有価証券報告書-第94期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/18 14:23
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【項目】
171項目
業績等の概要
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
業績面については、当連結会計年度の売上高は857億32百万円(前期比49億13百万円増 6.1%増)、営業利益は23億35百万円(前期比68百万円減 2.9%減)、経常利益は29億48百万円(前期比24百万円減 0.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は20億6百万円(前期比1億17百万円減 5.6%減)となりました。
売上高が前期比49億13百万円増加した主な要因は、以下のとおりすべてのセグメントにおける増加であります。
・化学品関連事業 23億44百万円
・樹脂・エレクトロニクス関連事業 13億12百万円
・情報システム関連事業 6億88百万円
・住宅設備機器関連事業 4億67百万円
・空調設備工事関連事業 3億37百万円
・エネルギー関連事業 1億31百万円
営業利益が前期比68百万円減少した主な要因は、以下のとおり樹脂・エレクトロニクス関連、エネルギー関連および住宅設備機器関連事業における減少を、その他のセグメントにおける増加で補うことができなかったためであります。
・樹脂・エレクトロニクス関連事業 △3億17百万円
・エネルギー関連事業 △34百万円
・住宅設備機器関連事業 △21百万円
・情報システム関連事業 98百万円
・空調設備工事関連事業 1億52百万円
・化学品関連事業 2億46百万円
経常利益は、営業利益の減少を主要因に減少しました。親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の減少および過年度法人税等の計上を主要因に減少しました。
(セグメントの状況)
営業利益の大きいセグメントの順に記載いたします。
セグメントごとの当社事業部門および子会社・関連会社につきましては、「第1 企業の概況」の「3.事業の内容」をご参照ください。
<化学品関連事業>国内における化成品販売については、基礎化学品の納入量増および単価上昇に加えて、西日本地区での販売が好調であったことから、売上高は増加しました。
医薬品原薬については、顧客での自社製品の本格採用により販売数量が増加したことから、売上高は増加しました。
機能性素材の受託製造については、一部の既存製品の受託契約が終了したことから、売上高は減少しました。
環境ビジネスについては、金属回収において物流の改善およびパートナー企業数の拡大により販売数量が増加したことから、売上高は増加しました。
ベトナムにおける化成品販売については、南部での既存顧客向けの販売が堅調であったものの、北部の主要既存顧客における失注があったことから、売上高は減少しました。
以上により、全体の売上高は前期比7.7%増の327億16百万円、営業利益は前期比19.1%増の15億43百万円となりました。
<空調設備工事関連事業>受注高は、首都圏において大型リニューアル工事を獲得できたことに加えて、北陸地区において大型新築工事を獲得できたことから、前期比24.1%増の127億98百万円となりました。
売上高は、首都圏において新築・リニューアル工事が順調に進捗したことに加えて、ベトナムにおける設計・積算業務の受託が好調であったことから、前期比3.4%増の102億88百万円となりました。営業利益は、首都圏・北陸地区ともに大型新築・リニューアル工事での効率化が図れたことから、前期比18.5%増の9億73百万円となりました。
<情報システム関連事業>受注高は、オリジナルソリューションである「POWER EGG®」の民間企業・金融機関向け受注が好調であったことに加えて、複数の大型システムインテグレーション案件を獲得できたことから、前期比10.2%増の72億28百万円となりました。
売上高は、「POWER EGG®」の販売が好調であったことに加えて、「POWER EGG®」を軸としたシステムインテグレーションサービスも好調であったこと、さらに民間企業への次期システム更新に向けた大型ハードウエア案件が増加したことから前期比11.2%増の68億22百万円、営業利益は前期比13.1%増の8億49百万円となりました。
なお、2019年3月末時点での「POWER EGG®」の導入実績は、前期比52社増の1,323社となりました。
<エネルギー関連事業>産業用燃料については、販売価格は前期に比べ原油価格が高値で推移したことから高水準となりました。販売数量は、主力のA・C重油、灯油を中心に暖冬による需要の減退および販売競争の激化の影響を受けて低迷を余儀なくされました。
民生用LPガスについては、販売価格は、LPガス輸入価格が通期では前期に比べ高値基調となった結果、強含みで推移しました。販売数量は、主力の集合住宅・戸建て住宅向けを中心に、新規顧客獲得による増加があったものの、暖冬による需要の落ち込みにより減少しました。
以上により、全体の売上高は、産業用燃料における販売価格の上昇により前期比2.3%増の58億79百万円となりました。一方で、営業利益は、民生用LPガスの原価上昇と販売数量の減少により、前期比12.3%減の2億46百万円となりました。
<樹脂・エレクトロニクス関連事業>売上高は、プリント基板の製造・販売が前期並みに推移し、さらに車載向け樹脂成形品の量産が伸長したことから、前期比7.5%増の187億28百万円となりました。一方で、営業利益は、プリント基板製造の原価上昇に加えて、車載向け樹脂成形品製造における樹脂材料価格の上昇等があったことから、前期比58.1%減の2億28百万円となりました。
なお、2018年4月に新しい広島事業所が完成し、操業を開始しました。ベトナム量産工場における「良品しかつくれない製造工程」確立に向けて、トライアルセンターを有するマザー工場としての機能を強化しています。
<住宅設備機器関連事業>受注高は、首都圏において大型の集合住宅向けキッチン・洗面化粧台案件を獲得できたことに加えて、北陸地区において大型ホテル案件を獲得できたことから、前期比14.7%増の140億48百万円となりました。
売上高は、首都圏および北陸地区において納入物件の完工・引き渡しが順調に進んだことから前期比3.8%増の128億57百万円となりました。一方で、営業利益は、首都圏および北陸地区において新製品の開発や新サービスの販売体制強化による人件費ならびにブランドの認知度向上のための広告宣伝費、展示会出展費用等が増加したことから前期比10.4%減の1億82百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、41億53百万円(前連結会計年度は16億36百万円)の収入となりました。
主なプラス要因は、税金等調整前当期純利益32億42百万円、減価償却費16億96百万円、仕入債務の増加額10億48百万円であります。
一方、主なマイナス要因は、法人税等の支払額10億61百万円、たな卸資産の増加額6億87百万円、売上債権の増加額5億86百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、41億63百万円(前連結会計年度は53億89百万円)の支出となりました。
主な要因は、有形固定資産の取得による支出24億63百万円、連結の範囲の変更を伴う関係会社出資金の売却による支出8億3百万円、投資有価証券の取得による支出5億90百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、7億84百万円の支出(前連結会計年度は49億35百万円の収入)となりました。
主な要因は、株式の発行による収入15億64百万円、短期及び長期の借入金の純減額が合わせて14億30百万円であります。
これらの結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ7億16百万円減少し、56億4百万円となりました。
③受注及び販売の実績
a.受注実績
当連結会計年度の空調設備工事関連事業、情報システム関連事業および住宅設備機器関連事業の受注実績は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
セグメントの名称受注高前期比(%)受注残高前期比(%)
空調設備工事関連事業12,798124.112,058126.3
情報システム関連事業7,228110.24,763109.3
住宅設備機器関連事業14,048114.711,673111.4

(注)1.受注実績の金額は、セグメント間の内部受注高および受注残高を含めて記載しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前期比(%)
化学品関連事業32,716107.7
空調設備工事関連事業10,288103.4
情報システム関連事業6,822111.2
エネルギー関連事業5,879102.3
樹脂・エレクトロニクス関連事業18,728107.5
住宅設備機器関連事業12,857103.8
その他1,744102.7
合計89,036106.4

(注)1.販売実績の金額は、セグメント間の内部売上高を含めて記載しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
富士通株式会社9,81211.79,49110.7

3.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。
当社は、連結財務諸表の作成において必要な見積りについては、過去の実績やその時点で入手可能な情報等を勘案したうえで行っておりますが、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当連結会計年度末の財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産残高は、723億56百万円(前連結会計年度末は718億14百万円)となり、前連結会計年度末に比べ5億42百万円増加いたしました。流動資産の残高は、現金及び預金の3億90百万円の減少、完成工事未収入金4億14百万円の減少、商品及び製品3億34百万円の減少、原材料及び貯蔵品7億44百万円の減少、流動資産のその他に含まれる未収入金14億59百万円の増加を主要因に前連結会計年度末に比べ2億53百万円増加し、373億46百万円となりました。一方、固定資産の残高は、投資有価証券19億71百万円の増加、建設仮勘定8億64百万円の減少を主要因に前連結会計年度末に比べ2億89百万円増加し、350億9百万円となりました。
当連結会計年度末における負債残高は、365億39百万円(前連結会計年度末は385億67百万円)となり、前連結会計年度末に比べ20億28百万円減少いたしました。流動負債の残高は、短期借入金10億99百万円の減少を主要因に前連結会計年度末に比べ9億27百万円減少し、320億8百万円となりました。一方、固定負債の残高は、長期借入金9億23百万円の減少を主要因に前連結会計年度末に比べ11億0百万円減少し、45億30百万円となりました。
当連結会計年度末における純資産残高は、358億17百万円(前連結会計年度末は332億46百万円)となり、前連結会計年度末に比べ25億70百万円増加いたしました。株主資本の残高は、前連結会計年度末に比べ30億95百万円増加し、290億64百万円となりました。一方、その他の包括利益累計額の残高は、前連結会計年度末に比べ8億90百万円増加し、50億75百万円となりました。また、非支配株主持分の残高は、前連結会計年度末に比べ14億15百万円減少し、16億77百万円となりました。
これらの結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の42.0%から47.2%に増加し、1株当たりの純資産額は、前連結会計年度末の529円26銭から554円48銭に増加いたしました。
b.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況」の「2.事業等のリスク」をご参照ください。
c.資本の財源及び資金の流動性について
運転資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、売上債権の回収サイクルと仕入債務の支払サイクルのギャップおよび営業活動上において必要なたな卸資産に対する支出によるもののほか、人件費や手数料等の販売費及び一般管理費であります。
設備投資
設備投資につきましては、「第3 設備の状況」の「1.設備投資等の概要」をご参照ください。
資金管理
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と源泉を安定的に確保することを基本としております。
運転資金は自己資金および金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。当連結会計年度においては、2018年6月11日に公募増資により、4,000,000株の新株式を発行し、13億75百万円の資金調達を行いました。また、2018年7月10日にオーバーアロットメントによる当社株式の売出しに関連した第三者割当増資により、596,500株の新株式を発行し、2億5百万円の資金調達を行いました。
なお、当連結会計年度末における借入金およびリース債務等を含む有利子負債の残高は151億0百万円となっております。また当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は56億4百万円となっております。
資金は原則として当社で集中管理し、当社グループ内の余剰資金の有効活用を図っております。当社グループ内における新規の設備投資資金の調達については、諸条件を勘案し決定いたしますが、全て当社の事前承認に基づいております。
d.経営者の問題意識と今後の方針について
当企業集団における投資プロジェクトについては、採算面や投資回収面、リスク等を十分に検討したうえで決定しております。ここ数年は当企業集団の存在価値の向上を念頭に、付加価値の高い商品・製品・サービスの提供を図るべく、設備投資や子会社新設に積極的に取り組んでまいりました。
当企業集団は、今後とも、さらなる事業拡大と持続的な成長を図っていくため引き続き積極的な投資を実行する一方、これまでの投資成果としての営業活動によるキャッシュ・フローの増大を図り、適切に有利子負債を削減していく方針であります。