四半期報告書-第68期第3四半期(令和2年4月1日-令和2年6月30日)

【提出】
2020/08/12 10:04
【資料】
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【項目】
34項目
(1) 経営成績の分析
当社グループは“はかる”技術を基本としたビジネスコンセプトを継続しながら、研究開発市場に傾注してまいりました。そして国内産業の次なる成長の糧となる“新しい技術・製品の開発”の一翼を担うべく、欧米を中心にした先端計測技術・機器の導入とソフトウェアを中心にした自社システム製品の増強に力を入れてまいりました。また、中国を中心としたアジア市場に加え、米国市場にも目を向け当社製品のユーザー開拓にも注力してまいりましたが、新型コロナウイルス感染症による自粛ムードや感染拡大の第2波への懸念等が根強く、引き続き国内外経済は先行き不透明な状況で推移しました。
この結果、当社グループの経営成績につきましては、連結売上高は新型コロナウイルス感染拡大による販売遅れの影響を受け173億5千3百万円(前年同四半期比3.4%減)となり、この内、国内取引高は164億7千2百万円、中国や米国向けを中心とした海外取引高は8億8千万円となりました。
利益面では、営業利益10億7千9百万円(前年同四半期比17.0%減)、経常利益12億6百万円(前年同四半期比7.3%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は9億3千3百万円(前年同四半期比10.5%増)となりました。
各セグメントの業績は、次のとおりです。
(情報通信/情報セキュリティ)
情報通信におきましては、5G(第5世代移動通信システム)の開発や検証ニーズに応えるよう積極的な投資を行っており、国内大手通信事業者からの5Gの試験装置の販売は堅調に推移しています。さらに、注力しているローカル5G向け試験装置の販売も増加しました。高速イーサネットに対応したネットワーク性能試験装置の販売も順調に推移していることに加え、国内大手企業から受注した自社製品SYNESISの大型案件も納入できました。情報セキュリティにおきましては、売上は前年並みですが、経費削減により増益となりました。増収を見込んでおりましたが新型コロナウイルス感染拡大の影響(以下、「感染拡大」という。)により、一部案件が遅延しました。この結果、売上高は53億3千4百万円(前年同四半期比21.0%増)、営業利益は4億1千3百万円(前年同四半期比85.3%増)となりました。
(機械制御/振動騒音)
機械制御/振動騒音におきましては、自動車会社における振動・騒音など、従来の研究開発分野への投資縮小に加えて、感染拡大による購買延期や中止がありました。また受注済みの複数の大型システムについても感染拡大により、お客様の受け入れ準備の遅れやメーカの製造遅れによる納入遅延が発生しました。この結果、売上高は39億6百万円(前年同四半期比14.2%減)、営業利益は8億1千8百万円(前年同四半期比16.5%減)となりました。
(物性/エネルギー)
物性/エネルギーにおきましては、自動車向け次世代電池やパワーエレクトロニクスの評価システムのニーズは引き続き堅調でした。また、注力している電池の基礎研究分野向け自社開発システムの商談もさらに増加しています。しかし、感染拡大を受け、複数の大型案件の進捗が遅れたため受注、売上ともに減少しました。この結果、売上高は27億2千6百万円(前年同四半期比18.1%減)、営業利益は2億5千7百万円(前年同四半期比38.3%減)となりました。
(EMC/大型アンテナ)
EMCにおきましては、主要顧客である国内外の自動車関連の受注が継続して堅調であり、民生品向けに新しく開発したEMCシステムの受注も好調です。しかし、感染拡大によりシステム設置が遅延しており、計画通りの売上増には至りませんでした。結果として受注残が大幅に増加しています。また、海外の大型システム納品後、感染拡大によって同社からの契約金回収が難しくなり、納入品の取戻しも容易ではない状況のため2億円を商品評価損として計上しました(本件については法的手続きを進めております)。この結果、売上高は25億1千5百万円(前年同四半期比17.1%増)、営業利益は2千9百万円(前年同四半期は1千1百万円の営業損失)となりました。
(海洋/特機)
海洋/特機におきましては、上期まで順調だった民間企業からの受注が、感染拡大によりデモンストレーションの実施が困難になるなどの原因により低迷しました。売上についても同影響により複数の案件においてメーカからの入荷遅れによる納入遅延が発生しました。この結果、売上高は8億2千1百万円(前年同四半期比28.2%減)、営業利益は6千6百万円(前年同四半期比76.4%減)となりました。
(ソフトウエア開発支援)
ソフトウエア開発支援におきましては、ゲーム業界でのテレワーク増加に伴う構成管理ツールなどの販売が増加しました。また、エンタープライズ向けのセキュリティ脆弱性検査ツールも大手システム開発会社向けサブスクリプション販売も売上増に寄与しました。この結果、売上高は12億1千4百万円(前年同四半期比17.8%増)、営業利益は1億8千3百万円(前年同四半期比21.2%増)となりました。
(ライフサイエンス/マテリアルズ)
ライフサイエンス/マテリアルズにおきましては、医療機関向けビジネスが感染拡大によって病院経営が逼迫したことにより、大きく販売が減速しました。また、立ち上げ中の新しい電子顕微鏡ビジネスは有効な引合いが増加しているものの、受注まで至らず売上は減少しました。この結果、売上高は8億3千3百万円(前年同四半期比38.0%減)、営業損失は4千4百万円(前年同四半期は5千7百万円の営業利益)となりました。
(2) 財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ5億3千万円減少し、340億2千7百万円となりました。主な増加要因は、現金及び預金の増加12億3千4百万円によるものです。一方、主な減少要因は、受取手形及び売掛金の減少9億1千6百万円、有価証券の減少4億6千7百万円、流動資産のその他の減少1億9千6百万円等によるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ6億2千万円減少し、40億2千9百万円となりました。主な増加要因は、流動負債のその他の増加5億7千7百万円によるものです。一方、主な減少要因は、未払法人税等の減少5億4千4百万円、賞与引当金の減少6億3千8百万円等によるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ9千万円増加し、299億9千7百万円となりました。主な増加要因は、利益剰余金の増加7千1百万円、新株予約権の増加4千7百万円等によるものです。一方、主な減少要因は、その他有価証券評価差額金の減少4千2百万円によるものです。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、153,801千円です。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 生産、受注及び販売の状況
当第3四半期連結累計期間において、海洋/特機については、受注の実績が著しく減少しております。これは大型案件の影響によるものです。また、ライフサイエンス/マテリアルズについては、販売の実績が著しく減少しております。これは新型コロナウイルス感染拡大の影響によるものです。