有価証券報告書-第201期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

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2018/06/22 14:14
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【項目】
155項目
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は,緩やかな輸出の拡大を背景とした堅調な企業業績と家計の所得改善に支えられ,安定的に推移しました。世界経済も,米国の着実な成長と構造的な課題を抱えていた中国の持ち直しなど,総じて緩やかな拡大基調が続きました。一方政治面では,中東などにおける地政学リスクの高まりや,米国の貿易政策の転換など,不安定な状況が続きました。
このような事業環境下において,当社グループの当連結会計年度の受注高は前期比8.3%増の1兆5,050億円となりました。また,売上高は7.0%増の1兆5,903億円となりました。
損益面では,営業利益は,プロセスプラントで採算が悪化したものの,前期にあったF-LNG・海洋構造物やボイラにおける採算悪化が解消したことや,民間向け航空エンジンの採算改善及びボイラ,車両過給機での増収による増益などにより,248億円増益の722億円となりました。経常利益は,持分法による投資損失が悪化したことなどにより,概ね前期並みの214億円にとどまりました。親会社株主に帰属する当期純利益は,30億円増益の82億円となりました。
持分法による投資損失の悪化については,当社の関連会社であるJMUにおいて,同社が建造しているLNG船の防熱工事の工程遅延などを受けて,建造工程やコストの見直しを行ないました。また,為替相場変動による外貨建て工事の採算悪化や繰延税金資産の取崩しなどにより,同社に対する投資損失320億円を計上しました。
なお,当連結会計年度においても,一部の海外連結子会社の決算日を12月31日から3月31日に変更しており,該当する連結子会社の会計期間が15か月となっています。この影響により,売上高で579億円,営業利益で14億円(前連結会計年度では,売上高で252億円,営業利益で27億円)がそれぞれ増加しています。
当連結会計年度の報告セグメント別の業績は以下のとおりとなりました。
(単位:億円)
報告セグメント受注高前連結会計年度当連結会計年度前年度比
前連結
会計年度
当連結
会計年度
前年度比
増減率
(%)
(28.4~29.3)(29.4~30.3)増減率(%)
売上高営業
損益
売上高営業
損益
売上高営業
損益
資源・
エネルギー・
環境
3,5283,7807.14,273△1064,904△14814.8-
社会基盤・海洋1,5011,6399.21,577△1201,545139△2.1-
産業システム・
汎用機械
4,2054,74012.74,1161754,59018911.57.8
航空・宇宙・防衛4,5154,6382.74,7195304,637601△1.813.4
報告セグメント 計13,75014,7997.614,68747815,6777816.763.4
その他6837418.47512573527△2.16.7
調整額△535△490-△575△30△509△86--
合計13,89815,0508.314,86347315,9037227.052.5

⦅資源・エネルギー・環境⦆
ボイラでは,国内外において環境配慮規制の強化により石炭火力発電の需要が減少する一方で,高効率・環境配慮型設備に対する需要が見込まれます。プロセスプラント(LNG関連貯蔵設備)の需要は,全世界的な環境規制対応への関心の高まりにより,中長期的には堅調に推移することが予想されますが,足元では厳しい価格競争が続いている状況にあります。
このような事業環境のもと,受注高は,原子力やプロセスプラントにおいて減少したものの,ボイラにおいてバングラデシュ向け案件を受注したことなどにより,増加しました。
売上高は,プロセスプラントにおいて大型プロジェクトが進捗したことや,ボイラの増収により,増収となりました。
営業損益は,ボイラにおいて前期の採算悪化の影響が解消し,当期に増収の効果はあったものの,プロセスプラントの採算悪化により,赤字幅が拡大しました。
この事業領域では,未活用エネルギー資源の有効活用を進めるとともに,再生可能エネルギーや低炭素推進型社会に向けたシステム提案の取組みを進めていきます。
⦅社会基盤・海洋⦆
国内においては,橋梁・水門では長期的に道路・トンネルなどの新設工事は減少していくものの,橋梁の老朽化対策としての更新・修繕工事や保全工事等の需要が増加すると予想されます。シールドシステムやコンクリート建材では,リニア中央新幹線などの発注により,大型工事の需要が期待されます。また,海外においては,東南アジアを中心にインフラ投資が活発化しており,需要の拡大が期待されます。
このような事業環境のもと,受注高は,シールドシステムにおいて減少したものの,橋梁・水門でルーマニアブレイラ橋やムンバイ湾横断道路橋を受注したことにより,増加しました。
売上高は,シールドシステムにおいて事業統合の効果や工事進捗に伴う増収があったものの,F-LNG・海洋構造物や交通システムの減少により,減収となりました。
営業損益は,前期に計上したF-LNG・海洋構造物の赤字が解消したことなどにより,営業黒字となりました。
この事業領域では,IoTの活用による設備の維持管理サービスの省人化や,インフラの長寿命化等の保全需要へ取組んでまいります。また,海外市場における需要増加への対応を進めており,平成30年5月に,当社は橋梁・水門事業を行なう連結子会社である株式会社IHIインフラシステムとともに,イタリアの大手建設会社Astaldi S.p.Aとの間でグローバル・パートナーシップ契約を締結しました。これにより,戦略的パートナーとしての関係を構築し,世界のインフラ市場における競争力を一層強化していきます。
⦅産業システム・汎用機械⦆
車両過給機では,世界的な環境規制の強化に伴って自動車のEV化への流れは加速しており,その対応が急務となっていますが,当面は恒常的な燃費効率の追求を背景に市場は堅調に推移しています。熱・表面処理は,世界的な自動車生産台数の増加により,安定した成長が期待されます。物流・産業システムでは,国内外において省力化に伴う設備投資が拡大基調にあり,需要増加が見込まれます。
このような事業環境のもと,受注高は,車両過給機や熱・表面処理において増加しました。
売上高は,車両過給機の中国向け販売台数が増加したことなどにより,増収となりました。
営業利益は,車両過給機の中国向け販売台数が増加したことなどによる増収の影響により,増益となりました。
この事業領域では,生産設備の改善や効率的な物流網の構築など,お客さまの置かれた環境の変化に迅速に対応した高度な製品・サービスをIoTも活用しつつ提供することで,収益性の向上を図ります。
⦅航空・宇宙・防衛⦆
民間向け航空エンジンでは,引き続き航空需要の伸びが堅調に推移しており,高効率・低燃費の新型エンジンへの期待が高まっています。また,運航機数の増加によるアフターマーケットの安定的な成長も見込まれます。
このような事業環境のもと,受注高は,防衛機器システムや,前期に一括受注があった防衛省向け航空エンジンにおいて減少したものの,民間向け航空エンジンにおいて増加しました。
売上高は,民間向け航空エンジンにおいて,販売台数が減少したことにより,減収となりました。
営業利益は,新型のPW1100Gエンジンの販売増加による影響や販管費の増加はあったものの,民間向け航空エンジンのスペアパーツの増加や為替の好転などにより,増益となりました。
この事業領域では,今後量産初期のPW1100Gエンジンのコストダウンを計画的に進めるとともに,新素材や革新的な生産技術の開発を推進し,独自技術の確立による差別化を図っていきます。
なお,当社グループがプログラムに参画しているPW1100G-JMエンジン(エアバス社のA320neoに搭載)の一部の部品について,平成29年半ばに耐久性向上のための設計変更が実施されました。同年12月より当該設計変更を反映したエンジンがエアバス社に納入されましたが,納入したエンジンのうち4台のエンジンにおいて,期待どおりの効果が出ていないことが平成30年1月末から2月初旬にかけて確認されました。既に影響のあるエンジンは特定されており,補修等の対応を実施しております。また,本年4月よりPW1100G-JMエンジンを搭載した機体のお客さまへの引き渡しも再開されています。
当該部品問題による補修等の費用が当社グループの業績に与える影響は軽微です。
なお,文中の将来に関する事項は,当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
b.資産及び負債,純資産の状況
当連結会計年度末における総資産は1兆6,336億円となり,前連結会計年度末と比較して591億円減少しました。主な減少項目は,前渡金などの流動資産その他で354億円です。
負債は1兆2,834億円となり,前連結会計年度末と比較して717億円減少しました。主な増加項目は,支払手形及び買掛金で189億円,主な減少項目は,前受金で310億円,受注工事損失引当金で100億円です。また,当連結会計年度末の有利子負債残高はリース債務を含めて3,222億円であり,前連結会計年度末と比較して496億円減少しています。
純資産は3,502億円となり,前連結会計年度末と比較して125億円増加しました。これには,親会社株主に帰属する当期純利益82億円,剰余金の配当による減少46億円,非支配株主持分の増加62億円が含まれています。
以上の結果,1株当たり純資産額は,前連結会計年度末と比較して42円89銭減少して,2,103円22銭となり,自己資本比率は,前連結会計年度末の18.8%から19.9%となりました。
(注)当社は,平成29年10月1日付で普通株式10株につき1株の割合で株式併合を実施しています。なお,前連結
会計年度の期首に当該株式併合が行なわれたと仮定し,1株当たり純資産を算定して比較しています。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下,「資金」という。)の残高は,前連結会計年度末と比較して85億円減少し,1,073億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は990億円(前連結会計年度は653億円の獲得)となりました。これは主に,減価償却費や持分法による投資損失など資金流出を伴わない費用の影響を除いた利益の獲得によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用された資金は479億円(前連結会計年度は289億円の使用)となりました。これは主に,有形及び無形固定資産の取得による支出594億円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用された資金は573億円(前連結会計年度は219億円の使用)となりました。これは主に,有利子負債の返済や配当金の支払いによるものです。
(注)この項に記載の金額は単位未満を切捨て表示し,比率は四捨五入表示しています。
③生産,受注及び販売の状況
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと,次のとおりです。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
資源・エネルギー・環境483,70811.2
社会基盤・海洋145,058△2.0
産業システム・汎用機械456,49414.2
航空・宇宙・防衛437,385△1.3
報告セグメント 計1,522,6456.8
その他63,218△5.4
合計1,585,8636.2

(注)1 金額は販売価格によっており,セグメント間の取引については相殺消去しています。
2 上記の金額には,消費税等は含まれていません。
3 金額及び比率は単位未満を四捨五入表示しています。
b.受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと,次のとおりです。
セグメントの名称受注高
(百万円)
前期比(%)期末受注残高
(百万円)
前期末比(%)
資源・エネルギー・環境378,0707.1648,555△13.8
社会基盤・海洋163,9939.2206,1165.1
産業システム・汎用機械474,01212.7161,0238.5
航空・宇宙・防衛463,8322.7533,0384.3
報告セグメント 計1,479,9077.61,548,732△3.7
その他74,1558.418,4426.9
調整額△49,052---
合計1,505,0108.31,567,174△3.6

(注)1 各セグメントの受注高は,セグメント間の取引を含んでおり,調整額でセグメント間取引の合計額を消去しています。
2 各セグメントの受注残高は,セグメント間の取引については相殺消去しています。
3 消費税等は含まれていません。
4 金額及び比率は単位未満を四捨五入表示しています。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと,次のとおりです。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
資源・エネルギー・環境490,48214.8
社会基盤・海洋154,543△2.1
産業システム・汎用機械459,01211.5
航空・宇宙・防衛463,729△1.8
報告セグメント 計1,567,7666.7
その他73,522△2.1
調整額△50,955-
合計1,590,3337.0

(注)1 各セグメントの売上高は,セグメント間の取引を含んでおり,調整額でセグメント間取引の合計額を消去しています。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりです。
相手先前連結会計年度当連結会計年度
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
一般財団法人
日本航空機エンジン協会
179,51212.1161,25810.1

3 販売実績は売上高をもって示します。ただし,消費税等は含まれていません。
4 金額及び比率は単位未満を四捨五入表示しています。
(2)経営者による財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は,わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。連結財務諸表の作成にあたり,連結貸借対照表上の資産,負債の計上額,及び連結損益計算書上の収益,費用の計上額に影響を与える判断,見積りを行なう必要があります。当社グループの重要な会計方針のうち,判断,見積りを行なう割合が高いものは,貸倒引当金,受注工事損失引当金などの各引当金の計上,退職給付債務の算定,繰延税金資産の回収可能性の判断などがあります。これらの判断,見積りについては合理的な方法により算定していますが,見積り特有の不確実性が存在するため,将来において認識される業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。これらのうち,重要なものについては,第2「事業の状況」の2「事業等のリスク」に記載しています。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループ及びセグメントごとの経営成績の状況は(1)経営成績等の状況の概要の①財政状態及び経営成績の状況に記載のとおりです。
前連結会計年度にあったF-LNG・海洋構造物やボイラにおける採算悪化が解消したことや,民間向け航空エンジンの採算改善及びボイラ,車両過給機での増収による増益などにより,全体として増益となった一方で,前連結会計年度に引き続き,進行中の大型プロジェクトにおいて採算悪化があったことから,プロジェクト遂行体制及びリスクマネジメント体制の強化は継続的な課題と認識しています。
強靭なプロジェクト遂行体制・リスクマネジメント体制に変えていくため,分散していた審査・モニタリング機能を集約し,大型受注工事・大型投資のリスク潰しこみに注力しておりますが,引き続き,下振れを撲滅するよう取り組みを徹底してまいります。
また,JMUに対して多額の持分法投資損失を計上したことから,関連会社も含めたガバナンス強化を徹底するとともに,強固な収益基盤の再構築を進めます。
これらの課題への取り組みのほか,持続的な成長と企業価値向上の実現のため,各事業領域において収益基盤を継続して強化していくことが必要であると認識しています。平成29年度において,事業構造改革・再生再編の進捗もあり,IoTの活用などの新たな取り組みも進めています。これらが確実に成果として現れるよう,新たなポートフォリオマネジメントによる集中と選択を加速させつつ,お客様価値創造に向けて,ライフサイクル全般にわたるサービスの提供を視野に入れ,事業環境の変化に則したビジネスモデルの変革とグローバル展開を進めていきます。
③資本の財源及び資金の流動性についての分析
(1)経営成績等の状況の概要の①財政状態及び経営成績の状況に記載のとおり,当連結会計年度末の有利子負債残高はリース債務を含めて3,222億円であり,前連結会計年度末と比較して496億円減少しています。
これは,運転資金・設備資金については,営業キャッシュ・フローを中心とする自己資金で賄い,併せて財務基盤強化の観点から「グループ経営方針2016」に掲げるデット・エクイティ・レシオ目標達成に向けて有利子負債の削減に取り組んだことによるものです。
また,当連結会計年度末の現金及び現金同等物は1,073億円であり,主要銀行とのコミットメントライン契約や当座貸越枠,コマーシャル・ペーパーなど多様な調達手段とあわせて,十分な流動性を確保しています。
(注)この項に記載の金額は単位未満を切捨て表示しています。

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