有価証券報告書-第63期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 14:27
【資料】
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【項目】
147項目
文中における将来に関する事項は、別段の記載のない限り当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
(1) 経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用環境や企業収益の改善などにより緩やかな回復基調で推移していたものの、会計年度末には新型コロナウイルス感染症拡大の影響で急速に減速しました。一方、海外経済も、同様に新型コロナウイルス感染症が急速に拡大した影響で経済活動が停滞し、先行きが見通せない状況となっております。
このような環境のもと、当社グループの主要顧客である自動車関連企業では、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う世界的な減産の影響が第4四半期であったことから、当連結会計年度のワールドワイドでの自動車生産におきましては微減となりました。
当社グループにおきましては、総力をあげて売上高の伸長に努めるとともに、継続的なコスト抑制を推進し、収益の維持に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は1,282億6百万円(前期比7.7%増)となり、営業利益は41億73百万円(前期比3.4%減)、経常利益は40億93百万円(前期比4.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は27億16百万円(前期比3.2%減)となりました。
(デバイス事業)
デバイス事業におきましては、電子制御が進む自動車向けシステムLSIなどの半導体や電子部品の販売及び技術支援、組込システムのPoC開発支援や受託開発事業を行っております。
当連結会計年度におきましては、第4四半期には新型コロナウイルス感染症拡大による自動車生産台数減少の影響を受けたものの、全体としては自動車生産台数が国内生産を中心に堅調に推移したことや、先進運転支援システム搭載車両や電動車両の各納入部品の需要が増加した結果、デバイス事業の売上高は、1,037億円(前期比8.4%増)、営業利益は26億74百万円(前期比6.8%減)となりました。
(ソリューション事業)
ソリューション事業におきましては、IT機器、組込機器及び計測機器の販売からITプラットフォーム基盤構築及びIoTシステムの提案に加え、FAシステムや特殊計測システムの設計・製造・販売及び産業用コンピュータの開発・製造・販売を行っております。
当連結会計年度におきましては、主要顧客の情報化投資需要や設備投資需要を的確に捉えた営業活動を展開するとともに、積極的な提案活動を実施した結果、会計年度末には新型コロナウイルス感染症拡大による設備投資・情報化投資抑制の影響を受けたものの、IT分野、組込分野、計測分野ともに堅調に推移し、ソリューション事業の売上高は245億5百万円(前期比5.0%増)、営業利益は14億98百万円(前期比3.4%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ2億45百万円増加し77億53百万円となりました。
a.営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果、獲得した資金は10億92百万円(前連結会計年度比6億72百万円の増加)となりました。
これは主に、たな卸資産の増加額25億9百万円がありましたが、税金等調整前当期純利益40億87百万円があったためであります。
b.投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果、使用した資金は2億74百万円(前連結会計年度比1億55百万円の減少)となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出1億23百万円、投資有価証券の取得による支出78百万円及び無形固定資産の取得による支出42百万円があったためであります。
c.財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果、使用した資金は5億19百万円(前連結会計年度は10億37百万円の獲得)となりました。
これは主に、長期借入れによる収入17億50百万円がありましたが、短期借入金の減少額3億88百万円、長期借入金の返済による支出9億25百万円及び配当金の支払額9億29百万円があったためであります。
③生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(百万円)前期比(%)
デバイス事業3,536+24.2
ソリューション事業4,241△20.0
7,777△4.6

(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称仕入高(百万円)前期比(%)
デバイス事業95,069+11.8
ソリューション事業15,997△1.1
111,066+9.8

(注)1 金額は、仕入価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)
デバイス事業104,729+9.14,568+29.1
ソリューション事業23,706+2.22,752△22.5
128,436+7.77,320+3.2

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)
デバイス事業103,700+8.4
ソリューション事業24,505+5.0
128,206+7.7

(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績に対する割合
相手先前連結会計年度当連結会計年度
販売高(百万円)割合(%)販売高(百万円)割合(%)
株式会社デンソー66,95456.370,42754.9

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.売上高及び営業利益
当連結会計年度の売上高は、デバイス事業、ソリューション事業とも堅調に推移し、前連結会計年度に比べ91億84百万円増加し1,282億6百万円となりました。
売上総利益は前連結会計年度に比べ5億18百万円増加し127億14百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ6億65百万円増加し85億41百万円となりました。
営業利益は、売上総利益の増加を販売費及び一般管理費の増加が上回ったため、前連結会計年度に比べ1億46百万円減少し41億73百万円となりました。
(デバイス事業)
デバイス事業におきましては、自動車生産台数が、第4四半期には新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて減少したものの、通期では比較的堅調に推移したことに加え、先進運転支援システムや車載インフォテインメントシステム用半導体・電子部品の需要拡大や商流の受入、堅調な組込ソフトウェアの受託開発などに支えられ、当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べ80億8百万円増加し、1,037億円となりました。
その一方で、販売費及び一般管理費において成長戦略に基づく人的投資や商流の受入に伴う費用が大きく増加したことにより、営業利益は前連結会計年度に比べ1億95百万円減少し26億74百万円となりました。
(ソリューション事業)
ソリューション事業におきましては、IT分野ではWindows7のサポート終了に伴うパソコン及びサーバー機器の更新需要やセキュリティ領域での需要拡大などを取り込み、組込分野では好調な物流搬送機や半導体製造装置市場を中心とした顧客の堅調な生産に支えられたことにより、第4四半期には新型コロナウイルス感染症拡大による設備投資・情報化投資抑制の影響を一部受けたものの、当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べ11億8百万円増加し、245億5百万円となりました。
また、人的投資などにより販売費及び一般管理費は増加しましたが、営業利益は前連結会計年度に比べ49百万円増加し、14億98百万円となりました。
b.経常利益
営業外収益は、前連結会計年度に比べ22百万円増加し1億5百万円となりました。
営業外費用は、為替の変動が当社グループの外貨建て取引に対し不利な状況であったため為替差損が44百万円増加したこと等により、前連結会計年度に比べ58百万円増加し1億84百万円となりました。
この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ1億82百万円減少し40億93百万円となりました。
c.特別利益
特別利益は、前連結会計年度に比べ2百万円減少し1百万円となりました。
d.特別損失
特別損失は、前連結会計年度に比べ14百万円減少し7百万円となりました。
e.親会社株主に帰属する当期純利益
税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ1億69百万円減少し40億87百万円となりました。
税効果会計適用後の法人税等負担額は、主に課税所得の減少の影響によって前連結会計年度に比べ1億21百万円減少し13億11百万円となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ89百万円減少し27億16百万円となりました。
②財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.資産
資産合計は、前連結会計年度末に比べて51億13百万円増加し682億93百万円となりました。
流動資産は、49億54百万円増加し629億71百万円となりました。主な増減は、商品及び製品が、デバイス事業において商流の受入があったこと等により26億96百万円と大幅に増加しました。また、当連結会計年度末の特殊要因として、その他が25億83百万円増加しております。これは、デバイス事業において発生したクレーム関連費用について、仕入先からの回収予定額25億10百万円を未収入金として計上したためであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて1億59百万円増加し53億21百万円となりました。
b.負債
負債合計は、前連結会計年度末に比べて34億47百万円増加し331億78百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べて22億32百万円増加し274億62百万円となりました。主な増減は、前連結会計年度末が金融機関の休日であったことにより決済が4月1日であったことによる電子記録債務の減少9億6百万円、未払法人税等の減少8億64百万円、支払手形及び買掛金の増加20億10百万円、未払金の増加27億97百万円であります。未払金の増加は、当連結会計年度末の特殊要因として、デバイス事業において発生したクレーム関連費用について、得意先への支払予定額25億10百万円を計上したためであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて12億15百万円増加し57億15百万円となりました。主な増減は、借り替え及び短期借入金からのシフトによる長期借入金の増加11億15百万円であります。
c.純資産
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて16億65百万円増加し351億14百万円となりました。主な増減は、親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加27億16百万円、配当の支払いによる利益剰余金の減少9億27百万円であります。
この結果、上記b.負債で記載した一時的な負債増加要因もあり、自己資本比率は1.3ポイント悪化し48.4%(前連結会計年度末は49.7%)となりました。
③資本の財源及び資金の流動性
a.当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ2億45百万円増加し77億53百万円となりました。
・営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動により獲得した資金につきましては、税金等調整前当期純利益40億87百万円に対し、商流の受入等を要因とするたな卸資産の増加額25億9百万円、法人税等の支払額17億40百万円等の収入減少要因がありましたが、仕入債務の増加額11億4百万円等の収入増加要因により、10億92百万円の収入(前連結会計年度は4億19百万円の収入)となりました。
・投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動により使用した資金につきましては、事業所拡大に伴う設備投資等の有形固定資産の取得による支出1億57百万円、製造現場管理システムや社内サーバーの仮想化基盤構築等の無形固定資産の取得による支出42百万円及びソリューション事業における業務・資本提携があったこと等による投資有価証券の取得78百万円を実施しました。その結果、2億74百万円の支出(前連結会計年度は4億30百万円の収入)となりました。
・財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動により使用した資金につきましては、借り替え及び短期借入金からのシフトによる新規長期借入金の調達17億50百万円を実施しました。支出面では、短期借入金の減少額3億88百万円、長期借入金の返済額9億25百万円、配当金の支払額9億29百万円があり、結果、5億19百万円の支出(前連結会計年度は10億37百万円の収入)となりました。
b.財務政策
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。投資活動に関する資金需要としては、業容拡大に伴う事業所設備や社内システム等の設備投資等であります。
必要な資金については、内部資金のほか、調達コストと財務体質とのバランスを勘案しながら、借入金、売掛債権の流動化による調達に加え、資本増強等を組み合わせて調達しております。
また、機動的かつ安定的な資金調達枠確保のため、取引銀行3行と合計50億円のコミットメントライン契約を締結しております(当連結会計年度末の借入未実行残高50億円)。
株主還元につきましては、財務の健全性等を総合的に勘案しながら、業績に裏付けられた成果の配分を基本方針として実施しており、連結配当性向30%を目途としております。
④経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成状況
各指標において、「2018年度中期経営計画(2018年度~2020年度)」における最終年度である2021年3月期の目標達成に向け、2020年3月期までは着実に成果や業績を積み上げることができましたが、提出日現在において、新型コロナウイルス感染症の収束時期及び当社グループへの影響を予測することは困難であります。そのため、外部情報源からの情報等に基づき2021年3月期の一定期間にわたり当該感染症の影響が継続するものとの仮定の下、2021年3月期の連結業績予想を算定中であります。
指標2019年3月期 実績値2020年3月期 実績値2021年3月期 目標値
連結売上高1,190億21百万円1,282億20百万円1,300億円
連結営業利益43億19百万円41億73百万円43億円
ROE9.3%8.4%8.5%

⑤重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5「経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」にて記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響の不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが困難でありますが、連結会計年度末時点で入手可能な情報を基に検討等を実施しております。
a.収益の認識基準
当社グループの売上高は、物品販売については出荷基準、役務提供については検収基準に基づき売上を計上しております。また、請負契約等のうち進捗部分について成果の確実性が認められる場合については、その進捗度に応じ工事進行基準にて計上しております。
b.たな卸資産の評価基準
当社グループが販売するたな卸資産は市場の需給の影響を受け、市場価格が低下する場合があるため、評価基準として、原価法(収益性の低下に基づく簿価切り下げの方法)を採用しております。
なお、営業循環外のたな卸資産については、規則的に帳簿価額を切り下げる方法としております。当社グループが保有するたな卸資産の販売状況が悪化し滞留在庫が増大した場合には多額の評価損を計上する場合があります。
c.繰延税金資産の回収可能性の評価
当社グループは、繰延税金資産について、将来の回収可能性を十分に検討し、回収可能な額を計上しておりますが、繰延税金資産は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額が減少した場合には繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
d.固定資産の減損処理
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候が見られる資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上します。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。