有価証券報告書-第180期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
(1) 経営成績
(連結経営成績)
当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用情勢の改善等により緩やかな回復が継続していましたが、米中通商問題の影響の長期化や、消費税増税の影響による消費の低迷に加え、年度末にかけては新型コロナウイルス感染症の影響もあり、厳しい状況にあります。
このような情勢のなか、当社グループでは、長期ビジョン「にしてつグループまち夢ビジョン2025」実現の第二ステップとなる第15次中期経営計画の目標達成に向け、以下の7つの重点戦略に取り組みました。
① アジアで最も創造的な都市「福岡」の中核となる新たな拠点づくり
「福ビル街区建替プロジェクト」では、計画を変更し、福岡ビル、天神コアビル、天神第一名店ビル等からなる「福ビル街区」全体を同時開発することを決定しました。福岡ビルの解体に着手したほか、天神コアについては本年3月末日をもって営業を終了しました。
また、「博多国際展示場&カンファレンスセンター」や当社グループが参画する「旧大名小学校跡地活用事業」の着工等、各大型プロジェクトを推進しました。
② グループ一体となった沿線の魅力向上と観光インバウンド需要の取り込み
輸送サービスにおける利便性向上を目的に九州旅客鉄道㈱(JR九州)との連携を進め、下曽根駅において、バスの列車接続を見直したほか、相互の運行情報案内表示を開始しました。
また、昨年10月に太宰府で古民家を活用した「HOTEL CULTIA 太宰府(ホテルカルティア太宰府)」を開業するなど、新たな観光需要の取り込みや観光を活用したまちづくりに取り組みました。
③ アジア・首都圏など成長エリアへの積極展開による新たな収益源の獲得
アジアや首都圏等、成長が見込めるエリアにおいて、分譲マンションや戸建住宅を開発、販売したほか、ホテルの開業準備を進めました。
④ 国際物流事業の更なる強化
海外ネットワークの拡充や、航空・海運事業およびロジスティクス事業における高品質、高付加価値サービスの提供に努めました。
⑤ 未来を見据えた既存事業の収益力強化
様々な移動手段を組み合わせたルート検索や予約・決済機能等により移動をサポートするスマートフォン向けサービス「my route(マイルート)」を、トヨタ自動車㈱との協業により本格実施しました。
また、シニアマーケットを捉えた収益力の強化に努め、シニアマンション事業の拡大を進めました。
さらに、ベンチャー企業等との協業による新たなビジネスの創出やサービスの革新を目指し、オープンイノベーションプログラムを開催しました。
⑥ グループ総合力の発揮による新たな価値創造
グループ一体となった取り組みを進め、福岡市アイランドシティ地区において、バス、住宅、ストア等各事業が連携し、多世代がつながる安心、高質の住環境とバス交通拠点が一体となったまちづくりを進めました。
⑦ 持続的な成長を実現するための企業風土改革
安全マネジメント体制に基づき、各事業において安全性向上のための取り組みを推進しました。また、組織文化改革、人材確保および人材育成の取り組みを行うとともに、ペーパーレスの推進やRPA、テレワークの導入等による生産性の向上に努めました。
その結果、当連結会計年度の経営成績は以下のとおりとなりました。
なお、連結損益計算書の主要項目ごとの前連結会計年度との主な増減要因等は、次のとおりです。
① 営業収益及び営業利益
当連結会計年度の営業収益は、国際物流事業での米中通商問題の影響による取扱高の減少や、ホテル事業やバス事業での感染症の流行拡大の影響などによる減収、住宅事業での分譲販売区画数の減少などにより、前連結会計年度から73億8千9百万円減少し、3,894億4千6百万円(前期比 1.9%減)となりました。
営業利益は、前連結会計年度から37億5千9百万円減少し、164億1千1百万円(前期比 18.6%減)となりました。
セグメントごとの営業収益及び営業利益は、次のとおりです。
第1四半期連結会計期間の期首に、会社分割を伴う連結子会社の組織再編を実施し、一部連結子会社において、セグメントの区分を変更しています。
なお、前連結会計年度のセグメント情報については、当該変更後の区分に基づき作成したものを開示しています。
また、当連結会計年度において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前連結会計年度のセグメント情報については、暫定的な会計処理の確定による取得原価の当初配分額の重要な見直しが反映された後の金額を開示しています。
なお、「第2 事業の状況」及び「第3 設備の状況」について、特に記載のない限り消費税等抜きで記載しています。
② 営業外損益及び経常利益
営業外収益は、受取配当金の減少などもあり、前連結会計年度から7億2千2百万円減少し、20億1千7百万円となりました。
営業外費用は、持分法による投資損失の増加などにより、前連結会計年度から4億6千7百万円増加し、41億7百万円となりました。
この結果、経常利益は、前連結会計年度から49億4千8百万円減少し、143億2千2百万円(前期比 25.7%減)となりました。
③ 特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益
特別利益は、前連結会計年度から1千万円増加し、16億6千3百万円となりました。
特別損失は、前連結会計年度に福岡ビルおよび天神コアビル建替えに伴う減損損失(52億9千4百万円)を計上したことなどにより、前連結会計年度から71億3千3百万円減少し、35億3千8百万円となりました。
この結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度から21億9千4百万円増加し、124億4千7百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度から3億4千8百万円増加し、66億7千8百万円(前期比 5.5%増)となりました。
(セグメント別概況)
① 運輸業
鉄道事業において、安全性および沿線の魅力向上の取り組みとして、福岡県および福岡市が行う雑餉隈~下大利駅間連続立体交差事業の高架化工事を進めました。
バス事業において、持続可能な交通ネットワークの再整備に努め、北九州市で連節バスの運行を開始したほか、アイランドシティ地区でAI活用型オンデマンドバス「のるーと」の運行を開始しました。また、乗務員不足への対応として、一部の一般路線バスおよび高速バスの減便を実施しました。
経営成績については、鉄道事業で、新型コロナウイルス感染症の影響があったものの、新元号「令和」効果を含む旅客人員の増加などにより増収となりました。一方、バス事業では、感染症の影響による旅客人員の減少などにより減収となりました。これらの結果、運輸業の営業収益は873億3千8百万円(前期比 1.5%減)、営業利益は47億1千3百万円(前期比 10.8%減)となりました。
イ 業種別営業成績
※バス事業の内部取引を除くと3.4%の減となります。
ロ 提出会社の鉄道事業の運輸成績
ハ 提出会社のバス事業の運輸成績
② 不動産業
賃貸事業において、福岡県が行う天神中央公園西中洲エリアの再整備事業の一環として、飲食施設「HARENO GARDEN EAST&WEST(ハレノガーデン イースト&ウエスト)」を開業しました。
住宅事業において、ベトナムでの住宅開発を進めたほか、福岡および首都圏での分譲マンションの開発を進めました。また、シニアマンション事業の拡大に努め、「サンカルナ香椎照葉」やサービス付き高齢者向け住宅「カルナス別府」を開業しました。
経営成績については、賃貸事業で、「福ビル街区建替プロジェクト」に伴う福岡ビルの閉館などにより減収となりました。また、住宅事業で、新規シニアマンションの開業等がありましたが、分譲販売区画数の減により減収となりました。これらの結果、不動産業の営業収益は652億2千6百万円(前期比 3.9%減)、営業利益は75億2千8百万円(前期比 8.1%減)となりました。
イ 業種別営業成績
ロ 分譲販売区画数
③ 流通業
ストア事業において、収益力の向上に努め、店舗運営の効率化や既存店舗のリニューアルを行いました。
生活雑貨販売業において、「雑貨館インキューブ」の店舗の魅力向上に努めたほか、出店拡大を進めました。
経営成績については、ストア事業で、競合店の影響や価格志向の強まりによる既存店売上の低迷により減収となりました。一方、生活雑貨販売業では、新規店の寄与などにより増収となりました。これらの結果、流通業の営業収益は782億8千万円(前期比 0.2%減)、営業利益は8億6千4百万円(前期比 7.2%減)となりました。
業種別営業成績
④ 物流業
国際物流事業において、ネットワークの拡充を進め、オランダおよび中国に倉庫を、ベトナムに営業拠点をそれぞれ新設しました。
また、収益基盤の拡大に努め、繊維、食品関連等、新たな取扱品目の拡大を図りました。
経営成績については、国際物流事業で、前期に子会社化したNNR GLOBAL LOGISTICS FRANCE SASの寄与があったものの、米中通商問題の影響等による航空輸出取扱高や航空輸入取扱高の減少などにより減収となりました。これらの結果、物流業の営業収益は994億4千2百万円(前期比 3.7%減)、営業利益は22億3千8百万円(前期比 20.8%減)となりました。
イ 業種別営業成績
ロ 国際貨物取扱高
※TEU:20フィートの海上輸送コンテナを1単位とした換算個数
⑤ レジャー・サービス業
ホテル事業において、海外3店舗目となる「ソラリア西鉄ホテルバンコク」等の開業に向け、準備を進めました。
経営成績については、ホテル事業で、新規ホテル等の寄与があったものの、日韓関係の悪化によるインバウンド客の減少や、競合施設増加の影響に加え、新型コロナウイルス感染症の影響もあり稼働が低迷しました。また、旅行事業では、感染症の影響により旅行客が減少しました。これらの結果、レジャー・サービス業の営業収益は441億8千6百万円(前期比 3.9%減)となりました。営業利益は3億3千9百万円(前期比 85.3%減)となりました。
業種別営業成績
※ホテル事業の内部取引を除くと5.4%の減となります。
⑥ その他
ICカード事業において、nimocaが長崎県の交通事業者3社に導入されました。
経営成績については、建設関連事業での完成工事高の減少などにより、その他の営業収益は444億3千5百万円(前期比 7.3%減)、営業利益は8億5千万円(前期比 52.5%減)となりました。
業種別営業成績
(2) 財政状態
資産は、有形固定資産や、販売土地及び建物の増加等により、前連結会計年度末に比べ443億3千3百万円増加し、6,671億5千万円となりました。
負債は、社債及び借入金、前受金の増加等により、前連結会計年度末に比べ452億9千5百万円増加し、4,866億円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が増加した一方、その他有価証券評価差額金の減少等により、前連結会計年度末に比べ9億6千1百万円減少し、1,805億4千9百万円となりました。
社債及び借入金は、第51回無担保社債の発行等により、前連結会計年度末に比べ371億1千7百万円増加し、2,852億7千9百万円となりました。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ77億1千8百万円増加し、337億9千4百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益124億4千7百万円、減価償却費213億5千4百万円、たな卸資産の増加額(支出)100億7千7百万円等により、182億7百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ41億6千9百万円の収入減となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出471億7千4百万円、工事負担金等受入による収入101億6千8百万円等により、427億4千4百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ156億4千1百万円の支出減となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の純増による収入218億8千5百万円、社債の発行による収入150億円、配当金の支払額27億6千2百万円等により、323億3千9百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ22億7千5百万円の収入増となりました。
当社グループの資金調達については、鉄道事業における設備投資に対する㈱日本政策投資銀行からの借入金のほか、社債及び民間金融機関からの借入金など、市場環境や金利動向等を総合的に勘案しながら行っています。なお、当社グループでは資金効率向上のため、キャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入しています。
資金の流動性については、当社グループは、運輸業や流通業を中心に日々の収入金があることから、必要な流動性資金は十分に確保しており、これらの資金をCMSにより集中管理することでグループ内において有効に活用しています。
なお、現在は新型コロナウイルス感染症の影響拡大に対応するため、早期の資金調達により十分な手許資金を確保しています。具体的には2020年5月に第52・53回無担保社債を発行(発行額200億円)し、併せて、コミットメントライン契約の締結(融資枠250億円設定済)を行いました。また、適宜、必要な長期借入等を実施し、余裕を持った資金の確保に努めています。
資金の配分方針については、手許現金及び現金同等物は、売上高の約1ヶ月分程度を安定的な経営のための適正な水準としています。
成長投資については、2019年度は「西鉄グループ第15次中期経営計画」(2019年度~2021年度)に沿って、福ビル街区建替プロジェクトやラクレイス香椎照葉・サンカルナ香椎照葉新築工事等を進めました。2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、「西鉄グループ第15次中期経営計画」で予定していた成長投資の削減・先送りを実施する計画ですが、福ビル街区建替プロジェクト等の大型開発や工事着手済みであるソラリア西鉄ホテル札幌(仮称)新築工事等については着実に進めてまいります。投資計画の詳細については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」をご参照ください。
株主還元については、経営における重要課題の一つと考えており、当社は、適切な内部留保の確保による財務体質及び経営基盤の強化を図りながら、安定的・継続的な配当を実施することを利益配分についての方針としています。当社の配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。
この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方については、「第5 経理の状況
1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりです。
①繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しています。当該判断は収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しています。
収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度及び繰越期間における課税所得を見積もっています。課税所得は西鉄グループ第15次中期経営計画の前提となった数値を整合的に修正し見積っています。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
②退職給付債務の算定
当社グループでは、主として確定給付制度を採用しています。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、割引率、昇給率、退職率、死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率等を含む計算基礎を用いて算定しています。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付に係る資産並びに退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。
なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(退職給付関係)2確定給付制度(9)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりです。
③減損会計における将来キャッシュ・フロー
減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、西鉄グループ第15次中期経営計画の前提となった数値を整合的に修正し、資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮し見積っています。西鉄グループ第15次中期経営計画の見積期間を超える期間の将来キャッシュ・フローは、西鉄グループ第15次中期経営計画の前提となった数値に、それまでの計画に基づく趨勢を踏まえた一定又は逓減する成長率の仮定をおいて見積っています。
当社グループは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結損益計算書関係)※10減損損失」に記載のとおり、当連結会計年度において減損損失(999百万円)を計上しました。回収可能価額は使用価値または正味売却価額により算定していますが、その際に用いられる税引前の割引率は、貨幣の時間価値と将来キャッシュ・フローがその見積値から乖離するリスクの両方を反映したものであり、借入資本コストと自己資本コストを加重平均した資本コストによっています。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において追加の減損損失(特別損失)が発生する可能性があります。
④投資有価証券
当社グループは、投資有価証券のうち、取得価額に比べ時価又は実質価額が著しく下落したものについては、回復可能性があると判断される場合を除き減損処理を行っています。
回復可能性の判定にあたっては、発行会社の事業計画等に基づき財政状態及び経営成績を整合的に見積もっています。
当該見積りについて、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において評価損(特別損失)が発生する可能性があります。
(5) 生産、受注及び販売の実績
当社グループの各事業において提供するサービスや製品は多種多様であり、同じセグメント内のサービスや製品であっても、その内容、形式等は必ずしも一様ではないため、生産、受注及び販売の実績について、セグメントごとに生産規模あるいは数量で示すことはしていません。
そのため、生産、受注及び販売の状況については、「(1) 経営成績」における各セグメント業績に関連付けて示しています。
(1) 経営成績
(連結経営成績)
当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用情勢の改善等により緩やかな回復が継続していましたが、米中通商問題の影響の長期化や、消費税増税の影響による消費の低迷に加え、年度末にかけては新型コロナウイルス感染症の影響もあり、厳しい状況にあります。
このような情勢のなか、当社グループでは、長期ビジョン「にしてつグループまち夢ビジョン2025」実現の第二ステップとなる第15次中期経営計画の目標達成に向け、以下の7つの重点戦略に取り組みました。
① アジアで最も創造的な都市「福岡」の中核となる新たな拠点づくり
「福ビル街区建替プロジェクト」では、計画を変更し、福岡ビル、天神コアビル、天神第一名店ビル等からなる「福ビル街区」全体を同時開発することを決定しました。福岡ビルの解体に着手したほか、天神コアについては本年3月末日をもって営業を終了しました。
また、「博多国際展示場&カンファレンスセンター」や当社グループが参画する「旧大名小学校跡地活用事業」の着工等、各大型プロジェクトを推進しました。
② グループ一体となった沿線の魅力向上と観光インバウンド需要の取り込み
輸送サービスにおける利便性向上を目的に九州旅客鉄道㈱(JR九州)との連携を進め、下曽根駅において、バスの列車接続を見直したほか、相互の運行情報案内表示を開始しました。
また、昨年10月に太宰府で古民家を活用した「HOTEL CULTIA 太宰府(ホテルカルティア太宰府)」を開業するなど、新たな観光需要の取り込みや観光を活用したまちづくりに取り組みました。
③ アジア・首都圏など成長エリアへの積極展開による新たな収益源の獲得
アジアや首都圏等、成長が見込めるエリアにおいて、分譲マンションや戸建住宅を開発、販売したほか、ホテルの開業準備を進めました。
④ 国際物流事業の更なる強化
海外ネットワークの拡充や、航空・海運事業およびロジスティクス事業における高品質、高付加価値サービスの提供に努めました。
⑤ 未来を見据えた既存事業の収益力強化
様々な移動手段を組み合わせたルート検索や予約・決済機能等により移動をサポートするスマートフォン向けサービス「my route(マイルート)」を、トヨタ自動車㈱との協業により本格実施しました。
また、シニアマーケットを捉えた収益力の強化に努め、シニアマンション事業の拡大を進めました。
さらに、ベンチャー企業等との協業による新たなビジネスの創出やサービスの革新を目指し、オープンイノベーションプログラムを開催しました。
⑥ グループ総合力の発揮による新たな価値創造
グループ一体となった取り組みを進め、福岡市アイランドシティ地区において、バス、住宅、ストア等各事業が連携し、多世代がつながる安心、高質の住環境とバス交通拠点が一体となったまちづくりを進めました。
⑦ 持続的な成長を実現するための企業風土改革
安全マネジメント体制に基づき、各事業において安全性向上のための取り組みを推進しました。また、組織文化改革、人材確保および人材育成の取り組みを行うとともに、ペーパーレスの推進やRPA、テレワークの導入等による生産性の向上に努めました。
その結果、当連結会計年度の経営成績は以下のとおりとなりました。
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減額 (百万円) | 増減率 (%) | |
営業収益 | 396,835 | 389,446 | △7,389 | △1.9 |
営業利益 | 20,171 | 16,411 | △3,759 | △18.6 |
経常利益 | 19,271 | 14,322 | △4,948 | △25.7 |
親会社株主に帰属 する当期純利益 | 6,330 | 6,678 | 348 | 5.5 |
なお、連結損益計算書の主要項目ごとの前連結会計年度との主な増減要因等は、次のとおりです。
① 営業収益及び営業利益
当連結会計年度の営業収益は、国際物流事業での米中通商問題の影響による取扱高の減少や、ホテル事業やバス事業での感染症の流行拡大の影響などによる減収、住宅事業での分譲販売区画数の減少などにより、前連結会計年度から73億8千9百万円減少し、3,894億4千6百万円(前期比 1.9%減)となりました。
営業利益は、前連結会計年度から37億5千9百万円減少し、164億1千1百万円(前期比 18.6%減)となりました。
セグメントごとの営業収益及び営業利益は、次のとおりです。
第1四半期連結会計期間の期首に、会社分割を伴う連結子会社の組織再編を実施し、一部連結子会社において、セグメントの区分を変更しています。
なお、前連結会計年度のセグメント情報については、当該変更後の区分に基づき作成したものを開示しています。
また、当連結会計年度において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前連結会計年度のセグメント情報については、暫定的な会計処理の確定による取得原価の当初配分額の重要な見直しが反映された後の金額を開示しています。
セグメントの名称 | 営業収益 | 営業利益 | ||||
前連結 会計年度 (百万円) | 当連結 会計年度 (百万円) | 増減率 (%) | 前連結 会計年度 (百万円) | 当連結 会計年度 (百万円) | 増減率 (%) | |
運輸業 | 88,697 | 87,338 | △1.5 | 5,287 | 4,713 | △10.8 |
不動産業 | 67,896 | 65,226 | △3.9 | 8,195 | 7,528 | △8.1 |
流通業 | 78,412 | 78,280 | △0.2 | 932 | 864 | △7.2 |
物流業 | 103,257 | 99,442 | △3.7 | 2,827 | 2,238 | △20.8 |
レジャー・サービス業 | 45,996 | 44,186 | △3.9 | 2,302 | 339 | △85.3 |
計 | 384,260 | 374,474 | △2.5 | 19,545 | 15,684 | △19.8 |
その他 | 47,943 | 44,435 | △7.3 | 1,790 | 850 | △52.5 |
調整額 | △35,367 | △29,463 | - | △1,164 | △123 | - |
連結 | 396,835 | 389,446 | △1.9 | 20,171 | 16,411 | △18.6 |
なお、「第2 事業の状況」及び「第3 設備の状況」について、特に記載のない限り消費税等抜きで記載しています。
② 営業外損益及び経常利益
営業外収益は、受取配当金の減少などもあり、前連結会計年度から7億2千2百万円減少し、20億1千7百万円となりました。
営業外費用は、持分法による投資損失の増加などにより、前連結会計年度から4億6千7百万円増加し、41億7百万円となりました。
この結果、経常利益は、前連結会計年度から49億4千8百万円減少し、143億2千2百万円(前期比 25.7%減)となりました。
③ 特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益
特別利益は、前連結会計年度から1千万円増加し、16億6千3百万円となりました。
特別損失は、前連結会計年度に福岡ビルおよび天神コアビル建替えに伴う減損損失(52億9千4百万円)を計上したことなどにより、前連結会計年度から71億3千3百万円減少し、35億3千8百万円となりました。
この結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度から21億9千4百万円増加し、124億4千7百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度から3億4千8百万円増加し、66億7千8百万円(前期比 5.5%増)となりました。
(セグメント別概況)
① 運輸業
鉄道事業において、安全性および沿線の魅力向上の取り組みとして、福岡県および福岡市が行う雑餉隈~下大利駅間連続立体交差事業の高架化工事を進めました。
バス事業において、持続可能な交通ネットワークの再整備に努め、北九州市で連節バスの運行を開始したほか、アイランドシティ地区でAI活用型オンデマンドバス「のるーと」の運行を開始しました。また、乗務員不足への対応として、一部の一般路線バスおよび高速バスの減便を実施しました。
経営成績については、鉄道事業で、新型コロナウイルス感染症の影響があったものの、新元号「令和」効果を含む旅客人員の増加などにより増収となりました。一方、バス事業では、感染症の影響による旅客人員の減少などにより減収となりました。これらの結果、運輸業の営業収益は873億3千8百万円(前期比 1.5%減)、営業利益は47億1千3百万円(前期比 10.8%減)となりました。
イ 業種別営業成績
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減額 (百万円) | 増減率 (%) | ||
営業収益 | 88,697 | 87,338 | △1,359 | △1.5 | |
鉄道事業 | 23,025 | 23,166 | 140 | 0.6 | |
バス事業 | 62,400 | 59,168 | △3,232 | ※ △5.2 | |
タクシー事業 | 4,295 | 3,895 | △399 | △9.3 | |
運輸関連事業 | 12,379 | 12,759 | 379 | 3.1 | |
消去 | △13,403 | △11,650 | 1,753 | - | |
営業利益 | 5,287 | 4,713 | △573 | △10.8 |
※バス事業の内部取引を除くと3.4%の減となります。
ロ 提出会社の鉄道事業の運輸成績
種別 | 単位 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減率(%) | |
営業日数 | 日 | 365 | 366 | 0.3 | |
営業キロ | キロ | 106.1 | 106.1 | - | |
走行キロ | 千キロ | 39,806 | 39,932 | 0.3 | |
旅客人員 | 定期 | 千人 | 57,363 | 58,307 | 1.6 |
定期外 | 千人 | 47,950 | 47,841 | △0.2 | |
計 | 千人 | 105,313 | 106,148 | 0.8 | |
旅客収入 | 定期 | 百万円 | 7,674 | 7,773 | 1.3 |
定期外 | 百万円 | 12,994 | 12,868 | △1.0 | |
計 | 百万円 | 20,668 | 20,641 | △0.1 | |
手小荷物・その他収入 | 百万円 | 0 | 0 | 106.3 | |
運輸雑収 | 百万円 | 1,334 | 1,525 | 14.3 | |
運輸収入合計 | 百万円 | 22,003 | 22,167 | 0.7 | |
乗車効率 (注) | % | 30.0 | 30.0 | - |
ハ 提出会社のバス事業の運輸成績
種別 | 単位 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減率(%) | |
営業日数 | 日 | 365 | 366 | 0.3 | |
営業キロ | キロ | 4,355.2 | 4,569.7 | 4.9 | |
走行キロ | 千キロ | 87,586 | 88,467 | 1.0 | |
旅客人員 | 定期 | 千人 | 77,254 | 77,312 | 0.1 |
定期外 | 千人 | 115,317 | 113,959 | △1.2 | |
計 | 千人 | 192,571 | 191,270 | △0.7 | |
旅客収入 | 定期 | 百万円 | 8,330 | 8,433 | 1.2 |
定期外 | 百万円 | 26,040 | 26,685 | 2.5 | |
計 | 百万円 | 34,370 | 35,119 | 2.2 | |
手荷物・その他収入 | 百万円 | 1 | 1 | △17.2 | |
運輸雑収 | 百万円 | 3,954 | 3,509 | △11.2 | |
運輸収入合計 | 百万円 | 38,326 | 38,630 | 0.8 | |
乗車効率 (注) | % | 19.9 | 19.9 | - |
(注) | 乗車効率算出方式 | 延人キロ | ×100 |
1車平均定員×走行キロ |
② 不動産業
賃貸事業において、福岡県が行う天神中央公園西中洲エリアの再整備事業の一環として、飲食施設「HARENO GARDEN EAST&WEST(ハレノガーデン イースト&ウエスト)」を開業しました。
住宅事業において、ベトナムでの住宅開発を進めたほか、福岡および首都圏での分譲マンションの開発を進めました。また、シニアマンション事業の拡大に努め、「サンカルナ香椎照葉」やサービス付き高齢者向け住宅「カルナス別府」を開業しました。
経営成績については、賃貸事業で、「福ビル街区建替プロジェクト」に伴う福岡ビルの閉館などにより減収となりました。また、住宅事業で、新規シニアマンションの開業等がありましたが、分譲販売区画数の減により減収となりました。これらの結果、不動産業の営業収益は652億2千6百万円(前期比 3.9%減)、営業利益は75億2千8百万円(前期比 8.1%減)となりました。
イ 業種別営業成績
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減額 (百万円) | 増減率 (%) | ||
営業収益 | 67,896 | 65,226 | △2,669 | △3.9 | |
賃貸事業 | 26,620 | 25,832 | △787 | △3.0 | |
住宅事業 | 32,322 | 30,425 | △1,896 | △5.9 | |
その他不動産事業 | 12,641 | 12,511 | △129 | △1.0 | |
消去 | △3,687 | △3,543 | 143 | - | |
営業利益 | 8,195 | 7,528 | △667 | △8.1 |
ロ 分譲販売区画数
単位 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 (%) | ||
分譲販売区画数 | 区画 | 728 | 681 | △47 | △6.5 | |
マンション | 戸 | 444 | 447 | 3 | 0.7 | |
戸建 | 区画 | 249 | 212 | △37 | △14.9 | |
リノベーション | 戸 | 35 | 22 | △13 | △37.1 |
③ 流通業
ストア事業において、収益力の向上に努め、店舗運営の効率化や既存店舗のリニューアルを行いました。
生活雑貨販売業において、「雑貨館インキューブ」の店舗の魅力向上に努めたほか、出店拡大を進めました。
経営成績については、ストア事業で、競合店の影響や価格志向の強まりによる既存店売上の低迷により減収となりました。一方、生活雑貨販売業では、新規店の寄与などにより増収となりました。これらの結果、流通業の営業収益は782億8千万円(前期比 0.2%減)、営業利益は8億6千4百万円(前期比 7.2%減)となりました。
業種別営業成績
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減額 (百万円) | 増減率 (%) | ||
営業収益 | 78,412 | 78,280 | △132 | △0.2 | |
ストア事業 | 73,399 | 73,011 | △387 | △0.5 | |
生活雑貨販売業 | 5,012 | 5,268 | 255 | 5.1 | |
営業利益 | 932 | 864 | △67 | △7.2 |
④ 物流業
国際物流事業において、ネットワークの拡充を進め、オランダおよび中国に倉庫を、ベトナムに営業拠点をそれぞれ新設しました。
また、収益基盤の拡大に努め、繊維、食品関連等、新たな取扱品目の拡大を図りました。
経営成績については、国際物流事業で、前期に子会社化したNNR GLOBAL LOGISTICS FRANCE SASの寄与があったものの、米中通商問題の影響等による航空輸出取扱高や航空輸入取扱高の減少などにより減収となりました。これらの結果、物流業の営業収益は994億4千2百万円(前期比 3.7%減)、営業利益は22億3千8百万円(前期比 20.8%減)となりました。
イ 業種別営業成績
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減額 (百万円) | 増減率 (%) | ||
営業収益 | 103,257 | 99,442 | △3,814 | △3.7 | |
国際物流事業 | 105,966 | 100,097 | △5,869 | △5.5 | |
国内物流事業 | 10,689 | 10,678 | △10 | △0.1 | |
消去 | △13,399 | △11,333 | 2,065 | - | |
営業利益 | 2,827 | 2,238 | △589 | △20.8 |
ロ 国際貨物取扱高
単位 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 (%) | |
航空輸出 | 千トン | 149 | 133 | △15 | △10.3 |
航空輸入 | 千件 | 467 | 425 | △41 | △8.8 |
海運輸出 | 千TEU ※ | 90 | 91 | 0 | 0.2 |
海運輸入 | 千TEU ※ | 110 | 113 | 2 | 2.3 |
※TEU:20フィートの海上輸送コンテナを1単位とした換算個数
⑤ レジャー・サービス業
ホテル事業において、海外3店舗目となる「ソラリア西鉄ホテルバンコク」等の開業に向け、準備を進めました。
経営成績については、ホテル事業で、新規ホテル等の寄与があったものの、日韓関係の悪化によるインバウンド客の減少や、競合施設増加の影響に加え、新型コロナウイルス感染症の影響もあり稼働が低迷しました。また、旅行事業では、感染症の影響により旅行客が減少しました。これらの結果、レジャー・サービス業の営業収益は441億8千6百万円(前期比 3.9%減)となりました。営業利益は3億3千9百万円(前期比 85.3%減)となりました。
業種別営業成績
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減額 (百万円) | 増減率 (%) | ||
営業収益 | 45,996 | 44,186 | △1,809 | △3.9 | |
ホテル事業 | 31,091 | 32,622 | 1,530 | ※ 4.9 | |
旅行事業 | 3,745 | 3,280 | △465 | △12.4 | |
娯楽事業 | 4,793 | 4,727 | △66 | △1.4 | |
飲食事業 | 3,763 | 3,585 | △178 | △4.7 | |
広告事業 | 6,785 | 6,399 | △385 | △5.7 | |
その他サービス事業 | 8,091 | 8,345 | 254 | 3.1 | |
消去 | △12,274 | △14,773 | △2,498 | - | |
営業利益 | 2,302 | 339 | △1,963 | △85.3 |
※ホテル事業の内部取引を除くと5.4%の減となります。
⑥ その他
ICカード事業において、nimocaが長崎県の交通事業者3社に導入されました。
経営成績については、建設関連事業での完成工事高の減少などにより、その他の営業収益は444億3千5百万円(前期比 7.3%減)、営業利益は8億5千万円(前期比 52.5%減)となりました。
業種別営業成績
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減額 (百万円) | 増減率 (%) | ||
営業収益 | 47,943 | 44,435 | △3,507 | △7.3 | |
ICカード事業 | 1,259 | 1,751 | 491 | 39.0 | |
車両整備関連事業 | 21,118 | 21,417 | 298 | 1.4 | |
建設関連事業 | 22,005 | 18,839 | △3,166 | △14.4 | |
金属リサイクル事業 | 5,027 | 4,104 | △922 | △18.4 | |
消去 | △1,468 | △1,676 | △208 | - | |
営業利益 | 1,790 | 850 | △939 | △52.5 |
(2) 財政状態
前連結会計年度2019年3月末 (百万円) | 当連結会計年度2020年3月末 (百万円) | 増減額 (百万円) | |
資産合計 | 622,816 | 667,150 | 44,333 |
負債合計 | 441,305 | 486,600 | 45,295 |
純資産合計 | 181,511 | 180,549 | △961 |
社債及び借入金 | 248,161 | 285,279 | 37,117 |
資産は、有形固定資産や、販売土地及び建物の増加等により、前連結会計年度末に比べ443億3千3百万円増加し、6,671億5千万円となりました。
負債は、社債及び借入金、前受金の増加等により、前連結会計年度末に比べ452億9千5百万円増加し、4,866億円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が増加した一方、その他有価証券評価差額金の減少等により、前連結会計年度末に比べ9億6千1百万円減少し、1,805億4千9百万円となりました。
社債及び借入金は、第51回無担保社債の発行等により、前連結会計年度末に比べ371億1千7百万円増加し、2,852億7千9百万円となりました。
(3) キャッシュ・フロー
前連結会計年度2019年3月末 (百万円) | 当連結会計年度2020年3月末 (百万円) | 増減額 (百万円) | |
現金及び現金同等物の期末残高 | 26,075 | 33,794 | 7,718 |
通期 | 増減額 (百万円) | ||
2019年3月期 (百万円) | 2020年3月期 (百万円) | ||
営業活動によるキャッシュ・フロー | 22,377 | 18,207 | △4,169 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △58,385 | △42,744 | 15,641 |
フリー・キャッシュ・フロー (営業活動+投資活動) | △36,008 | △24,536 | 11,471 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | 30,064 | 32,339 | 2,275 |
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ77億1千8百万円増加し、337億9千4百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益124億4千7百万円、減価償却費213億5千4百万円、たな卸資産の増加額(支出)100億7千7百万円等により、182億7百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ41億6千9百万円の収入減となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出471億7千4百万円、工事負担金等受入による収入101億6千8百万円等により、427億4千4百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ156億4千1百万円の支出減となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の純増による収入218億8千5百万円、社債の発行による収入150億円、配当金の支払額27億6千2百万円等により、323億3千9百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ22億7千5百万円の収入増となりました。
当社グループの資金調達については、鉄道事業における設備投資に対する㈱日本政策投資銀行からの借入金のほか、社債及び民間金融機関からの借入金など、市場環境や金利動向等を総合的に勘案しながら行っています。なお、当社グループでは資金効率向上のため、キャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入しています。
資金の流動性については、当社グループは、運輸業や流通業を中心に日々の収入金があることから、必要な流動性資金は十分に確保しており、これらの資金をCMSにより集中管理することでグループ内において有効に活用しています。
なお、現在は新型コロナウイルス感染症の影響拡大に対応するため、早期の資金調達により十分な手許資金を確保しています。具体的には2020年5月に第52・53回無担保社債を発行(発行額200億円)し、併せて、コミットメントライン契約の締結(融資枠250億円設定済)を行いました。また、適宜、必要な長期借入等を実施し、余裕を持った資金の確保に努めています。
資金の配分方針については、手許現金及び現金同等物は、売上高の約1ヶ月分程度を安定的な経営のための適正な水準としています。
成長投資については、2019年度は「西鉄グループ第15次中期経営計画」(2019年度~2021年度)に沿って、福ビル街区建替プロジェクトやラクレイス香椎照葉・サンカルナ香椎照葉新築工事等を進めました。2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、「西鉄グループ第15次中期経営計画」で予定していた成長投資の削減・先送りを実施する計画ですが、福ビル街区建替プロジェクト等の大型開発や工事着手済みであるソラリア西鉄ホテル札幌(仮称)新築工事等については着実に進めてまいります。投資計画の詳細については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」をご参照ください。
株主還元については、経営における重要課題の一つと考えており、当社は、適切な内部留保の確保による財務体質及び経営基盤の強化を図りながら、安定的・継続的な配当を実施することを利益配分についての方針としています。当社の配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。
この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方については、「第5 経理の状況
1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりです。
①繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しています。当該判断は収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しています。
収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度及び繰越期間における課税所得を見積もっています。課税所得は西鉄グループ第15次中期経営計画の前提となった数値を整合的に修正し見積っています。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
②退職給付債務の算定
当社グループでは、主として確定給付制度を採用しています。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、割引率、昇給率、退職率、死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率等を含む計算基礎を用いて算定しています。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付に係る資産並びに退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。
なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(退職給付関係)2確定給付制度(9)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりです。
③減損会計における将来キャッシュ・フロー
減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、西鉄グループ第15次中期経営計画の前提となった数値を整合的に修正し、資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮し見積っています。西鉄グループ第15次中期経営計画の見積期間を超える期間の将来キャッシュ・フローは、西鉄グループ第15次中期経営計画の前提となった数値に、それまでの計画に基づく趨勢を踏まえた一定又は逓減する成長率の仮定をおいて見積っています。
当社グループは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結損益計算書関係)※10減損損失」に記載のとおり、当連結会計年度において減損損失(999百万円)を計上しました。回収可能価額は使用価値または正味売却価額により算定していますが、その際に用いられる税引前の割引率は、貨幣の時間価値と将来キャッシュ・フローがその見積値から乖離するリスクの両方を反映したものであり、借入資本コストと自己資本コストを加重平均した資本コストによっています。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において追加の減損損失(特別損失)が発生する可能性があります。
④投資有価証券
当社グループは、投資有価証券のうち、取得価額に比べ時価又は実質価額が著しく下落したものについては、回復可能性があると判断される場合を除き減損処理を行っています。
回復可能性の判定にあたっては、発行会社の事業計画等に基づき財政状態及び経営成績を整合的に見積もっています。
当該見積りについて、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において評価損(特別損失)が発生する可能性があります。
(5) 生産、受注及び販売の実績
当社グループの各事業において提供するサービスや製品は多種多様であり、同じセグメント内のサービスや製品であっても、その内容、形式等は必ずしも一様ではないため、生産、受注及び販売の実績について、セグメントごとに生産規模あるいは数量で示すことはしていません。
そのため、生産、受注及び販売の状況については、「(1) 経営成績」における各セグメント業績に関連付けて示しています。