訂正有価証券報告書-第87期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2022/06/09 13:10
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(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に配慮しつつ、経済活動の再開が進められ、景気は秋口にかけて緩やかに持ち直す動きが見られました。しかしながら、年明けからの新型コロナウイルス感染症の再拡大を受けて、大都市圏を中心に緊急事態宣言が再発出されたことにより、個人消費を中心に減速感が強まりました。
また、設備投資は、企業の事業活動に制約を受けたこともあり、テレワークなどの情報化投資と第5世代移動通信(5G)向けの半導体製造装置向けなど一部を除いては、新規投資に慎重さが見られるなど、景気は、緩やかな回復傾向を維持する動きで推移いたしました。
また、海外においては、米国では新型コロナウイルス感染症の再拡大の影響により景気回復の速度が鈍化しましたが、追加経済対策の効果やワクチン接種の普及などにより、再び回復傾向で推移いたしました。中国は新規感染者の抑制に成功し、いち早く経済活動が再開され、順調な回復の動きが見られるなど、各国での経済活動の段階的な再開や景気対策効果により、海外経済は持ち直しの動きで推移いたしました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の拡大は変異型の発生等により依然として終息の見通しが立っておらず、先行きは極めて不透明な状況が続いています。
このような状況のなか、当連結会計年度の業績につきましては、売上高は530億7千8百万円、前期に比べて8.4%の減収、営業利益は3億9千7百万円、前期に比べて9.2%の増益、経常利益は4億1千5百万円、前期に比べて30.3%の増益となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は、特別損失として、当社の連結子会社である協栄サーキットテクノロジ株式会社が営むプリント配線板製造事業において、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき回収可能性を検討し、現在の事業環境及び将来の収益見込み等を勘案した結果、回収可能価額が帳簿価額を下回っている同社の事業に供している固定資産について、減損損失7億1千4百万円を計上したこと並びに相模原事業所閉鎖に伴う費用として、2021年3月期第4四半期時点で合理的に見積ることが可能な従業員に係る特別退職金9千7百万円を事業構造改善引当金繰入額に計上したことなどにより、3億8千2百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失2億4千1百万円)という成績になりました。
当連結会計年度のセグメントの概況は次のとおりです。
なお、当連結会計年度より開示セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較は変更後の区分に基づいております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
(半導体デバイス事業)
・売上高317億3千1百万円(前期比12.0%減)
・営業利益8億9千4百万円(前期比7.6%増)

半導体デバイス事業においては、売上高は、自動車関連、白物家電関連、産業機関連ともに需要が回復傾向で推移いたしましたが、ルネサスエレクトロニクス株式会社との特約店契約解消に伴う同社製品の取扱量が減少したことで、前期を下回りました。
利益面は、同社との特約店契約解消に伴う影響を受けましたが、一部商品の利益率の改善及び拠点網の見直しによる固定費の圧縮並びに営業活動に一定の制約を受けたことによる販管費の減少等の特殊要因もあり、前期を上回りました。
事業の詳細は以下のとおりです。
半導体デバイスは、自動車関連及び車載機器装置向けは、自動車生産台数の回復を受けて、中国、国内向けとも販売台数が増加したことにより、堅調に推移いたしました。
白物家電関連では、空調機向けは、在宅時間増加による巣ごもり需要などもあり、堅調に推移いたしました。
産業機関連では、各種産業機製品向け需要が回復傾向で推移するとともに、5G関連に伴う半導体製造装置向けの需要もあり、堅調に推移いたしました。
スマートフォン関連は、生産数量の増加に伴い、順調に推移いたしました。
IC設計は、開発費抑制などの影響を受けましたが、開発案件の増加により、順調に推移いたしました。
(プリント配線板事業)
・売上高73億5千7百万円(前期比15.3%減)
・営業損失1億8千万円(前期営業利益2億2千3百万円)

プリント配線板事業においては、海外で中国基板メーカーと連携して行っている基板ビジネスは、パソコン、電子玩具向けが巣ごもり需要もあり、堅調に推移いたしました。しかしながら、国内基板ビジネスは、車載向け基板が、自動車メーカーでの生産調整並びに電子精密機器向け薄板基板のインバウンド需要が見込めず受注が低迷したこととともにアミューズメント向け基板の需要が減少したことにより、国内工場での生産効率が低下いたしました。その結果、当事業としては、営業損失となりました。
事業の詳細は以下のとおりです。
車載向け基板は、海外メーカー向け及び国内メーカー向けともに回復傾向で推移いたしましたが、期末にかけ半導体部品入手難による生産調整の影響もあり、メタルコア基板、厚銅箔基板、特殊技術を活用したLED応用製品向けモジュール基板の受注は、低調に推移いたしました。
民生向け薄板基板は、電子精密機器向けは、インバウンド需要が見込めず、低調に推移いたしました。
アミューズメント向け基板は、オリンピック・パラリンピックを前に新台の動きが低調であったこととリユース品が増加傾向であったことで需要が低迷し、低調に推移いたしました。
海外で中国基板メーカーと連携して行っている基板ビジネスは、車載、パソコン、電子玩具向けともに堅調に推移いたしました。
(産業機器システム事業)
・売上高88億7千9百万円(前期比9.1%増)
・営業利益6億7千3百万円(前期比137.9%増)

産業機器システム事業においては、加工装置・自動化システムの大型設備投資案件等があり、総じて好調に推移いたしました。
事業の詳細は以下のとおりです。
産業メカトロニクスは、新規設備投資の抑制、延期等もありましたが、主要客先からの加工装置・自動化システムの大型設備投資案件があり、好調に推移いたしました。
FA機器は、半導体製造装置向けのパソコン及び5G関連の需要増加に伴い、堅調に推移いたしました。
3Dプリンタは、新規設備投資の抑制から低調に推移いたしました。
環境製品は、空調冷熱設備において、リニューアル案件の落込みにより、低調に推移いたしました。
(システム開発事業)
・売上高48億8千3百万円(前期比3.0%増)
・営業利益4億9千8百万円(前期比13.9%減)

システム開発事業においては、売上高は順調に推移いたしましたが、利益面は、受託開発での原価高があり、前期を下回りました。
事業の詳細は以下のとおりです。
受託開発は、リプレース案件並びに既存システムでの継続受注があり受注、売上ともに堅調に推移いたしましたが、利益面は原価高により、厳しい状況で推移いたしました。
エンドユーザー向け提案型システム開発は、建設関連ユーザー向けは低調に推移いたしましたが、その他既存ユーザーからの大型リプレース案件もあり、総じて堅調に推移いたしました。
サービス提供型ビジネスは、クラウド関連で新規顧客の増加により、順調に推移いたしました。
製品販売は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により新規顧客開拓に苦戦しましたが、物流搬送システムの大型案件の獲得と通信制御装置等の伸長により、好調に推移いたしました。
パッケージソフト販売は、オンラインセミナーの開催などで商談開拓を図ったことにより受注、売上ともに順調に推移いたしましたが、上期の自社パッケージソフト販売の落ち込みをカバーするに至らず利益面は、堅調に推移するに留まりました。
(その他)
・売上高4億3千9百万円(前期比10.9%減)
・営業利益2千3百万円(前期営業損失3千6百万円)

協栄マリンテクノロジ株式会社が行う救命筏等整備事業は、堅調に推移いたしました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ2億7千3百万円増加し、24億5千3百万円(前期は21億7千9百万円)となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は16億4千4百万円(前期は10億7千9百万円の減少)となりました。これは主として次の要因によるものです。
資金増加要因:仕入債務の増加
減損損失
たな卸資産の減少
減価償却費
10億5千9百万円
7億2千7百万円
4億1千万円
3億8千5百万円
資金減少要因:法人税等の支払額
税金等調整前当期純損失
投資有価証券売却益
5億2千4百万円
3億2千7百万円
1億1千7百万円

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、減少した資金は7千7百万円(前期は8億1千8百万円の増加)となりました。これは主として有形固定資産の取得による支出等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、減少した資金は12億9千9百万円(前期は9億6千5百万円の減少)となりました。これは主として借入金の返済による支出等によるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、生産実績中、半導体デバイス事業の生産実績は、技術商社として、半導体デバイス事業内にマイコンソフト開発及びIC設計に係る製造部門を有しており、これの生産実績であります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
半導体デバイス事業(千円)1,553,382100.4
プリント配線板事業(千円)6,304,63980.0
産業機器システム事業(千円)--
システム開発事業(千円)4,301,07394.1
その他(千円)--
合計(千円)12,159,09586.9

(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記金額には、セグメント間の内部取引高にかかる生産高が含まれております。
3.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
半導体デバイス事業の一部及びプリント配線板事業、システム開発事業については受注生産を行っており、これらの当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、受注実績中、半導体デバイス事業の受注実績は、技術商社として、半導体デバイス事業内にマイコンソフト開発及びIC設計に係る製造部門を有しており、これの受注実績であります。
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
半導体デバイス事業1,535,39891.5306,57797.1
プリント配線板事業4,918,56562.11,677,50270.2
産業機器システム事業----
システム開発事業5,392,975122.2957,26697.2
その他----
合計11,846,93984.62,941,34679.7

(注)上記金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
半導体デバイス事業(千円)31,731,54488.0
プリント配線板事業(千円)7,357,42584.7
産業機器システム事業(千円)8,879,289109.1
システム開発事業(千円)4,883,153103.0
その他(千円)439,23389.1
計(千円)53,290,64791.7
消去又は全社(千円)△212,028-
合計(千円)53,078,61991.6

(注)上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.概況
当期におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に配慮しつつ、経済活動の再開が進められ、景気は秋口にかけて緩やかに持ち直す動きが見られました。しかしながら、年明けからの新型コロナウイルス感染症の再拡大を受けて、大都市圏を中心に緊急事態宣言が再発出されたことにより、個人消費を中心に減速感が強まりました。また、設備投資は、企業の事業活動に制約を受けたこともあり、テレワークなどの情報化投資と第5世代移動通信(5G)向けの半導体製造装置向けなど一部を除いては、新規投資に慎重さが見られるなど、景気は、緩やかな回復傾向を維持する動きで推移いたしました。また、海外においては、米国では新型コロナウイルス感染症の再拡大の影響により景気回復の速度が鈍化しましたが、追加経済対策の効果やワクチン接種の普及などにより、再び回復傾向で推移いたしました。中国は新規感染者の抑制に成功し、いち早く経済活動が再開され、順調な回復の動きが見られるなど、各国での経済活動の段階的な再開や景気対策効果により、海外経済は持ち直しの動きで推移いたしました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の拡大は変異型の発生等により依然として終息の見通しが立っておらず、先行きは極めて不透明な状況が続いています。
<売上高>売上高は、前期に比べて8.4%減収の530億7千8百万円となりました。半導体デバイス事業では、前期に比べて12.0%減収の317億3千1百万円、プリント配線板事業では、前期に比べて15.3%減収の73億5千7百万円、産業機器システム事業では、前期に比べて9.1%増収の88億7千9百万円、システム開発事業では、前期に比べて3.0%増収の48億8千3百万円、その他(救命筏等整備事業)では、前期に比べて10.9%減収の4億3千9百万円なりました。
また、国内の売上高は、前期に比べて5.6%減収の420億9千万円となりました。海外売上高は、ルネサスエレクトロニクス株式会社との特約店契約解消に伴う同社製品の取扱量が減少したこと等により17.9%減収の109億8千8百万円となり、海外売上高の連結売上高に占める比率は20.7%(前期23.1%)となりました。
<売上総利益>売上総利益は、前期の75億4千6百万円に対し、5.9%減益の70億9千7百万円となりました。半導体デバイス事業と産業機器システム事業において売上総利益率の改善等が見られたことから、売上総利益率は13.4%(前期13.0%)へと改善しました。
<販売費及び一般管理費>販売費及び一般管理費は、前期に比べて6.7%、4億8千2百万円減少し、67億円となりました。これは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により営業活動に一定の制約を受け、旅費交通費及び交際費が減少したこと等によるものです。
<営業利益>営業利益は、前期の3億6千3百万円に対し、9.2%増益の3億9千7百万円となりました。これは、プリント配線板事業において国内基板ビジネスの受注が低迷したことにより、前期を下回ったものの、産業機器システム事業において、加工装置・自動化システムの大型設備投資案件等があり、総じて好調に推移したことと、半導体デバイス事業において、一部商品の利益率の改善及び拠点網の見直しによる固定費の圧縮並びに営業活動に一定の制約を受けたことによる販管費の減少等の特殊要因もあり、前期を上回ったことによるものです。
<特別利益>特別利益は、前期の9億5千万円に対し8億2千3百万円減少し、1億2千6百万円となりました。これは、前期に連結子会社の協栄サーキットテクノロジ株式会社相模原工場が使用している土地を売却したため、固定資産売却益9億2千万円を計上したこと等によるものです。
<特別損失>特別損失は、前期の9億9千1百万円に対し1億2千1百万円減少し、8億7千万円となりました。これは、前期に相模原工場閉鎖に伴う事業構造改善引当金繰入額4億9千万円、減損損失3億6千4百万円を計上したことに対し、当期は協栄サーキットテクノロジ株式会社が営むプリント配線板製造事業において、減損損失7億1千4百万円並びに相模原工場閉鎖に伴う事業構造改善引当金繰入額9千7百万円を計上したこと等によるものです。
<税金等調整前当期純損失>以上を受けて、前期の2億7千8百万円の税金等調整前当期純利益に対し、6億5百万円減少し、3億2千7百万円の税金等調整前当期純損失となりました。
<親会社株主に帰属する当期純損失>親会社株主に帰属する当期純損失は、前期の2億4千1百万円に対し、3億8千2百万円となりました。これは、前期は相模原工場土地売却に係る税金費用が増加したこと、並びに当期は近年の事業環境も踏まえ、繰延税金資産の回収可能性について慎重に検討した結果、1億8千1百万円の繰延税金資産の計上を行ったこと等によるものです。1株当たりの当期純損失は、前期の79.20円に対し、125.59円となりました。
b.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、営業利益率を重要な経営指標として位置付け、営業利益率3%の早期達成に努めております。
当連結会計年度における売上高は530億7千8百万円、営業利益は3億9千7百万円となり、営業利益率は0.7%となりました。引き続き、高収益ビジネスの創出と販管費の削減に努め、当該指標の改善に邁進していく所存です。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
<キャッシュ・フロー>営業活動によるキャッシュ・フローでは、16億4千4百万円の資金の増加となりました。これは仕入債務の増加10億5千9百万円、減損損失7億2千7百万円、たな卸資産の減少4億1千万円、減価償却費3億8千5百万円等が、資金の減少要因である法人税等の支払額5億2千4百万円、税金等調整前当期純損失3億2千7百万円、投資有価証券売却益1億1千7百万円等を上回ったことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、7千7百万円の資金の減少となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出等によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローでは、12億9千9百万円の資金の減少となりました。これは主に借入金の返済による支出等によるものです。
これらの活動の結果、現金及び現金同等物の残高は、前期の21億7千9百万円から2億7千3百万円増加し、24億5千3百万円となりました。
<資金需要>当社グループの運転資金需要のうち主なものは、半導体デバイス事業における仕入から回収までの資金立替、プリント配線板事業における設備投資、材料等の購入及び製造費、全社の販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは人件費及び広告宣伝費、販売促進費等のマーケティング費用です。長期の資金需要については、主としてプリント製造に係わる合理化投資及び設備の更新・増設投資を中心に発生いたします。
<財務政策>当社グループは現在、運転資金及び設備投資資金については、内部資金や借入金を中心に資金調達することとし、海外現地法人を除いては、当社にて一括調達しております。このうち、運転資金については原則として短期借入金で調達し、金融情勢によっては一部を長期資金へシフトしており、また、生産設備などの長期資金は借入金により調達を行っております。2021年3月31日現在、短期借入金23億5千7百万円、長期借入金(一年以内に返済の長期借入金含む)53億8千万円から構成されております。
当社グループは、健全な財政状態の維持改善、営業活動によるキャッシュ・フローの捻出、未使用のコミットメント・ライン枠27億5千万円及び未使用の借入枠89億1千5百万円を有することにより、当社グループが将来の成長に必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが充分可能と考えております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成にあたり、当社グループは連結財務諸表に記載されている資産・負債の額及び偶発負債の開示額、並びに収益・費用の額などに影響を与える可能性のある見積り及び前提条件を使用しております。
当社グループは、その見積りと判断を、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要素に基づいて行っており、これらは、資産及び負債の帳簿価額あるいは収益・費用の額についての判断の基礎を形成しております。
実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループは、特に以下の重要な会計方針が、連結財務諸表の作成において使用される重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響等、不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報をもとに検証等を行っております。
a.投資有価証券の減損
当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の顧客及び金融機関が発行する株式を所有しております。これらの大半は市場価格のある公開会社の株式で、一部に時価相場のない非公開会社の株式が含まれます。当社グループは公開会社の株式への投資の場合、期末における株価が取得原価に比べ50%以上下落した場合には全て減損処理を行い、30%~50%下落した場合には、当社取扱い要領に基づき、個別銘柄毎の株価推移等から株価の回復可能性を判断して減損処理を行っております。株式市況悪化又は投資先の業績不振により、評価損の計上が必要となる可能性があります。
b.固定資産の減損
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
c.貸倒引当金について
当社グループは売上債権等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。債権管理につきましては最善の注意をはらっておりますが、顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加の引当が必要となる可能性があります。
d.退職給付債務について
当社グループの退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。また、割引率の低下や運用利回りの悪化がある場合は当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
e.繰延税金資産について
重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。