有価証券報告書-第93期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/18 15:55
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【項目】
124項目
業績等の概要
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
業績面については、当連結会計年度の売上高は808億19百万円(前期比139億50百万円増 20.9%増)、営業利益は24億3百万円(前期比72百万円増 3.1%増)、経常利益は29億72百万円(前期比1億74百万円増 6.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は21億23百万円(前期比1億13百万円増 5.6%増)となりました。
売上高が前期比139億50百万円増加した主な要因は、以下のとおり樹脂・エレクトロニクス関連事業における増加であります。
・樹脂・エレクトロニクス関連事業 113億35百万円
・住宅設備機器関連事業 13億11百万円
・化学品関連事業 10億61百万円
・空調設備工事関連事業 6億14百万円
・情報システム関連事業 3億39百万円
・エネルギー関連事業 2億29百万円
営業利益が前期比72百万円増加した主な要因は、以下のとおり情報システム関連事業および住宅設備機器関連事業における増加であります。
・情報システム関連事業 3億21百万円
・住宅設備機器関連事業 1億29百万円
・空調設備工事関連事業 95百万円
・エネルギー関連事業 △38百万円
・樹脂・エレクトロニクス関連事業 △56百万円
・化学品関連事業 △64百万円
経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、営業利益の増加を主要因に増加しました。
(セグメントの状況)
営業利益の大きいセグメントの順に記載いたします。
セグメントごとの当社事業部門および子会社・関連会社につきましては、「第1 企業の概況」の「3.事業の内容」をご参照ください。
<化学品関連事業>国内における化成品販売については、顧客の稼働が堅調であったことから、売上高は増加しました。
医薬品原薬については、富山八尾工場での連続生産を推進するとともに、一部の既存製品の需要増に加えて、新規開発品目および既存商品の販売が伸長したものの、製剤メーカー各社における安定供給に向けた在庫積み増し沈静化の影響があったことから、売上高は減少しました。
機能性素材の受託製造および環境ビジネスについては、既存顧客向けの販売が好調であったことに加えて、新規ビジネスを獲得できたことから、売上高は増加しました。
ベトナムにおける化成品販売については、北部の既存顧客への販売が好調であったことに加えて、南部での新規顧客の開拓も順調に進展したことから、売上高は増加しました。
以上により、全体の売上高は前期比3.6%増の303億72百万円、営業利益は新規ビジネスの創出に向けた研究開発費用等が増加したことから、前期比4.7%減の12億96百万円となりました。
<空調設備工事関連事業>受注高は、首都圏において駅前再開発や東京オリンピック・パラリンピックに向けた大型新築工事の受注ができたものの、前期に北陸地区で複数の大型新築工事があったことから、前期比7.1%減の103億10百万円となりました。
売上高は、オフィスビルや病院等の大型物件の売上計上が寄与したことならびに複数の大型リニューアル工事が完工したことから、前期比6.6%増の99億50百万円、営業利益は前期比13.1%増の8億21百万円となりました。
<情報システム関連事業>受注高は、北陸地区での公共機関向けハードウエアの受注ならびに首都圏でのシステムインテグレーションサービスにおけるシステム開発案件の受注が好調であったことに加えて、当社オリジナルソリューションである「POWER EGG®」の金融機関向け受注も好調であったことから、前期比10.9%増の65億59百万円となりました。
売上高は、受注高と同様の理由により前期比5.9%増の61億34百万円、営業利益は売上高の増加に伴う売上総利益の増加に加えて、システム開発案件の安定的な確保による売上総利益率改善に努めたことから、前期比74.8%増の7億51百万円となりました。
なお、平成30年3月末時点での「POWER EGG®」の導入実績は、前期比65社増の1,271社となりました。
<樹脂・エレクトロニクス関連事業>売上高は、車載向け樹脂成形品の量産ならびに電子部品の販売が順調に推移したことに加えて、プリント基板の製造およびプリント基板ユニットの組み立てを行うFCV社を昨年6月に連結子会社化したことから、前期比186.5%増の174億15百万円となりました。一方で、車載向け樹脂成形品の品質安定ならびに生産効率の向上に向けて、新技術を用いた高難度生産設備の開発やそれに伴う人員の増加等により、営業利益は前期比9.3%減の5億46百万円となりました。
<エネルギー関連事業>産業用燃料については、販売価格は原油価格の上昇を背景に前期に比べ高水準で推移しました。販売数量は、主力のA/LSA重油および大口顧客向けのC重油が増量となった一方で、その他の油種は販売競争の激化により総じて低迷を余儀なくされました
一方で、民生用LPガスについても、昨年夏場以降にCP(LPガス輸入価格)が大幅に上昇したことから、販売価格は前期に比べ上振れに転じました。販売数量は、単位当たり消費量の増加に加えて新規の顧客獲得が進んだことから増加しました。
以上により、全体の売上高は前期比4.2%増の57億47百万円になったものの、営業利益は競争激化に伴う産業用燃料の利益率悪化に加えて、新社内ガスシステムに係る減価償却費の増加および人員増に伴う人件費の増加等により、前期比12.1%減の2億81百万円となりました。
<住宅設備機器関連事業>受注高は、首都圏においてホテルを中心に非住宅物件の受注が増加したものの、前期は首都圏において集合住宅向けキッチンでの大型物件の受注が複数あったことに加えて、北陸地区においても大型新築物件の受注があったことから、前期比3.5%減の122億44百万円となりました。
売上高は、当連結会計年度に寄与する完工物件が増加したことから、前期比11.8%増の123億89百万円となりました。営業利益は売上高の増加に伴う売上総利益の増加により、前期比173.2%増の2億4百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、16億36百万円(前連結会計年度は42億98百万円)の収入となりました。
主なプラス要因は、税金等調整前当期純利益30億18百万円、減価償却費16億8百万円であります。
一方、主なマイナス要因は、売上債権の増加額17億51百万円、たな卸資産の増加額10億23百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、53億89百万円(前連結会計年度は20億71百万円)の支出となりました。
主な要因は、有形固定資産の取得による支出29億92百万円、投資有価証券の取得による支出19億9百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、49億35百万円(前連結会計年度は24億4百万円の支出)の収入となりました。
主な要因は、短期及び長期の借入金の純増額が合わせて57億34百万円であります。
これらの結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ10億98百万円増加し、63億21百万円となりました。
③受注及び販売の実績
a.受注実績
当連結会計年度の空調設備工事関連事業、情報システム関連事業および住宅設備機器関連事業の受注実績は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
セグメントの名称受注高前期比(%)受注残高前期比(%)
空調設備工事関連事業10,31092.99,548103.9
情報システム関連事業6,559110.94,357110.8
住宅設備機器関連事業12,24496.510,48298.4

(注)1.受注実績の金額は、セグメント間の内部受注高および受注残高を含めて記載しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前期比(%)
化学品関連事業30,372103.6
空調設備工事関連事業9,950106.6
情報システム関連事業6,134105.9
樹脂・エレクトロニクス関連事業17,415286.5
エネルギー関連事業5,747104.2
住宅設備機器関連事業12,389111.8
その他1,69896.8
合計83,708121.5

(注)1.販売実績の金額は、セグメント間の内部売上高を含めて記載しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。
当社は、連結財務諸表の作成において必要な見積りについては、過去の実績やその時点で入手可能な情報等を勘案したうえで行っておりますが、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当連結会計年度末の財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産残高は、720億48百万円(前連結会計年度末は582億16百万円)となり、前連結会計年度末に比べ138億32百万円増加いたしました。流動資産の残高は、受取手形及び売掛金32億5百万円の増加、仕掛品9億21百万円の増加、現金及び預金9億0百万円の増加を主要因に前連結会計年度末に比べ69億64百万円増加し、374億34百万円となりました。一方、固定資産の残高は、投資有価証券36億32百万円の増加、建設仮勘定16億52百万円の増加を主要因に前連結会計年度末に比べ68億68百万円増加し、346億14百万円となりました。
当連結会計年度末における負債残高は、388億1百万円(前連結会計年度末は291億25百万円)となり、前連結会計年度末に比べ96億76百万円増加いたしました。流動負債の残高は、短期借入金52億82百万円の増加、支払手形及び買掛金14億4百万円の増加を主要因に前連結会計年度末に比べ80億67百万円増加し、329億36百万円となりました。一方、固定負債の残高は、繰延税金負債4億42百万円の増加を主要因に前連結会計年度末に比べ16億9百万円増加し、58億65百万円となりました。
当連結会計年度末における純資産残高は、332億46百万円(前連結会計年度末は290億91百万円)となり、前連結会計年度末に比べ41億55百万円増加いたしました。株主資本の残高は、前連結会計年度末に比べ16億46百万円増加し、259億69百万円となりました。一方、その他の包括利益累計額の残高は、前連結会計年度末に比べ8億72百万円増加し、41億85百万円となりました。また、非支配株主持分の残高は、前連結会計年度末に比べ16億36百万円増加し、30億92百万円となりました。
これらの結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の47.5%から41.9%に減少し、1株当たりの純資産額は、前連結会計年度末の485円4銭から529円26銭に増加いたしました。
b.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況」の「2.事業等のリスク」をご参照ください。
c.資本の財源及び資金の流動性について
運転資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、売上債権の回収サイクルと仕入債務の支払サイクルのギャップおよび営業活動上において必要なたな卸資産に対する支出によるもののほか、人件費や手数料等の販売費及び一般管理費であります。
設備投資
設備投資につきましては、「第3 設備の状況」の「1.設備投資等の概要」をご参照ください。
資金管理
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と源泉を安定的に確保することを基本としております。
運転資金は自己資金および金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。平成30年度においては「第5 経理の状況」の連結財務諸表「注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおり、平成30年6月11日を払込期日とする公募による新株式発行を行っております。
なお、当連結会計年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は17,342百万円となっております。また当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は6,321百万円となっております。
資金は原則として本社で集中管理し、当社グループ内の余剰資金の有効活用を図っております。当社グループ内における新規の設備投資資金の調達については、諸条件を勘案し決定いたしますが、全て当社の事前承認に基づいております。
d.経営者の問題意識と今後の方針について
当企業集団における投資プロジェクトについては、採算面や投資回収面、リスク等を十分に検討したうえで決定しております。ここ数年は当企業集団の存在価値の向上を念頭に、付加価値の高い商品・製品・サービスの提供を図るべく、設備投資や子会社新設に積極的に取り組んでまいりました。
当連結会計年度においては、営業活動によるキャッシュ・フローを上回る投資を実施したことにより、有利子負債残高が高い水準にあると認識しております。
当企業集団は、今後とも、さらなる事業拡大と持続的な成長を図っていくため引き続き積極的な投資を実行する一方、これまでの投資成果としての営業活動によるキャッシュ・フローの増大を図り、適切に有利子負債を削減していく方針であります。