四半期報告書-第161期第1四半期(令和3年4月1日-令和3年6月30日)

【提出】
2021/08/12 11:19
【資料】
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【項目】
41項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間(2021年4月1日~6月30日)における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が継続しているものの、ワクチン接種などにより回復が見られました。米国では4月から6月の実質GDPの水準はコロナ禍前を上回る水準まで回復し、欧州でも行動制限措置の緩和・解除が進みました。中国経済の成長は継続しており、その他のアジアの国々でも景気の回復基調が続きましたが、一部の国では感染症の再拡大が見られ活動制限が再び強化されました。
わが国の経済は好調な外需が追い風となり製造業では改善が進みましたが、4月に3回目となる緊急事態宣言が発令されたことにより非製造業では本格的な回復には至りませんでした。
(百万円)
2020年3月期
第1四半期
累計期間(a)
2021年3月期
第1四半期
累計期間(b)
2022年3月期
第1四半期
累計期間①
前々年同期
増減
①-(a)
前年同期
増減
①-(b)
売上高58,53935,61254,609△3,93018,996
営業利益2,831△2,1781,512△1,3193,690
%4.8%△6.1%2.8%△2.0pt-
経常利益3,315△2,5951,791△1,5234,387
%5.7%△7.3%3.3%△2.4pt-
親会社株主に帰属する
四半期純利益
2,15394253△2,100△889
%3.7%2.6%0.1%△3.6pt△2.5pt
換算レート
USD(円)109.9107.6109.5△0.41.9
EUR(円)123.5118.6131.98.413.3


このような中、首都圏を中心とした緊急事態宣言などに伴い国内市場向けのウオッチ事業、クロック事業、和光事業などの売上高の回復は力強さを欠きましたが、ウオッチ事業の海外市場向け売上高は「グランドセイコー」や「セイコー プロスペックス」を中心としたグローバルブランド拡大の取組みが順調に進み、大幅に回復しました。さらに電子デバイス事業が前期第4四半期から引き続き好調に推移し売上高を伸ばしました。またシステムソリューション事業の売上高も多角化やストックビジネス拡大が奏功し、前年同期を上回る結果となりました。その結果、当社グループの当第1四半期連結累計期間の売上高は、546億円(前年同期比53.3%増)となりました。
連結全体の国内売上高は283億円(同35.3%増)、海外売上高は262億円(同78.9%増)となり、海外売上高割合は48.1%でした。
当第1四半期連結累計期間の広告宣伝販促費は、新型コロナウイルス感染症拡大により活動が大きく制限されていた前年同期に対して約45%増加いたしましたが、前々年同期に対しては約15%下回る水準となりました。その他の経費も事業活動の回復に伴い前年同期から増加しましたが、売上高が回復したことにより営業利益は前年同期から36億円改善し15億円(前年同期は営業損失21億円)となりました。持分法による投資損益の改善などにより営業外収支が前年同期から改善し、経常利益は前年同期を43億円上回る17億円(前年同期は経常損失25億円)となりました。補助金収入31百万円を特別利益に、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う損失4億円を特別損失に計上し、法人税等および非支配株主に帰属する四半期純利益を控除した結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は53百万円(同94.3%減)となりました。
なお、当第1四半期連結累計期間の平均為替レートは1米ドル109.5円、1ユーロ131.9円でした。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
ウオッチ事業
ウオッチ事業の売上高は前年同期比130億円増加の277億円(前年同期比88.9%増)となりました。
新型コロナウイルス感染症の再拡大などの影響も見られましたが、国内の完成品ウオッチは前年同期から大きく回復いたしました。ブランド別では「グランドセイコー」が前年度に発売した新デザインシリーズ「Series 9」や新製品が順調に推移し、流通別にはすべての流通で活動制限の影響が残ったものの、6月の緊急事態宣言解除後には首都圏を中心に回復に向かいました。
一方、海外では国別には米国や中国が、ブランド別にはグローバルブランドが牽引し、前年同期、前々年同期を上回る売上高となりました。米国では「グランドセイコー」や「プロスペックス」が好調に売上を伸ばしたほか、景気回復に伴い小売店やデパート流通などの中価格帯ウオッチも改善し、新型コロナウイルス感染症の影響がなかった前々年同期を大きく上回る売上高となりました。欧州でも活動制限の緩和に伴い英国、ドイツなどでグローバルブランドを中心に売上高は感染症拡大前を上回る水準まで回復しました。中国では「グランドセイコー」の売上が実店舗とEC共に大きく伸長し、その他のグローバルブランドも順調に推移しました。アジアの一部の国では感染症再拡大の影響が継続しましたが、タイや台湾でも着実な回復が見られたほか、オーストラリアではグローバルブランドを中心に高価格帯から普及価格帯まですべての価格帯で売上高が拡大しました。
ウオッチムーブメントの外販ビジネスにつきましては、各国の景気回復に伴いアナログクオーツムーブメントの需要も回復いたしましたが、メカニカルムーブメントは製造活動の一部が現地政府の要請により制限を受け売上高が伸び悩みました。
事業活動の回復に伴い費用は前年同期から通常水準に戻りましたが、営業利益は前年同期から25億円増加し14億円(前年同期は営業損失11億円)となりました。
電子デバイス事業
電子デバイス事業は売上高157億円(前年同期比46.5%増)、営業利益12億円(前年同期は営業損失39百万円)となりました。部品や材料の不足、価格高騰の影響を受けサーマルプリンタが伸び悩みましたが、医療向け電池や水晶に加え半導体製造装置向けの高機能金属、自動車向けやデーターセンター向けの精密部品、インクジェットプリントヘッドなどが前期からの好調を維持し、売上高、利益共に前年同期から大きく伸長いたしました。
システムソリューション事業
システムソリューション事業の売上高は前年同期比44百万円増加の88億円(前年同期比0.5%増)、営業利益は前年同期比1億円増加の9億円(同13.5%増)となりました。外食産業など、一部コロナ禍の影響を受けましたが、デジタル化の需要を捉えた5G向けネットワーク関連ビジネスや、性能管理・セキュリティ関連ビジネス、IoTビジネスなどが好調に推移し、21四半期連続となる増収増益を継続しました。
タイムクリエーション・和光事業他
タイムクリエーション・和光事業他の売上高は前年同期比16億円増加の55億円(前年同期比44.0%増)、営業損失は1億円(前年同期は営業損失3億円)となりました。前年同期からは大きく回復したものの、度重なる緊急事態宣言等の影響を受け、国内ビジネスが伸び悩みました。
(資産)
当第1四半期連結会計期間末の総資産は3,203億円となり、前年度末に比べて6億円の増加となりました。流動資産では、棚卸資産が36億円増加した一方、現金及び預金が33億円、受取手形、売掛金及び契約資産(前年度末においては受取手形及び売掛金)が28億円減少したことなどにより、流動資産合計は前年度末より8億円減少し1,491億円となりました。固定資産では、有形固定資産が5億円、無形固定資産が3億円減少し、投資その他の資産が23億円増加したことから、固定資産合計は前年度末と比べ15億円増加の1,711億円となりました。
(負債)
負債につきましては、短期借入金が19億円、1年内返済予定の長期借入金が4億円、長期借入金が17億円減少した結果、借入金合計は1,210億円となりました。支払手形及び買掛金が27億円、電子記録債務が11億円増加したほか、未払金が23億円、賞与引当金が14億円減少したことなどにより、流動負債は24億円増加しました。固定負債が14億円減少し、負債合計では前年度末と比べ9億円増加の2,075億円となりました。
(純資産)
純資産につきましては、株主資本が21億円減少しましたが、その他有価証券評価差額金が14億円増加したことから、合計では前年度末から3億円減少の1,127億円となりました。
(2) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社連結全体の研究開発活動の金額は10億円であります。
(3) 生産、受注及び販売の実績
生産及び販売の実績
当第1四半期連結累計期間においては、前期の新型コロナウイルス感染症拡大の影響による落ち込みと比較すると今期の業績は回復しており、生産実績は前年同期比40.5%増、販売実績は前年同期比53.3%増となりました。
なお、販売実績については、「第2 事業の状況 2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。