有価証券報告書-第66期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/22 16:53
【資料】
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【項目】
114項目
(1)業績等の概要
① 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、自動車や電子部品を中心とした輸出の拡大に加え、国内においても企業の設備投資の増加や個人消費の回復により、緩やかな回復基調で推移いたしました。
そのような中、当社グループにおきましては、現在の中期経営計画(CA2020)で策定した成長戦略に沿って、短期的な収益の確保と、中長期視点での先行投資を並行して進めました。とりわけ輸送機器事業については、この2019年3月期より始まる首都圏のバス用ICカードシステムの更新に関わる代替需要を確実に収益に繋げるべく、案件別のプロジェクト管理の強化や生産台数の増加をこなすための生産性向上に努めました。また短期的な売上の上積みを図るべく、主に車載用表示機器の拡販に努めました。他方、持続的な成長に向けて、当社グループにとって新しい分野であるTMS(Transit Management System:運行管理システム)分野と、新しい市場である海外事業への先行投資を積極的に進めており、特に海外については拠点のある米国、シンガポール、欧州の各市場向けの新製品開発や新たな案件の獲得に向けて、多くの経営資源を投入しました。
その結果、売上高は前期比7.3%減の157億49百万円、営業損失は2億35百万円(前期は4億83百万円の営業利益)、経常損失は2億48百万円(前期は3億54百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は4億54百万円(前期は50百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
セグメント別の状況は以下のとおりです。
a.輸送機器事業
当事業の売上高は107億85百万円(前年同期比7.6%減)、営業損失は2億67百万円(前期は2億26百万円の営業利益)となりました。
市場別の売上高は、バス市場が79億8百万円(前年同期比14.8%減)、鉄道市場が17億97百万円(前年同期比23.5%増)、自動車市場は10億80百万円(前年同期比14.9%増)となりました。
バス市場向け製品は、国内においては需要の端境期にあることや、数年前より回復基調にあった路線・観光バスの生産台数がピークアウトしたことにより、減収となりました。また海外においても、特に注力しております北米市場において、2018年3月にローグバレイ交通局(オレゴン州)へのシステム納入を完了するなど着実に納入実績を積み上げておりますものの、売上面においては減収となりました。
鉄道市場向け製品は、国内において列車用灯具が引き続き好調に推移したことに加え、海外において北米向け列車用灯具の現地生産が本格化したことから、増収となりました。
自動車市場向け製品は、LED灯具の売上増加により増収となりました。トラックメーカー各社のモデルチェンジに伴う一台あたりの搭載灯数の増加、並びにトラック架装メーカー各社の生産が高水準で推移していることによるものです。
一方、損益面につきましては、減収による影響に加え、首都圏のバス用ICカードシステムの更新に向けた準備や、海外向け新製品開発のための費用増により、赤字での着地となりました。
b.産業機器事業
当事業の売上高は、49億19百万円(前年同期比6.6%減)、営業利益は75百万円(前年同期比76.0%減)となりました。
市場別の売上高は、電源ソリューション市場が22億49百万円(前年同期比21.7%減)、エコ照明・高電圧市場が7億16百万円(前年同期比9.2%増)、EMS市場が19億54百万円(前年同期比12.5%増)となりました。
電源ソリューション市場向け製品は、バッテリー式フォークリフト用充電器等の売上増がありましたものの、2015年3月期以降に増加しておりました通信基地局向け無停電電源装置の需要が一巡したことから減収となりました。
エコ照明・高電圧ソリューション市場向け製品は、LED電源等のエコ照明製品が引き続き堅調に推移したことから、増収となりました。
EMS市場向け製品は、自動車向け基板、産業機器向け基板ともに好調に推移したことから、増収となりました。
損益面につきましては、商品構成の変化による原価率の上昇及び、過去に納入済みの通信基地局向け無停電電源装置の限定的な改修の影響により減益となりました。
c.その他
当事業の売上高は43百万円、営業利益は6百万円となりました。事業の内容は、主としてレシップホールディングス株式会社による不動産賃貸による収益です。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ19百万円減少の14億83百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は4億87百万円となりました。
これは主に、売上債権の減少(9億3百万円)、減価償却費(4億73百万円)があった一方、たな卸資産の増加額(3億97百万円)、税金等調整前当期純損失(2億53百万円)、法人税等の支払額(2億60百万円)があったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、3億26百万円となりました。
これは主に、有形固定資産の取得(2億27百万円)、無形固定資産の取得(1億12百万円)があったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、1億87百万円となりました。
これは主に、長期借入れによる収入(7億円)があった一方、長期借入金の返済による支出(5億95百万円)、短期借入金の純減額(2億9百万円)、及び配当金の支払(92百万円)があったこと等によるものです。
(2)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(千円)前年同期比(%)
輸送機器事業6,571,54187.8%
産業機器事業4,168,81797.2%
合計10,740,35891.2%

(注)1 金額は、製造原価によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高
(千円)
前年同期比
(%)
受注残高
(千円)
前年同期比
(%)
輸送機器事業11,395,040103.52,095,265141.0
産業機器事業4,960,00299.2603,804107.1
合計16,355,042102.22,699,069131.7

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(千円)前年同期比(%)
輸送機器事業10,785,43592.4
内 バス市場向け7,908,33985.2
内 鉄道市場向け1,797,071123.5
内 自動車市場向け1,080,025114.9
産業機器事業4,919,94493.4
その他43,75499.8
合計15,749,13492.7

(注)1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上 の相手先がないため、記載を省略しております。
(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
第66期連結会計年度(自2017年4月1日 至2018年3月31日)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末の総資産は125億2百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億46百万円減少いたしました。流動資産は97億67百万円となり、5億29百万円減少いたしました。主な要因は、原材料及び貯蔵品が2億85百万円増加したものの、受取手形及び売掛金が9億円減少したこと等によるものです。固定資産は27億35百万円となり、17百万円減少いたしました。有形固定資産は14億15百万円となり、23百万円増加いたしました。無形固定資産は4億80百万円となり、前連結会計年度に比べ1億19百万円減少いたしました。投資その他の資産は8億40百万円となり、78百万円増加いたしました。
負債合計は95億16百万円となり、前連結会計年度末に比べ32百万円減少いたしました。流動負債は83億26百万円となり、87百万円減少いたしました。主な要因は、支払手形及び買掛金が1億73百万円、1年内返済予定の長期借入金が1億22百万円それぞれ増加したものの、電子記録債務が4億16百万円減少したこと等によるものです。固定負債は11億89百万円となり、54百万円増加いたしました。
純資産は29億85百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億13百万円減少いたしました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純損失を4億54百万円計上したこと等によるものです。
② 経営成績の状況
当連結会計年度の経営成績の状況については、第2「事業の状況」3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1)「業績等の概要」① 業績に記載したとおりであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、運転資金及び設備資金を自己資金並びに金融機関からの借入により充当しております。金融機関からの借入につきましては取引先金融機関と当座貸越契約を締結しており、資金流動性を確保しつつ、効率的かつ機動的な資金調達を可能としております。また、国内連結会社につきましては、キャッシュ・マネジメント・システムを導入し、国内連結子会社の余剰資金を連結親会社に集中させることにより、当社グループの資金効率化を図ると共に、国内連結子会社の資金業務を連結親会社に集中させることにより業務効率化を図っております。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、第2「事業の状況」3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1)「業績等の概要」② キャッシュ・フローの状況に記載したとおりであります。