四半期報告書-第40期第3四半期(平成30年10月1日-平成30年12月31日)

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2019/02/13 9:00
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14項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、各国の通商問題の深刻化などにより世界経済の先行きに不透明感が増しているものの、堅調な企業収益や雇用環境の改善などを背景として、全体的に緩やかな回復基調が続いています。
情報サービス産業におきましては、製造、流通分野などでIT投資が回復傾向にあり、ビジネス環境は堅調に推移しています。
このような状況下、当社グループにおきましては、「リーディング・カンパニーとして、IT産業の進化を担う」ことを目指した、2019年3月期から2021年3月期までの3か年の中期経営計画「Opening New Horizons ~新しい景色を見るために~」を策定しました。新しい活動領域を“Horizons”と定め、「上に広げる:ビジネス変革への挑戦」、「前に伸ばす:強みをさらに強く」、「外に出る:新たな分野・リージョンの開拓」、「足元を固める:経営基盤の強化」に注力しています。具体的な取り組みは以下のとおりです。
・伊藤忠商事株式会社の基幹システム刷新の第一弾として、デジタルトランスフォーメーション時代を見据えた、より迅速かつ柔軟なビジネスデータ分析を支援する「次世代全社統合データ基盤」を構築しました。引き続き2020年度にかけて、販売情報や決算情報のリアルタイム処理による経営判断の迅速化・高度化、AIを活用した業務効率化などを支援する新機能を拡充していきます。
・デジタル社会の急速な発展に伴いシステムの多様化が進んでおり、オンプレミスとクラウドを併用する企業が増加しています。そのようなハイブリッド環境の構築と、システム移行、監視、バックアップなどに対応する統合的なマネージドサービス「'CUVIC' Managed Multi-Cloud Platform」の提供を開始しました。今後は、同マネージドサービスのオプションを追加するなど、マルチクラウドへの対応を強化することで、お客様の最適なハイブリッド環境を実現するとともにデジタルビジネスへの取り組みを支援していきます。
・2011年から提供している、再生可能エネルギーなどの利用を管理するクラウドサービス「E-PLSM(エプリズム)」に、発電設備の異常予兆を検知する機能追加と、風力・太陽光の発電出力予測機能の精度向上に向けた機能強化を行いました。再生可能エネルギーの普及拡大には、電力需給のバランスを保つための発電出力予測の精緻化が必要です。今後もE-PLSMの拡充により、お客様の生産性向上を支援するとともに、クリーンエネルギー技術の発展を通じてSDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献していきます。
・欧州や北米におけるITサービス事業の拡大を目的に、英国Newton Information Technology Ltd.との業務提携や、米国の海外子会社ITOCHU Techno-Solutions America,Inc.を通じて、米国SYSCOM (USA) INC.との資本提携(同社株式33.7%を取得)を実施しました。今後は、欧州、北米、ASEAN、日本で連携し、グローバルでお客様サポートを実現していきます。
・顧客の要望や仕様の変化に柔軟に対応しながら、新規ビジネスを素早くスモールスタートで始めることが可能なアジャイル開発のための専用スペース「アジャイルオフィス」を東京都と愛知県豊田市のオフィス内に開設しました。お客様と密に連携が取りやすい環境でデジタルビジネスの共創に努めるとともに、対応するエンジニアの育成にも注力していきます。
・スタートアップ企業の支援やお客様との合弁事業による事業領域の拡大を目的に設立したコーポレート・ベンチャー・キャピタル「CTCイノベーションパートナーズ」の投資案件として、深層学習を活用した手書き文字認識(AI・OCR)分野でトップクラスの技術を持つ株式会社シナモンへ出資しました。また、循環型社会の形成やSDGsの達成への寄与にも鑑み、食品の売れ残りなどを買い手とつなぐフードロス削減のためのプラットフォームを提供する株式会社コークッキングや、シェアリングエコノミー分野を支えるリセールプラットフォームを手掛ける株式会社アクティブソナーに出資しました。
・昨今のビッグデータ、IoT、AIの発展に伴い不足するデータサイエンス分野の人材を育成するため、学校法人早稲田大学と学術交流協定を締結しました。産学連携で、企業におけるデータ分析やAI開発を促進するとともに同分野の人材育成に注力していきます。また、大規模なAI利用の検証や学習が可能な環境「AI_LAB」を開設し、同施設における大学向け無償プログラムの提供も開始しました。更には、AIビジネスの推進体制を一層強化する目的でAIの教育プログラムを社員約3,000名に対して実施しています。
・社員の働きがいの向上に資する、人事制度の拡充や多様な働き方を支える働き方改革の推進を通じて「魅力のある会社づくり」に取り組んでいます。その一環として、社員のがんの予防、早期発見、医療支援のための専門健診の拡充や高額な医療費をサポートする「がん先進医療支援金制度」を導入し、がん治療と仕事の両立を支援する体制を整えました。
営業活動につきましては、製造や通信、インターネットサービスプロバイダ向けインフラ構築案件などに注力しました。
当第3四半期連結累計期間の業績は、サービスビジネス及び開発ビジネスにおいて増加し、売上収益は300,009百万円(前年同期比1.8%増)となりました。営業利益につきましては、増収及び売上総利益率の改善により、17,866百万円(同7.6%増)となりました。また、営業利益が増加したものの関係会社株式売却益などの減少により税引前四半期利益は18,252百万円(同0.5%減)、四半期純利益は12,450百万円(同0.4%増)、当社株主に帰属する四半期純利益は12,333百万円(同0.0%増)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
なお、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分方法を変更しているため、前第3四半期連結累計期間との比較・分析は変更後の区分方法に基づいております。
① 流通・エンタープライズ事業
製造向け案件などが増加し、売上収益は106,092百万円(前年同期比0.1%増)となりましたが、関係会社株式売却益の減少などにより、税引前四半期利益は5,653百万円(同1.6%減)となりました。
② 情報通信事業
通信向けやインターネットサービスプロバイダ向け案件などが増加し、売上収益は109,202百万円(同8.3%増) となりましたが、売上総利益率の低下や販売費及び一般管理費の増加などにより、税引前四半期利益は5,757百万円(同5.7%減)となりました。
③ 広域・社会インフラ事業
公益向けや公共向け案件の減少などにより、売上収益は33,386百万円(同13.0%減)となり、税引前四半期利益は35百万円(同87.9%減)となりました。
④ 金融事業
金融向け案件などが増加し、売上収益は29,979百万円(同2.1%増)となりました。増収に加え売上総利益率の改善などにより、税引前四半期利益は1,408百万円(同17.2%増)となりました。
⑤ ITサービス事業
当セグメントは、クラウド関連ビジネス及び保守・運用を中心としたサービスビジネスを全社横断的に提供しており、売上収益は77,518百万円(同0.1%増)、税引前四半期利益は6,712百万円(同16.2%増)となりました。
⑥ その他
一部の海外子会社における案件などが増加し、売上収益は25,292百万円(同14.1%増)となりました。増収に加え持分法による投資損益の増加などにより、税引前四半期利益は435百万円(前年同期は612百万円の税引前四半期損失)となりました。
(注) 上記セグメントの売上収益及び税引前四半期利益は、セグメント間の内部売上収益等を含めて表示しております。
(2) 財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末における資産は、前連結会計年度末に比べて6,531百万円減少し、347,351百万円となりました。これは、主に現金及び現金同等物が10,235百万円、棚卸資産が14,191百万円、その他の流動資産が20,520百万円増加したものの、営業債権及びその他の債権が46,120百万円、その他の金融資産(流動資産)が2,223百万円、繰延税金資産が2,844百万円減少したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末に比べて8,202百万円減少し、134,830百万円となりました。これは、主にその他の流動負債が11,969百万円増加したものの、営業債務及びその他の債務が9,601百万円、未払法人所得税が6,678百万円、従業員給付(流動負債)が4,856百万円減少したことによるものであります。
資本は、前連結会計年度末に比べて1,671百万円増加し、212,521百万円となりました。これは、主に剰余金の配当による減少が11,199百万円あったものの、四半期純利益による増加が12,450百万円、その他の包括利益による増加が336百万円あったことによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」)は、前連結会計年度末に比べて、10,235百万円増加し、61,238百万円となりました。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況と主な内容は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は22,740百万円となりました。これは、税引前四半期利益が18,252百万円、減価償却費及び償却費が6,510百万円、営業債権及びその他の債権が32,880百万円の減少となったことに加え、棚卸資産が13,193百万円の増加、営業債務及びその他の債務が9,515百万円の減少、法人所得税の支払額が10,270百万円の支出となったことによるものであります。
前第3四半期連結累計期間との比較では、棚卸資産の増減額が8,596百万円減少したものの、営業債権及びその他の債権の増減額が17,890百万円増加したこと等により、獲得した資金は、10,602百万円増加しております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は1,899百万円となりました。これは、有形固定資産の取得による支出が2,042百万円、無形資産の取得による支出が1,128百万円、投資有価証券の取得による支出が412百万円、関係会社株式の取得による支出が504百万円となったものの、預け金の純増減額が2,000百万円の収入となったことによるものであります。
前第3四半期連結累計期間との比較では、関係会社株式の取得による支出が504百万円増加したことや、関係会社株式の売却による収入が751百万円減少したこと等により、使用した資金は1,297百万円増加しております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は10,627百万円となりました。これは、セール・アンド・リースバックによる収入が2,612百万円となったものの、ファイナンス・リース債務の返済による支出が2,037百万円、当社株主への配当金の支払額が11,043百万円となったことによるものであります。
前第3四半期連結累計期間との比較では、セール・アンド・リースバックによる収入が2,668百万円減少したことに加え、当社株主への配当金の支払額が1,213百万円増加したこと等により、使用した資金は4,306百万円増加しております。
(4) 研究開発活動
当社グループの当第3四半期連結累計期間における研究開発費は、1,132百万円(情報通信事業 285百万円、その他 846百万円)であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。