有価証券報告書-第27期(令和1年10月1日-令和2年9月30日)

【提出】
2020/12/25 15:30
【資料】
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【項目】
148項目
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、4~6月期のGDPが戦後最大の減少となるなど、大幅な景気後退局面に転換いたしました。アジアでは中国で持ち直し傾向が顕著となっておりますが、ASEAN地域においては新型コロナウイルス感染症拡大により経済環境が著しく悪化するなど、全体として先行き不透明な状況になっております。
当社の属する情報通信業界におきましては、情報通信機器や事務用機器のリース取扱高でみると前年比で減少傾向にあり、年初よりマイナスが大きくなっているなど、総じて厳しい状況で推移しております。
こうした経営環境のなか、当社グループはグループシナジーの最大化に取り組み、組織再編やグループ会社の統合を進めてまいりました。ITソリューション事業では、東西に設置した情報通信機器販売会社を統合し、事業や事業オペレーションを統一するなど効率化を図るとともに、新規の顧客開拓及び約6万件の顧客データベースを活用した顧客向けサービスを強化しました。BPO(※1)事業では、コンサルティング営業を強化し、業務効率化構築の提案と従来から行っているBPOサービスの獲得に取り組みました。また、大連2センター、長春、ミャンマーの特性に合った業務配分を行い、業務効率を高めてまいりました。海外法人事業では、コロナウイルス感染症による経済活動への影響が大きい中、省エネ商材に加え、6月に海外7か国で独占販売権を取得したウイルス除去・除菌装置の販売に注力しました。以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高が前年同期比11.4%減の8,739百万円となりました。営業利益は、海外法人事業においてロックダウン等により事業活動ができない期間が発生したことやその後の各国経済環境の悪化、当社社員を現地へ再赴任させられないなどの影響により345百万円の損失(前年同期は511百万円の利益)、経常利益は244百万円の損失(前年同期は642百万円の利益)となりました。一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、有価証券売却益の計上などにより、前年同期比2.8%増の327百万円と3期連続で最高益となりました。
※1 BPO(Business Process Outsourcing)の略称です。
セグメント毎の業績は次のとおりであります。
a.ITソリューション事業
直営店チャネルにおいては、新規の顧客開拓に注力するとともに、顧客データベースを活用した効率的な営業活動を実施しました。年々高度化、多様化しているサイバー攻撃対策として独自商品であるUTM(※2)等のセキュリティ商品やリモートワークに対応した商品・サービスの提案を強化しました。これらの結果、同チャネルの売上高は前年同期比6.0%増の2,073百万円となりました。
加盟店チャネルにおいては、加盟店へ販売手法の共有を推し進めるとともに、UTM等のセキュリティ商材の販売支援を強化してまいりました。なお、主要な加盟店であった1社と加盟店契約を終了しました。これらの結果、同チャネルの売上高は前年同期比27.0%減の1,169百万円となりました。
代理店チャネルにおいては、採算性を重視した代理店の再編成を進め、各代理店に対してセキュリティ商材等の販売支援を積極的に実施しました。これらの結果、同チャネルの売上高は前年同期比19.1%減の123百万円となりました。
グループ会社においては、UTM販売及び回線取次の拡販に取り組みました。これらの結果、グループ会社の売上高は前年同期比14.1%減の758百万円となりました。
これらの結果、ITソリューション事業全体(直営店・加盟店・代理店・グループ会社の合計)の売上高は、前年同期比10.2%減の4,124百万円となりました。利益面においては新型コロナウイルス感染症の拡大や緊急事態宣言発令により3月から5月にかけた営業自粛等による売上減少が響き、販売管理費の削減を実施したものの、セグメント利益は前年同期比44.6%減の107百万円となりました。
※2 UTM(Unified Threat Management:統合脅威管理)の略称です。
b.エネルギーソリューション事業
エネルギーソリューション事業は代理店へのLED照明等の省エネ商材の拡販に努めるとともに、取扱い商材を増やし、新規代理店の獲得に注力いたしました。また、グループ会社経由の販売を強化しました。太陽光発電システムについては新規顧客の開拓に注力するとともに、顧客への蓄電池販売を強化しました。一方、緊急事態宣言中に営業を自粛する代理店が多かったことや、コロナ禍で対面を拒否する一般家庭が増えたため、太陽光発電システムの営業に著しく影響がありました。これらの結果、売上高は前年同期比19.7 %減の2,390百万円となりました。セグメント利益は、売上高の減収率が大きく、経費削減に努めたものの93百万円の損失(前年同期は28百万円の利益)となりました。
c.BPO事業
BPO事業は、紹介やWebを通じた問い合わせ対応による新規顧客開拓を推進するとともに、顧客からの追加の業務受託獲得に取り組んでまいりました。BPOセンターにおいては、業務効率と品質向上に取り組み、4拠点の特性を活かした業務配分を行い、RPAやAI-OCRの活用による自動化を推進し、業務効率の向上を図ってまいりました。これらの結果、売上高は前年同期比1.1%増の516百万円となりました。セグメント利益は、自動化による生産性の向上やBPOセンターの効率的なオペレーション運用効果により、前年同期比44.5%増の118百万円となりました。
d.海外法人事業
海外法人事業は、中国、インド及びASEAN地域で事業を行うまでに拡大し、各国の特性や状況に応じた強化商品の取り組みを行いました。海外各拠点においては、ロックダウンや移動制限等により、事業活動ができない期間が発生し、営業再開後も企業の投資マインドの急速な悪化により、営業効率が著しく低下しました。さらには、海外間の入出国制限により、日本へ一時帰国させた社員を再赴任させられない影響もありました。これらの結果、売上高は前年同期比3.9%減の1,707百万円となりました。セグメント利益は、拠点数が増加したにもかかわらず減収となり、固定費の増加やのれん負担も加わったことにより、380百万円の損失(前年同期は235百万円の利益)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末と比べ1,258百万円増加し、3,363百万円となりました。営業活動で127百万円、投資活動で1,287百万円を獲得し、財務活動で133百万円を使用したこと等によるものです。
なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動で獲得した資金は、127百万円(前連結会計年度は113百万円の使用)となりました。この主な要因は、投資有価証券の売却を除いた利益ベースではマイナスとなりましたが、減価償却費やのれん償却、減損損失の非キャッシュ項目が491百万円あったこと、及び売上債権が353百万円減少したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動で獲得した資金は、1,287百万円(前連結会計年度は1,487百万円の使用)となりました。この主な要因は、投資有価証券の売却による収入1,221百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動で使用した資金は、133百万円(前連結会計年度は2,244百万円の獲得)となりました。この主な要因は、短期借入金299百万円の返済、配当金の支払200百万円を行う一方、新株予約権の行使による株式の発行による収入243百万円、長期借入による234百万円の収入によるものです
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注状況
該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメント別、販売チャネル別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 令和元年10月1日
至 令和2年9月30日)
前年同期比(%)
ITソリューション事業直営店(千円)2,073,009106.0
FC加盟店(千円)1,169,49273.0
代理店(千円)123,97780.9
グループ会社(千円)758,04885.9
(千円)4,124,52689.8
エネルギーソリューション事業(千円)2,390,33080.3
BPO事業(千円)516,970101.1
海外法人事業(千円)1,707,37496.1
合計(千円)8,739,20288.6

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額に消費税等は、含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績の状況に関する検討内容
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
② 財政状態の分析
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末より133百万円増加し、9,910百万円となりました。この主な要因は、現金及び預金が1,258百万円増加した一方、売掛金が401百万円、のれんが償却及び減損により609百万円減少したことによるものです。
負債につきましては、前連結会計年度末より1,061百万円減少し、4,514百万円となりました。この主な要因は、転換社債型新株予約権付社債が株式への転換により1,000百万円減少したことによるものです。
純資産につきましては、前連結会計年度末より1,194百万円増加し、5,396百万円となりました。この主な要因は、転換社債型新株予約権付社債の株式への転換により1,000百万円、新株予約権の行使による払込により243百万円増加したこと等により資本金及び資本準備金がそれぞれ623百万円増加したことによるものです。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因
「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりです。
④ 当社グループの資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、情報通信機器及び環境商材等の仕入資金ならびに人件費をはじめとする販売費及び一般管理費であります。また、M&Aや新規事業開発、グローバル事業への戦略的投資に係る資金需要が生じております。
当社グループの事業活動に必要な資金を確保する方法として、運転資金につきましては、内部資金または短期借入金により調達することを原則としております。M&A等の戦略的投資に係る資金につきましては、長期借入金や転換社債、株式発行等で調達することとしており、負債と資本のバランスに配慮しつつ、必要な資金を調達してまいります。