有価証券報告書-第70期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

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2022/06/22 9:29
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143項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナワクチンの接種が進み、移動制限の解除や経済活動の正常化に向けた兆しがみられた一方、変異株の出現による感染再拡大が懸念され、依然として収束の見通しは立っておりません。また、半導体不足や世界的な物流の混乱などに起因する部材の調達難の影響もあり、先行き不透明な状況が継続しております。
当社グループを取り巻く経営環境においても、主要な取引先であるバス・鉄道業界におきまして、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響がいまなお続いています。感染拡大防止を目的とした人々の移動の制限が続くだけでなく、新しい生活様式の広がりにより、バス・鉄道の乗車人員は減少しています。
このような経営環境のなか、当社グループにおきましては、2021年4月よりスタートいたしました長期ビジョン「VISION2030」と長期ビジョンのアクションプランとして策定した中期経営計画「CN2023(Challenge to the Next stage 2023)」の実現に向けた取り組みを進めております。
中期経営計画「CN2023」では、重点課題である①「モノ+コトへの新たな事業展開」、②「MaaS、スマートシティに向けた新しい価値の提供」、③「海外・国内ビジネスの新たな融合と広がり」、④「事業構造の転換に向けた業務プロセスの抜本的変革」、⑤「育成分野への経営資源のスムーズな移行」の5つの課題に向けた取組に注力しております。
新型コロナウイルスの影響により、業界全体の設備投資マインドは落ち込んではいるものの、公共交通や物流などの生活を支える社会インフラの役割を果たすために必要な設備投資は継続されています。このような安全・安心な暮らしを支えるための需要を確実に取り込むことに加え、原価低減活動等により、収益改善に向けた取組を行っています。
(1)経営成績の状況
当連結会計年度の連結業績は、次のとおりとなりました。
2021年3月期2022年3月期前期比
増減額
前期比
増減率
売上高155億53百万円140億75百万円△14億77百万円△9.5%
売上総利益33億3百万円39億54百万円6億50百万円19.7%
営業損益△40百万円1億49百万円1億89百万円-
経常利益35百万円3億25百万円2億89百万円9.0倍
親会社株主に帰属する
当期純損益
△1億24百万円53百万円1億77百万円-

①全般概況
〇売上高は、前期比14億77百万円(9.5%)減の140億75百万円となりました。
これは主に、収益認識会計基準の適用による減収の影響額18億41百万円によるものであります。なお、従来基準での比較では前年実績を上回る売上を計上しております。
〇売上総利益は、前期比6億50百万円(19.7%)増の39億54百万円となりました。
これは主に、原価低減や商品構成の変化等により売上原価率が前期比6.9ポイント良化したこと等によるものであります。
〇営業損益は、前期比1億89百万円 増の1億49百万円となりました。
なお、販売費及び一般管理費につきましては、減価償却費、事務委託費、人件費の増加により、前期比4億60百万円増の38億4百万円となりました。
〇経常利益は、前期比2億89百万円(9.0倍)増の3億25百万円となりました。
なお、営業外収益につきましては、為替差益等の計上により前期比99百万円(90.5%)増の2億10百万円となりました。また、営業外費用につきましては、前年から大きな変動はなく、34百万円となりました。
〇親会社株主に帰属する当期純損益は、前期比1億77百万円 増の53百万円となりました。
なお、特別利益につきましては、今期の計上はありませんでした。また、特別損失につきましては、減損損失の増加、投資有価証券評価損の発生等により、前期比10百万円(2.7倍)増の16百万円となりました。
②セグメント別の状況
a.輸送機器事業
当事業の売上高は105億1百万円(前期比1億8百万円増、1.0%増)、営業利益は3億79百万円(前期比3億61百万円増、20.6倍)となりました。
市場別の売上高は、バス市場が74億58百万円(前期比13百万円減、0.2%減)、鉄道市場が20億64百万円(前期比1億58百万円増、8.3%増)、自動車市場が9億79百万円(前期比36百万円減、3.6%減)となりました。
なお、収益認識会計基準の適用による影響額といたしまして、輸送機器事業の売上高が9百万円(バス市場16百万円増加、鉄道市場0.2百万円減少、自動車市場7百万円減少)増加し、営業利益が11百万円増加しています。
バス市場につきましては、新500円硬貨発行に係る運賃収受機器の改造需要が増加したことに加え、北関東から東北、中国地区におけるバス用ICカードシステムの新規導入需要を背景に、運賃箱やICカードリーダライタの売上が増加した一方、前年にあった首都圏向け車載用液晶表示器の大型案件の反動減による影響等により、若干の減収となりました。
鉄道市場につきましては、東南アジア・南アジア向け列車用LED灯具の売上が増加したほか、新500円硬貨発行に係る運賃収受機器の改造需要が増加し、増収となりました。
自動車市場につきましては、新型コロナウイルス感染症等に起因する世界的な部材不足が発生し、自動車メーカーにおいて減産が行われたことにより、トラックの生産台数が低調に推移したため、トラック用LED灯具の売上が減少し、減収となりました。
利益面につきましては、増収効果に加え、原価改善が寄与したことにより増益となりました。
b.産業機器事業(エネルギーマネジメントシステム事業)
当事業の売上高は35億36百万円(前期比15億82百万円減、30.9%減)、営業損失は1億73百万円(前期比1億60百万円減、前期は12百万円の営業損失)となりました。
市場別の売上高は、電源ソリューション市場が20億1百万円(前期比18百万円減、0.9%減)、エコ照明・高電圧ソリューション市場が6億59百万円(前期比1億22百万円増、22.9%増)、EMS市場が8億75百万円(前期比16億86百万円減、65.8%減)となりました。
なお、収益認識会計基準の適用による影響額といたしまして、産業機器事業(エネルギーマネジメントシステム事業)の売上高がEMS市場で18億50百万円減少しておりますが、売上原価も同額減少しており、損益面への影響はございません。
電源ソリューション市場につきましては、バッテリー式フォークリフト用充電器の売上が増加したものの、無停電電源装置の売上が減少し、減収となりました。
エコ照明・高電圧ソリューション市場につきましては、ガソリンスタンド等の店舗看板の更新需要に伴いLED電源の売上が増加し、増収となりました。
EMS市場につきましては、収益認識会計基準の適用による影響(自動車向けプリント基板実装の有償受給取引に係る減収影響)により、減収となりました。なお、会計基準の適用による影響を除くと、対前期比を上回る売上を計上しています。
利益面につきましては、材料市況上昇に伴うコスト高の影響に加え、新型充電器等エネルギーマネジメントシステムに関わる開発コストが増加したことに伴い、損失幅が拡大しました。
c.その他
当事業の売上高は37百万円、営業利益は6百万円となりました。事業の内容は、主としてレシップホールディングス株式会社による不動産賃貸業であります。
(2)財政状態の状況
資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末の総資産は144億49百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億79百万円減少いたしました。主な要因は、現金及び預金が7億6百万円、原材料及び貯蔵品が6億2百万円、繰延税金資産が51百万円増加した一方、売掛金が14億75百万円、未収還付法人税等が3億17百万円、受取手形が1億9百万円、無形固定資産が1億円、建物及び構築物(純額)が54百万円減少したこと等によるものです。
負債は96億74百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億42百万円減少いたしました。主な要因は、未払法人税等が2億70百万円、電子記録債務が1億73百万円、長期借入金が1億26百万円、前受金が1億8百万円、有償支給に係る負債が43百万円、未払金が29百万円、1年内返済予定の長期借入金が20百万円増加した一方で、短期借入金が13億56百万円減少したこと等によるものです。
純資産は47億75百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億37百万円減少いたしました。主な要因は、為替換算調整勘定が1億20百万円減少したこと等によるものです。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の32.5%から33.0%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ7億61百万円増加し、40億94百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期は11億30百万円の支出に対し、23億円の収入となりました。
これは主に、棚卸資産の増加があったものの、法人税等の還付、部材調達難への対応に関連した仕入債務の増加、売掛金の早期回収活動を進めたことによる売上債権の減少、未払金の増加、税金等調整前当期純利益の増加によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期は4億81百万円の支出に対し、前年同期比3億42百万円支出が減少し、1億38百万円の支出となりました。
これは主に、建物設備の更新対応をはじめとした有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出がともに減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期は27億47百万円の収入に対し、14億15百万円の支出となりました。
これは主に、短期借入金の返済によるものであります。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
2018年3月期2019年3月期2020年3月期2021年3月期2022年3月期
自己資本比率(%)24.020.834.332.533.0
時価ベースの
自己資本比率(%)
75.754.137.349.950.5
キャッシュ・フロー
対有利子負債比率(%)
913.34,566.199.5-196.5
インタレスト・
カバレッジ・レシオ(倍)
16.63.179.7-81.3

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注4)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
(注5)2021年3月期については、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスのため、キャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオの表示はしておりません。
(4)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(千円)前年同期比(%)
輸送機器事業5,674,82188.0
産業機器事業
(エネルギーマネジメントシステム事業)
3,309,42269.3
合計8,984,24380.0

(注)1 金額は、製造原価によっております。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高
(千円)
前年同期比
(%)
受注残高
(千円)
前年同期比
(%)
輸送機器事業11,026,242109.64,406,874113.5
産業機器事業
(エネルギーマネジメントシステム事業)
4,220,47283.71,299,965211.1
合計15,246,714100.95,706,839128.3

(注)1 「収益認識に関する会計基準」等を当連結会計年度の期首から適用しており、受注残高の前年同期比については、当該会計基準等を適用した後の期首の受注残高と比較しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(千円)前年同期比(%)
輸送機器事業10,501,893101.1
内 バス市場向け7,458,16499.8
内 鉄道市場向け2,064,013108.3
内 自動車市場向け979,71696.4
産業機器事業
(エネルギーマネジメントシステム事業)
3,536,17469.1
その他37,68890.2
合計14,075,75590.5

(注)1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。

(5)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の「(1) 経営成績の状況」に記載しております。
③資本の財源及び資金の流動性
当社グループにおきましては、原材料の仕入や製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用に係る運転資金のほか、製品の競争力強化と事業の拡充・発展を目的とした研究開発投資、設備投資等に主たる資金需要が生じます。当社グループは、これらの資金需要に対して営業活動によるキャッシュ・フローで得られる自己資金並びに金融機関からの借入により充当しております。なお、営業活動によって得られた資金は、上記のとおり、運転資金及び設備等に充当するほか、継続的かつ安定的な株主還元に努めてまいりたいと考えております。
金融機関からの借入につきましては取引先金融機関と当座貸越契約を締結しており、資金流動性を確保しつつ、効率的かつ機動的な資金調達を可能としております。また、国内連結会社につきましては、キャッシュ・マネジメント・システムを導入し、国内連結子会社の余剰資金を連結親会社に集中させることにより、当社グループの資金効率化を図ると共に、国内連結子会社の資金業務を連結親会社に集中させることにより業務効率化を図っております。なお、新型コロナウイルス感染症に関するリスクに対して、借入契約の拡充を行い、資金流動性を継続的に維持する方針であります。