有価証券報告書-第72期(平成30年10月1日-令和1年9月30日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の業績につきましては、国内売上げは減少いたしましたものの、海外売上げが増加いたしました結果、売上高は145,912百万円と前期に比べ1,574百万円(1.1%)の増加となりました。一方、利益面につきましては、営業利益は25,403百万円と前期に比べ1,860百万円(6.8%)減少、経常利益は26,277百万円と前期に比べ1,810百万円(6.4%)減少、親会社株主に帰属する当期純利益につきましても19,918百万円と前期に比べ1,303百万円(6.1%)減少となり、遺憾ながら増収減益となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
[電子管事業]
光電子増倍管は、血液や生細胞などを分析する検体検査装置向けの売上げが増加したほか、油田探査装置向けの売上げが引続き好調に推移するなど、売上げは増加いたしました。
イメージ機器及び光源は、産業分野におきまして、非破壊検査用のマイクロフォーカスX線源の売上げが増加したほか、ステルスダイシングエンジンの売上げも増加するなど、売上げは増加いたしました。
以上の結果、光電子増倍管、イメージ機器及び光源をあわせました電子管事業といたしましては、売上高は58,005百万円(前期比3.2%増)、営業利益は20,501百万円(前期比4.1%増)となりました。
[光半導体事業]
光半導体素子は、産業分野におきまして、半導体製造・検査装置向けのイメージセンサ等の売上げが減少するなど、売上げは減少いたしました。
この結果、光半導体事業といたしましては、売上高は64,867百万円(前期比2.6%減)、営業利益は18,554百万円(前期比13.0%減)となりました。
[画像計測機器事業]
画像処理・計測装置は、デジタルカメラ及びX線ラインセンサカメラの売上げが増加いたしました。
この結果、画像計測機器事業といたしましては、売上高は18,315百万円(前期比6.8%増)、営業利益は3,685百万円(前期比2.8%増)となりました。
[その他事業]
その他事業の売上高は4,724百万円(前期比6.4%増)、営業損失は197百万円(前期は営業利益69百万円)となりました。
財政状態の状況は次のとおりであります。
[流動資産]
流動資産の主な変動は、受取手形及び売掛金が532百万円減少したものの、現金及び預金が3,955百万円、有価証券が3,646百万円それぞれ増加したことなどから、流動資産は前連結会計年度末に比べ9,712百万円増加しております。
[固定資産]
固定資産の主な変動は、投資有価証券が1,034百万円減少したものの、有形固定資産が建設仮勘定の増加などにより5,720百万円増加したことなどから、固定資産は前連結会計年度末に比べ5,067百万円増加しております。
[流動負債]
流動負債の主な変動は、1年内返済予定の長期借入金が3,016百万円減少したものの、設備関係電子記録債務(流動負債その他)が2,672百万円、支払手形及び買掛金が1,783百万円それぞれ増加したことなどから、流動負債は前連結会計年度末に比べ1,351百万円増加しております。
[固定負債]
固定負債の主な変動は、長期借入金が2,837百万円増加したことなどから、固定負債は前連結会計年度末に比べ3,766百万円増加しております。
[純資産]
純資産は、為替換算調整勘定が3,136百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が13,715百万円増加したことから、当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ9,661百万円増加しております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ6,697百万円増加し、68,521百万円となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況を、前年同期と比較しますと次のとおりであります。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動によるキャッシュ・フローでは、前期に比べ7,295百万円多い30,875百万円の資金を得ております。これは主として、税金等調整前当期純利益が1,356百万円減少したものの、仕入債務が4,940百万円増加及び法人税等の支払額が1,625百万円減少したことなどにより、収入増となっております。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動によるキャッシュ・フローでは、前期に比べ7,206百万円多い16,086百万円の資金を支出しております。これは主として、非キャッシュである3ヶ月超の定期預金への預入が8,186百万円増加したことなどにより、支出増となっております。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動によるキャッシュ・フローでは、前期に比べ9,642百万円少ない6,681百万円の資金を支出しております。これは主として、自己株式の取得による支出が10,103百万円減少したことなどにより、支出減となっております。
③生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 金額は販売価格によっております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b 受注実績
当社グループは主に見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 主要な販売先については、総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積もり
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたり、連結会計年度末における資産、負債及び収益、費用の計上、偶発債務の開示に関連して、見積りや仮定を使用する必要があります。これらの見積りや仮定は、その時点で入手可能な情報に基づいた合理的と考えられるさまざまな要因を考慮したうえで行っておりますが、当社グループを取り巻く環境や状況の変化により、これらの見積りや仮定が実際の結果と異なる可能性がありますのでご留意下さい。
②当連結会計年度の経営成績等
当社は自社の資本コストを的確に把握したうえで、3年の経営計画を策定し、公表しております。(ローリング方式)また、中長期的ビジョンに基づき、成長に向けた積極的な設備投資や研究開発を行うことで、持続的かつ安定的な高収益体制の構築を目指しております。
当連結会計年度の業績につきましては、国内売上げは減少いたしましたものの、海外売上げが増加いたしました結果、売上高は145,912百万円と前期に比べ1,574百万円(1.1%)の増加となりました。売上高は前期と比較して増加したものの、2018年11月に公表した3年の経営計画の1年目の目標額には到達することはできませんでした。これは、米中貿易摩擦並びに当該貿易摩擦を端緒とした中国の景気減速により、当社を牽引する光半導体事業の売上高が減少したことなどが影響しております。一方、利益面につきましては、営業利益は25,403百万円と前期に比べ1,860百万円(6.8%)減少、経常利益は26,277百万円と前期に比べ1,810百万円(6.4%)減少、親会社株主に帰属する当期純利益につきましても19,918百万円と前期に比べ1,303百万円(6.1%)減少となり、遺憾ながら増収減益となりました。利益面についても売上高同様、2018年11月に公表した3年の利益計画の1年目の目標額には到達することはできませんでした。これは売上高目標が未達であったことにより、設備投資による減価償却費などの固定的コストの相対的な負担割合が高まったことによるものであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、為替相場があげられます。当連結会計年度における為替感応度(1円の為替変動が年間営業利益に与える影響:円安+/円高△)は、米ドルで200百万円、ユーロで100百万円、中国元で600百万円と試算しております。なお、当連結会計年度における営業利益に占める為替影響額は、△1,105百万円であり、利益を減少させております。
なお、セグメント別の業績の概要につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
a 売上高
光電子増倍管は、高エネルギー物理学実験等の学術向けの売上げが、海外における大型プロジェクトへの納入終了などもあり、減少いたしました。しかしながら、医用分野におきまして、血液や生細胞などを分析する検体検査装置向けがその高感度、低ノイズ、高速応答特性を評価されて売上げが増加いたしました。また、油田開発投資の回復を受け、高温や衝撃、振動などへの耐性に優れた油田探査装置向けの売上げが引続き好調に推移いたしました結果、光電子増倍管の売上げは増加いたしました。
イメージ機器及び光源は、産業分野におきまして、中国の景気減速、設備投資抑制の影響を受けたものの、非破壊検査用のマイクロフォーカスX線源の売上げが、バッテリー検査等を中心に増加いたしました。また、シリコンウェハを高速・高品位に切断するステルスダイシングエンジンの売上げも増加いたしました。さらに、重水素ランプ等の環境分析用光源の売上げも海外において好調に推移いたしました結果、イメージ機器及び光源の売上げは増加いたしました
以上の結果、光電子増倍管、イメージ機器及び光源をあわせました電子管事業といたしましては、売上高は58,005百万円(前期比3.2%増)となりました。
光半導体素子は、医用分野におきまして、主力のシリコンフォトダイオードなどの売上げが好調に推移したほか、フラットパネルセンサも歯科用を中心に売上げを伸ばしました。しかしながら、世界的な設備投資抑制の影響を大きく受け、半導体製造・検査装置向けのイメージセンサ等の売上げが減少いたしました。また、同様の理由により産業用ロボット等の制御などFA(ファクトリーオートメーション)分野におけるフォトダイオード及びLEDの売上げが国内外において減少いたしました結果、光半導体素子の売上げは全体として減少いたしました。
この結果、光半導体事業といたしましては、売上高は64,867百万円(前期比2.6%減)となりました。
画像処理・計測装置は、半導体故障解析装置が、半導体市場における設備投資抑制の影響を受け、アジア地域を中心に売上げが減少いたしました。しかしながら、デジタルカメラが、生命科学やバイオ分野に加え産業分野における需要が増加し、売上げを伸ばしました。また、X線ラインセンサカメラの売上げもリチウムイオン電池等の検査用が増加いたしました結果、画像処理・計測装置の売上げは増加いたしました。
この結果、画像計測機器事業といたしましては、売上高は18,315百万円(前期比6.8%増)となりました。
その他事業の売上高は4,724百万円(前期比6.4%増)となりました。
b 為替変動の影響
売上高に係る為替変動の影響額は、主として海外連結子会社の財務諸表を円貨に換算する為替レートの差により発生しております。当連結会計年度における対米ドルの期中平均レートは前期に比べ36銭の円高となり90百万円減収と試算しております。対ユーロの期中平均レートは前期に比べ7円21銭の円高となり630百万円減収と試算しております。また、対中国元の期中平均レートは前期に比べ69銭の円高となり563百万円減収と試算しております。
c 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、前期比1,530百万円(2.2%)増加し71,916百万円となり、売上総利益は前期比43百万円(0.1%)増加し73,996百万円となりました。また、売上総利益率につきましては、電子管事業が前期比1.1%上昇したものの、光半導体事業が前期比1.9%、画像計測機器事業が前期比1.3%低下したことから、前期比0.5%低下し50.7%となりました。
販売費及び一般管理費は、前期比1,904百万円(4.1%)増加し48,592百万円となりました。これは人件費が前期比659百万円(3.8%)増加したこと及び減価償却費が前期比125百万円(5.4%)増加したことなどによるものであります。なお、研究開発費につきましては、前期比240百万円(1.9%)増加し、売上高に対する比率は9.0%となりました。
d 営業利益
営業利益は、前期比1,860百万円(6.8%)減少し25,403百万円となりました。電子管事業は、光電子増倍管をはじめとして、売上げが増加したことに伴い、売上総利益が前期比1,694百万円増加したことにより、営業利益は前期比804百万円(4.1%)増加し20,501百万円となりました。光半導体事業は、イメージセンサ等の売上げが減少したことなどに伴い、売上総利益が前期比2,101百万円減少したことにより、営業利益は前期比2,766百万円(13.0%)減少し18,554百万円となりました。画像計測機器事業は、デジタルカメラ等の売上げが増加したことに伴い、売上総利益が前期比350百万円増加したことにより、営業利益は前期比101百万円(2.8%)増加し3,685百万円となりました。その他事業は、売上高は増加したものの、営業損失は197百万円(前期は営業利益69百万円)となりました。
e 営業外損益
営業外損益は、前期比49百万円増加し、874百万円となりました。これは前期の為替差益64百万円が当連結会計年度は為替差損179百万円に転じたものの、持分法による投資利益が105百万円増加したことによるものであります。なお、受取利息の増加などにより金融収支は60百万円の収入増となりました。
f 特別損益
特別損失は、前期比888百万円減少し217百万円となりました。これは、固定資産圧縮損が150百万円減少したことに加え、前期は厚生年金基金解散損失引当金繰入額が534百万円、災害による損失が194百万円それぞれ発生していたことによるものであります。なお、固定資産圧縮損につきましては、これに対応する補助金収入(特別利益)も164百万円減少しております。
g 親会社株主に帰属する当期純利益
以上のことから、税金等調整前当期純利益は前期比1,356百万円(4.9%)減少し26,220百万円となりました。また、法人税等の負担率が、前期の22.80%と比較して、当連結会計年度は23.77%と0.97%上昇しております。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比1,303百万円(6.1%)減少し19,918百万円となりました。
③経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
④資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要の主なものは、製品製造のための材料等の購入、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資資金需要の主なものは、生産能力の増強・効率化などの設備投資、光の本質に関する基礎研究並びにお客様のニーズに対応する新製品開発のための研究開発に対する投資などであります。その他、光技術の応用や光に関するコア技術の強化等を目的とする投資、さらに企業もしくは事業の買収資金等も投資資金として位置付けております。
運転資金需要及び投資資金需要の財源につきましては、現在保有する現預金に加え、営業キャッシュ・フローを源泉とした資金を充当することを基本としておりますが、光産業創成のための産業開発用投資資金及び企業もしくは事業の買収資金等につきましては、借入金もしくは資本市場からの調達を行う可能性があります。
資金の流動性に関しましては、月次連結売上高の5ヶ月以上を維持するよう努めております。また、コミットメントライン契約により、自然災害等の緊急時も含め流動性を担保できるよう備えております。2019年9月末現在の現預金残高は78,414百万円と月次連結売上高の6.4ヶ月相当の流動性を確保しております。
資金の調達方法は、運転資金については、自己資金及び金融機関からの短期借入金による調達を基本とし、工場、製造設備及び研究開発用設備等の設備投資については主に内部留保からの調達といたします。光産業創成のための産業開発用投資及び企業もしくは事業の買収関連等費用については、資本市場からの調達と金融機関からの長期借入金の最適な組み合わせを基本として検討してまいります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の業績につきましては、国内売上げは減少いたしましたものの、海外売上げが増加いたしました結果、売上高は145,912百万円と前期に比べ1,574百万円(1.1%)の増加となりました。一方、利益面につきましては、営業利益は25,403百万円と前期に比べ1,860百万円(6.8%)減少、経常利益は26,277百万円と前期に比べ1,810百万円(6.4%)減少、親会社株主に帰属する当期純利益につきましても19,918百万円と前期に比べ1,303百万円(6.1%)減少となり、遺憾ながら増収減益となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
[電子管事業]
光電子増倍管は、血液や生細胞などを分析する検体検査装置向けの売上げが増加したほか、油田探査装置向けの売上げが引続き好調に推移するなど、売上げは増加いたしました。
イメージ機器及び光源は、産業分野におきまして、非破壊検査用のマイクロフォーカスX線源の売上げが増加したほか、ステルスダイシングエンジンの売上げも増加するなど、売上げは増加いたしました。
以上の結果、光電子増倍管、イメージ機器及び光源をあわせました電子管事業といたしましては、売上高は58,005百万円(前期比3.2%増)、営業利益は20,501百万円(前期比4.1%増)となりました。
[光半導体事業]
光半導体素子は、産業分野におきまして、半導体製造・検査装置向けのイメージセンサ等の売上げが減少するなど、売上げは減少いたしました。
この結果、光半導体事業といたしましては、売上高は64,867百万円(前期比2.6%減)、営業利益は18,554百万円(前期比13.0%減)となりました。
[画像計測機器事業]
画像処理・計測装置は、デジタルカメラ及びX線ラインセンサカメラの売上げが増加いたしました。
この結果、画像計測機器事業といたしましては、売上高は18,315百万円(前期比6.8%増)、営業利益は3,685百万円(前期比2.8%増)となりました。
[その他事業]
その他事業の売上高は4,724百万円(前期比6.4%増)、営業損失は197百万円(前期は営業利益69百万円)となりました。
財政状態の状況は次のとおりであります。
[流動資産]
流動資産の主な変動は、受取手形及び売掛金が532百万円減少したものの、現金及び預金が3,955百万円、有価証券が3,646百万円それぞれ増加したことなどから、流動資産は前連結会計年度末に比べ9,712百万円増加しております。
[固定資産]
固定資産の主な変動は、投資有価証券が1,034百万円減少したものの、有形固定資産が建設仮勘定の増加などにより5,720百万円増加したことなどから、固定資産は前連結会計年度末に比べ5,067百万円増加しております。
[流動負債]
流動負債の主な変動は、1年内返済予定の長期借入金が3,016百万円減少したものの、設備関係電子記録債務(流動負債その他)が2,672百万円、支払手形及び買掛金が1,783百万円それぞれ増加したことなどから、流動負債は前連結会計年度末に比べ1,351百万円増加しております。
[固定負債]
固定負債の主な変動は、長期借入金が2,837百万円増加したことなどから、固定負債は前連結会計年度末に比べ3,766百万円増加しております。
[純資産]
純資産は、為替換算調整勘定が3,136百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が13,715百万円増加したことから、当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ9,661百万円増加しております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ6,697百万円増加し、68,521百万円となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況を、前年同期と比較しますと次のとおりであります。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動によるキャッシュ・フローでは、前期に比べ7,295百万円多い30,875百万円の資金を得ております。これは主として、税金等調整前当期純利益が1,356百万円減少したものの、仕入債務が4,940百万円増加及び法人税等の支払額が1,625百万円減少したことなどにより、収入増となっております。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動によるキャッシュ・フローでは、前期に比べ7,206百万円多い16,086百万円の資金を支出しております。これは主として、非キャッシュである3ヶ月超の定期預金への預入が8,186百万円増加したことなどにより、支出増となっております。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動によるキャッシュ・フローでは、前期に比べ9,642百万円少ない6,681百万円の資金を支出しております。これは主として、自己株式の取得による支出が10,103百万円減少したことなどにより、支出減となっております。
③生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年10月1日 至 2019年9月30日) | |
金額(百万円) | 前年同期比(%) | |
電子管事業 | 55,467 | 1.0 |
光半導体事業 | 64,238 | △3.0 |
画像計測機器事業 | 18,141 | 10.7 |
その他事業 | 4,026 | 5.9 |
合計 | 141,873 | 0.4 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 金額は販売価格によっております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b 受注実績
当社グループは主に見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年10月1日 至 2019年9月30日) | |
金額(百万円) | 前年同期比(%) | |
電子管事業 | 58,005 | 3.2 |
光半導体事業 | 64,867 | △2.6 |
画像計測機器事業 | 18,315 | 6.8 |
その他事業 | 4,724 | 6.4 |
合計 | 145,912 | 1.1 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 主要な販売先については、総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積もり
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたり、連結会計年度末における資産、負債及び収益、費用の計上、偶発債務の開示に関連して、見積りや仮定を使用する必要があります。これらの見積りや仮定は、その時点で入手可能な情報に基づいた合理的と考えられるさまざまな要因を考慮したうえで行っておりますが、当社グループを取り巻く環境や状況の変化により、これらの見積りや仮定が実際の結果と異なる可能性がありますのでご留意下さい。
②当連結会計年度の経営成績等
当社は自社の資本コストを的確に把握したうえで、3年の経営計画を策定し、公表しております。(ローリング方式)また、中長期的ビジョンに基づき、成長に向けた積極的な設備投資や研究開発を行うことで、持続的かつ安定的な高収益体制の構築を目指しております。
当連結会計年度の業績につきましては、国内売上げは減少いたしましたものの、海外売上げが増加いたしました結果、売上高は145,912百万円と前期に比べ1,574百万円(1.1%)の増加となりました。売上高は前期と比較して増加したものの、2018年11月に公表した3年の経営計画の1年目の目標額には到達することはできませんでした。これは、米中貿易摩擦並びに当該貿易摩擦を端緒とした中国の景気減速により、当社を牽引する光半導体事業の売上高が減少したことなどが影響しております。一方、利益面につきましては、営業利益は25,403百万円と前期に比べ1,860百万円(6.8%)減少、経常利益は26,277百万円と前期に比べ1,810百万円(6.4%)減少、親会社株主に帰属する当期純利益につきましても19,918百万円と前期に比べ1,303百万円(6.1%)減少となり、遺憾ながら増収減益となりました。利益面についても売上高同様、2018年11月に公表した3年の利益計画の1年目の目標額には到達することはできませんでした。これは売上高目標が未達であったことにより、設備投資による減価償却費などの固定的コストの相対的な負担割合が高まったことによるものであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、為替相場があげられます。当連結会計年度における為替感応度(1円の為替変動が年間営業利益に与える影響:円安+/円高△)は、米ドルで200百万円、ユーロで100百万円、中国元で600百万円と試算しております。なお、当連結会計年度における営業利益に占める為替影響額は、△1,105百万円であり、利益を減少させております。
なお、セグメント別の業績の概要につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
a 売上高
光電子増倍管は、高エネルギー物理学実験等の学術向けの売上げが、海外における大型プロジェクトへの納入終了などもあり、減少いたしました。しかしながら、医用分野におきまして、血液や生細胞などを分析する検体検査装置向けがその高感度、低ノイズ、高速応答特性を評価されて売上げが増加いたしました。また、油田開発投資の回復を受け、高温や衝撃、振動などへの耐性に優れた油田探査装置向けの売上げが引続き好調に推移いたしました結果、光電子増倍管の売上げは増加いたしました。
イメージ機器及び光源は、産業分野におきまして、中国の景気減速、設備投資抑制の影響を受けたものの、非破壊検査用のマイクロフォーカスX線源の売上げが、バッテリー検査等を中心に増加いたしました。また、シリコンウェハを高速・高品位に切断するステルスダイシングエンジンの売上げも増加いたしました。さらに、重水素ランプ等の環境分析用光源の売上げも海外において好調に推移いたしました結果、イメージ機器及び光源の売上げは増加いたしました
以上の結果、光電子増倍管、イメージ機器及び光源をあわせました電子管事業といたしましては、売上高は58,005百万円(前期比3.2%増)となりました。
光半導体素子は、医用分野におきまして、主力のシリコンフォトダイオードなどの売上げが好調に推移したほか、フラットパネルセンサも歯科用を中心に売上げを伸ばしました。しかしながら、世界的な設備投資抑制の影響を大きく受け、半導体製造・検査装置向けのイメージセンサ等の売上げが減少いたしました。また、同様の理由により産業用ロボット等の制御などFA(ファクトリーオートメーション)分野におけるフォトダイオード及びLEDの売上げが国内外において減少いたしました結果、光半導体素子の売上げは全体として減少いたしました。
この結果、光半導体事業といたしましては、売上高は64,867百万円(前期比2.6%減)となりました。
画像処理・計測装置は、半導体故障解析装置が、半導体市場における設備投資抑制の影響を受け、アジア地域を中心に売上げが減少いたしました。しかしながら、デジタルカメラが、生命科学やバイオ分野に加え産業分野における需要が増加し、売上げを伸ばしました。また、X線ラインセンサカメラの売上げもリチウムイオン電池等の検査用が増加いたしました結果、画像処理・計測装置の売上げは増加いたしました。
この結果、画像計測機器事業といたしましては、売上高は18,315百万円(前期比6.8%増)となりました。
その他事業の売上高は4,724百万円(前期比6.4%増)となりました。
b 為替変動の影響
売上高に係る為替変動の影響額は、主として海外連結子会社の財務諸表を円貨に換算する為替レートの差により発生しております。当連結会計年度における対米ドルの期中平均レートは前期に比べ36銭の円高となり90百万円減収と試算しております。対ユーロの期中平均レートは前期に比べ7円21銭の円高となり630百万円減収と試算しております。また、対中国元の期中平均レートは前期に比べ69銭の円高となり563百万円減収と試算しております。
c 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、前期比1,530百万円(2.2%)増加し71,916百万円となり、売上総利益は前期比43百万円(0.1%)増加し73,996百万円となりました。また、売上総利益率につきましては、電子管事業が前期比1.1%上昇したものの、光半導体事業が前期比1.9%、画像計測機器事業が前期比1.3%低下したことから、前期比0.5%低下し50.7%となりました。
販売費及び一般管理費は、前期比1,904百万円(4.1%)増加し48,592百万円となりました。これは人件費が前期比659百万円(3.8%)増加したこと及び減価償却費が前期比125百万円(5.4%)増加したことなどによるものであります。なお、研究開発費につきましては、前期比240百万円(1.9%)増加し、売上高に対する比率は9.0%となりました。
d 営業利益
営業利益は、前期比1,860百万円(6.8%)減少し25,403百万円となりました。電子管事業は、光電子増倍管をはじめとして、売上げが増加したことに伴い、売上総利益が前期比1,694百万円増加したことにより、営業利益は前期比804百万円(4.1%)増加し20,501百万円となりました。光半導体事業は、イメージセンサ等の売上げが減少したことなどに伴い、売上総利益が前期比2,101百万円減少したことにより、営業利益は前期比2,766百万円(13.0%)減少し18,554百万円となりました。画像計測機器事業は、デジタルカメラ等の売上げが増加したことに伴い、売上総利益が前期比350百万円増加したことにより、営業利益は前期比101百万円(2.8%)増加し3,685百万円となりました。その他事業は、売上高は増加したものの、営業損失は197百万円(前期は営業利益69百万円)となりました。
e 営業外損益
営業外損益は、前期比49百万円増加し、874百万円となりました。これは前期の為替差益64百万円が当連結会計年度は為替差損179百万円に転じたものの、持分法による投資利益が105百万円増加したことによるものであります。なお、受取利息の増加などにより金融収支は60百万円の収入増となりました。
f 特別損益
特別損失は、前期比888百万円減少し217百万円となりました。これは、固定資産圧縮損が150百万円減少したことに加え、前期は厚生年金基金解散損失引当金繰入額が534百万円、災害による損失が194百万円それぞれ発生していたことによるものであります。なお、固定資産圧縮損につきましては、これに対応する補助金収入(特別利益)も164百万円減少しております。
g 親会社株主に帰属する当期純利益
以上のことから、税金等調整前当期純利益は前期比1,356百万円(4.9%)減少し26,220百万円となりました。また、法人税等の負担率が、前期の22.80%と比較して、当連結会計年度は23.77%と0.97%上昇しております。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比1,303百万円(6.1%)減少し19,918百万円となりました。
③経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
④資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要の主なものは、製品製造のための材料等の購入、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資資金需要の主なものは、生産能力の増強・効率化などの設備投資、光の本質に関する基礎研究並びにお客様のニーズに対応する新製品開発のための研究開発に対する投資などであります。その他、光技術の応用や光に関するコア技術の強化等を目的とする投資、さらに企業もしくは事業の買収資金等も投資資金として位置付けております。
運転資金需要及び投資資金需要の財源につきましては、現在保有する現預金に加え、営業キャッシュ・フローを源泉とした資金を充当することを基本としておりますが、光産業創成のための産業開発用投資資金及び企業もしくは事業の買収資金等につきましては、借入金もしくは資本市場からの調達を行う可能性があります。
資金の流動性に関しましては、月次連結売上高の5ヶ月以上を維持するよう努めております。また、コミットメントライン契約により、自然災害等の緊急時も含め流動性を担保できるよう備えております。2019年9月末現在の現預金残高は78,414百万円と月次連結売上高の6.4ヶ月相当の流動性を確保しております。
資金の調達方法は、運転資金については、自己資金及び金融機関からの短期借入金による調達を基本とし、工場、製造設備及び研究開発用設備等の設備投資については主に内部留保からの調達といたします。光産業創成のための産業開発用投資及び企業もしくは事業の買収関連等費用については、資本市場からの調達と金融機関からの長期借入金の最適な組み合わせを基本として検討してまいります。