有価証券報告書-第64期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/24 15:33
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132項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループは、グループ経営ビジョンの中で掲げた「お客様満足と価値創造で世界のリーディングエアライングループ」を目指し、持株会社制への移行を契機としてグループ経営体制の強化に努めた。また、首都圏空港の発着枠拡大に向け、航空機等の必要な投資を継続した。これらの結果、当社グループの総資産は、当連結会計年度末において2兆1,736億円となった。
収入面においては、国際線、国内線ともに路線ネットワークの充実を進めた。また、営業面で各種割引運賃の設定を拡大する等、需要喚起策を講じたことにより、売上高は大幅に増加した。
費用面においては、「2013-15年度ANAグループ経営戦略」で掲げているコスト削減を遂行し、収益の確保に努めたが、事業規模拡大に伴う費用増に加え、為替の影響により燃油費が増加した。結果として、営業費用の増加が営業収入の伸びを上回ったことにより、前連結会計年度に比べて減益となった。
財政状態及び経営成績の分析については以下のとおりである。
(1) 連結貸借対照表
①資産の部
流動資産は航空機を中心とした投資を継続して進め、手元資金が減少した結果、前連結会計年度末に比べて214億円減少し、6,962億円となった。
固定資産は、当連結会計年度において航空機取得を進めたことにより、有形固定資産が増加したことに加え、時価評価による投資有価証券の増加などにより、前連結会計年度末に比べ581億円増加し、1兆4,760億円となった。
以上により、当連結会計年度末における総資産は前連結会計年度末に比べて363億円増加し、2兆1,736億円となった。
②負債の部
借入金は、新規借入による資金調達を行った一方で、約定弁済等を着実に進めた結果、前連結会計年度末に比べて644億円減少し、6,681億円となった。社債は前連結会計年度末に比べて100億円増加し、1,350億円となった。リース債務は前連結会計年度末に比べて78億円減少し、315億円となった。これらの結果、リース債務を含む有利子負債は前連結会計年度末に比べて623億円減少し、8,347億円となった。また、新会計基準適用に伴う退職給付に係る負債を計上したことなどから、負債合計は前連結会計年度末に比べて581億円増加し、1兆4,223億円となった。
なお、オフバランスの未経過リース料が1,852億円(前連結会計年度末に比べて69億円減少)あり、これを含めた実質的な有利子負債残高は1兆199億円(前連結会計年度末に比べて692億円減少)となった。
③純資産の部
利益剰余金は当期純利益の計上などにより、前連結会計年度末に比べて51億円増加し、1,558億円となった。
その他の包括利益累計額は新会計基準適用に伴う退職給付に係る調整累計額の計上などにより、前連結会計年度末に比べて213億円減少し、△41億円となった。
これらの結果、純資産合計は前連結会計年度末と比べて218億円減少し、7,512億円となった。
なお、自己資本比率は前連結会計年度末に比べて1.6ポイント低下して34.3%となり、有利子負債と自己資本の比率を示すD/Eレシオは1.1倍(前連結会計年度末は1.2倍)となった。また、当連結会計年度末の1株当たり純資産額は前連結会計年度末とほぼ変わらず213.82円であった。
(2) 連結損益計算書
①営業損益
当連結会計年度の売上高は、ビジネス需要、プレジャー需要ともに堅調に推移した結果、前連結会計年度に比べ1,174億円増加し、1兆6,010億円となった。詳細は「第2 事業の状況 1 業績等の概要」及び「同 2 生産及び販売の状況」に記載している。
営業費用は、コスト削減に努めたが、国際線をはじめとした生産量の拡大や為替の影響により燃油費等が増加したことから、売上原価は前連結会計年度に比べ1,209億円増加し、1兆2,691億円となった。販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ343億円増加し、2,658億円となった。結果として、営業費用全体では前連結会計年度に比べて1,552億円増加して1兆5,350億円となり、営業利益は前連結会計年度に比べて378億円減少し、659億円となった。
②経常損益
営業外収益は、前連結会計年度に比べて20億円増加し、122億円となった。これは、航空機等の資産売却益が前連結会計年度に比べて19億円増加したことなどが主な要因である。
営業外費用は、前連結会計年度に比べて17億円減少し、353億円となった。これは、前連結会計年度に比べ、支払利息が減少したこと等が主な要因である。金融収支(受取利息と支払利息の純額)は△151億円となった。
以上により、経常利益は前連結会計年度と比べて340億円減少し、429億円となった。
③特別損益
特別利益は、前連結会計年度に比べて28億円増加し、35億円となった。これは、和解金の受け取りなどが主な要因である。
特別損失は、前連結会計年度に比べて33億円増加し、100億円となった。これは、年金制度改定関連費用を計上したことなどが主な要因である。
以上により、当期純利益は前連結会計年度に比べて242億円減少し、188億円となった。
(3) 連結キャッシュ・フロー計算書
①営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益363億円に、減価償却費等非資金性項目の調整を行った結果、営業活動によるキャッシュ・フローは2,001億円の収入となった。前連結会計年度に比べて269億円増加している。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
主として航空機受領時の支払いや予備部品の購入、今後導入予定の航空機に対する前払い等の有形固定資産やソフトウェア投資等の無形固定資産の取得による支出のほか、3ヶ月を超える運用の減少があったことなどの結果、投資活動によるキャッシュ・フローは649億円の支出(前連結会計年度に比して2,688億円減少)となった。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
新たな借入、社債発行による資金調達を行った一方、借入金の返済、リース債務の返済等から、財務活動によるキャッシュ・フローは855億円の支出となった。
以上の結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは1,352億円の収入となった。また、現金及び現金同等物の期末残高は前連結会計年度に比べて496億円増加し、2,409億円となった。
当連結会計年度末における今後の経済見通しについては、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動による影響が次第に薄れ、各種経済政策効果の発現による緩やかな回復が期待されている。
このような状況の下、当社グループは、「コア事業の強化」「収益ドメインの拡大・多様化」「コスト構造改革の進化」を3本の柱とした「2014-16年度ANAグループ経営戦略」の遂行により、「お客様満足と価値創造で世界のリーディングエアライングループを目指す」という経営ビジョンの達成を目指す。