有価証券報告書-第99期(2022/04/01-2023/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。
① 財政状態及び経営成績の状況
イ.財政状態
[資産・負債・純資産]
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に比べ7,246億円増加し、13兆5,630億円となった。これは、未収原賠・廃炉等支援機構資金交付金が増加したことなどによるものである。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ8,097億円増加し、10兆4,411億円となった。これは、原子力損害賠償引当金が増加したことなどによるものである。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ850億円減少し、3兆1,219億円となった。これは、親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことなどによるものである。この結果、自己資本比率は22.8%と前連結会計年度末に比べ2.0ポイント低下した。
ロ.経営成績
[概要]
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比46.9%増の7兆7,986億円、経常損益は2,853億円の損失(前連結会計年度は422億円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損益は1,236億円の損失(前連結会計年度は29億円の利益)となった。
[売上高]
当連結会計年度における各セグメントの売上高(セグメント間取引消去前)は、ホールディングスが6,337億円(前連結会計年度比2.2%増)、フュエル&パワーが39億円(前連結会計年度比24.5%減)、パワーグリッドが2兆5,139億円(前連結会計年度比28.1%増)、エナジーパートナーが6兆3,773億円(前連結会計年度比46.2%増)、リニューアブルパワーが1,562億円(前連結会計年度比2.1%増)となった。
総販売電力量は、前連結会計年度比3.8%増の2,428億kWhとなった。
[経常損益]
当連結会計年度における各セグメントの経常損益(セグメント間取引消去前)は、ホールディングスが670億円(前連結会計年度比8.2%減)、フュエル&パワーが△303億円(前連結会計年度69億円)、パワーグリッドが719億円(前連結会計年度比39.2%減)、エナジーパートナーが△3,282億円(前連結会計年度△664億円)、リニューアブルパワーが519億円(前連結会計年度比13.1%増)となった。
[親会社株主に帰属する当期純損失]
当連結会計年度の税金等調整前当期純損失は、特別利益に原子力損害賠償・廃炉等支援機構からの資金交付金5,074億円、関係会社株式売却益1,233億円、固定資産売却益627億円を計上した一方、特別損失に原子力損害賠償費5,073億円、災害特別損失222億円を計上したことなどから、1,119億円となった。ここに、法人税、住民税及び事業税87億円、法人税等調整額24億円、非支配株主に帰属する当期純利益6億円を計上し、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、1,236億円となった。なお、1株当たり当期純損失は77円17銭となった。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,444億円(16.8%)減少し、7,173億円となった。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の支出は、756億円(前連結会計年度は4,064億円の収入)となった。これは、電気調達費用に関する支出が増加したことなどによるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の支出は、前連結会計年度比30.5%減の3,888億円となった。これは、投融資の回収による収入が増加したことなどによるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の収入は、前連結会計年度比42.9%減の3,199億円となった。これは、短期借入金の返済による支出が増加したことなどによるものである。
③ 生産及び販売の実績
当社グループは、原子力発電等を行う「ホールディングス」、火力発電等を行う「フュエル&パワー」、送電・変電・配電による電力の供給等を行う「パワーグリッド」、電気の販売等を行う「エナジーパートナー」及び再生可能エネルギー発電等を行う「リニューアブルパワー」の5つのセグメントがコスト意識を高めるとともに自発的に収益拡大に取り組みつつ、一体となって電気事業を運営している。加えて、電気事業が連結会社の事業の大半を占めており、また、電気事業以外の製品・サービスは多種多様であり、受注生産形態をとらない製品も少なくないため、生産及び販売の実績については、電気事業のみを記載している。
イ.発電実績
(注)1.上記発電実績には、連結子会社の一部を含んでいる。
2.2019年4月1日付けで㈱JERAが承継会社となり、東京電力フュエル&パワー㈱の燃料受入・貯蔵・送ガス事業及び既存火力発電事業等を吸収分割により承継させた。これにより、火力発電電力量は東京電力パワーグリッド㈱の離島における発電電力量である。
ロ.販売実績
(a) 総販売電力量
(注)連結子会社の一部を含んでいる。
(b) 電気料収入
(注)1.連結子会社の一部を含んでいる。
2.電気料収入は小売販売電力量に相当する。
3. 「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」に基づき実施される「電気・ガス価格激変緩和対
策事業」により、国が定める値引き単価による電気料金の値引きを行っており、その原資として補助金
(以下、「当該補助金」という。)117,932百万円を受領している。内訳は「パワーグリッド」が3,358
百万円、「エナジーパートナー」が114,574百万円である。電気料収入には当該補助金収入を含んでい
ない。
(c) 託送収入
(注)セグメント間取引消去前。
④ 電気料金
東京電力エナジーパートナー株式会社は、2020年9月4日及び2023年1月27日に認可を受けた東京電力パワーグリッド株式会社の託送供給等約款の見直しにともない、託送料金の変動分を電気料金に反映すべく、2023年2月14日に経済産業大臣に特定小売供給約款の変更を届出し、2023年4月1日から実施している。
2023年4月1日から見直しされる主要契約種別の料金単価は下記のとおりである。
電気料金表
(注)1.上記契約種別のほか、臨時電灯、臨時電力、農事用電力がある。
2.料金単価欄の「夏季」とは毎年7月1日から9月30日までの期間をいい、「その他季」とは毎年10月1日から翌年の6月30日までの期間をいう。
3.原油・LNG(液化天然ガス)・石炭などの燃料価格の変動に応じ毎月自動的に料金を調整する燃料費調整制度が導入されている。なお、燃料費調整制度の算定方法は、「(参考)燃料費調整」に記載している。
(参考)燃料費調整
特定小売供給約款における燃料費調整
a.燃料費調整単価の算定方法
b.基準単価
(注) 定額制供給についても、同様に基準単価がある。
また、東京電力エナジーパートナー株式会社は、昨今の燃料価格・卸電力市場価格の高騰による財務体質の悪化を踏まえ、今後も安定的な電力供給を継続するため、電気料金の値上げをお客さまにお願いすることとし、2023年5月19日に経済産業大臣より電気料金の値上げに係る特定小売供給約款の変更について認可を受け、2023年6月1日から実施する。
2023年6月1日から適用される主要契約種別の料金単価は下記のとおりである。
電気料金表
(消費税等相当額を含む料金単価)
(注)1.上記契約種別のほか、臨時電灯、臨時電力、農事用電力がある。
2.料金単価欄の「夏季」とは毎年7月1日から9月30日までの期間をいい、「その他季」とは毎年10月1日から翌年の6月30日までの期間をいう。
3.低圧電力は、2024 年9月検針日以降のご使用分より力率割引・割増を廃止することにともない基本料金を変更する。
4.原油・LNG(液化天然ガス)・石炭などの燃料価格の変動に応じ毎月自動的に料金を調整する燃料費調整制度が導入されている。なお、燃料費調整制度の算定方法は、「(参考)燃料費調整」に記載している。
(参考)燃料費調整
特定小売供給約款における燃料費調整
a.燃料費調整単価の算定方法
b.基準単価
(注) 定額制供給についても、同様に基準単価がある。
⑤ 託送供給料金
東京電力パワーグリッド株式会社は、2022年12月27日、電気事業法第18条第1項に規定された「託送供給等約款」の認可申請(電気事業法第17条の2第1項の規定により2022年12月23日に経済産業大臣から承認された2023~2027年度のレベニューキャップ制度第1規制期間における「託送供給等に係る収入の見通し」に基づく新たな料金を設定)を経済産業大臣に行い、2023年1月27日に経済産業大臣の認可を受け、2023年4月1日から実施している。
主要託送供給料金は下記のとおりである。
託送供給料金表
(注)1.上記契約種別のほか、臨時接続送電サービス、発電量調整受電計画差対応電力、接続対象計画差対応電力、
需要抑制量調整受電計画差対応電力、給電指令時補給電力がある。
2.SBとは、電流制限器又はその他適当な電流を制限する装置。
3.時間帯別接続送電サービスにおける「昼間時間」とは、毎日午前8時から午後10時までの時間をいい、「夜間時間」とは、「昼間時間」以外の時間をいう。ただし、日曜日、祝日(「国民の祝日に関する法律」に規定する休日)及び1月2日・3日、4月30日、5月1日・2日、12月30日・31日は、全日「夜間時間」扱いとする。
4.近接性評価割引とは、近接性評価地域に立地する発電場所における発電設備等を維持し、及び運用する発電契約者から当該発電設備等に係る電気を受電し、接続供給を利用する場合に行う割引をいう。
5.2016年3月31日までに近接性評価割引対象とされていた地域において、受電電圧が標準電圧6,000V以上であり、かつ、現に割引の適用を受けている電源についても、暫定的に、引き続き割引くこととし、受電電圧が標準電圧140,000Vをこえる場合の単価を適用する。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものである。
① 経営成績等
当連結会計年度の当社グループを取り巻く経営環境は、燃料価格や卸電力市場価格の高騰に加え、円安の継続など、一層厳しい状況となった。こうした状況のもと、当社グループは、さらなる経営合理化を進めたほか、電気の調達費用の抑制に向けた節電施策の展開など、収支の改善に取り組んできたが、経常損失を計上することとなった。
当社グループの当連結会計年度の小売販売電力量は、競争の継続や節電へのご協力などにより、前連結会計年度に比べ0.9%減の1,848億kWhとなったが、卸販売電力量が増加したことから、総販売電力量は、前連結会計年度に比べ3.8%増の2,428億kWhとなった。
当連結会計年度の連結収支については、収益面では、燃料費調整制度の影響により電気料収入単価が上昇したことに加え、総販売電力量が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度に比べ46.9%増の7兆7,986億円となり、その他の収益を加えた経常収益合計は45.4%増の7兆8,094億円となった。
一方、費用面では、原子力発電が引き続き全機停止するなか、グループをあげた徹底的なコスト削減に努めたものの、燃料価格や卸電力市場価格の高騰等により電気の調達費用が増加したことなどから、経常費用合計は前連結会計年度に比べ51.9%増の8兆948億円となった。
この結果、経常損失は2,853億円(前連結会計年度は422億円の経常利益)となった。
また、原子力損害賠償・廃炉等支援機構からの資金交付金や関係会社株式等の売却益など6,935億円を特別利益として計上する一方、原子力損害賠償費など5,295億円を特別損失として計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純損失は1,236億円となった。
当連結会計年度における各セグメントの業績(セグメント間取引消去前)は次のとおりである。
[ホールディングス]
子会社の売上高が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度に比べ2.2%増の6,337億円となった。
一方、基幹事業会社からの受取配当金が減少したことなどから、経常利益は前連結会計年度に比べ8.2%減の670億円となった。
[フュエル&パワー]
持分法適用関連会社である株式会社JERAにおいて、LNGのスポット価格の高騰による調達費用の増加があったことなどから、経常損益は前連結会計年度比372億円減の303億円の損失(前連結会計年度は69億円の経常利益)となった。
[パワーグリッド]
最終保障供給による収入が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度比28.1%増の2兆5,139億円となった。
一方、燃料価格高騰等により電気の調達費用が大幅に増加したことなどから、経常利益は前連結会計年度比39.2%減の719億円となった。
[エナジーパートナー]
燃料費調整制度の影響などにより電気料収入単価が上昇したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度比46.2%増の6兆3,773億円となった。
一方、燃料価格高騰等により電気の調達費用が大幅に増加したことなどから、経常損益は前連結会計年度比2,617億円減の3,282億円の損失となった。
[リニューアブルパワー]
販売電力料収入が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度比2.1%増の1,562億円となった。
加えて、減価償却費が減少したことなどから、経常利益は前連結会計年度比13.1%増の519億円となった。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る状況
イ.キャッシュ・フロー等
(a) キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりである。
(b) 有利子負債
2023年3月31日現在の社債、長期借入金、短期借入金、コマーシャル・ペーパーについては、以下のとおりである。
当連結会計年度(2023年3月31日)
上記については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(金融商品関係)2.金融商品の時価等に関する事項(注2)社債、長期借入金及びその他の有利子負債の連結決算日後の返済予定額」にも記載。
ロ.財務政策
当社グループとして、総合特別事業計画(2012年5月に主務大臣より認定。)において機構から1兆円の出資を受けるとともに、取引金融機関に対し追加与信及び借換え等による与信を維持することなどをお願いしており、ご協力をいただいている。これらの機構や金融機関の支援・協力のもとで、自己資本比率の改善、公募社債市場への復帰を2017年3月に実現しており、 2022年度はパワーグリッドにおいて4,900億円の公募社債を発行し、リニューアブルパワーにおいて300億円のグリーンボンドを発行した。引き続き社債の発行を継続するなど、当社グループの自律的な資金調達力の回復もはかっていく。
金融機関からの借入金や社債の発行により調達した資金は、電気事業等に必要な設備資金、借入金返済及び社債償還等に充当している。設備投資計画については、「第3 設備の状況」のとおりであり、借入金返済及び社債償還の予定については、「② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る状況 イ.キャッシュ・フロー等 (b) 有利子負債」のとおりである。
また、当社グループでは、グループ全体でより効率的な資金の運用を図る観点からグループ金融制度を採用している。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりである。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標等
四次総特のとおり、賠償・廃炉に関して、当社グループ全体で年間約5,000億円程度の資金を確保する。加えて、年間約4,500億円規模の利益創出も可能な収益基盤を目指す。
当連結会計年度における経常損益は2,853億円の損失となった。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。
① 財政状態及び経営成績の状況
イ.財政状態
[資産・負債・純資産]
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に比べ7,246億円増加し、13兆5,630億円となった。これは、未収原賠・廃炉等支援機構資金交付金が増加したことなどによるものである。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ8,097億円増加し、10兆4,411億円となった。これは、原子力損害賠償引当金が増加したことなどによるものである。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ850億円減少し、3兆1,219億円となった。これは、親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことなどによるものである。この結果、自己資本比率は22.8%と前連結会計年度末に比べ2.0ポイント低下した。
ロ.経営成績
[概要]
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比46.9%増の7兆7,986億円、経常損益は2,853億円の損失(前連結会計年度は422億円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損益は1,236億円の損失(前連結会計年度は29億円の利益)となった。
[売上高]
当連結会計年度における各セグメントの売上高(セグメント間取引消去前)は、ホールディングスが6,337億円(前連結会計年度比2.2%増)、フュエル&パワーが39億円(前連結会計年度比24.5%減)、パワーグリッドが2兆5,139億円(前連結会計年度比28.1%増)、エナジーパートナーが6兆3,773億円(前連結会計年度比46.2%増)、リニューアブルパワーが1,562億円(前連結会計年度比2.1%増)となった。
総販売電力量は、前連結会計年度比3.8%増の2,428億kWhとなった。
[経常損益]
当連結会計年度における各セグメントの経常損益(セグメント間取引消去前)は、ホールディングスが670億円(前連結会計年度比8.2%減)、フュエル&パワーが△303億円(前連結会計年度69億円)、パワーグリッドが719億円(前連結会計年度比39.2%減)、エナジーパートナーが△3,282億円(前連結会計年度△664億円)、リニューアブルパワーが519億円(前連結会計年度比13.1%増)となった。
[親会社株主に帰属する当期純損失]
当連結会計年度の税金等調整前当期純損失は、特別利益に原子力損害賠償・廃炉等支援機構からの資金交付金5,074億円、関係会社株式売却益1,233億円、固定資産売却益627億円を計上した一方、特別損失に原子力損害賠償費5,073億円、災害特別損失222億円を計上したことなどから、1,119億円となった。ここに、法人税、住民税及び事業税87億円、法人税等調整額24億円、非支配株主に帰属する当期純利益6億円を計上し、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、1,236億円となった。なお、1株当たり当期純損失は77円17銭となった。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,444億円(16.8%)減少し、7,173億円となった。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の支出は、756億円(前連結会計年度は4,064億円の収入)となった。これは、電気調達費用に関する支出が増加したことなどによるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の支出は、前連結会計年度比30.5%減の3,888億円となった。これは、投融資の回収による収入が増加したことなどによるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の収入は、前連結会計年度比42.9%減の3,199億円となった。これは、短期借入金の返済による支出が増加したことなどによるものである。
③ 生産及び販売の実績
当社グループは、原子力発電等を行う「ホールディングス」、火力発電等を行う「フュエル&パワー」、送電・変電・配電による電力の供給等を行う「パワーグリッド」、電気の販売等を行う「エナジーパートナー」及び再生可能エネルギー発電等を行う「リニューアブルパワー」の5つのセグメントがコスト意識を高めるとともに自発的に収益拡大に取り組みつつ、一体となって電気事業を運営している。加えて、電気事業が連結会社の事業の大半を占めており、また、電気事業以外の製品・サービスは多種多様であり、受注生産形態をとらない製品も少なくないため、生産及び販売の実績については、電気事業のみを記載している。
イ.発電実績
種別 | 2022年度 (百万kWh) | 前年同期比 (%) | |
発 電 電 力 量 | 水力発電電力量 | 12,204 | 89.3 |
火力発電電力量 | 156 | 99.1 | |
原子力発電電力量 | - | - | |
新エネルギー等発電電力量 | 61 | 92.1 | |
発電電力量合計 | 12,420 | 89.4 |
(注)1.上記発電実績には、連結子会社の一部を含んでいる。
2.2019年4月1日付けで㈱JERAが承継会社となり、東京電力フュエル&パワー㈱の燃料受入・貯蔵・送ガス事業及び既存火力発電事業等を吸収分割により承継させた。これにより、火力発電電力量は東京電力パワーグリッド㈱の離島における発電電力量である。
ロ.販売実績
(a) 総販売電力量
種別 | 2022年度 (百万kWh) | 前年同期比 (%) | |
小売販売電力量 | 184,825 | 99.1 | |
卸販売電力量 | 57,959 | 122.5 | |
総販売電力量 | 242,784 | 103.8 |
(注)連結子会社の一部を含んでいる。
(b) 電気料収入
種別 | 2022年度 (百万円) | 前年同期比 (%) |
電気料収入 | 4,712,230 | 142.3 |
(注)1.連結子会社の一部を含んでいる。
2.電気料収入は小売販売電力量に相当する。
3. 「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」に基づき実施される「電気・ガス価格激変緩和対
策事業」により、国が定める値引き単価による電気料金の値引きを行っており、その原資として補助金
(以下、「当該補助金」という。)117,932百万円を受領している。内訳は「パワーグリッド」が3,358
百万円、「エナジーパートナー」が114,574百万円である。電気料収入には当該補助金収入を含んでい
ない。
(c) 託送収入
種別 | 2022年度 (百万円) | 前年同期比 (%) |
託送収益 | 1,626,059 | 105.0 |
(注)セグメント間取引消去前。
④ 電気料金
東京電力エナジーパートナー株式会社は、2020年9月4日及び2023年1月27日に認可を受けた東京電力パワーグリッド株式会社の託送供給等約款の見直しにともない、託送料金の変動分を電気料金に反映すべく、2023年2月14日に経済産業大臣に特定小売供給約款の変更を届出し、2023年4月1日から実施している。
2023年4月1日から見直しされる主要契約種別の料金単価は下記のとおりである。
電気料金表
(消費税等相当額を含む料金単価) |
単位 | 料金単価(円) | ||||
定 額 電 灯 | 需要家料金 | 1契約 1か月につき | 55.00 | ||
電 灯 料 金 | 10Wまで | 1灯 1か月につき | 101.53 | ||
10W超過 20Wまで | 〃 | 153.55 | |||
20W 〃 40W 〃 | 〃 | 257.60 | |||
40W 〃 60W 〃 | 〃 | 361.66 | |||
60W 〃 100W 〃 | 〃 | 569.77 | |||
100W 〃 100Wまでごとに | 〃 | 569.77 | |||
小 型 機 器 料 金 | 50VAまで | 1機器 1か月につき | 245.05 | ||
50VA超過 100VAまで | 〃 | 398.79 | |||
100VA 〃 100VAまでごとに | 〃 | 398.79 | |||
従 量 電 灯 | A | 最低料金 | 1か月8kWhまで | 240.72 | |
電力量料金 | 上記超過1kWhにつき | 19.91 | |||
B | 基 本 料 金 | 10A | 1契約 1か月につき | 295.24 | |
15A | 〃 | 442.86 | |||
20A | 〃 | 590.48 | |||
30A | 〃 | 885.72 | |||
40A | 〃 | 1,180.96 | |||
50A | 〃 | 1,476.20 | |||
60A | 〃 | 1,771.44 | |||
電 力 量 料 金 | 最初の120kWhまで | 1kWhにつき | 19.91 | ||
120kWh超過 300kWhまで | 〃 | 26.51 | |||
300kWh超過 | 〃 | 30.60 | |||
最低月額料金 | 1契約 1か月につき | 240.72 | |||
C | 基本料金 | 1kVA 1か月につき | 295.24 | ||
電 力 量 料 金 | 最初の120kWhまで | 1kWhにつき | 19.91 | ||
120kWh超過 300kWhまで | 〃 | 26.51 | |||
300kWh超過 | 〃 | 30.60 |
単位 | 料金単価(円) | |||||
公 衆 街 路 灯 | A | 需要家料金 | 1契約 1か月につき | 49.50 | ||
電 灯 料 金 | 10Wまで | 1灯 1か月につき | 92.07 | |||
10W超過 20Wまで | 〃 | 140.13 | ||||
20W 〃 40W 〃 | 〃 | 236.26 | ||||
40W 〃 60W 〃 | 〃 | 332.40 | ||||
60W 〃 100W 〃 | 〃 | 524.67 | ||||
100W 〃 100Wまでごとに | 〃 | 524.67 | ||||
小 型 機 器 料 金 | 50VAまで | 1機器 1か月につき | 224.15 | |||
50VA超過 100VAまで | 〃 | 361.39 | ||||
100VA 〃 100VAまでごとに | 〃 | 361.39 | ||||
B | 基本料金 | 1kVA 1か月につき | 267.74 | |||
電力量料金 | 1kWhにつき | 20.08 | ||||
最低月額料金 | 1契約 1か月につき | 229.72 | ||||
低 圧 電 力 | 基本料金 | 1kW 1か月につき | 1,138.46 | |||
電力量料金 | 1kWhにつき | 夏季 17.40 | その他季 15.83 |
(注)1.上記契約種別のほか、臨時電灯、臨時電力、農事用電力がある。
2.料金単価欄の「夏季」とは毎年7月1日から9月30日までの期間をいい、「その他季」とは毎年10月1日から翌年の6月30日までの期間をいう。
3.原油・LNG(液化天然ガス)・石炭などの燃料価格の変動に応じ毎月自動的に料金を調整する燃料費調整制度が導入されている。なお、燃料費調整制度の算定方法は、「(参考)燃料費調整」に記載している。
(参考)燃料費調整
特定小売供給約款における燃料費調整
a.燃料費調整単価の算定方法
平均燃料価格の範囲 | 燃料費調整単価の算定方法 |
44,200円/klを下回る場合 | (44,200円-平均燃料価格)×基準単価/1,000 |
44,200円/klを上回り,かつ,66,300円/kl以下の場合 | (平均燃料価格-44,200円)×基準単価/1,000 |
66,300円/klを上回る場合 | (66,300円-44,200円)×基準単価/1,000 |
b.基準単価
単位 | 基準単価 | |
従量制供給 | 1kWhにつき | 23銭2厘 |
(注) 定額制供給についても、同様に基準単価がある。
また、東京電力エナジーパートナー株式会社は、昨今の燃料価格・卸電力市場価格の高騰による財務体質の悪化を踏まえ、今後も安定的な電力供給を継続するため、電気料金の値上げをお客さまにお願いすることとし、2023年5月19日に経済産業大臣より電気料金の値上げに係る特定小売供給約款の変更について認可を受け、2023年6月1日から実施する。
2023年6月1日から適用される主要契約種別の料金単価は下記のとおりである。
電気料金表
(消費税等相当額を含む料金単価)
単位 | 料金単価(円) | ||||
定 額 電 灯 | 需要家料金 | 1契約 1か月につき | 55.00 | ||
電 灯 料 金 | 10Wまで | 1灯 1か月につき | 169.79 | ||
10W超過 20Wまで | 〃 | 290.07 | |||
20W 〃 40W 〃 | 〃 | 530.64 | |||
40W 〃 60W 〃 | 〃 | 771.21 | |||
60W 〃 100W 〃 | 〃 | 1,252.35 | |||
100W 〃 100Wまでごとに | 〃 | 1,252.35 | |||
小 型 機 器 料 金 | 50VAまで | 1機器 1か月につき | 450.84 | ||
50VA超過 100VAまで | 〃 | 810.37 | |||
100VA 〃 100VAまでごとに | 〃 | 810.37 | |||
従 量 電 灯 | A | 最低料金 | 1か月8kWhまで | 321.42 | |
電力量料金 | 上記超過1kWhにつき | 30.00 | |||
B | 基 本 料 金 | 10A | 1契約 1か月につき | 295.24 | |
15A | 〃 | 442.86 | |||
20A | 〃 | 590.48 | |||
30A | 〃 | 885.72 | |||
40A | 〃 | 1,180.96 | |||
50A | 〃 | 1,476.20 | |||
60A | 〃 | 1,771.44 | |||
電 力 量 料 金 | 最初の120kWhまで | 1kWhにつき | 30.00 | ||
120kWh超過 300kWhまで | 〃 | 36.60 | |||
300kWh超過 | 〃 | 40.69 | |||
最低月額料金 | 1契約 1か月につき | 321.42 | |||
C | 基本料金 | 1kVA 1か月につき | 295.24 | ||
電 力 量 料 金 | 最初の120kWhまで | 1kWhにつき | 30.00 | ||
120kWh超過 300kWhまで | 〃 | 36.60 | |||
300kWh超過 | 〃 | 40.69 |
単位 | 料金単価(円) | |||||
公 衆 街 路 灯 | A | 需要家料金 | 1契約 1か月につき | 49.50 | ||
電 灯 料 金 | 10Wまで | 1灯 1か月につき | 157.61 | |||
10W超過 20Wまで | 〃 | 271.21 | ||||
20W 〃 40W 〃 | 〃 | 498.40 | ||||
40W 〃 60W 〃 | 〃 | 725.59 | ||||
60W 〃 100W 〃 | 〃 | 1,179.98 | ||||
100W 〃 100Wまでごとに | 〃 | 1,179.98 | ||||
小 型 機 器 料 金 | 50VAまで | 1機器 1か月につき | 418.86 | |||
50VA超過 100VAまで | 〃 | 750.78 | ||||
100VA 〃 100VAまでごとに | 〃 | 750.78 | ||||
B | 基本料金 | 1kVA 1か月につき | 267.74 | |||
電力量料金 | 1kWhにつき | 30.17 | ||||
最低月額料金 | 1契約 1か月につき | 310.42 | ||||
低 圧 電 力 | 基本料金 | 1kW 1か月につき | 2024年9月検針日の前日以前 | |||
1,138.46 | ||||||
2024年9月検針日以降 | ||||||
1,081.54 | ||||||
電力量料金 | 1kWhにつき | 夏季 27.49 | その他季 25.92 |
(注)1.上記契約種別のほか、臨時電灯、臨時電力、農事用電力がある。
2.料金単価欄の「夏季」とは毎年7月1日から9月30日までの期間をいい、「その他季」とは毎年10月1日から翌年の6月30日までの期間をいう。
3.低圧電力は、2024 年9月検針日以降のご使用分より力率割引・割増を廃止することにともない基本料金を変更する。
4.原油・LNG(液化天然ガス)・石炭などの燃料価格の変動に応じ毎月自動的に料金を調整する燃料費調整制度が導入されている。なお、燃料費調整制度の算定方法は、「(参考)燃料費調整」に記載している。
(参考)燃料費調整
特定小売供給約款における燃料費調整
a.燃料費調整単価の算定方法
平均燃料価格の範囲 | 燃料費調整単価の算定方法 |
86,100円/klを下回る場合 | (86,100円-平均燃料価格)×基準単価/1,000 |
86,100円/klを上回り,かつ,129,200円/kl以下の場合 | (平均燃料価格-86,100円)×基準単価/1,000 |
129,200円/klを上回る場合 | (129,200円-86,100円)×基準単価/1,000 |
b.基準単価
単位 | 基準単価 | |
従量制供給 | 1kWhにつき | 18銭3厘 |
(注) 定額制供給についても、同様に基準単価がある。
⑤ 託送供給料金
東京電力パワーグリッド株式会社は、2022年12月27日、電気事業法第18条第1項に規定された「託送供給等約款」の認可申請(電気事業法第17条の2第1項の規定により2022年12月23日に経済産業大臣から承認された2023~2027年度のレベニューキャップ制度第1規制期間における「託送供給等に係る収入の見通し」に基づく新たな料金を設定)を経済産業大臣に行い、2023年1月27日に経済産業大臣の認可を受け、2023年4月1日から実施している。
主要託送供給料金は下記のとおりである。
託送供給料金表
(消費税等相当額を含む料金単価)
|
単位 | 料金単価(円) | ||||||||
接続送電 サービス | 低圧 | 動力 時間帯別接続送電サービス | 基本 料金 | 実量契約 | 1kW 1か月につき | 731.97 | |||
主開閉器契約 | 〃 | 461.14 | |||||||
電力量料金 | 昼間時間 | 1kWhにつき | 5.48 | ||||||
夜間時間 | 〃 | 4.97 | |||||||
動力従量接続送電サービス | 〃 | 17.20 | |||||||
高圧 | 高圧標準 接続送電サービス | 基本料金 | 1kW 1か月につき | 653.87 | |||||
電力量料金 | 1kWhにつき | 2.37 | |||||||
高圧 時間帯別接続送電サービス | 基本料金 | 1kW 1か月につき | 653.87 | ||||||
電力量料金 | 昼間時間 | 1kWhにつき | 2.50 | ||||||
夜間時間 | 〃 | 2.26 | |||||||
高圧従量接続送電サービス | 〃 | 13.09 | |||||||
ピークシフト割引 | 1kW 1か月につき | 555.80 | |||||||
特別 高圧 | 特別 高圧標準接続送電サービス | 基本料金 | 〃 | 423.39 | |||||
電力量料金 | 1kWhにつき | 1.33 | |||||||
特別高圧時間帯別接続送電サービス | 基本料金 | 1kW 1か月につき | 423.39 | ||||||
電力量料金 | 昼間時間 | 1kWhにつき | 1.39 | ||||||
夜間時間 | 〃 | 1.28 | |||||||
特別高圧従量接続送電サービス | 〃 | 8.27 | |||||||
ピークシフト割引 | 1kW 1か月につき | 359.89 | |||||||
予備送電サービス | 高圧 | 予備送電サービスA | 〃 | 87.62 | |||||
予備送電サービスB | 〃 | 109.20 | |||||||
特別 高圧 | 予備送電サービスA | 〃 | 71.13 | ||||||
予備送電サービスB | 〃 | 86.37 | |||||||
近接性 評価割引 | 受電電圧が標準電圧6,000V以下の場合 | 1kWhにつき | 0.69 | ||||||
受電電圧が標準電圧6,000Vをこえ140,000V以下の場合 | 〃 | 0.41 | |||||||
受電電圧が標準電圧140,000Vをこえる場合 | 〃 | 0.21 |
(注)1.上記契約種別のほか、臨時接続送電サービス、発電量調整受電計画差対応電力、接続対象計画差対応電力、
需要抑制量調整受電計画差対応電力、給電指令時補給電力がある。
2.SBとは、電流制限器又はその他適当な電流を制限する装置。
3.時間帯別接続送電サービスにおける「昼間時間」とは、毎日午前8時から午後10時までの時間をいい、「夜間時間」とは、「昼間時間」以外の時間をいう。ただし、日曜日、祝日(「国民の祝日に関する法律」に規定する休日)及び1月2日・3日、4月30日、5月1日・2日、12月30日・31日は、全日「夜間時間」扱いとする。
4.近接性評価割引とは、近接性評価地域に立地する発電場所における発電設備等を維持し、及び運用する発電契約者から当該発電設備等に係る電気を受電し、接続供給を利用する場合に行う割引をいう。
5.2016年3月31日までに近接性評価割引対象とされていた地域において、受電電圧が標準電圧6,000V以上であり、かつ、現に割引の適用を受けている電源についても、暫定的に、引き続き割引くこととし、受電電圧が標準電圧140,000Vをこえる場合の単価を適用する。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものである。
① 経営成績等
当連結会計年度の当社グループを取り巻く経営環境は、燃料価格や卸電力市場価格の高騰に加え、円安の継続など、一層厳しい状況となった。こうした状況のもと、当社グループは、さらなる経営合理化を進めたほか、電気の調達費用の抑制に向けた節電施策の展開など、収支の改善に取り組んできたが、経常損失を計上することとなった。
当社グループの当連結会計年度の小売販売電力量は、競争の継続や節電へのご協力などにより、前連結会計年度に比べ0.9%減の1,848億kWhとなったが、卸販売電力量が増加したことから、総販売電力量は、前連結会計年度に比べ3.8%増の2,428億kWhとなった。
当連結会計年度の連結収支については、収益面では、燃料費調整制度の影響により電気料収入単価が上昇したことに加え、総販売電力量が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度に比べ46.9%増の7兆7,986億円となり、その他の収益を加えた経常収益合計は45.4%増の7兆8,094億円となった。
一方、費用面では、原子力発電が引き続き全機停止するなか、グループをあげた徹底的なコスト削減に努めたものの、燃料価格や卸電力市場価格の高騰等により電気の調達費用が増加したことなどから、経常費用合計は前連結会計年度に比べ51.9%増の8兆948億円となった。
この結果、経常損失は2,853億円(前連結会計年度は422億円の経常利益)となった。
また、原子力損害賠償・廃炉等支援機構からの資金交付金や関係会社株式等の売却益など6,935億円を特別利益として計上する一方、原子力損害賠償費など5,295億円を特別損失として計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純損失は1,236億円となった。
当連結会計年度における各セグメントの業績(セグメント間取引消去前)は次のとおりである。
[ホールディングス]
子会社の売上高が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度に比べ2.2%増の6,337億円となった。
一方、基幹事業会社からの受取配当金が減少したことなどから、経常利益は前連結会計年度に比べ8.2%減の670億円となった。
[フュエル&パワー]
持分法適用関連会社である株式会社JERAにおいて、LNGのスポット価格の高騰による調達費用の増加があったことなどから、経常損益は前連結会計年度比372億円減の303億円の損失(前連結会計年度は69億円の経常利益)となった。
[パワーグリッド]
最終保障供給による収入が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度比28.1%増の2兆5,139億円となった。
一方、燃料価格高騰等により電気の調達費用が大幅に増加したことなどから、経常利益は前連結会計年度比39.2%減の719億円となった。
[エナジーパートナー]
燃料費調整制度の影響などにより電気料収入単価が上昇したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度比46.2%増の6兆3,773億円となった。
一方、燃料価格高騰等により電気の調達費用が大幅に増加したことなどから、経常損益は前連結会計年度比2,617億円減の3,282億円の損失となった。
[リニューアブルパワー]
販売電力料収入が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度比2.1%増の1,562億円となった。
加えて、減価償却費が減少したことなどから、経常利益は前連結会計年度比13.1%増の519億円となった。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る状況
イ.キャッシュ・フロー等
(a) キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりである。
(b) 有利子負債
2023年3月31日現在の社債、長期借入金、短期借入金、コマーシャル・ペーパーについては、以下のとおりである。
当連結会計年度(2023年3月31日)
1年以内 (百万円) | 1年超 2年以内 (百万円) | 2年超 3年以内 (百万円) | 3年超 4年以内 (百万円) | 4年超 5年以内 (百万円) | 5年超 (百万円) | |
社債 | 513,835 | 230,806 | 304,000 | 190,000 | 359,000 | 1,802,769 |
長期借入金 | 57,200 | 28,125 | 12,256 | 4,316 | 1,603 | 47,403 |
短期借入金 | 2,183,111 | - | - | - | - | - |
コマーシャル・ペーパー | 22,000 | - | - | - | - | - |
合計 | 2,776,148 | 258,931 | 316,256 | 194,316 | 360,603 | 1,850,173 |
上記については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(金融商品関係)2.金融商品の時価等に関する事項(注2)社債、長期借入金及びその他の有利子負債の連結決算日後の返済予定額」にも記載。
ロ.財務政策
当社グループとして、総合特別事業計画(2012年5月に主務大臣より認定。)において機構から1兆円の出資を受けるとともに、取引金融機関に対し追加与信及び借換え等による与信を維持することなどをお願いしており、ご協力をいただいている。これらの機構や金融機関の支援・協力のもとで、自己資本比率の改善、公募社債市場への復帰を2017年3月に実現しており、 2022年度はパワーグリッドにおいて4,900億円の公募社債を発行し、リニューアブルパワーにおいて300億円のグリーンボンドを発行した。引き続き社債の発行を継続するなど、当社グループの自律的な資金調達力の回復もはかっていく。
金融機関からの借入金や社債の発行により調達した資金は、電気事業等に必要な設備資金、借入金返済及び社債償還等に充当している。設備投資計画については、「第3 設備の状況」のとおりであり、借入金返済及び社債償還の予定については、「② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る状況 イ.キャッシュ・フロー等 (b) 有利子負債」のとおりである。
また、当社グループでは、グループ全体でより効率的な資金の運用を図る観点からグループ金融制度を採用している。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりである。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標等
四次総特のとおり、賠償・廃炉に関して、当社グループ全体で年間約5,000億円程度の資金を確保する。加えて、年間約4,500億円規模の利益創出も可能な収益基盤を目指す。
当連結会計年度における経常損益は2,853億円の損失となった。