半期報告書-第101期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2024/11/13 16:14
【資料】
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【項目】
45項目
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 財政状態
当中間連結会計期間末の資産は、前連結会計年度末に比べ375億円減少し、14兆5,579億円となった。これは、流動資産が減少したことなどによるものである。
当中間連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末に比べ2,689億円減少し、10兆7,885億円となった。これは、未払費用が減少したことなどによるものである。
当中間連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べ2,313億円増加し、3兆7,693億円となった。これは、親会社株主に帰属する中間純利益を計上したことなどによるものである。この結果、自己資本比率は25.7%と前連結会計年度末に比べ1.6ポイント上昇した。
② 経営成績
当中間連結会計期間の経常利益は、燃料費等調整制度の期ずれ影響が悪化したことなどにより、前年同期比47.7%減の2,506億円となった。
また、特別損失に原子力損害賠償費336億円を計上したことなどから、親会社株主に帰属する中間純利益は前年同期比46.0%減の1,895億円となった。
当中間連結会計期間における各セグメントの業績(セグメント間取引消去前)は次のとおりである。
[ホールディングス]
売上高は、前年同期比16.7%増の3,484億円となり、経常利益は、卸電力販売の増加などにより、前年同期比20.1%増の1,388億円となった。
[フュエル&パワー]
売上高は、前年同期比2.8%減の18億円となり、経常利益は、株式会社JERAにおける燃料費調整制度の期ずれ影響が悪化したことなどにより、前年同期比60.5%減の529億円となった。
[パワーグリッド]
売上高は、前年同期比8.0%増の1兆1,684億円となり、経常利益は、需給調整に係る費用が増加したことなどにより、前年同期比43.9%減の813億円となった。
[エナジーパートナー]
売上高は、前年同期比6.7%減の2兆7,494億円となり、経常利益は、燃料費等調整制度の期ずれ影響が悪化したことなどにより、前年同期比58.8%減の796億円となった。
[リニューアブルパワー]
売上高は、前年同期比24.1%増の1,163億円となり、経常利益は、修繕費が増加した一方、卸電力販売が増加したことなどにより、前年同期比2.2%増の403億円となった。
(2) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における期末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,586億円(20.9%)減少し、9,764億円となった。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の収入は、前年同期比84.8%減の528億円となった。これは、税金等調整前中間純利益が減少したことなどによるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の支出は、前年同期比35.9%増の3,922億円となった。これは、固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の収入は、前年同期比83.3%減の786億円となった。これは、短期借入れによる収入が減少したことなどによるものである。
(3) 経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はない。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、新たに発生した課題はない。
また、前事業年度の有価証券報告書に記載した課題のうち、見直しを行った項目は次のとおりである。
以下の見出しに付された項目番号は、前事業年度の有価証券報告書における「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境及び対処すべき課題等」の項目番号に対応している。
本項においては、将来に関する事項が含まれているが、当該事項は提出日現在において判断したものである。
小売事業の競争激化や原子力発電所の長期停止、ESG・SDGsに代表される社会的課題に対する意識の高まり、自然災害の激甚化・広域化に伴う防災・電力レジリエンスの強化に向けた社会的要請に加え、新型コロナウイルス感染症の流行がもたらした経済・社会活動の変容など、当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化している。
このような事業環境変化のなかでも、多様化する社会的な要請にお応えするため、当社グループは安定供給の継続に最大限尽力しながら、「カーボンニュートラル」と「防災」を軸とした、新たな価値を提供するビジネスモデルへと事業構造の変革を図り、収益力向上につなげていく。
また、当社グループは一丸となって、福島第一原子力発電所の事故を決して風化させることなく、福島への責任を全うするため、「復興と廃炉の両立」を推進していくとともに、引き続き、2021年4月に国から示された「東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所における多核種除去設備等処理水の処分に関する基本方針」を踏まえ、安全を最優先として海洋放出を進めるとともに、関係者の皆さまの理解醸成に向けた丁寧な説明を積み重ねていく。
柏崎刈羽原子力発電所では、7号機において、福島第一原子力発電所の事故からの反省と教訓や新規制基準を踏まえて必要な安全対策工事を実施するとともに、燃料装荷前に必要となる使用前事業者検査が全て完了した。2024年4月15日から4月26日にかけて原子炉内に燃料を装荷し、その後に原子炉の起動に必要な主要設備の機能が発揮できることを確認した。
6号機においては、2013年9月27日に原子力規制委員会へ提出した「設計及び工事の計画」について、2024年9月2日に同委員会より認可をいただいた。これを受けて当社は、6号機の安全対策工事について、工事計画通りに施工されていること、及び技術基準との適合性を同委員会に確認いただくため、9月6日に使用前確認申請書を提出した。
柏崎刈羽原子力発電所では、使用済燃料プールの貯蔵率が9割を超えている7号機から貯蔵量に余裕がある3号機へ今年度中に使用済燃料380体の輸送を予定しており、9月15日までに38体の号機間輸送作業を実施した。また、リサイクル燃料貯蔵株式会社のリサイクル燃料備蓄センターでは、新規制基準に基づく安全対策工事等を完了し、柏崎刈羽原子力発電所からの使用済燃料集合体69体を収納する一基目のキャスクの輸送を9月26日に完了した。
当社としては、引き続き原子力改革の実績を一つひとつ積み上げ、地域の皆さまから信頼され、原子力事業者として受け入れていただけるよう全力で取り組んでいく。
電力供給の面では、2024年度夏季は、7、8月の猛暑に加え、9月中下旬に30℃を超える真夏日が継続的に発生し、厳しい需給状況が続いたが、電源・流通設備の補修停止時期調整や自家発焚き増し要請等の需給非常時対策を実施するとともに、皆さまの効率的な電気のご利用への継続的なご協力により、安定供給を確保することができた。
2024年度冬季は、1月の東京エリアの厳気象H1需要に対する予備率は11.6%と最低限必要な予備率(3.0%)を確保しているものの、電源の計画外停止や燃料調達リスク等、引き続き予断を許さない状況である。今年度顕在化した需給運用の課題解決に向け、国や電力広域的運営推進機関にて検討が進められており、当社としても最大限協力することで、安定供給を確保できるよう対応していく。
また、昨今、電力業界では、公正な競争や事業者への信頼を揺るがす事案が発生している。このような状況を踏まえ、当社グループとしては、社内体制の強化や社員教育などを通じて、関係法令の遵守を徹底するとともに、不適切な行為の防止に努めていく。
さらには、ワークライフバランスの実現と幸福度向上を目的に、社員一人ひとりが快適に働くことができる環境づくりや、人と組織が最大限のパフォーマンスを発揮できる働き方の実現を目指して、“TEPCO Work Innovation”を推進していく。
② 優先的に対処すべき課題
[ホールディングス]
<福島事業>ロ.地域と共生した福島第一原子力発電所の廃炉の貫徹
長期にわたる廃炉の貫徹に向け「廃炉中長期実行プラン」のもと、現場・現物を踏まえたプロジェクト管理と安全・品質管理の機能の強化を図り、安全・着実かつ計画的に廃炉作業を進めていく。1号機については、使用済燃料プールからの燃料取り出しに向け、大型カバー設置などを着実に進める。
2号機については、国際廃炉研究開発機構と連携して燃料デブリの試験的取り出しに取り組んでいる。8月22日、燃料デブリ試験的取り出し作業において、着手前の最終チェックで事前の計画と異なる押し込みパイプの状況を確認したため、一旦作業を止めて立ち止まることとした。本事案発生の原因として、パイプの運搬といった一般的な準備作業等は当社が確認することとしていなかった点や、高線量で重装備が必要な厳しい環境下であることを意識した作業工程や手順にするといった現場視点や作業訓練が不足していたことが挙げられる。
改めて追加対策を行った上で、9月10日より、燃料デブリ試験的取り出しを開始した。燃料デブリを把持する作業の準備として動作確認を行ったところ、9月17日にカメラ映像が遠隔操作室内のモニターに適切に送られてこないことが確認されたことから、テレスコ式装置のカメラ交換作業を行った。原因は放射線の影響による可能性が高いと考えており、作業再開に当たっては各カメラの電源を「入」状態に維持する等の見直しを実施した。10月28日より、燃料デブリ試験的取り出し作業を再開した。11月7日に燃料デブリをエンクロージャ側面のハッチから搬出し、試験的取り出し作業を完了した。今後、将来の燃料デブリ取り出しに資するよう、構外の分析施設にて燃料デブリの性状等の分析を進めていく。
試験的取り出し作業にあたっては、高線量下の作業かつ遠隔操作を伴う難しい作業環境となるため、安全を最優先に着実に取り組んでいく。
また、「復興と廃炉の両立」の方針のもと、地元企業の参画拡大や域外企業の誘致を通じて、浜通り地域における廃炉関連産業の形成を推進し、地域の雇用創出や人財育成、産業・経済基盤の創造に貢献していく。
ハ.多核種除去設備等処理水(ALPS処理水)の扱い
ALPS処理水の海洋放出にあたっては、実施計画に基づく安全・品質の確保や科学的根拠に基づく情報の国内外への発信、海域モニタリングの強化など、政府の基本方針を踏まえた取り組みを着実に進めていく。
また、IAEAによるレビューを通じた客観性・透明性の確保に努めていく。さらに、ALPS処理水の放出に伴う風評影響を最大限抑制すべく、国内外の理解醸成に向けた科学的根拠に基づく情報発信に加えて、国産水産品の一部の国・地域による輸入停止措置に対しては、引き続き影響の実態把握に努めるとともに、販売イベント等を通じた消費拡大や事業者さまへの販路開拓のご提案等により、流通促進活動に取り組んでいく。また、ALPS処理水の海洋放出に伴う被害に対して、適切に賠償していく。
<経済事業>ニ.原子力発電事業の取り組み
柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に向け、7号機での燃料装荷及び原子炉起動に必要な機能の確認に引き続き、6号機の安全対策や、特定重大事故等対処施設に必要な工程を進めていく。
また、福島第一原子力発電所事故の反省を踏まえ、多重化・多様化した安全対策設備を配備していることに加え、原子力防災訓練を繰り返し行い、緊急時においても迅速かつ円滑に応急対策を講じられるよう継続的に対応力の向上を図っている。これらの発電所内の対策に加えて、自治体が作成する避難計画の実効性を高めるため、関係する自治体のみなさまのご意見を踏まえ、最大限の支援を行っていく。あわせて、自然災害への備えとして当社施設の活用など、住民の方々への支援についても検討を進めていく。
こうした取り組みについて、発電所構内への視察の受け入れやコミュニケーションブース・説明会の開催等を通じて、地域のみなさまとの対話を積み重ね、透明性が高く信頼される発電所を目指していく。
(5) 研究開発活動
当中間連結会計期間の研究開発費の総額は、5,507百万円である。
なお、当中間連結会計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はない。
(6) 生産及び販売の実績
当社グループは、原子力発電等を行う「ホールディングス」、火力発電等を行う「フュエル&パワー」、送電・変電・配電による電力の供給等を行う「パワーグリッド」、電気の販売等を行う「エナジーパートナー」及び再生可能エネルギー発電等を行う「リニューアブルパワー」の5つのセグメントがコスト意識を高めるとともに自発的に収益拡大に取り組みつつ、一体となって電気事業を運営している。加えて、電気事業が連結会社の事業の大半を占めており、また、電気事業以外の製品・サービスは多種多様であり、受注生産形態をとらない製品も少なくないため、生産及び販売の実績については、電気事業のみを記載している。
なお、電気事業については、夏季のピーク需要に対応する供給コストの上昇を反映した夏季料金(7月1日から9月30日まで)を設定しており、料金収入に季節的変動がある。
① 発電実績
種別2024年度中間会計期間
(百万kWh)
前年同期比
(%)




水力発電電力量6,53495.7
火力発電電力量82102.6
原子力発電電力量--
新エネルギー等発電電力量34108.7
発電電力量合計6,65195.8

(注) 1.上記発電実績には、連結子会社の一部を含んでいる。
2.2019年4月1日付けで㈱JERAが承継会社となり、東京電力フュエル&パワー㈱の燃料受入・貯蔵・送ガス事業及び既存火力発電事業等を吸収分割により承継させた。これにより、火力発電電力量は東京電力パワーグリッド㈱の離島における発電電力量である。
② 販売実績
(a) 総販売電力量
種別2024年度中間会計期間
(百万kWh)
前年同期比
(%)
小売販売電力量95,09595.5
卸販売電力量21,176133.0
総販売電力量116,271100.7

(注) 連結子会社の一部を含んでいる。
(b) 電気料収入
種別2024年度中間会計期間
(百万円)
前年同期比
(%)
電気料収入2,160,78695.1

(注) 1.連結子会社の一部を含んでいる。
2.電気料収入は小売販売電力量に相当する。
3.「デフレ完全脱却のための総合経済対策」に基づき実施される「電気・ガス価格激変緩和対策事業」及び「酷暑乗り切り緊急支援」により、国が定める値引き単価による電気料金の値引きを行っており、その原資として補助金(以下、「当該補助金」という。)91,377百万円を受領している。内訳は「パワーグリッド」が428百万円、「エナジーパートナー」が90,948百万円である。電気料収入には当該補助金収入を含んでいない。
(c) 託送収入
種別2024年度中間会計期間
(百万円)
前年同期比
(%)
託送収益790,239102.1

(注) 東京電力パワーグリッド㈱におけるセグメント間取引消去前の託送収入である。
(7) 設備の状況
前連結会計年度末において計画中であった主要な設備の新設、除却等について、当中間連結会計期間に重要な変更はない。また、当中間連結会計期間に新たに確定した主要な設備の新設、除却等の計画はない。
なお、前連結会計年度末における主要な設備の新設等の計画の当中間連結会計期間の完了分は、次のとおりである。
(送電設備)
会社名件名セグメントの名称種別電圧(kV)亘長(km)着工運転開始
東京電力パワーグリッド㈱千葉印西線新設パワーグリッド地中2751番線:10.5
2番線:10.5
2020年6月2024年6月

(変電設備)
会社名件名セグメントの
名称
最高電圧
(kV)
増加出力
(MVA)
着工運転開始
東京電力パワーグリッド㈱千葉印西変電所新設パワーグリッド2756002022年6月2024年6月

(注)千葉印西変電所の変電設備の出力は600MVAとなった。