四半期報告書-第99期第3四半期(2022/10/01-2022/12/31)
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①財政状態
当第3四半期連結会計期間末の資産は、前連結会計年度末に比べ3,513億円増加し、13兆2,048億円となった。これは、売掛金が増加したことなどによるものである。
当第3四半期連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末に比べ8,545億円増加し、10兆4,858億円となった。これは、原子力損害賠償引当金が増加したことなどによるものである。
当第3四半期連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べ5,032億円減少し、2兆7,189億円となった。これは、親会社株主に帰属する四半期純損失を計上したことなどによるものである。この結果、自己資本比率は20.4%と前連結会計年度末に比べ4.5ポイント低下した。
②経営成績
当第3四半期連結累計期間の経常損失は、グループ全社を挙げた収支改善に努めたものの、株式会社JERAにおける燃料費調整制度の期ずれ影響が悪化したことや、燃料・卸電力市場価格の高騰などによる電気調達費用が増加したことなどにより、3,538億円(前年同四半期は722億円の経常利益)となった。
また、特別利益に固定資産売却益627億円や関係会社株式売却益1,233億円を計上した一方、特別損失に原子力損害賠償費4,837億円を計上したことから、親会社株主に帰属する四半期純損益は6,509億円の損失(前年同四半期は98億円の利益)となった。
当第3四半期連結累計期間における各セグメントの業績(セグメント間取引消去前)は次のとおりである。
[ホールディングス]
売上高は、前年同四半期比3.5%増の3,783億円となり、経常利益は、基幹事業会社からの受取配当金の減少などにより、前年同四半期比34.1%減の474億円となった。
[フュエル&パワー]
売上高は、前年同四半期比24.5%減の29億円となり、経常損失は、株式会社JERAにおける燃料費調整制度の期ずれ影響が悪化したことなどにより、815億円(前年同四半期は93億円の損失)となった。
[パワーグリッド]
売上高は、前年同四半期比39.4%増の1兆8,626億円となり、経常利益は、燃料価格の高騰などによる電気調達費用が大幅に増加したことなどにより、前年同四半期比29.6%減の1,150億円となった。
[エナジーパートナー]
売上高は、前年同四半期比54.5%増の4兆4,667億円となり、経常損失は、燃料・卸電力市場価格の高騰などによる電気調達費用が大幅に増加したことなどにより、3,689億円(前年同四半期は423億円の損失)となった。
[リニューアブルパワー]
売上高は、前年同四半期比7.2%増の1,256億円となり、経常利益は、卸電力販売が増加したことなどにより、前年同四半期比26.7%増の513億円となった。
(2) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はない。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、新たに発生した課題はない。
また、前事業年度の有価証券報告書に記載した課題のうち、見直しを行った項目は次のとおりである。
以下の見出しに付された項目番号は、前事業年度の有価証券報告書における「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境及び対処すべき課題等」の項目番号に対応している。
本項においては、将来に関する事項が含まれているが、当該事項は提出日現在において判断したものである。
②優先的に対処すべき課題
[ホールディングス]
<福島事業>ハ.ALPS処理水の扱い
ALPS処理水の扱いについては、ALPS処理水希釈放出設備及び関連施設の基本設計等について、原子力規制委員会より「福島第一原子力発電所特定原子力施設に係る実施計画変更認可申請書」の許可をいただいた。
引き続き、国際原子力機関のレビューなどに真摯に対応するとともに、関係者の皆さまの理解醸成に向けて、丁寧な説明を積み重ねていく。
加えて、風評影響を受けうる産業の生産・加工・流通・消費の各段階への取り組みの強化・拡充等をすすめ、それらの対策を講じてもなお起こりうる風評被害への賠償については、関係する方々のご意見を丁寧にお伺いしながら、適切に対応していく。
<経済事業>ニ.原子力発電事業の取り組み
当社は、核物質防護の不適切な事案と安全対策工事の一部未完了の事案から、リスク認識の弱さ、現場実態把握の弱さ、組織として是正する力の弱さ、及び、組織間連携や当社と企業間の連携不足といった弱さを抽出した。抽出された弱さを解消するための取り組みとして、プロジェクトを完遂するための体制・システムの導入や核物質防護強化のためのリソースの拡充・質の向上を進めている。
また、これらを足元から将来にわたって支えるとともに、本社と発電所が一体となり、地域や社会から信頼される組織や企業文化を醸成するために、柏崎刈羽原子力発電所に必要な本社機能の移転を進めている。具体的には2022年5月までに発電所の運営に必要となる機能と要員の柏崎市内への移転を完了しており、今後は発電所の状況変化に合わせて、2026年度までに職住環境を整備し、順次300名規模の社員を柏崎駅周辺、発電所構内に移転していく計画である。
そのほか、発電所経営層と所員との対話や、さまざまな分野の専門知識を有する外部人財を積極的に採用するなどの取り組みを進めている。
安定供給の継続に加え、カーボンニュートラルの実現に向けて、ゼロエミッション電源である原子力発電は重要な電源の一つと考えており、原子力事業者として信頼していただけるよう、原子力改革を継続し、信頼の回復に努めていく。
[エナジーパートナー]
ロ.燃料価格高騰を受けた対応
当社グループは、お客さまに電力を安定的にお届けするよう取り組んでいるが、昨今の世界的な資源価格の高騰を背景とした事業環境下において、東京電力エナジーパートナー株式会社(以下「東電EP」という。)は、経営合理化では追いつかないほどの燃料・卸電力市場価格の高騰によって、費用が収入を上回っている状態となっており、財務体質が年々悪化している。
こうした状況を踏まえ、東電EPの当面の財務基盤を立て直すことを目的として、当社を引受先とする2,000億円の増資を決議し、東電EPに対し2022年10月26日に払込を行った。また、東電EPにおいて、特に卸電力市場価格の影響が大きい「特別高圧・高圧」のお客さまを対象とした電気料金を2023年4月より見直すこととした。
しかしながら、引き続き燃料・卸電力市場価格は高水準で推移する見通しであり、2023年3月期の東電EPの収支は、約5,050億円の経常赤字となる見通しである。これを踏まえ、改めて東電EPの財務基盤の立て直しが必要と判断し、当社を引受先とする3,000億円の追加増資を決議し、東電EPに対し2023年1月30日に払込を行った。
こうした状況は、安定供給に支障をきたすことになりかねず、経営合理化などの経営努力だけでは克服が困難なことから、2023年1月23日、東電EPは、経済産業大臣へ「低圧」のお客さまを対象とした規制料金について2023年6月1日からの値上げを申請させていただいた。低圧自由料金についても、規制料金と同時期から値上げをさせていただく。
一方、東電EPは2022年10月28日に閣議決定された「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」に基づき、お客さまのご負担軽減を直接的に実現すべく、「電気・ガス価格激変緩和対策事業」(以下、「本事業」という。)に参加申請するとともに、特定小売供給約款における電気料金の特別措置の設定を経済産業大臣に申請した。東電EPは、本事業における電気・ガスの事業者として、2022年12月15日までに採択され、12月16日には経済産業大臣より、特定小売供給約款における電気料金の特別措置の認可を受けた。これに伴い、国からの補助金を受けながら、2023年1月使用(2月検針)分以降の電気・ガス料金において、国が定める値引き単価により、電気・ガスのご使用量に応じた値引きを行う。
加えて、お客さまの電気料金のご負担を軽減する節電における取り組みとして、法人向けには、省エネ・節電を促進するプランの新設や空調設備の洗浄サポート等の支援を、家庭向けには、既に実施している「TEPCO省エネプログラム2022」の拡充として、前年同月の電気使用量と比較し、節電電力量に応じてポイントを進呈する取り組みや、ご家庭のエアコン洗浄を支援するキャンペーンも実施している。また、来年度(2023年度)からは、カーボンニュートラル社会の実現に資する機器等の導入支援を実施していく。
以上の取り組み等により、お客さまに電力を安定的にお届けできるよう最大限努力していく。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、7,941百万円である。
なお、当第3四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はない。
(5) 生産及び販売の実績
当社グループは、原子力発電等を行う「ホールディングス」、火力発電等を行う「フュエル&パワー」、送電・変電・配電による電力の供給等を行う「パワーグリッド」、電気の販売等を行う「エナジーパートナー」及び再生可能エネルギー発電等を行う「リニューアブルパワー」の5つのセグメントがコスト意識を高めるとともに自発的に収益拡大に取り組みつつ、一体となって電気事業を運営している。加えて、電気事業が連結会社の事業の大半を占めており、また、電気事業以外の製品・サービスは多種多様であり、受注生産形態をとらない製品も少なくないため、生産及び販売の実績については、電気事業のみを記載している。
なお、電気事業については、販売電力量を四半期ごとに比較すると、冷暖房需要によって販売電力量が増加する第2四半期・第4四半期と比べて、第1四半期・第3四半期の販売電力量は相対的に低水準となる特徴がある。
① 発電実績
(注)1.上記発電実績には、連結子会社の一部を含んでいる。
2.2019年4月1日付けで㈱JERAが承継会社となり、東京電力フュエル&パワー㈱の燃料受入・貯蔵・送ガス事業及び既存火力発電事業等を吸収分割により承継させた。これにより、火力発電電力量は東京電力パワーグリッド㈱の離島における発電電力量である。
② 販売実績
(a) 総販売電力量
(注) 連結子会社の一部を含んでいる。
(b) 電気料収入
(注)1.連結子会社の一部を含んでいる。
2.電気料収入は小売販売電力量に相当する。
(c) 託送収入
(注) 東京電力パワーグリッド株式会社におけるセグメント間取引消去前の託送収入である。
③ 託送供給料金
東京電力パワーグリッド株式会社は、2022年12月27日、電気事業法第18条第1項に規定された「託送供給等約款」の認可申請(電気事業法第17条の2第1項の規定により2022年12月23日に経済産業大臣から承認された2023~2027年度のレベニューキャップ制度第1規制期間における「託送供給等に係る収入の見通し」に基づく新たな料金を設定)を経済産業大臣に行い、2023年1月27日に経済産業大臣の認可を受け、2023年4月1日から実施する。
主要託送供給料金は下記のとおりである。
託送供給料金表
(注)1.上記契約種別のほか、臨時接続送電サービス、発電量調整受電計画差対応電力、接続対象計画差対応電力、
需要抑制量調整受電計画差対応電力、給電指令時補給電力がある。
2.SBとは、電流制限器又はその他適当な電流を制限する装置。
3.時間帯別接続送電サービスにおける「昼間時間」とは、毎日午前8時から午後10時までの時間をいい、「夜間時間」とは、「昼間時間」以外の時間をいう。ただし、日曜日、祝日(「国民の祝日に関する法律」に規定する休日)及び1月2日・3日、4月30日、5月1日・2日、12月30日・31日は、全日「夜間時間」扱いとする。
4.近接性評価割引とは、近接性評価地域に立地する発電場所における発電設備等を維持し、及び運用する発電契約者から当該発電設備等に係る電気を受電し、接続供給を利用する場合に行う割引をいう。
5.2016年3月31日までに近接性評価割引対象とされていた地域において、受電電圧が標準電圧6,000V以上であり、かつ、現に割引の適用を受けている電源についても、暫定的に、引き続き割引くこととし、受電電圧が標準電圧140,000Vをこえる場合の単価を適用する。
(6) 設備の状況
前連結会計年度末において計画中であった主要な設備の新設、除却等について、当第3四半期連結累計期間に重要な変更はない。また、当第3四半期連結累計期間に新たに確定した主要な設備の新設、除却等の計画はない。
なお、前連結会計年度末における主要な設備の新設等の計画の当第3四半期連結累計期間の完了分は、次のとおりである。
(送電設備)
(変電設備)
(注)1. 新木更津変電所の変電設備の出力は4,800MVAとなった。
2. 南多摩変電所の変電設備の出力は1,100MVAとなった。
3. 新栃木変電所の変電設備の出力は4,750MVAとなった。
4. 東山梨変電所の変電設備の出力は2,250MVAとなった。
①財政状態
当第3四半期連結会計期間末の資産は、前連結会計年度末に比べ3,513億円増加し、13兆2,048億円となった。これは、売掛金が増加したことなどによるものである。
当第3四半期連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末に比べ8,545億円増加し、10兆4,858億円となった。これは、原子力損害賠償引当金が増加したことなどによるものである。
当第3四半期連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べ5,032億円減少し、2兆7,189億円となった。これは、親会社株主に帰属する四半期純損失を計上したことなどによるものである。この結果、自己資本比率は20.4%と前連結会計年度末に比べ4.5ポイント低下した。
②経営成績
当第3四半期連結累計期間の経常損失は、グループ全社を挙げた収支改善に努めたものの、株式会社JERAにおける燃料費調整制度の期ずれ影響が悪化したことや、燃料・卸電力市場価格の高騰などによる電気調達費用が増加したことなどにより、3,538億円(前年同四半期は722億円の経常利益)となった。
また、特別利益に固定資産売却益627億円や関係会社株式売却益1,233億円を計上した一方、特別損失に原子力損害賠償費4,837億円を計上したことから、親会社株主に帰属する四半期純損益は6,509億円の損失(前年同四半期は98億円の利益)となった。
当第3四半期連結累計期間における各セグメントの業績(セグメント間取引消去前)は次のとおりである。
[ホールディングス]
売上高は、前年同四半期比3.5%増の3,783億円となり、経常利益は、基幹事業会社からの受取配当金の減少などにより、前年同四半期比34.1%減の474億円となった。
[フュエル&パワー]
売上高は、前年同四半期比24.5%減の29億円となり、経常損失は、株式会社JERAにおける燃料費調整制度の期ずれ影響が悪化したことなどにより、815億円(前年同四半期は93億円の損失)となった。
[パワーグリッド]
売上高は、前年同四半期比39.4%増の1兆8,626億円となり、経常利益は、燃料価格の高騰などによる電気調達費用が大幅に増加したことなどにより、前年同四半期比29.6%減の1,150億円となった。
[エナジーパートナー]
売上高は、前年同四半期比54.5%増の4兆4,667億円となり、経常損失は、燃料・卸電力市場価格の高騰などによる電気調達費用が大幅に増加したことなどにより、3,689億円(前年同四半期は423億円の損失)となった。
[リニューアブルパワー]
売上高は、前年同四半期比7.2%増の1,256億円となり、経常利益は、卸電力販売が増加したことなどにより、前年同四半期比26.7%増の513億円となった。
(2) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はない。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、新たに発生した課題はない。
また、前事業年度の有価証券報告書に記載した課題のうち、見直しを行った項目は次のとおりである。
以下の見出しに付された項目番号は、前事業年度の有価証券報告書における「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境及び対処すべき課題等」の項目番号に対応している。
本項においては、将来に関する事項が含まれているが、当該事項は提出日現在において判断したものである。
②優先的に対処すべき課題
[ホールディングス]
<福島事業>ハ.ALPS処理水の扱い
ALPS処理水の扱いについては、ALPS処理水希釈放出設備及び関連施設の基本設計等について、原子力規制委員会より「福島第一原子力発電所特定原子力施設に係る実施計画変更認可申請書」の許可をいただいた。
引き続き、国際原子力機関のレビューなどに真摯に対応するとともに、関係者の皆さまの理解醸成に向けて、丁寧な説明を積み重ねていく。
加えて、風評影響を受けうる産業の生産・加工・流通・消費の各段階への取り組みの強化・拡充等をすすめ、それらの対策を講じてもなお起こりうる風評被害への賠償については、関係する方々のご意見を丁寧にお伺いしながら、適切に対応していく。
<経済事業>ニ.原子力発電事業の取り組み
当社は、核物質防護の不適切な事案と安全対策工事の一部未完了の事案から、リスク認識の弱さ、現場実態把握の弱さ、組織として是正する力の弱さ、及び、組織間連携や当社と企業間の連携不足といった弱さを抽出した。抽出された弱さを解消するための取り組みとして、プロジェクトを完遂するための体制・システムの導入や核物質防護強化のためのリソースの拡充・質の向上を進めている。
また、これらを足元から将来にわたって支えるとともに、本社と発電所が一体となり、地域や社会から信頼される組織や企業文化を醸成するために、柏崎刈羽原子力発電所に必要な本社機能の移転を進めている。具体的には2022年5月までに発電所の運営に必要となる機能と要員の柏崎市内への移転を完了しており、今後は発電所の状況変化に合わせて、2026年度までに職住環境を整備し、順次300名規模の社員を柏崎駅周辺、発電所構内に移転していく計画である。
そのほか、発電所経営層と所員との対話や、さまざまな分野の専門知識を有する外部人財を積極的に採用するなどの取り組みを進めている。
安定供給の継続に加え、カーボンニュートラルの実現に向けて、ゼロエミッション電源である原子力発電は重要な電源の一つと考えており、原子力事業者として信頼していただけるよう、原子力改革を継続し、信頼の回復に努めていく。
[エナジーパートナー]
ロ.燃料価格高騰を受けた対応
当社グループは、お客さまに電力を安定的にお届けするよう取り組んでいるが、昨今の世界的な資源価格の高騰を背景とした事業環境下において、東京電力エナジーパートナー株式会社(以下「東電EP」という。)は、経営合理化では追いつかないほどの燃料・卸電力市場価格の高騰によって、費用が収入を上回っている状態となっており、財務体質が年々悪化している。
こうした状況を踏まえ、東電EPの当面の財務基盤を立て直すことを目的として、当社を引受先とする2,000億円の増資を決議し、東電EPに対し2022年10月26日に払込を行った。また、東電EPにおいて、特に卸電力市場価格の影響が大きい「特別高圧・高圧」のお客さまを対象とした電気料金を2023年4月より見直すこととした。
しかしながら、引き続き燃料・卸電力市場価格は高水準で推移する見通しであり、2023年3月期の東電EPの収支は、約5,050億円の経常赤字となる見通しである。これを踏まえ、改めて東電EPの財務基盤の立て直しが必要と判断し、当社を引受先とする3,000億円の追加増資を決議し、東電EPに対し2023年1月30日に払込を行った。
こうした状況は、安定供給に支障をきたすことになりかねず、経営合理化などの経営努力だけでは克服が困難なことから、2023年1月23日、東電EPは、経済産業大臣へ「低圧」のお客さまを対象とした規制料金について2023年6月1日からの値上げを申請させていただいた。低圧自由料金についても、規制料金と同時期から値上げをさせていただく。
一方、東電EPは2022年10月28日に閣議決定された「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」に基づき、お客さまのご負担軽減を直接的に実現すべく、「電気・ガス価格激変緩和対策事業」(以下、「本事業」という。)に参加申請するとともに、特定小売供給約款における電気料金の特別措置の設定を経済産業大臣に申請した。東電EPは、本事業における電気・ガスの事業者として、2022年12月15日までに採択され、12月16日には経済産業大臣より、特定小売供給約款における電気料金の特別措置の認可を受けた。これに伴い、国からの補助金を受けながら、2023年1月使用(2月検針)分以降の電気・ガス料金において、国が定める値引き単価により、電気・ガスのご使用量に応じた値引きを行う。
加えて、お客さまの電気料金のご負担を軽減する節電における取り組みとして、法人向けには、省エネ・節電を促進するプランの新設や空調設備の洗浄サポート等の支援を、家庭向けには、既に実施している「TEPCO省エネプログラム2022」の拡充として、前年同月の電気使用量と比較し、節電電力量に応じてポイントを進呈する取り組みや、ご家庭のエアコン洗浄を支援するキャンペーンも実施している。また、来年度(2023年度)からは、カーボンニュートラル社会の実現に資する機器等の導入支援を実施していく。
以上の取り組み等により、お客さまに電力を安定的にお届けできるよう最大限努力していく。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、7,941百万円である。
なお、当第3四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はない。
(5) 生産及び販売の実績
当社グループは、原子力発電等を行う「ホールディングス」、火力発電等を行う「フュエル&パワー」、送電・変電・配電による電力の供給等を行う「パワーグリッド」、電気の販売等を行う「エナジーパートナー」及び再生可能エネルギー発電等を行う「リニューアブルパワー」の5つのセグメントがコスト意識を高めるとともに自発的に収益拡大に取り組みつつ、一体となって電気事業を運営している。加えて、電気事業が連結会社の事業の大半を占めており、また、電気事業以外の製品・サービスは多種多様であり、受注生産形態をとらない製品も少なくないため、生産及び販売の実績については、電気事業のみを記載している。
なお、電気事業については、販売電力量を四半期ごとに比較すると、冷暖房需要によって販売電力量が増加する第2四半期・第4四半期と比べて、第1四半期・第3四半期の販売電力量は相対的に低水準となる特徴がある。
① 発電実績
種別 | 2022年度第3四半期累計 (百万kWh) | 前年同四半期比 (%) | |
発 電 電 力 量 | 水力発電電力量 | 9,990 | 92.9 |
火力発電電力量 | 118 | 101.3 | |
原子力発電電力量 | - | - | |
新エネルギー等発電電力量 | 47 | 92.2 | |
発電電力量合計 | 10,154 | 93.0 |
(注)1.上記発電実績には、連結子会社の一部を含んでいる。
2.2019年4月1日付けで㈱JERAが承継会社となり、東京電力フュエル&パワー㈱の燃料受入・貯蔵・送ガス事業及び既存火力発電事業等を吸収分割により承継させた。これにより、火力発電電力量は東京電力パワーグリッド㈱の離島における発電電力量である。
② 販売実績
(a) 総販売電力量
種別 | 2022年度第3四半期 (百万kWh) | 前年同四半期比 (%) | |
小売販売電力量 | 135,026 | 100.3 | |
卸販売電力量 | 41,914 | 124.3 | |
総販売電力量 | 176,940 | 105.1 |
(注) 連結子会社の一部を含んでいる。
(b) 電気料収入
種別 | 2022年度第3四半期累計 (百万円) | 前年同四半期比 (%) |
電気料収入 | 3,349,290 | 147.9 |
(注)1.連結子会社の一部を含んでいる。
2.電気料収入は小売販売電力量に相当する。
(c) 託送収入
種別 | 2022年度第3四半期累計 (百万円) | 前年同四半期比 (%) |
託送収益 | 1,207,833 | 111.4 |
(注) 東京電力パワーグリッド株式会社におけるセグメント間取引消去前の託送収入である。
③ 託送供給料金
東京電力パワーグリッド株式会社は、2022年12月27日、電気事業法第18条第1項に規定された「託送供給等約款」の認可申請(電気事業法第17条の2第1項の規定により2022年12月23日に経済産業大臣から承認された2023~2027年度のレベニューキャップ制度第1規制期間における「託送供給等に係る収入の見通し」に基づく新たな料金を設定)を経済産業大臣に行い、2023年1月27日に経済産業大臣の認可を受け、2023年4月1日から実施する。
主要託送供給料金は下記のとおりである。
託送供給料金表
(消費税等相当額を含む料金単価) |
単位 | 料金単価(円) | ||||||
接続送電サービス | 低圧 | 電灯定額接続送電サービス | 電灯 料金 | 10Wまで | 1灯 1か月につき | 37.51 | |
10W超過 20Wまで | 〃 | 75.02 | |||||
20W 〃 40W 〃 | 〃 | 150.05 | |||||
40W 〃 60W 〃 | 〃 | 225.07 | |||||
60W 〃 100W 〃 | 〃 | 375.12 | |||||
100W 〃 100Wまでごとに | 〃 | 375.12 | |||||
小型 機器 料金 | 50VAまで | 1機器 1か月につき | 112.05 | ||||
50VA超過 100VAまで | 〃 | 224.08 | |||||
100VA 〃 100VAまでごとに | 〃 | 224.08 | |||||
電灯標準接続送電サービス | 基本 料金 | 実量契約 | 1kW 1か月につき | 230.67 | |||
SB・主開閉器契約 | 1kVA 1か月につき | 152.24 | |||||
SB契約;5Aの場合 | 1契約 1か月につき | 76.12 | |||||
SB契約;15Aの場合 | 〃 | 228.36 | |||||
電力量料金 | 1kWhにつき | 7.48 | |||||
電灯 時間帯別接続送電サービス | 基本 料金 | 実量契約 | 1kW 1か月につき | 230.67 | |||
SB・主開閉器契約 | 1kVA 1か月につき | 152.24 | |||||
SB契約;5Aの場合 | 1契約 1か月につき | 76.12 | |||||
SB契約;15Aの場合 | 〃 | 228.36 | |||||
電力量料金 | 昼間時間 | 1kWhにつき | 7.90 | ||||
夜間時間 | 〃 | 7.14 | |||||
電灯従量接続送電サービス | 〃 | 11.26 | |||||
動力標準接続送電サービス | 基本 料金 | 実量契約 | 1kW 1か月につき | 731.97 | |||
主開閉器契約 | 〃 | 461.14 | |||||
電力量料金 | 1kWhにつき | 5.20 |
単位 | 料金単価(円) | ||||||||
接続送電 サービス | 低圧 | 動力 時間帯別接続送電サービス | 基本 料金 | 実量契約 | 1kW 1か月につき | 731.97 | |||
主開閉器契約 | 〃 | 461.14 | |||||||
電力量料金 | 昼間時間 | 1kWhにつき | 5.48 | ||||||
夜間時間 | 〃 | 4.97 | |||||||
動力従量接続送電サービス | 〃 | 17.20 | |||||||
高圧 | 高圧標準 接続送電サービス | 基本料金 | 1kW 1か月につき | 653.87 | |||||
電力量料金 | 1kWhにつき | 2.37 | |||||||
高圧 時間帯別接続送電サービス | 基本料金 | 1kW 1か月につき | 653.87 | ||||||
電力量料金 | 昼間時間 | 1kWhにつき | 2.50 | ||||||
夜間時間 | 〃 | 2.26 | |||||||
高圧従量接続送電サービス | 〃 | 13.09 | |||||||
ピークシフト割引 | 1kW 1か月につき | 555.80 | |||||||
特別 高圧 | 特別 高圧標準接続送電サービス | 基本料金 | 〃 | 423.39 | |||||
電力量料金 | 1kWhにつき | 1.33 | |||||||
特別高圧時間帯別接続送電サービス | 基本料金 | 1kW 1か月につき | 423.39 | ||||||
電力量料金 | 昼間時間 | 1kWhにつき | 1.39 | ||||||
夜間時間 | 〃 | 1.28 | |||||||
特別高圧従量接続送電サービス | 〃 | 8.27 | |||||||
ピークシフト割引 | 1kW 1か月につき | 359.89 | |||||||
予備送電サービス | 高圧 | 予備送電サービスA | 〃 | 87.62 | |||||
予備送電サービスB | 〃 | 109.20 | |||||||
特別 高圧 | 予備送電サービスA | 〃 | 71.13 | ||||||
予備送電サービスB | 〃 | 86.37 | |||||||
近接性 評価割引 | 受電電圧が標準電圧6,000V以下の場合 | 1kWhにつき | 0.69 | ||||||
受電電圧が標準電圧6,000Vをこえ140,000V以下の場合 | 〃 | 0.41 | |||||||
受電電圧が標準電圧140,000Vをこえる場合 | 〃 | 0.21 |
(注)1.上記契約種別のほか、臨時接続送電サービス、発電量調整受電計画差対応電力、接続対象計画差対応電力、
需要抑制量調整受電計画差対応電力、給電指令時補給電力がある。
2.SBとは、電流制限器又はその他適当な電流を制限する装置。
3.時間帯別接続送電サービスにおける「昼間時間」とは、毎日午前8時から午後10時までの時間をいい、「夜間時間」とは、「昼間時間」以外の時間をいう。ただし、日曜日、祝日(「国民の祝日に関する法律」に規定する休日)及び1月2日・3日、4月30日、5月1日・2日、12月30日・31日は、全日「夜間時間」扱いとする。
4.近接性評価割引とは、近接性評価地域に立地する発電場所における発電設備等を維持し、及び運用する発電契約者から当該発電設備等に係る電気を受電し、接続供給を利用する場合に行う割引をいう。
5.2016年3月31日までに近接性評価割引対象とされていた地域において、受電電圧が標準電圧6,000V以上であり、かつ、現に割引の適用を受けている電源についても、暫定的に、引き続き割引くこととし、受電電圧が標準電圧140,000Vをこえる場合の単価を適用する。
(6) 設備の状況
前連結会計年度末において計画中であった主要な設備の新設、除却等について、当第3四半期連結累計期間に重要な変更はない。また、当第3四半期連結累計期間に新たに確定した主要な設備の新設、除却等の計画はない。
なお、前連結会計年度末における主要な設備の新設等の計画の当第3四半期連結累計期間の完了分は、次のとおりである。
(送電設備)
会社名 | 件名 | セグメントの 名称 | 種別 | 電圧(kV) | 亘長(km) | 着工 | 運転開始 |
東京電力パワーグリッド㈱ | 姉崎共火線新設 | パワーグリッド | 架空 | 275 | 1号線:0.5 2号線:0.5 | 2021年6月 | 2022年5月 (1号線) 2022年6月 (2号線) |
東京電力パワーグリッド㈱ | 西群馬幹線 東山梨(変)引込線新設 | パワーグリッド | 架空 | 500 | 1号線:0.1 2号線:0.1 | 2022年6月 | 2022年11月 (1号線) 2022年10月 (2号線) |
(変電設備)
会社名 | 件名 | セグメントの 名称 | 最高電圧 (kV) | 増加出力 (MVA) | 着工 | 運転開始 |
東京電力パワーグリッド㈱ | 新木更津変電所 変圧器増設 | パワーグリッド | 500 | 900 | 2020年8月 | 2022年5月 (8B) 2022年6月 (5B) |
東京電力パワーグリッド㈱ | 南多摩変電所 変圧器増容量 | パワーグリッド | 275 | 100 | 2021年6月 | 2022年6月 |
東京電力パワーグリッド㈱ | 新栃木変電所 変圧器増設 | パワーグリッド | 500 | 750 | 2021年5月 | 2022年11月 |
東京電力パワーグリッド㈱ | 東山梨変電所 変圧器増設 | パワーグリッド | 500 | 750 | 2019年11月 | 2022年12月 |
(注)1. 新木更津変電所の変電設備の出力は4,800MVAとなった。
2. 南多摩変電所の変電設備の出力は1,100MVAとなった。
3. 新栃木変電所の変電設備の出力は4,750MVAとなった。
4. 東山梨変電所の変電設備の出力は2,250MVAとなった。