有価証券報告書-第66期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/28 9:13
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文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、各種政策の効果もあり、雇用・所得環境の改善が続き、個人消費の持ち直しが見られる等、緩やかな回復傾向が続きましたが、企業収益の改善においては一部に足踏みが見られ、米中間の通商問題や英国のEU離脱問題といった景気の下振れリスクも懸念される等、先行き不透明な状況で推移しました。
当業界において、テレビ関連機器販売の市場に関しましては、4Kテレビや有機ELテレビ等の高付加価値製品の普及が一層進み、BS/CSアンテナの出荷台数も前連結会計年度比で増加傾向にある等、回復基調が続いております。新設住宅着工戸数につきましても、堅調に推移しております。
通信関連機器につきましても、官需向け、民需向けともに堅調に推移しております。
このような状況の中、当社グループは、環境に左右されない経営基盤作りに取り組み、収益性に重点をおいた企業活動の推進や、新製品の開発、コストダウンへの継続的取組、業務の効率化による経費の適正な運営等に努めてまいりました。
この結果、テレビ関連機器販売や関連工事において、市況が回復基調にあることや、通信関連機器の販売において、通信事業者向け機器販売が堅調であり、通信モジュール用アンテナも伸長したこと等により、当連結会計年度の売上高は16,692百万円(前連結会計年度比16.3%増)となりました。
利益面につきましては、営業利益は1,135百万円(同685.3%増)、経常利益は1,054百万円(同578.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,090百万円(同466.9%増)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
送受信用製品製造事業
当事業部門において、放送関連機器の売上高につきましては、家庭用機器の販売が堅調に推移し、また事業者向けの機器販売も好調であったこと等から、前連結会計年度比増となりました。
通信用アンテナの売上高につきましても、通信事業者向け基地局アンテナの需要が伸長した他、通信モジュール用アンテナが好調に推移し、官需向けデジタル無線用アンテナも堅調であったため、前連結会計年度比増となりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は13,702百万円(前連結会計年度比18.4%増)、営業利益は1,561百万円(同145.2%増)となりました。
工事事業
当事業部門におきましては、アンテナ対策工事が前連結会計年度比で減少しましたが、「新4K8K衛星放送」の開始に伴い、ビル内共聴改修工事が増加したこと等から、売上高は2,989百万円(前連結会計年度比7.4%増)、営業利益は409百万円(同29.0%増)となりました。
財政状態につきましては、まず、当連結会計年度末の流動資産は、18,898百万円(前連結会計年度末比1.1%減)となりました。これは、商品及び製品の増加や、現金及び預金の減少等によるものであります。
固定資産は、5,109百万円(同2.7%増)となりました。これは、工具、器具及び備品の増加等によるものであります。
当連結会計年度末の流動負債は、3,708百万円(前連結会計年度末比14.9%増)となりました。これは、支払手形及び買掛金の増加や、工事未払金の減少等によるものであります。
固定負債は、906百万円(同9.0%減)となりました。これは、退職給付に係る負債の減少等によるものであります。
当連結会計年度末の純資産の合計は、19,392百万円(前連結会計年度末比2.4%減)となりました。
以上の結果、自己資本比率は80.8%となりました。
②キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は11,003百万円となり、前連結会計年度末に比べ518百万円減少いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は、1,177百万円(前連結会計年度は828百万円の減少)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益が1,091百万円となったことや、仕入債務の増加、減価償却費の計上による増加と、たな卸資産の増加による減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は、172百万円(前連結会計年度は258百万円の減少)となりました。
これは主に、有価証券の売却・償還による収入による増加と、有価証券の取得や有形及び無形固定資産の取得による支出による減少によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は、1,516百万円(前連結会計年度は258百万円の減少)となりました。
これは主に、自己株式の取得や配当金の支払による減少によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成30年4月1日
至 平成31年3月31日)
前年同期比(%)
送受信用製品製造事業(百万円)13,098156.5
工事事業(百万円)2,989107.4
合計(百万円)16,087144.2

(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)
送受信用製品製造事業5,04885.912611.1
工事事業3,045112.8396116.6
合計8,09394.452235.3

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.当連結会計年度において、送受信用製品製造事業における受注残高が著しく減少しております。
これは、Wireless City Planning株式会社の受注件数が減少したこと等によるものであります。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成30年4月1日
至 平成31年3月31日)
前年同期比(%)
送受信用製品製造事業(百万円)13,702118.4
工事事業(百万円)2,989107.4
合計(百万円)16,692116.3

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成30年4月1日
至 平成31年3月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
Wireless City Planning株式会社1,44310.11,2917.7

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当っては、決算日における財政状態、経営成績に影響を与えるような見積り・予測を必要としております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り・予測を実施しております。
a.繰延税金資産
繰延税金資産は、今後の課税所得の予測等を踏まえ計上しております。
b.貸倒引当金
当社グループは、顧客の支払不能時に発生する損失の見積額について、貸倒引当金を計上しております。
c.投資の減損
当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の顧客及び金融機関に対する有価証券を保有しておりますが、これら株式には価格変動性が高い公開会社の株式と、株価の確定が困難な非公開会社の株式を含んでおります。当社グループは、投資価値が下落し回復可能性がないと判断した場合、これら有価証券の減損を実施しております。公開会社の株式は、期末日の株価が取得額の50%以上下落した場合又は6四半期間続けて30%以上下落しかつ回復可能性がないと判断された場合、また非公開会社の株式は、原則として当該会社の純資産額が取得額の50%以上下落した場合に、それぞれ回復可能性がないと判断し減損処理を行うこととしております。
d.退職給付債務
従業員に対する退職給付債務は、保険数理計算に基づき決定しております。退職給付債務計算は、その前提として使用している割引率、報酬水準の増加率や従業員の平均残存勤務期間に影響されます。当社グループは、割引率を主として日本国債の金利により決定している他、報酬水準の増加率及び従業員の平均残存勤務期間については、これまでの実績値に基づき決定しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当連結会計年度の経営成績等
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高につきましては、16,692百万円(前連結会計年度比16.3%増)となりました。これは主に、送受信用製品製造事業では、テレビ用アンテナや関連機器の市況が回復基調にあること、通信事業者向けアンテナが伸長したこと、また、工事事業では、ビル内共聴改修工事が増加したことによるものであります。
海外売上高は571百万円(同39.9%増)で、連結売上高に占める海外売上高の割合は3.4%と前連結会計年度より増加しております。これは主に、海外子会社の売上が前連結会計年度で増加したためであります。
販売費及び一般管理費は4,478百万円(前連結会計年度比4.4%増)となりました。これは主に、設備投資に伴う減価償却費の増加によるものであります。
この結果、営業利益は、1,135百万円(前連結会計年度比685.3%増)となりました。
当連結会計年度の営業外損益は、80百万円の損失となりました。これは主に、受取配当金が13百万円と前連結会計年度比で減少したことと、有価証券評価損が27百万円と前連結会計年度比で増加したことによるものであります。
この結果、経常利益は1,054百万円(前連結会計年度比578.9%増)となりました。
当連結会計年度の特別損益は、36百万円の利益となりました。これは主に、投資有価証券売却益63百万円、固定資産処分損24百万円によるものであります。
経常利益の1,054百万円に特別損益の利益36百万円を加算し、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は1,091百万円となりました。
当連結会計年度においては、繰延税金資産の回収の可能性を慎重に検討した結果、繰延税金資産の追加計上を行いました。
そのため、税金費用(法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額)は1百万円になりました。
これにより、親会社株主に帰属する当期純利益は1,090百万円(前連結会計年度比466.9%増)となりました。
この結果、1株当たり当期純利益は、93円86銭となりました。
b.経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、まず、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ518百万円減少し、11,003百万円となりました。
重要な資本的支出の予定につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。
資金の源泉につきましては、主に、当連結会計年度末の現金及び現金同等物と営業活動により得られる資金であります。
また、資金の効率的調達を行うため、金融機関との間でコミットメントライン1,500百万円の契約を締結しております。これに対する当連結会計年度末の借入実行残高はありません。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、下記のとおりの推移であります。
第62期第63期第64期第65期第66期
売上高(百万円)16,77116,37814,05114,35616,692
営業利益又は営業損失(△)(百万円)387233△2921441,135
売上高営業利益率(%)2.31.4-1.06.8
ROA(純利益/総資本)(%)1.20.5-0.84.5
ROE(純利益/自己資本)(%)1.40.5-1.05.6

当社グループを取り巻く事業環境といたしましては、平成24年3月に地上デジタルテレビ放送への移行が完了した後、厳しい状況が継続し、売上高は漸減傾向にありました。しかしながら、「新4K8K衛星放送」の開始に伴い関連機器・工事の需要が喚起されたこと等により、当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べ増加いたしました。
また、営業利益につきましても、売上高の減少とともに減少傾向となっておりましたところ、売上高の回復や継続したコストダウン等が寄与し、前連結会計年度に比べて伸長いたしました。
これに伴い、売上高営業利益率につきましても改善がみられたものの、依然としてシェア獲得競争・価格競争の激化があり、決して楽観視できる情勢ではないものと考えられます。
なお、ROA・ROEにつきましても、当連結会計年度において改善しております。
e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
なお、財政状態につきましては、当社グループでは、セグメントごとではなく、当社グループ一体としての資金管理を行っております。