有価証券報告書-第80期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/29 11:20
【資料】
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【項目】
143項目
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
また、当社グループは単一セグメントのため、セグメント情報に関連付けた記載を行っていません。
(1) 重要な会計方針及び見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。この作成においては、経営者による会計方針の選択と適用を前提とし、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や将来における発生の可能性等をもとに適切な仮定を設定し、合理的な判断をしていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。特に、新型コロナウイルス感染症については不確定要素が多く存在しますが、通期では需要に応じた生産・販売が可能になり、開発中のソフトウェアは予定どおり発売ができるという仮定を置いており、連結財務諸表に与える影響は軽微です。なお、主な見積りは、たな卸資産や繰延税金資産などです。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しています。
(2) 経営成績等の状況
①業績の概要・分析
当連結会計年度の状況は、Nintendo Switchでは、小さく、軽く、持ち運びやすくなった携帯専用の「Nintendo Switch Lite」を9月に発売したことに加えて、「Nintendo Switch」も勢いを落とすことなく好調に推移したことにより、Nintendo Switchファミリー本体の販売台数は大きく増加しました。ソフトウェアでは、『ポケットモンスター ソード・シールド』が1,737万本の販売を記録する大ヒットとなったほか、3月に発売した『あつまれ どうぶつの森』が1,177万本の販売となり、Nintendo Switch向けソフトウェアでは過去最大の滑り出しを見せています。このほか、『ルイージマンション3』や『スーパーマリオメーカー 2』など当期に発売したソフトウェアに加え、前期までに発売済みの人気タイトルやソフトメーカー様のタイトルも好調に販売を伸ばし、当期のミリオンセラータイトル数はソフトメーカー様のタイトルを含めて27タイトルとなりました。また、12月より中国において、テンセント社を通じて、Nintendo Switchの販売を開始しました。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響により、2月から3月にかけて、「Nintendo Switch」本体およびJoy-Conなどの周辺機器や、『リングフィット アドベンチャー』の生産および出荷の遅延が一部地域で生じたものの、当期販売への影響は限定的でした。
これらの結果、ハードウェア、ソフトウェアともに販売が好調だった前年を上回り、当期のハードウェアの販売台数は2,103万台(前年同期比24.0%増)、ソフトウェアの販売本数は1億6,872万本(前年同期比42.3%増)となりました。
ニンテンドー3DSでは、ハードウェアの販売台数は69万台(前年同期比73.0%減)、ソフトウェアの販売本数は499万本(前年同期比62.3%減)となりました。
ゲーム専用機におけるデジタルビジネスでは、Nintendo Switchのパッケージ併売ダウンロードソフトによる売上が好調だったことに加えて、ダウンロード専用ソフトや追加コンテンツによる売上が順調に伸び、Nintendo Switch Onlineによる売上も年間を通じて計上されたことにより、デジタル売上高は2,041億円(前年同期比71.8%増)となりました。
モバイルビジネスでは、当期に配信を開始した『Mario Kart Tour』等に加え、これまでに配信済みのアプリも多くのお客様に継続して楽しんでいただいており、モバイル・IP関連収入等の売上高は512億円(前年同期比11.5%増)となりました。
なお、当社グループの経営方針・経営戦略等は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。また、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4) 経営成績等に重要な影響を与えている要因」に記載のとおり、ヒット商品の有無やその規模が経営成績等に大きな影響を与えていると考えています。
②経営成績の状況の概要・分析
当連結会計年度は前年同期と比較しますと、売上高・営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益は増加しました。
売上高は1兆3,085億円(前年同期比9.0%増)となり、このうち海外売上高は1兆73億円(前年同期比7.8%増、海外売上高比率77.0%)となりました。営業利益は3,523億円(前年同期比41.1%増)となり、営業利益が増加したことなどにより経常利益は3,604億円(前年同期比30.0%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は2,586億円(前年同期比33.3%増)となりました。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響により、ゲーム専用機等の生産および出荷の遅延が一部地域で生じたものの、当期業績への影響は限定的でした。
(売上高及び営業利益)
売上高は、前年同期に比べて1,079億円の増収で、1兆3,085億円(前年同期比9.0%増)となりました。これは、主にNintendo Switchの販売が好調に推移したことによります。売上総利益は前年同期に比べ1,405億円増加し、6,417億円(前年同期比28.0%増)となりました。また、研究開発費が増加したほか、売上高の増加に伴って販売手数料が増加したこと等により、販売費及び一般管理費は前年同期に比べて378億円増加し、営業利益は3,523億円(前年同期比41.1%増)となりました。
(営業外損益及び経常利益)
営業外損益は、為替差損が発生しましたが、受取利息や㈱ポケモンなどに係る持分法による投資利益を計上したこと等により、80億円の収益(純額)となりました。この結果、経常利益は3,604億円(前年同期比30.0%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
主に経常利益が前年同期に比べて増加したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は2,586億円(前年同期比33.3%増)となりました。
③財政状態の状況の概要・分析
(総資産)
総資産は、前連結会計年度末に比べ2,437億円増加し、1兆9,340億円となりました。
営業活動を通じた入金等により、現金及び預金が増加したほか、その一部を有価証券や投資有価証券として保有したことが主な要因です。
(負債)
負債は、前連結会計年度末に比べ1,176億円増加し、3,931億円となりました。
営業活動を通じた仕入等により支払手形及び買掛金が383億円増加したことや、デジタルビジネスの拡大などに伴い前受金を含むその他流動負債が680億円増加したことが主な要因です。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ1,261億円増加し、1兆5,409億円となりました。
剰余金の配当が1,084億円発生しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益が2,586億円となったことなどから利益剰余金が増加したことが主な要因です。

④キャッシュ・フローの状況の概要・分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末から360億円増加(前年同期は1,008億円の増加)し、6,214億円となりました。各キャッシュ・フローの増減状況とその要因は次のとおりです。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
税金等調整前当期純利益3,612億円に対して、法人税等の支払いや売上債権の増加などの減少要因がありましたが、たな卸資産の減少や仕入債務の増加などの増加要因により、3,477億円の増加(前年同期は1,705億円の増加)となりました。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動による資金は、定期預金の払戻や有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入が、定期預金の預入や有価証券及び投資有価証券の取得による支出を下回ったことなどにより、1,884億円の減少(前年同期は453億円の増加)となりました。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動による資金は、主に配当金の支払いによる支出により1,110億円の減少(前年同期は1,090億円の減少)となりました。
(3) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりです。なお、当社グループは単一セグメントのため、製品の種類別に記載しています。
種類金額
(百万円)
前年同期比
(%)
ゲーム専用機
ニンテンドー3DSプラットフォーム5,446△88.0
Nintendo Switchプラットフォーム1,020,819+11.1
その他8,420△80.4
1,034,686+2.8
その他(トランプ他)650+13.4
合計1,035,336+2.8

(注) 上記金額は、販売価格により算出し、消費税等を含みません。
② 受注状況
主にゲーム専用機ソフトウェアについて一部受注生産を行うほかは、見込生産のため記載を省略しています。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりです。なお、当社グループは単一セグメントのため、製品の種類別に記載しています。
種類金額
(百万円)
前年同期比
(%)
ゲーム専用機
ニンテンドー3DSプラットフォーム18,056△71.4
Nintendo Switchプラットフォーム1,219,327+18.6
その他16,777△72.8
1,254,162+8.8
モバイル・IP関連収入等51,295+11.5
その他(トランプ他)3,062+57.1
合計1,308,519+9.0

(注) 上記金額には、消費税等を含みません。
(4) 経営成績等に重要な影響を与えている要因
当社グループは、ホームエンターテインメントの分野で事業を展開しており、ヒット商品の有無や、その規模によって経営成績等が大きく変わります。また、娯楽の範囲は広く、ゲーム以上に面白さや驚きを人々に与えるものが流行れば、その影響も受けます。
海外での売上割合は7割を超え、このほとんどを現地通貨で取引しており、為替レートの変動による影響を軽減するために米ドル建等の仕入を増やすなどの施策をとっているものの、当該リスクを完全に排除することは困難であり、為替相場の変動は当社グループの業績に影響を与えます。
主要製品であるゲーム専用機と対応するソフトウェアが、当社グループの売上の多くを占めますが、それぞれの利益率が大きく異なるため、これらの売上割合の変動は売上総利益及び売上総利益率に影響を与えます。
その他にも経営成績等には、新型コロナウイルス感染症の拡大によるリスクなど「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載する変動要因が考えられます。
(5) 資本の財源及び資金の流動性について
当連結会計年度末において、流動比率は422%、総負債額に対する現金及び現金同等物は1.6倍です。
当社グループは将来の経営環境への対応や業容拡大等のために必要な資金を内部留保しています。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造のための材料及び部品の購入費、広告宣伝費や研究開発費のほか、配当金や法人税等の支払いです。この他、会社の成長に必要な設備投資等を含め、全てを自己資金でまかなうことを原則としており、ゲーム専用機等の販売等の営業活動によるキャッシュ・フローによって自己資金を確保しています。なお、当社グループの株主還元の考え方は「第4 提出会社の状況 3 配当政策」、具体的な設備投資計画は「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりです。
新製品の発売時期や年末商戦時期には、一時的な売上債権、仕入債務、たな卸資産等の増加があり、営業活動によるキャッシュ・フローの増減に影響を及ぼす可能性があります。
また、3か月を超える定期預金の預入・払戻の時期や、有価証券の取得・売却の時期等により投資活動によるキャッシュ・フローが増減します。