有価証券報告書-第77期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/22 15:30
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当連結会計年度(2025年4月1日〜2026年3月31日)における経営環境を概括すると、日本および米国をはじめとする世界主要国経済は、不安定な世界情勢の中でも概ね緩やかな成長を持続しました。こうした経済情勢を踏まえ、国際旅客の売上については、好調なインバウンド需要が継続する中で日本発ビジネス需要も当初の見込みを上回る回復基調にあることから、旅客数を大きく伸ばし順調に推移しました。国内旅客の売上についても、各種キャンペーンを実施し需要喚起に取り組んだ結果、前年同期比で旅客数を大きく伸ばし、堅調に推移しました。費用に関しては、円安が進む中、費用削減に努めることで費用の増加を抑えられております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、コロナ禍の経験から事業ポートフォリオを再構築すべく、特に非航空事業領域での新たなビジネスの創造およびグループ全体の利益拡大を目指し、事業構造改革を推進してまいりました。中期経営計画最終年度である今年度は、非航空事業の利益拡大、「フルサービスキャリア事業」、「マイル/金融・コマース事業」およびその他の事業における増収増益により、EBIT目標2,000億円を上回る水準を達成しております。
特に「LCC事業」では、国際線中長距離LCCであるZIPAIRを中心に成田空港からのネットワークを拡充し、「マイル/金融・コマース事業」では、マイルをよりたまりやすく使いやすくするサービスを拡大しております。人的資本経営については、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)に取り組む企業を認定・表彰する日本最大のアワード「D&I AWARD 2025」において、従業員数3,001人以上の企業部門で最上位賞にあたる「D&I AWARD大賞」を、航空会社として初めて受賞しました。また、同認定において、2021年より5年連続で最高評価の「ベストワークプレイス」に認定されました。今後も多様な人財がさまざまなフィールドで活躍できる環境を整え、新たな価値創造を実現してまいります。
GXについては、最新鋭の省燃費機材エアバスA350-1000型機の導入による環境に配慮したフライトの実施や、2025年5月より、国産SAF(持続可能な航空燃料)の使用を始めております。今後もSAFの利用拡大に社会やお客さまとともに取り組むなど、気候変動への対応と事業成長の両立を実現してまいります。
また、航空業界において高い保安管理水準を達成していることを認められ、国際航空運送協会(IATA)から航空保安管理における国際認証において「Operating(レベル2)」を取得したほか、当社の提供するサービスが世界最高品質であると評価され、APEX主催の「2025 APEX EXPO」において、日本の航空会社として唯一、5年連続で「WORLD CLASS™」に、SKYTRAX社による「ワールド・エアライン・スター・レイティング」においては、最高評価「5スター」に9年連続で認定されるなど、企業価値向上に取り組む姿勢をご評価いただいております。
当社グループは3月2日に新たな成長戦略である「JALグループ経営ビジョン2035」を発表いたしました。今後は、2030年度のEBIT目標3,000億円、そして2035年度のEBIT目標3,500億円の達成に向け、事業ポートフォリオ変革を推進してまいります。
特に国際路線事業および「マイル/金融・コマース事業」の成長・利益の拡大を柱とし、国際路線事業については、「フルサービスキャリア事業」においての機材大型化、中長距離機材の増機により国際線を拡大してまいります。また、「LCC事業」では国際線中長距離LCCであるZIPAIRを中心に、成田空港からのネットワーク拡充により国際線の規模を拡大してまいります。貨物事業では大型貨物機増強や高付加価値貨物輸送拡大により、貨物機ネットワークを拡充してまいります。「マイル/金融・コマース事業」では、国内外での異業種提携先の拡大や戦略投資等により、事業を更に拡大してまいります。
一方、国内路線事業では、燃油サーチャージ導入や競合他社との協業、業界横断での需給バランスの改善等により、早期に利益率を高め、重要な社会インフラとしてサステナブルな国内線ネットワークを確立してまいります。
a.財政状態
当連結会計年度末における資産については、前連結会計年度末に比べ4,038億円増加し、3兆1,987億円となりました。負債については、前連結会計年度末に比べ857億円増加の1兆8,639億円となりました。資本については、前連結会計年度末に比べ3,180億円増加の1兆3,347億円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度における売上収益は2兆125億円(前年同期比9.1%増加)、営業費用は1兆8,340億円(前年同期比8.3%増加)となり、財務・法人所得税前利益(当社は、当期利益から法人所得税費用、利息およびその他の財務収益・費用を除いた「財務・法人所得税前利益」をEBITと定義しております。以下「EBIT」という。)は2,180億円(前年同期比26.4%増加)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,376億円(前年同期比28.6%増加)となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりです。
<フルサービスキャリア事業>当連結会計年度におけるフルサービスキャリア事業の経営成績については、売上収益は1兆5,874億円(前年同期比9.3%増加)、EBITは1,450億円(前年同期比30.5%増加)となりました。(売上収益およびEBITはセグメント間連結消去前数値です。)
フルサービスキャリア事業の売上収益は、次のとおりです。
項目前連結会計年度
(自 2024年4月1日
至 2025年3月31日)
当連結会計年度
(自 2025年4月1日
至 2026年3月31日)
対前年同期比
フルサービスキャリア事業売上収益
(億円)
14,51815,874109.3%
国際線8,2989,180110.6%
旅客収入 (億円)6,9657,600109.1%
貨物郵便収入 (億円)1,3161,562118.7%
手荷物収入 (億円)1616100.9%
国内線6,0366,431106.5%
旅客収入 (億円)5,7166,091106.6%
貨物郵便収入 (億円)314334106.3%
手荷物収入 (億円)44100.5%
その他 (億円)183262143.1%

(注)金額については切捨処理、比率については四捨五入処理しております。
輸送実績(フルサービスキャリア)は次のとおりです。
項目前連結会計年度
(自 2024年4月1日
至 2025年3月31日)
当連結会計年度
(自 2025年4月1日
至 2026年3月31日)
対前年同期比
(利用率は
ポイント差)
国際線
有償旅客数(人)7,584,5368,008,848105.6%
有償旅客キロ(千人・キロ)41,916,18145,305,343108.1%
有効座席キロ(千席・キロ)49,971,88252,795,858105.7%
有償座席利用率(%)83.985.81.9
有償貨物トン・キロ(千トン・キロ)2,767,4803,220,293116.4%
郵便トン・キロ(千トン・キロ)96,34980,38083.4%
国内線
有償旅客数(人)36,127,46438,234,040105.8%
有償旅客キロ(千人・キロ)27,666,78229,272,164105.8%
有効座席キロ(千席・キロ)35,082,82434,889,51499.4%
有償座席利用率(%)78.983.95.0
有償貨物トン・キロ(千トン・キロ)305,220311,132101.9%
郵便トン・キロ(千トン・キロ)21,67623,728109.5%
合計
有償旅客数(人)43,712,00046,242,888105.8%
有償旅客キロ(千人・キロ)69,582,96474,577,508107.2%
有効座席キロ(千席・キロ)85,054,70687,685,373103.1%
有償座席利用率(%)81.885.13.2
有償貨物トン・キロ(千トン・キロ)3,072,7013,531,425114.9%
郵便トン・キロ(千トン・キロ)118,025104,10988.2%

(注)1.旅客キロは、各区間有償旅客数(人)に当該区間距離(キロ)を乗じたものであり、座席キロは、
各区間有効座席数(席)に当該区間距離(キロ)を乗じたものです。輸送量(トン・キロ)は、各区間輸送量(トン)に当該区間距離(キロ)を乗じたものです。
2.区間距離は、IATA(国際航空運送協会)、ICAO(国際民間航空機関)の統計資料に準じた算出基準の大圏距離方式で算出しております。
3.フルサービスキャリア(国際線):日本航空(株)、日本トランスオーシャン航空(株)
フルサービスキャリア(国内線):日本航空(株)、(株)ジェイエア、日本エアコミューター(株)、(株)北海道エアシステム、日本トランスオーシャン航空(株)、琉球エアーコミューター(株)
4.数字については切捨処理、比率については四捨五入処理しております。
当連結会計年度では前年同期比で大幅な増収・増益となっております。
国際旅客では、引き続き好調なインバウンド需要に加え、日本発ビジネス需要の計画を上回る回復により、旅客数・単価が前年より大きく増加しております。2026年1月より新たに成田=デリー線を開設したほか、最新鋭機材エアバスA350-1000型機を羽田=パリ線を含む5路線12便において毎日運航するなど、お客さまの利便性の向上、さらなる収益拡大に努めております。さらには、当社グループ会社である日本トランスオーシャン航空は、2026年2月より沖縄=台北線を就航しております。また、3月の中東情勢悪化による中東における外国航空会社の運休の影響をうけ、当社欧州線直行便への代替需要やインド発北米行きの乗り継ぎ需要を積極的に取り込んだことにより、運休となったドーハ線を上回る収益を確保することができております。
国内旅客では、事業環境が厳しい中でも、各種キャンペーンを実施し需要喚起に取り組んだ結果、旅客数、収入とも前年同期比で増加しました。大阪・関西万博を契機に、インバウンドのお客さまの地方周遊を促進したほか、航空と多様な交通手段をシームレスに繋げることを目的に、JAL MaaS「乗換案内+乗車券」サイトとJR東日本の予約サービス「えきねっと」との連携を開始するなど、日本国内の空港および事業者との協働拡大を実現しております。
国際貨物は、自社貨物機に加え、カリッタ航空の大型貨物機を活用した米国線の定期貨物便の運航により、成長著しいアジア=北米間の貨物需要獲得に注力、加えて医薬品やAI・EV関連部品等の高単価貨物の獲得を強化した結果、物量・単価共前年を大きく上回り、大幅な増収を達成しました。また、JR東日本グループと連携した新幹線と航空機を組み合わせたワンストップ輸送サービス「JAL de はこビュン」のサービスを開始し、地域産品の海外輸出促進にも取り組みました。さらに、カーゴルクス航空とのパートナーシップを強化し、2026年度からの欧州の貨物便ネットワーク強化に向けた準備を進めました。国内貨物は、総需要が伸び悩むなか、新規需要獲得に向け、保安検査代行などの新サービスや荷主等へのセミナーを積極的に実施しました。また、ヤマトホールディングス株式会社との貨物専用機の運航便数を増やし、物流を通じた社会課題の解決に取り組み、収入は前年を上回りました。
当連結会計年度におけるLCC事業の経営成績については、売上収益は1,149億円(前年同期比10.4%増加)、EBITは96億円(前年同期比17.1%減少)となりました。(売上収益およびEBITはセグメント間連結消去前数値です。)
LCC事業の売上収益は、次のとおりです。
項目前連結会計年度
(自 2024年4月1日
至 2025年3月31日)
当連結会計年度
(自 2025年4月1日
至 2026年3月31日)
対前年同期比
LCC事業売上収益 (億円)1,0411,149110.4%
国際線 旅客収入 (億円)855965112.9%
国内線 旅客収入 (億円)331957.2%
その他 (億円)152164107.7%

(注)金額については切捨処理、比率については四捨五入処理しております。
輸送実績(LCC)は、次のとおりです。
項目前連結会計年度
(自 2024年4月1日
至 2025年3月31日)
当連結会計年度
(自 2025年4月1日
至 2026年3月31日)
対前年同期比
(利用率は
ポイント差)
ZIPAIR
有償旅客数(人)1,355,8051,380,861101.8%
有償旅客キロ(千人・キロ)7,718,2878,190,437106.1%
有効座席キロ(千席・キロ)9,106,38310,535,650115.7%
有償座席利用率(%)84.877.7△7.0
スプリング・ジャパン
有償旅客数(人)1,012,7181,068,838105.5%
有償旅客キロ(千人・キロ)1,498,5091,765,293117.8%
有効座席キロ(千席・キロ)1,896,9062,016,734106.3%
有償座席利用率(%)79.087.58.5

(注)1.旅客キロは、各区間有償旅客数(人)に当該区間距離(キロ)を乗じたものであり、座席キロは、
各区間有効座席数(席)に当該区間距離(キロ)を乗じたものです。輸送量(トン・キロ)は、各区間輸送量(トン)に当該区間距離(キロ)を乗じたものです。
2.区間距離は、IATA(国際航空運送協会)、ICAO(国際民間航空機関)の統計資料に準じた算出基準の大圏距離方式で算出しております。
3.スプリング・ジャパンの輸送実績には国際線および国内線の合計を記載しております。
4.数字については切捨処理、比率については四捨五入処理しております。
LCCマーケットの需要増加に柔軟に対応した結果、保有機数が前年と変わらない中で前年同期比で増収となりました。
国際線中長距離LCCであるZIPAIRは旺盛な渡航需要にお応えし、成田=バンコク、ソウル線およびロサンゼルス、ホノルル線の増便等を行いました。また、2026年2月から3月には観光需要を取り込むべく米国フロリダ州オーランドへの直行チャーター便(旅客便)を運航いたしました。サービス面では、2026年2月より、アジアのエアラインとして初めて、スペースX社の衛星インターネットサービス「Starlink」を搭載し、上空でも地上と同等の高速かつ安定したインターネット接続を可能としました。今後も全機全路線でのご提供に向けて段階的に搭載便を拡大してまいります。
ZIPAIRをはじめ、スプリング・ジャパン、ジェットスター・ジャパンも含めた特徴の異なるLCC3社によるネットワーク構築によりインバウンド・アウトバウンド増加に貢献するとともに、新たな人流の創出をめざしてまいります。
<マイル/金融・コマース事業> <その他>当連結会計年度におけるマイル/金融・コマース事業の経営成績については、売上収益は2,222億円(前年同期比10.9%増加)、EBITは455億円(前年同期比19.5%増加)となりました。(売上収益およびEBITはセグメント間連結消去前数値です。)
JALUXの増収ならびにマイル発行数の順調な増加により、安定的に利益を計上いたしました。
マイルについては、当社持分法適用会社である株式会社マネースクエアHDが2026年2月より日々の資産運用によりマイルを貯めることができる新プログラムを開始したほか、海外のお客さまへもマイルサービスを展開すべく、Capital OneやBilt Rewardsをはじめとする海外金融事業者との提携も開始しました。一方、マイルの償還先として「マイルde体験」のような体験型の特典を拡大するなど、償還の多様化を進めております。今後もマイルを「ためる」「つかう」シーンを拡大する「JALマイルライフ構想」を引き続き推進し、顧客層の拡大・利益成長を実現してまいります。
また、コマースでは、JALUXの航空機エンジン部品取引が引き続き好調を維持していること等により、安定的に利益を計上しております。
その他外航受託については、グランドハンドリングにおいて、2025年12月から、東京国際空港(羽田)および成田国際空港の2空港において国内で初めて、自動運転レベル4(特定条件下での完全無人運転)に対応したトーイングトラクターの実用化を開始しております。これにより、空港業務の省人化と効率化、電動車両による環境負荷低減を実現し、持続可能な空港グランドハンドリング体制を構築するとともに、外航受託を推進してまいります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ2,611億円増加し、1兆101億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税引前利益2,072億円に減価償却費等の非資金項目および営業活動に係る債権・債務の加減算等を行った結果、営業活動によるキャッシュ・フロー(インフロー)は3,948億円(前年同期は3,815億円のキャッシュ・インフロー)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
固定資産の取得による支出を主因として、投資活動によるキャッシュ・フロー(アウトフロー)は△1,831億円(前年同期は△2,811億円のキャッシュ・アウトフロー)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
その他の資本性金融商品の発行による収入を主因として、財務活動によるキャッシュ・フロー(インフロー)は446億円(前年同期は△649億円のキャッシュ・アウトフロー)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産、受注及び販売に該当する業種・業態がほとんどないため、「① 財政状態及び経営成績の状況」に含めて記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、IFRSに基づき作成しております。連結財務諸表の作成に当たり、経営者の判断に基づく会計方針の選択と適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りが必要となりますが、その判断および見積りに関しては連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しております。しかしながら、実際の結果は、見積り特有の不確実性が伴うことから、これら見積りと異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要性がある会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」に記載しております。
経営者が行った連結財務諸表の金額に重要な影響を与える見積りは次のとおりです。
・収益認識
航空輸送に係る収益は、航空輸送役務の完了時に認識しております。
航空輸送に使用される予定のない航空券販売(失効見込みの未使用航空券)は、航空券の条件や過去の傾向を考慮して適切な認識のタイミングを見積り、収益認識しております。
また、当社グループは会員顧客向けのマイレージプログラム「JALマイレージバンク」を運営しており、旅客輸送サービス等の利用に応じて付与するマイルの内、将来顧客が行使することが見込まれる分を履行義務として認識し、顧客がマイルの利用に際して選択するサービスの構成割合を考慮して独立販売価格を見積り、取引価格はこれらの履行義務に対して独立販売価格の比率に基づいて配分しております。マイレージプログラムの履行義務に配分された取引価格は契約負債として認識し、マイルの利用に従い収益計上しております。
・航空機等の減価償却費
航空機、航空機エンジン部品および客室関連資産等の各構成要素の耐用年数決定にあたり、将来の経済的使用可能予測期間を考慮して、減価償却費を算定しております。
・非金融資産の減損
当社グループは、期末日現在の対象資産について、減損が生じている可能性を示す事象があるかを検討し、減損の兆候が存在する場合には減損損失の計上要否の検討を行っております。
・繰延税金資産の認識
当社グループは、将来減算一時差異、未使用の繰越税額控除および繰越欠損金を利用できる課税所得が生じる可能性が高い範囲内で繰延税金資産を認識しております。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたっての見積りに関しては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末における総資産は、主に現金及び現金同等物の増加により、前連結会計年度末に比べ4,038億円増加し、3兆1,987億円となりました。
(負債合計)
当連結会計年度末における負債は、主に契約負債の増加等により、前連結会計年度末に比べ857億円増加の1兆8,639億円となりました。
(資本合計)
当連結会計年度末における資本は、配当金の支払い等で減少したものの、公募永久劣後債の発行によるその他の資本性金融商品の計上および親会社の所有者に帰属する当期利益による利益剰余金の増加により、前連結会計年度末に比べ3,180億円増加の1兆3,347億円となりました。
2)経営成績
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、収入面では、国際旅客収入(フルサービスキャリア)は引き続き好調なインバウンド需要に加え、日本発ビジネス需要の計画を上回る回復により、前年対比635億円の増収となりました。国内旅客収入(フルサービスキャリア)は、事業環境が厳しい中でも、各種キャンペーンを実施し需要喚起に取り組んだ結果、前年対比375億円の増収となりました。この結果、売上収益は2兆125億円(前年同期比9.1%増加)となりました。
費用面では、燃油費は使用量の増加等により154億円の増加、人件費は人的資本投資の増加等により350億円増加しました。営業費用全体としては1兆8,340億円(前年同期比8.3%増加)となりました。
以上の結果、当連結会計年度のEBITは2,180億円(前年同期比26.4%増加)となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期利益は、1,376億円(前年同期比28.6%増加)となりました。
(今後の見通し)
JALグループは2026年3月2日に新たな成長戦略である「JALグループ経営ビジョン2035」を発表いたしました。従来の5ヵ年の中期経営計画という枠組みを越え、10年先を見据えた現状にとらわれない抜本的な変革に挑むとともに、足元の環境変化に対しては単年度計画を実行し、機動的かつ柔軟に対応してまいります。
具体的には、国際線の増機、機材大型化といった機材投資の倍増とともに、マイル・ライフ事業への戦略投資の強化を計画しております。これにより、「事業ポートフォリオ変革」を加速し、新たな成長を実現してまいります。
一方で、ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の緊迫による原油価格の高騰を含め、世界情勢は急速に不確実性を増しており、政治・経済の動向に依然として留意が必要な経営環境となっております。
2027年3月期は、このような厳しい環境下においても、航空・非航空事業の業績を確実に安定させ、2027年3月期の通期連結業績予想につきましては、同経営ビジョンでお示ししたとおり、連結売上収益2兆950億円、EBIT1,800億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,100億円を見込んでおります。
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
好調な国際旅客事業や需要喚起が奏功した国内旅客事業の伸長、および高収益なマイル/金融・コマース事業の成長により2025年度は過去最高のEBIT2,180億円を達成しました。2026年度は、フルサービスキャリア事業とLCC事業における国際旅客の増収、国内旅客の収益性向上に引き続き取り組むと共に、戦略投資を通じたマイル/金融・コマース事業を中心とした非航空領域の成長により、EBIT1,800億円を目指します。
また、中長期的には、新たな成長戦略である「JALグループ経営ビジョン2035」の実行を通じて、社会価値創出と着実な成長を実現します。円安、物価高、サプライチェーンの乱れ等によるコスト増、地政学リスクによるボラティリティの常態化等、足下で顕在化する課題に対しては単年度計画により機動的かつ柔軟に対応しながら、中長期的な成長に向けては、事業の成長機会を確実に捉える「Growth」、環境変化やリスクに柔軟に対応し航空インフラとしての持続性を高める「Sustainability」、社会価値を起点に事業領域を拡大する「Social Impact」の3軸で、環境変化に強い事業ポートフォリオを構築してまいります。
c.資本の財源及び資金の流動性
1)財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、強固な財務体質と高い資本効率を両立しつつ、企業価値向上のために戦略的に経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としております。
強固な財務体質の維持に関しては、格付評価上の自己資本比率の水準を45%程度に保ち、「シングルAフラット」以上の信用格付(日本の格付機関)の取得・維持を目指し、リスク耐性の強化を図ります。
同時に、持続的な成長に向けた取り組みも加速させます。設備投資に関しては、早期に新機材を導入するとともに、LCC事業領域の拡大を図り、グループとしての成長を加速します。
2)経営資源の配分に関する考え方
当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大により甚大なる影響を受けた経験を踏まえ、適正な手元現預金の水準について検証を実施した結果、イベントリスク発生時に大きな影響を受ける旅客収入規模に応じ、航空券払戻リスクにも一定程度耐えうる水準を設定しております。リスク耐性の強化および資産効率の両立を図るべく、旅客収入の5.0~5.6カ月分(毎月末)を安定的な経営に必要な手元現預金水準(コミットメントライン含む)として確保してまいります。
成長戦略を加速するための投資を推進しつつ、配当金総額と自己株式取得額の合計額を踏まえた総還元性向について、概ね35%から50%程度の範囲となるように努めることで、企業価値向上に資する経営資源の配分に取り組んでまいります。
3)資金需要の主な内容
当社グループの資金需要は、営業活動に係る資金支出では、航空運送事業に関わる燃油費、運航施設利用費、整備費、航空販売手数料、機材費(航空機に関わる償却費、賃借料、保険料など)、サービス費(機内・ラウンジ・貨物などのサービスに関わる費用)、人件費などがあります。
また、投資活動に係る資金支出は、成長を加速させるための省燃費機材の導入等の資産投資等があります。
4)資金調達
当社グループは、事業活動の維持および将来の成長のために必要な資金について、安定的かつ機動的に確保することに努めております。
設備投資は、内部資金および外部資金を有効に活用して実施してまいります。設備投資額は営業キャッシュ・フローの範囲内とすることを原則としておりますが、十分な手元流動性の確保、資金調達手段の多様化、資本効率の向上を企図し、主要な事業資産である航空機などの調達に当たっては、金融機関からの借入、社債の発行、航空機リース等の有利子負債を一部活用しております。また、ESG投資の推進に向けては、2024年5月に当社として3回目、4回目となるトランジションボンドを発行するなど、今後もESGファイナンスを積極的に活用してまいります。
当社グループは従前から、安定的な外部資金調達能力の維持向上は重要な経営課題と認識しており、資金調達能力の源泉である強固な財務体質の維持向上に努めてまいります。また、当社は国内2社の格付機関から信用格付を取得しております。本報告書提出時点において、日本格付研究所の格付は「シングルA(安定的)」、格付投資情報センターの格付は「シングルAマイナス(安定的)」となっております。また、主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しており、健全な財務体質を有していることから、必要な運転資金、投資資金の調達に関しては問題ないと認識しています。コロナ禍を耐え抜くために機動的な資金調達を実施したことで、有利子負債残高はこの3年間で大幅に増加しましたが、2026年3月末時点においても、格付評価上の自己資本比率は40.2%(注1)、ネットD/Eレシオは△0.1倍(注2)と、航空業界においては世界最高レベルの強固な財務基盤を維持できております。
(注)1.格付評価上の自己資本比率=格付評価上の自己資本/総資産
2.格付評価上のネットD/Eレシオ=(格付評価上の有利子負債-現金及び現金同等物)/格付評価上の自己資本
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
JALグループでは「JALグループ経営ビジョン2035」を掲げ、その実現に向けて2030年度の経営目標を以下のとおり策定しております。
(安全・安心)
航空事故(注1)・重大インシデント(注2)「ゼロ」の実現に向け、以下をはじめとする取り組みを進めるとともに、先進テクノロジーとプロフェッショナリズムで、安全と安心を磨き続けます。
(1)飲酒問題の根絶
経営層をはじめ全社一丸となった再発防止策の徹底と定着
(2)揺れからお客さまと社員を守る運航の実現
運航・気象データを活用した揺れの予測精度向上による負傷リスクの最小化
(3)事故の教訓を心に刻み、自ら安全・安心をつくる人財の育成
日々の業務と安全をより深く結びつけるための教育の拡充
指標2030年度までの目標2025年度までの目標2025年度実績
航空事故0件0件3件(注3)
重大インシデント0件0件1件(注4)

2025年度の実績を真摯に受け止め、再発防止策を確実に実行していきます。
(注)1.航空機の運航によって発生した人の死傷(重傷以上)、航空機の墜落、衝突または火災、航行中の航空機の損傷(大修理相当)等
2.航空事故には至らないものの、その恐れがあったと認められる事態。滑走路からの逸脱、非常脱出等
3.航空事故
(1)2025年12月8日、ジェイエアが運航する日本航空2151便において、降下中の揺れにより、お客さまが骨折した事案。
(2)2025年12月22日、日本航空057便において、巡行中の揺れにより、客室乗務員が骨折した事案。
(3)2026年3月13日、日本航空158便において、離陸上昇中に鳥衝突が発生した。この衝突による機首部の損傷について修理を進める過程で、損傷の程度が大修理を要するものであることが確認された事案。
4.重大インシデント:2025年12月11日、北海道エアシステムが運航する日本航空2823便において、丘珠空港離陸後、第2(右側)エンジンが停止した事案。
2025年度は、引き続きお客さまに心地よい安心をお届けするため、NPS(Net Promoter Score)を顧客満足度目標の指標として顧客体験の向上に取り組んでまいりました。
ご利用状況としては、国内線・国際線ともに前年度より多くのお客さまにご搭乗いただき、利用率は年間を通じて高い水準で推移しました。
こうしたなか、国内線においては、機内エンターテインメントコンテンツの拡充や地方空港での「JAL SMART AIRPORT」の展開などのサービス強化が奏功し、お客さまから高い評価をいただいた結果、NPSの経営目標を達成いたしました。
一方で国際線においては、旺盛な訪日需要の高まりのなかで、最新鋭機材エアバスA350-1000型機の導入拡大や機内サービス品質の向上などに努めたものの、お客さまの評価が伸び悩み、経営目標の達成には至りませんでした。
この結果を真摯に受け止め、お客さまの多様な価値観やニーズに対して寄り添うとともにお応えしていくことが課題と捉えています。
2026年度からは、JALグループ経営ビジョン2035の実現に向けて、顧客体験への満足に留まらず、共感を軸としたお客さまとの深く長い関係づくりに取り組み、当社への「お客さまの共感度合い」で世界No.1となることを目指します。
新ブランドスローガン「Soaring Together」のもと、国内線サービスのリニューアルやJALアプリ刷新を皮切りに、移動中や旅先・日常生活などあらゆるシーンで、お客さまに心に響く出会いと体験をお届けしてまいります。
指標2025年度までの目標
(2021年度期初対比)
2025年度実績
(2021年度期初対比)
NPS 国内線+4.0ポイント+4.2ポイント
NPS 国際線+4.0ポイント△3.0ポイント

(財務)
これまで築き上げた高い収益性と強固な財務安定性を兼ね備えつつ、成長に向けた積極的な投資および経営資源の有効活用により常に成長し続けるために、「EBITマージン(売上高利益率)2025年度に10%以上を達成、ROIC(投資利益率)2025年度に9%を達成、EPS(1株当たり純利益)2025年度に290円レベルを達成」を目指しておりました。
中期経営計画の最終年度である2025年度の経営目標(財務)は全て達成いたしました。今後も高い収益性と強固な財務安定性を目指してまいります。
指標2030年度までの目標2025年度までの目標2025年度実績
EBITマージン
(売上高利益率)(注1)
10%以上10%以上10.8%
ROIC(投資利益率)(注2)9%9%9.5%
EPS(1株当たり純利益)-290円レベル306円
自己資本比率(注3)45%程度50%程度40.3%

(注)1.EBITマージン=EBIT / 売上収益
2.投資利益率(ROIC)=EBIT(税引後)/ 期首・期末固定資産(*)平均
*固定資産=棚卸資産+非流動資産-繰延税金資産-退職給付に係る資産
3.自己資本比率=親会社所有者帰属持分比率
(サステナビリティ)
環境目標について、「省燃費機材への更新」「運航の工夫」「持続可能な航空燃料(SAF)の活用」「カーボンクレジットの活用」「除去新技術を持つ企業への出資」によるCO2排出量削減と、客室・ラウンジでの新規石油由来プラスチック全廃、および貨物・空港での環境配慮素材配合への置き換えによる使い捨てプラスチック削減に取り組み、経営目標を達成しました。
地域社会目標について、多くの人々やさまざまな物の流動を創出し、航空会社の根源的な価値である輸送力を活かして、地域活性化に貢献してまいりました。
DEI推進目標について、女性社員の意思決定への参画をさらに促すとともに、多様な人財の登用と活躍を推進した結果、経営目標を達成しました。
指標2030年度までの目標2025年度までの目標2025年度実績
環境CO2削減航空機からのCO2排出量(注1)
FY2019対比△10%
総排出量921万トン未満
(2019年度実績)
913万トン※速報値
使い捨てプラスチック削減-客室・ラウンジ:
新規石油由来全廃
貨物・空港:
環境配慮素材配合へ100%変更
客室・ラウンジ:全廃達成
貨物・空港:100%変更達成
地域社会国内の旅客(注2)・貨物輸送量-FY2019対比+10%旅客+9%
貨物△8%
グループ内女性管理職比率-30%31.9%

(注)1.オフセットを含む
2.観光需要喚起などによる大都市圏と地方間の旅客数の増分

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