有価証券報告書-第96期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/14 10:57
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【項目】
185項目
業績等の概要
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
業績面については、当連結会計年度の売上高は805億41百万円(前期比29億45百万円増 3.8%増)、営業利益は25億67百万円(前期比33百万円増 1.3%増)、経常利益は33億49百万円(前期比52百万円増 1.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は22億61百万円(前期比6億15百万円増 37.4%増)となりました。
なお、営業利益、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益については1998年3月期の連結決算開示開始以来最高となり、また、親会社株主に帰属する当期純利益については1988年7月の上場以来最高となりました。
売上高が前期比29億45百万円増加した主な要因は、以下のとおり情報システム関連事業および空調設備工事関連事業における増加であります。
・情報システム関連事業 +23億26百万円
・空調設備工事関連事業 +22億9百万円
・化学品関連事業 +11億1百万円
・樹脂・エレクトロニクス関連事業 △1億19百万円
・エネルギー関連事業 △5億7百万円
・住宅設備機器関連事業 △17億88百万円
営業利益が前期比33百万円増加した主な要因は、以下のとおり情報システム関連事業における増加であります。
・情報システム関連事業 +3億43百万円
・空調設備工事関連事業 +93百万円
・エネルギー関連事業 △21百万円
・樹脂・エレクトロニクス関連事業 △37百万円
・化学品関連事業 △1億32百万円
・住宅設備機器関連事業 △1億36百万円
経常利益は、営業利益の増加を主要因に増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益は、当期における経常利益の増加に加えて、前期において投資有価証券の評価損ならびに一部事務所の移転に伴う固定資産の減損の計上があったことから大幅に増加しました。
(セグメントの状況)
営業利益の大きいセグメントの順に記載いたします。
セグメントごとの当社事業部門および子会社・関連会社につきましては、「第1 企業の概況」の「3.事業の内容」をご参照ください。
<化学品関連事業>国内における化成品販売については、一部の電子部品関連顧客の稼働が好調であったことから、売上高は増加しました。
医薬品原薬については、自社製品が堅調であったことから、売上高は増加しました。
機能性素材の受託製造については、健康食品分野における店舗販売の需要減少等の影響を受けて、売上高は減少しました。
環境ビジネスについては、メタル回収における副資材の販売量増加および新規プロジェクトが寄与したことから、売上高は増加しました。
ベトナムにおける化成品販売については、南部における既存顧客の稼働減があったものの、北部における既存顧客との取引量増加により、売上高は増加しました。
以上により、全体の売上高は、国内における化成品の販売増加や医薬品原薬における自社製品の販売増加等により前期比3.4%増の334億70百万円となりました。一方で、子会社アクティブファーマ㈱富山八尾工場の開発センターおよび少量合成棟が昨年5月に完成したことに伴う費用の増加を主要因に、営業利益は、前期比8.0%減の15億25百万円となりました。
<情報システム関連事業>受注高は、オリジナルソリューションである「POWER EGG®」の受注が好調であったことに加えて、文教関連案件や基幹システムの大型更新案件を受注できたことから、前期比38.7%増の117億3百万円となりました。
売上高は、受注高と同様の理由により、前期比28.9%増の103億83百万円、営業利益は前期比35.9%増の12億99百万円となりました。
また、2021年3月末時点での「POWER EGG®」の導入実績は、前期比55社増の1,426社となりました。
なお、昨年6月1日より多様なクラウドサービスを連携させることで業務の効率化や新しい機能を低コストで実現できる「Chalaza®(カラザ)」の提供を開始しました。現在、本サービスを通じて連携できるクラウドサービス数は、100件に達しております。今後も開発を継続し、ユーザーの利便性向上に向けて取り組んでまいります。
<空調設備工事関連事業>受注高は、首都圏において駅前再開発の大型新築工事を受注できたことに加えて、北陸地区においても複数の大型リニューアル工事を受注できたことから、前期比19.0%増の137億45百万円となりました。
売上高は、首都圏および北陸地区において大型リニューアル工事が順調に進捗したことに加えて、ベトナムにおける設計・積算業務の受託も好調であったことから、前期比19.6%増の134億52百万円となり、営業利益は前期比8.5%増の11億93百万円となりました。
<樹脂・エレクトロニクス関連事業>新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、第1四半期連結累計期間における売上高は、前年同期比26.3%減となったものの、その後、車載向け樹脂成形品に対する需要は回復傾向にあったため、当連結会計年度の売上高は、前期比1.5%減の76億67百万円となりました。また、営業利益は、生産性向上や経費削減等の施策を実行したものの、前期比10.6%減の3億20百万円となりました。
<エネルギー関連事業>石油製品については、販売価格は期中の原油価格が前期に比べ大幅に下落したことから低水準で推移し、販売数量も新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴う産業活動停滞により減少しました。
民生用LPガスについても、販売価格は前期に比べ軟調に推移しました。販売数量は新規顧客の獲得が伸長できたことに加えて、巣ごもり需要により主力の戸建住宅・集合住宅向けの需要が増加したことから前期を上回りました。
以上により、全体の売上高は石油製品の販売価格下落により、前期比8.7%減の53億52百万円となり、営業利益は民生用LPガスにおいて売上総利益が増加したものの、新規顧客獲得にかかる先行投資および業務効率化を目的としたスマートメーターの導入等の費用が増加したことから、前期比8.4%減の2億31百万円となりました。
<住宅設備機器関連事業>受注高は、北陸地区において大型の機器販売案件を受注できたものの、首都圏において病院や老健施設、ホテル等の非住宅物件の受注が減少したことから、前期比6.1%減の108億55百万円となりました。
売上高は、北陸地区において大型の新築物件が完工したものの、首都圏において前期に比べて完工した物件が減少したことから、前期比14.0%減の110億18百万円となり、営業損失は、現在開発中のオフィスファニチャー「Tesera®」およびショールームのリニューアルにかかる費用等が増加したことから、1億64百万円となり前期に比べ損失額が増加しました(前期の営業損失は27百万円)。
なお、昨年10月1日に子会社である㈱インフィルと同社子会社である㈱インテンザを合併いたしました。本合併により、㈱インフィルは開発から販売・施工までの一貫体制を構築し、工期の短縮や施工の効率化を図ることで、より付加価値の高いワンストップサービスを提供してまいります。
また、㈱インフィルは昨年10月15日に新宿・リビングデザインセンターOZONE6階「INTENZAショールーム」をリニューアルオープンいたしました。引き続き、システムキッチンやシステム収納のオリジナルブランド『INTENZA』のさらなる認知度向上に努めてまいります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、36億11百万円(前連結会計年度は17億89百万円)の収入となりました。
主なプラス要因は、税金等調整前当期純利益33億64百万円、減価償却費20億49百万円、仕入債務の増加額10億71百万円であります。
一方、主なマイナス要因は、売上債権の増加額23億1百万円、法人税等の支払額10億4百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、46億32百万円(前連結会計年度は6億74百万円)の支出となりました。
主な要因は、有形固定資産の取得による支出27億32百万円、投資有価証券の取得による支出9億99百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、13億2百万円の収入(前連結会計年度は13億85百万円の支出)となりました。
主な要因は、短期及び長期の借入金の純増額が合わせて21億81百万円、配当金の支払額5億54百万円であります。
これらの結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ3億29百万円増加し、56億40百万円となりました。
③受注及び販売の実績
a.受注実績
当連結会計年度の空調設備工事関連事業、情報システム関連事業および住宅設備機器関連事業の受注実績は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
セグメントの名称受注高前期比(%)受注残高前期比(%)
空調設備工事関連事業13,745119.012,664102.4
情報システム関連事業11,703138.76,462125.7
住宅設備機器関連事業10,85593.910,26898.4

(注)1.受注実績の金額は、セグメント間の内部受注高および受注残高を含めて記載しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前期比(%)
化学品関連事業33,470103.4
情報システム関連事業10,383128.9
空調設備工事関連事業13,452119.6
樹脂・エレクトロニクス関連事業7,66798.5
エネルギー関連事業5,35291.3
住宅設備機器関連事業11,01886.0
その他1,777106.7
合計83,122104.2

(注)1.販売実績の金額は、セグメント間の内部売上高を含めて記載しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態につきましては、当連結会計年度末における総資産残高は、816億83百万円(前連結会計年度末は687億16百万円)となり、前連結会計年度末に比べ129億67百万円増加いたしました。流動資産の残高は、受取手形及び売掛金15億6百万円の増加、電子記録債権10億21百万円の増加を主要因に前連結会計年度末に比べ39億69百万円増加し、398億37百万円となりました。また、固定資産の残高は、建物および構築物17億9百万円の増加、建設仮勘定14億20百万円の減少、投資有価証券74億30百万円の増加を主要因に前連結会計年度末に比べ89億98百万円増加し、418億46百万円となりました。
当連結会計年度末における負債残高は、405億47百万円(前連結会計年度末は339億75百万円)となり、前連結会計年度末に比べ65億72百万円増加いたしました。流動負債の残高は、支払手形及び買掛金8億75百万円の増加、短期借入金20億62百万円の減少、流動負債その他に含まれる前受金5億26百万円の増加を主要因に前連結会計年度末に比べ1億71百万円増加し、307億76百万円となりました。また、固定負債の残高は、長期借入金42億70百万円の増加、繰延税金負債17億46百万円の増加を主要因に前連結会計年度末に比べ64億0百万円増加し、97億71百万円となりました。
当連結会計年度末における純資産残高は、411億35百万円(前連結会計年度末は347億40百万円)となり、前連結会計年度末に比べ63億95百万円増加いたしました。株主資本の残高は、前連結会計年度末に比べ17億7百万円増加し、318億36百万円となりました。また、その他の包括利益累計額の残高は、前連結会計年度末に比べ44億14百万円増加し、71億2百万円となりました。一方、非支配株主持分の残高は、前連結会計年度末に比べ2億74百万円増加し、21億96百万円となりました。
これらの結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の47.8%から47.7%に減少し、1株当たりの純資産額は、前連結会計年度末の533円0銭から632円43銭に増加いたしました。
経営成績の状況につきましては、「第2 事業の状況」の「3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況」の「2.事業等のリスク」をご参照ください。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響につきましては、「第2 事業の状況」の「2.事業等のリスク (8)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について」および「③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定」をご参照下さい。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
運転資金需要
当企業集団の運転資金需要のうち主なものは、売上債権の回収サイクルと仕入債務の支払サイクルのギャップおよび営業活動上において必要なたな卸資産に対する支出によるもののほか、人件費や手数料等の販売費及び一般管理費であります。
設備投資
設備投資につきましては、「第3 設備の状況」の「1.設備投資等の概要」をご参照ください。
資金管理
当企業集団は、事業運営上必要な資金の流動性と源泉を安定的に確保することを基本としております。
運転資金は自己資金および金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金およびリース債務等を含む有利子負債の残高は169億27百万円となっております。また当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は56億40百万円となっております。
資金は原則として当社で集中管理し、当企業集団内の余剰資金の有効活用を図っております。当企業集団内における新規の設備投資資金の調達については、諸条件を勘案し決定いたしますが、全て当社の事前承認に基づいております。
経営者の問題意識と今後の方針
当企業集団における投資プロジェクトについては、採算面や投資回収面、リスク等を十分に検討したうえで決定しております。ここ数年は当企業集団の存在価値の向上を念頭に、付加価値の高い商品・製品・サービスの提供を図るべく、設備投資や子会社新設に積極的に取り組んでまいりました。
当企業集団は、今後とも、さらなる事業拡大と持続的な成長を図っていくため引き続き積極的な投資を実行していく方針であります。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による不測の事態に備え、2020年度において当座貸越契約の増枠を実施いたしました。これにより計画している投資の手を緩めることなく実行することが可能となります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況」の「1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。
この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。
連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は「第5 経理の状況」の「1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載されているとおりであります。
なお、会計上の見積りに対する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響に関して、感染拡大が継続し、政府・自治体等の方針による経済活動への制約が著しく強化される、当社事業の帰属するサプライチェーンに甚大な影響が及ぶ、あるいは景気が大幅に後退するといった状況がなく、2021年3月期末時点と同水準の事業活動を行うことができることを前提として、当連結会計年度において会計上の見積りを行った結果、当連結会計年度における連結財務諸表に及ぼす影響、および翌連結会計年度における連結財務諸表に及ぼす影響は軽微なものと判断しております。