有価証券報告書-第69期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/23 9:18
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【項目】
143項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当連結会計年度におけるわが国経済は、一部に持ち直しの動きが見られたものの、新型コロナウイルス感染症の再拡大の影響により、経済活動の停滞や個人消費の落ち込みが懸念されるなど、依然として先行き不透明な状況で推移いたしました。
このような経営環境のなか、当社グループにおきましては、2016年度よりスタートいたしました中期5か年計画「CA2020」の最終年度といたしまして、重点課題である「MaaSの実現に向けた新しい価値の創造」「育成分野への経営資源のスムーズな移行」「海外ビジネスの黒字化」「業務プロセス改善による生産性の向上」の4つの課題に向けた取り組みに注力してまいりました。
(1)経営成績の状況
当連結会計年度の連結業績は、次のとおりとなりました。
2020年3月期2021年3月期前期比
増減額
前期比
増減率
売上高260億51百万円155億53百万円△104億97百万円△40.3%
売上総利益62億80百万円33億3百万円△29億77百万円△47.4%
営業損益18億54百万円△40百万円△18億94百万円
経常利益18億30百万円35百万円△17億94百万円△98.0%
親会社株主に帰属する
当期純損益
8億91百万円△1億24百万円△10億15百万円

①全般概況
〇売上高は、前期比104億97百万円(40.3%)減の155億53百万円となりました。
これは主に、輸送機器事業において、首都圏バス用ICカードシステムの更新需要の一巡に加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響による業界全体の設備投資マインドの冷え込みもあり、主力のバス市場向け製品全般の売上が大きく減少したほか、産業機器事業(エネルギーマネジメントシステム事業)においても、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、自動車向けプリント基板実装や、バッテリー式フォークリフト用充電器の売上が減少したこと等によるものであります。
〇売上総利益は、前期比29億77百万円(47.4%)減の33億3百万円となりました。
これは主に、売上高が減少したことに加え、商品構成の変化や原価低減等により売上原価率が前期比2.9ポイント悪化したこと等によるものであります。
〇営業損益は、前期比18億94百万円 減の△40百万円となりました。
なお、販売費及び一般管理費につきましては、給与及び賞与、事務委託費、交通費、試験研究費等が減少したことにより、前期比10億82百万円(24.5%)減の33億43百万円となりました。
〇経常利益は、前期比17億94百万円(98.0%)減の35百万円となりました。
なお、営業外収益につきましては、助成金収入、為替差益等の計上により前期比55百万円(103.1%)増の1億10百万円となりました。また、営業外費用につきましては、前期にございました為替差損、株式交付費がなくなったこと等により、前期比44百万円(56.3%)減の34百万円となりました。
〇親会社株主に帰属する当期純損益は、前期比10億15百万円 減の△1億24百万円となりました。
なお、特別利益につきましては、前期にございました非連結子会社であるレシップ産業株式会社の吸収合併に伴う抱合せ株式消滅差益が無くなり、今期の計上はありませんでした。また、特別損失につきましては、前期にございました減損損失の減少や投資有価証券評価損が無くなったこと等により、前期比99百万円(94.3%)減の6百万円となりました。

②セグメント別の状況
a.輸送機器事業
当事業の売上高は103億93百万円(前期比97億78百万円減、48.5%減)、営業利益は18百万円(前期比17億98百万円減、99.0%減)となりました。
市場別の売上高は、バス市場が74億71百万円(前期比94億17百万円減、55.8%減)、鉄道市場が19億5百万円(前期比2億55百万円減、11.8%減)、自動車市場が10億16百万円(前期比1億5百万円減、9.4%減)となりました。
バス市場につきましては、首都圏バス用ICカードシステムの更新需要の一巡により、バス用運賃箱やICカードリーダライタなどの売上が大きく減少いたしました。加えて、新型コロナウイルス感染拡大の影響による業界全体の設備投資マインドの冷え込みもあり、バス市場向け製品全般の売上が伸び悩んだ結果、減収となりました。
鉄道市場につきましては、前期にあった消費税増税に伴う運賃データの書き換え需要が一巡したほか、米国の鉄道車両用灯具の売上が減少したことなども影響し、減収となりました。
自動車市場につきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響でトラックの需要が落ち込むなか、トラック用灯具の売上が減少したことにより、減収となりました。

b.産業機器事業(エネルギーマネジメントシステム事業)
当事業の売上高は51億18百万円(前期比7億18百万円減、12.3%減)、営業損失は12百万円(前期比97百万円減、前期は84百万円の営業利益)となりました。
市場別の売上高は、電源ソリューション市場が20億19百万円(前期比1億96百万円減、8.9%減)、エコ照明・高電圧ソリューション市場が5億36百万円(前期比1億26百万円減、19.1%減)、EMS市場が25億62百万円(前期比3億94百万円減、13.4%減)となりました。
電源ソリューション市場につきましては、CATV(ケーブルテレビ)基地局用無停電電源装置の売上は、大手CATV事業者様向けへの納入が進み、増加したものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響でフォークリフトの需要が落ち込むなか、上期を中心に、バッテリー式フォークリフト用充電器の売上が大きく減少した結果、減収となりました。
エコ照明・高電圧ソリューション市場につきましては、店舗等の屋外看板の掛け替え需要が低迷するなか、LED電源などの売上が減少したことにより、減収となりました。
EMS市場につきましては、上期を中心に、新型コロナウイルス感染拡大に伴う自動車メーカー様の生産調整の影響で、自動車向けプリント基板実装の受託が大きく減少したことにより、減収となりました。
c.その他
当事業の売上高は41百万円、営業利益は6百万円となりました。事業の内容は、主としてレシップホールディングス株式会社による不動産賃貸業であります。
(2)財政状態の状況
資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末の総資産は151億29百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億37百万円増加いたしました。主な要因は、受取手形及び売掛金が10億86百万円、繰延税金資産が1億51百万円、仕掛品が80百万円、工具、器具及び備品(純額)が72百万円、リース資産(純額)が66百万円減少した一方、現金及び預金が11億39百万円、未収還付法人税等が3億16百万円、商品及び製品が1億73百万円、投資有価証券が1億17百万円、原材料及び貯蔵品が1億10百万円増加したこと等によるものです。
負債は102億16百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億2百万円増加いたしました。主な要因は、未払法人税等が5億71百万円、電子記録債務が4億48百万円、未払金が3億87百万円、支払手形及び買掛金が3億37百万円、設備未払金が1億90百万円、賞与引当金が1億76百万円、未払消費税等が1億72百万円、リース債務(流動・固定)が72百万円、長期借入金が64百万円、製品保証引当金が52百万円、1年内返済予定の長期借入金が31百万円減少した一方で、短期借入金が30億71百万円増加したこと等によるものです。
純資産は49億12百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億65百万円減少いたしました。主な要因は、その他有価証券評価差額金が82百万円増加した一方で、親会社株主に帰属する当期純損失1億24百万円の計上や配当金1億16百万円の支払いにより利益剰余金が2億41百万円減少したこと等によるものです。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の34.3%から32.5%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ11億39百万円増加し、33億33百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、減少した資金は11億30百万円(前期は28億76百万円の資金の増加)となりました。
これは主に、首都圏バス用ICカードシステムの更新需要が一巡したこと等に伴う売上高の減少を背景に、税金等調整前当期純利益が29百万円となったことと、売上債権の減少10億86百万円、減価償却費4億55百万円等により、資金が増加したものの、法人税等の支払9億13百万円、仕入債務の減少7億86百万円、未払金の減少3億87百万円、たな卸資産の増加1億87百万円、賞与引当金の減少1億77百万円、未払消費税等の減少1億67百万円等により、資金が減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、減少した資金は4億81百万円(前期は6億85百万円の資金の減少)となりました。
これは主に、建物設備の更新対応をはじめとした有形固定資産の取得による支出3億11百万円、無形固定資産の取得による支出1億69百万円等により、資金が減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、増加した資金は27億47百万円(前期は22億39百万円の資金の減少)となりました。
これは主に、配当金の支払額1億16百万円、長期借入金の返済による支出4億96百万円等により、資金が減少したものの、短期借入金の純増額30億78百万円、長期借入れによる収入4億円等により、資金が増加したことによるものであります。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
2017年3月期2018年3月期2019年3月期2020年3月期2021年3月期
自己資本比率(%)26.824.020.834.332.5
時価ベースの
自己資本比率(%)
72.375.754.137.349.9
キャッシュ・フロー
対有利子負債比率(%)
397.2913.34,566.199.5-
インタレスト・
カバレッジ・レシオ(倍)
29.216.63.179.7-

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注4)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
(注5)2021年3月期については、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスのため、キャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオの表示はしておりません。
(4)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(千円)前年同期比(%)
輸送機器事業6,449,08652.8
産業機器事業(エネルギーマネジメントシステム事業)4,775,31591.5
合計11,224,40164.4

(注)1 金額は、製造原価によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高
(千円)
前年同期比
(%)
受注残高
(千円)
前年同期比
(%)
輸送機器事業10,061,19658.13,837,55092.0
産業機器事業
(エネルギーマネジメントシステム事業)
5,043,30183.1609,68089.0
合計15,104,49764.64,447,23091.6

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(千円)前年同期比(%)
輸送機器事業10,393,18951.5
内 バス市場向け7,471,53244.2
内 鉄道市場向け1,905,40488.2
内 自動車市場向け1,016,25390.6
産業機器事業
(エネルギーマネジメントシステム事業)
5,118,65087.7
その他41,79796.3
合計15,553,63659.7

(注)1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。

(5)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の「(1) 経営成績の状況」に記載しております。
③資本の財源及び資金の流動性
当社グループにおきましては、原材料の仕入や製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用に係る運転資金のほか、製品の競争力強化と事業の拡充・発展を目的とした研究開発投資、設備投資等に主たる資金需要が生じます。当社グループは、これらの資金需要に対して営業活動によるキャッシュ・フローで得られる自己資金並びに金融機関からの借入により充当しております。なお、営業活動によって得られた資金は、上記のとおり、運転資金及び設備等に充当するほか、継続的かつ安定的な株主還元に努めてまいりたいと考えております。
金融機関からの借入につきましては取引先金融機関と当座貸越契約を締結しており、資金流動性を確保しつつ、効率的かつ機動的な資金調達を可能としております。また、国内連結会社につきましては、キャッシュ・マネジメント・システムを導入し、国内連結子会社の余剰資金を連結親会社に集中させることにより、当社グループの資金効率化を図ると共に、国内連結子会社の資金業務を連結親会社に集中させることにより業務効率化を図っております。なお、新型コロナウイルス感染症に関するリスクに対して、借入契約の拡充を行い、資金流動性を継続的に維持する方針であります。