有価証券報告書-第127期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当期における経済環境は、米国経済は好調な消費により底堅く推移しているものの、長期化する米中貿易摩擦や中国経済の成長鈍化、英国のEU離脱等の影響を受け、世界経済は減速基調で推移しました。
加えて、第4四半期に入り新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、世界各地で実施されたロックダウンの影響を強く受け、また日本国内においても移動自粛等による影響がありました。
このような経済環境にあって当社グループは、『「医・食・住」に関する社会的課題を解決し、豊かな社会づくりに貢献します。』を経営理念に掲げ、持続的な企業価値向上の実現に取り組んでまいりました。
こうした中で、当期の当社グループの[連結]業績は、次のようになりました。
売上高は、ICT自動化施工のOEM向け販売減や、中国・アジアにおけるインフラ需要の回復遅れの影響、また第4四半期での新型コロナウイルス感染拡大の影響により、138,916百万円(前年度と比べ△6.6%の減少)となりました。
利益面では、この売上高の減少や研究開発費等の先行投資、為替の影響等により、営業利益は5,381百万円の利益(前年度と比べ△60.4%の減少)となり、経常利益は2,895百万円(前年度と比べ△74.8%の減少)となりました。これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は935百万円(前年度と比べ△85.7%の減少)となりました。
セグメント毎の業績は、次のとおりであります。
スマートインフラ事業では、米中貿易摩擦や総選挙による需要回復遅れに伴い、中国・アジアを中心に販売が減少したのに加え、第4四半期に入り新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けました。また、第3四半期まで堅調に推移していた国内では、新型コロナウイルス感染防止のため移動自粛が広がる状況下、顧客の需要対応と売上確保に努め一定の成果による改善があったものの、売上高は対前年度減収となる33,398百万円(前年度と比べ△9.1%の減少)となりました。営業利益は、経費低減による改善があったものの売上高減少の影響が響き、5,027百万円の利益(前年度と比べ△21.4%の減少)となりました。
ポジショニング・カンパニーでは、ICT自動化施工のOEM向け販売が減少した一方、アフターマーケット向け販売は堅調に推移しましたが、一番の繁忙期である第4四半期に新型コロナウイルス感染症拡大の影響が直撃し、欧米を中心に営業活動や出荷業務に大きな制約を受けました。この厳しい事業環境下、稼働を止められない建設や農業顧客への製品・サービス提供を最優先に需要対応に努めたものの対前年度では減収となり、売上高は73,989百万円(前年度と比べ△4.8%の減少)となりました。営業利益は、売上が減速する中、販管費の削減に取り組みましたが、研究開発費の先行投資等もあり4,537百万円の利益(前年度と比べ△45.7%の減少)となりました。
アイケア事業では、主にスクリーニングビジネス及び急成長する中国市場の販売強化のため先行投資を行い、順調に販売が拡大しておりましたが、第4四半期に入り新型コロナウイルス感染拡大の影響を強く受け、注力市場の中国で旧正月以降のロックダウンにより事業活動が滞り、それに続き世界各国でも医療機関への営業活動や納品が困難となり、また眼鏡店においても世界的な需要減退と一時的な投資先送りが生じるなど事業機会が急速に縮小しました。この影響により、売上高は44,758百万円(前年度と比べ△6.2%の減少)となりました。営業利益は、売上減少による影響に加え、為替影響やスクリーニングビジネス及び中国事業拡大の先行投資等もあり136百万円の利益(前年度と比べ△95.3%の減少)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年度比(%) |
| スマートインフラ事業 | 26,739 | △11.6 |
| ポジショニング・カンパニー | 57,600 | +2.4 |
| アイケア事業 | 49,517 | +7.1 |
| その他 | 1,198 | △31.6 |
| 合計 | 135,056 | +0.4 |
(注) 金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。
②受注実績
当社は見込生産を主体としているため、受注実績の記載を省略しております。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年度比(%) |
| スマートインフラ事業 | 33,398 | △9.1 |
| ポジショニング・カンパニー | 73,989 | △4.8 |
| アイケア事業 | 44,758 | △6.2 |
| その他 | 1,319 | △22.3 |
| 内部取引消去 | △14,549 | - |
| 合計 | 138,916 | △6.6 |
(注) 1 セグメント間の取引については、内部売上高を含めて表示しております。
2 上記の金額は、消費税等を含んでおりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社は2019年度から始まる第三次中期経営計画(2019-2021年度)のもと、重要指標であるROEの改善(2025年に15%以上を目標)を目指し、成長戦略の加速に取り組んでおります。当連結会計年度においては、第4四半期での新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け前年度と比べ減収減益となり、ROEは前年度末と比べ8.4%減少の1.4%となりました。しかしながら、スマートインフラビジネスとポジショニングカンパニーにおいては制約のある中でも必須事業として事業活動を継続し期末まで対応し、また、戦略の一つである「潜在的新市場創出」については、アイケアビジネスにおいて眼疾患スクリーニングビジネス向けに新規顧客を開拓を行ってまいりました。
第三次中期経営計画で掲げた経営ビジョン「医・食・住の成長市場において社会的課題を解決し事業を拡大する」については変更することなく、加えて、ソーシャルディスタンス対応、Essential Business(必須事業)、経済復興といった新たな社会的課題にも対応を続けていくことにより、中期経営計画の成長シナリオを遂行し、企業価値向上に引き続き取り組んで参ります。
(3) 財政状態
当年度末の資産は、前年度末に比べ1,433百万円増加し、161,721百万円となりました。流動資産は、「売上債権」の減少等はあったものの、「現金及び預金」や「たな卸資産」の増加等により、前年度末に比べ2,374百万円増加し、98,528百万円となりました。固定資産は、「有形固定資産」の増加等はあったものの、「無形固定資産」「投資有価証券」の減少等により、前年度末に比べ941百万円減少し、63,192百万円となりました。
当年度末の負債は、前年度末に比べ7,922百万円増加し、97,062百万円となりました。流動負債は、主に「短期借入金」及び「1年内償還予定の社債」の増加等により、前年度末に比べ24,006百万円増加し、68,366百万円となりました。固定負債は、主に「長期借入金」及び「社債」の減少等により、前年度末に比べ16,083百万円減少し、28,695百万円となりました。
当年度末の純資産合計は、「利益剰余金」や「自己株式」、「為替換算調整勘定」の減少等により、前年度末に比べ6,489百万円減少し、64,659百万円となりました。
(4) キャッシュ・フロー
当年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、たな卸資産の増加や固定資産、自己株式の取得等による「資金」の減少等があったものの、売上債権の減少や短期借入金の増加等による「資金」の増加により、前年度末に比べ、2,848百万円増加し、15,784百万円となりました。
当年度における営業活動による「資金」の増加は、7,944百万円(前年度は14,511百万円の増加)となりました。これは主に、たな卸資産の増加等による「資金」の減少があったものの、税金等調整前当期純利益、及び売上債権の減少等による「資金」の増加によるものであります。
当年度における投資活動による「資金」の減少は、6,806百万円(前年度は6,667百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産及び無形固定資産の取得による「資金」の減少によるものであります。
当年度における財務活動による「資金」の増加は、1,995百万円(前年度は7,797百万円の減少)となりました。これは主に、長期借入金の返済や自己株式の取得、配当金の支払い等があったものの、短期借入金の増加等による「資金」の増加によるものであります。
(5) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社は、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金を財源に、M&A投資、設備投資、開発投資等をしていくことを基本方針としておりますが、外部からの資金調達が必要な場合は、特定の手法に限定することなく、最適な資金調達手段を選択して対応してまいります。当連結会計年度におきましては、設備投資については、生産体制の整備や業務効率改善等、成長戦略推進と経営効率改善のために必要な投資を行いました。開発投資については、IoTビジネスの創出、新製品開発や次世代技術や新規事業領域に参入するための開発投資を積極的に行いました。これらの投資活動の財源としては、営業活動によるキャッシュ・フローで生成された資金により賄うことが出来ました。今後も成長分野におけるシェア拡大のために、新技術・新事業領域等への投資を継続してまいります。
資金の流動性につきましては、当社及び一部の連結子会社においてCMS(キャッシュマネジメント・サービス)を活用することにより、資金効率の向上を図っております。また、資金調達の機動性及び安定性の確保を目的として取引金融機関とコミットメントライン契約を締結し、流動性リスクに備えております。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの概要につきましては、前項「(4)キャッシュ・フロー」を参照ください。また、当社の配当政策につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」の「注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。なお、連結財務諸表の作成にあたっては、一部の資産の評価等に会計上の見積りを用いて算定しているものがあり、特に下記に掲げる資産については、今後の前提条件の変化によっては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると認められる将来減算一時差異について回収可能性があると判断し計上を行っております。その前提条件に、当社グループの納税主体毎の将来の課税所得の見積り等を用いていますが、経済条件の変動等により当該仮定に見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において繰延税金資産及び税金費用の金額に影響を与える可能性があります。
固定資産
当社グループは、固定資産については資産グループ毎に減損の兆候の有無を判定し、兆候がある場合は割引前将来キャッシュ・フローを回収可能価額として見積もったうえで、減損損失の要否を判断しております。回収可能価額の測定に際しては、資産グループ毎の将来の利益計画を用いて検討しておりますが、事業計画や市場環境の変動、また投資計画の変更等の要因により、当該見積もりに見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において追加の減損損失が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の影響
新型コロナウイルス感染症の影響については、主要な影響は2021年3月期の中盤まで続き、その後は徐々に収束に向けて回復していくと想定し、当連結会計年度末時点の会計上の見積りの前提条件としております。この前提条件は不確実性を多く含んでおり、仮に回復が大幅に遅れるなど異なる条件となった場合は、当該見積りの変更により資産の計上額に影響を生じ、結果、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。