有価証券報告書-第181期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
以下に記載する事項は、当有価証券報告書提出日現在において入手した情報に基づいて、当社グループが判断したものです。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりです。
(注)1.単位:億円、( )内 前期比較、△はマイナスを表示
2.「当社株主に帰属する当期純損益」を当期純損益として表示しています(以下、同じ)。
当期の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や原油価格の急落の影響により急速に悪化しました。米国、欧州では厳しい状況にあり、中国でも厳しい状況にあるものの足下では持ち直しの動きも見られます。国内経済は、個人消費は持ち直し、設備投資、輸出は弱含みが続いておりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により当期後半において個人消費が急速に減少し、輸出も減少しています。
2020年度は、米国、欧州で新型コロナウイルス感染症の影響が続くと見込まれ、景気がさらに下振れするリスクがあります。中国では、新型コロナウイルス感染症の影響が薄らいでいくことが期待されますが、新型コロナウイルス感染症が中国国内外の経済に与える影響によっては景気がさらに下振れするリスクがあります。日本経済も、新型コロナウイルス感染症の影響による極めて厳しい状況が続くと見込まれ、新型コロナウイルス感染症が内外経済をさらに下振れさせるリスクに十分注意していく必要があります。
こうした状況下、当社グループの売上高は、インフラシステムソリューションやビルソリューション、リテール&プリンティングソリューションが増収になったものの、エネルギーシステムソリューションが国内火力の建設、サービス案件の減少による影響等で減収、デバイス&ストレージソリューションがモバイルHDDの需要減、新型コロナウイルス感染症、メモリ転売の商流変更、市況の低迷による影響等で減収、デジタルソリューションが東芝ITサービス㈱の架空循環取引の影響により減収、その他がPC事業の連結除外の影響で減収となり、全体としては前期比3,036億円減少し3兆3,899億円になりました。営業損益は、リテール&プリンティングソリューションが海外リテール事業及びプリンティング事業で減益となったものの、エネルギーシステムソリューション、インフラシステムソリューション、ビルソリューション、デバイス&ストレージソリューション、デジタルソリューションは増益となり、前期比951億円増加し1,305億円になりました。
継続事業税引前損益は、LNG事業の譲渡損失を計上した影響やキオクシアホールディングスの持分法投資損益の悪化等により減益となり、前期比584億円減少し△475億円になりました。当期純損益は、前期に事業売却益を含むメモリ事業からの非継続事業損益を計上した影響等により、前期比1兆1,279億円悪化し△1,146億円になりました。
1)売上高及び営業損益
事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりです。
(注)単位:億円、( )内 前期比較、△はマイナスを表示
①エネルギーシステムソリューション
送変電・配電等は再生可能エネルギー事業等により増収になりましたが、原子力発電システムは安全対策関連工事の工程進捗差等の影響で減収、火力・水力発電システムは国内火力の建設、サービス案件の減少の影響で減収になった結果、部門全体として減収になりました。
損益面では、原子力発電システム、火力・水力発電システム、送変電・配電等で、増益になった結果、部門全体として増益になりました。
②インフラシステムソリューション
鉄道・産業システムは、産業システム事業における低収益事業の縮小の影響で減収になりましたが、公共インフラは電波システム事業等の規模増により増収になり、部門全体として前年同期とほぼ同等の売上高になりました。
損益面では、公共インフラが増収による増益および案件構成差による改善等により増益になり、鉄道・産業システムも製品構成の見直しによる利益率の改善等により増益になった結果、部門全体として増益になりました。
③ビルソリューション
照明が減収となったものの、昇降機、空調がともに国内外で増収した影響で、部門全体として増収になりました。
損益面では、国内外の昇降機、照明が増益となった結果、部門全体として増益となりました。
④リテール&プリンティングソリューション
海外リテール事業及びプリンティング事業は減収になりましたが、国内リテール事業が増収になった結果、部門全体として増収になりました。
損益面では、国内リテール事業は増益になりましたが、海外リテール事業及びプリンティング事業が減益になった結果、部門全体として減益になりました。
⑤デバイス&ストレージソリューション
半導体は、市況の低迷や新型コロナウイルス感染症の影響等で減収になり、HDD他もモバイルHDDの需要減や新型コロナウイルス感染症の影響、メモリ転売の商流変更により減収になった結果、部門全体として減収になりました。
損益面では、HDD他は横ばいでしたが、半導体が、減収による減益はあったものの、構造改革の効果や2018年度に㈱ニューフレアテクノロジーののれん減損98億円を計上していたこと等により増益になり、部門全体として増益になりました。
⑥デジタルソリューション
官公庁向けのシステム案件の増加で増収になったものの、東芝ITサービス㈱の架空循環取引の影響で減収したことにより、部門全体として前年同期とほぼ同等の売上高になりました。
損益面では、東芝ITサービス㈱の架空循環取引の影響で減益となりましたが、官公庁向けシステム案件の増収による増益、構造改革による固定費削減などの効果により部門全体として増益になりました。
⑦その他部門
PC事業の連結除外影響により、部門全体として減収になりました。
なお、上記の事業の種類別の売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高2,939億円が含まれています。また、当社グループのエネルギーシステムソリューション、インフラシステムソリューションにおいては売上高が第4四半期に集中する傾向があります。
2)継続事業税引前損益
営業外損益は、当期に計上したLNG事業の譲渡損失、キオクシアホールディングスの持分法投資損益の悪化等の影響により、前期に比べ1,535億円減少し、△1,780億円になりました。この結果、継続事業税引前損益は、前期に比べ584億円減少し、△475億円になりました。
3)当期純損益
法人税等は、前期に比べ197億円増加し、△352億円になりました。非継続事業からの非支配持分控除前当期純損益は、前期の旧東芝メモリ㈱の株式売却益計上等を主因として前期に比べ1兆540億円減益の△138億円になりました。非支配持分帰属損益は、181億円の利益控除になり、前期に比べ控除額が42億円減少しました。これらの結果、当期純損益は、前期に比べ1兆1,279億円減少し、△1,146億円になり、基本的1株当たり当社株主に帰属する当期純損益は、前期に比べ1,878円24銭減少し、△236円39銭になりました。
4)キャッシュ・フローの状況
要約連結キャッシュ・フロー計算書
(注)単位:億円、( )内 前期比較、△はマイナスを表示
当期における営業活動によるキャッシュ・フローは、LNG事業の譲渡等により2,670億円悪化し、前期の1,249億円の収入から1,421億円の支出になりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前期の旧東芝メモリ㈱の株式売却による収入等がなくなったことにより、前期の1兆3,054億円の収入から1兆4,280億円悪化し、1,226億円の支出になりました。
これらの結果、当期のフリー・キャッシュ・フローは、前期の1兆4,303億円の収入から1兆6,950億円悪化し、2,647億円の支出になりました
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出3,009億円や借入金の返済等があり、前期の6,450億円の支出から422億円増加し、6,872億円の支出になりました。
その他に為替の影響によるキャッシュの減少が66億円あり、当期末の現金及び現金同等物の残高は、前期の1兆3,355億円から9,585億円減少し、3,770億円になりました。
5)生産、受注及び販売の実績
当社グループの受注高及び受注残高については、前期に比べて増加しました。なお、未充足の履行義務に配分した取引価格の総額については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記12.」をご参照ください。
生産規模については、当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、事業の種類別セグメントごとに生産規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
販売規模については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 1)売上高及び営業損益」の売上高をご参照ください。
受注について、当連結会計年度の実績をセグメント毎に示すと次のとおりです。
(注)1.セグメント毎の受注高及び受注残高は、上表のセグメントにおいて受注生産方式にて事業を行っている事業部門の社内管理上の経営数値であり、これらを正確に把握することは困難であるため概算値で示しています。
2.受注残高は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記12.」で公表している残存履行義務とは異なります。
3.受注高については、当連結会計期間に受注した額のみを記載しており、当期より前に受注した案件が当期に解除された場合でも受注高からは控除しておりません。
4.セグメント間取引については消去していません。
6)資産、負債及び資本の状況
要約連結貸借対照表
(注)単位:億円、( )内 前期比較、△はマイナスを表示
総資産は、借入金の返済や上場子会社3社株式に対する公開買付の支払い等の結果、2019年3月末に比べ9,139億円減少し、3兆3,834億円になりました。
株主資本は、取得総額7,000億円を上限とした自己株式の取得並びにその消却を行った結果、2019年3月末に比べ5,169億円減少し、9,398億円になりました。
借入金・社債及びリース債務残高は、2019年3月末に比べ395億円減少し、3,952億円になりました。
この結果、2020年3月末の株主資本比率は2019年3月末に比べ6.1ポイント減少し、27.8%になりました。
(注) ・連結財務諸表は、米国会計基準に準拠して作成しています。但し、当社グループの営業損益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費並びにのれん減損損失を控除して算出したものであり、経営資源の配分の決定及び業績の検討のため、定期的に評価を行う対象となる損益を示しています。訴訟和解費用等は、当社グループの営業損益には含まれていません。
・事業の種類別セグメントの業績を現組織ベースで表示しています。
・当社は、Accounting Standards Updates 2016-02「リース」を2019年度第1四半期連結会計期間から適用しました。これに伴い、オペレーティング・リースに分類される借手側のリース契約において、使用権資産及びリース債務を連結貸借対照表上に認識しています。
・なお、以上の定性的情報は、特記のない限り前年同期との比較で記載しています。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
1)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、米国において一般に公正妥当と認められた企業会計の基準及び会計慣に従っています。連結財務諸表を作成するために資産・負債及び収益・費用の計上並びに偶発産・負債の開示において、種々の見積り及び仮定を前提としています。
①繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産を計上しており、繰延税金資産の帳簿価額は、入手可能な証拠に基づいて50%超の可能性で回収可能性がないと考えられる場合、評価性引当金の計上により減額することが要求されています。そのような場合には、繰延税金資産に対する評価性引当金を計上しています。評価性引当金の計上は、見積りを含む本質的に不確実な処理であり、将来の不確実な経済条件の変動によって、追加の評価性引当金の計上、あるいは過去に計上した評価性引当金の取り崩しが必要となる場合があります。また、繰延税金資産、評価性引当金の計上は貸借対照表日時点で適用されている税制や税率に基づいており、それらの改正が行われた場合には影響を受ける可能性があります。
②未払退職及び年金費用
当社及び一部の子会社の期間純退職及び年金費用は最新の統計数値に基づく割引率、退職率、死亡率及び年金資産の期待収益等の前提条件に基づき算定しており、算定に影響を与える特に重要な仮定は、割引率と年金資産の期待収益率です。割引率は、現在利用可能で、かつ、年金給付の支払期日までの間利用可能と予想される高格付けで確定利付の社債及び確定利付の国債の利回りなどを考慮して決定しています。期待収益率は、保有している年金資産の構成、運用手法から想定されるリスク、過去の運用実績、年金資産運用の基本方針及び市場の動向等を考慮して決定しています。
当社グループは、年金制度の積立状況(退職給付債務と年金資産の公正価値の差額)を連結貸借対照表で認識しており、対応する調整を税効果控除後、資本の部の「その他の包括損益累計額」に含めて報告しています。そのため、運用収益の悪化による年金資産の公正価値の減少や、割引率の低下、昇給率やその他の年金数理計算に使用する前提とする比率の変動による退職給付債務の増加に伴い年金制度の積立状況が悪化した場合、当社グループの株主資本は悪影響を受け、また、その他費用として計上される期間純退職及び年金費用が増加する可能性があります。
③長期性資産
有形固定資産及び耐用年数が明らかな無形資産は見積耐用年数、契約期間、または見積利用期間にわたり定額法により償却しています。これらの資産について資産の帳簿価額を回収できない可能性を示す事象や状況の変化が生じた場合には、割引前予想キャッシュ・フローに基づいて減損の有無を評価しています。減損の兆候があり、かつ資産の帳簿価額を回収できない可能性がある等の場合には、減損損失を計上する可能性があります。
④のれん
のれんは1年に1回減損テストを実施しています。減損テストにおいて、報告単位の帳簿価額がその公正価値を上回る場合に、当該報告単位に割り当てられたのれんの総額を上限として、その上回る額を減損額として計上しています。また、1年に1回の減損テストに加えて、事業環境の変化等による企業価値の下落を示唆する状況が発生した場合で、帳簿価額の合計額が公正価値を上回っている場合は、減損を認識することになります。したがって、のれんの対象事業の将来キャッシュ・フローの見込み、加重平均資本コストの割引率の変動によっては、減損を計上する可能性があります。
⑤有価証券の減損
当社グループは、市場価格のない持分証券については減損の兆候の有無の判断において考慮する定性的な評価を行っています。その結果、公正価値の下落が認められる場合、その下落分について評価損を計上する可能性があります。また、負債証券及びその他の投資については、公正価値の下落が一時的でないか否かの評価を、市場価格の下落の程度とその期間、被投資会社の財政状態及び今後の見通し並びに当該有価証券の今後の保有方針等の観点から定期的に行っています。一時的でない公正価値の下落が発生している場合には、その下落分について評価損を計上する可能性があります。
⑥偶発債務
当社グループは全世界において事業活動を展開しており、訴訟やその他の法的手続に関与し、当局による調査を受けています。国内においても、複数の訴訟や損害賠償請求を受けており、不利益な結果を引き起こす可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積もることが出来る場合には、合理的に見積り可能な金額を引当計上しています。見積りを行う際には、訴訟の進捗、及び他の会社が受けている同種の訴訟や関連する要因等を考慮していますが、通常の想定を超えた金額の支払が命じられる可能性も皆無ではありません。その場合、その決定の内容によっては当社グループの事業、業績や財政状態に悪影響を与える可能性がありますが、当社グループが現在知りうるかぎり、これらの争訟は当社グループの財政状態及び経営成績に直ちに重大な影響を及ぼすものではないと当社グループは考えています。
⑦新型コロナウイルス感染症の影響に関する仮定及び見積り
当社グループは連結財務諸表を作成するために資産・負債及び収益・費用の計上並びに偶発資産・負債の開示において、種々の見積り及び仮定を前提としています。当年度新型コロナウイルス感染症に関する影響について各種見積り及び仮定に含めていますが、その影響の算出前提は以下のとおりです。
・生産体制の回復時期は中国においては4月、欧米アジア地域においては6-7月
・需要の減少傾向は1年以上の継続
・為替変動の影響については限定的
・新型コロナウイルス感染症の第2波が発生した場合でも、当社グループへの影響は限定的
上記以外の事項については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記1.会計処理の原則及び手続並びに連結財務諸表の表示方法、2.主要な会計方針の要約」に記載しています。
2)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社は、2018年11月、今後5年間の全社変革計画「東芝Nextプラン」を策定しました。詳細は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 経営方針(対処すべき課題)」に記載のとおりです。
当社は、「東芝Nextプラン」の実施にあたり、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として、売上高、営業利益、ROS(売上高営業利益率)、EBITDA(営業利益と減価償却費を合算して算出)、ROE(株主資本利益率)を選定しました。これらの指標を設定した理由は以下のとおりです。
2018年11月に、以下のとおり2018年度の見通し及び2019年度以降の経営数値目標を公表しました。
合わせてTSR(株主にとっての総合投資利回り)の拡大を図ります。
<2018年度見通し及び東芝Nextプランの経営数値目標(2018年11月時点)>(単位:億円)
これに対する2018年度、2019年度の実績は以下のとおりです。なお、2021年度のROEについては、旧東芝メモリ㈱の株式売却以降、当社はキオクシアホールディングスの経営に関与しておらず、キオクシアホールディングスの業績予想を入手していないため、予想値を策定できないことから、経営数値目標から取り下げることといたしました。
<2018年度及び2019年度実績及び東芝Nextプランの経営数値目標(2020年5月時点)>(単位:億円)(下線は変更箇所)
(注) 東芝Nextプランの経営数値目標は数値目標であり、達成を保証するものではありません。
2019年度の売上高は概ね数値目標通りでしたが、新型コロナウイルス感染症の拡大により2019年度から2020年度に売上時期の期ずれが発生したことなどにより、営業利益、EBITDAは目標に対して未達となりました。ROEは主としてLNG事業の売却による損失の計上により悪化しました。
なお、売上高及び営業損益の状況の詳細は、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 1)売上高及び営業損益」に記載のとおりであり、経営方針については「1 経営方針、経営慣行及び対処すべき課題」を、事業上のリスクについては「2 事業等のリスク」をご覧ください。
3)経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの事業領域であるエネルギーシステム、インフラシステム、ビル、リテール&プリンティング、デバイス&ストレージ、デジタルソリューションの各事業は、高度で先進的な技術が事業遂行上必要である上に、グローバルな激しい競争があります。詳細は、「2 事業等のリスク」に記載しています。
4)資本の財源及び資金の流動性
資金調達
当社グループは、金利上昇局面への対応及び事業に必要な基本的資産である固定資産の手当てとして、安定的な長期資金をバランスよく調達・確保するよう配慮しています。固定資産については、株主資本・固定負債を含めた長期資金で賄えるよう、長期資金比率の適正化を図っています。
資金調達の直接・間接調達の比率については、資金調達環境等を十分鑑み、バランスの取れた資金構成の維持を基本方針としています。当期末の直接調達枠は、コマーシャル・ペーパーの発行枠を6,000億円、国内普通社債の発行枠を3,000億円保有しています。
資金の主要な使途
当社グループは、資金を、期日の到来した借入金の返済や自己株式の取得等による株主還元、設備投資等へ充当しました。
流動性管理
当期末の状況としては、現金及び現金同等物として3,770億円、コミットメントライン未使用枠の2,580億円を合わせ、6,350億円の手許流動性を確保しました。また、新型コロナウイルス感染拡大による不透明な事業環境が続くことが予測されることから、今後の更なる経済環境の悪化に備えて十分な手元流動性を確保するために、2020年4月に1,500億円の追加資金調達を実行しました。
格付け
当社は、ムーディーズ・ジャパン㈱(以下「ムーディーズ」という。)、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱(以下「S&P」という。)、㈱格付投資情報センター(以下「R&I」という。)の3社から格付けを取得しています。当有価証券報告書提出日現在の格付状況(長期/短期)は、ムーディーズ:B1(見通しは安定的)/NP、S&P: BB(見通しはポジティブ)/B、R&I: BBB-(格付けの方向性はポジティブ)/a-2です。
なお、当期末(2020年3月31日)現在における、2020年度(2021年3月期)の設備の新設・改修等に係る投資計画は、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しています。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりです。
| 売上高 | 33,899(△ 3,036) |
| 営業損益 | 1,305(+ 951) |
| 継続事業税引前損益 | △475(△ 584) |
| 当期純損益 | △1,146(△11,279) |
(注)1.単位:億円、( )内 前期比較、△はマイナスを表示
2.「当社株主に帰属する当期純損益」を当期純損益として表示しています(以下、同じ)。
当期の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や原油価格の急落の影響により急速に悪化しました。米国、欧州では厳しい状況にあり、中国でも厳しい状況にあるものの足下では持ち直しの動きも見られます。国内経済は、個人消費は持ち直し、設備投資、輸出は弱含みが続いておりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により当期後半において個人消費が急速に減少し、輸出も減少しています。
2020年度は、米国、欧州で新型コロナウイルス感染症の影響が続くと見込まれ、景気がさらに下振れするリスクがあります。中国では、新型コロナウイルス感染症の影響が薄らいでいくことが期待されますが、新型コロナウイルス感染症が中国国内外の経済に与える影響によっては景気がさらに下振れするリスクがあります。日本経済も、新型コロナウイルス感染症の影響による極めて厳しい状況が続くと見込まれ、新型コロナウイルス感染症が内外経済をさらに下振れさせるリスクに十分注意していく必要があります。
こうした状況下、当社グループの売上高は、インフラシステムソリューションやビルソリューション、リテール&プリンティングソリューションが増収になったものの、エネルギーシステムソリューションが国内火力の建設、サービス案件の減少による影響等で減収、デバイス&ストレージソリューションがモバイルHDDの需要減、新型コロナウイルス感染症、メモリ転売の商流変更、市況の低迷による影響等で減収、デジタルソリューションが東芝ITサービス㈱の架空循環取引の影響により減収、その他がPC事業の連結除外の影響で減収となり、全体としては前期比3,036億円減少し3兆3,899億円になりました。営業損益は、リテール&プリンティングソリューションが海外リテール事業及びプリンティング事業で減益となったものの、エネルギーシステムソリューション、インフラシステムソリューション、ビルソリューション、デバイス&ストレージソリューション、デジタルソリューションは増益となり、前期比951億円増加し1,305億円になりました。
継続事業税引前損益は、LNG事業の譲渡損失を計上した影響やキオクシアホールディングスの持分法投資損益の悪化等により減益となり、前期比584億円減少し△475億円になりました。当期純損益は、前期に事業売却益を含むメモリ事業からの非継続事業損益を計上した影響等により、前期比1兆1,279億円悪化し△1,146億円になりました。
1)売上高及び営業損益
事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりです。
| セグメント | 売上高 | 営業損益 |
| エネルギーシステムソリューション | 5,688(△ 839: 87%) | 318(+558) |
| インフラシステムソリューション | 7,350(+ 15:100%) | 477(+174) |
| ビルソリューション | 5,701(+ 131:102%) | 291(+122) |
| リテール&プリンティングソリューション | 4,904(+ 50:101%) | 145(△ 57) |
| デバイス&ストレージソリューション | 7,456(△1,874: 80%) | 134(+ 9) |
| デジタルソリューション | 2,524(△ 7:100%) | 168(+ 87) |
| その他 | 3,215(△ 909: 78%) | △298(+ 40) |
| 消去 | △2,939(+ 397: -) | 70(+ 18) |
| 合計 | 33,899(△3,036: 92%) | 1,305(+951) |
(注)単位:億円、( )内 前期比較、△はマイナスを表示
①エネルギーシステムソリューション
送変電・配電等は再生可能エネルギー事業等により増収になりましたが、原子力発電システムは安全対策関連工事の工程進捗差等の影響で減収、火力・水力発電システムは国内火力の建設、サービス案件の減少の影響で減収になった結果、部門全体として減収になりました。
損益面では、原子力発電システム、火力・水力発電システム、送変電・配電等で、増益になった結果、部門全体として増益になりました。
②インフラシステムソリューション
鉄道・産業システムは、産業システム事業における低収益事業の縮小の影響で減収になりましたが、公共インフラは電波システム事業等の規模増により増収になり、部門全体として前年同期とほぼ同等の売上高になりました。
損益面では、公共インフラが増収による増益および案件構成差による改善等により増益になり、鉄道・産業システムも製品構成の見直しによる利益率の改善等により増益になった結果、部門全体として増益になりました。
③ビルソリューション
照明が減収となったものの、昇降機、空調がともに国内外で増収した影響で、部門全体として増収になりました。
損益面では、国内外の昇降機、照明が増益となった結果、部門全体として増益となりました。
④リテール&プリンティングソリューション
海外リテール事業及びプリンティング事業は減収になりましたが、国内リテール事業が増収になった結果、部門全体として増収になりました。
損益面では、国内リテール事業は増益になりましたが、海外リテール事業及びプリンティング事業が減益になった結果、部門全体として減益になりました。
⑤デバイス&ストレージソリューション
半導体は、市況の低迷や新型コロナウイルス感染症の影響等で減収になり、HDD他もモバイルHDDの需要減や新型コロナウイルス感染症の影響、メモリ転売の商流変更により減収になった結果、部門全体として減収になりました。
損益面では、HDD他は横ばいでしたが、半導体が、減収による減益はあったものの、構造改革の効果や2018年度に㈱ニューフレアテクノロジーののれん減損98億円を計上していたこと等により増益になり、部門全体として増益になりました。
⑥デジタルソリューション
官公庁向けのシステム案件の増加で増収になったものの、東芝ITサービス㈱の架空循環取引の影響で減収したことにより、部門全体として前年同期とほぼ同等の売上高になりました。
損益面では、東芝ITサービス㈱の架空循環取引の影響で減益となりましたが、官公庁向けシステム案件の増収による増益、構造改革による固定費削減などの効果により部門全体として増益になりました。
⑦その他部門
PC事業の連結除外影響により、部門全体として減収になりました。
なお、上記の事業の種類別の売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高2,939億円が含まれています。また、当社グループのエネルギーシステムソリューション、インフラシステムソリューションにおいては売上高が第4四半期に集中する傾向があります。
2)継続事業税引前損益
営業外損益は、当期に計上したLNG事業の譲渡損失、キオクシアホールディングスの持分法投資損益の悪化等の影響により、前期に比べ1,535億円減少し、△1,780億円になりました。この結果、継続事業税引前損益は、前期に比べ584億円減少し、△475億円になりました。
3)当期純損益
法人税等は、前期に比べ197億円増加し、△352億円になりました。非継続事業からの非支配持分控除前当期純損益は、前期の旧東芝メモリ㈱の株式売却益計上等を主因として前期に比べ1兆540億円減益の△138億円になりました。非支配持分帰属損益は、181億円の利益控除になり、前期に比べ控除額が42億円減少しました。これらの結果、当期純損益は、前期に比べ1兆1,279億円減少し、△1,146億円になり、基本的1株当たり当社株主に帰属する当期純損益は、前期に比べ1,878円24銭減少し、△236円39銭になりました。
4)キャッシュ・フローの状況
要約連結キャッシュ・フロー計算書
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | △1,421(△ 2,670) |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △1,226(△14,280) |
| フリー・キャッシュ・フロー | △2,647(△16,950) |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | △6,872(△ 422) |
| 為替変動の現金及び現金同等物への影響額 | △66(△ 81) |
| 現金及び現金同等物純増減額 | △9,585(△17,453) |
| 現金及び現金同等物期首残高 | 13,355(+ 7,868) |
| 現金及び現金同等物期末残高 | 3,770(△ 9,585) |
(注)単位:億円、( )内 前期比較、△はマイナスを表示
当期における営業活動によるキャッシュ・フローは、LNG事業の譲渡等により2,670億円悪化し、前期の1,249億円の収入から1,421億円の支出になりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前期の旧東芝メモリ㈱の株式売却による収入等がなくなったことにより、前期の1兆3,054億円の収入から1兆4,280億円悪化し、1,226億円の支出になりました。
これらの結果、当期のフリー・キャッシュ・フローは、前期の1兆4,303億円の収入から1兆6,950億円悪化し、2,647億円の支出になりました
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出3,009億円や借入金の返済等があり、前期の6,450億円の支出から422億円増加し、6,872億円の支出になりました。
その他に為替の影響によるキャッシュの減少が66億円あり、当期末の現金及び現金同等物の残高は、前期の1兆3,355億円から9,585億円減少し、3,770億円になりました。
5)生産、受注及び販売の実績
当社グループの受注高及び受注残高については、前期に比べて増加しました。なお、未充足の履行義務に配分した取引価格の総額については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記12.」をご参照ください。
生産規模については、当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、事業の種類別セグメントごとに生産規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
販売規模については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 1)売上高及び営業損益」の売上高をご参照ください。
受注について、当連結会計年度の実績をセグメント毎に示すと次のとおりです。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度(2019年4月1日~2020年3月31日) | |||
| 受注高(億円) | 前年同期比(%) | 受注残高(億円) | 前年同期比(%) | |
| エネルギーシステムソリューション | 6,501 | 161 | 12,660 | 107 |
| インフラシステムソリューション | 5,924 | 105 | 6,013 | 116 |
| ビルソリューション(昇降機) | 2,234 | 95 | 1,143 | 91 |
| デジタルソリューション | 2,235 | 94 | 761 | 77 |
| 合計 | 16,894 | 117 | 20,577 | 107 |
(注)1.セグメント毎の受注高及び受注残高は、上表のセグメントにおいて受注生産方式にて事業を行っている事業部門の社内管理上の経営数値であり、これらを正確に把握することは困難であるため概算値で示しています。
2.受注残高は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記12.」で公表している残存履行義務とは異なります。
3.受注高については、当連結会計期間に受注した額のみを記載しており、当期より前に受注した案件が当期に解除された場合でも受注高からは控除しておりません。
4.セグメント間取引については消去していません。
6)資産、負債及び資本の状況
要約連結貸借対照表
| 現金及び現金同等物 | 3,770(△ 9,585) |
| 受取手形、売掛金及び契約資産 | 9,708(△ 445) |
| 棚卸資産 | 4,823(+ 134) |
| その他の流動資産 | 2,080(△ 62) |
| 長期受取債権 | 73(△ 13) |
| 投資等 | 5,054(△ 816) |
| 有形固定資産 | 4,203(+ 346) |
| オペレーティング・リース使用権資産 | 1,555(+ 1,555) |
| その他の資産 | 2,568(△ 253) |
| 資産計 | 33,834(△ 9,139) |
| 短期借入金 | 626(△ 2,951) |
| 支払手形及び買掛金 | 5,021(△ 1,587) |
| 短期オペレーティング・リース債務 | 445(+ 445) |
| その他の流動負債 | 7,887(△ 712) |
| 未払退職及び年金費用 | 4,316(△ 29) |
| 長期オペレーティング・リース債務 | 1,142(+ 1,142) |
| 長期借入金及びその他の固定負債 | 3,633(+ 779) |
| 株主資本 | 9,398(△ 5,169) |
| 非支配持分 | 1,366(△ 1,057) |
| 負債・資本計 | 33,834(△ 9,139) |
(注)単位:億円、( )内 前期比較、△はマイナスを表示
総資産は、借入金の返済や上場子会社3社株式に対する公開買付の支払い等の結果、2019年3月末に比べ9,139億円減少し、3兆3,834億円になりました。
株主資本は、取得総額7,000億円を上限とした自己株式の取得並びにその消却を行った結果、2019年3月末に比べ5,169億円減少し、9,398億円になりました。
借入金・社債及びリース債務残高は、2019年3月末に比べ395億円減少し、3,952億円になりました。
この結果、2020年3月末の株主資本比率は2019年3月末に比べ6.1ポイント減少し、27.8%になりました。
(注) ・連結財務諸表は、米国会計基準に準拠して作成しています。但し、当社グループの営業損益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費並びにのれん減損損失を控除して算出したものであり、経営資源の配分の決定及び業績の検討のため、定期的に評価を行う対象となる損益を示しています。訴訟和解費用等は、当社グループの営業損益には含まれていません。
・事業の種類別セグメントの業績を現組織ベースで表示しています。
・当社は、Accounting Standards Updates 2016-02「リース」を2019年度第1四半期連結会計期間から適用しました。これに伴い、オペレーティング・リースに分類される借手側のリース契約において、使用権資産及びリース債務を連結貸借対照表上に認識しています。
・なお、以上の定性的情報は、特記のない限り前年同期との比較で記載しています。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
1)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、米国において一般に公正妥当と認められた企業会計の基準及び会計慣に従っています。連結財務諸表を作成するために資産・負債及び収益・費用の計上並びに偶発産・負債の開示において、種々の見積り及び仮定を前提としています。
①繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産を計上しており、繰延税金資産の帳簿価額は、入手可能な証拠に基づいて50%超の可能性で回収可能性がないと考えられる場合、評価性引当金の計上により減額することが要求されています。そのような場合には、繰延税金資産に対する評価性引当金を計上しています。評価性引当金の計上は、見積りを含む本質的に不確実な処理であり、将来の不確実な経済条件の変動によって、追加の評価性引当金の計上、あるいは過去に計上した評価性引当金の取り崩しが必要となる場合があります。また、繰延税金資産、評価性引当金の計上は貸借対照表日時点で適用されている税制や税率に基づいており、それらの改正が行われた場合には影響を受ける可能性があります。
②未払退職及び年金費用
当社及び一部の子会社の期間純退職及び年金費用は最新の統計数値に基づく割引率、退職率、死亡率及び年金資産の期待収益等の前提条件に基づき算定しており、算定に影響を与える特に重要な仮定は、割引率と年金資産の期待収益率です。割引率は、現在利用可能で、かつ、年金給付の支払期日までの間利用可能と予想される高格付けで確定利付の社債及び確定利付の国債の利回りなどを考慮して決定しています。期待収益率は、保有している年金資産の構成、運用手法から想定されるリスク、過去の運用実績、年金資産運用の基本方針及び市場の動向等を考慮して決定しています。
当社グループは、年金制度の積立状況(退職給付債務と年金資産の公正価値の差額)を連結貸借対照表で認識しており、対応する調整を税効果控除後、資本の部の「その他の包括損益累計額」に含めて報告しています。そのため、運用収益の悪化による年金資産の公正価値の減少や、割引率の低下、昇給率やその他の年金数理計算に使用する前提とする比率の変動による退職給付債務の増加に伴い年金制度の積立状況が悪化した場合、当社グループの株主資本は悪影響を受け、また、その他費用として計上される期間純退職及び年金費用が増加する可能性があります。
③長期性資産
有形固定資産及び耐用年数が明らかな無形資産は見積耐用年数、契約期間、または見積利用期間にわたり定額法により償却しています。これらの資産について資産の帳簿価額を回収できない可能性を示す事象や状況の変化が生じた場合には、割引前予想キャッシュ・フローに基づいて減損の有無を評価しています。減損の兆候があり、かつ資産の帳簿価額を回収できない可能性がある等の場合には、減損損失を計上する可能性があります。
④のれん
のれんは1年に1回減損テストを実施しています。減損テストにおいて、報告単位の帳簿価額がその公正価値を上回る場合に、当該報告単位に割り当てられたのれんの総額を上限として、その上回る額を減損額として計上しています。また、1年に1回の減損テストに加えて、事業環境の変化等による企業価値の下落を示唆する状況が発生した場合で、帳簿価額の合計額が公正価値を上回っている場合は、減損を認識することになります。したがって、のれんの対象事業の将来キャッシュ・フローの見込み、加重平均資本コストの割引率の変動によっては、減損を計上する可能性があります。
⑤有価証券の減損
当社グループは、市場価格のない持分証券については減損の兆候の有無の判断において考慮する定性的な評価を行っています。その結果、公正価値の下落が認められる場合、その下落分について評価損を計上する可能性があります。また、負債証券及びその他の投資については、公正価値の下落が一時的でないか否かの評価を、市場価格の下落の程度とその期間、被投資会社の財政状態及び今後の見通し並びに当該有価証券の今後の保有方針等の観点から定期的に行っています。一時的でない公正価値の下落が発生している場合には、その下落分について評価損を計上する可能性があります。
⑥偶発債務
当社グループは全世界において事業活動を展開しており、訴訟やその他の法的手続に関与し、当局による調査を受けています。国内においても、複数の訴訟や損害賠償請求を受けており、不利益な結果を引き起こす可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積もることが出来る場合には、合理的に見積り可能な金額を引当計上しています。見積りを行う際には、訴訟の進捗、及び他の会社が受けている同種の訴訟や関連する要因等を考慮していますが、通常の想定を超えた金額の支払が命じられる可能性も皆無ではありません。その場合、その決定の内容によっては当社グループの事業、業績や財政状態に悪影響を与える可能性がありますが、当社グループが現在知りうるかぎり、これらの争訟は当社グループの財政状態及び経営成績に直ちに重大な影響を及ぼすものではないと当社グループは考えています。
⑦新型コロナウイルス感染症の影響に関する仮定及び見積り
当社グループは連結財務諸表を作成するために資産・負債及び収益・費用の計上並びに偶発資産・負債の開示において、種々の見積り及び仮定を前提としています。当年度新型コロナウイルス感染症に関する影響について各種見積り及び仮定に含めていますが、その影響の算出前提は以下のとおりです。
・生産体制の回復時期は中国においては4月、欧米アジア地域においては6-7月
・需要の減少傾向は1年以上の継続
・為替変動の影響については限定的
・新型コロナウイルス感染症の第2波が発生した場合でも、当社グループへの影響は限定的
上記以外の事項については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記1.会計処理の原則及び手続並びに連結財務諸表の表示方法、2.主要な会計方針の要約」に記載しています。
2)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社は、2018年11月、今後5年間の全社変革計画「東芝Nextプラン」を策定しました。詳細は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 経営方針(対処すべき課題)」に記載のとおりです。
当社は、「東芝Nextプラン」の実施にあたり、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として、売上高、営業利益、ROS(売上高営業利益率)、EBITDA(営業利益と減価償却費を合算して算出)、ROE(株主資本利益率)を選定しました。これらの指標を設定した理由は以下のとおりです。
| 売上高 | すべての利益の源泉となるものであり、事業規模も表すことができる指標として採用しました。 |
| 営業利益 | 本業の利益水準を計る指標として採用しました。 |
| ROS | 本業の収益効率性を計る基準として採用しました。 |
| EBITDA | 減価償却費等の非現金費用を除外することにより、実態に近い収益性を把握できる指標として採用しました。 |
| ROE | 資本効率性を計る基準であり、株主の目線から株主価値の向上の達成度を把握することができると考え、採用しました。 |
2018年11月に、以下のとおり2018年度の見通し及び2019年度以降の経営数値目標を公表しました。
合わせてTSR(株主にとっての総合投資利回り)の拡大を図ります。
<2018年度見通し及び東芝Nextプランの経営数値目標(2018年11月時点)>(単位:億円)
| 2018年度見通し | 2019年度目標 | 2021年度目標 | 2023年度目標 | |
| 売上高 | 36,000 | 34,000 | 37,000 | 40,000 |
| 営業利益 (ROS%) | 600 (1.7%) | 1,400 (4%以上) | 2,400 (6%以上) | 8%以上 10%目指す |
| EBITDA | 1,300 | 2,200 | 3,400 | - |
| ROE | ▲13% ※非継続事業/メモリ売却影響除く | 6%以上 | 10%以上 | 約15% |
これに対する2018年度、2019年度の実績は以下のとおりです。なお、2021年度のROEについては、旧東芝メモリ㈱の株式売却以降、当社はキオクシアホールディングスの経営に関与しておらず、キオクシアホールディングスの業績予想を入手していないため、予想値を策定できないことから、経営数値目標から取り下げることといたしました。
<2018年度及び2019年度実績及び東芝Nextプランの経営数値目標(2020年5月時点)>(単位:億円)(下線は変更箇所)
| 2018年度実績 | 2019年度実績 | 2021年度目標 | 2023年度目標 | |
| 売上高 | 36,935 | 33,899 | 37,000 | 40,000 |
| 営業利益 (ROS%) | 354 (1.0%) | 1,305 (3.8%) | 2,400 (6%以上) | 8%以上 10%目指す |
| EBITDA | 1,139 | 2,101 | 3,400 | - |
| ROE | ▲3% ※非継続事業/メモリ売却影響除く | ▲9.6% | - | 約15% |
(注) 東芝Nextプランの経営数値目標は数値目標であり、達成を保証するものではありません。
2019年度の売上高は概ね数値目標通りでしたが、新型コロナウイルス感染症の拡大により2019年度から2020年度に売上時期の期ずれが発生したことなどにより、営業利益、EBITDAは目標に対して未達となりました。ROEは主としてLNG事業の売却による損失の計上により悪化しました。
なお、売上高及び営業損益の状況の詳細は、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 1)売上高及び営業損益」に記載のとおりであり、経営方針については「1 経営方針、経営慣行及び対処すべき課題」を、事業上のリスクについては「2 事業等のリスク」をご覧ください。
3)経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの事業領域であるエネルギーシステム、インフラシステム、ビル、リテール&プリンティング、デバイス&ストレージ、デジタルソリューションの各事業は、高度で先進的な技術が事業遂行上必要である上に、グローバルな激しい競争があります。詳細は、「2 事業等のリスク」に記載しています。
4)資本の財源及び資金の流動性
資金調達
当社グループは、金利上昇局面への対応及び事業に必要な基本的資産である固定資産の手当てとして、安定的な長期資金をバランスよく調達・確保するよう配慮しています。固定資産については、株主資本・固定負債を含めた長期資金で賄えるよう、長期資金比率の適正化を図っています。
資金調達の直接・間接調達の比率については、資金調達環境等を十分鑑み、バランスの取れた資金構成の維持を基本方針としています。当期末の直接調達枠は、コマーシャル・ペーパーの発行枠を6,000億円、国内普通社債の発行枠を3,000億円保有しています。
資金の主要な使途
当社グループは、資金を、期日の到来した借入金の返済や自己株式の取得等による株主還元、設備投資等へ充当しました。
流動性管理
当期末の状況としては、現金及び現金同等物として3,770億円、コミットメントライン未使用枠の2,580億円を合わせ、6,350億円の手許流動性を確保しました。また、新型コロナウイルス感染拡大による不透明な事業環境が続くことが予測されることから、今後の更なる経済環境の悪化に備えて十分な手元流動性を確保するために、2020年4月に1,500億円の追加資金調達を実行しました。
格付け
当社は、ムーディーズ・ジャパン㈱(以下「ムーディーズ」という。)、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱(以下「S&P」という。)、㈱格付投資情報センター(以下「R&I」という。)の3社から格付けを取得しています。当有価証券報告書提出日現在の格付状況(長期/短期)は、ムーディーズ:B1(見通しは安定的)/NP、S&P: BB(見通しはポジティブ)/B、R&I: BBB-(格付けの方向性はポジティブ)/a-2です。
なお、当期末(2020年3月31日)現在における、2020年度(2021年3月期)の設備の新設・改修等に係る投資計画は、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しています。