有価証券報告書-第65期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

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2018/06/29 9:13
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用や所得環境の改善を背景として、景気は緩やかな回復基調が続いておりますが、海外経済の不確実性や不安定な金融資本市場動向の影響等の懸念材料もあり、先行きが不透明な状況のまま推移しました。
当業界において、テレビの出荷台数に関しましては、4Kテレビの構成比が継続して高まっており、有機ELテレビの出荷台数も堅調に推移しておりますが、テレビ市場全体の回復には至っておらず、力強さを欠いたまま推移しております。また、新設住宅着工戸数についても、前連結会計年度比で減少傾向にあり、テレビ関連機器販売や工事につきましては、引き続き厳しい事業環境が続いております。
一方で、通信関連機器につきましては、官需向けは前連結会計年度比で減少しておりますが、民需向けは堅調に推移しております。
このような状況の中、当社グループは、前連結会計年度から構造改革を実施して、環境に左右されない経営基盤作りに取り組み、収益性に重点をおいた企業活動の推進や、新製品の開発、コストダウンへの継続的取組、業務の効率化による経費の適正な運営等に努めてまいりました。
この結果、テレビ関連機器販売や関連工事は厳しい事業環境下で推移しましたが、通信関連機器の販売におきましては、通信事業者向けの機器販売が安定的に伸長したこと等により、当連結会計年度の売上高は14,356百万円(前連結会計年度比2.2%増)となりました。
利益面につきましては、営業利益は144百万円(前連結会計年度は292百万円の営業損失)、経常利益は155百万円(前連結会計年度は343百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は192百万円(前連結会計年度は1,474百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
送受信用製品製造事業
当事業部門において、放送関連機器の売上高につきましては、家庭用機器の販売が伸び悩んだことや、前連結会計年度に好調であった事業者向け機器販売の反動減等により、前連結会計年度比減となりました。
なお、当連結会計年度より、情報関連機器を放送関連機器と呼称しております。これは、近年の「放送と通信の融合」の潮流に即して、当社の製品イメージを明確化し、訴求力を高めるためであります。
通信用アンテナの売上高につきましては、官需向けデジタル無線用アンテナは前連結会計年度比で減少しましたが、通信事業者向け基地局アンテナが好調に推移したことにより、前連結会計年度比増となりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は11,572百万円(前連結会計年度比7.5%増)、営業利益は636百万円(同106.5%増)となりました。
工事事業
当事業部門におきましては、新築ビル内共聴工事やアンテナ対策工事が堅調でしたが、共同受信工事や電気工事が前連結会計年度比で減少したこと等から、売上高は2,783百万円(前連結会計年度比15.2%減)、営業利益は317百万円(同130.5%増)となりました。
財政状態につきましては、まず、当連結会計年度末の流動資産は、19,322百万円(前連結会計年度比1.8%減)となりました。これは、受取手形及び売掛金、材料及び貯蔵品の増加や、現金及び預金の減少等によるものであります。
固定資産は、4,970百万円(同1.0%減)となりました。これは、工具、器具及び備品の増加や、建物及び構築物、投資有価証券の減少等によるものであります。
当連結会計年度末の流動負債は、3,227百万円(前連結会計年度比6.6%減)となりました。これは、支払手形及び買掛金の増加や、工事未払金の減少等によるものであります。
固定負債は、1,196百万円(同5.8%減)となりました。これは、退職給付に係る負債の減少等によるものであります。
当連結会計年度末の純資産の合計は、19,868百万円(前連結会計年度比0.5%減)となりました。
以上の結果、自己資本比率は81.8%となりました。
②キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は11,522百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,335百万円減少いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果減少した資金は、828百万円(前連結会計年度は58百万円の減少)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益が158百万円となったことや、たな卸資産の減少、減価償却費による増加と、事業構造改善費用の支払、売上債権の増加、仕入債務の減少による減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は、258百万円(前連結会計年度は623百万円の増加)となりました。
これは主に、有価証券の売却・償還による収入による増加と、有価証券の取得や有形固定資産の取得による支出による減少によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は、258百万円(前連結会計年度は334百万円の減少)となりました。
これは主に、配当金の支払や自己株式の取得によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
送受信用製品製造事業(百万円)8,371110.6
工事事業(百万円)2,78384.8
合計(百万円)11,155102.8

(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)
送受信用製品製造事業5,877143.71,141573.5
工事事業2,70084.233980.3
合計8,577117.51,481238.1

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.当連結会計年度において、送受信用製品製造事業における受注残高が著しく増加しております。
これは、Wireless City Planning株式会社の受注件数が増加したこと等によるものであります。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
送受信用製品製造事業(百万円)11,572107.5
工事事業(百万円)2,78384.8
合計(百万円)14,356102.2

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
Wireless City Planning株式会社1541.11,44310.1
株式会社ヤマダ電機1,47310.51,3529.4

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当っては、決算日における財政状態、経営成績に影響を与えるような見積り・予測を必要としております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り・予測を実施しております。
a.繰延税金資産
繰延税金資産は、今後の課税所得の予測等を踏まえ計上しております。
b.貸倒引当金
当社グループは、顧客の支払不能時に発生する損失の見積額について、貸倒引当金を計上しております。
c.投資の減損
当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の顧客及び金融機関に対する有価証券を保有しておりますが、これら株式には価格変動性が高い公開会社の株式と、株価の確定が困難な非公開会社の株式を含んでおります。当社グループは、投資価値が下落し回復可能性がないと判断した場合、これら有価証券の減損を実施しております。公開会社の株式は、期末日の株価が取得額の50%以上下落した場合又は6四半期間続けて30%以上下落しかつ回復可能性がないと判断された場合、また非公開会社の株式は、原則として当該会社の純資産額が取得額の50%以上下落した場合に、それぞれ回復可能性がないと判断し減損処理を行うこととしております。
d.退職給付債務
従業員に対する退職給付債務は、保険数理計算に基づき決定しております。退職給付債務計算は、その前提として使用している割引率、報酬水準の増加率や従業員の平均残存勤務期間に影響されます。当社グループは、割引率を主として日本国債の金利により決定している他、報酬水準の増加率及び従業員の平均残存勤務期間については、これまでの実績値に基づき決定しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当連結会計年度の経営成績等
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高につきましては、14,356百万円(前連結会計年度比2.2%増)となりました。これは主に、送受信用製品製造事業では、通信事業者向けアンテナが伸長したものの、テレビ用アンテナや関連機器の市況が引き続き厳しい水準にあること、また、工事事業では、電気工事が伸び悩んだことによるものであります。
海外売上高は408百万円(同20.1%増)で、連結売上高に占める海外売上高の割合は2.8%と前連結会計年度より増加しております。これは主に、海外子会社の売上が前連結会計年度で増加したためであります。
販売費及び一般管理費は4,290百万円(前連結会計年度比3.7%減)となりました。これは主に、前連結会計年度末に実施した構造改革に伴うコストダウンの効果によるものであります。
この結果、営業利益は、144百万円(前連結会計年度は292百万円の営業損失)となりました。
当連結会計年度の営業外損益は、10百万円の利益となりました。これは主に、受取配当金が21百万円と前連結会計年度比で増加したことと、売上割引が56百万円と前連結会計年度比で減少したことによるものであります。
この結果、経常利益は155百万円(前連結会計年度は343百万円の経常損失)となりました。
当連結会計年度の特別損益は、2百万円の利益となりました。これは主に、前連結会計年度にあった事業構造改善費用がなくなったことと、固定資産売却益3百万円によるものであります。
経常利益の155百万円に特別損益の利益2百万円を加算し、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は158百万円となりました。
当連結会計年度においては、繰延税金資産の回収の可能性を慎重に検討した結果、繰延税金資産の追加計上を行いました。
そのため、法人税、住民税及び事業税に法人税等調整額を合算すると、税金費用は△34百万円になりました。
これにより、親会社株主に帰属する当期純利益は192百万円(前連結会計年度は1,474百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
この結果、1株当たり当期純利益は、15円37銭となりました。
b.経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、まず、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,335百万円減少し、11,522百万円となりました。
重要な資本的支出の予定につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。
資金の源泉につきましては、主に、当連結会計年度末の現金及び現金同等物と営業活動により得られる資金であります。
また、資金の効率的調達を行うため、金融機関との間でコミットメントライン1,500百万円の契約を締結しております。これに対する当連結会計年度末の借入実行残高はありません。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、下記のとおりの推移であります。
第61期第62期第63期第64期第65期
売上高(百万円)20,03416,77116,37814,05114,356
営業利益又は営業損失(△)(百万円)1,304387233△292144
売上高営業利益率(%)6.52.31.4-1.0
ROA(純利益/総資本)(%)3.21.20.5-0.8
ROE(純利益/自己資本)(%)3.91.40.5-1.0

当社グループを取り巻く事業環境といたしましては、平成24年3月に地上デジタルテレビ放送への移行が完了した後、依然として厳しい状況にあるため、売上高は漸減傾向にあります。
また、営業利益につきましても、売上高の減少とともに減少傾向となっており、継続してコストダウンに努めたものの、第64期には営業損失を計上いたしました。売上高営業利益率につきましても、シェア獲得競争・価格競争の激化により、減少傾向にあります。
ROA・ROEにつきましても、ほぼ一貫して低下しております。
e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
なお、財政状態につきましては、当社グループでは、セグメントごとではなく、当社グループ一体としての資金管理を行っております。