四半期報告書-第160期第3四半期(令和2年10月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/02/12 10:53
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【項目】
39項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間(2020年4月1日~12月31日)における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、厳しい状況となりました。2020年2月頃から各国で始まった感染症対策のための活動制限が解除された5月以降、経済活動は回復に向かいましたが、その後、世界の多くの国や地域で感染症拡大の第2波、第3波が発生し、各国では感染抑制と経済活動継続の両立の試行錯誤が繰り返されてきました。米国では6月以降、経済は回復の動きが続いていますが、感染症の再拡大により個人消費や雇用環境の改善の動きには一服感が見られます。欧州でも5月以降経済活動が再開され緩やかな景気回復が続いていましたが、クリスマス前の第2波や変異ウイルスの発見により英国、フランス、ドイツなどで再びロックダウンが実施されるなど経済活動の規制が強化されました。2020年3月頃には新型コロナウイルス感染症が収束した中国の景気は順調に回復し、10月以降も引き続き経済対策や外需の回復が景気回復を下支えしました。その他のアジアでは、感染症が抑制されている台湾で内需、外需ともに回復が継続するなど、多くの国で景気が持ち直していましたが、10月以降に活動制限が再強化されたマレーシアなど一部の国では景気が悪化しました。
わが国の経済も4月に発令された緊急事態宣言に伴い、デパートや小売店舗など多くの商業施設が閉鎖されたことから急速に縮小いたしましたが、緊急事態宣言の解除後は感染拡大防止に配慮しつつ経済活動の再開が進められ景気は緩やかに回復してきました。しかしながら、第3波の発生により景気悪化の懸念が高まり力強い回復には至りませんでした。
(百万円)
2020年3月期
第3四半期累計期間
2021年3月期
第3四半期累計期間
増減%
売上高184,728145,998△38,730△21.0%
営業利益8,115692△7,422△91.5%
%4.4%0.5%--
経常利益9,357△878△10,235-
%5.1%---
親会社株主に帰属する
四半期純利益
6,3752,297△4,077△64.0%
%3.5%1.6%--
換算レート
USD(円)108.7106.1△2.6△2.4%
EUR(円)121.0122.41.41.2%


このような状況の中、当社の業績も前期から続いていたロックダウンや緊急事態宣言などが解除された6月以降、徐々に回復いたしましたが、世界的な移動制限によるインバウンド需要が消失したことに加え、感染症拡大の第2波、第3波に伴うたびたびの活動制限により、ウオッチ事業、クロック事業、和光事業などの売上高が伸び悩みました。一方、システムソリューション事業は、事業の多角化やストックビジネス拡大の取組みを進めてきたことが功を奏し、堅調に推移いたしました。その結果、当社グループの当第3四半期連結累計期間の売上高は、1,459億円(前年同期比21.0%減)となりました。
連結全体の国内売上高は811億円(同23.1%減)、海外売上高は648億円(同18.1%減)となり、海外売上高割合は44.4%でした。
第7次中期経営計画の方針に大きな変更はないものの、成長に向けた投資については、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う環境の変化により、投資の時期や方法について見直しを行ったことから、当第3四半期連結累計期間の広告宣伝販促費は前年同期から約18%減少いたしました。その他の経費も売上高減少に伴う削減や、主に第1四半期に発生した休業時固定費の特別損失への振替えなどにより前年同期から減少いたしました。10月から12月までの当第3四半期連結会計期間の営業利益は22億円と、第1四半期連結会計期間(4月から6月)の営業損失21億円、第2四半期連結会計期間(7月から9月)の営業利益6億円から大きく改善いたしました。これにより当第3四半期連結累計期間でも営業利益は6億円(同91.5%減)となりました。営業外収支は、持分法適用関連会社であった半導体事業会社の株式譲渡や持分法適用関連会社の業績悪化などにより持分法による投資利益が減少したことで前年同期から悪化し、経常利益は前年同期を102億円下回る経常損失8億円(前年同期は経常利益93億円)となりました。半導体事業会社の株式譲渡益76億円、固定資産売却益5億円および補助金収入6億円を特別利益に、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う損失33億円を特別損失に計上し、法人税等および非支配株主に帰属する四半期純利益を控除した結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は22億円(同64.0%減)となりました。
なお、当第3四半期連結累計期間の平均為替レートは1米ドル106.1円、1ユーロ122.4円でした。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
ウオッチ事業
ウオッチ事業の売上高は前年同期比309億円減少の770億円(前年同期比28.7%減)となりました。
国内の完成品ウオッチでは4月から5月までの2か月間、緊急事態宣言に伴い小売店舗、商業施設が閉鎖されたことやインバウンド需要が消失したことなどにより売上高は大きく減少いたしました。緊急事態宣言が解除された6月以降は、新型コロナウイルス感染症の影響の少ない地方から徐々に売上高は回復し、9月には消費増税前の駆け込み需要の影響が含まれている前年同月の売上高は大きく下回ったものの、前々年9月の売上高に対してはインバウンド需要を除いて概ね同水準まで回復いたしました。11月になると感染症の第3波が発生し、回復は足踏み状態となりました。ブランド別には4月から12月までの9か月累計売上高は全ブランドで前年同期に届きませんでしたが、10月から12月の第3四半期3か月間では、誕生60周年記念モデルが牽引した「グランドセイコー」や、セイコーダイバーズウオッチ55周年となる「セイコー プロスペックス」の売上高が前年同期を上回りました。流通別には首都圏を中心に展開している量販店が新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受け、厳しい結果となりましたが、Eコマースは堅調に推移しました。
海外の完成品ウオッチでも、世界各地で前期の第4四半期から継続したロックダウンなどの影響により6月頃までは売上高が伸び悩みましたが、7月以降は多くの国や地域で売上高は回復に向かい、10月から12月の3か月間の売上高はすべての月で前年同期を上回りました。米国でも、7月以降オンラインを使用した販促活動に加え、実店舗での活動を再開し売上高は堅調に回復しました。中でも「グランドセイコー」や「セイコー プロスペックス」は記念モデルを中心に好調に売上高を伸ばし、米国全体の売上高を牽引しました。欧州では、11月頃から新型コロナウイルス感染症の第3波によりいくつかの都市で再びロックダウンが行われる中、英国など一部の国で普及価格帯ウオッチの回復に遅れが見られるものの、「セイコー プロスペックス」や「グランドセイコー」を中心とするグローバルブランドは順調に売上を伸ばし、多くの国で10月から12月の3か月間の売上高が前年同期を上回りました。中国では、引き続きEコマースが順調に推移しました。さらに、グランドセイコーブティックを含めた実店舗での「グランドセイコー」の売上拡大も貢献し、7月以降の売上高はすべての月で前年同月を上回りました。9月に台北にグランドセイコーブティックをオープンした台湾や、タイの第3四半期3か月間は「グランドセイコー」や「セイコー プロスペックス」を中心に売上を伸ばしたほか、10月以降も一部の都市でロックダウンが行われたオーストラリアでもデジタル施策を強化したことなどが奏功し、第2四半期に続き第3四半期の売上高も前年同期から伸長しました。海外全体のグローバルブランドの売上高は「グランドセイコー」を中心に各国で順調に推移した結果、当第3四半期連結累計期間で前年同期を上回りました。
ウオッチムーブメントの外販ビジネスにつきましては、長引くファッションウオッチ市場の冷え込みに加え、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でアナログクオーツムーブメントの需要は低迷が続きました。また、メカニカルムーブメントでも第1四半期に政府の要請により製造活動の一部が制限を受けたことなどにより、売上高は伸び悩みました。
外部環境に合わせた投資の見直しや売上高減少に伴う削減などにより費用は前年同期を下回りましたが、営業利益は前年同期から66億円減少し40億円(同62.4%減)となりました。
電子デバイス事業
電子デバイス事業は売上高348億円(前年同期比9.4%減)、営業利益16百万円(同97.5%減)となりました。プリンタ関連事業では新型コロナウイルス感染症拡大の影響で小売市場向けビジネスの低調が続いているものの、産業用のインクジェットプリントヘッドについては10月以降回復がみられました。さらに自動車用精密加工部品や半導体製造装置向けの高機能金属などが堅調に推移いたしました。
システムソリューション事業
システムソリューション事業の売上高は前年同期比12億円増加の251億円(前年同期比5.1%増)、営業利益は前年同期比3億円増加の25億円(同16.1%増)となりました。モバイル通信機器や外食産業向けソリューションなど新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた事業があったものの、4月に株式会社コスモが子会社となったことに加え、キャッシュレス関連ビジネスやアプリケーション性能管理ソフトなどの売上が伸長し、収益性の改善も進みました。
その他
その他の売上高は173億円(前年同期比22.8%減)、営業損失は4億円(前年同期は営業利益1億円)となりました。新型コロナウイルス感染症拡大による国内での緊急事態宣言を受け約2か月間店舗を閉鎖した和光事業や、デパートや量販店など販売流通の多くが閉鎖されたクロック事業では第1四半期の売上高が大きく落ち込みました。緊急事態宣言が解除された6月以降ビジネスは回復しましたが、11月頃から国内で感染症拡大の第3波が発生した影響もあり、前年同期の売上高を下回りました。
(資産)
当第3四半期連結会計期間末の総資産は3,204億円となり、前年度末に比べて204億円の増加となりました。流動資産では、たな卸資産が46億円、現金及び預金が110億円、受取手形及び売掛金が5億円増加した一方、未収入金が19億円減少したことなどにより、流動資産合計は前年度末より148億円増加し1,529億円となりました。固定資産では、有形固定資産が92億円増加し、無形固定資産が63百万円、投資その他の資産が35億円減少したことから、固定資産合計は前年度末と比べ56億円増加の1,674億円となりました。
(負債)
負債につきましては、短期借入金が251億円増加し、1年内返済予定の長期借入金は前年度末と概ね同水準、長期借入金は49億円減少した結果、借入金合計は1,298億円となりました。米国で第1四半期連結会計期間よりASU第2016-02「リース」を適用したことに伴い流動負債が2億円、固定負債が5億円増加したほか、支払手形及び買掛金が5億円、賞与引当金が13億円、未払金が23億円減少したことなどにより、負債合計は前年度末と比べ179億円増加の2,136億円となりました。
(純資産)
純資産につきましては、利益剰余金が3億円、その他有価証券評価差額金が26億円増加した一方、為替換算調整勘定が5億円減少したことから、合計で前年度末と比べ25億円増加の1,067億円となりました。
(2) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社連結全体の研究開発活動の金額は29億円であります。
なお、2020年4月1日付けで、グループ全体の技術開発力のさらなる強化を目指し、研究開発・生産技術開発機能を、連結子会社であるセイコーインスツル株式会社から当社へ移管いたしました。
(3) 従業員の状況
当第3四半期連結累計期間において当社の従業員数は前連結会計年度末から213名増加し、356名となりました。これは、主としてグループ内の組織再編に伴う本社機能の当社への移管によるものであります。
(4) 生産、受注及び販売の実績
販売実績
当第3四半期連結累計期間における販売実績は、新型コロナウイルス感染症の拡大等により前年同期比21.0%減となりました。なお、販売実績については、「第2 事業の状況 2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください
(5) 主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、以下の主要な設備を取得しております。
提出会社
事業所名等
(所在地)
セグメントの名称設備の内容帳簿価額(百万円)
建物及び構築物機械装置及び
運搬具
工具、器具及び備品その他土地
(面積
千㎡)
合計
子会社への賃貸設備
(東京都中央区)
全社土地・建物10--5,999
(0)
6,009

(注)従前より賃借し子会社へ賃貸している設備を取得したものであります。