有価証券報告書-第99期(2023/04/01-2024/03/31)
業績等の概要
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
本年1月1日に発生しました能登半島地震は、能登地方を中心に甚大な被害を及ぼしました。石川県に本社を構える当社としましては、震災発生直後に総額1億円の支援を表明し、冬期の被災地域における生活の復旧を最優先に、燃料、食器、家電などの当社グループ取扱品の提供、各自治体への義援金の寄附のほか、当社とつながりのある企業や個人の方々からお預かりした支援物資を能登地方の被災者および金沢近郊の二次避難者にお届けするなど、当連結会計年度において最大限の支援を実施させていただきました。
なお、復興支援に向けた予算の大部分を計上したことに加え、当該地域におけるお客様とのビジネスが一時的に停滞したほか、建物・設備の一部に物的被害があったものの、当企業集団の事業活動が順調に進捗したことから業績への影響は軽微でありました。
当社は創業以来、北陸地域の皆様と歩みを進めてまいりました。被災された皆様に一日も早く平穏な生活が戻ることを祈念するとともに、一層の支援に尽力してまいります。
業績面については、当連結会計年度の売上高は958億57百万円(前期比54億40百万円増 6.0%増)、営業利益は16億66百万円(前期比6億88百万円増 70.3%増)、経常利益は24億43百万円(前期比7億27百万円増 42.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は20億68百万円(前期比11億7百万円増 115.4%増)となりました。
売上高が前期比54億40百万円増加した要因は、以下のとおりエネルギー関連事業および化学品関連事業を除く4つの事業セグメントの増加によるものであります。
・樹脂・エレクトロニクス関連事業 +25億58百万円
・空調設備工事関連事業 +24億15百万円
・情報システム関連事業 +10億87百万円
・住宅設備機器関連事業 +3億73百万円
・エネルギー関連事業 △4億21百万円
・化学品関連事業 △6億79百万円
営業利益が前期比6億88百万円増加した要因は、以下のとおり化学品関連事業を除く5つの事業セグメントの増加によるものであります。
・樹脂・エレクトロニクス関連事業 +10億20百万円
・空調設備工事関連事業 +5億20百万円
・情報システム関連事業 +1億39百万円
・住宅設備機器関連事業 +1億35百万円
・エネルギー関連事業 +45百万円
・化学品関連事業 △7億47百万円
経常利益は、営業利益の増加を主要因に増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の増加および非上場株式に係る投資有価証券売却益の計上を主要因に増加しました。
(セグメントの状況)
営業利益の大きいセグメントの順に記載いたします。
セグメントごとの当社事業部門および子会社・関連会社につきましては、「第1 企業の概況」の「3.事業の内容」をご参照ください。
<樹脂・エレクトロニクス関連事業>売上高は、車載向け樹脂成形品の需要が回復したことに加えて、車載向け以外の新規案件の販売も順調に伸長したことから、前期比27.2%増の119億60百万円となりました。営業利益は、売上高の増加に加えて、工場稼働率の回復および生産効率化の推進により、前期比373.3%増の12億94百万円となりました。
<空調設備工事関連事業>受注高は、北陸地区および首都圏において複数の大型工事を受注できたものの、首都圏において前期に過去最大規模の新築工事案件の受注があったことから、前期比4.6%減の167億24百万円となりました。
売上高は、首都圏において大型の新築工事が順調に進捗したことに加えて、ベトナムにおける設計・積算業務のうちBIM※業務の受託が好調であったことから、前期比19.1%増の150億67百万円となりました。営業利益は、売上高の増加に加えて、リニューアル工事において付加価値の高い提案が実施できたことから、前期比74.0%増の12億23百万円となりました。
※ Building Information Modelingの略で、3次元データによる建物の統括的な管理を可能にし、国土交通省の重点事業の一つとなっております。
<情報システム関連事業>受注高は、北陸地区において公共機関向け案件の受注が好調であったことから、前期比6.1%増の97億93百万円となりました。
売上高は、北陸地区での顧客への納入が順調であったことから、前期比12.3%増の99億16百万円となり、営業利益は前期比18.7%増の8億85百万円となりました。
また、2024年3月末時点での「POWER EGG®」の導入実績は前期比39社増の1,549社となり、累計ライセンス出荷数は59万ライセンスを超えました。特に、全国の金融機関における導入数は100行庫を突破しました。これからもお客様の利便性を訴求し、組織のDX化の推進や業務効率化をはじめとした活用事例の展開を図ることで、顧客満足度の向上および新規顧客の獲得に努めてまいります。
なお、ベトナム子会社のAureole Information Technology Inc.(以下 AIT)は、ビジネスエンジニアリング㈱からの資本受入を決定しました。同社製品およびソリューションのベトナムにおける展開に加えて、営業力・技術力の強化を図り、ビジネスを拡大してまいります。
<エネルギー関連事業>石油製品については、販売価格は、堅調に推移しました。販売数量は、一部顧客の稼働が低下したこと等により、減少しました。
民生用LPガスについては、販売価格は、前期並みとなりました。販売数量は、業務用や家庭用での需要が減少したものの、新規顧客の獲得が進んだことにより、前期並みとなりました。
以上により、全体の売上高は、前期比5.5%減の72億94百万円となりました。一方で、単位当たり利益が改善したことから、営業利益は前期比15.5%増の3億35百万円となりました。
なお、能登半島地震発生時においてライフラインの断絶により地域の生活に大きな支障が出ることが想定されました。子会社の三谷産業イー・シー㈱は、石川県に本社を置きガソリン等のサービスステーションを運営する㈱三谷サービスエンジン等と協力し、震災発生直後より、燃料や食料品等の生活必需品を手配し、被災された方々にいち早くお届けする支援活動を実施しました。
<化学品関連事業>国内における化成品販売については、甲信越地区において顧客の稼働が減少したことから、売上高は減少しました。
医薬品原薬については、自社製品において顧客の納入時期の変更により販売数量が減少したことから、売上高は減少しました。また、子会社のアクティブファーマ㈱は、富山県より「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」違反を理由とする業務改善命令を受けました。本件を厳粛に受け止め、全力を挙げ是正措置を講じ、再発防止に努めてまいります。なお、当企業集団の業績へ与える影響については、製品の品質検証等のための一時的な工場稼働の低下があったものの、すみやかに製造・出荷を再開したことから軽微でありました。
機能性素材の受託製造については、顧客の稼働が増加したことから、売上高は増加しました。
環境ビジネスについては、触媒原料の取扱量が減少したことから、売上高は減少しました。
ベトナムにおける化成品販売については、ベトナム北部および南部において顧客の稼働が減少したことから、売上高は減少しました。
以上により、全体の売上高は、顧客の稼働が減少したことを主要因に前期比1.8%減の369億76百万円となり、営業利益は前期比70.5%減の3億12百万円となりました。
また、子会社の㈱ミライ化成は、展開しているリサイクル炭素繊維事業において、「再生炭素繊維不織布を利用した高効率CFRTP※1加工技術の開発」が2023年度NEDO先導研究プログラム※2に採択されました。さらに、日本曹達㈱のグループ会社である日曹金属化学㈱と炭素繊維のリサイクル分野にて協業を開始しました。今後、リサイクル炭素繊維の社会実装および循環型社会の実現に向けて取り組んでまいります。
さらに、子会社の三谷産業イー・シー㈱は、化学品を中心とした受託加工機能と物流倉庫機能を持つ「製造・物流センター」(石川県金沢市)に「フードセンター」を増築し、本年1月15日に稼働を開始しました。今後、「製造・物流センター」の幅広い品目に対応する受託加工機能と物流倉庫機能を組み合わせた複合的な提案により、お客様の生産性の向上に貢献してまいります。
※1 再生炭素繊維不織布を用いた炭素繊維強化熱可塑性樹脂
※2 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の2023年度「脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラム[追加公募]」
<住宅設備機器関連事業>受注高は、首都圏において複数の大型案件を受注できたことにより、前期比2.8%増の159億83百万円となりました。
売上高は、首都圏において前期に受注した大型案件が完工したことから、前期比2.7%増の142億26百万円となりました。なお、新規ブランドのプロモーション活動に必要な費用計上が継続しているものの、当社グループの提案力とオリジナルブランド製品が評価され、都内最高級タワーマンションへの過去最大規模の納入など、注力してきた富裕層向けビジネスが着実に進展したことから、営業損失は2億97百万円に縮小しました(前期の営業損失は4億33百万円)。
なお、インテリアブランドの『Tesera®』は「令和5年度金沢かがやきブランド※(生活関連)」に認定されております。
また、高級バスタブブランドの『HIDEO』は、国際的に権威のあるドイツのデザイン賞「German Design Award 2024(エクセレントプロダクトデザイン-バス&ウェルネス部門)」において、新たに製品2モデルが優秀賞を受賞しております。同デザイン賞での受賞は昨年に受賞した2モデルに続き2年連続となります。
今後も、オリジナルブランド製品のより一層の認知度向上および拡販に努めてまいります。
※ 「金沢かがやきブランド」は、2006年から金沢市が主催し、伝統や文化を尊重しながら、地域の技術力や独創的なアイデアを活かして開発された製品を認定する制度です。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、56億2百万円(前連結会計年度は36億61百万円)の収入となりました。
主なプラス要因は、税金等調整前当期純利益31億75百万円、減価償却費21億12百万円、棚卸資産の減少額7億25百万円、仕入債務の増加額17億98百万円であります。
一方、主なマイナス要因は、売上債権の増加額20億98百万円、法人税等の支払額7億30百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、8億69百万円(前連結会計年度は14億45百万円)の支出となりました。
主な要因は、有形固定資産の取得による支出9億76百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、38億12百万円(前連結会計年度は15億39百万円)の支出となりました。
主な要因は、短期及び長期の借入金の純減額が合わせて27億66百万円、配当金の支払額5億54百万円であります。
これらの結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ10億93百万円増加し、77億17百万円となりました。
③受注及び販売の実績
a.受注実績
当連結会計年度の空調設備工事関連事業、情報システム関連事業および住宅設備機器関連事業の受注実績は、次のとおりであります。
(注)受注実績の金額は、セグメント間の内部受注高および受注残高を含めて記載しております。
b.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)販売実績の金額は、セグメント間の内部売上高を含めて記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度末における総資産残高は、948億69百万円(前連結会計年度末は863億9百万円)となり、前連結会計年度末に比べ85億60百万円増加いたしました。流動資産の残高は、現金及び預金13億43百万円の増加、受取手形及び売掛金8億26百万円の増加、電子記録債権8億58百万円の増加を主要因に前連結会計年度末に比べ35億54百万円増加し、458億50百万円となりました。固定資産の残高は、投資有価証券53億51百万円の増加を主要因に前連結会計年度末に比べ50億6百万円増加し、490億19百万円となりました。
当連結会計年度末における負債残高は、477億13百万円(前連結会計年度末は446億96百万円)となり、前連結会計年度末に比べ30億16百万円増加いたしました。流動負債の残高は、支払手形及び買掛金11億93百万円の増加、電子記録債務4億11百万円の増加、短期借入金13億23百万円の減少、未払法人税等4億80百万円の増加、流動負債のその他に含まれる未払費用6億22百万円の増加を主要因に前連結会計年度末に比べ25億84百万円増加し、364億27百万円となりました。固定負債の残高は、長期借入金11億75百万円の減少、繰延税金負債14億31百万円の増加を主要因に前連結会計年度末に比べ4億32百万円増加し、112億86百万円となりました。
当連結会計年度末における純資産残高は、471億56百万円(前連結会計年度末は416億12百万円)となり、前連結会計年度末に比べ55億43百万円増加いたしました。株主資本の残高は、前連結会計年度末に比べ15億14百万円増加し、343億96百万円となりました。その他の包括利益累計額の残高は、前連結会計年度末に比べ40億11百万円増加し、126億15百万円となりました。非支配株主持分の残高は、前連結会計年度末に比べ17百万円増加し、1億43百万円となりました。
これらの結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の48.1%から49.6%に増加し、1株当たりの純資産額は、前連結会計年度末の673円81銭から763円56銭に増加いたしました。
経営成績の状況につきましては、「第2 事業の状況」の「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況」の「3.事業等のリスク」をご参照ください。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
運転資金需要
当企業集団の運転資金需要のうち主なものは、売上債権の回収サイクルと仕入債務の支払サイクルのギャップおよび営業活動上において必要な棚卸資産に対する支出によるもののほか、人件費や手数料等の販売費及び一般管理費であります。
設備投資
設備投資につきましては、「第3 設備の状況」の「1.設備投資等の概要」をご参照ください。
資金管理
当企業集団は、事業運営上必要な資金の流動性と源泉を安定的に確保することを基本としております。
運転資金は自己資金および金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金およびリース債務等を含む有利子負債の残高は189億67百万円となっております。また当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は77億17百万円となっております。
資金は原則として当社で集中管理し、当企業集団内の余剰資金の有効活用を図っております。当企業集団内における新規の設備投資資金の調達については、諸条件を勘案し決定いたしますが、すべて当社の事前承認に基づいております。
経営者の問題意識と今後の方針
当企業集団における投資プロジェクトについては、採算面や投資回収面、リスク等を十分に検討したうえで決定しております。ここ数年は当企業集団の存在価値の向上を念頭に、付加価値の高い商品・製品・サービスの提供を図るべく、設備投資や子会社新設に積極的に取り組んでまいりました。
当企業集団は、今後とも、さらなる事業拡大と持続的な成長を図っていくため引き続き積極的な投資を実行していく方針であります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況」の「1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。
この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。
連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は「第5 経理の状況」の「1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載されているとおりであります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
本年1月1日に発生しました能登半島地震は、能登地方を中心に甚大な被害を及ぼしました。石川県に本社を構える当社としましては、震災発生直後に総額1億円の支援を表明し、冬期の被災地域における生活の復旧を最優先に、燃料、食器、家電などの当社グループ取扱品の提供、各自治体への義援金の寄附のほか、当社とつながりのある企業や個人の方々からお預かりした支援物資を能登地方の被災者および金沢近郊の二次避難者にお届けするなど、当連結会計年度において最大限の支援を実施させていただきました。
なお、復興支援に向けた予算の大部分を計上したことに加え、当該地域におけるお客様とのビジネスが一時的に停滞したほか、建物・設備の一部に物的被害があったものの、当企業集団の事業活動が順調に進捗したことから業績への影響は軽微でありました。
当社は創業以来、北陸地域の皆様と歩みを進めてまいりました。被災された皆様に一日も早く平穏な生活が戻ることを祈念するとともに、一層の支援に尽力してまいります。
業績面については、当連結会計年度の売上高は958億57百万円(前期比54億40百万円増 6.0%増)、営業利益は16億66百万円(前期比6億88百万円増 70.3%増)、経常利益は24億43百万円(前期比7億27百万円増 42.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は20億68百万円(前期比11億7百万円増 115.4%増)となりました。
売上高が前期比54億40百万円増加した要因は、以下のとおりエネルギー関連事業および化学品関連事業を除く4つの事業セグメントの増加によるものであります。
・樹脂・エレクトロニクス関連事業 +25億58百万円
・空調設備工事関連事業 +24億15百万円
・情報システム関連事業 +10億87百万円
・住宅設備機器関連事業 +3億73百万円
・エネルギー関連事業 △4億21百万円
・化学品関連事業 △6億79百万円
営業利益が前期比6億88百万円増加した要因は、以下のとおり化学品関連事業を除く5つの事業セグメントの増加によるものであります。
・樹脂・エレクトロニクス関連事業 +10億20百万円
・空調設備工事関連事業 +5億20百万円
・情報システム関連事業 +1億39百万円
・住宅設備機器関連事業 +1億35百万円
・エネルギー関連事業 +45百万円
・化学品関連事業 △7億47百万円
経常利益は、営業利益の増加を主要因に増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の増加および非上場株式に係る投資有価証券売却益の計上を主要因に増加しました。
(セグメントの状況)
営業利益の大きいセグメントの順に記載いたします。
セグメントごとの当社事業部門および子会社・関連会社につきましては、「第1 企業の概況」の「3.事業の内容」をご参照ください。
<樹脂・エレクトロニクス関連事業>売上高は、車載向け樹脂成形品の需要が回復したことに加えて、車載向け以外の新規案件の販売も順調に伸長したことから、前期比27.2%増の119億60百万円となりました。営業利益は、売上高の増加に加えて、工場稼働率の回復および生産効率化の推進により、前期比373.3%増の12億94百万円となりました。
<空調設備工事関連事業>受注高は、北陸地区および首都圏において複数の大型工事を受注できたものの、首都圏において前期に過去最大規模の新築工事案件の受注があったことから、前期比4.6%減の167億24百万円となりました。
売上高は、首都圏において大型の新築工事が順調に進捗したことに加えて、ベトナムにおける設計・積算業務のうちBIM※業務の受託が好調であったことから、前期比19.1%増の150億67百万円となりました。営業利益は、売上高の増加に加えて、リニューアル工事において付加価値の高い提案が実施できたことから、前期比74.0%増の12億23百万円となりました。
※ Building Information Modelingの略で、3次元データによる建物の統括的な管理を可能にし、国土交通省の重点事業の一つとなっております。
<情報システム関連事業>受注高は、北陸地区において公共機関向け案件の受注が好調であったことから、前期比6.1%増の97億93百万円となりました。
売上高は、北陸地区での顧客への納入が順調であったことから、前期比12.3%増の99億16百万円となり、営業利益は前期比18.7%増の8億85百万円となりました。
また、2024年3月末時点での「POWER EGG®」の導入実績は前期比39社増の1,549社となり、累計ライセンス出荷数は59万ライセンスを超えました。特に、全国の金融機関における導入数は100行庫を突破しました。これからもお客様の利便性を訴求し、組織のDX化の推進や業務効率化をはじめとした活用事例の展開を図ることで、顧客満足度の向上および新規顧客の獲得に努めてまいります。
なお、ベトナム子会社のAureole Information Technology Inc.(以下 AIT)は、ビジネスエンジニアリング㈱からの資本受入を決定しました。同社製品およびソリューションのベトナムにおける展開に加えて、営業力・技術力の強化を図り、ビジネスを拡大してまいります。
<エネルギー関連事業>石油製品については、販売価格は、堅調に推移しました。販売数量は、一部顧客の稼働が低下したこと等により、減少しました。
民生用LPガスについては、販売価格は、前期並みとなりました。販売数量は、業務用や家庭用での需要が減少したものの、新規顧客の獲得が進んだことにより、前期並みとなりました。
以上により、全体の売上高は、前期比5.5%減の72億94百万円となりました。一方で、単位当たり利益が改善したことから、営業利益は前期比15.5%増の3億35百万円となりました。
なお、能登半島地震発生時においてライフラインの断絶により地域の生活に大きな支障が出ることが想定されました。子会社の三谷産業イー・シー㈱は、石川県に本社を置きガソリン等のサービスステーションを運営する㈱三谷サービスエンジン等と協力し、震災発生直後より、燃料や食料品等の生活必需品を手配し、被災された方々にいち早くお届けする支援活動を実施しました。
<化学品関連事業>国内における化成品販売については、甲信越地区において顧客の稼働が減少したことから、売上高は減少しました。
医薬品原薬については、自社製品において顧客の納入時期の変更により販売数量が減少したことから、売上高は減少しました。また、子会社のアクティブファーマ㈱は、富山県より「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」違反を理由とする業務改善命令を受けました。本件を厳粛に受け止め、全力を挙げ是正措置を講じ、再発防止に努めてまいります。なお、当企業集団の業績へ与える影響については、製品の品質検証等のための一時的な工場稼働の低下があったものの、すみやかに製造・出荷を再開したことから軽微でありました。
機能性素材の受託製造については、顧客の稼働が増加したことから、売上高は増加しました。
環境ビジネスについては、触媒原料の取扱量が減少したことから、売上高は減少しました。
ベトナムにおける化成品販売については、ベトナム北部および南部において顧客の稼働が減少したことから、売上高は減少しました。
以上により、全体の売上高は、顧客の稼働が減少したことを主要因に前期比1.8%減の369億76百万円となり、営業利益は前期比70.5%減の3億12百万円となりました。
また、子会社の㈱ミライ化成は、展開しているリサイクル炭素繊維事業において、「再生炭素繊維不織布を利用した高効率CFRTP※1加工技術の開発」が2023年度NEDO先導研究プログラム※2に採択されました。さらに、日本曹達㈱のグループ会社である日曹金属化学㈱と炭素繊維のリサイクル分野にて協業を開始しました。今後、リサイクル炭素繊維の社会実装および循環型社会の実現に向けて取り組んでまいります。
さらに、子会社の三谷産業イー・シー㈱は、化学品を中心とした受託加工機能と物流倉庫機能を持つ「製造・物流センター」(石川県金沢市)に「フードセンター」を増築し、本年1月15日に稼働を開始しました。今後、「製造・物流センター」の幅広い品目に対応する受託加工機能と物流倉庫機能を組み合わせた複合的な提案により、お客様の生産性の向上に貢献してまいります。
※1 再生炭素繊維不織布を用いた炭素繊維強化熱可塑性樹脂
※2 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の2023年度「脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラム[追加公募]」
<住宅設備機器関連事業>受注高は、首都圏において複数の大型案件を受注できたことにより、前期比2.8%増の159億83百万円となりました。
売上高は、首都圏において前期に受注した大型案件が完工したことから、前期比2.7%増の142億26百万円となりました。なお、新規ブランドのプロモーション活動に必要な費用計上が継続しているものの、当社グループの提案力とオリジナルブランド製品が評価され、都内最高級タワーマンションへの過去最大規模の納入など、注力してきた富裕層向けビジネスが着実に進展したことから、営業損失は2億97百万円に縮小しました(前期の営業損失は4億33百万円)。
なお、インテリアブランドの『Tesera®』は「令和5年度金沢かがやきブランド※(生活関連)」に認定されております。
また、高級バスタブブランドの『HIDEO』は、国際的に権威のあるドイツのデザイン賞「German Design Award 2024(エクセレントプロダクトデザイン-バス&ウェルネス部門)」において、新たに製品2モデルが優秀賞を受賞しております。同デザイン賞での受賞は昨年に受賞した2モデルに続き2年連続となります。
今後も、オリジナルブランド製品のより一層の認知度向上および拡販に努めてまいります。
※ 「金沢かがやきブランド」は、2006年から金沢市が主催し、伝統や文化を尊重しながら、地域の技術力や独創的なアイデアを活かして開発された製品を認定する制度です。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、56億2百万円(前連結会計年度は36億61百万円)の収入となりました。
主なプラス要因は、税金等調整前当期純利益31億75百万円、減価償却費21億12百万円、棚卸資産の減少額7億25百万円、仕入債務の増加額17億98百万円であります。
一方、主なマイナス要因は、売上債権の増加額20億98百万円、法人税等の支払額7億30百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、8億69百万円(前連結会計年度は14億45百万円)の支出となりました。
主な要因は、有形固定資産の取得による支出9億76百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、38億12百万円(前連結会計年度は15億39百万円)の支出となりました。
主な要因は、短期及び長期の借入金の純減額が合わせて27億66百万円、配当金の支払額5億54百万円であります。
これらの結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ10億93百万円増加し、77億17百万円となりました。
③受注及び販売の実績
a.受注実績
当連結会計年度の空調設備工事関連事業、情報システム関連事業および住宅設備機器関連事業の受注実績は、次のとおりであります。
(単位:百万円) | ||||
セグメントの名称 | 受注高 | 前期比(%) | 受注残高 | 前期比(%) |
空調設備工事関連事業 | 16,724 | 95.4 | 18,905 | 109.6 |
情報システム関連事業 | 9,793 | 106.1 | 8,833 | 98.6 |
住宅設備機器関連事業 | 15,983 | 102.8 | 14,468 | 113.8 |
(注)受注実績の金額は、セグメント間の内部受注高および受注残高を含めて記載しております。
b.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円) | ||
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 前期比(%) |
樹脂・エレクトロニクス関連事業 | 11,960 | 127.2 |
空調設備工事関連事業 | 15,067 | 119.1 |
情報システム関連事業 | 9,916 | 112.3 |
エネルギー関連事業 | 7,294 | 94.5 |
化学品関連事業 | 36,976 | 98.2 |
住宅設備機器関連事業 | 14,226 | 102.7 |
その他 | 2,532 | 103.0 |
合計 | 97,973 | 105.8 |
(注)販売実績の金額は、セグメント間の内部売上高を含めて記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度末における総資産残高は、948億69百万円(前連結会計年度末は863億9百万円)となり、前連結会計年度末に比べ85億60百万円増加いたしました。流動資産の残高は、現金及び預金13億43百万円の増加、受取手形及び売掛金8億26百万円の増加、電子記録債権8億58百万円の増加を主要因に前連結会計年度末に比べ35億54百万円増加し、458億50百万円となりました。固定資産の残高は、投資有価証券53億51百万円の増加を主要因に前連結会計年度末に比べ50億6百万円増加し、490億19百万円となりました。
当連結会計年度末における負債残高は、477億13百万円(前連結会計年度末は446億96百万円)となり、前連結会計年度末に比べ30億16百万円増加いたしました。流動負債の残高は、支払手形及び買掛金11億93百万円の増加、電子記録債務4億11百万円の増加、短期借入金13億23百万円の減少、未払法人税等4億80百万円の増加、流動負債のその他に含まれる未払費用6億22百万円の増加を主要因に前連結会計年度末に比べ25億84百万円増加し、364億27百万円となりました。固定負債の残高は、長期借入金11億75百万円の減少、繰延税金負債14億31百万円の増加を主要因に前連結会計年度末に比べ4億32百万円増加し、112億86百万円となりました。
当連結会計年度末における純資産残高は、471億56百万円(前連結会計年度末は416億12百万円)となり、前連結会計年度末に比べ55億43百万円増加いたしました。株主資本の残高は、前連結会計年度末に比べ15億14百万円増加し、343億96百万円となりました。その他の包括利益累計額の残高は、前連結会計年度末に比べ40億11百万円増加し、126億15百万円となりました。非支配株主持分の残高は、前連結会計年度末に比べ17百万円増加し、1億43百万円となりました。
これらの結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の48.1%から49.6%に増加し、1株当たりの純資産額は、前連結会計年度末の673円81銭から763円56銭に増加いたしました。
経営成績の状況につきましては、「第2 事業の状況」の「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況」の「3.事業等のリスク」をご参照ください。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
運転資金需要
当企業集団の運転資金需要のうち主なものは、売上債権の回収サイクルと仕入債務の支払サイクルのギャップおよび営業活動上において必要な棚卸資産に対する支出によるもののほか、人件費や手数料等の販売費及び一般管理費であります。
設備投資
設備投資につきましては、「第3 設備の状況」の「1.設備投資等の概要」をご参照ください。
資金管理
当企業集団は、事業運営上必要な資金の流動性と源泉を安定的に確保することを基本としております。
運転資金は自己資金および金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金およびリース債務等を含む有利子負債の残高は189億67百万円となっております。また当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は77億17百万円となっております。
資金は原則として当社で集中管理し、当企業集団内の余剰資金の有効活用を図っております。当企業集団内における新規の設備投資資金の調達については、諸条件を勘案し決定いたしますが、すべて当社の事前承認に基づいております。
経営者の問題意識と今後の方針
当企業集団における投資プロジェクトについては、採算面や投資回収面、リスク等を十分に検討したうえで決定しております。ここ数年は当企業集団の存在価値の向上を念頭に、付加価値の高い商品・製品・サービスの提供を図るべく、設備投資や子会社新設に積極的に取り組んでまいりました。
当企業集団は、今後とも、さらなる事業拡大と持続的な成長を図っていくため引き続き積極的な投資を実行していく方針であります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況」の「1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。
この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。
連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は「第5 経理の状況」の「1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載されているとおりであります。