有価証券報告書-第91期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/23 16:09
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【項目】
151項目
(経営成績等の状況の概要)
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、退職給付債務の計算方法の変更について会計方針の変更を行っており、遡及処理の内容を反映させた数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、期初において、世界的に感染が広がった新型コロナウイルスの収束を目的に各国が行った都市封鎖等の規制により、景気が急激に悪化しました。第2四半期以降は、感染再拡大に対する規制と緩和を繰り返しながらも、総じて回復基調で推移しました。
当社グループの関連するエレクトロニクス市場においても、期初には新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受け需要が低迷しましたが、第2四半期以降の経済回復を受けて、当社グループが注力する自動車市場、携帯機器市場及び産業機器市場がそれぞれ回復基調に転じました。
このような状況のもと、当連結会計年度の連結業績は、第1四半期において、注力市場の需要低迷やフィリピン、メキシコの海外生産子会社が操業規制を受けたことから、損失計上を余儀なくされましたが、第2四半期以降、主力のコネクタ事業を中心に注力市場の回復需要を捉え、受注・売上の確保と材料費の低減及び諸費用の抑制、更には、設備効率化による内製強化など経営全般にわたる効率化の推進により業績向上に努めました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、2,097億11百万円(前連結会計年度比101%)と前年比増収を確保することができましたが、利益面では、上述の第1四半期における業績悪化の影響を大きく受けたことから、営業利益87億6百万円(前連結会計年度比62%)、経常利益78億80百万円(前連結会計年度比55%)、親会社株主に帰属する当期純利益56億92百万円(前連結会計年度比51%)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
① コネクタ事業
期初において、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、注力する自動車、携帯機器、産業機器の各市場の需要が低迷し、第1四半期の業績は厳しい結果となりました。第2四半期以降は、回復に転じた自動車市場の需要を捉えたほか、携帯機器市場及び産機市場でも需要が持ち直したことから、当連結会計年度の売上高は1,857億18百万円(前連結会計年度比101%)と前年比増収を確保しましたが、セグメント利益は121億64百万円(前連結会計年度比70%)となりました。
② インターフェース・ソリューション事業
自動車分野における車載用フィルムセンサの生産が拡大したことや、産機分野における工作機械や産業用ロボット向け操作パネルの需要が増加したことから、当連結会計年度の売上高は100億60百万円(前連結会計年度比112%)、セグメント利益は1億51百万円(前連結会計年度はセグメント損失4億37百万円)の黒字とすることができました。
③ 航機事業
防衛・宇宙向け製品は前年並みに推移しましたが、産機分野において、油田掘削向け製品の需要が大きく減少したことから、当連結会計年度の売上高は132億91百万円(前連結会計年度比89%)、セグメント利益は2億90百万円(前連結会計年度比23%)となりました。
財政状態の状況は、次のとおりであります。
① 資 産
当連結会計年度末の総資産は、設備投資抑制により有形固定資産が減少しましたが、新型コロナウイルス感染拡大の事業リスクへの備えや自動車事業を中心とする将来の開発投資を目的とした借入金の実行により、現金及び預金が増加したことから、前連結会計年度末に比べ266億1百万円増加の2,200億66百万円となりました。
② 負 債
負債は、法人税等の支払いや退職給付に係る負債の年金資産への拠出による減少はありましたが、上述の借入金の実行により、前連結会計年度末に比べ203億52百万円増加の780億6百万円となりました。
③ 純資産
純資産は、主として親会社株主に帰属する当期純利益の計上及びその他包括利益累計額の増加により、前連結会計年度末に比べ62億48百万円増加の1,420億59百万円となり、自己資本比率は、64.5%となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権、たな卸資産の増加に加え、法人税等の支払いによるマイナス要因はありましたが、仕入債務の増加や税金等調整前当期純利益及び減価償却費の計上により、291億14百万円のプラス(前連結会計年度は285億82百万円のプラス)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主として新製品生産用設備投資による有形固定資産の取得などにより、188億2百万円のマイナス(前連結会計年度は245億36百万円のマイナス)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、株主配当金の支払い、借入金の実行により、154億54百万円のプラス(前連結会計年度は65億54百万円のマイナス)となりました。
この結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ257億92百万円増加の700億86百万円となりました。
(生産、受注及び販売の実績)
当連結会計年度におけるセグメントごとの生産実績、受注実績及び販売実績は、次のとおりであります。なお、各金額には消費税等は含まれておりません。
(1) 生産実績
セグメントの名称生産高(百万円)前期比(%)
コネクタ事業186,325101.8
インターフェース・ソリューション事業10,045111.6
航機事業13,40790.5
その他51292.1
210,290101.4

(注) 金額は販売価額によっております。
(2) 受注実績
セグメントの名称受注高
(百万円)
前期比
(%)
受注残高
(百万円)
前期比
(%)
コネクタ事業189,439102.119,895123.0
インターフェース・ソリューション事業9,802100.21,86587.8
航機事業12,02691.29,51788.3
その他63190.68589.2
211,899101.331,363107.5

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
(3) 販売実績
セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)
コネクタ事業185,718101.2
インターフェース・ソリューション事業10,060112.2
航機事業13,29189.5
その他64192.2
209,711100.8

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先前連結会計年度当連結会計年度
販売高(百万円)割合(%)販売高(百万円)割合(%)
三信電気㈱38,27118.440,78219.4
Apple Inc.38,86718.737,47117.9

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
「(経営成績等の状況の概要) (1) 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(2) 資金の流動性及び資本の源泉
① キャッシュ・フロー
「(経営成績等の状況の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
② 財務政策
当社の運転資金需要の主な内訳は、当社グループ製品の新製品開発及び製造のための材料及び部品の購入のほか、労務費、製造経費、販売費及び一般管理費等であります。また、設備資金需要の主な内訳は、新製品開発、製造及び生産性向上、品質向上のための設備投資と当社グループの永続的な発展のための投資であります。
こうした資金需要に対し当社グループは、グローバルマーケティングの強化及び技術開発力の強化による受注・売上の拡大と環境・品質を重視した競合に負けない物づくりを積極的に推進し、営業キャッシュ・フローの創出に努めております。
更に、財務対策として売上債権の流動化等、資金調達の多様化並びに資産の効率化を推進しているほか、グループ資金調達リスクの回避及び資金コストの低減を図るため、コミットメントライン契約による資金調達枠の確保、キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)導入によるグループ内資金の効率化など様々な対策を講じております。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2021年1月27日に公表した業績予想に対する実績値の状況は以下のとおりであります。
「(経営成績等の状況の概要) (1) 財政状態及び経営成績の状況」に記載した状況のもと、第4四半期において、自動車市場及び携帯機器市場の需要が第3四半期より引き続き堅調に推移したことや、為替等による営業外損益の改善により、予想値を上回る結果となりました。
指標2021年3月期
業績予想
(百万円)
2021年3月期
実績値
(百万円)
達成度
(%)
売上高207,000209,711101.3
経常利益5,7007,880138.3

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。