発、時計等高精密の少量生産を行う工場として機能分化するとともに、営業面では従来の取引内容を見直し、付加価値が高い自動車市場、ロボット制御、半導体製造装置等産業機市場の中でも難易度の高い市場への拡販に取り組んでまいります。
更に、コンプライアンス教育の徹底、財務体質の改善、組織機構や社内諸制度の改革等を継続して推進するとともに、当社グループ間の連携や技術支援はもとより、主要取引先との連携強化に努めてまいります。
以上により、通期の連結業績予想については、売上高600億円(前期比4.3%増)、営業利益4億円(前期比38.5%増)、経常利益3億5千万円(前期比40.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2億円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失3億8千5百万円)を見込んでおります。
なお、2020年3月期を最終年度とする中期経営計画「GP2020(Growing Profit 2020)」で目標としておりました売上高600億円、営業利益15億円、営業利益率2.5%以上の達成に関しては、売上高は達成する見込みですが、喫緊の経営課題である収益構造の改善が充分に進まず、営業利益は、未達となる見込みです。
今般改めて、大きく変化している事業環境や市場環境を見据え、収益力を強化するための施策に関し見直し、検討を重ねていく必要があると判断したため、中期経営計画GP2020を取り下げることといたしました。詳細につきましては、2019年5月14日公表の「中期経営計画の取り下げ及び新中期経営計画策定に関するお知らせ」をご覧ください。
d.資本の財源及び資金の流動性についての分析
<キャッシュ・フロー>営業活動によるキャッシュ・フローでは、7億9千2百万円の資金の増加となりました。これは資金の増加要因である売上債権の減少6億7千1百万円、減価償却費4億8千9百万円、再整備費用引当金の増加3億6千5百万円等が、資金の減少要因であるたな卸資産の増加6億5千5百万円、利息の支払額1億2千1百万円等を上回ったことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、2億1千万円の資金の増加となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入等によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローでは、5億3千5百万円の資金の減少となりました。これは主に借入金の返済による支出等によるものです。
これらの活動の結果、現金及び現金同等物の残高は、前期の29億6千万円から4億5千4百万円増加し、34億1千5百万円となりました。
<資金需要>当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商事部門における仕入から回収までの資金立替、製造部門における設備投資、材料等の購入及び製造費、全社の販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは人件費及び広告宣伝費、販売促進費等のマーケティング費用です。長期の資金需要については、主としてプリント製造に係わる合理化投資及び設備の更新・増設投資を中心に発生いたします。
<財務政策>当社グループは現在、運転資金及び設備投資資金については、内部資金や借入金、社債を中心に資金調達することとし、海外現地法人を除いては、当社にて一括調達しております。このうち、運転資金については原則として短期借入金で調達し、金融情勢によっては一部を長期資金へシフトしており、また、生産設備などの長期資金は借入金により調達を行っております。2019年3月31日現在、短期借入金28億5千5百万円、長期借入金(一年以内に返済の長期借入金含む)67億4百万円から構成されております。
当社グループは、健全な財政状態の維持改善、営業活動によるキャッシュ・フローの捻出、未使用のコミットメント・ライン枠27億5千万円及び未使用の借入枠89億9千1百万円を有することにより、当社グループが将来の成長に必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが充分可能と考えております。
①財政状態及び経営成績の状況
当期におけるわが国経済は、産業・工作機械分野では、中国を中心とした海外需要の減速が内需にも波及し、設備投資が鈍化するとともに、半導体をはじめとする電子部品分野では、スマートフォン向けを中心にICT関連需要が落ち込んでいることで輸出が弱含むなど景気の後退局面入りのリスクが当期後半より高まり始めました。
また、海外においては、中国経済は、米中貿易摩擦を受けた株安や設備投資に対する慎重姿勢から、減速傾向で推移した一方、米国経済は、雇用環境の改善を背景とした所得の増加に支えられ、堅調に推移いたしました。
しかしながら、米中貿易摩擦の激化を発端とする株価急落などの金融市場の混乱が世界経済へ悪影響を及ぼす懸念など、依然として先行きの不透明な状況が続いています。
このような状況の中、当社グループは、STGビジョン(ICT技術で未来を創造するSystem Technology Groupを目指す)のもと、中期経営計画「GP2020:Growing Profit 2020」を策定し、これまで培ってきた技術とサービス、そして私たちの夢を結集し、グループ総合力で事業拡大を図るため、お客様に密着した営業活動をより一層強化するとともに、広範な顧客基盤を活かし、収益機会の拡大に努めてまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は575億3千4百万円、前期に比べて4.9%の増収、営業利益は2億8千8百万円、前期に比べて58.1%の増益、経常利益は2億5千万円、前期に比べて31.6%の増益、親会社株主に帰属する当期純損失は、連結子会社での法定船用品(救命設備)の再整備費用として、5億2千3百万円並びに連結子会社2社で固定資産の減損損失として、1億3千9百万円、合計で6億6千2百万円を特別損失に計上したことにより、3億8千5百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益1億5千2百万円)という成績になりました。
当連結会計年度のセグメントの概況は次のとおりです。
(商事部門)
・売上高 | 438億4千6百万円 | (前期比2.1%増) |
・営業利益 | 6億7千1百万円 | (前期比17.2%減) |
商事部門においては、売上高は、順調に推移いたしましたが、利益面は、利益率の改善が進捗せず利益確保にやや苦戦いたしました。
事業別の詳細は以下のとおりです。
<半導体デバイス事業>半導体分野では、自動車関連は、国内向けは弱含みましたが、中国、北米及び欧州向けが伸長し、堅調に推移いたしました。また、車載機器装置向けは、市場拡大に一服感が見え始めましたが、堅調に推移いたしました。
白物家電関連では、空調機は、国内向けが好調を維持するとともに、中国向けも増加傾向で推移し、全体としては順調に推移いたしました。
産業機関連では、中国経済の成長が鈍化するなかでも、工場での省力化需要により、半導体製造装置向けは、堅調に推移いたしました。
電子デバイス分野では、スマートフォン関連向けが、低調に推移いたしました。
FA機器分野では、半導体製造装置メーカーに対する積極的な受注活動及び主要仕入先との連携による拡販活動により、堅調に推移いたしました。
3Dプリンタビジネス分野では、新規仕入先開拓による商談増加及び保守ビジネスの拡大により順調に推移いたしました。
環境ビジネス分野は、堅調に推移いたしました。
<その他>協栄マリンテクノロジ株式会社が行う救命いかだの整備サービス事業は、低調に推移いたしました。
なお、2019年4月15日に「特別損失の計上に関するお知らせ」で公表いたしましたとおり、同社が事業の用に供している固定資産について、減損損失1千9百万円を特別損失として計上するとともに、再整備費用引当金繰入額を算定し直し、既に発生している再整備費用と合わせて通期合計で5億2千3百万円を特別損失に計上いたしました。
(ICT部門)
・売上高 | 64億5千3百万円 | (前期比10.6%増) |
・営業利益 | 8億4千7百万円 | (前期比13.8%増) |
ICT部門においては、総じて順調に推移いたしました。
事業別の詳細は以下のとおりです。
<ビジネスソリューション事業>ビジネスソリューション事業は、全般的に好調に推移いたしました。
エンドユーザー向け提案型システム開発は、開発案件の受注が好調に推移いたしました。
サービス提供型ビジネスは、FACE(FAX送受信の代行サービス)で、新規顧客の運用開始及び既存顧客の利用規模拡大もあり、順調に推移いたしました。
パッケージソフト販売は、新製品のBIM対応積算システム「FKS SecondStage」のリリースもあり好調に推移いたしました。(※)
受託ソフト開発は、電力関連向けの大規模開発案件並びにリプレース案件の継続受注もあり好調に推移いたしました。
※ BIMとは、Building Information Modelingの略
<エンベデッドシステム事業>エンベデッドシステム事業は、全般的に堅調に推移いたしました。
特定用途向け専用装置販売は、通信制御装置の受注増加により、堅調に推移いたしました。
受託開発は、自動車向け組込ソフト開発は低調でしたが、運輸交通関連等のシステム開発は、順調に推移いたしました。
(製造部門)
・売上高 | 72億7千4百万円 | (前期比18.6%増) |
・営業利益 | 2百万円 | (前期営業損失4千1百万円) |
製造部門においては、車載向け特殊基板を中心に受注が伸長し、売上高は順調に推移いたしましたが、利益面では、一部基板の歩留りの改善が進まなかったことと労務費等の原価上昇分を吸収しきれず、低調に推移いたしました。
事業の詳細は以下のとおりです。
<プリント配線板事業>相模原工場並びに福島協栄株式会社で生産する車載向け基板は、メタルコア基板、厚銅箔基板、特殊技術を活用したLED応用製品向けモジュール基板の受注が伸長し、売上高は、順調に推移いたしました。
しかしながら、労務費等の原価上昇分を吸収しきれないとともに、福島協栄株式会社で一部基板の歩留りが改善しなかったことにより、利益面は厳しい状況で推移いたしました。
そのため、2019年4月15日に「特別損失の計上に関するお知らせ」で公表いたしましたとおり、福島協栄株式会社の事業の用に供している固定資産について、減損損失1億1千9百万円を特別損失として計上いたしました。
一方、海外で中国基板メーカーと連携して行っている基板ビジネスは、車載向けリジット基板及びアミューズメント向けフレキシブル基板の新規製品が立ち上がり、受注が伸長したことにより、売上、利益ともに好調に推移いたしました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ4億5千4百万円増加し、34億1千5百万円(前期は29億6千万円)となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は7億9千2百万円(前期は1億5千8百万円の減少)となりました。これは主として次の要因によるものです。
資金増加要因: | 売上債権の減少 減価償却費 再整備費用引当金の増加 | 6億7千1百万円 4億8千9百万円 3億6千5百万円 |
資金減少要因: | たな卸資産の増加 利息の支払額 | 6億5千5百万円 1億2千1百万円 |
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、増加した資金は2億1千万円(前期は7千9百万円の減少)となりました。これは主として投資有価証券の売却による収入等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、減少した資金は5億3千5百万円(前期は3千9百万円の増加)となりました。これは主として借入金の返済による支出等によるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、生産実績中、商事部門の生産実績は、技術商社として、商事部門内にマイコンソフト開発に係る製造部門を有しており、これの生産実績であります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 前年同期比(%) |
商事部門(千円) | 557,725 | 89.2 |
ICT部門(千円) | 6,549,708 | 126.1 |
製造部門(千円) | 6,456,995 | 113.8 |
合計(千円) | 13,564,429 | 118.0 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記金額には、セグメント間の内部取引高にかかる生産高が含まれております。
3.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
商事部門の一部及びICT部門、製造部門については受注生産を行っており、これらの当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、受注実績中、商事部門の受注実績は、技術商社として、商事部門内にマイコンソフト開発に係る製造部門を有しており、これの受注実績であります。
セグメントの名称 | 受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) |
商事部門 | 586,287 | 84.4 | 19,565 | 125.1 |
ICT部門 | 6,268,832 | 112.4 | 1,322,056 | 98.1 |
製造部門 | 6,289,289 | 106.8 | 2,112,819 | 88.5 |
合計 | 13,144,409 | 108.1 | 3,454,440 | 92.1 |
(注)上記金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 前年同期比(%) |
商事部門(千円) | 43,846,129 | 102.1 |
ICT部門(千円) | 6,453,332 | 110.6 |
製造部門(千円) | 7,274,686 | 118.6 |
計(千円) | 57,574,148 | 104.8 |
消去又は全社(千円) | △39,241 | - |
合計(千円) | 57,534,907 | 104.9 |
(注)上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成にあたり、当社グループは連結財務諸表に記載されている資産・負債の額及び偶発負債の開示額、並びに収益・費用の額などに影響を与える可能性のある見積り及び前提条件を使用しております。
当社グループは、その見積りと判断を、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要素に基づいて行っており、これらは、資産及び負債の帳簿価額あるいは収益・費用の額についての判断の基礎を形成しております。
実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループは、特に以下の重要な会計方針が、連結財務諸表の作成において使用される重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
a.投資有価証券の減損
当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の顧客及び金融機関に対する株式を所有しております。これらの大半は市場価格のある公開会社の株式で、一部に時価相場のない非公開会社の株式が含まれます。当社グループは公開会社の株式への投資の場合、期末における株価が取得原価に比べ50%以上下落した場合には全て減損処理を行い、30%~50%下落した場合には、当社取扱い要領に基づき、個別銘柄毎の株価推移等から株価の回復可能性を判断して減損処理を行っております。株式市況悪化又は投資先の業績不振により、評価損の計上が必要となる可能性があります。
b.貸倒引当金について
当社グループは売上債権等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。債権管理につきましては最善の注意をはらっておりますが、顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加の引当が必要となる可能性があります。
c.退職給付債務について
当社グループの退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。また、割引率の低下や運用利回りの悪化がある場合は当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.概況
当期におけるわが国経済は、産業・工作機械分野では、中国を中心とした海外需要の減速が内需にも波及し、設備投資が鈍化するとともに、半導体をはじめとする電子部品分野では、スマートフォン向けを中心にICT関連需要が落ち込んでいることで輸出が弱含むなど景気の後退局面入りのリスクが当期後半より高まり始めました。また、海外においては、中国経済は、米中貿易摩擦を受けた株安や設備投資に対する慎重姿勢から、減速傾向で推移した一方、米国経済は、雇用環境の改善を背景とした所得の増加に支えられ、堅調に推移いたしました。しかしながら、米中貿易摩擦の激化を発端とする株価急落などの金融市場の混乱が世界経済へ悪影響を及ぼす懸念など、依然として先行きの不透明な状況が続いています。このような経済情勢の下、当連結会計年度の売上高は575億3千4百万円、前期に比べて4.9%の増収、営業利益は2億8千8百万円、前期に比べて58.1%の増益、経常利益は2億5千万円、前期に比べて31.6%の増益、親会社株主に帰属する当期純損失は、連結子会社での法定船用品(救命設備)の再整備費用として、5億2千3百万円並びに連結子会社2社で固定資産の減損損失として、1億3千9百万円、合計で6億6千2百万円を特別損失に計上したことにより、3億8千5百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益1億5千2百万円)という成績になりました。
<売上高>売上高は、前期に比べて4.9%増収の575億3千4百万円となりました。商事部門では前期に比べて2.1%増収の438億4千6百万円、ICT部門では前期に比べて10.6%増収の64億5千3百万円、製造部門では前期に比べて18.6%増収の72億7千4百万円となりました。
また、国内の売上高は、前期に比べて5.3%増収の428億5千8百万円となりました。海外売上高は、4.0%増収の146億7千6百万円となり、海外売上高は連結売上高の25.5%(前期25.7%)となりました。
<売上原価、販売費及び一般管理費>売上原価は売上の増加に伴い、前期の480億6千5百万円から5.2%増加し、505億8千万円となりました。また、売上高に対する売上原価の比率は0.2ポイント増加し87.9%となっております。
販売費及び一般管理費は前期に比べて1.2%、7千9百万円増加し、66億6千5百万円となりました。これは通信費、旅費交通費、光熱費等の増加等によるものです。
<営業利益>営業利益は、前期の1億8千2百万円に対し、58.1%増益の2億8千8百万円となりました。
商事部門の営業利益は、売上高は、順調に推移いたしましたが、利益面は、利益率の改善が進捗せず利益確保にやや苦戦し、前期に比べて17.2%減益の6億7千1百万円となりました。ICT部門の営業利益は、総じて順調に推移し、前期に比べて13.8%増益の8億4千7百万円となりました。製造部門の営業利益は、車載向け特殊基板を中心に受注が伸長し、売上高は順調に推移いたしましたが、利益面では、一部基板の歩留りの改善が進まなかったことと労務費等の原価上昇分を吸収しきれず、低調に推移し、営業利益2百万円(前期営業損失4千1百万円)となりました。
<営業外損益>営業外収益(費用)は、前期の7百万円の収益(純額)から、3千8百万円の費用(純額)となりました。これは主として、為替差損の増加等によるものです。
<特別利益>特別利益は、前期の9千6百万円に対し7千6百万円増加し、1億7千3百万円となりました。これは投資有価証券売却益が7千7百万円増加したこと等によるものです。
<特別損失>特別損失は、前期の3千9百万円に対し6億2千9百万円増加し、6億6千8百万円となりました。これは当期に再整備費用引当金繰入額3億6千5百万円、再整備費用1億5千7百万円、減損損失1億3千9百万円を計上したこと等によるものです。
<税金等調整前当期純利益>以上を受けて、前期の2億4千6百万円の税引等調整前当期純利益に対し、4億9千2百万円減少し、2億4千5百万円の税引等調整前当期純損失となりました。
<親会社株主に帰属する当期純利益>親会社株主に帰属する当期純利益は、前期の1億5千2百万円に対し、3億8千5百万円の親会社株主に帰属する当期純損失となりました。1株当たりの当期純利益は、前期の50.17円に対し、126.33円の1株当たり当期純損失となりました。
b.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、営業利益率を重要な経営指標として位置付け、営業利益率3%の早期達成に努めております。
当連結会計年度における売上高は575億3千4百万円、営業利益は2億8千8百万円となり、営業利益率は0.5%となりました。引き続き、高収益ビジネスの創出と販管費の削減に努め、当該指標の改善に邁進していく所存です。
c.経営戦略の現状と見通し
わが国経済は、足元では、産業・工作機械分野は、中国を中心とした海外需要の減速が内需にも波及し、設備投資が鈍化するとともに、半導体をはじめとする電子部品分野ではスマートフォン向けを中心にICT関連需要が落ち込んでいることで輸出が弱含むなど景気の後退局面入りのリスクが高まり始めました。
今後は、10月に消費税率の引き上げによる景気の下押し圧力が懸念されますが、一部に軽減税率が適用されることや、各種の経済対策の効果が見込まれるほか、東京オリンピック・パラリンピックが翌年に控えていることにより、景気は緩やかに回復すると思われます。しかしながら、米中貿易摩擦の激化を発端とする株価急落などの金融市場の混乱が世界経済へ悪影響を及ぼす懸念など、依然として先行きの不透明な状況が続くことが予想されます。
このような状況に対しまして当社では、これまで培ってきた技術とサービス、そして私たちの夢を結集し、グループ総合力で事業拡大を図るため、お客様に密着した営業活動をより一層強化するとともに、広範な顧客基盤を活かし、収益機会の拡大を図ってまいります。
新規事業の構築にあたっては、部門横断的な組織である事業戦略本部を中心に、当社グループの設計力、営業力を活かして、ロボットを活用して物流業、自動車他製造業へのビジネスを創出するためハードウェア・ソフトウェア・コンテンツ・サービスの提供を行ってまいります。
商事部門の半導体デバイス事業では、主要商材及び重点顧客の集中と選択により、収益基盤の強化を図るとともに、新商材及び新ビジネスの大型案件に特化し、事業拡大を図るという方針のもと、コンサルタント会社との連携・協業により、成長力のある自動車・中国・IoT市場に注力するとともに、競争力のある新商材の拡大など、新しいビジネススキームの創出を進めてまいります。また、FA・環境システム事業は、IoT技術と階層間ネットワーク接続をキーに、「自動化ソリューション分野」「加工ソリューション分野」「工場可視化ソリューション分野」をターゲットとした、ビジネスに取り組んでまいります。
ICT部門では、自主事業強化のため、建設・食品・流通業等における現場系ソリューションメニューの拡大やロボットビジネスの本格立ち上げ、更に商事部門と連携したFA・環境システムの受注拡大を図り、受託事業における安定した受注量の確保を推進してまいります。さらにより一層お客様の視点に立ち、情報システムの企画、設計、開発、保守、運用をトータルで請け負ってまいります。また、人材育成の強化、品質向上を推進し、事業基盤の安定と利益の拡大を図ってまいります。
製造部門では、収益力の改善が喫緊の課題です。そのため、生産体制を1法人2工場体制にしたうえで、福島工場を基幹工場(フルライン生産)、相模原工場を試作品製造、研究開発、時計等高精密の少量生産を行う工場として機能分化するとともに、営業面では従来の取引内容を見直し、付加価値が高い自動車市場、ロボット制御、半導体製造装置等産業機市場の中でも難易度の高い市場への拡販に取り組んでまいります。
更に、コンプライアンス教育の徹底、財務体質の改善、組織機構や社内諸制度の改革等を継続して推進するとともに、当社グループ間の連携や技術支援はもとより、主要取引先との連携強化に努めてまいります。
以上により、通期の連結業績予想については、売上高600億円(前期比4.3%増)、営業利益4億円(前期比38.5%増)、経常利益3億5千万円(前期比40.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2億円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失3億8千5百万円)を見込んでおります。
なお、2020年3月期を最終年度とする中期経営計画「GP2020(Growing Profit 2020)」で目標としておりました売上高600億円、営業利益15億円、営業利益率2.5%以上の達成に関しては、売上高は達成する見込みですが、喫緊の経営課題である収益構造の改善が充分に進まず、営業利益は、未達となる見込みです。
今般改めて、大きく変化している事業環境や市場環境を見据え、収益力を強化するための施策に関し見直し、検討を重ねていく必要があると判断したため、中期経営計画GP2020を取り下げることといたしました。詳細につきましては、2019年5月14日公表の「中期経営計画の取り下げ及び新中期経営計画策定に関するお知らせ」をご覧ください。
d.資本の財源及び資金の流動性についての分析
<キャッシュ・フロー>営業活動によるキャッシュ・フローでは、7億9千2百万円の資金の増加となりました。これは資金の増加要因である売上債権の減少6億7千1百万円、減価償却費4億8千9百万円、再整備費用引当金の増加3億6千5百万円等が、資金の減少要因であるたな卸資産の増加6億5千5百万円、利息の支払額1億2千1百万円等を上回ったことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、2億1千万円の資金の増加となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入等によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローでは、5億3千5百万円の資金の減少となりました。これは主に借入金の返済による支出等によるものです。
これらの活動の結果、現金及び現金同等物の残高は、前期の29億6千万円から4億5千4百万円増加し、34億1千5百万円となりました。
<資金需要>当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商事部門における仕入から回収までの資金立替、製造部門における設備投資、材料等の購入及び製造費、全社の販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは人件費及び広告宣伝費、販売促進費等のマーケティング費用です。長期の資金需要については、主としてプリント製造に係わる合理化投資及び設備の更新・増設投資を中心に発生いたします。
<財務政策>当社グループは現在、運転資金及び設備投資資金については、内部資金や借入金、社債を中心に資金調達することとし、海外現地法人を除いては、当社にて一括調達しております。このうち、運転資金については原則として短期借入金で調達し、金融情勢によっては一部を長期資金へシフトしており、また、生産設備などの長期資金は借入金により調達を行っております。2019年3月31日現在、短期借入金28億5千5百万円、長期借入金(一年以内に返済の長期借入金含む)67億4百万円から構成されております。
当社グループは、健全な財政状態の維持改善、営業活動によるキャッシュ・フローの捻出、未使用のコミットメント・ライン枠27億5千万円及び未使用の借入枠89億9千1百万円を有することにより、当社グループが将来の成長に必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが充分可能と考えております。