有価証券報告書-第39期(平成29年10月1日-平成30年9月30日)

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2018/12/20 11:54
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善が続く中で、各種政策の効果もあり緩やかな回復基調にあるものの、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、海外経済の不確実性、金融資本市場の変動、さらには相次ぐ自然災害の経済に与える影響に十分留意する必要がある中で推移いたしました。
このような状況のもと、当社グループは自然災害等に対するリスクの分散及び中長期的な出店並びに物流の効率化を見据えた京都セントラルキッチン(京都府綴喜郡井手町)を平成30年8月に竣工し、平成30年9月より稼働開始いたしました。
また、平成28年10月に完全子会社化した株式会社丸平商店の製品をグループ会社へ供給開始し、平成29年4月に完全子会社化した株式会社すし半へ当社セントラルキッチンの製品を供給開始する等、相乗効果の創出による収益力の強化に取り組みました。
さらに、主に設備投資等に充当する事を目的として、平成30年6月に新株式の発行及び自己株式の処分、平成30年7月に第三者割当増資を行い、資金調達を実施いたしました。これらに伴う株主様の増加が、お客様の増加に繋がるものと考えております。
テイクアウト店におきましては、人員不足への対応、運営効率の向上等を目的とする組織体制の構築を図り、平成30年4月より古市庵と梅の花の両店が出店している百貨店及びその近隣地区の一部店舗において共同運営を開始いたしました。
しかしながら平成30年6月の大阪府北部地震、平成30年7月の西日本豪雨、平成30年9月の台風上陸等、相次ぐ自然災害により多数の店舗が休業し業績に影響を及ぼしました。
店舗の出店及び退店につきましては、外食事業3店舗出店及び1店舗退店、テイクアウト事業6店舗出店及び8店舗退店により、当期末の店舗数は、284店舗となりました。
以上の結果、平成29年4月に株式会社すし半を完全子会社化した効果もあり、当連結会計年度の売上高は、326億47百万円(前期比104.0%)となり、営業利益は3億90百万円(前期比124.4%)、経常利益は2億70百万円(前期比101.2%)、親会社株主に帰属する当期純利益は10百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失4億14百万円)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比較につきましては、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
(外食事業)
「湯葉と豆腐の店 梅の花」・「かに料理専門店 かにしげ」・「チャイナ梅の花」におきましては、毎月12日の「豆富の日」に加え、感謝祭や創業祭、梅の花まつり等の企画を実施いたしました。また、梅の花が発行するポイントカード(梅の花Uカード)の積極的な入会案内や、LINE@の友だち追加登録等を推進し、登録されたお客様への企画のご案内や特典の提供をする事により、来店頻度の向上に取り組みました。さらに、トレーナー制度を導入し、スタッフの教育トレーニングを強化することでQSC(品質・サービス・清潔さ)の向上に取り組んでおります。
「和食鍋処 すし半」におきましては、老朽化した店舗の改装や全店に喫煙ルームを設置する等の設備を整え、すし半が掲げる経営方針の「原点回帰を念頭に、第二創業の展開を図る」に基づき、鍋料理を充実させた内容へメニューを変更し、顧客満足度の向上に努めました。また、全店に物品販売の強化を図るべく新たに物販スペースを設け、売上の底上げに注力しております。さらに、平成30年4月より株式会社NTTドコモが運営するdPOINT CLUBの加盟店となり、幅広い顧客層の獲得に向けた取り組みを開始いたしました。
また、気軽に梅の花の食事を楽しめるカジュアルダイニング「食のつむぎ 梅の花」におきましては、2号店を平成29年10月に名古屋市中村区、3号店を平成29年11月に神奈川県海老名市に出店いたしました。
以上の結果、外食事業の売上高は190億5百万円(前期比105.5%)、セグメント利益9億26百万円(前期比123.0%)となりました。
店舗数につきましては、梅の花は1店舗出店及び1店舗退店し75店舗、チャイナ梅の花3店舗、かにしげ3店舗、すし半13店舗、その他店舗は食のつむぎが2店舗出店し8店舗、外食事業の全店舗数は102店舗となりました。
(テイクアウト事業)
「古市庵テイクアウト店」におきましては、毎月定期的に行っている「手巻寿司の日」に加え、おせちや節分、ひな祭り及び創業祭等、イベントや季節に合わせた企画を実施いたしました。また、髙島屋各店において開催された「美しき氷上の妖精 浅田真央展」の企画として、浅田真央さんがプロデュースした期間限定おむすびの「まおむすび」を一部店舗で販売するとともに、社内のメニューコンテスト受賞商品を販売する等の取り組みを行ったことや、TV番組に商品が取り上げられたこともあり、新規顧客の獲得に繋がりました。
「梅の花テイクアウト店」におきましては、毎月定期的に行っている「豆腐の日」や「ふわふわの日」等に加え、おせち、節分及びひな祭り等、季節のイベントに合わせた企画の実施、さらに毎月お薦め商品を設定し、お客様にご案内することで売上の向上に努めました。
また、古市庵・梅の花両テイクアウト店における相乗効果の創出に向けた取り組みとして、平成30年3月出店の古市庵国分寺丸井店(東京都国分寺市)にて、コラボレーション商品「湯葉五目煮入り海老穴子上巻」の販売を開始し、他店におきましても弁当等の展開を進めております。
以上の結果、テイクアウト事業の売上高は120億1百万円(前期比100.2%)、セグメント利益4億54百万円(前期比101.5%)となりました。
店舗数につきましては、古市庵テイクアウト店は2店舗出店及び6店舗退店し127店舗、梅の花テイクアウト店は4店舗出店及び2店舗退店し49店舗、その他店舗は6店舗、テイクアウト事業の全店舗数は182店舗となりました。
(外販事業)
外販部門におきましては、京都セントラルキッチンの稼働により増加する製造能力を最大限に活用できるよう、製造部門との連携強化に向けた取り組みを開始いたしました。また、既存の梅の花グループの商品に限らずお取引先様からの要望に合わせた商品開発に取り組み、販売アイテムを増やし売上の底上げを図りました。
株式会社丸平商店におきましては、平成29年12月に牡蠣フライの生産ラインを増設し、今後の更なる販売強化や当社グループ内における相乗効果に向けて取り組みました。
以上の結果、外販事業の売上高は16億40百万円(前期比117.4%)となりましたが、牡蠣の市況の悪化に伴い、セグメント損失1億19百万円(前期はセグメント損失18百万円)となりました。
② キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して、2億18百万円増加し、37億98百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は12億75百万円(前期は14億35百万円の収入)となりました。
前連結会計年度に比べ1億60百万円減少した主な要因は、たな卸資産の増減額が6億1百万円増加した一方、減損損失が4億41百万円減少、ポイント引当金の増減額が1億22百万円減少、賞与引当金の増減額が1億16百万円減少、のれん償却額が1億6百万円減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は34億6百万円(前期は46億62百万円の支出)となりました。
前連結会計年度に比べ12億56百万円減少した主な要因は、京都セントラルキッチンの新設及び店舗の新規出店に伴い有形固定資産の取得による支出が23億28百万円増加した一方、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が25億95百万円、投資有価証券の取得による支出が9億41百万円減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、得られた資金は23億49百万円(前期は5億91百万円の支出)となりました。
前連結会計年度に比べ29億41百万円増加した主な要因は、株式の発行による収入が19億4百万円、自己株式の処分による収入が11億46百万円増加したことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(千円)前期比(%)
外食事業1,664,044112.0
テイクアウト事業1,978,564103.4
外販事業1,131,25293.7
合計4,773,861103.6

(注)1.金額は、製造原価によっております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当社グループは、店舗の販売予測に基づき見込み生産を行っておりますので、該当事項はありません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(千円)前期比(%)
外食事業19,005,837105.5
テイクアウト事業12,001,090100.2
外販事業1,640,783117.4
合計32,647,711104.0

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
④ 地域別販売実績
地域別売上高(千円)構成比(%)前期比(%)
福岡県4,723,27514.699.8
佐賀県785,2272.4101.2
長崎県374,2681.199.0
熊本県320,1641.0100.1
大分県353,5121.1101.5
鹿児島県322,8141.099.3
宮崎県27,9900.1103.4
愛媛県317,7891.097.1
徳島県47,8480.194.5
山口県610,1651.9165.5
広島県600,9221.892.3
岡山県368,0241.196.7
鳥取県48,1620.196.1
兵庫県1,892,5365.8111.1
大阪府5,309,92816.3112.9
和歌山県80,6390.2105.3
奈良県381,4031.293.5
京都府810,4082.597.8
滋賀県311,7701.095.6
三重県130,3690.498.2
岐阜県185,2380.695.6
愛知県1,139,3303.597.0
静岡県509,2321.699.9
福井県108,2570.386.5
石川県361,2751.197.1
富山県386,7501.297.3
新潟県190,4180.696.1
東京都5,869,95718.0103.7
神奈川県2,854,3638.7101.1
千葉県1,436,6384.4116.0
埼玉県719,9122.297.7
群馬県30,0900.1100.7
茨城県243,7290.799.6
栃木県112,0210.3112.1
福島県172,7540.596.8
宮城県296,4260.9108.0
山形県6,9480.039.7
北海道207,1440.698.4
合計32,647,711100.0104.0

(注)1.福岡県には、ギフトの通信販売を含んでおります。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。また、この連結財務諸表の作成にあたりまして、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。実際の結果は特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 売上高
連結売上高につきましては、平成29年4月に株式会社すし半を完全子会社化し、前連結会計年度は下期6ヶ月間の営業でしたが、当連結会計年度は12ヶ月間の営業であった影響や牡蠣フライの生産ラインの増設等、商品製造能力が拡大した影響もあり326億47百万円(前期比104.0%)となりました。
客数につきましては、外食事業はすし半の営業期間の増加もあり前期比110.8%と増加し、テイクアウト事業は97.2%で推移いたしました。
客単価につきましては、外食事業はすし半業態の客単価が梅の花業態の客単価より、2,200円程度低いこともあり、前期比93.9%と減少いたしました。テイクアウト事業につきましては、商品の見直しや値上げ等により103.2%となりました。
b. 売上総利益
売上総利益につきましては、売上高の増加により216億6百万円(前期比102.0%)となりましたが、牡蠣の市況の悪化に伴う外販事業の原価率上昇や食材の値上げ等により原価率が前期比1.3%の増加となり、売上総利益率は減少いたしました。
c. 営業利益
営業利益につきましては、人件費及び広告宣伝費等の変動費の適正化に努めたことにより、3億90百万円(前期比124.4%)となりました。
d. 経常利益
経常利益につきましては、営業利益の増加及び公募増資に伴う費用等の発生により、2億70百万円(前期比101.2%)となりました。
e. 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前連結会計年度は減損損失5億14百万円を計上したことにより4億14百万円の親会社株主に帰属する当期純損失であり、当連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益10百万円となりました。
③ 当連結会計年度の財政状態の分析
(資産合計)
資産の部につきましては、前連結会計年度末と比べ22億15百万円増加し、306億37百万円となりました。これは主に、京都セントラルキッチンの新設及び店舗の新規出店等により、有形固定資産が20億47百万円増加したことによるものであります。
(負債合計)
負債の部につきましては、前連結会計年度末と比べ9億60百万円減少し、219億66百万円となりました。これは主に借入金の総額が6億57百万円減少したことによるものであります。
(純資産合計)
純資産の部につきましては、前連結会計年度末と比べ31億76百万円増加し、86億71百万円となりました。これは主に、平成30年6月に新株式発行及び自己株式の処分、平成30年7月に第三者割当増資を行った結果、資本金が9億59百万円、資本剰余金が11億28百万円増加し、自己株式が9億77百万円減少したことによるものであります。
なお、経営成績及び財政状態の検討課題といたしましては、「第2 [事業の状況] 1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]」をご参照ください。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 [事業の状況] 2[事業等のリスク]」をご参照ください。
⑤ 経営戦略の現状と見通し
経営戦略と現状の見通しにつきましては、外食事業及びテイクアウト事業並びに外販事業のそれぞれの規模の拡大はもとより、より高い収益性の確保を目指しております。
そのためには、前連結会計年度よりM&Aが効果を発揮していることから、今後もM&Aの案件につきましては注視してまいります。
課題といたしましては、外食事業における客数減に伴う既存店売上の減少があります。対策といたしまして、メニュー開発の体制の変更による商品力の強化、店舗における美味しさとおもてなしのレベルアップを目的とした研修を行うことにより、お客様の満足度の向上を図り来客数の増加に向けた取り組みを開始しております。
また、テイクアウト事業につきましては、人手不足、人件費の上昇及び配送費の高騰等への対応に向けて古市庵業態と梅の花業態の共同運営を推進してまいります。
さらに、京都セントラルキッチンの竣工による商品製造能力の拡大及び牡蠣フライの生産ラインの増設により、外販事業の売上拡大への取り組みも開始しております。
出店につきましては、中長期的な会社の経営戦略と捉え開発業者との情報交換を密に行い、有用な物件情報の収集に努め効率的に出店してまいります。
⑥ 資本の財源および資金の流動性についての分析
a. 財務政策
当社グループは、資金運用については短期的な預金等に限定し、資金繰り計画に基づき、銀行等金融機関からの借入により資金を調達しております。借入金のうち短期借入金は、主に営業取引に係る資金調達であり、長期借入金及びファイナンス・リース取引に係るリース債務は、主に設備投資に係る資金調達であります。
また、営業債務や借入金等は、流動性のリスクに晒されておりますが、当社グループではグループ会社や各部署からの報告に基づき担当部署が適時に資金繰り計画を作成・更新するとともに、手許流動性の維持などにより流動性リスクを管理しております。
b. キャッシュ・フロー
資本の財源および資金の流動性についての分析については「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フロー」をご参照ください。なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりであります。
平成26年9月期平成27年9月期平成28年9月期平成29年9月期平成30年9月期
自己資本比率(%)34.532.821.319.328.3
時価ベースの自己資本比率
(%)
84.789.165.268.170.9
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)3.610.113.913.014.1
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)29.615.118.820.118.0

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式を除く)により算出しております。
2.営業キャッシュ・フローは、キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いにつきましては、キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
⑦ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、経済状態や消費動向の変化に対応するために、迅速な意思決定を行うよう努めており、自己資本利益率(ROE)の安定的向上を意識しながら、収益構造の構築に努め、堅実な財務体質を堅持する方針としております。ROEにつきましては5%を目標としておりますが当連結会計年度は0.2%と未達成となりました。引き続き達成できるよう尽力してまいります。