四半期報告書-第36期第1四半期(2023/04/01-2023/06/30)

【提出】
2023/08/10 10:15
【資料】
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【項目】
39項目
(1) 経営成績の分析
[事業活動の取り組み状況]
グローバルでのDX等の加速や、ニーズの多様化・高度化に対応するため、グローバル市場でビジネス拡大を図り、市場の変化に対応したデジタルオファリングの拡充を進めました。
NTT Ltd.との海外事業統合により、グローバルでのConnectivity領域のケイパビリティも獲得し、コンサルティングからアプリケーション開発、インフラサービスまでを含めた多様なITサービスの提供に取り組みました。
具体的な取り組みは次のとおりです。
⦅先回りした災害対応の検討・判断を支援するD-Resilio連携基盤の提供を開始⦆
当社グループは、「D-Resilio連携基盤」を2023年6月より提供開始し、ハイレジリエント(注1)な社会の実現をめざします。
本基盤は防災情報の集約と連携を重視し、災害時に迅速かつ正確な情報収集を行政や企業に提供します。ベンチャー企業を含むさまざまな企業との連携により、防災に役立つ情報コンテンツを提供し、新しい基盤サービスを実現します。災害予防から復旧までの各段階で有用な情報を一元的に集約し、従来分散していたハザード・被災・災害対応情報をまとめることで、行政や企業の情報収集負荷を減らします。また、集約した情報はAPI連携を介して各種サービスアプリケーションに効果的に組み込むことを可能にするとともに、地図上で利用できる「D-Resilio Viewer」も提供します。
今後はお客様の意見を取り入れながら機能拡張を進め、2024年度末までに300ユーザーへの導入をめざします。当社グループは、防災業務のデジタル化や業界間の連携を推進するために、さらなる共創活動を行いながら、D-Resilio連携基盤を成長させていきます。
⦅お客様のデータドリブン経営(注2)への変革を支援⦆
当社グループは、AIを活用したデータ分析・利活用の人財育成プログラム提供を株式会社京都銀行(以下、京都銀行)向けに2023年4月より本格的に開始しました。
本プログラムは「DataRobot AIプラットフォーム」(注3)と「AIサクセスプログラム」で構成されており、「AIサクセスプログラム」では当社のデータサイエンティストが、ビジネス課題の発見・整理のほか、テーマに応じたデータサイエンスの知見、過去事例を踏まえた運用支援等、一気通貫で京都銀行のデータ分析・利活用を実施します。本プログラムを通じ、京都銀行におけるビジネス課題をデータに基づいて解決する人財育成を支援します。今後当社グループは獲得したノウハウや成功事例を金融業界に展開し、お客様のデータドリブン経営への変革を支援します。
⦅デザイン&デジタル領域の専門家による顧客体験価値向上の包括支援サービスを開始⦆
当社グループは、「デジタルサクセス」CXイノベーションサービスを2023年4月から提供開始し、顧客体験価値(以下、CX)の向上を実現します。
本サービスでは、CX向上のために顧客の体験デザイン、顧客タッチポイント構築、データ整備・活用を、一貫性を持って伴走支援します。企業のDXの取り組みは、デジタルテクノロジーの導入や業務効率化からCXやビジネス効果へと重点が移行しており、当社はお客さまのDX推進を迅速に加速するため、CX向上を支援する約600名体制のデザイン&テクノロジー推進組織を整備しました。本組織では、社内の専門家に加えてSalesforceやSnowflakeとの連携を強化し、リアルタイムなデータ活用とパーソナライズ施策を通じたCX向上をめざします。当社グループは2025年度までに「デジタルサクセス」CXイノベーションサービスを30社に提供する計画です。さらに、同じく2025年度までにSalesforce認定コンサルタント/エンジニア及びSnowflakeのスペシャリストをそれぞれ1000人、700人以上確保することをめざし、人財の獲得と育成に積極的に投資していきます。
⦅One NTT DATAによるフルスタックサービスの提供案件獲得⦆
・NTT Ltd.とNTT DATA Servicesは、大手多国籍企業向けに親会社からのスピンアウトに伴うIT環境構築案件を2023年5月に受注いたしました。
同社は親会社からのスピンアウトに伴い2024年初めまでに親会社からアプリケーション及びインフラを切り離し、スタンドアロンとして稼働させることをめざしており、NTT Ltd.はインフラ領域(ワークプレイス、ネットワーク、セキュリティ、ホスティングプラットフォーム環境等)を、NTT DATA Servicesはアプリケーション領域(Oracle Fusion Cloud ERP、Workday HCM、ServiceNow、MuleSoft等)を担当し、One NTT DATAとしてフルスタックでお客様をサポートいたします。
NTT Ltd.がお客様向けエンゲージメントを通じて要件ヒアリングを丁寧に実施し、NTT DATA Servicesのアプリケーション領域のケイパビリティを加えることにより、インフラ領域だけでなくアプリケーション領域の顧客要件を充足できたことが本案件の受注に繋がりました。
・NTT Ltd.とNTT DATA Business Solutionsの連携を通じて、タイの有料道路公社であるDon Muang Tollway社より、SAPマイグレーション案件を2023年4月に受注いたしました。
本案件においては、NTT Ltd.がRise with SAP S/4 HANA cloud、バックアップ用AWS、マネージドサービス、セキュリティファイアウォール等を提供し、NTT DATA Business SolutionsがSAPマイグレーション及び実装を担い、お客様をサポートいたします。
NTT Ltd.が長期に亘り築き上げた顧客基盤に、NTT DATA Business SolutionsのもつSAPアプリケーション領域の強みをかけ合わせることで本案件の受注へと繋がりました。
今後もOne NTT DATAとして総合的なソリューションを訴求し、お客様のDXを支援してまいります。
(注1)ハイレジリエント
災害発生時に社会が災害時の影響を効果的に防ぎ、対応するとともに回復する能力が高いことです。
(注2)データドリブン経営
膨大かつさまざまな種類のデータを活用した分析結果を元に、仮説検証型で付加価値創出・意思決定を図ることです。
(注3)DataRobot AIプラットフォーム
容易に実装できる包括的なAIライフサイクルプラットフォームで、機械学習を活用してスピーディーかつ大規模に価値創出を実現します。
[連結業績及び各セグメントの取り組み方針・業績]
当第1四半期連結累計期間における業績につきましては、売上高は、NTT Ltd.連結拡大影響に加え、国内・欧州における規模拡大及び為替影響等により増収となりました。営業利益は、NTT Ltd.連結拡大影響や増収等に伴う増益はあるものの、海外における統合費用・構造改革費用の増加及び全社戦略投資の増加等により前年並みとなりました。
・売上高1,014,955百万円(前年同四半期比49.8%増)
・営業利益58,302百万円(同1.4%増)
・税引前四半期利益48,238百万円(同18.1%減)
・当社株主に帰属する四半期利益27,661百万円(同30.4%減)
・(参考)受注高998,292百万円(同60.3%増)

セグメント別の取り組み方針及び業績は次のとおりです。
(公共・社会基盤)
「デジタル社会の実現に向けた重点計画」における行政や準公共分野(医療・教育・防災・モビリティ等)のデジタルサービス拡充などにより、デジタル社会実現に向けた取り組みが加速しています。当社グループは、その実現に向け、Foresight起点で社会の未来を描き、先進技術適用・付加価値提案による『顧客ビジネス深化』、利用者目線での『社会システム創出』に取り組むことにより、事業拡大をめざします。
当第1四半期連結累計期間の業績は次のとおりです。
・売上高は、中央府省向け案件の規模拡大等により、146,734百万円(前年同四半期比13.1%増)となりました。
・営業利益は、増収等により、15,523百万円(同36.9%増)となりました。
(金融)
社会のデジタル化の進展により、生活に密着した金融サービスが次々と登場している中、金融システムには、信頼性と先進性の両立が一層求められています。当社はサステナブルな社会の実現に向けて、安心・安全な金融インフラを永続的に支え続けるとともに、業界をつなぐ新たな金融サービスの創出・拡大をめざします。
当第1四半期連結累計期間の業績は次のとおりです。
・売上高は、地域金融機関向け案件の規模拡大等により、165,590百万円(前年同四半期比1.4%増)となりました。
・営業利益は、増収等により、17,186百万円(同6.4%増)となりました。
(法人)
2023年4月に法人分野の組織再編を行いました。コンサルティング、ペイメント、テクノロジーそれぞれの専門性を発揮し提供価値向上を担う組織と、インダストリー軸でそれらを束ね、Foresight起点でエンドツーエンドでお客さまに価値提供するインダストリー組織のマトリクス運営を進めます。さまざまなインダストリーのお客さまの、ビジネス変革を加速するビジネスパートナーとして、業界・お客さまのあるべきビジネスの姿をお客さまと描き、それを実現するための企画策定から、先進技術活用力とシステム開発技術力を活用した変革の実現まで、一貫して高い価値を提供していきます。
当第1四半期連結累計期間の業績は次のとおりです。
・売上高は、小売・消費財向け案件の規模拡大等により、130,279百万円(前年同四半期比9.5%増)となりました。
・営業利益は、増収等による増益はあるものの、成長施策の投資増により、12,768百万円(同2.8%減)となりました。
(海外)
グローバル全体でのシナジーを生み出すために事業構造の転換をめざし、コンサルティング及びデジタル領域を中心としたオファリングの拡充、既存ビジネス領域での自動化促進等を含めた収益性向上、デジタル人財の拡充及び育成をグローバル一体となって行っていきます。さらに、DXが加速する中で求められるサービスにNTT Ltd.が持つデータセンタやネットワークサービス等のインフラ・Connectivityの強みを加えトータルに提供し、複雑化・多様化するニーズにグローバルレベルで対応していきます。
当第1四半期連結累計期間の業績は次のとおりです。
・売上高は、NTT Ltd.連結拡大影響、欧州での規模拡大及び為替影響等により、618,222百万円(前年同四半期比102.5%増)となりました。
・営業利益は、NTT Ltd.連結拡大影響及び増収等による増益はあるものの、統合費用・構造改革費用の増加により、15,011百万円(同12.9%増)となりました。
(2) 財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末の資産は、主に有形固定資産及び無形資産が為替影響含めて増加した結果、6,529,058百万円と前期末に比べ370,863百万円の増加となりました。負債も、有利子負債の増加等により、3,968,395百万円と前期末に比べ206,566百万円の増加となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
営業活動によるキャッシュ・フローは、営業債権及びその他の債権の減少による166,262百万円の収入や減価償却費及び償却費82,190百万円等により、202,560百万円の収入(対前年同四半期比104,110百万円収入増加)となりました。
一方、投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形資産の取得による支出等により、121,157百万円の支出(同109,838百万円の支出増加)となったことから、当期のフリー・キャッシュ・フローは81,402百万円の黒字(同5,727百万円減少)となりました。
また、財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支出があるものの、有利子負債の調達等により、14,789百万円の収入(同87,343百万円の収入増加)となりました。
(4) 重要性がある会計方針及び重要な会計上の見積り
当社グループにおける重要性がある会計方針及び重要な会計上の見積りについては、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記3.重要性がある会計方針」及び「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(6) 研究開発活動
当社グループは、グローバルでの厳しい競争に勝ち残っていくため、新しい技術トレンドを積極的にビジネスに取り入れる「最先端技術・イノベーション推進」に取り組むとともに、システム開発の高速化、高品質化やクラウド化・デジタル化を見据えたクラウド基盤の構築等、「生産技術革新」に関する研究開発に取り組んでいます。最先端技術に関する知見やノウハウをグローバルで集約・活用しイノベーションを推進していくとともに、次世代の生産技術を磨いていきます。
更に、日本電信電話株式会社との研究開発連携により、基盤的研究開発テーマについてはその成果を活用し、当社のリソースを応用的研究開発テーマに重点配分しています。
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は5,436百万円です。
この四半期報告書に掲載されているサービス及び商品等は、当社グループ各社あるいは他社等の登録商標又は商標です。
なお、将来に関する記述は、当社グループが当四半期連結会計期間の末日時点で把握可能な情報から判断する一定の前提に基づいており、今後様々な要因によって記載内容とは異なる可能性があることをご承知おきください。