有価証券報告書-第64期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
文中における将来に関する事項は、別段の記載のない限り当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
(1) 経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、上半期は新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受けて経済活動が停滞したものの、下半期においては厳しい状況の中、経済活動に徐々に持ち直しの動きもみられました。海外経済においては、各国の感染症対策により、経済活動に回復の動きがみられる地域があった一方、感染の再拡大による下振れリスクも存在し、まだら模様ながら先行きは不透明な状況で推移してまいりました。
このような環境のもと、当社グループの主要ユーザーである自動車関連企業では、上半期は新型コロナウイルス感染症拡大に伴う世界的な減産の影響を受けたものの、下半期に入り生産活動は回復基調に転じました。
当社グループにおきましては、総力をあげて売上高の伸長に努めるとともに、継続的なコスト抑制を推進し、収益の維持に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は1,278億30百万円(前期比0.3%減)となり、営業利益は34億68百万円(前期比16.9%減)、経常利益は35億56百万円(前期比13.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は23億14百万円(前期比14.8%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりです。
(デバイス事業)
デバイス事業におきましては、電子制御が進む自動車向けシステムLSIなどの半導体や電子部品の販売及び技術支援、ソフトウェア事業、組込システムのPoC(概念実証)開発支援や受託開発事業を行っております。
当連結会計年度におきましては、ワールドワイドでの自動車生産台数が、上半期は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け前期と比較して減少したものの、下半期では、前期を上回り堅調に推移したことや商流移管分が増加した結果、デバイス事業の売上高は1,059億5百万円(前期比2.1%増)、営業利益は物流費や材料費高騰による売上原価への影響もあり、21億64百万円(前期比19.1%減)となりました。
(ソリューション事業)
ソリューション事業におきましては、IT機器、組込機器及び計測機器の販売からITプラットフォーム基盤構築及びIoTシステムの提案に加え、FAシステムや特殊計測システムの設計・製造・販売及び産業用コンピュータの開発・製造・販売を行っております。
当連結会計年度におきましては、自動車業界のCASEに向けた先行開発投資分野への計測機器営業活動、物流システム及び半導体製造装置製造業への組込機器営業活動を展開し、計測分野及び組込分野が堅調に推移したものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により主要ユーザーである自動車関連を中心とした企業のIT投資は慎重な姿勢のまま推移した結果、ソリューション事業の売上高は219億24百万円(前期比10.5%減)、営業利益は13億3百万円(前期比13.0%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ19億60百万円増加し97億13百万円となりました。
a.営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果、獲得した資金は8億87百万円(前連結会計年度比2億4百万円の減少)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益35億93百万円、仕入債務の増加額39億67百万円がありましたが、売上債権の増加額58億49百万円があったためであります。
b.投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果、使用した資金は69百万円(前連結会計年度比2億4百万円の減少)となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出1億23百万円がありましたが、投資有価証券の売却による収入1億19百万円があったためであります。
c.財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果、獲得した資金は11億65百万円(前連結会計年度は5億19百万円の使用)となりました。
これは主に、長期借入による収入24億円がありましたが、配当金の支払額7億49百万円、長期借入金の返済による支出6億円があったためであります。
③生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績及びたな卸資産残高をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額は、仕入価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.受注実績
当連結会計年度において受注残高が著しく増加しております。
これは主に、当社グループの主要得意先である自動車関連企業の生産活動が、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響から回復基調にあることによるものです。
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績に対する割合
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.売上高
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ3億75百万円減少し1,278億30百万円となりました。
2018年度中期経営計画で掲げた、2020年度の連結売上高目標の1,300億円の達成はできませんでしたが、グローバルでの新型コロナウイルス感染症拡大の影響を事業の広範に受けた上半期に対し、下半期実績は前連結会計年度の下半期を上回り、通年での影響を最小限にとどめられました。
新型コロナウイルス感染症の影響によって営業活動に多くの制約を受けましたが、前中期経営計画の戦略を着実に実行してきたことに加え、長年の活動の中で培ってきた技術力、提案力によって、コロナ禍における得意先ニーズを発掘し、取り込めたことが奏功したと考えております。
(デバイス事業)
デバイス事業におきましては、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ22億4百万円増加し、1,059億5百万円となりました。
当連結会計年度において上半期は新型コロナウイルス感染症拡大による当社主要顧客である自動車関連企業の生産減少の影響を大きく受けましたが、下半期から年度末にかけて急激な生産回復に加えて、商流移管や採用品の展開による増加などもあり、通年では前連結会計年度を上回る売上高を確保いたしました。
足元は半導体製品の需給が逼迫している状況にあり、先行き不透明な状況でありますが、当社グループでは、平時より確保しているBCP在庫(災害発生時にも顧客に供給を継続するための棚卸資産)の活用や、得意先及び仕入先との綿密な情報共有によりサプライチェーンの維持に注力し、総力を挙げて安定的な商品供給に努めてまいります。
(ソリューション事業)
ソリューション事業におきましては、当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べ25億80百万円減少し、219億24百万円となりました。
IT分野は新型コロナウイルス感染症拡大の影響による顧客の投資意欲抑制の影響を大きく受け売上高が減少いたしました。組込分野では得意先業種により偏りが見られ、工作機械業界向けが減少した一方、市場環境が比較的堅調であった搬送機業界向けの案件獲得に注力した結果、売上高は微減にとどまりました。また計測分野は、顧客における導入計画が比較的長期視点で検討されており、案件消失等の影響がなかったことから売上高は増加いたしました。
新型コロナウイルス感染症の影響は今後も不透明でありますが、新中期経営計画に掲げた戦略、施策を着実に実行し、事業の成長につなげてまいります。
b.売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べ4億50百万円増加し1,159億41百万円となりました。
これは主にデバイス事業における半導体部品の材料費高騰などの影響を受けたことによるものです。
また当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ1億21百万円減少し84億20百万円となりました。
新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、従業員の移動を伴う業務を抑制して旅費交通費が大きく減少した一方、代替としてリモートワークを推進したことに伴い、ネットワーク環境の増強や一部業務の電子化を図ったことによりシステム関連費用が増加しました。また、年度後半において自動車関連顧客の生産活動が急回復し、半導体部品を中心として需給の逼迫状況に対応するため輸送コストが増大いたしました。
この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ7億4百万円減少し34億68百万円となりました。
c.営業外収益、営業外費用、経常利益
営業外収益は、為替の変動が当社グループの外貨建て取引に対し有利な状況であったため為替差益が37百万円増加したこと等により、前連結会計年度に比べ1億7百万円増加し2億12百万円となりました。
営業外費用は、為替の変動が当社グループの外貨建て取引に対し有利な状況であったため為替差損が72百万円減少したこと等により、前連結会計年度に比べ59百万円減少し1億24百万円となりました。
この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ5億37百万円減少し35億56百万円となりました。
d.特別利益
特別利益は、投資株式の保有合理性の検証を行い当連結会計年度末までに4銘柄の売却を行ったこと等により、前連結会計年度に比べ35百万円増加し37百万円となりました。
e.特別損失
特別損失は、前連結会計年度に比べ7百万円減少し0百万円となりました。
f.親会社株主に帰属する当期純利益
税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ4億94百万円減少し35億93百万円となりました。
税効果会計適用後の法人税等負担額は、主に課税所得の減少の影響によって前連結会計年度に比べ86百万円減少し12億25百万円となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ4億1百万円減少し23億14百万円となりました。
前中期経営計画の目標値であった「ROE8.5%」については下回りましたが、新中期経営計画の経営目標の達成に向けて諸施策を推進してまいります。
②財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.資産
資産合計は、前連結会計年度末に比べて50億48百万円増加し733億42百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べて47億82百万円増加し677億53百万円となりました。主な増減は、商品及び製品が4億76百万円減少した一方で、受取手形及び売掛金が58億55百万円増加しております。また、前連結会計年度末に計上いたしましたクレーム関連費用の未収入金25億10百万円が入金したこともあり、その他が26億67百万円減少しております。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて2億66百万円増加し55億88百万円となりました。
b.負債
負債合計は、前連結会計年度末に比べて31億11百万円増加し362億89百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べて36億32百万円増加し310億95百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金が35億56百万円、1年内返済予定の長期借入金が21億円増加したことによるものであります。また、前連結会計年度末に計上いたしましたクレーム関連費用の未払金25億10百万円を支払ったことなどにより、その他が25億72百万円減少しております。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて5億21百万円減少し51億94百万円となりました。これは主に、長期借入金が3億円減少したことによるものであります。
c.純資産
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて19億37百万円増加し370億52百万円となりました。主な増減は、親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加23億14百万円、配当の支払いによる利益剰余金の減少7億51百万円であります。
この結果、上記b.負債で記載した一時的な負債増加要因もあり、自己資本比率は0.7ポイント悪化し47.7%(前連結会計年度末は48.4%)となりました。
③資本の財源及び資金の流動性
a.当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フロー状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.財務政策
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。投資活動に関する資金需要としては、業容拡大に伴う事業所設備や社内システム等の設備投資等であります。
必要な資金については、内部資金のほか、調達コストと財務体質とのバランスを勘案しながら、借入金、売掛債権の流動化による調達に加え、資本増強等を組み合わせて調達しております。
また、機動的かつ安定的な資金調達枠確保のため、取引銀行3行と合計50億円のコミットメントライン契約を締結しております(当連結会計年度末の借入未実行残高50億円)。
株主還元につきましては、財務の健全性等を総合的に勘案しながら、業績に裏付けられた成果の配分を基本方針として実施しており、連結配当性向30%を目途としております。
④経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成状況
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成状況は「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りでございます。
⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5 経理の状況 の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」にて記載しておりますが、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響の不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが困難でありますが、連結会計年度末時点で入手可能な情報を基に検討等を実施しております。連結会計年度末時点においては、今後の業績に与える影響は軽微であると考えております。
a.収益の認識基準
当社グループの売上高は、物品販売については出荷基準、役務提供については検収基準に基づき売上を計上しております。また、請負契約等のうち進捗部分について成果の確実性が認められる場合については、その進捗度に応じ工事進行基準にて計上しております。
b.たな卸資産の評価基準
当社グループが販売するたな卸資産は市場の需給の影響を受け、市場価格が低下する場合があるため、評価基準として、原価法(収益性の低下に基づく簿価切り下げの方法)を採用しております。
なお、正常営業循環過程から外れた滞留たな卸資産については、販売可能期間内の一定の年数で、規則的に帳簿価額を切り下げる方法を採用しております。当社グループが保有するたな卸資産の販売状況が悪化し滞留在庫が増大した場合には多額の評価損を計上する可能性があります。
c.繰延税金資産の回収可能性の評価
当社グループは、繰延税金資産について、将来の回収可能性を十分に検討し、回収可能な額を計上しておりますが、繰延税金資産は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額が減少した場合には繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
d.固定資産の減損処理
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候が見られる資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上します。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、上半期は新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受けて経済活動が停滞したものの、下半期においては厳しい状況の中、経済活動に徐々に持ち直しの動きもみられました。海外経済においては、各国の感染症対策により、経済活動に回復の動きがみられる地域があった一方、感染の再拡大による下振れリスクも存在し、まだら模様ながら先行きは不透明な状況で推移してまいりました。
このような環境のもと、当社グループの主要ユーザーである自動車関連企業では、上半期は新型コロナウイルス感染症拡大に伴う世界的な減産の影響を受けたものの、下半期に入り生産活動は回復基調に転じました。
当社グループにおきましては、総力をあげて売上高の伸長に努めるとともに、継続的なコスト抑制を推進し、収益の維持に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は1,278億30百万円(前期比0.3%減)となり、営業利益は34億68百万円(前期比16.9%減)、経常利益は35億56百万円(前期比13.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は23億14百万円(前期比14.8%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりです。
(デバイス事業)
デバイス事業におきましては、電子制御が進む自動車向けシステムLSIなどの半導体や電子部品の販売及び技術支援、ソフトウェア事業、組込システムのPoC(概念実証)開発支援や受託開発事業を行っております。
当連結会計年度におきましては、ワールドワイドでの自動車生産台数が、上半期は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け前期と比較して減少したものの、下半期では、前期を上回り堅調に推移したことや商流移管分が増加した結果、デバイス事業の売上高は1,059億5百万円(前期比2.1%増)、営業利益は物流費や材料費高騰による売上原価への影響もあり、21億64百万円(前期比19.1%減)となりました。
(ソリューション事業)
ソリューション事業におきましては、IT機器、組込機器及び計測機器の販売からITプラットフォーム基盤構築及びIoTシステムの提案に加え、FAシステムや特殊計測システムの設計・製造・販売及び産業用コンピュータの開発・製造・販売を行っております。
当連結会計年度におきましては、自動車業界のCASEに向けた先行開発投資分野への計測機器営業活動、物流システム及び半導体製造装置製造業への組込機器営業活動を展開し、計測分野及び組込分野が堅調に推移したものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により主要ユーザーである自動車関連を中心とした企業のIT投資は慎重な姿勢のまま推移した結果、ソリューション事業の売上高は219億24百万円(前期比10.5%減)、営業利益は13億3百万円(前期比13.0%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ19億60百万円増加し97億13百万円となりました。
a.営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果、獲得した資金は8億87百万円(前連結会計年度比2億4百万円の減少)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益35億93百万円、仕入債務の増加額39億67百万円がありましたが、売上債権の増加額58億49百万円があったためであります。
b.投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果、使用した資金は69百万円(前連結会計年度比2億4百万円の減少)となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出1億23百万円がありましたが、投資有価証券の売却による収入1億19百万円があったためであります。
c.財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果、獲得した資金は11億65百万円(前連結会計年度は5億19百万円の使用)となりました。
これは主に、長期借入による収入24億円がありましたが、配当金の支払額7億49百万円、長期借入金の返済による支出6億円があったためであります。
③生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前期比(%) |
デバイス事業 | 2,759 | △22.0 |
ソリューション事業 | 5,003 | +18.0 |
計 | 7,763 | △0.2 |
(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績及びたな卸資産残高をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 仕入高(百万円) | 前期比(%) | たな卸資産残高 (百万円) | 前期比(%) |
デバイス事業 | 93,557 | △1.6 | 15,222 | △4.3 |
ソリューション事業 | 17,376 | +8.6 | 1,816 | +16.8 |
計 | 110,933 | △0.1 | 17,038 | △2.4 |
(注)1 金額は、仕入価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.受注実績
当連結会計年度において受注残高が著しく増加しております。
これは主に、当社グループの主要得意先である自動車関連企業の生産活動が、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響から回復基調にあることによるものです。
セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前期比(%) | 受注残高(百万円) | 前期比(%) |
デバイス事業 | 110,122 | +5.1 | 8,201 | +79.5 |
ソリューション事業 | 23,482 | △0.9 | 4,305 | +56.4 |
計 | 133,605 | +4.0 | 12,507 | +70.9 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前期比(%) |
デバイス事業 | 105,905 | +2.1 |
ソリューション事業 | 21,924 | △10.5 |
計 | 127,830 | △0.3 |
(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績に対する割合
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
販売高(百万円) | 割合(%) | 販売高(百万円) | 割合(%) | |
株式会社デンソー | 70,427 | 54.9 | 74,422 | 58.2 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.売上高
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ3億75百万円減少し1,278億30百万円となりました。
2018年度中期経営計画で掲げた、2020年度の連結売上高目標の1,300億円の達成はできませんでしたが、グローバルでの新型コロナウイルス感染症拡大の影響を事業の広範に受けた上半期に対し、下半期実績は前連結会計年度の下半期を上回り、通年での影響を最小限にとどめられました。
新型コロナウイルス感染症の影響によって営業活動に多くの制約を受けましたが、前中期経営計画の戦略を着実に実行してきたことに加え、長年の活動の中で培ってきた技術力、提案力によって、コロナ禍における得意先ニーズを発掘し、取り込めたことが奏功したと考えております。
(デバイス事業)
デバイス事業におきましては、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ22億4百万円増加し、1,059億5百万円となりました。
当連結会計年度において上半期は新型コロナウイルス感染症拡大による当社主要顧客である自動車関連企業の生産減少の影響を大きく受けましたが、下半期から年度末にかけて急激な生産回復に加えて、商流移管や採用品の展開による増加などもあり、通年では前連結会計年度を上回る売上高を確保いたしました。
足元は半導体製品の需給が逼迫している状況にあり、先行き不透明な状況でありますが、当社グループでは、平時より確保しているBCP在庫(災害発生時にも顧客に供給を継続するための棚卸資産)の活用や、得意先及び仕入先との綿密な情報共有によりサプライチェーンの維持に注力し、総力を挙げて安定的な商品供給に努めてまいります。
(ソリューション事業)
ソリューション事業におきましては、当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べ25億80百万円減少し、219億24百万円となりました。
IT分野は新型コロナウイルス感染症拡大の影響による顧客の投資意欲抑制の影響を大きく受け売上高が減少いたしました。組込分野では得意先業種により偏りが見られ、工作機械業界向けが減少した一方、市場環境が比較的堅調であった搬送機業界向けの案件獲得に注力した結果、売上高は微減にとどまりました。また計測分野は、顧客における導入計画が比較的長期視点で検討されており、案件消失等の影響がなかったことから売上高は増加いたしました。
新型コロナウイルス感染症の影響は今後も不透明でありますが、新中期経営計画に掲げた戦略、施策を着実に実行し、事業の成長につなげてまいります。
b.売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べ4億50百万円増加し1,159億41百万円となりました。
これは主にデバイス事業における半導体部品の材料費高騰などの影響を受けたことによるものです。
また当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ1億21百万円減少し84億20百万円となりました。
新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、従業員の移動を伴う業務を抑制して旅費交通費が大きく減少した一方、代替としてリモートワークを推進したことに伴い、ネットワーク環境の増強や一部業務の電子化を図ったことによりシステム関連費用が増加しました。また、年度後半において自動車関連顧客の生産活動が急回復し、半導体部品を中心として需給の逼迫状況に対応するため輸送コストが増大いたしました。
この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ7億4百万円減少し34億68百万円となりました。
c.営業外収益、営業外費用、経常利益
営業外収益は、為替の変動が当社グループの外貨建て取引に対し有利な状況であったため為替差益が37百万円増加したこと等により、前連結会計年度に比べ1億7百万円増加し2億12百万円となりました。
営業外費用は、為替の変動が当社グループの外貨建て取引に対し有利な状況であったため為替差損が72百万円減少したこと等により、前連結会計年度に比べ59百万円減少し1億24百万円となりました。
この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ5億37百万円減少し35億56百万円となりました。
d.特別利益
特別利益は、投資株式の保有合理性の検証を行い当連結会計年度末までに4銘柄の売却を行ったこと等により、前連結会計年度に比べ35百万円増加し37百万円となりました。
e.特別損失
特別損失は、前連結会計年度に比べ7百万円減少し0百万円となりました。
f.親会社株主に帰属する当期純利益
税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ4億94百万円減少し35億93百万円となりました。
税効果会計適用後の法人税等負担額は、主に課税所得の減少の影響によって前連結会計年度に比べ86百万円減少し12億25百万円となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ4億1百万円減少し23億14百万円となりました。
前中期経営計画の目標値であった「ROE8.5%」については下回りましたが、新中期経営計画の経営目標の達成に向けて諸施策を推進してまいります。
②財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.資産
資産合計は、前連結会計年度末に比べて50億48百万円増加し733億42百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べて47億82百万円増加し677億53百万円となりました。主な増減は、商品及び製品が4億76百万円減少した一方で、受取手形及び売掛金が58億55百万円増加しております。また、前連結会計年度末に計上いたしましたクレーム関連費用の未収入金25億10百万円が入金したこともあり、その他が26億67百万円減少しております。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて2億66百万円増加し55億88百万円となりました。
b.負債
負債合計は、前連結会計年度末に比べて31億11百万円増加し362億89百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べて36億32百万円増加し310億95百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金が35億56百万円、1年内返済予定の長期借入金が21億円増加したことによるものであります。また、前連結会計年度末に計上いたしましたクレーム関連費用の未払金25億10百万円を支払ったことなどにより、その他が25億72百万円減少しております。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて5億21百万円減少し51億94百万円となりました。これは主に、長期借入金が3億円減少したことによるものであります。
c.純資産
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて19億37百万円増加し370億52百万円となりました。主な増減は、親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加23億14百万円、配当の支払いによる利益剰余金の減少7億51百万円であります。
この結果、上記b.負債で記載した一時的な負債増加要因もあり、自己資本比率は0.7ポイント悪化し47.7%(前連結会計年度末は48.4%)となりました。
③資本の財源及び資金の流動性
a.当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フロー状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.財務政策
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。投資活動に関する資金需要としては、業容拡大に伴う事業所設備や社内システム等の設備投資等であります。
必要な資金については、内部資金のほか、調達コストと財務体質とのバランスを勘案しながら、借入金、売掛債権の流動化による調達に加え、資本増強等を組み合わせて調達しております。
また、機動的かつ安定的な資金調達枠確保のため、取引銀行3行と合計50億円のコミットメントライン契約を締結しております(当連結会計年度末の借入未実行残高50億円)。
株主還元につきましては、財務の健全性等を総合的に勘案しながら、業績に裏付けられた成果の配分を基本方針として実施しており、連結配当性向30%を目途としております。
④経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成状況
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成状況は「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りでございます。
⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5 経理の状況 の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」にて記載しておりますが、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響の不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが困難でありますが、連結会計年度末時点で入手可能な情報を基に検討等を実施しております。連結会計年度末時点においては、今後の業績に与える影響は軽微であると考えております。
a.収益の認識基準
当社グループの売上高は、物品販売については出荷基準、役務提供については検収基準に基づき売上を計上しております。また、請負契約等のうち進捗部分について成果の確実性が認められる場合については、その進捗度に応じ工事進行基準にて計上しております。
b.たな卸資産の評価基準
当社グループが販売するたな卸資産は市場の需給の影響を受け、市場価格が低下する場合があるため、評価基準として、原価法(収益性の低下に基づく簿価切り下げの方法)を採用しております。
なお、正常営業循環過程から外れた滞留たな卸資産については、販売可能期間内の一定の年数で、規則的に帳簿価額を切り下げる方法を採用しております。当社グループが保有するたな卸資産の販売状況が悪化し滞留在庫が増大した場合には多額の評価損を計上する可能性があります。
c.繰延税金資産の回収可能性の評価
当社グループは、繰延税金資産について、将来の回収可能性を十分に検討し、回収可能な額を計上しておりますが、繰延税金資産は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額が減少した場合には繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
d.固定資産の減損処理
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候が見られる資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上します。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。