四半期報告書-第72期第2四半期(令和2年7月1日-令和2年9月30日)
当社グループは、第1四半期連結会計期間から従来の日本基準に替えて国際財務報告基準(以下「IFRS」という。)を適用しており、前第2四半期連結累計期間及び前連結会計年度の数値もIFRSに組み替えて比較分析を行っております。
文中の将来に関する事項は、当第2四半期連結累計期間(2020年4月1日~2020年9月30日)(以下「当第2四半期」という。)の末日現在において判断したものです。
(1)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況
①財政状態
資産、負債および純資産の状況
当第2四半期末の総資産は、1兆9,943億円と前連結会計年度末に比べ121億円増加しました。流動資産のうち、現金及び現金同等物残高は機動的な資金調達の実施などにより、前連結会計年度末に比べ175億円積み増した結果3,466億円となった一方、営業債権及びその他の債権は、国際旅客収入の減少等により308億円減少、流動資産は前連結会計年度末に比べ225億減少し、4,859億円になりました。非流動資産は航空機の減少と繰延税金資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ346億円増加し、1兆5,084億円となりました。
負債は、主に十分な手元流動性を確保すべく約2,300億円の資金調達を実施したことなどにより、前連結会計年度末に比べ1,575億円増加し、1兆901億円となりました。
資本は、主に親会社の所有者に帰属する四半期損失1,612億円などにより、前連結会計年度末に比べ1,454億円減少し、9,041億円となりました。
当社グループでは、これまで培ってきた強固な財務体質を活かした資金調達を実施し、2020年2月以降、新型コロナウイルス感染拡大が顕在化してからこれまでの間に、約3,000億円を新たに借入れました。また、2,000億円の未使用のコミットメントラインを確保しておりますが、追加で1,000億円のコミットメントラインを設定し、合計3,000億円とする予定です。コスト削減の徹底と投資の抑制を進めることで毎月の資金支出(営業キャッシュ・フローと負債の返済額の合計)は、第1四半期の月間では約450~500億円でしたが、第2四半期の月間では200億円以下にまで抑制できており、新型コロナウイルス感染拡大の影響が長期化したとしても十分耐え得るだけの手元流動性を確保しております。
引き続き手元流動性の確保に万全を期すとともに、経営の安定化に資する財務政策を遅滞なく実施してまいります。
詳細は、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 (1)要約四半期連結財政状態計算書」をご覧ください。
②経営成績
当第2四半期における売上収益は1,947億円(前年同期比74.0%減少)、営業費用は4,194億円(前年同期比37.5%減少)となり、財務・法人所得税前利益(△は損失)(当社は、四半期利益から法人所得税費用、利息およびその他の財務収益・費用を除いた「財務・法人所得税前利益」をEBITと定義しております。以下「EBIT」という。)は△2,239億円(前年同期は829億円)、親会社の所有者に帰属する四半期利益(△は損失)は△1,612億円(前年同期は541億円)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当第2四半期末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ175億円増加し、3,466億円となりました。
1.営業活動によるキャッシュ・フロー
税引前四半期損失2,282億円に、減価償却費等の非資金項目及び営業活動に係る債権・債務の加減算等を行った結果、営業活動によるキャッシュ・フロー(アウトフロー)は△1,499億円(前年同期は381億円のキャッシュ・インフロー)となりました。
2.投資活動によるキャッシュ・フロー
固定資産の取得による支出を主因として、投資活動によるキャッシュ・フロー(アウトフロー)は△392億円(前年同期は△1,039億円のキャッシュ・アウトフロー)となりました。
3.財務活動によるキャッシュ・フロー
長期借入れによる収入を主因として、財務活動によるキャッシュ・フロー(インフロー)2,068億円(前年同期は△603億円のキャッシュ・アウトフロー)となりました。
世界経済および日本経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により急速に悪化し、当第2四半期においても全世界で経済活動が停滞しました。
航空業界においても、新型コロナウイルス感染拡大は過去に経験したことのない甚大な影響を受けており、極めて厳しい状況となりました。感染が世界的な拡がりを見せる中で、各国は厳しい出入国制限を継続しており、国際旅客需要は一部の帰国者や赴任者等の需要を除きほぼ消失している状況が継続しております。国内旅客需要も、都道府県を跨ぐ移動の自粛により過去に例を見ない大幅な減少となりました。
新型コロナウイルス感染拡大は、一部国・地域においては沈静化しつつあり、一定の条件の下、我が国との間で出入国の緩和が協議・合意されてきております。しかしながら、いまだ感染拡大に歯止めがかからない国・地域も多く、国際旅客需要は回復の見通しが立っておりません。一方、国内線においては、6月後半以降徐々に回復傾向にあったものの、7月以降国内各地での感染再拡大等により、高需要期である8月の旅客需要が急速に冷え込むなど、今なお感染拡大を防止しつつ経済活動を再開していく途上にあり、完全な回復には時間を要するものと見込まれます。また、今後の事業環境の見通しが不透明な中で、やむを得ず2021年度新卒採用活動を中止することとしました。
このような経営環境の中で、当社グループでは、お客さまと社員の感染防止、航空機による感染拡大の防止に最大限努め、お客さまと社員の安全確保を図りながら、国内航空ネットワークを維持し、不可欠な移動手段の確保に努め、国際線においては、帰国希望者のための臨時救援便をタイ・インド・ロシア・米国・中国と日本の間で運航するほか、日系および日本に拠点を持つ外資系企業の駐在員の皆さまとそのご家族を支援する取り組みとして生活物資を輸送するサービスの提供を行うなど、定期航空運送事業者としての使命を果たしております。お客さまにも検温や距離の確保、機内でのマスクの着用にご協力をいただくとともに、機内や空港における各種設備の消毒の徹底、飛沫感染防止対策としてパーテーションの配置など、国際民間航空機関(ICAO)が推奨するガイダンスに沿った対策を実施しており、安全・安心の確保に向けた取り組みを進めております。
急減する需要に対しては、機動的に供給調整を行うことで運航費用など変動費の抑制に努めるとともに、委託業務の内製化やITに関わる経費の抑制、役員報酬の自主返上の継続や株式連動報酬の支給見送り、社員の賞与減による人件費の削減など固定費の削減を進めております。費用削減については、固定費削減目標の更なる深掘りを図るべく、需要回復の遅れに対応し業績への影響を緩和する取り組みを継続しております。
当社グループでは、お客さまおよび運航便数の減少に伴って、運航に直接携わる業務量も減少しておりますが、この機会を、各種マニュアルの見直しや社員教育の充実に活用することにより、社員一人ひとりの能力向上を図り、新型コロナウイルス感染症終息後の再飛躍に備えております。また、空港における検疫体制拡充に必要な支援業務の受託や、空港周辺産業への人材派遣など、各分野での人財活用も積極的に推進しております。
航空業界がかつて経験したことのない未曽有の危機に対し、日本政府による着陸料や航空機燃料税といった公租公課の支払い猶予等といった公的な支援措置も講じられております。また、雇用調整助成金制度の特例措置拡充を活用し、対象となる教育訓練について同助成金の受給申請を行いました。関係の皆さまのご尽力に深く感謝いたします。
当社グループは、安全運航と新型コロナウイルス感染拡大の防止に万全を期し、こうした公的なご支援も受けつつ、費用削減施策を更に追求しこの危機を乗り越え、来るべき反転攻勢に備えてまいります。
今後は、国内外の感染状況および経済状況の動向と航空旅客需要の動向を慎重に注視し、国や地方自治体の皆さまの需要回復に向けた取り組みとも協同し、適切な増収施策をタイムリーに実施していくことで、可能な限り売上を伸ばしてまいります。
以下、当第2四半期における当社グループの経営状況につき概括します。
当社グループの存立の大前提であり、経営目標として掲げる「安全」については、事業環境が変化する中においても航空安全を堅持するとの意識を高く持ち、安全運航のための知識技量を維持し、復便を支えるための様々な安全施策に取り組んでまいりました。また、安全・安心な空の旅をお届けするために、空港や機内における感染拡大防止対策を実施するとともに、非接触型の自動チェックイン機や顔認証決済システム、アバター式リモート案内サービスのトライアルを進めております。もう一つの経営目標である「顧客満足」の向上に向け、4月には国内外のWEBサイトのデザインを一新することで、国内線・国際線を問わずよりスムーズな航空券の検索・予約を実現しました。
次いで、当第2四半期における国際旅客、国内旅客等、事業ごとの状況を概括します。
国際旅客においては、帰国者や海外拠点への赴任者、アジア発北米行きの通過需要等限定的な移動需要となり、有効座席キロは前年同期比88.1%減、旅客数は前年同期比97.7%減、有償旅客キロは前年同期比97.2%減、有償座席利用率は20.8%となりました。
国内旅客においては、5月を底として、ビジネス需要・観光需要ともに回復傾向を示しておりましたが、7月末から8月にかけては感染再拡大の影響を受けて需要が急減するなど、一進一退の状況となりました。しかし、9月の連休期間については対前年度で6割程度の乗客数となるなど、観光需要は回復傾向が強まってきており、ソーシャルディスタンスに配慮したツアー、成田発着周遊チャーターの運航、ワーケーションへ活用可能なツアー等新たな商品の提供を開始し、需要喚起や収支の改善に努めました。これらの結果、有効座席キロは前年同期比51.4%減、旅客数は前年同期比76.1%減、有償旅客キロは前年同期比75.8%減、有償座席利用率は39.8%となりました。
航空貨物においては、各社の旅客便の減便などの影響から需給が逼迫する状況となる中で、マスクや防護服をはじめとする医療品の輸送に協力し、旅客機の貨物スペースを利用した貨物専用便を運航するなどの取り組みにより、日本国内および日本と海外を結ぶ物流ネットワークの維持に努めました。積極的な貨物臨時便の運航と旅客便の減少に伴う需給環境の変化などもあり、貨物収入は前年同期比21.9%増となりました。
このような厳しい経営環境ではありますが、当社グループでは、新しい商品・サービスやビジネスの創造に努めております。当第2四半期においては、国際線中長距離ローコストキャリアビジネスにおける株式会社ZIPAIR Tokyoが、まずは貨物専用便として、バンコク・ソウルへの運航を開始し、旅客便就航に向け着実に準備を進めました。また、今後ドローン等の無人航空機の活用場面増加が想定される中で、無人航空機のオペレーター人財育成に向けて、当社グループのパイロット訓練ノウハウに基づく座学プログラムの提供を開始したほか、ヒト・モノ・コトの新たな移動・物資輸送サービス提供に向けて電動垂直離着陸機(eVTOL)を開発するドイツのVolocopterと業務提携を行うなど、エアモビリティ分野での取り組みも進めております。そのほか、デジタルコンテンツと、地域の特産品などのリアルな商品をパッケージ化して一つの体験商品として提供する「JALオンライントリップ」を開始、地方に客室乗務員を配置して地域活性化のお手伝いをする「アンバサダー制度」の導入など、公共交通機関としての社会的使命を果たすべく、地域活性化に向けて必要な取り組みについても、継続的に行ってまいります。
連結業績は次のとおりです。
(注) 金額については切捨処理、比率については四捨五入処理しております。
※当社は、四半期利益から法人所得税費用、利息およびその他の財務収益・費用を除いた「財務・法人所得税前利益」をEBITと定義しております。
※EBITマージン=財務・法人所得税前利益(EBIT)/売上収益
セグメントの経営成績は、次のとおりです。
<航空運送事業セグメント>当第2四半期における航空運送事業セグメントの経営成績については、売上収益は1,772億円(前年同期比73.9%減少)、投資・財務・法人所得税前利益(△は損失)(以下「セグメント利益(△は損失)」という。)は、△2,254億円(前年同期は756億円)となりました。(売上収益及びセグメント利益(△は損失)はセグメント間連結消去前数値です。)
国際旅客収入は91億円(前年同期比96.6%減少)、国内旅客収入は696億円(前年同期比75.6%減少)、貨物郵便収入は534億円(前年同期比18.4%増加)となりました。
詳細は次のとおりです。
(国際線)
(国内線)
航空運送事業セグメントの部門別売上高は、次のとおりです。
(注) 金額については切捨処理、比率については四捨五入処理しております。
連結輸送実績は、次のとおりです。
(注)1. 旅客キロは、各区間有償旅客数(人)に当該区間距離(キロ)を乗じたものであり、座席キロは、
各区間有効座席数(席)に当該区間距離(キロ)を乗じたものです。輸送量(トン・キロ)は、各区間輸送量(トン)に当該区間距離(キロ)を乗じたものです。
2. 区間距離は、IATA(国際航空運送協会)、ICAO(国際民間航空機構)の統計資料に準じた算出基準
の大圏距離方式で算出しております。
3. 国際線:日本航空(株)
国内線:日本航空(株)、日本トランスオーシャン航空(株)、日本エアコミューター(株)、
(株)ジェイエア、琉球エアーコミューター(株)、(株)北海道エアシステム
4. 数字については切捨処理、比率については四捨五入処理しております。
5. 第1四半期よりIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の適用により、特典航空券でご搭乗のお客さまが、有償旅客に含まれます。当該変更により、有償旅客数、有償旅客キロ、ならびに
有償席利用率には、特典航空券でご搭乗のお客さまが含まれます。
前第2四半期の数値についても、当該変更を反映しております。
6. 国際線の各数値は、第1四半期より「当社との共同事業実施航空会社を除くワンワールド加盟航空会社運航便のうちコードシェアによる自社販売分」を除いて算定しております。前第2四半期の数値についても、当該変更を反映しております。
<その他>株式会社ジャルパックと株式会社ジャルカードの概況は、次のとおりです。
株式会社ジャルパック
株式会社ジャルカード
(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
新型コロナウイルス感染症は、社会、航空業界に極めて大きな変化を引き起こすことが想定されます。航空需要の観点では、国際線需要の回復には相当の時間を要することが想定されます。特に、ビジネスの移動については、ウェブ会議やリモートワークの浸透により、従来よりも減少することを想定しておく必要があります。社会的な観点では、ニューノーマルや働き方において新たな価値観が生まれてくることが想定されます。また、地方・環境などの社会問題が一層クローズアップされていくものと想定されます。一方で、当社自身は、有利子負債の増加により財務体質が悪化することは避けられません。
これらの経営環境の変化を踏まえ、今後の当社の経営の目指す方向性を、「財務体質の再構築」、「安全・安心の向上」、「事業構造の見直し」、「社会課題への取り組み加速」と定めました。
ポストコロナにおいて、当社グループに求められる社会的使命は、重要な社会インフラの担い手としてますます重要なものとなります。観光立国・地方活性化への貢献、さらにはCO2排出抑制・サステナビリティの重要性がますます増していく中で、当社グループはこうした社会的使命を果たす能力を更に強化していくために、下記の経営課題に取り組んでまいります。
1.財務体質の再構築
雇用の維持を前提に、徹底したコスト構造改革、収益性の向上、投資の圧縮により、早期に健全な財務体質を再構築し、リスク耐性の維持強化を図ってまいります。
2.安全・安心の向上
新しい社会のニーズである高度な清潔性と非接触性を追求したサービスを推進し、安全・安心の向上に努めてまいります。
3.事業構造の見直し
ポストコロナにおける航空需要の伸びの一時的な減退や、業務及び観光需要の動向が大きく変化する可能性に備え、需要動向に合わせた国際線の事業規模の見直し、フルサービスキャリア分野とLCC分野のポートフォリオの見直しなど、抜本的な事業構造の見直しを進めてまいります。
また、航空需要への依存度の低い新たな事業を新たな収益の柱に育成していくとともに、事業の選択と集中を行うことで、リスク耐性を強化してまいります。
4.社会的課題への取り組み加速
グローバルなリスクへの関心が高まっている中で、航空会社として環境問題に正面から向き合い、2050年までにCO2排出量実質ゼロを目指してまいります。
上述したこれからの経営課題への取り組みの詳細については、今後策定する次期中期経営計画においてお示ししする予定です。
なお、当年度は、「2017~2020年度JALグループ中期経営計画」の最終年度に当たりますが、新型コロナウイルス感染拡大により大きく外部環境が変化していることから、上述の通り新たな中期経営計画を策定することといたしました。その中で、新たな経営目標を設定し、お示しする予定です。
(3)研究開発活動
「研究開発費等に係る会計基準」に合致する研究開発費を発生させる活動はありません。
(4)主要な設備
当第2四半期連結累計期間において主要な設備の新設、休止、大規模改修、除却、売却等による著しい変動があったものは、次のとおりです。
航空機
当第2四半期連結累計期間においての異動は、次のとおりです。なお、売却したエアバスA350-900型3機は当第2四半期連結累計期間中に賃借航空機に変更しておりますが、要約四半期連結財務諸表上は、IFRSに準拠して、売却および賃借として会計処理せずに、引き続き航空機として認識しております。
文中の将来に関する事項は、当第2四半期連結累計期間(2020年4月1日~2020年9月30日)(以下「当第2四半期」という。)の末日現在において判断したものです。
(1)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況
①財政状態
資産、負債および純資産の状況
当第2四半期末の総資産は、1兆9,943億円と前連結会計年度末に比べ121億円増加しました。流動資産のうち、現金及び現金同等物残高は機動的な資金調達の実施などにより、前連結会計年度末に比べ175億円積み増した結果3,466億円となった一方、営業債権及びその他の債権は、国際旅客収入の減少等により308億円減少、流動資産は前連結会計年度末に比べ225億減少し、4,859億円になりました。非流動資産は航空機の減少と繰延税金資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ346億円増加し、1兆5,084億円となりました。
負債は、主に十分な手元流動性を確保すべく約2,300億円の資金調達を実施したことなどにより、前連結会計年度末に比べ1,575億円増加し、1兆901億円となりました。
資本は、主に親会社の所有者に帰属する四半期損失1,612億円などにより、前連結会計年度末に比べ1,454億円減少し、9,041億円となりました。
当社グループでは、これまで培ってきた強固な財務体質を活かした資金調達を実施し、2020年2月以降、新型コロナウイルス感染拡大が顕在化してからこれまでの間に、約3,000億円を新たに借入れました。また、2,000億円の未使用のコミットメントラインを確保しておりますが、追加で1,000億円のコミットメントラインを設定し、合計3,000億円とする予定です。コスト削減の徹底と投資の抑制を進めることで毎月の資金支出(営業キャッシュ・フローと負債の返済額の合計)は、第1四半期の月間では約450~500億円でしたが、第2四半期の月間では200億円以下にまで抑制できており、新型コロナウイルス感染拡大の影響が長期化したとしても十分耐え得るだけの手元流動性を確保しております。
引き続き手元流動性の確保に万全を期すとともに、経営の安定化に資する財務政策を遅滞なく実施してまいります。
詳細は、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 (1)要約四半期連結財政状態計算書」をご覧ください。
②経営成績
当第2四半期における売上収益は1,947億円(前年同期比74.0%減少)、営業費用は4,194億円(前年同期比37.5%減少)となり、財務・法人所得税前利益(△は損失)(当社は、四半期利益から法人所得税費用、利息およびその他の財務収益・費用を除いた「財務・法人所得税前利益」をEBITと定義しております。以下「EBIT」という。)は△2,239億円(前年同期は829億円)、親会社の所有者に帰属する四半期利益(△は損失)は△1,612億円(前年同期は541億円)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当第2四半期末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ175億円増加し、3,466億円となりました。
1.営業活動によるキャッシュ・フロー
税引前四半期損失2,282億円に、減価償却費等の非資金項目及び営業活動に係る債権・債務の加減算等を行った結果、営業活動によるキャッシュ・フロー(アウトフロー)は△1,499億円(前年同期は381億円のキャッシュ・インフロー)となりました。
2.投資活動によるキャッシュ・フロー
固定資産の取得による支出を主因として、投資活動によるキャッシュ・フロー(アウトフロー)は△392億円(前年同期は△1,039億円のキャッシュ・アウトフロー)となりました。
3.財務活動によるキャッシュ・フロー
長期借入れによる収入を主因として、財務活動によるキャッシュ・フロー(インフロー)2,068億円(前年同期は△603億円のキャッシュ・アウトフロー)となりました。
世界経済および日本経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により急速に悪化し、当第2四半期においても全世界で経済活動が停滞しました。
航空業界においても、新型コロナウイルス感染拡大は過去に経験したことのない甚大な影響を受けており、極めて厳しい状況となりました。感染が世界的な拡がりを見せる中で、各国は厳しい出入国制限を継続しており、国際旅客需要は一部の帰国者や赴任者等の需要を除きほぼ消失している状況が継続しております。国内旅客需要も、都道府県を跨ぐ移動の自粛により過去に例を見ない大幅な減少となりました。
新型コロナウイルス感染拡大は、一部国・地域においては沈静化しつつあり、一定の条件の下、我が国との間で出入国の緩和が協議・合意されてきております。しかしながら、いまだ感染拡大に歯止めがかからない国・地域も多く、国際旅客需要は回復の見通しが立っておりません。一方、国内線においては、6月後半以降徐々に回復傾向にあったものの、7月以降国内各地での感染再拡大等により、高需要期である8月の旅客需要が急速に冷え込むなど、今なお感染拡大を防止しつつ経済活動を再開していく途上にあり、完全な回復には時間を要するものと見込まれます。また、今後の事業環境の見通しが不透明な中で、やむを得ず2021年度新卒採用活動を中止することとしました。
このような経営環境の中で、当社グループでは、お客さまと社員の感染防止、航空機による感染拡大の防止に最大限努め、お客さまと社員の安全確保を図りながら、国内航空ネットワークを維持し、不可欠な移動手段の確保に努め、国際線においては、帰国希望者のための臨時救援便をタイ・インド・ロシア・米国・中国と日本の間で運航するほか、日系および日本に拠点を持つ外資系企業の駐在員の皆さまとそのご家族を支援する取り組みとして生活物資を輸送するサービスの提供を行うなど、定期航空運送事業者としての使命を果たしております。お客さまにも検温や距離の確保、機内でのマスクの着用にご協力をいただくとともに、機内や空港における各種設備の消毒の徹底、飛沫感染防止対策としてパーテーションの配置など、国際民間航空機関(ICAO)が推奨するガイダンスに沿った対策を実施しており、安全・安心の確保に向けた取り組みを進めております。
急減する需要に対しては、機動的に供給調整を行うことで運航費用など変動費の抑制に努めるとともに、委託業務の内製化やITに関わる経費の抑制、役員報酬の自主返上の継続や株式連動報酬の支給見送り、社員の賞与減による人件費の削減など固定費の削減を進めております。費用削減については、固定費削減目標の更なる深掘りを図るべく、需要回復の遅れに対応し業績への影響を緩和する取り組みを継続しております。
当社グループでは、お客さまおよび運航便数の減少に伴って、運航に直接携わる業務量も減少しておりますが、この機会を、各種マニュアルの見直しや社員教育の充実に活用することにより、社員一人ひとりの能力向上を図り、新型コロナウイルス感染症終息後の再飛躍に備えております。また、空港における検疫体制拡充に必要な支援業務の受託や、空港周辺産業への人材派遣など、各分野での人財活用も積極的に推進しております。
航空業界がかつて経験したことのない未曽有の危機に対し、日本政府による着陸料や航空機燃料税といった公租公課の支払い猶予等といった公的な支援措置も講じられております。また、雇用調整助成金制度の特例措置拡充を活用し、対象となる教育訓練について同助成金の受給申請を行いました。関係の皆さまのご尽力に深く感謝いたします。
当社グループは、安全運航と新型コロナウイルス感染拡大の防止に万全を期し、こうした公的なご支援も受けつつ、費用削減施策を更に追求しこの危機を乗り越え、来るべき反転攻勢に備えてまいります。
今後は、国内外の感染状況および経済状況の動向と航空旅客需要の動向を慎重に注視し、国や地方自治体の皆さまの需要回復に向けた取り組みとも協同し、適切な増収施策をタイムリーに実施していくことで、可能な限り売上を伸ばしてまいります。
以下、当第2四半期における当社グループの経営状況につき概括します。
当社グループの存立の大前提であり、経営目標として掲げる「安全」については、事業環境が変化する中においても航空安全を堅持するとの意識を高く持ち、安全運航のための知識技量を維持し、復便を支えるための様々な安全施策に取り組んでまいりました。また、安全・安心な空の旅をお届けするために、空港や機内における感染拡大防止対策を実施するとともに、非接触型の自動チェックイン機や顔認証決済システム、アバター式リモート案内サービスのトライアルを進めております。もう一つの経営目標である「顧客満足」の向上に向け、4月には国内外のWEBサイトのデザインを一新することで、国内線・国際線を問わずよりスムーズな航空券の検索・予約を実現しました。
次いで、当第2四半期における国際旅客、国内旅客等、事業ごとの状況を概括します。
国際旅客においては、帰国者や海外拠点への赴任者、アジア発北米行きの通過需要等限定的な移動需要となり、有効座席キロは前年同期比88.1%減、旅客数は前年同期比97.7%減、有償旅客キロは前年同期比97.2%減、有償座席利用率は20.8%となりました。
国内旅客においては、5月を底として、ビジネス需要・観光需要ともに回復傾向を示しておりましたが、7月末から8月にかけては感染再拡大の影響を受けて需要が急減するなど、一進一退の状況となりました。しかし、9月の連休期間については対前年度で6割程度の乗客数となるなど、観光需要は回復傾向が強まってきており、ソーシャルディスタンスに配慮したツアー、成田発着周遊チャーターの運航、ワーケーションへ活用可能なツアー等新たな商品の提供を開始し、需要喚起や収支の改善に努めました。これらの結果、有効座席キロは前年同期比51.4%減、旅客数は前年同期比76.1%減、有償旅客キロは前年同期比75.8%減、有償座席利用率は39.8%となりました。
航空貨物においては、各社の旅客便の減便などの影響から需給が逼迫する状況となる中で、マスクや防護服をはじめとする医療品の輸送に協力し、旅客機の貨物スペースを利用した貨物専用便を運航するなどの取り組みにより、日本国内および日本と海外を結ぶ物流ネットワークの維持に努めました。積極的な貨物臨時便の運航と旅客便の減少に伴う需給環境の変化などもあり、貨物収入は前年同期比21.9%増となりました。
このような厳しい経営環境ではありますが、当社グループでは、新しい商品・サービスやビジネスの創造に努めております。当第2四半期においては、国際線中長距離ローコストキャリアビジネスにおける株式会社ZIPAIR Tokyoが、まずは貨物専用便として、バンコク・ソウルへの運航を開始し、旅客便就航に向け着実に準備を進めました。また、今後ドローン等の無人航空機の活用場面増加が想定される中で、無人航空機のオペレーター人財育成に向けて、当社グループのパイロット訓練ノウハウに基づく座学プログラムの提供を開始したほか、ヒト・モノ・コトの新たな移動・物資輸送サービス提供に向けて電動垂直離着陸機(eVTOL)を開発するドイツのVolocopterと業務提携を行うなど、エアモビリティ分野での取り組みも進めております。そのほか、デジタルコンテンツと、地域の特産品などのリアルな商品をパッケージ化して一つの体験商品として提供する「JALオンライントリップ」を開始、地方に客室乗務員を配置して地域活性化のお手伝いをする「アンバサダー制度」の導入など、公共交通機関としての社会的使命を果たすべく、地域活性化に向けて必要な取り組みについても、継続的に行ってまいります。
連結業績は次のとおりです。
項目 | 前第2四半期 (自 2019年4月1日 至 2019年9月30日) | 当第2四半期 (自 2020年4月1日 至 2020年9月30日) | 対前年同期比 (利益率は ポイント差) |
売上収益 (億円) | 7,489 | 1,947 | 26.0% |
国際線旅客収入 (億円) | 2,729 | 91 | 3.4% |
国内線旅客収入 (億円) | 2,858 | 696 | 24.4% |
貨物郵便収入 (億円) | 451 | 534 | 118.4% |
その他 (億円) | 1,450 | 625 | 43.1% |
営業費用 (億円) | 6,715 | 4,194 | 62.5% |
航空燃油費 (億円) | 1,277 | 446 | 35.0% |
航空燃油費以外 (億円) | 5,437 | 3,747 | 68.9% |
財務・法人所得税前利益(△は損失)(EBIT) (億円) | 829 | △2,239 | - |
EBITマージン (%) | 11.1 | △115.0 | △126.1 |
親会社の所有者に帰属する四半期利益 (△は損失) (億円) | 541 | △1,612 | - |
(注) 金額については切捨処理、比率については四捨五入処理しております。
※当社は、四半期利益から法人所得税費用、利息およびその他の財務収益・費用を除いた「財務・法人所得税前利益」をEBITと定義しております。
※EBITマージン=財務・法人所得税前利益(EBIT)/売上収益
セグメントの経営成績は、次のとおりです。
<航空運送事業セグメント>当第2四半期における航空運送事業セグメントの経営成績については、売上収益は1,772億円(前年同期比73.9%減少)、投資・財務・法人所得税前利益(△は損失)(以下「セグメント利益(△は損失)」という。)は、△2,254億円(前年同期は756億円)となりました。(売上収益及びセグメント利益(△は損失)はセグメント間連結消去前数値です。)
国際旅客収入は91億円(前年同期比96.6%減少)、国内旅客収入は696億円(前年同期比75.6%減少)、貨物郵便収入は534億円(前年同期比18.4%増加)となりました。
詳細は次のとおりです。
(国際線)
項目 | 前第2四半期 (自 2019年4月1日 至 2019年9月30日) | 当第2四半期 (自 2020年4月1日 至 2020年9月30日) | 対前年同期比 (利用率は ポイント差) |
旅客収入 (百万円) | 272,916 | 9,173 | 3.4% |
有償旅客数 (人) | 4,946,343 | 112,083 | 2.3% |
有償旅客キロ (千人・キロ) | 24,716,502 | 687,800 | 2.8% |
有効座席キロ (千席・キロ) | 27,835,150 | 3,303,675 | 11.9% |
有償座席利用率 (%) | 88.8 | 20.8 | △68.0 |
貨物収入 (百万円) | 29,709 | 38,588 | 129.9% |
有償貨物トン・キロ(千トン・キロ) | 1,212,362 | 775,661 | 64.0% |
(国内線)
項目 | 前第2四半期 (自 2019年4月1日 至 2019年9月30日) | 当第2四半期 (自 2020年4月1日 至 2020年9月30日) | 対前年同期比 (利用率は ポイント差) |
旅客収入 (百万円) | 285,803 | 69,616 | 24.4% |
有償旅客数 (人) | 19,409,148 | 4,644,666 | 23.9% |
有償旅客キロ (千人・キロ) | 14,703,494 | 3,555,825 | 24.2% |
有効座席キロ (千席・キロ) | 18,387,206 | 8,938,383 | 48.6% |
有償座席利用率 (%) | 80.0 | 39.8 | △40.2 |
貨物収入 (百万円) | 10,375 | 10,281 | 99.1% |
有償貨物トン・キロ(千トン・キロ) | 165,648 | 113,694 | 68.6% |
航空運送事業セグメントの部門別売上高は、次のとおりです。
科目 | 前第2四半期 (自 2019年4月1日 至 2019年9月30日) | 構成比(%) | 当第2四半期 (自 2020年4月1日 至 2020年9月30日) | 構成比(%) | 対前年 同期比 (%) |
国際線 旅客収入 (百万円) 貨物収入 (百万円) 郵便収入 (百万円) 手荷物収入 (百万円) | 272,916 29,709 3,331 429 | 40.1 4.4 0.5 0.1 | 9,173 38,588 3,120 113 | 5.2 21.8 1.8 0.1 | 3.4 129.9 93.6 26.4 |
小計 (百万円) | 306,387 | 45.0 | 50,995 | 28.8 | 16.6 |
国内線 旅客収入 (百万円) 貨物収入 (百万円) 郵便収入 (百万円) 手荷物収入 (百万円) | 285,803 10,375 1,748 161 | 42.0 1.5 0.3 0.0 | 69,616 10,281 1,481 90 | 39.3 5.8 0.8 0.1 | 24.4 99.1 84.7 56.2 |
小計 (百万円) | 298,088 | 43.8 | 81,469 | 46.0 | 27.3 |
国際線・国内線合計 (百万円) | 604,476 | 88.8 | 132,465 | 74.7 | 21.9 |
その他 (百万円) | 75,948 | 11.2 | 44,816 | 25.3 | 59.0 |
合計 (百万円) | 680,424 | 100.0 | 177,281 | 100.0 | 26.1 |
(注) 金額については切捨処理、比率については四捨五入処理しております。
連結輸送実績は、次のとおりです。
項目 | 前第2四半期 (自 2019年4月1日 至 2019年9月30日) | 当第2四半期 (自 2020年4月1日 至 2020年9月30日) | 対前年同期比 (利用率は ポイント差) |
国際線 有償旅客数 (人) 有償旅客キロ (千人・キロ) 有効座席キロ (千席・キロ) 有償座席利用率 (%) 有償貨物トン・キロ(千トン・キロ) 郵便トン・キロ (千トン・キロ) | 4,946,343 24,716,502 27,835,150 88.8 1,212,362 82,852 | 112,083 687,800 3,303,675 20.8 775,661 66,097 | 2.3% 2.8% 11.9% △68.0 64.0% 79.8% |
国内線 有償旅客数 (人) 有償旅客キロ (千人・キロ) 有効座席キロ (千席・キロ) 有償座席利用率 (%) 有償貨物トン・キロ(千トン・キロ) 郵便トン・キロ (千トン・キロ) | 19,409,148 14,703,494 18,387,206 80.0 165,648 12,068 | 4,644,666 3,555,825 8,938,383 39.8 113,694 9,370 | 23.9% 24.2% 48.6% △40.2 68.6% 77.6% |
合計 有償旅客数 (人) 有償旅客キロ (千人・キロ) 有効座席キロ (千席・キロ) 有償座席利用率 (%) 有償貨物トン・キロ(千トン・キロ) 郵便トン・キロ (千トン・キロ) | 24,355,491 39,419,997 46,222,356 85.3 1,378,010 94,921 | 4,756,749 4,243,626 12,242,059 34.7 889,356 75,467 | 19.5% 10.8% 26.5% △50.6 64.5% 79.5% |
(注)1. 旅客キロは、各区間有償旅客数(人)に当該区間距離(キロ)を乗じたものであり、座席キロは、
各区間有効座席数(席)に当該区間距離(キロ)を乗じたものです。輸送量(トン・キロ)は、各区間輸送量(トン)に当該区間距離(キロ)を乗じたものです。
2. 区間距離は、IATA(国際航空運送協会)、ICAO(国際民間航空機構)の統計資料に準じた算出基準
の大圏距離方式で算出しております。
3. 国際線:日本航空(株)
国内線:日本航空(株)、日本トランスオーシャン航空(株)、日本エアコミューター(株)、
(株)ジェイエア、琉球エアーコミューター(株)、(株)北海道エアシステム
4. 数字については切捨処理、比率については四捨五入処理しております。
5. 第1四半期よりIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の適用により、特典航空券でご搭乗のお客さまが、有償旅客に含まれます。当該変更により、有償旅客数、有償旅客キロ、ならびに
有償席利用率には、特典航空券でご搭乗のお客さまが含まれます。
前第2四半期の数値についても、当該変更を反映しております。
6. 国際線の各数値は、第1四半期より「当社との共同事業実施航空会社を除くワンワールド加盟航空会社運航便のうちコードシェアによる自社販売分」を除いて算定しております。前第2四半期の数値についても、当該変更を反映しております。
<その他>株式会社ジャルパックと株式会社ジャルカードの概況は、次のとおりです。
株式会社ジャルパック
項目 | 前第2四半期 (自 2019年4月1日 至 2019年9月30日) | 当第2四半期 (自 2020年4月1日 至 2020年9月30日) | 対前年同期比 (%) |
海外旅行取扱人数 (万人) | 10.0 | 0.0 | 0.0 |
国内旅行取扱人数 (万人) | 146.2 | 29.9 | 20.5 |
売上収益 (億円)(連結消去前) | 983 | 142 | 14.5 |
株式会社ジャルカード
項目 | 前第2四半期 (自 2019年4月1日 至 2019年9月30日) | 当第2四半期 (自 2020年4月1日 至 2020年9月30日) | 対前年同期比 (%) |
カード会員数 (万人) | 365.5 | 366.1 | 100.2 |
売上収益 (億円)(連結消去前) | 101 | 91 | 90.5 |
(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
新型コロナウイルス感染症は、社会、航空業界に極めて大きな変化を引き起こすことが想定されます。航空需要の観点では、国際線需要の回復には相当の時間を要することが想定されます。特に、ビジネスの移動については、ウェブ会議やリモートワークの浸透により、従来よりも減少することを想定しておく必要があります。社会的な観点では、ニューノーマルや働き方において新たな価値観が生まれてくることが想定されます。また、地方・環境などの社会問題が一層クローズアップされていくものと想定されます。一方で、当社自身は、有利子負債の増加により財務体質が悪化することは避けられません。
これらの経営環境の変化を踏まえ、今後の当社の経営の目指す方向性を、「財務体質の再構築」、「安全・安心の向上」、「事業構造の見直し」、「社会課題への取り組み加速」と定めました。
ポストコロナにおいて、当社グループに求められる社会的使命は、重要な社会インフラの担い手としてますます重要なものとなります。観光立国・地方活性化への貢献、さらにはCO2排出抑制・サステナビリティの重要性がますます増していく中で、当社グループはこうした社会的使命を果たす能力を更に強化していくために、下記の経営課題に取り組んでまいります。
1.財務体質の再構築
雇用の維持を前提に、徹底したコスト構造改革、収益性の向上、投資の圧縮により、早期に健全な財務体質を再構築し、リスク耐性の維持強化を図ってまいります。
2.安全・安心の向上
新しい社会のニーズである高度な清潔性と非接触性を追求したサービスを推進し、安全・安心の向上に努めてまいります。
3.事業構造の見直し
ポストコロナにおける航空需要の伸びの一時的な減退や、業務及び観光需要の動向が大きく変化する可能性に備え、需要動向に合わせた国際線の事業規模の見直し、フルサービスキャリア分野とLCC分野のポートフォリオの見直しなど、抜本的な事業構造の見直しを進めてまいります。
また、航空需要への依存度の低い新たな事業を新たな収益の柱に育成していくとともに、事業の選択と集中を行うことで、リスク耐性を強化してまいります。
4.社会的課題への取り組み加速
グローバルなリスクへの関心が高まっている中で、航空会社として環境問題に正面から向き合い、2050年までにCO2排出量実質ゼロを目指してまいります。
上述したこれからの経営課題への取り組みの詳細については、今後策定する次期中期経営計画においてお示ししする予定です。
なお、当年度は、「2017~2020年度JALグループ中期経営計画」の最終年度に当たりますが、新型コロナウイルス感染拡大により大きく外部環境が変化していることから、上述の通り新たな中期経営計画を策定することといたしました。その中で、新たな経営目標を設定し、お示しする予定です。
(3)研究開発活動
「研究開発費等に係る会計基準」に合致する研究開発費を発生させる活動はありません。
(4)主要な設備
当第2四半期連結累計期間において主要な設備の新設、休止、大規模改修、除却、売却等による著しい変動があったものは、次のとおりです。
航空機
当第2四半期連結累計期間においての異動は、次のとおりです。なお、売却したエアバスA350-900型3機は当第2四半期連結累計期間中に賃借航空機に変更しておりますが、要約四半期連結財務諸表上は、IFRSに準拠して、売却および賃借として会計処理せずに、引き続き航空機として認識しております。
会社名 | 機種 | 機数(機) | 異動年月・事由 |
提出会社 | エアバスA350-900型 | 4 | 2020年4月購入 2020年4月売却 2020年4月売却 2020年4月売却 |
ボーイング777-200型 | 2 | 2020年8月売却 2020年9月売却 | |
ボーイング767-300型 | 1 | 2020年5月売却 |