有価証券報告書-第180期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
以下に記載する事項は、当有価証券報告書提出日現在において入手した情報に基づいて、当社グループが判断したものです。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりです。
(注)1.単位:億円、( )内 前期比較、△はマイナスを表示
2.「当社株主に帰属する当期純損益」を当期純損益として表示しています(以下、同じ)。
当期の世界経済は、米国で総じて着実な成長が続く中、欧州では秋以降、ユーロ圏で成長の減速が明確化しました。英国では、EU離脱に関する不確実性などから成長が減速しました。中国では、消費や固定資産投資など内需の伸びが徐々に緩やかになるとともに、米国との貿易摩擦により秋以降、輸出入の伸びが低下、年末には前年水準を下回るなど成長が減速し、金融の一部緩和、減税等の景気対策を行うに至りました。国内経済は、個人消費、設備投資の持ち直しが続く中、輸出が秋以降中国向けを中心に弱含み、前年に比べ緩やかな回復となりました。
来期は、欧米で景気に配慮した金融政策の運営が見込まれることや中国で景気対策の効果が期待されることから、世界経済は緩やかながら成長を続けるものとみられます。日本経済も、10月に消費税率引上げが予定されているものの、財政面の対策の効果等から、緩やかな回復が続くとみられます。
こうした状況下、当社グループは、メモリ事業の譲渡完了により財務体質が回復するとともに、パソコン事業の譲渡完了や、英国原子力新規建設事業からの撤退を決定する等構造改革を進めました。また、当社グループの今後5年間の全社変革計画として、世界有数のサイバー・フィジカル・システム(CPS)テクノロジー企業を目指すことを目標とした「東芝Nextプラン」を策定し、将来の成長に向けた全社変革の方向性を定めました。7,000億円を上限とする自己株式取得を決定し株主還元を強化するとともに、新たなグループ理念体系の下、再生した新しい東芝に向かう土台を築きました。
この結果、当社グループの売上高は、インフラシステムソリューションやストレージ&デバイスソリューションが増収になったものの、エネルギーシステムソリューションがランディス・ギア社の連結除外の影響や火力・水力発電システム、送変電・配電等の減収などにより減収、インダストリアルICTソリューションも減収となり、パソコン事業の連結除外によりその他セグメントも減収となったことから、全体としては前期比2,541億円減少し3兆6,935億円になりました。営業損益は、インダストリアルICTソリューションが増益となり、その他セグメントもパソコン事業の連結除外により改善したものの、エネルギーシステムソリューション、インフラシステムソリューション、ストレージ&デバイスソリューション、リテール&プリンティングソリューションは減益・悪化となり、前期比508億円減少し354億円になりました。なお、営業損益減少には賞与削減等による緊急対策効果の減少影響179億円が含まれています。継続事業税引前損益は、営業損益の減益に加え、前年度に営業外損益でランディス・ギア社の株式売却益を計上した影響等により減益となり、前期比715億円減少し109億円になりました。当期純損益は、メモリ事業の譲渡完了により計上される相当額の譲渡益計上により、前期比2,093億円増益となり1兆133億円になりました。
1)売上高及び営業損益
事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりです。
(注)1.単位:億円、( )内 前期比較、△はマイナスを表示
①エネルギーシステムソリューション
原子力発電システムは増収となりましたが、ランディス・ギア社の連結除外の影響のほか、火力・水力発電システム、送変電・配電等が減収になった結果、部門全体の売上高は前期比1,884億円減少し6,527億円になりました。
損益面では、原子力発電システムが増益となり、火力・水力発電システムは横ばいとなりましたが、ランディス・ギア社の連結除外の影響のほか、送変電・配電等が悪化した結果、部門全体の営業損益は前期比143億円減少し240億円の損失を計上しました。
②インフラシステムソリューション
公共インフラ、ビル・施設、鉄道・産業システムが増収になった結果、部門全体の売上高は前期比451億円増加し1兆2,919億円になりました。
損益面では、公共インフラが増益になりましたが、ビル・施設が減益となり、鉄道・産業システムが悪化した結果、部門全体の営業損益は前期比81億円減少し399億円の利益を計上しました。
③リテール&プリンティングソリューション
リテール事業が前年度の国内大口物件の反動等により減収となり、プリンティング事業も減収となった結果、部門全体の売上高は前期比374億円減少し4,854億円になりました。
損益面では、海外リテール事業は増益となりましたがリテール事業全体では減益となり、プリンティング事業も減益になった結果、部門全体の営業損益は前期比68億円減少し202億円の利益を計上しました。
④ストレージ&デバイスソリューション
半導体が減収になりましたが、HDD他が増収になった結果、部門全体の売上高は前期比213億円増加し9,009億円になりました。
損益面では、各事業とも減益となった結果、部門全体の営業損益は前期比359億円減少し114億円の利益を計上しました。
⑤インダストリアルICTソリューション
官公庁向けや製造業向けのシステム案件での増収、関係会社の売上増がありましたが、中堅企業向けITソリューション販売の関係会社売却の影響もあり、部門全体の売上高は前期比58億円減少し2,531億円になりました。
損益面では、国内システム案件の増益、構造改革による固定費削減の効果等により、部門全体の営業損益は前期比68億円増加し81億円の利益を計上しました。
⑥その他部門
2018年10月1日付でパソコン事業の譲渡が完了し、第3四半期から連結対象から外れた影響により、部門全体の売上高は前期比1,088億円減少し4,204億円になり、営業損益は前期比66億円改善し250億円の損失を計上しました。
なお、上記の事業の種類別の売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高3,109億円が含まれています。また、当社グループのエネルギーシステムソリューション、インフラシステムソリューションにおいては売上高が第4四半期に集中する傾向があります。
2)継続事業税引前損益
営業外損益は、前期に計上したランディス・ギア社の株式売却益が当期はなくなったこと等の影響により、前期に比べ207億円減少し、△245億円になりました。この結果、継続事業税引前損益は、前期に比べ715億円減少し、109億円になりました。
3)当期純損益
法人税等は、前期に比べ774億円増加し△155億円になりました。非継続事業からの非支配持分控除前当期純損益は、東芝メモリ㈱の株式売却益計上等を主因として前期に比べ3,442億円増益の1兆402億円になりました。非支配持分帰属損益は、223億円の利益控除になり、前期に比べ控除額が141億円減少しました。これらの結果、当期純損益は、前期に比べ2,093億円増加し、1兆133億円になり、基本的1株当たり当社株主に帰属する当期純損益は、前期に比べ12円97銭増加し、1,641円85銭になりました。
4)キャッシュ・フローの状況
要約連結キャッシュ・フロー計算書
(注)単位:億円、( )内 前期比較、△はマイナスを表示
当期における営業活動によるキャッシュ・フローは、前期の一過性の支出の減少等により875億円増加し、前期の374億円の収入から1,249億円の収入になりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、東芝メモリ㈱の株式売却による収入1兆4,583億円等があり、前期の1,467億円の支出から1兆4,521億円収入が増加し、1兆3,054億円の収入になりました。
これらの結果、当期のフリー・キャッシュ・フローは、前期の1,093億円の支出から1兆5,396億円改善し、1兆4,303億円の収入になりました
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出3,999億円や借入金の返済等があり、前期の636億円の支出から5,814億円増加し、6,450億円の支出になりました。
その他に為替の影響によるキャッシュの増加が15億円あり、当期末の現金、現金同等物及び制限付き現金の残高は、前期の5,487億円から7,868億円増加し、1兆3,355億円になりました。
5)生産、受注及び販売の実績
2018年6月1日、当社は東芝メモリ㈱の全株式を譲渡したため、同社は当社の連結子会社から除外されました。これに伴い、当社グループの営む事業内容からメモリ事業が除外され、当社グループのメモリ事業に係る生産、受注及び販売の実績はなくなりました。
2018年10月1日、当社は、当社が保有する東芝クライアントソリューション㈱の発行済株式の80.1%を譲渡したため、同社は当社の連結子会社から除外されました。これに伴い、当社グループの営む事業内容からパソコン事業が除外され、当社グループのパソコン事業に係る生産、受注、販売の実績はなくなりました。
当社グループの受注残高については、原子力の海外プロジェクトからの撤退、火力・水力の採算性重視による受注絞り込み、その他案件の進捗等により、前期に比べて減少傾向にあります。なお、未充足の履行義務に配分した取引価格の総額については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等の連結財務諸表に対する注記12.」を御参照ください。
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、事業の種類別セグメントごとに
生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
6)資産、負債及び資本の状況
要約連結貸借対照表
(注)単位:億円、( )内 前期比較、△はマイナスを表示
総資産は、メモリ事業の売却に伴い、非継続事業流動資産が1兆2,965億円減少した一方、売却対価の受取等による現金及び現金同等物の増加及び東芝メモリホールディングスへの3,505億円の再出資による投資等の増加があり、2018年3月末に比べ1,609億円減少し、4兆2,973億円になりました。
株主資本は、当期純損益1兆133億円を計上した一方、取得総額7,000億円を上限とした自己株式の取得並びにその消却を行った結果、2018年3月末に比べ6,736億円増加し、1兆4,567億円になりました。
借入金・社債残高は、2018年3月末に比べ2,577億円減少し、4,347億円になりました。
この結果、2019年3月末の株主資本比率は2018年3月末に比べ16.3ポイント増加し、33.9%になりました。
(注)・連結財務諸表は、米国会計基準に準拠して作成しています。但し、当社グループの営業損益は、売上高から売上原価並びに販売費及び一般管理費並びにのれん減損損失を控除して算出したものであり、経営資源の配分の決定及び業績の検討のため、定期的に評価を行う対象となる損益を示しています。訴訟和解費用等は、当社グループの営業損益には含まれていません。
・セグメント情報における業績を2019年3月31日時点の組織ベースで表示しています。
・当社グループは、Accounting Standards Updates(以下「ASU」という。)2016-15「キャッシュ・フロー計算書:特定の現金受領及び現金支払の分類」、ASU 2016-18「キャッシュ・フロー計算書:制限付き現金」及びASU 2017-07「報酬-退職給付:期間年金費用及び期間退職後給付費用の表示の改善」を、2018年度第1四半期連結会計期間から適用しました。これに伴い、前年度の数値の一部を組み替えて表示しています。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のと
おりです。
1)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、米国において一般に公正妥当と認められた企業会計の基準及び会計慣行
に従っています。連結財務諸表を作成するために資産・負債及び収益・費用の計上並びに偶発資
産・負債の開示において、種々の見積り及び仮定を前提としています。
① 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産を計上しており、繰延税金資産の帳簿価額は、入手可能な証拠に基づいて50%超の可能性で回収可能性がないと考えられる場合、評価性引当金の計上により減額することが要求されています。そのような場合には、繰延税金資産に対する評価性引当金を計上しています。評価性引当金の計上は、見積りを含む本質的に不確実な処理であり、将来の不確実な経済条件の変動によって、追加の評価性引当金の計上、あるいは過去に計上した評価性引当金の取り崩しが必要となる場合があります。また、繰延税金資産、評価性引当金の計上は貸借対照表日時点で適用されている税制や税率に基づいており、それらの改正が行われた場合には影響を受ける可能性があります。
② 未払退職及び年金費用
当社及び一部の子会社の期間純退職及び年金費用は最新の統計数値に基づく割引率、退職率、死亡率及び年金資産の期待収益等の前提条件に基づき算定しており、算定に影響を与える特に重要な仮定は、割引率と年金資産の期待収益率です。割引率は、現在利用可能で、かつ、年金給付の支払期日までの間利用可能と予想される高格付けで確定利付の社債及び確定利付の国債の利回りなどを考慮して決定しています。期待収益率は、保有している年金資産の構成、運用手法から想定されるリスク、過去の運用実績、年金資産運用の基本方針及び市場の動向等を考慮して決定しています。
当社グループは、年金制度の積立状況(退職給付債務と年金資産の公正価値の差額)を連結貸借対照表で認識しており、対応する調整を税効果控除後、資本の部の「その他の包括損益累計額」に含めて報告しています。そのため、運用収益の悪化による年金資産の公正価値の減少や、割引率の低下、昇給率やその他の年金数理計算に使用する前提とする比率の変動による退職給付債務の増加に伴い年金制度の積立状況が悪化した場合、当社グループの株主資本は悪影響を受け、また、その他費用として計上される期間純退職及び年金費用が増加する可能性があります。
③ 長期性資産
有形固定資産及び耐用年数が明らかな無形資産は見積耐用年数、契約期間、または見積利用期間にわたり定額法により償却しています。これらの資産について資産の帳簿価額を回収できない可能性を示す事象や状況の変化が生じた場合には、割引前予想キャッシュ・フローに基づいて減損の有無を評価しています。減損の兆候があり、かつ資産の帳簿価額を回収できない可能性がある等の場合には、減損損失を計上する可能性があります。
④ のれん
のれんは1年に1回減損テストを実施しています。減損テストにおいて、報告単位の帳簿価額がその公正価値を上回る場合に、当該報告単位に割り当てられたのれんの総額を上限として、その上回る額を減損額として計上しています。また、1年に1回の減損テストに加えて、事業環境の変化等による企業価値の下落を示唆する状況が発生した場合で、帳簿価額の合計額が公正価値を上回っている場合は、減損を認識することになります。したがって、のれんの対象事業の将来キャッシュ・フローの見込み、加重平均資本コストの割引率の変動によっては、減損を計上する可能性があります。
⑤有価証券の減損
当社グループは、市場価格のない持分証券については減損の兆候の有無の判断において考慮する定性的な評価を行っています。その結果、公正価値の下落が認められる場合、その下落分について評価損を計上する可能性があります。また、負債証券及びその他の投資については、公正価値の下落が一時的でないか否かの評価を、市場価格の下落の程度とその期間、被投資会社の財政状態及び今後の見通し並びに当該有価証券の今後の保有方針等の観点から定期的に行っています。一時的でない公正価値の下落が発生している場合には、その下落分について評価損を計上する可能性があります。
⑥偶発債務
当社グループは全世界において事業活動を展開しており、訴訟やその他の法的手続に関与し、当局による調査を受けています。国内においても、複数の訴訟や損害賠償請求を受けており、不利益な結果を引き起こす可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積もることが出来る場合には、合理的に見積り可能な金額を引当計上しています。見積りを行う際には、訴訟の進捗、及び他の会社が受けている同種の訴訟や関連する要因等を考慮していますが、通常の想定を超えた金額の支払が命じられる可能性も皆無ではありません。その場合、その決定の内容によっては当社グループの事業、業績や財政状態に悪影響を与える可能性がありますが、当社グループが現在知りうるかぎり、これらの争訟は当社グループの財政状態及び経営成績に直ちに重大な影響を及ぼすものではないと当社グループは考えています。
上記以外の事項については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表に対する注記 1.会計処理の原則及び手続並びに連結財務諸表の表示方法、2.主要な会計方針の要約」に記載しています。
2)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社は、2018年11月、今後5年間の全社変革計画「東芝Nextプラン」を策定しました。詳細は、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針(対処すべき課題)」 に記載のとおりです。
当社は、「東芝Nextプラン」の実施にあたり、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として、売上高、営業利益、ROS(売上高営業利益率)、EBITDA(営業利益と減価償却費を合算して算出)、ROE(株主資本利益率)を選定しました。これらの指標を設定した理由は以下のとおりです。
2018年11月に、以下のとおり2018年度の見通し及び2019年度以降の経営数値目標を公表しました。
合わせてTSR(株主にとっての総合投資利回り)の拡大を図ります。
<2018年度見通し及び東芝Nextプランの経営数値目標(2018年11月時点)>(単位:億円)
これに対する2018年度の実績は以下のとおりです。なお、2019年度、2021年度のROEについては、旧東芝メモリ㈱の株式売却以降、当社は東芝メモリホールディングスの経営に関与しておらず、東芝メモリホールディングスの業績予想を入手していないため、予想値を策定できないことから、経営数値目標から取り下げることといたしました。
<2018年度実績及び東芝Nextプランの経営数値目標(2019年5月時点)>(単位:億円)(下線は変更箇所)
2018年度の売上高は概ね数値目標どおりでしたが、営業利益は、株式市場全体の急激な下落に伴い㈱ニューフレアテクノロジーの株価が下落したため、減損テストを実施した結果、のれんの減損損失(98億円)を計上したこと、エネルギーシステムソリューションにおいて国内大型案件等の追加費用引当(187億円)等が発生したことにより、目標値に対して未達となりました。EBITDAは、エネルギーシステムソリューションにおいて上述の追加費用引当等が発生したことにより、目標値に対して未達となりました。ROEの改善は、主として、LNG事業の売却の完了が、2018年度から2019年度に移行したことによるものです。
なお売上高及び営業損益の状況の詳細は、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 1)売上高及び営業損益」に記載のとおりです。
3)経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの注力事業領域である社会インフラ、エネルギー、電子デバイス、デジタルソリュ
ーションの各事業は、高度で先進的な技術が事業遂行上必要である上に、グローバルな激しい競争
があります。詳細は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しています。
4)資本の財源及び資金の流動性
資金調達
当社グループは、金利上昇局面への対応及び事業に必要な基本的資産である固定資産の手当てとして、安定的な長期資金をバランスよく調達・確保するよう配慮しています。固定資産については、株主資本・固定負債を含めた長期資金で賄えるよう、長期資金比率の適正化を図っています。
資金調達の直接・間接調達の比率については、資金調達環境等を十分鑑み、バランスの取れた
資金構成の維持を基本方針としています。
資金の主要な使途
当社グループは、資金を、期日の到来した借入金の返済や自己株式の取得等による株主還元、設備投資等へ充当しました。
流動性管理
当期末の状況としては、現金及び現金同等物残高により1兆3,355億円の手許流動性を確保しました。
格付け
当社は、ムーディーズ・ジャパン㈱(以下「ムーディーズ」という。)、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱(以下「S&P」という。)、㈱格付投資情報センター(以下「R&I」という。)の3社から格付けを取得しています。当有価証券報告書提出日現在の格付状況(長期/短期)は、ムーディーズ: B1(見通しは安定的)/NP、S&P: BB(見通しはポジティブ)/B、R&I: BBB-(格付けの方向性は安定的)/a-2です。
なお、当期末(2019年3月31日)現在における、2019年度(2020年3月期)の設備の新設・改修等に係る投資計画は、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しています。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりです。
| 売上高 | 36,935(△ 2,541) |
| 営業損益 | 354(△ 508) |
| 継続事業税引前損益 | 109(△ 715) |
| 当期純損益 | 10,133(+ 2,093) |
(注)1.単位:億円、( )内 前期比較、△はマイナスを表示
2.「当社株主に帰属する当期純損益」を当期純損益として表示しています(以下、同じ)。
当期の世界経済は、米国で総じて着実な成長が続く中、欧州では秋以降、ユーロ圏で成長の減速が明確化しました。英国では、EU離脱に関する不確実性などから成長が減速しました。中国では、消費や固定資産投資など内需の伸びが徐々に緩やかになるとともに、米国との貿易摩擦により秋以降、輸出入の伸びが低下、年末には前年水準を下回るなど成長が減速し、金融の一部緩和、減税等の景気対策を行うに至りました。国内経済は、個人消費、設備投資の持ち直しが続く中、輸出が秋以降中国向けを中心に弱含み、前年に比べ緩やかな回復となりました。
来期は、欧米で景気に配慮した金融政策の運営が見込まれることや中国で景気対策の効果が期待されることから、世界経済は緩やかながら成長を続けるものとみられます。日本経済も、10月に消費税率引上げが予定されているものの、財政面の対策の効果等から、緩やかな回復が続くとみられます。
こうした状況下、当社グループは、メモリ事業の譲渡完了により財務体質が回復するとともに、パソコン事業の譲渡完了や、英国原子力新規建設事業からの撤退を決定する等構造改革を進めました。また、当社グループの今後5年間の全社変革計画として、世界有数のサイバー・フィジカル・システム(CPS)テクノロジー企業を目指すことを目標とした「東芝Nextプラン」を策定し、将来の成長に向けた全社変革の方向性を定めました。7,000億円を上限とする自己株式取得を決定し株主還元を強化するとともに、新たなグループ理念体系の下、再生した新しい東芝に向かう土台を築きました。
この結果、当社グループの売上高は、インフラシステムソリューションやストレージ&デバイスソリューションが増収になったものの、エネルギーシステムソリューションがランディス・ギア社の連結除外の影響や火力・水力発電システム、送変電・配電等の減収などにより減収、インダストリアルICTソリューションも減収となり、パソコン事業の連結除外によりその他セグメントも減収となったことから、全体としては前期比2,541億円減少し3兆6,935億円になりました。営業損益は、インダストリアルICTソリューションが増益となり、その他セグメントもパソコン事業の連結除外により改善したものの、エネルギーシステムソリューション、インフラシステムソリューション、ストレージ&デバイスソリューション、リテール&プリンティングソリューションは減益・悪化となり、前期比508億円減少し354億円になりました。なお、営業損益減少には賞与削減等による緊急対策効果の減少影響179億円が含まれています。継続事業税引前損益は、営業損益の減益に加え、前年度に営業外損益でランディス・ギア社の株式売却益を計上した影響等により減益となり、前期比715億円減少し109億円になりました。当期純損益は、メモリ事業の譲渡完了により計上される相当額の譲渡益計上により、前期比2,093億円増益となり1兆133億円になりました。
1)売上高及び営業損益
事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりです。
| セグメント | 売上高 | 営業損益 |
| エネルギーシステムソリューション | 6,527(△1,884: 78%) | △240(△ 143) |
| インフラシステムソリューション | 12,919(+ 451:104%) | 399(△ 81) |
| リテール&プリンティングソリューション | 4,854(△ 374: 93%) | 202(△ 68) |
| ストレージ&デバイスソリューション | 9,009(+ 213:102%) | 114(△ 359) |
| インダストリアルICTソリューション | 2,531(△ 58: 98%) | 81(+ 68) |
| その他 | 4,204(△1,088: 79%) | △250(+ 66) |
| 消去 | △3,109(+ 199: -) | 48(+ 9) |
| 合計 | 36,935(△2,541: 94%) | 354(△ 508) |
(注)1.単位:億円、( )内 前期比較、△はマイナスを表示
①エネルギーシステムソリューション
原子力発電システムは増収となりましたが、ランディス・ギア社の連結除外の影響のほか、火力・水力発電システム、送変電・配電等が減収になった結果、部門全体の売上高は前期比1,884億円減少し6,527億円になりました。
損益面では、原子力発電システムが増益となり、火力・水力発電システムは横ばいとなりましたが、ランディス・ギア社の連結除外の影響のほか、送変電・配電等が悪化した結果、部門全体の営業損益は前期比143億円減少し240億円の損失を計上しました。
②インフラシステムソリューション
公共インフラ、ビル・施設、鉄道・産業システムが増収になった結果、部門全体の売上高は前期比451億円増加し1兆2,919億円になりました。
損益面では、公共インフラが増益になりましたが、ビル・施設が減益となり、鉄道・産業システムが悪化した結果、部門全体の営業損益は前期比81億円減少し399億円の利益を計上しました。
③リテール&プリンティングソリューション
リテール事業が前年度の国内大口物件の反動等により減収となり、プリンティング事業も減収となった結果、部門全体の売上高は前期比374億円減少し4,854億円になりました。
損益面では、海外リテール事業は増益となりましたがリテール事業全体では減益となり、プリンティング事業も減益になった結果、部門全体の営業損益は前期比68億円減少し202億円の利益を計上しました。
④ストレージ&デバイスソリューション
半導体が減収になりましたが、HDD他が増収になった結果、部門全体の売上高は前期比213億円増加し9,009億円になりました。
損益面では、各事業とも減益となった結果、部門全体の営業損益は前期比359億円減少し114億円の利益を計上しました。
⑤インダストリアルICTソリューション
官公庁向けや製造業向けのシステム案件での増収、関係会社の売上増がありましたが、中堅企業向けITソリューション販売の関係会社売却の影響もあり、部門全体の売上高は前期比58億円減少し2,531億円になりました。
損益面では、国内システム案件の増益、構造改革による固定費削減の効果等により、部門全体の営業損益は前期比68億円増加し81億円の利益を計上しました。
⑥その他部門
2018年10月1日付でパソコン事業の譲渡が完了し、第3四半期から連結対象から外れた影響により、部門全体の売上高は前期比1,088億円減少し4,204億円になり、営業損益は前期比66億円改善し250億円の損失を計上しました。
なお、上記の事業の種類別の売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高3,109億円が含まれています。また、当社グループのエネルギーシステムソリューション、インフラシステムソリューションにおいては売上高が第4四半期に集中する傾向があります。
2)継続事業税引前損益
営業外損益は、前期に計上したランディス・ギア社の株式売却益が当期はなくなったこと等の影響により、前期に比べ207億円減少し、△245億円になりました。この結果、継続事業税引前損益は、前期に比べ715億円減少し、109億円になりました。
3)当期純損益
法人税等は、前期に比べ774億円増加し△155億円になりました。非継続事業からの非支配持分控除前当期純損益は、東芝メモリ㈱の株式売却益計上等を主因として前期に比べ3,442億円増益の1兆402億円になりました。非支配持分帰属損益は、223億円の利益控除になり、前期に比べ控除額が141億円減少しました。これらの結果、当期純損益は、前期に比べ2,093億円増加し、1兆133億円になり、基本的1株当たり当社株主に帰属する当期純損益は、前期に比べ12円97銭増加し、1,641円85銭になりました。
4)キャッシュ・フローの状況
要約連結キャッシュ・フロー計算書
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 1,249(+ 875) |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | 13,054(+14,521) |
| フリー・キャッシュ・フロー | 14,303(+15,396) |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | △6,450(△5,814) |
| 為替変動の現金、現金同等物及び制限付き現金への影響額 | 15(+ 31) |
| 現金、現金同等物及び制限付き現金純増減額 | 7,868(+9,613) |
| 現金、現金同等物及び制限付き現金期首残高 | 5,487(△1,745) |
| 現金、現金同等物及び制限付き現金期末残高 | 13,355(+7,868) |
| 非継続事業における 現金、現金同等物及び制限付き現金期末残高(控除) | -(△ 323) |
| 継続事業における 現金、現金同等物及び制限付き現金期末残高 | 13,355(+8,191) |
(注)単位:億円、( )内 前期比較、△はマイナスを表示
当期における営業活動によるキャッシュ・フローは、前期の一過性の支出の減少等により875億円増加し、前期の374億円の収入から1,249億円の収入になりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、東芝メモリ㈱の株式売却による収入1兆4,583億円等があり、前期の1,467億円の支出から1兆4,521億円収入が増加し、1兆3,054億円の収入になりました。
これらの結果、当期のフリー・キャッシュ・フローは、前期の1,093億円の支出から1兆5,396億円改善し、1兆4,303億円の収入になりました
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出3,999億円や借入金の返済等があり、前期の636億円の支出から5,814億円増加し、6,450億円の支出になりました。
その他に為替の影響によるキャッシュの増加が15億円あり、当期末の現金、現金同等物及び制限付き現金の残高は、前期の5,487億円から7,868億円増加し、1兆3,355億円になりました。
5)生産、受注及び販売の実績
2018年6月1日、当社は東芝メモリ㈱の全株式を譲渡したため、同社は当社の連結子会社から除外されました。これに伴い、当社グループの営む事業内容からメモリ事業が除外され、当社グループのメモリ事業に係る生産、受注及び販売の実績はなくなりました。
2018年10月1日、当社は、当社が保有する東芝クライアントソリューション㈱の発行済株式の80.1%を譲渡したため、同社は当社の連結子会社から除外されました。これに伴い、当社グループの営む事業内容からパソコン事業が除外され、当社グループのパソコン事業に係る生産、受注、販売の実績はなくなりました。
当社グループの受注残高については、原子力の海外プロジェクトからの撤退、火力・水力の採算性重視による受注絞り込み、その他案件の進捗等により、前期に比べて減少傾向にあります。なお、未充足の履行義務に配分した取引価格の総額については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等の連結財務諸表に対する注記12.」を御参照ください。
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、事業の種類別セグメントごとに
生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
6)資産、負債及び資本の状況
要約連結貸借対照表
| 現金及び現金同等物 | 13,355(+ 8,347) |
| 受取手形、売掛金及び契約資産 | 10,153(+ 472) |
| 棚卸資産 | 4,689(△ 9) |
| その他の流動資産 | 2,142(△ 1,297) |
| 非継続事業流動資産 | -(△ 12,965) |
| 長期受取債権 | 86(+ 7) |
| 投資等 | 5,870(+ 3,490) |
| 有形固定資産 | 3,857(+ 201) |
| その他の資産 | 2,821(+ 145) |
| 資産計 | 42,973(△ 1,609) |
| 短期借入金 | 3,577(+ 561) |
| 支払手形及び買掛金 | 6,608(△ 239) |
| その他の流動負債 | 8,599(△ 2,351) |
| 非継続事業流動負債 | -(△ 3,496) |
| 未払退職及び年金費用 | 4,345(△ 86) |
| 長期借入金及びその他の固定負債 | 2,854(△ 2,881) |
| 株主資本 | 14,567(+ 6,736) |
| 非支配持分 | 2,423(+ 147) |
| 負債・資本計 | 42,973(△ 1,609) |
(注)単位:億円、( )内 前期比較、△はマイナスを表示
総資産は、メモリ事業の売却に伴い、非継続事業流動資産が1兆2,965億円減少した一方、売却対価の受取等による現金及び現金同等物の増加及び東芝メモリホールディングスへの3,505億円の再出資による投資等の増加があり、2018年3月末に比べ1,609億円減少し、4兆2,973億円になりました。
株主資本は、当期純損益1兆133億円を計上した一方、取得総額7,000億円を上限とした自己株式の取得並びにその消却を行った結果、2018年3月末に比べ6,736億円増加し、1兆4,567億円になりました。
借入金・社債残高は、2018年3月末に比べ2,577億円減少し、4,347億円になりました。
この結果、2019年3月末の株主資本比率は2018年3月末に比べ16.3ポイント増加し、33.9%になりました。
(注)・連結財務諸表は、米国会計基準に準拠して作成しています。但し、当社グループの営業損益は、売上高から売上原価並びに販売費及び一般管理費並びにのれん減損損失を控除して算出したものであり、経営資源の配分の決定及び業績の検討のため、定期的に評価を行う対象となる損益を示しています。訴訟和解費用等は、当社グループの営業損益には含まれていません。
・セグメント情報における業績を2019年3月31日時点の組織ベースで表示しています。
・当社グループは、Accounting Standards Updates(以下「ASU」という。)2016-15「キャッシュ・フロー計算書:特定の現金受領及び現金支払の分類」、ASU 2016-18「キャッシュ・フロー計算書:制限付き現金」及びASU 2017-07「報酬-退職給付:期間年金費用及び期間退職後給付費用の表示の改善」を、2018年度第1四半期連結会計期間から適用しました。これに伴い、前年度の数値の一部を組み替えて表示しています。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のと
おりです。
1)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、米国において一般に公正妥当と認められた企業会計の基準及び会計慣行
に従っています。連結財務諸表を作成するために資産・負債及び収益・費用の計上並びに偶発資
産・負債の開示において、種々の見積り及び仮定を前提としています。
① 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産を計上しており、繰延税金資産の帳簿価額は、入手可能な証拠に基づいて50%超の可能性で回収可能性がないと考えられる場合、評価性引当金の計上により減額することが要求されています。そのような場合には、繰延税金資産に対する評価性引当金を計上しています。評価性引当金の計上は、見積りを含む本質的に不確実な処理であり、将来の不確実な経済条件の変動によって、追加の評価性引当金の計上、あるいは過去に計上した評価性引当金の取り崩しが必要となる場合があります。また、繰延税金資産、評価性引当金の計上は貸借対照表日時点で適用されている税制や税率に基づいており、それらの改正が行われた場合には影響を受ける可能性があります。
② 未払退職及び年金費用
当社及び一部の子会社の期間純退職及び年金費用は最新の統計数値に基づく割引率、退職率、死亡率及び年金資産の期待収益等の前提条件に基づき算定しており、算定に影響を与える特に重要な仮定は、割引率と年金資産の期待収益率です。割引率は、現在利用可能で、かつ、年金給付の支払期日までの間利用可能と予想される高格付けで確定利付の社債及び確定利付の国債の利回りなどを考慮して決定しています。期待収益率は、保有している年金資産の構成、運用手法から想定されるリスク、過去の運用実績、年金資産運用の基本方針及び市場の動向等を考慮して決定しています。
当社グループは、年金制度の積立状況(退職給付債務と年金資産の公正価値の差額)を連結貸借対照表で認識しており、対応する調整を税効果控除後、資本の部の「その他の包括損益累計額」に含めて報告しています。そのため、運用収益の悪化による年金資産の公正価値の減少や、割引率の低下、昇給率やその他の年金数理計算に使用する前提とする比率の変動による退職給付債務の増加に伴い年金制度の積立状況が悪化した場合、当社グループの株主資本は悪影響を受け、また、その他費用として計上される期間純退職及び年金費用が増加する可能性があります。
③ 長期性資産
有形固定資産及び耐用年数が明らかな無形資産は見積耐用年数、契約期間、または見積利用期間にわたり定額法により償却しています。これらの資産について資産の帳簿価額を回収できない可能性を示す事象や状況の変化が生じた場合には、割引前予想キャッシュ・フローに基づいて減損の有無を評価しています。減損の兆候があり、かつ資産の帳簿価額を回収できない可能性がある等の場合には、減損損失を計上する可能性があります。
④ のれん
のれんは1年に1回減損テストを実施しています。減損テストにおいて、報告単位の帳簿価額がその公正価値を上回る場合に、当該報告単位に割り当てられたのれんの総額を上限として、その上回る額を減損額として計上しています。また、1年に1回の減損テストに加えて、事業環境の変化等による企業価値の下落を示唆する状況が発生した場合で、帳簿価額の合計額が公正価値を上回っている場合は、減損を認識することになります。したがって、のれんの対象事業の将来キャッシュ・フローの見込み、加重平均資本コストの割引率の変動によっては、減損を計上する可能性があります。
⑤有価証券の減損
当社グループは、市場価格のない持分証券については減損の兆候の有無の判断において考慮する定性的な評価を行っています。その結果、公正価値の下落が認められる場合、その下落分について評価損を計上する可能性があります。また、負債証券及びその他の投資については、公正価値の下落が一時的でないか否かの評価を、市場価格の下落の程度とその期間、被投資会社の財政状態及び今後の見通し並びに当該有価証券の今後の保有方針等の観点から定期的に行っています。一時的でない公正価値の下落が発生している場合には、その下落分について評価損を計上する可能性があります。
⑥偶発債務
当社グループは全世界において事業活動を展開しており、訴訟やその他の法的手続に関与し、当局による調査を受けています。国内においても、複数の訴訟や損害賠償請求を受けており、不利益な結果を引き起こす可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積もることが出来る場合には、合理的に見積り可能な金額を引当計上しています。見積りを行う際には、訴訟の進捗、及び他の会社が受けている同種の訴訟や関連する要因等を考慮していますが、通常の想定を超えた金額の支払が命じられる可能性も皆無ではありません。その場合、その決定の内容によっては当社グループの事業、業績や財政状態に悪影響を与える可能性がありますが、当社グループが現在知りうるかぎり、これらの争訟は当社グループの財政状態及び経営成績に直ちに重大な影響を及ぼすものではないと当社グループは考えています。
上記以外の事項については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表に対する注記 1.会計処理の原則及び手続並びに連結財務諸表の表示方法、2.主要な会計方針の要約」に記載しています。
2)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社は、2018年11月、今後5年間の全社変革計画「東芝Nextプラン」を策定しました。詳細は、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針(対処すべき課題)」 に記載のとおりです。
当社は、「東芝Nextプラン」の実施にあたり、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として、売上高、営業利益、ROS(売上高営業利益率)、EBITDA(営業利益と減価償却費を合算して算出)、ROE(株主資本利益率)を選定しました。これらの指標を設定した理由は以下のとおりです。
| 売上高 | すべての利益の源泉となるものであり、事業規模も表すことができる指標として採用しました。 |
| 営業利益 | 本業の利益水準を計る指標として採用しました。 |
| ROS | 本業の収益効率性を計る基準として採用しました。 |
| EBITDA | 減価償却費等の非現金費用を除外することにより、実態に近い収益性を把握できる指標として採用しました。 |
| ROE | 資本効率性を計る基準であり、株主の目線から株主価値の向上の達成度を把握することができると考え、採用しました。 |
2018年11月に、以下のとおり2018年度の見通し及び2019年度以降の経営数値目標を公表しました。
合わせてTSR(株主にとっての総合投資利回り)の拡大を図ります。
<2018年度見通し及び東芝Nextプランの経営数値目標(2018年11月時点)>(単位:億円)
| 2018年度見通し | 2019年度目標 | 2021年度目標 | 2023年度目標 | |
| 売上高 | 36,000 | 34,000 | 37,000 | 40,000 |
| 営業利益 (ROS%) | 600 (1.7%) | 1,400 (4%以上) | 2,400 (6%以上) | 8%以上 10%目指す |
| EBITDA | 1,300 | 2,200 | 3,400 | - |
| ROE | ▲13% ※非継続事業/メモリ売却影響除く | 6%以上 | 10%以上 | 約15% |
これに対する2018年度の実績は以下のとおりです。なお、2019年度、2021年度のROEについては、旧東芝メモリ㈱の株式売却以降、当社は東芝メモリホールディングスの経営に関与しておらず、東芝メモリホールディングスの業績予想を入手していないため、予想値を策定できないことから、経営数値目標から取り下げることといたしました。
<2018年度実績及び東芝Nextプランの経営数値目標(2019年5月時点)>(単位:億円)(下線は変更箇所)
| 2018年度実績 | 2019年度目標 | 2021年度目標 | 2023年度目標 | |
| 売上高 | 36,935 | 34,000 | 37,000 | 40,000 |
| 営業利益 (ROS%) | 354 (1.0%) | 1,400 (4%以上) | 2,400 (6%以上) | 8%以上 10%目指す |
| EBITDA | 1,139 | 2,200 | 3,400 | - |
| ROE | ▲3% ※非継続事業/メモリ売却影響除く | - | - | 約15% |
2018年度の売上高は概ね数値目標どおりでしたが、営業利益は、株式市場全体の急激な下落に伴い㈱ニューフレアテクノロジーの株価が下落したため、減損テストを実施した結果、のれんの減損損失(98億円)を計上したこと、エネルギーシステムソリューションにおいて国内大型案件等の追加費用引当(187億円)等が発生したことにより、目標値に対して未達となりました。EBITDAは、エネルギーシステムソリューションにおいて上述の追加費用引当等が発生したことにより、目標値に対して未達となりました。ROEの改善は、主として、LNG事業の売却の完了が、2018年度から2019年度に移行したことによるものです。
なお売上高及び営業損益の状況の詳細は、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 1)売上高及び営業損益」に記載のとおりです。
3)経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの注力事業領域である社会インフラ、エネルギー、電子デバイス、デジタルソリュ
ーションの各事業は、高度で先進的な技術が事業遂行上必要である上に、グローバルな激しい競争
があります。詳細は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しています。
4)資本の財源及び資金の流動性
資金調達
当社グループは、金利上昇局面への対応及び事業に必要な基本的資産である固定資産の手当てとして、安定的な長期資金をバランスよく調達・確保するよう配慮しています。固定資産については、株主資本・固定負債を含めた長期資金で賄えるよう、長期資金比率の適正化を図っています。
資金調達の直接・間接調達の比率については、資金調達環境等を十分鑑み、バランスの取れた
資金構成の維持を基本方針としています。
資金の主要な使途
当社グループは、資金を、期日の到来した借入金の返済や自己株式の取得等による株主還元、設備投資等へ充当しました。
流動性管理
当期末の状況としては、現金及び現金同等物残高により1兆3,355億円の手許流動性を確保しました。
格付け
当社は、ムーディーズ・ジャパン㈱(以下「ムーディーズ」という。)、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱(以下「S&P」という。)、㈱格付投資情報センター(以下「R&I」という。)の3社から格付けを取得しています。当有価証券報告書提出日現在の格付状況(長期/短期)は、ムーディーズ: B1(見通しは安定的)/NP、S&P: BB(見通しはポジティブ)/B、R&I: BBB-(格付けの方向性は安定的)/a-2です。
なお、当期末(2019年3月31日)現在における、2019年度(2020年3月期)の設備の新設・改修等に係る投資計画は、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しています。