有価証券報告書-第71期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度(2020年4月1日~2021年3月31日、以下「当期」という)における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当期のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況にある中、企業の生産活動や設備投資等において持ち直しの動きが続いていますが、個人消費等の弱さがみられます。
航空業界は、各国の入国規制や外出自粛等により人の移動が激減したことから世界的に厳しい状況にあります。
このような経済情勢の下、当社においても売上高が大きく減少したことから、民間金融機関及び日本政策投資銀行から、合計9,350億円規模の借入を実施した他、公募及び第三者割当増資(2,976億円)により、合計1兆2,000億円以上の資金調達を実施し、手元資金の確保と財務基盤の強化を図りました。コスト面においては、運航規模の抑制による変動費の削減に加え、固定費についてもあらゆるコスト削減策を実行しましたが、売上高の減少が非常に大きかったことから、多額の損失を計上しました。
以上の結果、当期の財政状態及び経営成績等は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当期末の資産合計は、前期末に比べ6,477億円増加し、3兆2,078億円となりました。
当期末の負債合計は、前期末に比べ7,042億円増加し、2兆1,955億円となりました。
当期末の純資産合計は、前期末に比べ565億円減少し、1兆123億円となりました。
b.経営成績
当期における売上高は7,286億円(前期比63.1%減)、営業費用は1兆1,934億円(前期比37.6%減)となり、営業損失は4,647億円(前年同期 営業利益608億円)、経常損失は4,513億円(前年同期 経常利益593億円)、親会社株主に帰属する当期純損失は4,046億円(前年同期 親会社株主に帰属する当期純利益276億円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは2,704億円の支出となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは5,957億円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは1兆981億円の収入となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前期末に比べて2,343億円増加し、3,703億円となりました。
③生産及び販売の実績
a.セグメント別売上高
最近2連結会計年度のセグメント別売上高は次のとおりです。
(注)1.セグメント内の内訳は内部管理上採用している区分によっています。
2.各セグメントの営業収入はセグメント間の売上高を含みます。
3.LCC収入は、Peach Aviation㈱及びバニラ・エア㈱の収入の合計です。なお、バニラ・エア㈱はPeach Aviation㈱との事業統合のため、2019年10月に運航終了しており、前期の収入のみ含まれます。
4.上記の金額には、消費税等は含みません。
b.セグメント別取扱実績
① 航空事業
イ.ANAブランド輸送実績
最近2連結会計年度の輸送実績は次のとおりです。
ロ.ANAブランド運航実績
最近2連結会計年度の運航実績は次のとおりです。
(注)1.国内線旅客実績には、アイベックスエアラインズ㈱、㈱AIRDO、㈱ソラシドエア及び㈱スターフライヤーとのコードシェア便実績及びオリエンタルエアブリッジ㈱との一部のコードシェア便実績を含みます。
2.国内線、国際線ともに不定期便実績を除きます。
3.国際線貨物及び郵便実績には、コードシェア便実績、エアラインチャーター便実績、ブロック・スペース契約締結便実績及び地上輸送実績を含みます。
4.国内線貨物及び郵便実績には、㈱AIRDO、㈱ソラシドエア、オリエンタルエアブリッジ㈱及び㈱スターフライヤーとのコードシェア便実績、エアラインチャーター便実績及び地上輸送実績を含みます。また、2020年 11月1日からPeach Aviation㈱とのコードシェア便実績を含みます。
5.座席キロは、各路線各区間の有効座席数(席)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。
6.旅客キロは、各路線各区間の旅客数(人)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。
7.有効貨物トンキロは、各路線各区間の有効貨物重量(トン)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。なお、旅客便については、床下貨物室(ベリー)の有効貨物重量に各区間距離を乗じています。また、床下貨物室の有効貨物重量には、貨物・郵便の他、搭乗旅客から預かる手荷物搭載の有効搭載重量も含まれています。
8.貨物トンキロ及び郵便トンキロは、各路線各区間の輸送重量(トン)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。
9.貨物重量利用率は、貨物トンキロと郵便トンキロの合計を有効貨物トンキロで除した数値です。
ハ.LCC輸送実績
最近2連結会計年度の輸送実績は次のとおりです。
(注)1.座席キロは、各路線各区間の有効座席数(席)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。
2.旅客キロは、各路線各区間の旅客数(人)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。
3.LCC実績は、Peach Aviation㈱及びバニラ・エア㈱の実績の合計です。なお、バニラ・エア㈱はPeach Aviation㈱との事業統合のため、2019年10月に運航終了しており、前期の実績のみ含まれます。
② 航空関連事業
航空関連事業に含まれる連結子会社の取扱状況等については、構成する各種事業が多岐にわたり、かつ重要性の観点から開示しておりません。
③ 旅行事業
旅行事業に含まれる連結子会社の取扱状況等については、構成する各種事業が多岐にわたり、かつ重要性の観点から開示しておりません。
④ 商社事業
商社事業に含まれる連結子会社の取扱状況等については、構成する各種事業が多岐にわたり、かつ重要性の観点から開示しておりません。
⑤ その他
その他に含まれる連結子会社の取扱状況等については、構成する各種事業が多岐にわたり、かつ重要性の観点から開示しておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当期末時点において判断したものです。
①財政状態
<資産の部>流動資産は、資金調達により現預金や譲渡性預金が増加したことから、前期末に比べて6,551億円増加し、1兆2,263億円となりました。
固定資産は、売却および減損損失の計上に伴い航空機が減少したこと等により、前期末に比べ86億円減少し、1兆9,795億円となりました。
以上により、当期末における総資産は前期末に比べて6,477億円増加し、3兆2,078億円となりました。
<負債の部>負債合計は、発売未決済が671億円減少した一方で、資金調達により借入金が増加したことから、前期末に比べて7,042億円増加し、2兆1,955億円となりました。
なお、有利子負債は前期末に比べて8,125億円増加し、1兆6,554億円となりました。
<純資産の部>株主資本は、事業構造改革の加速や財務基盤の強化等を目的とした公募及び第三者割当増資により、資本金及び資本剰余金が合計2,976億円増加した一方で、当期純損失の計上により利益剰余金が減少したことから、前期末に比べて1,079億円減少し、9,606億円となりました。
その他の包括利益累計額はその他有価証券評価差額金や繰延ヘッジ損益の増加等により、前期末に比べて541億円増加し、465億円となりました。
これらの結果、純資産合計は前期末に比べて565億円減少し、1兆123億円となりました。
なお、自己資本比率は31.4%(前期末41.4%)となり、有利子負債と自己資本の比率を示すD/Eレシオは1.6倍(前期末0.8倍)となりました。
②経営成績
新型コロナウイルス感染症の影響により、航空事業を中心にすべてのセグメントで甚大な影響を受けたことから、当期の売上高は大幅に減少し、7,286億円(前期比63.1%減)となりました。運航規模の抑制による変動費の削減に加え、人件費等の固定費を削減し5,900億円のコスト削減策(雇用調整助成金434億円の効果を含む)を実行しましたが、売上高の減少が非常に大きかったことから、営業損失は4,647億円(前期 営業利益608億円)、経常損失は4,513億円(前期 経常利益593億円)、親会社株主に帰属する当期純損失は4,046億円(前期 親会社株主に帰属する当期純利益276億円)となりました。なお、収支改善を進めるために、大型機を中心とした早期退役(28機)を含む航空機の大量退役を実施し、減損損失等の事業構造改革費用863億円を特別損失に計上しました。
当社は、事業における安全と品質の追求や環境効率性の追求等の取り組みが評価され、米国S&P Global社の「Sustainability Awards 2021」において、最高格付であるゴールドクラスに航空会社として唯一選定された他、世界の代表的な社会的責任投資の指標である「Dow Jones Sustainability World Index」の構成銘柄に4年連続で選定されました。今後も社会的価値と経済的価値の同時創造による持続的な成長を目指してまいります。
セグメントごとの経営成績は次のとおりです。(なお、各事業における売上高はセグメント間内部売上高を含み、営業利益はセグメント利益に該当します。)
◎航空事業
新型コロナウイルスの世界的な流行により、旅行需要が著しく減退し、売上高は前期を大幅に下回り6,040億円(前期比65.2%減)となりました。国内線では旅客需要は徐々に回復に向かっていたものの、感染者数の増加に伴い12月からは再び減少に転じました。国際線では旅客需要の低迷が続く一方で、貨物においては経済活動の再開や海上輸送の混雑等によって高まった需要を積極的に取り込んだ結果、貨物収入は過去最高となりました。当社グループでは、需要の減退に合わせて運航規模を大幅に抑制し燃油費・空港使用料等を削減した他、役員報酬や給与・一時金等の人件費の削減に取り組みましたが、営業損失は4,478億円(前期 営業利益495億円)となりました。
当社グループでは、コロナ禍においてもお客様に航空機をより安心・安全にご利用いただくために、空港や機内等の清潔・衛生的な環境づくりに対する取り組み(ANA Care Promise等)を行ってまいりました。その結果、英国SKYTRAX社から新型コロナウイルス対策において最高評価の「5スター」に認定されました。また、当社グループでは、過去10年間における様々な取り組みが評価され、英国の航空専門誌Flight Global社における「Decade of Airline Excellence Awards 2020」のアジア太平洋部門で「最優秀賞」を受賞しました。
<国際線旅客(ANAブランド)>国際線旅客では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う世界各国での入国規制により、需要が著しく低迷したことで旅客数・収入ともに前期を大幅に下回りました。
路線ネットワークでは、大規模な運休・減便を継続する中でも、海外赴任・帰任等の需要動向を見極め、運航継続路線の選択や臨時便の設定等に努めました。また、貨物輸送を中心に需要が一定程度見込まれることから、12月から日本の航空会社として初めて成田=深圳線を開設した他、羽田=サンフランシスコ線の運航を開始しました。この結果、当期における運航規模は前期比で21.0%となりました。
営業・サービス面では、8月から日本発片道割引運賃を販売し、海外赴任や留学等の需要の取り込みを図った他、本年1月より、帰国時の行動制限に際してご利用いただけるホテルや交通手段を容易に手配できる「ご帰国あんしんサービス」サイトを新設しました。
以上の結果、当期の国際線旅客数は42万人(前期比95.5%減)となり、収入は447億円(同92.7%減)となりました。
<国内線旅客(ANAブランド)>国内線旅客では、新型コロナウイルスの影響を大きく受け、旅客数・収入ともに前期を大幅に下回りました。5月の緊急事態宣言解除以降、需要は回復傾向にありましたが、12月から感染者数の増加に伴い再び減少に転じる等、感染者数の動向に連動して推移しました。
路線ネットワークでは、第1四半期の運航規模は前年同期比26.7%でしたが、需要の回復に合わせて運航便数を増やし、第2四半期(7月~9月)は同50.7%、第3四半期(10月~12月)は「Go Toトラベルキャンペーン」の効果もあり同61.4%となりました。しかし、第4四半期(本年1月~3月)は需要の減退に対して運航便を抑制した結果、同44.7%となる等、需要動向を注視しながら機動的に運航規模を調整しました。
営業・サービス面では、7月から日程や行先の変更の際に手数料がかからない「あんしん変更キャンペーン」を実施した他、MaaS(Mobility as a Service)に対応した当社グループ独自の経路検索サービスである「空港アクセスナビ」において、航空便の運航情報と連携した鉄道やバス・タクシー等の地上交通機関の経路の検索から予約・決済まで一気通貫して行える機能を拡充しました。今後も旅の始まりから終わりまでのシームレスな移動の実現に向けた取り組みを進め、利便性向上に努めてまいります。
以上の結果、当期の国内線旅客数は1,266万人(前期比70.5%減)となり、収入は2,031億円(同70.1%減)となりました。
<貨物(ANAブランド)>国際線貨物では、新型コロナウイルスの影響により世界的に旅客便の運休・減便が発生し、貨物搭載スペースの供給量が低位に推移する中、第1四半期にマスク等の緊急物資の輸送需要が増加し、8月以降は自動車関連部品や半導体・電子機器等の需要の回復に加え、特に第4四半期(本年1月~3月)において海上輸送が混雑した結果、需給の逼迫は継続しました。このような状況において、当社グループでは、10月に成田=フランクフルト線、12月に成田=バンコク線に大型貨物機ボーイング777F型機を就航させた他、貨物専用機による臨時便や旅客機を使用した貨物臨時便を大幅に増やす等、積極的に需要の取り込みを図りました。
以上の結果、当期の国際線貨物輸送重量は655千トン(前期比24.4%減)となり、収入は過去最高の1,605億円(同56.3%増)となりました。
また、当社グループでは本年2月よりファイザー社製の新型コロナワクチンの輸送を開始しました。ワクチンの普及により安心して生活できる社会の実現に貢献すべく、厳密な温度管理のもと万全の態勢で輸送を行ってまいります。
LCCでは、新型コロナウイルスの影響により需要が大きく減退した結果、旅客数・収入ともに前期を大幅に下回りました。5月の緊急事態宣言解除以降、国内線の旅客需要は徐々に回復していたものの、感染者数の増加に伴い12月からは減少に転じています。
路線ネットワークでは、第1四半期の国内線の運航規模は前年同期比42.0%でしたが、旅客需要の増加に合わせたネットワークの回復に加えて、8月に成田=釧路線、成田=宮崎線、10月に新千歳=那覇線、仙台=那覇線、12月に中部=新千歳線、中部=仙台線を新規開設した結果、第2四半期(7月~9月)は同112.4%、第3四半期(10月~12月)は同132.2%となりました。第4四半期(本年1月~3月)には、本年1月に中部=那覇線、中部=石垣線、本年2月に成田=女満別線、成田=大分線を新規開設しましたが、旅客需要の減少に合わせて運休・減便を実施した結果、運航規模は前年同期比78.9%となりました。国際線では、全路線で運休が続いていましたが、入国制限の緩和等に伴い、10月より台北(桃園)への運航を部分的に再開しました。
営業・サービス面では、お客様に安心してご利用いただくために、11月から国内線の一部路線で航空券予約と新型コロナウイルス感染症の検査を同時に申込みできるサービスを実施しました。
以上の結果、当期のLCC旅客数は208万人(前期比71.4%減)となり、収入は220億円(同73.1%減)となりました。
<その他>航空事業におけるその他の収入は1,472億円(前期比34.8%減)となりました。なお、航空事業におけるその他には、マイレージ附帯収入、機内販売収入、整備受託収入等が含まれています。
◎航空関連事業
新型コロナウイルスの感染拡大による航空各社の運休・減便の影響により、旅客の搭乗受付や手荷物搭載等の空港地上支援業務の受託及び、機内食関連業務の受託が減少したこと等により、売上高は2,221億円(前期比25.8%減)となり、営業利益は36億円(同79.7%減)となりました。
コロナ禍における新たな取り組みとして、12月よりANA国際線エコノミークラスの機内食等のインターネット販売を開始しました。旅行気分を味わうことができる商品として好評をいただいており、商品ラインアップを拡充しながら増収に努めてまいります。
◎旅行事業
新型コロナウイルスの感染拡大により、旅行事業は海外旅行・国内旅行ともに大きな影響を受けました。海外旅行は渡航制限の影響により、当社グループが主催する全ツアーの催行を中止しました。国内旅行は7月からの「Go Toトラベルキャンペーン」の後押し等により、第3四半期(10月~12月)にはインターネット販売のダイナミックパッケージ商品の取扱高は前年同期を上回る等、需要は徐々に回復しましたが、感染者数増加の影響により12月からは減少に転じました。
以上の結果、当期の旅行事業における売上高は450億円(前期比68.7%減)、営業損失は50億円(前期 営業利益13億円)となりました。
新型コロナウイルスの影響が続く中、新たな需要を取り込むため、11月より「ANAトラベラーズ オンラインツアー」の設定を開始しました。また、当社グループならではの企画として、ハワイ路線に投入しているエアバスA380型機「FLYING HONU」を使用した国内遊覧飛行を実施した他、本年3月には羽田空港に駐機する国際線機材でファーストクラス・ビジネスクラスのお食事やサービスを提供する「翼のレストラン HANEDA」を開始しました。
◎商社事業
新型コロナウイルスの感染拡大により、リテール部門の空港免税店「ANA DUTY FREE SHOP」や空港物販店「ANA FESTA」を中心に大きく影響を受けました。「ANA FESTA」の取扱高は、国内線旅客数の増加に伴い徐々に回復していましたが、12月からは減少に転じています。また、生活産業部門では、機内で提供する飲料・食品やアメニティ等の機用品の取り扱いが大幅に減少しました。
以上の結果、当期の商社事業における売上高は799億円(前期比44.8%減)、営業損失は42億円(前期 営業利益29億円)となりました。
◎その他
不動産関連事業の収入が堅調に推移した一方で、新型コロナウイルスの影響により、ラウンジの閉鎖に伴う受付管理業務の受託が減少した他、講師派遣等の研修事業の収入が減少しました。
以上の結果、当期のその他の売上高は366億円(前期比17.1%減)、営業損失0億円(前期 営業利益35億円)となりました。
なお、4月に新たなビジネスモデルの創出を目的に「avatarin(アバターイン)㈱」を設立し、遠隔操作ロボットであるアバターを観光やショッピング等で利用するサービスの検証を実施しました。サービスの普及・拡充やアバターの性能向上に取り組み、新しい社会インフラを創造してまいります。
③キャッシュ・フローの状況
<営業活動によるキャッシュ・フロー>税金等調整前当期純損失5,453億円に減価償却費等の非資金項目、営業活動に係る債権・債務の加減算を行った結果、営業活動によるキャッシュ・フローは2,704億円の支出となりました。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>設備投資を抑制したものの、譲渡性預金の預け入れを行ったことから、投資活動によるキャッシュ・フローは5,957億円の支出となりました。
以上の結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは8,662億円の支出となりました。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>借入や公募及び第三者割当増資等の資金調達を行ったことから、財務活動によるキャッシュ・フローは1兆981億円の収入となりました。
④資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、運転資金及び設備投資資金(主に航空機等)につきましては、自己資金または銀行借入、および社債発行により資金調達することとしており、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。
当期においては、運転資金及び航空機等の設備投資資金手当てのため5,356億円の借入を実施した他、事業構造改革の加速並びに財務基盤の強化等を目的として、2,976億円の公募及び第三者割当増資と、4,000億円の劣後特約付シンジケートローンの借入を実施しました。
当期末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は、1兆6,554億円となっています。また、現金及び預金に有価証券を加えた手元流動性は9,657億円となりました。
なお、2021年3月31日現在、複数の金融機関との間で合計1,486億円のコミットメントライン契約を締結しています。
⑤経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
当社グループは、新型コロナウイルス感染症の拡大により甚大な影響を受けておりますが、「ANAグループの新しいビジネス・モデルへの変革」に基づき、コロナがもたらす人々の行動変容に対応し、感染症の再来にも耐え得る強靭な企業グループに生まれ変わるための事業構造改革プランを着実に遂行してまいります。
⑥重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」 及び「(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
当連結会計年度(2020年4月1日~2021年3月31日、以下「当期」という)における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当期のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況にある中、企業の生産活動や設備投資等において持ち直しの動きが続いていますが、個人消費等の弱さがみられます。
航空業界は、各国の入国規制や外出自粛等により人の移動が激減したことから世界的に厳しい状況にあります。
このような経済情勢の下、当社においても売上高が大きく減少したことから、民間金融機関及び日本政策投資銀行から、合計9,350億円規模の借入を実施した他、公募及び第三者割当増資(2,976億円)により、合計1兆2,000億円以上の資金調達を実施し、手元資金の確保と財務基盤の強化を図りました。コスト面においては、運航規模の抑制による変動費の削減に加え、固定費についてもあらゆるコスト削減策を実行しましたが、売上高の減少が非常に大きかったことから、多額の損失を計上しました。
以上の結果、当期の財政状態及び経営成績等は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当期末の資産合計は、前期末に比べ6,477億円増加し、3兆2,078億円となりました。
当期末の負債合計は、前期末に比べ7,042億円増加し、2兆1,955億円となりました。
当期末の純資産合計は、前期末に比べ565億円減少し、1兆123億円となりました。
b.経営成績
当期における売上高は7,286億円(前期比63.1%減)、営業費用は1兆1,934億円(前期比37.6%減)となり、営業損失は4,647億円(前年同期 営業利益608億円)、経常損失は4,513億円(前年同期 経常利益593億円)、親会社株主に帰属する当期純損失は4,046億円(前年同期 親会社株主に帰属する当期純利益276億円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは2,704億円の支出となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは5,957億円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは1兆981億円の収入となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前期末に比べて2,343億円増加し、3,703億円となりました。
③生産及び販売の実績
a.セグメント別売上高
最近2連結会計年度のセグメント別売上高は次のとおりです。
| 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | |||
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 構成比(%) | 金額(百万円) | 構成比(%) |
| 航空事業 | ||||
| 国際線 | ||||
| 旅客収入 | 613,908 | 25.9 | 44,726 | 4.5 |
| 貨物収入 | 102,697 | 4.3 | 160,503 | 16.2 |
| 郵便収入 | 4,764 | 0.2 | 2,948 | 0.3 |
| 小計 | 721,369 | 30.4 | 208,177 | 21.0 |
| 国内線 | ||||
| 旅客収入 | 679,962 | 28.7 | 203,119 | 20.6 |
| 貨物収入 | 25,533 | 1.1 | 20,881 | 2.1 |
| 郵便収入 | 3,136 | 0.1 | 2,550 | 0.3 |
| 小計 | 708,631 | 29.9 | 226,550 | 23.0 |
| 航空事業収入合計 | 1,430,000 | 60.3 | 434,727 | 44.0 |
| LCC収入 | 81,953 | 3.5 | 22,071 | 2.2 |
| その他の収入 | 225,784 | 9.5 | 147,216 | 14.9 |
| 航空事業小計 | 1,737,737 | 73.3 | 604,014 | 61.1 |
| 航空関連事業 | ||||
| 航空関連収入 | 299,433 | 12.6 | 222,139 | 22.5 |
| 航空関連事業小計 | 299,433 | 12.6 | 222,139 | 22.5 |
| 旅行事業 | ||||
| パッケージ商品収入(国内) | 112,711 | 4.8 | 38,530 | 3.9 |
| パッケージ商品収入(国際) | 20,925 | 0.9 | 492 | 0.1 |
| その他の収入 | 10,360 | 0.4 | 6,028 | 0.6 |
| 旅行事業小計 | 143,996 | 6.1 | 45,050 | 4.6 |
| 商社事業 | ||||
| 商社事業収入 | 144,750 | 6.1 | 79,958 | 8.1 |
| 商社事業小計 | 144,750 | 6.1 | 79,958 | 8.1 |
| 報告セグメント計 | 2,325,916 | 98.1 | 951,161 | 96.3 |
| その他 | ||||
| その他の収入 | 44,223 | 1.9 | 36,643 | 3.7 |
| その他小計 | 44,223 | 1.9 | 36,643 | 3.7 |
| 営業収入合計 | 2,370,139 | 100.0 | 987,804 | 100.0 |
| セグメント間取引 | △395,923 | - | △259,121 | - |
| 営業収入(連結) | 1,974,216 | - | 728,683 | - |
(注)1.セグメント内の内訳は内部管理上採用している区分によっています。
2.各セグメントの営業収入はセグメント間の売上高を含みます。
3.LCC収入は、Peach Aviation㈱及びバニラ・エア㈱の収入の合計です。なお、バニラ・エア㈱はPeach Aviation㈱との事業統合のため、2019年10月に運航終了しており、前期の収入のみ含まれます。
4.上記の金額には、消費税等は含みません。
b.セグメント別取扱実績
① 航空事業
イ.ANAブランド輸送実績
最近2連結会計年度の輸送実績は次のとおりです。
| 項目 | 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | |
| 国際線 | |||
| 旅客数 | (人) | 9,416,415 | 427,392 |
| 座席キロ | (千席キロ) | 68,885,746 | 14,465,583 |
| 旅客キロ | (千人キロ) | 50,219,355 | 2,840,451 |
| 利用率 | (%) | 72.9 | 19.6 |
| 有効貨物トンキロ | (千トンキロ) | 7,354,438 | 4,588,226 |
| 貨物輸送重量 | (トン) | 866,821 | 655,019 |
| 貨物トンキロ | (千トンキロ) | 4,222,117 | 3,251,280 |
| 郵便輸送重量 | (トン) | 22,065 | 13,686 |
| 郵便トンキロ | (千トンキロ) | 120,449 | 71,766 |
| 貨物重量利用率 | (%) | 59.0 | 72.4 |
| 国内線 | |||
| 旅客数 | (人) | 42,916,334 | 12,660,650 |
| 座席キロ | (千席キロ) | 58,552,753 | 26,896,624 |
| 旅客キロ | (千人キロ) | 39,502,036 | 11,567,744 |
| 利用率 | (%) | 67.5 | 43.0 |
| 有効貨物トンキロ | (千トンキロ) | 1,705,379 | 708,266 |
| 貨物輸送重量 | (トン) | 373,176 | 218,032 |
| 貨物トンキロ | (千トンキロ) | 387,038 | 240,422 |
| 郵便輸送重量 | (トン) | 29,308 | 23,458 |
| 郵便トンキロ | (千トンキロ) | 29,030 | 23,203 |
| 貨物重量利用率 | (%) | 24.4 | 37.2 |
ロ.ANAブランド運航実績
最近2連結会計年度の運航実績は次のとおりです。
| 項目 | 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | ||
| 国際線 | 国内線 | 国際線 | 国内線 | |
| 運航回数(回) | 66,733 | 380,575 | 26,632 | 212,145 |
| 飛行距離(km) | 317,940,700 | 323,310,351 | 146,710,038 | 178,966,221 |
| 飛行時間(時間) | 427,721 | 565,397 | 191,600 | 306,540 |
(注)1.国内線旅客実績には、アイベックスエアラインズ㈱、㈱AIRDO、㈱ソラシドエア及び㈱スターフライヤーとのコードシェア便実績及びオリエンタルエアブリッジ㈱との一部のコードシェア便実績を含みます。
2.国内線、国際線ともに不定期便実績を除きます。
3.国際線貨物及び郵便実績には、コードシェア便実績、エアラインチャーター便実績、ブロック・スペース契約締結便実績及び地上輸送実績を含みます。
4.国内線貨物及び郵便実績には、㈱AIRDO、㈱ソラシドエア、オリエンタルエアブリッジ㈱及び㈱スターフライヤーとのコードシェア便実績、エアラインチャーター便実績及び地上輸送実績を含みます。また、2020年 11月1日からPeach Aviation㈱とのコードシェア便実績を含みます。
5.座席キロは、各路線各区間の有効座席数(席)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。
6.旅客キロは、各路線各区間の旅客数(人)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。
7.有効貨物トンキロは、各路線各区間の有効貨物重量(トン)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。なお、旅客便については、床下貨物室(ベリー)の有効貨物重量に各区間距離を乗じています。また、床下貨物室の有効貨物重量には、貨物・郵便の他、搭乗旅客から預かる手荷物搭載の有効搭載重量も含まれています。
8.貨物トンキロ及び郵便トンキロは、各路線各区間の輸送重量(トン)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。
9.貨物重量利用率は、貨物トンキロと郵便トンキロの合計を有効貨物トンキロで除した数値です。
ハ.LCC輸送実績
最近2連結会計年度の輸送実績は次のとおりです。
| 項目 | 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | |
| 旅客数 | (人) | 7,288,641 | 2,080,931 |
| 座席キロ | (千席キロ) | 11,076,179 | 4,932,786 |
| 旅客キロ | (千人キロ) | 9,202,033 | 2,403,357 |
| 利用率 | (%) | 83.1 | 48.7 |
(注)1.座席キロは、各路線各区間の有効座席数(席)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。
2.旅客キロは、各路線各区間の旅客数(人)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。
3.LCC実績は、Peach Aviation㈱及びバニラ・エア㈱の実績の合計です。なお、バニラ・エア㈱はPeach Aviation㈱との事業統合のため、2019年10月に運航終了しており、前期の実績のみ含まれます。
② 航空関連事業
航空関連事業に含まれる連結子会社の取扱状況等については、構成する各種事業が多岐にわたり、かつ重要性の観点から開示しておりません。
③ 旅行事業
旅行事業に含まれる連結子会社の取扱状況等については、構成する各種事業が多岐にわたり、かつ重要性の観点から開示しておりません。
④ 商社事業
商社事業に含まれる連結子会社の取扱状況等については、構成する各種事業が多岐にわたり、かつ重要性の観点から開示しておりません。
⑤ その他
その他に含まれる連結子会社の取扱状況等については、構成する各種事業が多岐にわたり、かつ重要性の観点から開示しておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当期末時点において判断したものです。
①財政状態
<資産の部>流動資産は、資金調達により現預金や譲渡性預金が増加したことから、前期末に比べて6,551億円増加し、1兆2,263億円となりました。
固定資産は、売却および減損損失の計上に伴い航空機が減少したこと等により、前期末に比べ86億円減少し、1兆9,795億円となりました。
以上により、当期末における総資産は前期末に比べて6,477億円増加し、3兆2,078億円となりました。
<負債の部>負債合計は、発売未決済が671億円減少した一方で、資金調達により借入金が増加したことから、前期末に比べて7,042億円増加し、2兆1,955億円となりました。
なお、有利子負債は前期末に比べて8,125億円増加し、1兆6,554億円となりました。
<純資産の部>株主資本は、事業構造改革の加速や財務基盤の強化等を目的とした公募及び第三者割当増資により、資本金及び資本剰余金が合計2,976億円増加した一方で、当期純損失の計上により利益剰余金が減少したことから、前期末に比べて1,079億円減少し、9,606億円となりました。
その他の包括利益累計額はその他有価証券評価差額金や繰延ヘッジ損益の増加等により、前期末に比べて541億円増加し、465億円となりました。
これらの結果、純資産合計は前期末に比べて565億円減少し、1兆123億円となりました。
なお、自己資本比率は31.4%(前期末41.4%)となり、有利子負債と自己資本の比率を示すD/Eレシオは1.6倍(前期末0.8倍)となりました。
②経営成績
新型コロナウイルス感染症の影響により、航空事業を中心にすべてのセグメントで甚大な影響を受けたことから、当期の売上高は大幅に減少し、7,286億円(前期比63.1%減)となりました。運航規模の抑制による変動費の削減に加え、人件費等の固定費を削減し5,900億円のコスト削減策(雇用調整助成金434億円の効果を含む)を実行しましたが、売上高の減少が非常に大きかったことから、営業損失は4,647億円(前期 営業利益608億円)、経常損失は4,513億円(前期 経常利益593億円)、親会社株主に帰属する当期純損失は4,046億円(前期 親会社株主に帰属する当期純利益276億円)となりました。なお、収支改善を進めるために、大型機を中心とした早期退役(28機)を含む航空機の大量退役を実施し、減損損失等の事業構造改革費用863億円を特別損失に計上しました。
当社は、事業における安全と品質の追求や環境効率性の追求等の取り組みが評価され、米国S&P Global社の「Sustainability Awards 2021」において、最高格付であるゴールドクラスに航空会社として唯一選定された他、世界の代表的な社会的責任投資の指標である「Dow Jones Sustainability World Index」の構成銘柄に4年連続で選定されました。今後も社会的価値と経済的価値の同時創造による持続的な成長を目指してまいります。
セグメントごとの経営成績は次のとおりです。(なお、各事業における売上高はセグメント間内部売上高を含み、営業利益はセグメント利益に該当します。)
◎航空事業
新型コロナウイルスの世界的な流行により、旅行需要が著しく減退し、売上高は前期を大幅に下回り6,040億円(前期比65.2%減)となりました。国内線では旅客需要は徐々に回復に向かっていたものの、感染者数の増加に伴い12月からは再び減少に転じました。国際線では旅客需要の低迷が続く一方で、貨物においては経済活動の再開や海上輸送の混雑等によって高まった需要を積極的に取り込んだ結果、貨物収入は過去最高となりました。当社グループでは、需要の減退に合わせて運航規模を大幅に抑制し燃油費・空港使用料等を削減した他、役員報酬や給与・一時金等の人件費の削減に取り組みましたが、営業損失は4,478億円(前期 営業利益495億円)となりました。
当社グループでは、コロナ禍においてもお客様に航空機をより安心・安全にご利用いただくために、空港や機内等の清潔・衛生的な環境づくりに対する取り組み(ANA Care Promise等)を行ってまいりました。その結果、英国SKYTRAX社から新型コロナウイルス対策において最高評価の「5スター」に認定されました。また、当社グループでは、過去10年間における様々な取り組みが評価され、英国の航空専門誌Flight Global社における「Decade of Airline Excellence Awards 2020」のアジア太平洋部門で「最優秀賞」を受賞しました。
<国際線旅客(ANAブランド)>国際線旅客では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う世界各国での入国規制により、需要が著しく低迷したことで旅客数・収入ともに前期を大幅に下回りました。
路線ネットワークでは、大規模な運休・減便を継続する中でも、海外赴任・帰任等の需要動向を見極め、運航継続路線の選択や臨時便の設定等に努めました。また、貨物輸送を中心に需要が一定程度見込まれることから、12月から日本の航空会社として初めて成田=深圳線を開設した他、羽田=サンフランシスコ線の運航を開始しました。この結果、当期における運航規模は前期比で21.0%となりました。
営業・サービス面では、8月から日本発片道割引運賃を販売し、海外赴任や留学等の需要の取り込みを図った他、本年1月より、帰国時の行動制限に際してご利用いただけるホテルや交通手段を容易に手配できる「ご帰国あんしんサービス」サイトを新設しました。
以上の結果、当期の国際線旅客数は42万人(前期比95.5%減)となり、収入は447億円(同92.7%減)となりました。
<国内線旅客(ANAブランド)>国内線旅客では、新型コロナウイルスの影響を大きく受け、旅客数・収入ともに前期を大幅に下回りました。5月の緊急事態宣言解除以降、需要は回復傾向にありましたが、12月から感染者数の増加に伴い再び減少に転じる等、感染者数の動向に連動して推移しました。
路線ネットワークでは、第1四半期の運航規模は前年同期比26.7%でしたが、需要の回復に合わせて運航便数を増やし、第2四半期(7月~9月)は同50.7%、第3四半期(10月~12月)は「Go Toトラベルキャンペーン」の効果もあり同61.4%となりました。しかし、第4四半期(本年1月~3月)は需要の減退に対して運航便を抑制した結果、同44.7%となる等、需要動向を注視しながら機動的に運航規模を調整しました。
営業・サービス面では、7月から日程や行先の変更の際に手数料がかからない「あんしん変更キャンペーン」を実施した他、MaaS(Mobility as a Service)に対応した当社グループ独自の経路検索サービスである「空港アクセスナビ」において、航空便の運航情報と連携した鉄道やバス・タクシー等の地上交通機関の経路の検索から予約・決済まで一気通貫して行える機能を拡充しました。今後も旅の始まりから終わりまでのシームレスな移動の実現に向けた取り組みを進め、利便性向上に努めてまいります。
以上の結果、当期の国内線旅客数は1,266万人(前期比70.5%減)となり、収入は2,031億円(同70.1%減)となりました。
<貨物(ANAブランド)>国際線貨物では、新型コロナウイルスの影響により世界的に旅客便の運休・減便が発生し、貨物搭載スペースの供給量が低位に推移する中、第1四半期にマスク等の緊急物資の輸送需要が増加し、8月以降は自動車関連部品や半導体・電子機器等の需要の回復に加え、特に第4四半期(本年1月~3月)において海上輸送が混雑した結果、需給の逼迫は継続しました。このような状況において、当社グループでは、10月に成田=フランクフルト線、12月に成田=バンコク線に大型貨物機ボーイング777F型機を就航させた他、貨物専用機による臨時便や旅客機を使用した貨物臨時便を大幅に増やす等、積極的に需要の取り込みを図りました。
以上の結果、当期の国際線貨物輸送重量は655千トン(前期比24.4%減)となり、収入は過去最高の1,605億円(同56.3%増)となりました。
また、当社グループでは本年2月よりファイザー社製の新型コロナワクチンの輸送を開始しました。ワクチンの普及により安心して生活できる社会の実現に貢献すべく、厳密な温度管理のもと万全の態勢で輸送を行ってまいります。
路線ネットワークでは、第1四半期の国内線の運航規模は前年同期比42.0%でしたが、旅客需要の増加に合わせたネットワークの回復に加えて、8月に成田=釧路線、成田=宮崎線、10月に新千歳=那覇線、仙台=那覇線、12月に中部=新千歳線、中部=仙台線を新規開設した結果、第2四半期(7月~9月)は同112.4%、第3四半期(10月~12月)は同132.2%となりました。第4四半期(本年1月~3月)には、本年1月に中部=那覇線、中部=石垣線、本年2月に成田=女満別線、成田=大分線を新規開設しましたが、旅客需要の減少に合わせて運休・減便を実施した結果、運航規模は前年同期比78.9%となりました。国際線では、全路線で運休が続いていましたが、入国制限の緩和等に伴い、10月より台北(桃園)への運航を部分的に再開しました。
営業・サービス面では、お客様に安心してご利用いただくために、11月から国内線の一部路線で航空券予約と新型コロナウイルス感染症の検査を同時に申込みできるサービスを実施しました。
以上の結果、当期のLCC旅客数は208万人(前期比71.4%減)となり、収入は220億円(同73.1%減)となりました。
<その他>航空事業におけるその他の収入は1,472億円(前期比34.8%減)となりました。なお、航空事業におけるその他には、マイレージ附帯収入、機内販売収入、整備受託収入等が含まれています。
◎航空関連事業
新型コロナウイルスの感染拡大による航空各社の運休・減便の影響により、旅客の搭乗受付や手荷物搭載等の空港地上支援業務の受託及び、機内食関連業務の受託が減少したこと等により、売上高は2,221億円(前期比25.8%減)となり、営業利益は36億円(同79.7%減)となりました。
コロナ禍における新たな取り組みとして、12月よりANA国際線エコノミークラスの機内食等のインターネット販売を開始しました。旅行気分を味わうことができる商品として好評をいただいており、商品ラインアップを拡充しながら増収に努めてまいります。
◎旅行事業
新型コロナウイルスの感染拡大により、旅行事業は海外旅行・国内旅行ともに大きな影響を受けました。海外旅行は渡航制限の影響により、当社グループが主催する全ツアーの催行を中止しました。国内旅行は7月からの「Go Toトラベルキャンペーン」の後押し等により、第3四半期(10月~12月)にはインターネット販売のダイナミックパッケージ商品の取扱高は前年同期を上回る等、需要は徐々に回復しましたが、感染者数増加の影響により12月からは減少に転じました。
以上の結果、当期の旅行事業における売上高は450億円(前期比68.7%減)、営業損失は50億円(前期 営業利益13億円)となりました。
新型コロナウイルスの影響が続く中、新たな需要を取り込むため、11月より「ANAトラベラーズ オンラインツアー」の設定を開始しました。また、当社グループならではの企画として、ハワイ路線に投入しているエアバスA380型機「FLYING HONU」を使用した国内遊覧飛行を実施した他、本年3月には羽田空港に駐機する国際線機材でファーストクラス・ビジネスクラスのお食事やサービスを提供する「翼のレストラン HANEDA」を開始しました。
◎商社事業
新型コロナウイルスの感染拡大により、リテール部門の空港免税店「ANA DUTY FREE SHOP」や空港物販店「ANA FESTA」を中心に大きく影響を受けました。「ANA FESTA」の取扱高は、国内線旅客数の増加に伴い徐々に回復していましたが、12月からは減少に転じています。また、生活産業部門では、機内で提供する飲料・食品やアメニティ等の機用品の取り扱いが大幅に減少しました。
以上の結果、当期の商社事業における売上高は799億円(前期比44.8%減)、営業損失は42億円(前期 営業利益29億円)となりました。
◎その他
不動産関連事業の収入が堅調に推移した一方で、新型コロナウイルスの影響により、ラウンジの閉鎖に伴う受付管理業務の受託が減少した他、講師派遣等の研修事業の収入が減少しました。
以上の結果、当期のその他の売上高は366億円(前期比17.1%減)、営業損失0億円(前期 営業利益35億円)となりました。
なお、4月に新たなビジネスモデルの創出を目的に「avatarin(アバターイン)㈱」を設立し、遠隔操作ロボットであるアバターを観光やショッピング等で利用するサービスの検証を実施しました。サービスの普及・拡充やアバターの性能向上に取り組み、新しい社会インフラを創造してまいります。
③キャッシュ・フローの状況
<営業活動によるキャッシュ・フロー>税金等調整前当期純損失5,453億円に減価償却費等の非資金項目、営業活動に係る債権・債務の加減算を行った結果、営業活動によるキャッシュ・フローは2,704億円の支出となりました。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>設備投資を抑制したものの、譲渡性預金の預け入れを行ったことから、投資活動によるキャッシュ・フローは5,957億円の支出となりました。
以上の結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは8,662億円の支出となりました。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>借入や公募及び第三者割当増資等の資金調達を行ったことから、財務活動によるキャッシュ・フローは1兆981億円の収入となりました。
④資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、運転資金及び設備投資資金(主に航空機等)につきましては、自己資金または銀行借入、および社債発行により資金調達することとしており、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。
当期においては、運転資金及び航空機等の設備投資資金手当てのため5,356億円の借入を実施した他、事業構造改革の加速並びに財務基盤の強化等を目的として、2,976億円の公募及び第三者割当増資と、4,000億円の劣後特約付シンジケートローンの借入を実施しました。
当期末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は、1兆6,554億円となっています。また、現金及び預金に有価証券を加えた手元流動性は9,657億円となりました。
なお、2021年3月31日現在、複数の金融機関との間で合計1,486億円のコミットメントライン契約を締結しています。
⑤経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
| 指標 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 |
| 売上高 (百万円) | 2,058,312 | 1,974,216 | 728,683 |
| 営業利益又は営業損失(△)(百万円) | 165,019 | 60,806 | △464,774 |
| 売上高営業利益率 (%) | 8.0 | 3.1 | △63.8 |
| 株主資本利益率(ROE) (%) | 10.6 | 2.6 | △39.1 |
| 総資本利益率(ROA)(%) | 6.4 | 2.4 | △16.0 |
| 自己資本比率 (%) | 40.9 | 41.4 | 31.4 |
当社グループは、新型コロナウイルス感染症の拡大により甚大な影響を受けておりますが、「ANAグループの新しいビジネス・モデルへの変革」に基づき、コロナがもたらす人々の行動変容に対応し、感染症の再来にも耐え得る強靭な企業グループに生まれ変わるための事業構造改革プランを着実に遂行してまいります。
⑥重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」 及び「(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。