有価証券報告書-第105期(2025/04/01-2026/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
ア. 経営成績
当期については、不動産販売業の売上増や建築・土木業の完成工事高が増加したことに加え、ホテル業における高単価販売などにより、連結営業収益はすべてのセグメントで対前年増収となり、4,969億3千9百万円(前期比9.7%増)と過去最高を更新いたしました。連結営業利益は、鉄道安全投資をはじめとした投資の増加などにより、523億2千2百万円(前期比3.4%減)となりました。連結経常利益は511億7千2百万円(前期比3.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は政策保有株式の売却などにより、過去最高の429億2千9百万円(前期比0.2%増)となりました。
なお、連結EBITDAは869億1千4百万円(前期比0.1%減)、連結減価償却費は344億3千1百万円(前期比5.5%増)となりました。
(注)連結EBITDAは、連結営業利益+減価償却費+のれん償却額により算出しております。
セグメントごとの経営成績の概要は、次のとおりであります。
当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しております。以下の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。
イ. 財政状態
総資産は、販売用不動産の取得による棚卸資産の増加などにより772億6千7百万円増加し、1兆1,998億5千7百万円となりました。負債は、有利子負債の増加などにより478億1千8百万円増加し、7,556億5千万円となりました。純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより294億4千9百万円増加し、4,442億7百万円となりました。
なお、有利子負債(借入金+社債+コマーシャル・ペーパー)は4,690億5千5百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の増加額の縮小などにより、流入額は前連結会計年度に比べ84億6千6百万円増加の370億7千8百万円となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の売却による収入の増加などにより、流出額は前連結会計年度に比べ24億6千5百万円減少の356億4千4百万円となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出などにより、流出額は18億9千6百万円となりました。これらの結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は477億1千1百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの業種構成はサービス業が中心であり、受注生産形態をとらない会社が多いため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況においてセグメントごとの営業収益を示すこととしております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。重要な会計方針および見積りには、以下のようなものがあります。
ア. 有価証券の評価損
当社グループは金融機関や取引先等の株式を保有しております。これらの株式の評価、時価が著しく下落した場合の回復可能性については、当社グループで定める「金融商品取扱規程」により合理的に判断しておりますが、価格変動リスクを負っているため、将来、損失が発生する可能性があります。
イ. 固定資産の減損
当社グループは多くの固定資産を保有しております。これらの価値は個別物件の将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額など多くの前提条件に基づいて算出しているため、当初見込んだ収益が得られなかった場合、または算出の前提条件に変更があった場合には、損失が発生する可能性があります。
ウ. 退職給付債務および費用
当社グループの退職給付債務および費用は、年金資産の長期期待運用収益率や割引率等数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しているため、実際の結果が前提条件と異なる場合、または算出の前提条件に変更があった場合には、損失が発生する可能性があります。
エ. 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を判断するに際して将来の課税所得等を合理的に見積っております。そのため、将来の課税所得の見積額等に変更が生じた場合、繰延税金資産が増額または減額され、税金費用に影響を及ぼす可能性があります。
オ.販売土地及び建物等の評価
販売土地及び建物等の評価は、個別法による原価法(収益性の低下による簿価切下げの方法)を採用しており、期末における正味売却価額が帳簿価額を下回る場合には、正味売却価額をもって貸借対照表価額とし、収益性低下による簿価切下げ額を売上原価として認識しております。正味売却価額の算定において特に重要な仮定は販売見込額であり、周辺の取引事例や市場の動向等を踏まえた上で決定しております。仮定には不確実性が伴い、今後の不動産市況や建築コストの動向、金利の変動の影響を受け、正味売却価額が低下する可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
ア. 経営成績等の状況に関する分析
当社グループは、「国内で最も活気とポテンシャルがあるエリア」の形成と「日本一安全でサービスの良い持続可能な交通」の実現を目指しています。2030年代に大規模投資が本格化することから、2025年度から2030年度までの6年間を将来に向けて経営基盤を強化する期間として、「京王グループ中期経営計画(2025年度~2030年度)」を策定しました。本中期経営計画においては、「HIRAKU2030」をテーマに掲げ、沿線と当社グループの未来を切りひらくべく、沿線価値や企業価値の向上に向けた取組みを進めています。
鉄道事業では、2030年代前半でのホームドア全駅設置に向けた整備や、2020年代後半での井の頭線のワンマン運転実施に向けた自動運転設備の導入を進めました。2026年1月から運行を開始した新型通勤車両「2000系」では、従来車両より環境性能を向上させたほか、DX推進のため次世代の車両情報管理装置を採用しております。これらの取組みを通じて、さらなる安全性の向上や鉄道オペレーションの高度化・効率化を図りました。また当社は、沿線地域の活性化や移動需要の創出に向けて、沿線施設との連携を強化しております。その一環として、ポケモン初の屋外常設型施設『ポケパーク カントー』のプロモーションパートナーおよびオフィシャルスポンサーとなり、駅装飾やラッピングトレインの運行など、同施設との連携施策を実施しました。
不動産業では、新築分譲マンションブランドの第1号物件「京王多摩川ハモンズ」を、2026年6月より販売開始しております。同物件の開発にあたっては、隣接する高架下を活用したまちづくりプロジェクトを始動するなど、開発段階から地域と連携した取組みを推進しております。私募ファンドについては、新たにオフィスビルを主体とするファンドなど3本を組成したほか、アセットマネジメント事業のさらなる発展に向けて私募REITの組成検討に着手しております。
また、2026年2月に80億円規模のCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)ファンド「京王れーるファンド」を設立いたしました。出資を起点としたスタートアップ企業との共創を図り、当社グループのオープンイノベーションをさらに加速させ、特に事業部起点のプログラム「JISOU」との連携を強化することで、事業部門の課題解決による戦略リターンの創出と、出資先企業の成長による財務リターンの確保を目指してまいります。
なお、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
[交通業]
鉄道事業では、輸送人員が定期・定期外ともに前期を上回ったものの、車両新造による減価償却費の増加や、処遇改善に伴う人件費の増加などにより増収減益となりました。バス事業では、インバウンド需要路線が増収となるなど高速収入が好調となり増収増益となりました。これらの結果、交通業の営業収益は1,332億3千3百万円(前期比2.4%増)、営業利益は132億5千4百万円(前期比15.5%減)となりました。
(鉄道事業)
[不動産業]
リビタやサンウッドにおける都心部を中心とした分譲マンションの売上増や、不動産ファンドへの物件売却など、不動産販売業の牽引により増収となった一方、不動産賃貸業におけるまちづくり費用の増などにより減益となりました。これらの結果、不動産業の営業収益は1,207億1千2百万円(前期比31.9%増)、営業利益は171億7千4百万円(前期比2.6%減)となりました。
[ホテル業]
活況な宿泊マーケットを背景に客室単価が上昇したものの、「京王プラザホテル(新宿)」や「京王プレッソイン」における客室改装の実施や、人件費の増加などにより増収減益となりました。これらの結果、ホテル業の営業収益は600億3千3百万円(前期比6.3%増)、営業利益は101億2千8百万円(前期比7.0%減)となりました。
[建設設備業]
建築・土木業における完成工事高の増加や粗利率の改善などにより、増収増益となりました。これらの結果、建設設備業の営業収益は876億4千万円(前期比13.1%増)、営業利益は74億3千4百万円(前期比32.3%増)となりました。
[生活サービス業]
営業収益は、ストア業における来店客数および客単価の増加などによるスーパーマーケット事業の増収に加え、コンビニ事業やドラッグストア事業が好調に推移し増収となりました。営業利益は、人件費の増加などによりストア業では前年並みとなった一方、百貨店業に加え、広告代理業や旅行業が好調に推移し増益となりました。これらの結果、生活サービス業の営業収益は1,460億3千6百万円(前期比1.2%増)、営業利益は58億3千7百万円(前期比9.7%増)となりました。
イ. 資本の財源及び資金の流動性
a. 重要な資本的支出の予定
「京王グループ中期経営計画(2025年度~2030年度)」においては、6カ年累計で成長投資2,400億円、既存更新投資2,700億円を見込んでおります。
成長投資は、新宿、橋本、京王多摩川などのまちづくりについて着実に事業を推進するとともに、ホテル業は、増益を見据えた客室改装に加えて、新規出店投資も見込んでおります。既存更新投資のうち鉄道事業投資については、2030年代に設置率100%を目指すホームドア整備と、生産性向上に資する自動運転(ワンマン)に重点を置いて実施してまいります。また、老朽化の進む不動産及びホテル既存物件は、物件ROAを意識して更新・改修を実行してまいります。
b. 重要な資本的支出に要する資金の調達源、資金の流動性
「京王グループ中期経営計画(2025年度~2030年度)」においては、資産・資本効率性向上のため、生産性向上や不動産販売業の強化、資産売却によりキャッシュを創出し、長期の視点に立った成長投資や安全性向上等に必要な投資資金を確保しつつ、株主還元に積極的に充当していく方針です。
重要な資本的支出に要する資金は、営業活動によるキャッシュ・フローを充てるほか、不足する資金については、経済情勢や金利動向を勘案し、社債の発行や金融機関からの借入などにより調達しております。あわせて、サステナビリティファイナンス等を通じて、調達方法の多様化を推進しております。なお、主力事業である鉄道事業の特性を鑑み、その設備資金は長期の負債(社債、長期借入金)を中心に調達しております。
短期的な運転資金は、鉄道事業やバス事業などの日々の収入金を中心に、必要な流動性資金を十分に確保しております。また、CMS(キャッシュマネジメントシステム)によりグループ内の余剰資金を有効に活用しているほか、必要に応じてコマーシャル・ペーパーの発行による調達も実施しております。
ウ. 目標とする経営指標の状況
当社グループは、「国内で最も活気とポテンシャルがあるエリア」「日本一安全でサービスの良い持続可能な交通」という長期的にありたい姿の実現に向け、2030年代に大規模投資を本格化してまいります。その入り口となる2030年度を重要な節目と位置づけ、2025年度から2030年度までの6年間を将来に向けて経営基盤を強化する期間として、「京王グループ中期経営計画(2025年度~2030年度)」を推進しております。当該中期経営計画の詳細および<経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営指標>については、第2[事業の状況]1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等](2)経営環境及び対処すべき課題に記載のとおりです。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
ア. 経営成績
当期については、不動産販売業の売上増や建築・土木業の完成工事高が増加したことに加え、ホテル業における高単価販売などにより、連結営業収益はすべてのセグメントで対前年増収となり、4,969億3千9百万円(前期比9.7%増)と過去最高を更新いたしました。連結営業利益は、鉄道安全投資をはじめとした投資の増加などにより、523億2千2百万円(前期比3.4%減)となりました。連結経常利益は511億7千2百万円(前期比3.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は政策保有株式の売却などにより、過去最高の429億2千9百万円(前期比0.2%増)となりました。
なお、連結EBITDAは869億1千4百万円(前期比0.1%減)、連結減価償却費は344億3千1百万円(前期比5.5%増)となりました。
| (単位:百万円) | ||||
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増 減 額 | 増 減 率 | |
| % | ||||
| 連結営業収益 | 452,916 | 496,939 | 44,022 | 9.7 |
| 連結営業利益 | 54,148 | 52,322 | △1,825 | △3.4 |
| 連結経常利益 | 53,253 | 51,172 | △2,081 | △3.9 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 42,857 | 42,929 | 71 | 0.2 |
| 連結EBITDA | 86,958 | 86,914 | △43 | △0.1 |
| 連結減価償却費 | 32,644 | 34,431 | 1,786 | 5.5 |
(注)連結EBITDAは、連結営業利益+減価償却費+のれん償却額により算出しております。
セグメントごとの経営成績の概要は、次のとおりであります。
当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しております。以下の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。
| (単位:百万円) | ||||||
| 営 業 収 益 | 営 業 利 益 | |||||
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増 減 率 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増 減 率 | |
| % | % | |||||
| 交通業 | 130,106 | 133,233 | 2.4 | 15,694 | 13,254 | △15.5 |
| 不動産業 | 91,510 | 120,712 | 31.9 | 17,628 | 17,174 | △2.6 |
| ホテル業 | 56,482 | 60,033 | 6.3 | 10,896 | 10,128 | △7.0 |
| 建設設備業 | 77,483 | 87,640 | 13.1 | 5,619 | 7,434 | 32.3 |
| 生活サービス業 | 144,285 | 146,036 | 1.2 | 5,319 | 5,837 | 9.7 |
| 計 | 499,869 | 547,656 | 9.6 | 55,157 | 53,829 | △2.4 |
| 連結修正 | △46,952 | △50,717 | ― | △1,009 | △1,506 | ― |
| 連結 | 452,916 | 496,939 | 9.7 | 54,148 | 52,322 | △3.4 |
イ. 財政状態
総資産は、販売用不動産の取得による棚卸資産の増加などにより772億6千7百万円増加し、1兆1,998億5千7百万円となりました。負債は、有利子負債の増加などにより478億1千8百万円増加し、7,556億5千万円となりました。純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより294億4千9百万円増加し、4,442億7百万円となりました。
なお、有利子負債(借入金+社債+コマーシャル・ペーパー)は4,690億5千5百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の増加額の縮小などにより、流入額は前連結会計年度に比べ84億6千6百万円増加の370億7千8百万円となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の売却による収入の増加などにより、流出額は前連結会計年度に比べ24億6千5百万円減少の356億4千4百万円となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出などにより、流出額は18億9千6百万円となりました。これらの結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は477億1千1百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの業種構成はサービス業が中心であり、受注生産形態をとらない会社が多いため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況においてセグメントごとの営業収益を示すこととしております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。重要な会計方針および見積りには、以下のようなものがあります。
ア. 有価証券の評価損
当社グループは金融機関や取引先等の株式を保有しております。これらの株式の評価、時価が著しく下落した場合の回復可能性については、当社グループで定める「金融商品取扱規程」により合理的に判断しておりますが、価格変動リスクを負っているため、将来、損失が発生する可能性があります。
イ. 固定資産の減損
当社グループは多くの固定資産を保有しております。これらの価値は個別物件の将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額など多くの前提条件に基づいて算出しているため、当初見込んだ収益が得られなかった場合、または算出の前提条件に変更があった場合には、損失が発生する可能性があります。
ウ. 退職給付債務および費用
当社グループの退職給付債務および費用は、年金資産の長期期待運用収益率や割引率等数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しているため、実際の結果が前提条件と異なる場合、または算出の前提条件に変更があった場合には、損失が発生する可能性があります。
エ. 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を判断するに際して将来の課税所得等を合理的に見積っております。そのため、将来の課税所得の見積額等に変更が生じた場合、繰延税金資産が増額または減額され、税金費用に影響を及ぼす可能性があります。
オ.販売土地及び建物等の評価
販売土地及び建物等の評価は、個別法による原価法(収益性の低下による簿価切下げの方法)を採用しており、期末における正味売却価額が帳簿価額を下回る場合には、正味売却価額をもって貸借対照表価額とし、収益性低下による簿価切下げ額を売上原価として認識しております。正味売却価額の算定において特に重要な仮定は販売見込額であり、周辺の取引事例や市場の動向等を踏まえた上で決定しております。仮定には不確実性が伴い、今後の不動産市況や建築コストの動向、金利の変動の影響を受け、正味売却価額が低下する可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
ア. 経営成績等の状況に関する分析
当社グループは、「国内で最も活気とポテンシャルがあるエリア」の形成と「日本一安全でサービスの良い持続可能な交通」の実現を目指しています。2030年代に大規模投資が本格化することから、2025年度から2030年度までの6年間を将来に向けて経営基盤を強化する期間として、「京王グループ中期経営計画(2025年度~2030年度)」を策定しました。本中期経営計画においては、「HIRAKU2030」をテーマに掲げ、沿線と当社グループの未来を切りひらくべく、沿線価値や企業価値の向上に向けた取組みを進めています。
鉄道事業では、2030年代前半でのホームドア全駅設置に向けた整備や、2020年代後半での井の頭線のワンマン運転実施に向けた自動運転設備の導入を進めました。2026年1月から運行を開始した新型通勤車両「2000系」では、従来車両より環境性能を向上させたほか、DX推進のため次世代の車両情報管理装置を採用しております。これらの取組みを通じて、さらなる安全性の向上や鉄道オペレーションの高度化・効率化を図りました。また当社は、沿線地域の活性化や移動需要の創出に向けて、沿線施設との連携を強化しております。その一環として、ポケモン初の屋外常設型施設『ポケパーク カントー』のプロモーションパートナーおよびオフィシャルスポンサーとなり、駅装飾やラッピングトレインの運行など、同施設との連携施策を実施しました。
不動産業では、新築分譲マンションブランドの第1号物件「京王多摩川ハモンズ」を、2026年6月より販売開始しております。同物件の開発にあたっては、隣接する高架下を活用したまちづくりプロジェクトを始動するなど、開発段階から地域と連携した取組みを推進しております。私募ファンドについては、新たにオフィスビルを主体とするファンドなど3本を組成したほか、アセットマネジメント事業のさらなる発展に向けて私募REITの組成検討に着手しております。
また、2026年2月に80億円規模のCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)ファンド「京王れーるファンド」を設立いたしました。出資を起点としたスタートアップ企業との共創を図り、当社グループのオープンイノベーションをさらに加速させ、特に事業部起点のプログラム「JISOU」との連携を強化することで、事業部門の課題解決による戦略リターンの創出と、出資先企業の成長による財務リターンの確保を目指してまいります。
なお、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
[交通業]
鉄道事業では、輸送人員が定期・定期外ともに前期を上回ったものの、車両新造による減価償却費の増加や、処遇改善に伴う人件費の増加などにより増収減益となりました。バス事業では、インバウンド需要路線が増収となるなど高速収入が好調となり増収増益となりました。これらの結果、交通業の営業収益は1,332億3千3百万円(前期比2.4%増)、営業利益は132億5千4百万円(前期比15.5%減)となりました。
(鉄道事業)
| 種 別 | 単 位 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増 減 率(%) | |
| 営業日数 | 日 | 365 | 365 | - | |
| 営業粁 | 粁 | 84.7 | 84.7 | - | |
| 客車走行粁 | 千粁 | 129,149 | 130,504 | 1.0 | |
| 輸送人員 | 定期 | 千人 | 328,046 | 333,562 | 1.7 |
| 定期外 | 〃 | 265,100 | 272,193 | 2.7 | |
| 計 | 〃 | 593,146 | 605,755 | 2.1 | |
| 旅客運輸収入 | 定期 | 百万円 | 31,325 | 31,799 | 1.5 |
| 定期外 | 〃 | 50,173 | 51,448 | 2.5 | |
| 計 | 〃 | 81,499 | 83,248 | 2.1 | |
| 乗車効率 | % | 37.5 | 37.8 | - | |
| (注) 乗車効率の算出は | 延人粁 | によります。 |
| 客車走行粁×平均定員 |
[不動産業]
リビタやサンウッドにおける都心部を中心とした分譲マンションの売上増や、不動産ファンドへの物件売却など、不動産販売業の牽引により増収となった一方、不動産賃貸業におけるまちづくり費用の増などにより減益となりました。これらの結果、不動産業の営業収益は1,207億1千2百万円(前期比31.9%増)、営業利益は171億7千4百万円(前期比2.6%減)となりました。
[ホテル業]
活況な宿泊マーケットを背景に客室単価が上昇したものの、「京王プラザホテル(新宿)」や「京王プレッソイン」における客室改装の実施や、人件費の増加などにより増収減益となりました。これらの結果、ホテル業の営業収益は600億3千3百万円(前期比6.3%増)、営業利益は101億2千8百万円(前期比7.0%減)となりました。
[建設設備業]
建築・土木業における完成工事高の増加や粗利率の改善などにより、増収増益となりました。これらの結果、建設設備業の営業収益は876億4千万円(前期比13.1%増)、営業利益は74億3千4百万円(前期比32.3%増)となりました。
[生活サービス業]
営業収益は、ストア業における来店客数および客単価の増加などによるスーパーマーケット事業の増収に加え、コンビニ事業やドラッグストア事業が好調に推移し増収となりました。営業利益は、人件費の増加などによりストア業では前年並みとなった一方、百貨店業に加え、広告代理業や旅行業が好調に推移し増益となりました。これらの結果、生活サービス業の営業収益は1,460億3千6百万円(前期比1.2%増)、営業利益は58億3千7百万円(前期比9.7%増)となりました。
イ. 資本の財源及び資金の流動性
a. 重要な資本的支出の予定
「京王グループ中期経営計画(2025年度~2030年度)」においては、6カ年累計で成長投資2,400億円、既存更新投資2,700億円を見込んでおります。
成長投資は、新宿、橋本、京王多摩川などのまちづくりについて着実に事業を推進するとともに、ホテル業は、増益を見据えた客室改装に加えて、新規出店投資も見込んでおります。既存更新投資のうち鉄道事業投資については、2030年代に設置率100%を目指すホームドア整備と、生産性向上に資する自動運転(ワンマン)に重点を置いて実施してまいります。また、老朽化の進む不動産及びホテル既存物件は、物件ROAを意識して更新・改修を実行してまいります。
| 2025年度 実績 | 2026年度 計画 | 2027年度 中期計画 | 2030年度 中期計画 | |
| 連結資本的支出 | 655億円 | 1,104億円 | 914億円 | 566億円 |
| うち鉄道事業 | 409億円 | 438億円 | 272億円 | 288億円 |
b. 重要な資本的支出に要する資金の調達源、資金の流動性
「京王グループ中期経営計画(2025年度~2030年度)」においては、資産・資本効率性向上のため、生産性向上や不動産販売業の強化、資産売却によりキャッシュを創出し、長期の視点に立った成長投資や安全性向上等に必要な投資資金を確保しつつ、株主還元に積極的に充当していく方針です。
重要な資本的支出に要する資金は、営業活動によるキャッシュ・フローを充てるほか、不足する資金については、経済情勢や金利動向を勘案し、社債の発行や金融機関からの借入などにより調達しております。あわせて、サステナビリティファイナンス等を通じて、調達方法の多様化を推進しております。なお、主力事業である鉄道事業の特性を鑑み、その設備資金は長期の負債(社債、長期借入金)を中心に調達しております。
短期的な運転資金は、鉄道事業やバス事業などの日々の収入金を中心に、必要な流動性資金を十分に確保しております。また、CMS(キャッシュマネジメントシステム)によりグループ内の余剰資金を有効に活用しているほか、必要に応じてコマーシャル・ペーパーの発行による調達も実施しております。
ウ. 目標とする経営指標の状況
当社グループは、「国内で最も活気とポテンシャルがあるエリア」「日本一安全でサービスの良い持続可能な交通」という長期的にありたい姿の実現に向け、2030年代に大規模投資を本格化してまいります。その入り口となる2030年度を重要な節目と位置づけ、2025年度から2030年度までの6年間を将来に向けて経営基盤を強化する期間として、「京王グループ中期経営計画(2025年度~2030年度)」を推進しております。当該中期経営計画の詳細および<経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営指標>については、第2[事業の状況]1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等](2)経営環境及び対処すべき課題に記載のとおりです。