有価証券報告書-第101期(2024/04/01-2025/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。
① 財政状態及び経営成績の状況
イ.財政状態
[資産・負債・純資産]
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に比べ3,915億円増加し、14兆9,869億円となった。これは、関係会社長期投資が増加したことなどによるものである。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ1,434億円増加し、11兆2,008億円となった。これは、有利子負債が増加したことなどによるものである。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ2,481億円増加し、3兆7,861億円となった。これは、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことなどによるものである。この結果、自己資本比率は25.1%と前連結会計年度末に比べ1.0ポイント上昇した。
ロ.経営成績
[概要]
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比1.6%減の6兆8,103億円、経常利益は同40.2%減の2,544億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同39.8%減の1,612億円となった。
[売上高]
当連結会計年度における各セグメントの売上高(セグメント間取引消去前)は、ホールディングスが7,962億円(前連結会計年度比12.4%増)、フュエル&パワーが37億円(前連結会計年度比2.8%減)、パワーグリッドが2兆3,452億円(前連結会計年度比6.4%増)、エナジーパートナーが5兆5,598億円(前連結会計年度比3.2%減)、リニューアブルパワーが2,121億円(前連結会計年度比34.2%増)となった。
総販売電力量は、前連結会計年度比0.1%減の2,286億kWhとなった。
[経常損益]
当連結会計年度における各セグメントの経常損益(セグメント間取引消去前)は、ホールディングスが△507億円(前連結会計年度△1,271億円)、フュエル&パワーが577億円(前連結会計年度比67.0%減)、パワーグリッドが549億円(前連結会計年度比65.0%減)、エナジーパートナーが2,879億円(前連結会計年度比11.7%減)、リニューアブルパワーが536億円(前連結会計年度比18.8%増)となった。
[親会社株主に帰属する当期純利益]
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、特別利益に原子力損害賠償・廃炉等支援機構からの資金交付金873億円を計上した一方、特別損失に原子力損害賠償費803億円、災害特別損失626億円を計上したことなどから、1,987億円となった。ここに、法人税、住民税及び事業税358億円、法人税等調整額10億円、非支配株主に帰属する当期純利益5億円を計上し、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、1,612億円となった。なお、1株当たり当期純利益は100円67銭となった。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3,086億円(25.0%)減少し、9,264億円となった。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の収入は、前連結会計年度比46.3%減の3,612億円となった。これは、未払費用が減少したことなどによるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の支出は、前連結会計年度比23.0%増の8,592億円となった。これは、固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の収入は、前連結会計年度比64.1%減の1,941億円となった。これは、短期借入れによる収入が減少したことなどによるものである。
③ 生産及び販売の実績
当社グループは、原子力発電等を行う「ホールディングス」、火力発電等を行う「フュエル&パワー」、送電・変電・配電による電力の供給等を行う「パワーグリッド」、電気の販売等を行う「エナジーパートナー」及び再生可能エネルギー発電等を行う「リニューアブルパワー」の5つのセグメントがコスト意識を高めるとともに自発的に収益拡大に取り組みつつ、一体となって電気事業を運営している。加えて、電気事業が連結会社の事業の大半を占めており、また、電気事業以外の製品・サービスは多種多様であり、受注生産形態をとらない製品も少なくないため、生産及び販売の実績については、電気事業のみを記載している。
イ.発電実績
(注) 1.上記発電実績には、連結子会社の一部を含んでいる。
2.2019年4月1日付けで㈱JERAが承継会社となり、東京電力フュエル&パワー㈱の燃料受入・貯蔵・送ガス事業及び既存火力発電事業等を吸収分割により承継させた。これにより、火力発電電力量は東京電力パワーグリッド㈱の離島における発電電力量である。
ロ.販売実績
(a) 総販売電力量
(注) 連結子会社の一部を含んでいる。
(b) 電気料収入
(注) 1.連結子会社の一部を含んでいる。
2.電気料収入は小売販売電力量に相当する。
3.「デフレ完全脱却のための総合経済対策」に基づき実施される「電気・ガス価格激変緩和対策事業」「酷暑乗り切り緊急支援」、及び「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」に基づき実施される「電気・ガス料金負担軽減支援事業」により、国が定める値引き単価による電気料金の値引きを行っており、その原資として補助金(以下、「当該補助金」という。) 176,379百万円を受領している。内訳は「パワーグリッド」が751百万円、「エナジーパートナー」が175,628百万円である。電気料収入には当該補助金収入を含んでいない。
(c) 託送収入
(注) セグメント間取引消去前。
④ 託送供給料金
東京電力パワーグリッド株式会社は、2023年12月1日、電気事業法第18条第1項に規定された「託送供給等約款」の変更に係る認可申請(発電側課金制度の導入に伴う供給条件の設定及び電気事業法第17条の2第4項の規定により2023年11月24日に経済産業大臣から承認された「託送供給等に係る収入の見通し」の変更に基づく新たな料金を設定)を経済産業大臣に行い、2024年1月17日に経済産業大臣の認可を受け、2024年4月1日から実施している。
主要託送供給料金は下記のとおりである。
託送供給料金表
(消費税等相当額を含む料金単価)
(注) 1.上記契約種別のほか、臨時接続送電サービス、発電量調整受電計画差対応電力、接続対象計画差対応電力、需要抑制量調整受電計画差対応電力、給電指令時補給電力がある。
2.SBとは、電流制限器又はその他適当な電流を制限する装置。
3.時間帯別接続送電サービスにおける「昼間時間」とは、毎日午前8時から午後10時までの時間をいい、「夜間時間」とは、「昼間時間」以外の時間をいう。ただし、日曜日、祝日(「国民の祝日に関する法律」に規定する休日)及び1月2日・3日、4月30日、5月1日・2日、12月30日・31日は、全日「夜間時間」扱いとする。
4.系統設備効率化割引とは、需要地近郊や既に送配電設備が手厚く整備されている地域など、送配電設備の追加増強コストが小さい地域に接続する電源に対して、発電側課金の負担額を軽減するものである。
5.従来適用してきた近接性評価割引は、新たに導入する割引制度と趣旨や割引の考え方が重複している面もあることから廃止する。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものである。
① 経営成績等
当連結会計年度の当社グループを取り巻く経営環境は、引き続き燃料価格や卸電力市場価格の低下がみられたものの、労務費・資材価格の高騰などにより、依然として厳しい状況が続いた。こうした状況のもと、当社グループは、デジタルトランスフォーメーション(DX)やグリーントランスフォーメーション(GX)の進展に伴う電力需要の増加に対応するうえで必要な設備投資を適切に実施してきた。これに伴い、フリーキャッシュフローのマイナスが続いているが、グループの総力を挙げて徹底的なコスト削減や事業の選択と集中をはじめとする不断の経営合理化を進めてきた。
当社グループの当連結会計年度の小売販売電力量は、主に特別高圧・高圧の分野において、厳しい競争環境が続いたことなどから、前連結会計年度に比べ4.6%減の1,872億kWhとなった。このため、卸販売電力量が増加したものの、総販売電力量は、前連結会計年度に比べ0.1%減の2,286億kWhとなった。
当連結会計年度の連結収支については、売上高(営業収益)は、燃料価格の低下等により燃料費等調整額が減少したことなどから、前連結会計年度に比べ1.6%減の6兆8,103億円となった。
経常損益は、主に燃料費等調整制度の期ずれの影響が悪化したことなどから、前年度に比べ40.2%減の2,544億円となった。
また、原子力損害賠償・廃炉等支援機構からの資金交付金873億円を特別利益として計上した一方、原子力損害賠償費と災害特別損失を合わせ1,430億円を特別損失として計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は1,612億円の利益となった。
当連結会計年度における各セグメントの業績(セグメント間取引消去前)は次のとおりである。
[ホールディングス]
販売電力料収入が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度に比べ12.4%増の7,962億円となった。
一方、当連結会計年度の特別負担金が前連結会計年度よりも減少したことなどから、経常損益は前連結会計年度比764億円増の507億円の損失となった。
[フュエル&パワー]
持分法適用関連会社である株式会社JERAにおいて、燃料費調整制度の期ずれ影響が悪化したことなどから、経常利益は前連結会計年度比67.0%減の577億円となった。
[パワーグリッド]
託送収入が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度比6.4%増の2兆3,452億円となった。
一方、需給調整に係る費用や修繕費が増加したことなどから、経常利益は前連結会計年度比65.0%減の549億円となった。
[エナジーパートナー]
燃料価格の低下等により燃料費等調整額が減少したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度比3.2%減の5兆5,598億円となった。
加えて、燃料費等調整制度の期ずれ影響が悪化したことなどから、経常利益は前連結会計年度比11.7%減の2,879億円となった。
[リニューアブルパワー]
販売電力料収入が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度比34.2%増の2,121億円となった。これに伴い、経常利益は前連結会計年度比18.8%増の536億円となった。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る状況
イ.キャッシュ・フロー等
(a) キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりである。
(b) 有利子負債
2025年3月31日現在の社債、長期借入金、短期借入金、コマーシャル・ペーパーについては、以下のとおりである。
当連結会計年度(2025年3月31日)
上記については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(金融商品関係)2.金融商品の時価等に関する事項(注2)社債、長期借入金及びその他の有利子負債の連結決算日後の返済予定額」にも記載。
ロ.財務政策
当社グループとして、総合特別事業計画(2012年5月に主務大臣より認定。)において機構から1兆円の出資を受けるとともに、取引金融機関に対し追加与信及び借換え等による与信を維持することなどをお願いしており、ご協力をいただいている。これらの機構や金融機関の支援・協力のもとで、自己資本比率の改善、公募社債市場への復帰を2017年3月に実現しており、2024年度はパワーグリッドにおいて4,300億円の公募社債を発行し、リニューアブルパワーにおいて400億円のグリーンボンドを発行した。引き続き社債の発行を継続するなど、当社グループの自律的な資金調達力の回復もはかっていく。
金融機関からの借入金や社債の発行により調達した資金は、電気事業等に必要な設備資金、借入金返済及び社債償還等に充当している。設備投資計画については、「第3 設備の状況」のとおりであり、借入金返済及び社債償還の予定については、「② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る状況 イ.キャッシュ・フロー等 (b) 有利子負債」のとおりである。
また、当社グループでは、グループ全体でより効率的な資金の運用を図る観点からグループ金融制度を採用している。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりである。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標等
四次総特のとおり、賠償・廃炉に関して、当社グループ全体で年間約5,000億円程度の資金を確保する。加えて、年間約4,500億円規模の利益創出も可能な収益基盤を目指す。
当連結会計年度における経常利益は2,544億円となった。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。
① 財政状態及び経営成績の状況
イ.財政状態
[資産・負債・純資産]
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に比べ3,915億円増加し、14兆9,869億円となった。これは、関係会社長期投資が増加したことなどによるものである。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ1,434億円増加し、11兆2,008億円となった。これは、有利子負債が増加したことなどによるものである。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ2,481億円増加し、3兆7,861億円となった。これは、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことなどによるものである。この結果、自己資本比率は25.1%と前連結会計年度末に比べ1.0ポイント上昇した。
ロ.経営成績
[概要]
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比1.6%減の6兆8,103億円、経常利益は同40.2%減の2,544億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同39.8%減の1,612億円となった。
[売上高]
当連結会計年度における各セグメントの売上高(セグメント間取引消去前)は、ホールディングスが7,962億円(前連結会計年度比12.4%増)、フュエル&パワーが37億円(前連結会計年度比2.8%減)、パワーグリッドが2兆3,452億円(前連結会計年度比6.4%増)、エナジーパートナーが5兆5,598億円(前連結会計年度比3.2%減)、リニューアブルパワーが2,121億円(前連結会計年度比34.2%増)となった。
総販売電力量は、前連結会計年度比0.1%減の2,286億kWhとなった。
[経常損益]
当連結会計年度における各セグメントの経常損益(セグメント間取引消去前)は、ホールディングスが△507億円(前連結会計年度△1,271億円)、フュエル&パワーが577億円(前連結会計年度比67.0%減)、パワーグリッドが549億円(前連結会計年度比65.0%減)、エナジーパートナーが2,879億円(前連結会計年度比11.7%減)、リニューアブルパワーが536億円(前連結会計年度比18.8%増)となった。
[親会社株主に帰属する当期純利益]
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、特別利益に原子力損害賠償・廃炉等支援機構からの資金交付金873億円を計上した一方、特別損失に原子力損害賠償費803億円、災害特別損失626億円を計上したことなどから、1,987億円となった。ここに、法人税、住民税及び事業税358億円、法人税等調整額10億円、非支配株主に帰属する当期純利益5億円を計上し、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、1,612億円となった。なお、1株当たり当期純利益は100円67銭となった。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3,086億円(25.0%)減少し、9,264億円となった。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の収入は、前連結会計年度比46.3%減の3,612億円となった。これは、未払費用が減少したことなどによるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の支出は、前連結会計年度比23.0%増の8,592億円となった。これは、固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の収入は、前連結会計年度比64.1%減の1,941億円となった。これは、短期借入れによる収入が減少したことなどによるものである。
③ 生産及び販売の実績
当社グループは、原子力発電等を行う「ホールディングス」、火力発電等を行う「フュエル&パワー」、送電・変電・配電による電力の供給等を行う「パワーグリッド」、電気の販売等を行う「エナジーパートナー」及び再生可能エネルギー発電等を行う「リニューアブルパワー」の5つのセグメントがコスト意識を高めるとともに自発的に収益拡大に取り組みつつ、一体となって電気事業を運営している。加えて、電気事業が連結会社の事業の大半を占めており、また、電気事業以外の製品・サービスは多種多様であり、受注生産形態をとらない製品も少なくないため、生産及び販売の実績については、電気事業のみを記載している。
イ.発電実績
種別 | 2024年度 (百万kWh) | 前年同期比 (%) | |
発 電 電 力 量 | 水力発電電力量 | 10,706 | 96.9 |
火力発電電力量 | 159 | 102.5 | |
原子力発電電力量 | - | - | |
新エネルギー等発電電力量 | 73 | 128.9 | |
発電電力量合計 | 10,938 | 97.1 |
(注) 1.上記発電実績には、連結子会社の一部を含んでいる。
2.2019年4月1日付けで㈱JERAが承継会社となり、東京電力フュエル&パワー㈱の燃料受入・貯蔵・送ガス事業及び既存火力発電事業等を吸収分割により承継させた。これにより、火力発電電力量は東京電力パワーグリッド㈱の離島における発電電力量である。
ロ.販売実績
(a) 総販売電力量
種別 | 2024年度 (百万kWh) | 前年同期比 (%) | |
小売販売電力量 | 187,183 | 95.4 | |
卸販売電力量 | 41,439 | 127.4 | |
総販売電力量 | 228,621 | 99.9 |
(注) 連結子会社の一部を含んでいる。
(b) 電気料収入
種別 | 2024年度 (百万円) | 前年同期比 (%) |
電気料収入 | 4,314,738 | 97.1 |
(注) 1.連結子会社の一部を含んでいる。
2.電気料収入は小売販売電力量に相当する。
3.「デフレ完全脱却のための総合経済対策」に基づき実施される「電気・ガス価格激変緩和対策事業」「酷暑乗り切り緊急支援」、及び「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」に基づき実施される「電気・ガス料金負担軽減支援事業」により、国が定める値引き単価による電気料金の値引きを行っており、その原資として補助金(以下、「当該補助金」という。) 176,379百万円を受領している。内訳は「パワーグリッド」が751百万円、「エナジーパートナー」が175,628百万円である。電気料収入には当該補助金収入を含んでいない。
(c) 託送収入
種別 | 2024年度 (百万円) | 前年同期比 (%) |
託送収益 | 1,597,429 | 101.7 |
(注) セグメント間取引消去前。
④ 託送供給料金
東京電力パワーグリッド株式会社は、2023年12月1日、電気事業法第18条第1項に規定された「託送供給等約款」の変更に係る認可申請(発電側課金制度の導入に伴う供給条件の設定及び電気事業法第17条の2第4項の規定により2023年11月24日に経済産業大臣から承認された「託送供給等に係る収入の見通し」の変更に基づく新たな料金を設定)を経済産業大臣に行い、2024年1月17日に経済産業大臣の認可を受け、2024年4月1日から実施している。
主要託送供給料金は下記のとおりである。
託送供給料金表
(消費税等相当額を含む料金単価)
単位 | 料金単価(円) | ||||||
接続送電サービス | 低圧 | 電灯定額接続送電サービス | 電灯 料金 | 10Wまで | 1灯 1か月につき | 35.54 | |
10W超過 20Wまで | 〃 | 71.09 | |||||
20W 〃 40W 〃 | 〃 | 142.19 | |||||
40W 〃 60W 〃 | 〃 | 213.28 | |||||
60W 〃 100W 〃 | 〃 | 355.47 | |||||
100W 〃 100Wまでごとに | 〃 | 355.47 | |||||
小型 機器 料金 | 50VAまで | 1機器 1か月につき | 106.17 | ||||
50VA超過 100VAまで | 〃 | 212.34 | |||||
100VA 〃 100VAまでごとに | 〃 | 212.34 | |||||
電灯標準接続送電サービス | 基本 料金 | 実量契約 | 1kW 1か月につき | 230.67 | |||
SB・主開閉器契約 | 1kVA 1か月につき | 152.24 | |||||
SB契約;5Aの場合 | 1契約 1か月につき | 76.12 | |||||
SB契約;15Aの場合 | 〃 | 228.36 | |||||
電力量料金 | 1kWhにつき | 6.97 | |||||
電灯 時間帯別接続送電サービス | 基本 料金 | 実量契約 | 1kW 1か月につき | 230.67 | |||
SB・主開閉器契約 | 1kVA 1か月につき | 152.24 | |||||
SB契約;5Aの場合 | 1契約 1か月につき | 76.12 | |||||
SB契約;15Aの場合 | 〃 | 228.36 | |||||
電力量料金 | 昼間時間 | 1kWhにつき | 7.36 | ||||
夜間時間 | 〃 | 6.64 | |||||
電灯従量接続送電サービス | 〃 | 10.76 | |||||
動力標準接続送電サービス | 基本 料金 | 実量契約 | 1kW 1か月につき | 731.97 | |||
主開閉器契約 | 〃 | 461.14 | |||||
電力量料金 | 1kWhにつき | 4.54 |
単位 | 料金単価(円) | ||||||
接続送電 サービス | 低圧 | 動力 時間帯別接続送電サービス | 基本 料金 | 実量契約 | 1kW 1か月につき | 731.97 | |
主開閉器契約 | 〃 | 461.14 | |||||
電力量料金 | 昼間時間 | 1kWhにつき | 4.79 | ||||
夜間時間 | 〃 | 4.35 | |||||
動力従量接続送電サービス | 〃 | 16.54 | |||||
高圧 | 高圧標準 接続送電サービス | 基本料金 | 1kW 1か月につき | 653.87 | |||
電力量料金 | 1kWhにつき | 1.84 | |||||
高圧 時間帯別接続送電サービス | 基本料金 | 1kW 1か月につき | 653.87 | ||||
電力量料金 | 昼間時間 | 1kWhにつき | 1.93 | ||||
夜間時間 | 〃 | 1.75 | |||||
高圧従量接続送電サービス | 〃 | 12.55 | |||||
ピークシフト割引 | 1kW 1か月につき | 555.80 | |||||
特別 高圧 | 特別 高圧標準接続送電サービス | 基本料金 | 〃 | 423.39 | |||
電力量料金 | 1kWhにつき | 0.91 | |||||
特別高圧時間帯別接続送電サービス | 基本料金 | 1kW 1か月につき | 423.39 | ||||
電力量料金 | 昼間時間 | 1kWhにつき | 0.94 | ||||
夜間時間 | 〃 | 0.89 | |||||
特別高圧従量接続送電サービス | 〃 | 7.85 | |||||
ピークシフト割引 | 1kW 1か月につき | 359.89 | |||||
予備送電サービス | 高圧 | 予備送電サービスA | 〃 | 87.62 | |||
予備送電サービスB | 〃 | 109.20 | |||||
特別 高圧 | 予備送電サービスA | 〃 | 71.13 | ||||
予備送電サービスB | 〃 | 86.37 | |||||
系統連系 受電 サービス | 基本料金 | 1kW 1か月につき | 87.01 | ||||
基本料金(離島のお客さま) | 〃 | 79.85 | |||||
電力量料金 | 1kWhにつき | 0.28 | |||||
系統設備 効率化 割引 | 割引 A | A-1 | 1kW 1か月につき | 30.86 | |||
A-2(受電電圧が標準電圧140,000Vをこえる場合) | 〃 | 5.72 | |||||
A-2(受電電圧が標準電圧140,000V以下の場合) | 〃 | 11.44 | |||||
A-3(受電電圧が標準電圧140,000Vをこえる場合) | 〃 | 2.86 | |||||
A-3(受電電圧が標準電圧140,000V以下の場合) | 〃 | 5.72 | |||||
割引 B | B-1 | 1kW 1か月につき | 48.99 | ||||
B-2 | 〃 | 17.80 |
(注) 1.上記契約種別のほか、臨時接続送電サービス、発電量調整受電計画差対応電力、接続対象計画差対応電力、需要抑制量調整受電計画差対応電力、給電指令時補給電力がある。
2.SBとは、電流制限器又はその他適当な電流を制限する装置。
3.時間帯別接続送電サービスにおける「昼間時間」とは、毎日午前8時から午後10時までの時間をいい、「夜間時間」とは、「昼間時間」以外の時間をいう。ただし、日曜日、祝日(「国民の祝日に関する法律」に規定する休日)及び1月2日・3日、4月30日、5月1日・2日、12月30日・31日は、全日「夜間時間」扱いとする。
4.系統設備効率化割引とは、需要地近郊や既に送配電設備が手厚く整備されている地域など、送配電設備の追加増強コストが小さい地域に接続する電源に対して、発電側課金の負担額を軽減するものである。
5.従来適用してきた近接性評価割引は、新たに導入する割引制度と趣旨や割引の考え方が重複している面もあることから廃止する。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものである。
① 経営成績等
当連結会計年度の当社グループを取り巻く経営環境は、引き続き燃料価格や卸電力市場価格の低下がみられたものの、労務費・資材価格の高騰などにより、依然として厳しい状況が続いた。こうした状況のもと、当社グループは、デジタルトランスフォーメーション(DX)やグリーントランスフォーメーション(GX)の進展に伴う電力需要の増加に対応するうえで必要な設備投資を適切に実施してきた。これに伴い、フリーキャッシュフローのマイナスが続いているが、グループの総力を挙げて徹底的なコスト削減や事業の選択と集中をはじめとする不断の経営合理化を進めてきた。
当社グループの当連結会計年度の小売販売電力量は、主に特別高圧・高圧の分野において、厳しい競争環境が続いたことなどから、前連結会計年度に比べ4.6%減の1,872億kWhとなった。このため、卸販売電力量が増加したものの、総販売電力量は、前連結会計年度に比べ0.1%減の2,286億kWhとなった。
当連結会計年度の連結収支については、売上高(営業収益)は、燃料価格の低下等により燃料費等調整額が減少したことなどから、前連結会計年度に比べ1.6%減の6兆8,103億円となった。
経常損益は、主に燃料費等調整制度の期ずれの影響が悪化したことなどから、前年度に比べ40.2%減の2,544億円となった。
また、原子力損害賠償・廃炉等支援機構からの資金交付金873億円を特別利益として計上した一方、原子力損害賠償費と災害特別損失を合わせ1,430億円を特別損失として計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は1,612億円の利益となった。
当連結会計年度における各セグメントの業績(セグメント間取引消去前)は次のとおりである。
[ホールディングス]
販売電力料収入が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度に比べ12.4%増の7,962億円となった。
一方、当連結会計年度の特別負担金が前連結会計年度よりも減少したことなどから、経常損益は前連結会計年度比764億円増の507億円の損失となった。
[フュエル&パワー]
持分法適用関連会社である株式会社JERAにおいて、燃料費調整制度の期ずれ影響が悪化したことなどから、経常利益は前連結会計年度比67.0%減の577億円となった。
[パワーグリッド]
託送収入が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度比6.4%増の2兆3,452億円となった。
一方、需給調整に係る費用や修繕費が増加したことなどから、経常利益は前連結会計年度比65.0%減の549億円となった。
[エナジーパートナー]
燃料価格の低下等により燃料費等調整額が減少したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度比3.2%減の5兆5,598億円となった。
加えて、燃料費等調整制度の期ずれ影響が悪化したことなどから、経常利益は前連結会計年度比11.7%減の2,879億円となった。
[リニューアブルパワー]
販売電力料収入が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度比34.2%増の2,121億円となった。これに伴い、経常利益は前連結会計年度比18.8%増の536億円となった。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る状況
イ.キャッシュ・フロー等
(a) キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりである。
(b) 有利子負債
2025年3月31日現在の社債、長期借入金、短期借入金、コマーシャル・ペーパーについては、以下のとおりである。
当連結会計年度(2025年3月31日)
1年以内 (百万円) | 1年超 2年以内 (百万円) | 2年超 3年以内 (百万円) | 3年超 4年以内 (百万円) | 4年超 5年以内 (百万円) | 5年超 (百万円) | |
社債 | 304,000 | 220,000 | 359,000 | 376,000 | 315,000 | 1,961,000 |
長期借入金 | 12,453 | 4,388 | 16,927 | 28,362 | 102 | 19,617 |
短期借入金 | 2,867,871 | - | - | - | - | - |
コマーシャル・ペーパー | 25,000 | - | - | - | - | - |
合計 | 3,209,324 | 224,388 | 375,927 | 404,362 | 315,102 | 1,980,617 |
上記については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(金融商品関係)2.金融商品の時価等に関する事項(注2)社債、長期借入金及びその他の有利子負債の連結決算日後の返済予定額」にも記載。
ロ.財務政策
当社グループとして、総合特別事業計画(2012年5月に主務大臣より認定。)において機構から1兆円の出資を受けるとともに、取引金融機関に対し追加与信及び借換え等による与信を維持することなどをお願いしており、ご協力をいただいている。これらの機構や金融機関の支援・協力のもとで、自己資本比率の改善、公募社債市場への復帰を2017年3月に実現しており、2024年度はパワーグリッドにおいて4,300億円の公募社債を発行し、リニューアブルパワーにおいて400億円のグリーンボンドを発行した。引き続き社債の発行を継続するなど、当社グループの自律的な資金調達力の回復もはかっていく。
金融機関からの借入金や社債の発行により調達した資金は、電気事業等に必要な設備資金、借入金返済及び社債償還等に充当している。設備投資計画については、「第3 設備の状況」のとおりであり、借入金返済及び社債償還の予定については、「② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る状況 イ.キャッシュ・フロー等 (b) 有利子負債」のとおりである。
また、当社グループでは、グループ全体でより効率的な資金の運用を図る観点からグループ金融制度を採用している。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりである。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標等
四次総特のとおり、賠償・廃炉に関して、当社グループ全体で年間約5,000億円程度の資金を確保する。加えて、年間約4,500億円規模の利益創出も可能な収益基盤を目指す。
当連結会計年度における経常利益は2,544億円となった。