有価証券報告書-第39期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
1.経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。
(1) 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、海外における政策の不確実性などによる景気への影響が懸念されたものの、堅調な企業収益や雇用環境の改善などにより、全体的に緩やかに回復いたしました。
情報サービス産業におきましては、製造、流通分野などでIT投資が回復傾向にあり、全体的にビジネス環境は堅調に推移いたしました。
このような状況下、当社グループにおきましては、「リーディング・カンパニーとして、IT産業の進化を担う」ことを目指す姿とした、2016年3月期から2018年3月期までの3か年の中期経営計画の達成に向け、サービス型ビジネスの拡大や、総合力発揮による顧客基盤強化、積極的な成長投資などに取り組みました。また、中期経営計画最終年度となる当連結会計年度は、それらの取り組みの継続に加えて、次期中期経営計画を見据えた、新分野・未来技術への取り組みにも注力いたしました。
<サービス型ビジネス拡大への取り組み>サービスデスクやコンタクトセンターなどの業務をアウトソーシングサービスとして担う、当社の100%子会社であったCTCファーストコンタクト㈱を2017年7月3日付で㈱ベルシステム24ホールディングスとの合弁会社といたしました。これによりBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)分野でのビジネス拡大を目指しております。
お客様の人工知能(AI)活用を総合的に支援する専門組織を設立し、サービス、ソリューションの開発に取り組みました。その一環として、ディープラーニングに特化した米国NVIDIA Corporation社製のAIスーパーコンピュータの取り扱いや、企業での利用を支援するための開発プロセスと技術を体系化したAIハイブリッドクラウド環境「CTC Integrated AI Platform Stack」の提供を開始いたしました。また、AI分野でのアプリケーションやサービス開発、実証実験などに携わる企業23社(2018年3月末日時点)が結集し、関連するノウハウを相互に共有して連携を図る「AIビジネス推進コンソーシアム」への参画や、同分野の発展に必要とされるデータサイエンティストの育成及び産学連携促進を目的とした国立大学法人滋賀大学との提携を行いました。
お客様のシステムに対する要件や用途に基づき、オンプレミスでのシステム構築、当社独自のクラウドサービス、その他のパブリッククラウドサービスなど、異なる環境を連携して最適なシステムに組み上げる「クラウドインテグレーション力」の強化を図りました。その取り組みの一つとして、アマゾン ウェブ サービスのパートナープログラムAWS Partner Networkの最上位である「AWS プレミアコンサルティングパートナー」認定を取得いたしました。また、アビームコンサルティング㈱とクラウド分野において協業を開始し、同社が提供するビジネスイノベーションプラットフォーム「ABeam Cloud」基盤に当社の基幹系特化型クラウドサービス「CUVICmc2」が採用されました。
<総合力発揮への取り組み>2016年4月のセグメント再編を含む組織改編に続き、2017年4月には総合力の更なる発揮のための組織改編を実施し、営業と技術をそれぞれ1名の役員が管掌として統括することといたしました。これらの取り組みが組織間の柔軟な人材リソース活用による大型案件の対応力強化、ひいてはお客様との連携強化につながっております。
<成長投資や新分野・未来技術への取り組み>グローバルビジネスの更なる拡大を目指し、当社の海外子会社であるCTC GLOBAL SDN. BHD.(マレーシア)の子会社としてインドネシアにPT. CTC Techno Solutions Indonesiaを設立したことに加え、タイの合弁会社CTC Global (Thailand) Ltd.(2018年1月25日付でNetband Consulting Co., Ltd.より商号変更)の全株式を取得して子会社といたしました。今後、国内とASEAN地域でCTCグループの連携を強化し、ASEANの現地企業や日系企業のお客様に最適なITサービスを提供してまいります。
将来を見据えた先端技術を発掘・創造し、事業化に向けた戦略の立案・実行を目的とした「未来技術研究所」を技術戦略グループ配下に新設し、お客様との新規ビジネスに関するアイデア創出から事業化までを総合的に支援するオープンイノベーションプラットフォーム「CTC Future Factory」の提供を開始いたしました。その一環として、新しいアイデアを早期にビジネスに取り入れるためのプロトタイプ開発環境を整備したイベント・共創活動スペース「DEJIMA(デジマ)」を開設いたしました。
イノベーションによる事業創出のスピードアップを目的にコーポレート・ベンチャー・キャピタル、CTCイノベーションパートナーズを設立いたしました。資金の提供と事業への参加を行うことで有望なスタートアップ企業の成長を支援するとともに、お客様との合弁事業による事業領域の拡大を目指しております。第1号案件として、㈱インターネットイニシアティブが設立したデジタル通貨による取引・決済などの金融サービス事業を手掛ける合弁会社㈱ディーカレットへ出資いたしました。
<経営基盤強化への取り組み>中期経営計画では経営基盤強化も重点施策の一つに掲げております。2014年から積極的に推進している「働き方変革」については、社員が働きがいをもって健康で効率的に働ける制度の導入など、様々な取り組みを実施しております。当社は、経済産業省と日本健康会議が主催する「健康経営優良法人2018(ホワイト500)」に2年連続で認定されました。また、がんをはじめとした傷病を抱える社員に対して治療と仕事の両立を促進する取り組みが評価され、東京都が実施する「がん患者の治療と仕事の両立への優良な取組を行う企業表彰」で「奨励賞」を受賞いたしました。
多様性を認め合い、社員の誰もが働きがいをもつことができる環境作りにも努めております。女性社員のキャリア支援を目的とした制度の拡充や情報発信などの取り組みが評価され、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」に基づき、厚生労働大臣が認定する「えるぼし」認定の最高位を取得いたしました。
CTCグループの財務経理・商品管理などのシェアードサービス機能を持つCTCビジネスエキスパート㈱を2017年11月1日付で設立いたしました。経理業務全般、商品の発注や管理、物流センター運用管理などの機能をグループで集約することで専門性と生産性を高め、経営力の向上を図りました。
営業活動につきましては、流通向け開発案件やインフラ案件、通信向けネットワーク構築案件、公共及び公益向けインフラ案件などに注力いたしました。
当連結会計年度の業績は、サービスビジネス、開発ビジネス及び製品ビジネス、全てにおいて増加し、売上収益は429,625百万円(前年同期比5.3%増)となりました。営業利益につきましては、増収により32,622百万円(同4.8%増)となりました。また、営業利益の増加に加え、関係会社株式売却益などにより税引前利益は33,729百万円(同7.8%増)、当期純利益は23,774百万円(同8.1%増)、当社株主に帰属する当期純利益は23,581百万円(同7.9%増)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分方法を変更しているため、前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分方法に基づいております。
① 流通・エンタープライズ事業
売上収益は146,938百万円(前年同期比11.9%増)、税引前利益は8,839百万円(同22.8%増)となりました。
② 情報通信事業
売上収益は155,025百万円(同2.6%増)、税引前利益は12,842百万円(同12.1%減)となりました。
③ 公共・広域事業
売上収益は39,324百万円(同2.4%増)、税引前利益は1,430百万円(同52.5%増)となりました。
④ 金融・社会インフラ
売上収益は54,879百万円(同6.6%増)、税引前利益は2,985百万円(同9.2%増)となりました。
⑤ ITサービス事業
売上収益は188,985百万円(同0.0%減)、税引前利益は6,751百万円(同12.9%減)となりました。
⑥ その他
売上収益は34,350百万円(同1.3%増)、税引前利益は986百万円(同9.4%増)となりました。
(注) 上記セグメントの売上収益及び税引前利益は、セグメント間の内部売上収益等を含めて表示しております。
(2) 財政状態の状況
当連結会計年度末における財政状態の状況は次のとおりであります
(資産)
資産は、前連結会計年度末に比べて20,759百万円増加し、353,882百万円となりました。これは、主に営業債権及びその他の債権が14,897百万円、その他の流動資産が5,006百万円増加したことによるものであります。
(負債)
負債は、前連結会計年度末に比べて5,610百万円増加し、143,032百万円となりました。これは、主にその他の流動負債が4,024百万円、長期金融負債が895百万円増加したことによるものであります。
(資本)
資本は、前連結会計年度末に比べて15,149百万円増加し、210,850百万円となりました。これは、主に剰余金の配当による減少が9,914百万円あったものの、当期純利益による増加が23,774百万円、その他の包括利益による増加が1,080百万円あったことによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」)は、前連結会計年度末に比べて2,790百万円増加し、51,003百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と主な内容は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は11,014百万円となりました。これは、税引前利益が33,729百万円、減価償却費及び償却費で8,820百万円の収入となったことに加え、営業債権及びその他の債権の増減額が20,778百万円、法人所得税の支払額が11,295百万円の支出となったことによるものであります。
前連結会計年度との比較では、税引前利益が2,429百万円、棚卸資産の増減額が4,271百万円増加したものの、営業債権及びその他の債権の増減額が12,395百万円減少したことに加え、法人所得税の支払額が2,021百万円増加したことにより、獲得した資金は14,189百万円減少しております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は2,306百万円となりました。これは、関係会社株式の売却による収入が751百万円、預け金の純増減額が2,000百万円の収入となったものの、有形固定資産の取得による支出が3,419百万円、無形資産の取得による支出が1,078百万円、子会社株式の取得による支出が464百万円となったことによるものであります。
前連結会計年度との比較では、無形資産の取得による支出が3,219百万円減少したことに加え、預け金の純増減額が5,000百万円の増加から2,000百万円の減少となったことにより、使用した資金は11,851百万円減少しております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は5,994百万円となりました。これは、セール・アンド・リースバックによる収入が6,218百万円となったものの、ファイナンス・リース債務の返済による支出が2,473百万円、当社株主への配当金の支払額が9,824百万円となったことによるものであります。
前連結会計年度との比較では、当社株主への配当金の支払額が1,152百万円増加したものの、セール・アンド・リースバックによる収入が2,647百万円増加したことにより、使用した資金は1,838百万円減少しております。
(4) 生産、受注及び販売の状況
① 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)金額は外注費を除くシステム開発にかかる発生原価によっており、消費税等は含まれておりません。
② 商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)金額は仕入価格によっており、消費税等は含まれておりません。
③ 受注状況
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。
④ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については、調整額において消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
3.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は次のとおりであります。
(売上収益)
当連結会計年度の売上収益は、流通、情報通信、金融、公益分野などの増加により、前連結会計年度と比べて21,776百万円(前年同期比5.3%)増加し、429,625百万円となりました。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上総利益は、主に増収により、前連結会計年度と比べて4,884百万円(同5.1%)増加し、101,601百万円となりました。
売上総利益率は、開発ビジネスにおける採算性の改善などがあったものの、不採算案件の増加などにより、前連結会計年度の23.7%から0.1ポイント減少の23.6%となりました。
(その他の収益及び費用)
当連結会計年度のその他の収益及び費用は、人件費や業務委託料、減価償却費などの増加により、前連結会計年度に比べて3,391百万円(同5.2%)増加し、68,978百万円となりました。
(営業利益)
営業利益は、前連結会計年度と比べて1,493百万円(同4.8%)増加し、32,622百万円となりました。また、売上収益営業利益率は前連結会計年度と同率の7.6%となりました。
(税引前利益)
当連結会計年度の税引前利益は、営業利益の増加に加え、関係会社の株式売却益などにより、前連結会計年度に比べて2,429百万円(同7.8%)増加し、33,729百万円となりました。
(当社株主に帰属する当期純利益)
法人所得税は、前連結会計年度に比べて650百万円増加し、9,954百万円となり、非支配持分に帰属する当期純利益は前連結会計年度と比べて58百万円増加し、192百万円となりました。
以上の結果、当社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度と比べて1,720百万円(同7.9%)増加し、23,581百万円となりました。
なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
セグメント別の財政状態及び経営成績の状況は次のとおりであります。
① 流通・エンタープライズ事業
売上収益は、流通向け案件などの増加により、前連結会計年度と比べて15,646百万円(前年同期比11.9%)増加し、146,938百万円となりました。税引前利益は、増収に加え売上総利益率の改善により、前連結会計年度と比べて1,641百万円(同22.8%)増加し、8,839百万円となりました。
セグメント資産につきましては、営業債権及びその他の債権の増加などにより、前連結会計年度末と比べて4,273百万円(同7.3%)増加し、62,569百万円となりました。
② 情報通信事業
売上収益は、インターネットサービスプロバイダ向けや通信向け案件などの増加により、前連結会計年度と比べて3,917百万円(同2.6%)増加し、155,025百万円となりました。税引前利益は、売上総利益率の低下やその他の費用の増加などにより、前連結会計年度と比べて1,765百万円(同12.1%)減少し、12,842百万円となりました。
セグメント資産につきましては、営業債権及びその他の債権、その他の流動資産の増加などにより、前連結会計年度末と比べて12,103百万円(同20.0%)増加し、72,697百万円となりました。
③ 公共・広域事業
売上収益は、公共向け案件などの増加により、前連結会計年度と比べて915百万円(同2.4%)増加し、39,324百万円となりました。税引前利益は、増収に加え売上総利益率の改善により、前連結会計年度と比べて492百万円(同52.5%)増加し、1,430百万円となりました。
セグメント資産につきましては、棚卸資産の減少などにより、前連結会計年度末と比べて1,513百万円(同10.2%)減少し、13,394百万円となりました。
④ 金融・社会インフラ事業
売上収益は、公益向けや銀行向け案件などの増加により、前連結会計年度と比べて3,417百万円(同6.6%)増加し、54,879百万円となりました。税引前利益は、前連結会計年度と比べて251百万円(同9.2%)増加し、2,985百万円となりました。
セグメント資産につきましては、営業債権及びその他の債権、棚卸資産の増加などにより、前連結会計年度末と比べて3,920百万円(同25.9%)増加し、19,054百万円となりました。
⑤ ITサービス事業
当セグメントは、クラウド関連ビジネス及び保守・運用を中心としたサービスビジネスを全社横断的に提供しており、売上収益は前連結会計年度と比べて94百万円(同0.0%)減少し、188,985百万円となりました。税引前利益は、前連結会計年度と比べて999百万円(同12.9%)減少し、6,751百万円となりました。
セグメント資産につきましては、その他の流動資産の増加などにより、前連結会計年度末と比べて1,173百万円(同1.5%)増加し、78,609百万円となりました。
⑥ その他
一部の海外子会社における案件の増加などにより、売上収益は前連結会計年度と比べて435百万円(同1.3%)増加し、34,350百万円となりました。税引前利益は前連結会計年度と比べて85百万円(同9.4%)増加し、986百万円となりました。
セグメント資産につきましては、子会社の増加などにより、前連結会計年度末と比べて4,495百万円(同13.8%)増加し、37,120百万円となりました。
(3) 資本の財源及び資金の流動性に関する情報
① 流動性の確保
当連結会計年度末における当社グループの現金及び現金同等物(以下「資金」)の残高は、前連結会計年度末と比べて2,790百万円増加し、51,003百万円となりました。主な資金の内訳といたしましては、現金及び預金(預入期間が3か月を超える定期預金を除く)31,602百万円、預入期間が3か月以内の預け金19,401百万円となっております。
当社グループでは、キャッシュマネジメントサービスを導入し、グループ会社間の資金を集中管理することにより、効率的かつ安定的な運用を行っております。また、資金運用に際しては、信用リスクが低く安全性の高い金融資産に限定して運用を行っております。
② 資金需要の状況
当連結会計年度における設備投資額は5,208百万円であり、主な投資内容に関しましては、「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に記載のとおりであります。
当社グループにおきましては、運転資金及び設備投資等の資金需要に対して、安定した営業キャッシュ・フローに加えて、上述した内部資金を中心に賄っております。
なお、キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (3) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
3.経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は次のとおりであります。
前連結会計年度(自 2016年4月1日 至 2017年3月31日)
① 収益認識及び工事契約
システム開発及びインフラ構築取引について、日本基準では成果の確実性が認められる場合に工事進行基準を適用し、成果の確実性が認められない場合には工事完成基準を適用しておりました。一方、IFRSでは取引の成果を信頼性をもって見積ることができる場合には収益を期末日の進捗度に応じて認識し、そうでない場合には収益を費用が回収可能と認められる部分についてのみ認識しております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、売上収益が1,129百万円増加、売上総利益及び営業利益並びに税引前利益が714百万円減少しております。
② 有形固定資産
IFRS適用にあたり、一部の有形固定資産について、親会社のIFRS移行日現在の公正価値を当該日現在のみなし原価として使用することを選択しております。また、有形固定資産の残存価額及び減価償却方法に係る見積りも見直しております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、売上総利益が27百万円減少、営業利益及び税引前利益が196百万円減少しております。
③ のれん
日本基準では、のれんは投資効果が発現すると合理的に見積られる期間にわたって規則的に償却をしておりましたが、IFRSでは償却を行っておりません。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、営業利益及び税引前利益が285百万円増加しております。
④ 未消化の有給休暇
未消化の有給休暇について、日本基準では会計処理が求められておりませんでしたが、IFRSでは負債計上を行っております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、売上総利益が36百万円増加、営業利益及び税引前利益が9百万円減少しております。
⑤ リース
貸手のリースについて、日本基準ではリース取引開始時に売上と売上原価を計上し、その差額を売上損益(販売利益)と金融収益(受取利息)とに分け、それぞれリース期間にわたって繰延べる方法を採用しておりますが、IFRSでは売上損益を通常の売買取引に関する会計処理に従って計上し、金融収益のみリース期間にわたって繰延べる方法を採用しております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、売上収益、売上総利益、営業利益及び税引前利益が128百万円増加しております。
⑥ 従業員退職給付
日本基準では、数理計算上の差異及び過去勤務費用は、その他の包括利益累計額にて認識し、その後、将来の一定期間にわたり費用処理することとしております。
一方、IFRSでは、数理計算上の差異は発生時に、その他の包括利益(「確定給付制度の再測定額」)として認識し、ただちに利益剰余金に振り替えております。過去勤務費用については、発生時に純損益として認識しております。
また、複数事業主制度に関して加入者との間に、制度の積立超過又は基金の積立不足を加入者にどのように配分すべきかを定めた契約上の合意が存在するため、契約上の合意により生じる負債を認識し、その結果生じた費用を純損益に計上しております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、売上総利益が50百万円増加、営業利益が375百万円増加、税引前利益が382百万円増加しております。
当連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
① 収益認識及び工事契約
システム開発及びインフラ構築取引について、日本基準では成果の確実性が認められる場合に工事進行基準を適用し、成果の確実性が認められない場合には工事完成基準を適用しておりました。一方、IFRSでは取引の成果を信頼性をもって見積ることができる場合には収益を期末日の進捗度に応じて認識し、そうでない場合には収益を費用が回収可能と認められる部分についてのみ認識しております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、売上収益が145百万円減少しております。
② 有形固定資産
IFRS適用にあたり、一部の有形固定資産について、親会社のIFRS移行日現在の公正価値を当該日現在のみなし原価として使用することを選択しております。また、有形固定資産の残存価額及び減価償却方法に係る見積りも見直しております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、売上総利益が26百万円減少、営業利益及び税引前利益が153百万円減少しております。
③ のれん
日本基準では、のれんは投資効果が発現すると合理的に見積られる期間にわたって規則的に償却をしておりましたが、IFRSでは償却を行っておりません。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、営業利益及び税引前利益が313百万円増加しております。
④ 未消化の有給休暇
未消化の有給休暇について、日本基準では会計処理が求められておりませんでしたが、IFRSでは負債計上を行っております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、売上総利益が45百万円減少、営業利益及び税引前利益が259百万円減少しております。
⑤ リース
貸手のリースについて、日本基準ではリース取引開始時に売上と売上原価を計上し、その差額を売上損益(販売利益)と金融収益(受取利息)とに分け、それぞれリース期間にわたって繰延べる方法を採用しておりますが、IFRSでは売上損益を通常の売買取引に関する会計処理に従って計上し、金融収益のみリース期間にわたって繰延べる方法を採用しております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、売上収益、売上総利益、営業利益及び税引前利益が340百万円増加しております。
⑥ 従業員退職給付
日本基準では、数理計算上の差異及び過去勤務費用は、その他の包括利益累計額にて認識し、その後、将来の一定期間にわたり費用処理することとしております。
一方、IFRSでは、数理計算上の差異は発生時に、その他の包括利益(「確定給付制度の再測定額」)として認識し、ただちに利益剰余金に振り替えております。過去勤務費用については、発生時に純損益として認識しております。
また、複数事業主制度に関して加入者との間に、制度の積立超過又は基金の積立不足を加入者にどのように配分すべきかを定めた契約上の合意が存在するため、契約上の合意により生じる負債を認識し、その結果生じた費用を純損益に計上しております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、売上総利益が59百万円増加、営業利益が318百万円増加、税引前利益が375百万円減少しております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。
(1) 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、海外における政策の不確実性などによる景気への影響が懸念されたものの、堅調な企業収益や雇用環境の改善などにより、全体的に緩やかに回復いたしました。
情報サービス産業におきましては、製造、流通分野などでIT投資が回復傾向にあり、全体的にビジネス環境は堅調に推移いたしました。
このような状況下、当社グループにおきましては、「リーディング・カンパニーとして、IT産業の進化を担う」ことを目指す姿とした、2016年3月期から2018年3月期までの3か年の中期経営計画の達成に向け、サービス型ビジネスの拡大や、総合力発揮による顧客基盤強化、積極的な成長投資などに取り組みました。また、中期経営計画最終年度となる当連結会計年度は、それらの取り組みの継続に加えて、次期中期経営計画を見据えた、新分野・未来技術への取り組みにも注力いたしました。
<サービス型ビジネス拡大への取り組み>サービスデスクやコンタクトセンターなどの業務をアウトソーシングサービスとして担う、当社の100%子会社であったCTCファーストコンタクト㈱を2017年7月3日付で㈱ベルシステム24ホールディングスとの合弁会社といたしました。これによりBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)分野でのビジネス拡大を目指しております。
お客様の人工知能(AI)活用を総合的に支援する専門組織を設立し、サービス、ソリューションの開発に取り組みました。その一環として、ディープラーニングに特化した米国NVIDIA Corporation社製のAIスーパーコンピュータの取り扱いや、企業での利用を支援するための開発プロセスと技術を体系化したAIハイブリッドクラウド環境「CTC Integrated AI Platform Stack」の提供を開始いたしました。また、AI分野でのアプリケーションやサービス開発、実証実験などに携わる企業23社(2018年3月末日時点)が結集し、関連するノウハウを相互に共有して連携を図る「AIビジネス推進コンソーシアム」への参画や、同分野の発展に必要とされるデータサイエンティストの育成及び産学連携促進を目的とした国立大学法人滋賀大学との提携を行いました。
お客様のシステムに対する要件や用途に基づき、オンプレミスでのシステム構築、当社独自のクラウドサービス、その他のパブリッククラウドサービスなど、異なる環境を連携して最適なシステムに組み上げる「クラウドインテグレーション力」の強化を図りました。その取り組みの一つとして、アマゾン ウェブ サービスのパートナープログラムAWS Partner Networkの最上位である「AWS プレミアコンサルティングパートナー」認定を取得いたしました。また、アビームコンサルティング㈱とクラウド分野において協業を開始し、同社が提供するビジネスイノベーションプラットフォーム「ABeam Cloud」基盤に当社の基幹系特化型クラウドサービス「CUVICmc2」が採用されました。
<総合力発揮への取り組み>2016年4月のセグメント再編を含む組織改編に続き、2017年4月には総合力の更なる発揮のための組織改編を実施し、営業と技術をそれぞれ1名の役員が管掌として統括することといたしました。これらの取り組みが組織間の柔軟な人材リソース活用による大型案件の対応力強化、ひいてはお客様との連携強化につながっております。
<成長投資や新分野・未来技術への取り組み>グローバルビジネスの更なる拡大を目指し、当社の海外子会社であるCTC GLOBAL SDN. BHD.(マレーシア)の子会社としてインドネシアにPT. CTC Techno Solutions Indonesiaを設立したことに加え、タイの合弁会社CTC Global (Thailand) Ltd.(2018年1月25日付でNetband Consulting Co., Ltd.より商号変更)の全株式を取得して子会社といたしました。今後、国内とASEAN地域でCTCグループの連携を強化し、ASEANの現地企業や日系企業のお客様に最適なITサービスを提供してまいります。
将来を見据えた先端技術を発掘・創造し、事業化に向けた戦略の立案・実行を目的とした「未来技術研究所」を技術戦略グループ配下に新設し、お客様との新規ビジネスに関するアイデア創出から事業化までを総合的に支援するオープンイノベーションプラットフォーム「CTC Future Factory」の提供を開始いたしました。その一環として、新しいアイデアを早期にビジネスに取り入れるためのプロトタイプ開発環境を整備したイベント・共創活動スペース「DEJIMA(デジマ)」を開設いたしました。
イノベーションによる事業創出のスピードアップを目的にコーポレート・ベンチャー・キャピタル、CTCイノベーションパートナーズを設立いたしました。資金の提供と事業への参加を行うことで有望なスタートアップ企業の成長を支援するとともに、お客様との合弁事業による事業領域の拡大を目指しております。第1号案件として、㈱インターネットイニシアティブが設立したデジタル通貨による取引・決済などの金融サービス事業を手掛ける合弁会社㈱ディーカレットへ出資いたしました。
<経営基盤強化への取り組み>中期経営計画では経営基盤強化も重点施策の一つに掲げております。2014年から積極的に推進している「働き方変革」については、社員が働きがいをもって健康で効率的に働ける制度の導入など、様々な取り組みを実施しております。当社は、経済産業省と日本健康会議が主催する「健康経営優良法人2018(ホワイト500)」に2年連続で認定されました。また、がんをはじめとした傷病を抱える社員に対して治療と仕事の両立を促進する取り組みが評価され、東京都が実施する「がん患者の治療と仕事の両立への優良な取組を行う企業表彰」で「奨励賞」を受賞いたしました。
多様性を認め合い、社員の誰もが働きがいをもつことができる環境作りにも努めております。女性社員のキャリア支援を目的とした制度の拡充や情報発信などの取り組みが評価され、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」に基づき、厚生労働大臣が認定する「えるぼし」認定の最高位を取得いたしました。
CTCグループの財務経理・商品管理などのシェアードサービス機能を持つCTCビジネスエキスパート㈱を2017年11月1日付で設立いたしました。経理業務全般、商品の発注や管理、物流センター運用管理などの機能をグループで集約することで専門性と生産性を高め、経営力の向上を図りました。
営業活動につきましては、流通向け開発案件やインフラ案件、通信向けネットワーク構築案件、公共及び公益向けインフラ案件などに注力いたしました。
当連結会計年度の業績は、サービスビジネス、開発ビジネス及び製品ビジネス、全てにおいて増加し、売上収益は429,625百万円(前年同期比5.3%増)となりました。営業利益につきましては、増収により32,622百万円(同4.8%増)となりました。また、営業利益の増加に加え、関係会社株式売却益などにより税引前利益は33,729百万円(同7.8%増)、当期純利益は23,774百万円(同8.1%増)、当社株主に帰属する当期純利益は23,581百万円(同7.9%増)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分方法を変更しているため、前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分方法に基づいております。
① 流通・エンタープライズ事業
売上収益は146,938百万円(前年同期比11.9%増)、税引前利益は8,839百万円(同22.8%増)となりました。
② 情報通信事業
売上収益は155,025百万円(同2.6%増)、税引前利益は12,842百万円(同12.1%減)となりました。
③ 公共・広域事業
売上収益は39,324百万円(同2.4%増)、税引前利益は1,430百万円(同52.5%増)となりました。
④ 金融・社会インフラ
売上収益は54,879百万円(同6.6%増)、税引前利益は2,985百万円(同9.2%増)となりました。
⑤ ITサービス事業
売上収益は188,985百万円(同0.0%減)、税引前利益は6,751百万円(同12.9%減)となりました。
⑥ その他
売上収益は34,350百万円(同1.3%増)、税引前利益は986百万円(同9.4%増)となりました。
(注) 上記セグメントの売上収益及び税引前利益は、セグメント間の内部売上収益等を含めて表示しております。
(2) 財政状態の状況
当連結会計年度末における財政状態の状況は次のとおりであります
(資産)
資産は、前連結会計年度末に比べて20,759百万円増加し、353,882百万円となりました。これは、主に営業債権及びその他の債権が14,897百万円、その他の流動資産が5,006百万円増加したことによるものであります。
(負債)
負債は、前連結会計年度末に比べて5,610百万円増加し、143,032百万円となりました。これは、主にその他の流動負債が4,024百万円、長期金融負債が895百万円増加したことによるものであります。
(資本)
資本は、前連結会計年度末に比べて15,149百万円増加し、210,850百万円となりました。これは、主に剰余金の配当による減少が9,914百万円あったものの、当期純利益による増加が23,774百万円、その他の包括利益による増加が1,080百万円あったことによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」)は、前連結会計年度末に比べて2,790百万円増加し、51,003百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と主な内容は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は11,014百万円となりました。これは、税引前利益が33,729百万円、減価償却費及び償却費で8,820百万円の収入となったことに加え、営業債権及びその他の債権の増減額が20,778百万円、法人所得税の支払額が11,295百万円の支出となったことによるものであります。
前連結会計年度との比較では、税引前利益が2,429百万円、棚卸資産の増減額が4,271百万円増加したものの、営業債権及びその他の債権の増減額が12,395百万円減少したことに加え、法人所得税の支払額が2,021百万円増加したことにより、獲得した資金は14,189百万円減少しております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は2,306百万円となりました。これは、関係会社株式の売却による収入が751百万円、預け金の純増減額が2,000百万円の収入となったものの、有形固定資産の取得による支出が3,419百万円、無形資産の取得による支出が1,078百万円、子会社株式の取得による支出が464百万円となったことによるものであります。
前連結会計年度との比較では、無形資産の取得による支出が3,219百万円減少したことに加え、預け金の純増減額が5,000百万円の増加から2,000百万円の減少となったことにより、使用した資金は11,851百万円減少しております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は5,994百万円となりました。これは、セール・アンド・リースバックによる収入が6,218百万円となったものの、ファイナンス・リース債務の返済による支出が2,473百万円、当社株主への配当金の支払額が9,824百万円となったことによるものであります。
前連結会計年度との比較では、当社株主への配当金の支払額が1,152百万円増加したものの、セール・アンド・リースバックによる収入が2,647百万円増加したことにより、使用した資金は1,838百万円減少しております。
(4) 生産、受注及び販売の状況
① 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
流通・エンタープライズ事業 | 11,441 | 105.4 |
情報通信事業 | 8,943 | 116.5 |
公共・広域事業 | 3,134 | 82.2 |
金融・社会インフラ事業 | 8,203 | 100.3 |
ITサービス事業 | 835 | 123.2 |
その他 | 1,846 | 95.7 |
合計 | 34,405 | 103.8 |
(注)金額は外注費を除くシステム開発にかかる発生原価によっており、消費税等は含まれておりません。
② 商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
流通・エンタープライズ事業 | 31,916 | 123.8 |
情報通信事業 | 61,641 | 94.7 |
公共・広域事業 | 10,552 | 102.5 |
金融・社会インフラ事業 | 7,355 | 122.7 |
ITサービス事業 | 299 | 91.0 |
その他 | 16,541 | 101.6 |
合計 | 128,307 | 103.6 |
(注)金額は仕入価格によっており、消費税等は含まれておりません。
③ 受注状況
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 受注高 (百万円) | 前期比 (%) | 受注残高 (百万円) | 前期比 (%) |
流通・エンタープライズ事業 | 129,454 | 92.4 | 78,982 | 87.6 |
情報通信事業 | 156,803 | 98.6 | 65,741 | 109.4 |
公共・広域事業 | 37,767 | 96.4 | 28,255 | 95.6 |
金融・社会インフラ事業 | 60,556 | 115.5 | 48,747 | 114.0 |
ITサービス事業 | 10,954 | 90.3 | 4,735 | 105.0 |
その他 | 39,709 | 114.8 | 17,210 | 156.9 |
合計 | 435,246 | 99.5 | 243,673 | 102.4 |
(注)金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。
④ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
流通・エンタープライズ事業 | 146,938 | 111.9 |
情報通信事業 | 155,025 | 102.6 |
公共・広域事業 | 39,324 | 102.4 |
金融・社会インフラ事業 | 54,879 | 106.6 |
ITサービス事業 | 188,985 | 100.0 |
報告セグメント計 | 585,152 | 104.2 |
その他 | 34,350 | 101.3 |
調整額 | △189,877 | 101.3 |
合計 | 429,625 | 105.3 |
(注) 1.セグメント間の取引については、調整額において消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 (自 2016年4月1日 至 2017年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
日本電信電話㈱及びそのグループ会社 | 50,165 | 12.3 | 50,214 | 11.7 |
KDDI㈱及びそのグループ会社 | 47,513 | 11.6 | 40,695 | 9.5 |
3.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は次のとおりであります。
(売上収益)
当連結会計年度の売上収益は、流通、情報通信、金融、公益分野などの増加により、前連結会計年度と比べて21,776百万円(前年同期比5.3%)増加し、429,625百万円となりました。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上総利益は、主に増収により、前連結会計年度と比べて4,884百万円(同5.1%)増加し、101,601百万円となりました。
売上総利益率は、開発ビジネスにおける採算性の改善などがあったものの、不採算案件の増加などにより、前連結会計年度の23.7%から0.1ポイント減少の23.6%となりました。
(その他の収益及び費用)
当連結会計年度のその他の収益及び費用は、人件費や業務委託料、減価償却費などの増加により、前連結会計年度に比べて3,391百万円(同5.2%)増加し、68,978百万円となりました。
(営業利益)
営業利益は、前連結会計年度と比べて1,493百万円(同4.8%)増加し、32,622百万円となりました。また、売上収益営業利益率は前連結会計年度と同率の7.6%となりました。
(税引前利益)
当連結会計年度の税引前利益は、営業利益の増加に加え、関係会社の株式売却益などにより、前連結会計年度に比べて2,429百万円(同7.8%)増加し、33,729百万円となりました。
(当社株主に帰属する当期純利益)
法人所得税は、前連結会計年度に比べて650百万円増加し、9,954百万円となり、非支配持分に帰属する当期純利益は前連結会計年度と比べて58百万円増加し、192百万円となりました。
以上の結果、当社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度と比べて1,720百万円(同7.9%)増加し、23,581百万円となりました。
なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
セグメント別の財政状態及び経営成績の状況は次のとおりであります。
① 流通・エンタープライズ事業
売上収益は、流通向け案件などの増加により、前連結会計年度と比べて15,646百万円(前年同期比11.9%)増加し、146,938百万円となりました。税引前利益は、増収に加え売上総利益率の改善により、前連結会計年度と比べて1,641百万円(同22.8%)増加し、8,839百万円となりました。
セグメント資産につきましては、営業債権及びその他の債権の増加などにより、前連結会計年度末と比べて4,273百万円(同7.3%)増加し、62,569百万円となりました。
② 情報通信事業
売上収益は、インターネットサービスプロバイダ向けや通信向け案件などの増加により、前連結会計年度と比べて3,917百万円(同2.6%)増加し、155,025百万円となりました。税引前利益は、売上総利益率の低下やその他の費用の増加などにより、前連結会計年度と比べて1,765百万円(同12.1%)減少し、12,842百万円となりました。
セグメント資産につきましては、営業債権及びその他の債権、その他の流動資産の増加などにより、前連結会計年度末と比べて12,103百万円(同20.0%)増加し、72,697百万円となりました。
③ 公共・広域事業
売上収益は、公共向け案件などの増加により、前連結会計年度と比べて915百万円(同2.4%)増加し、39,324百万円となりました。税引前利益は、増収に加え売上総利益率の改善により、前連結会計年度と比べて492百万円(同52.5%)増加し、1,430百万円となりました。
セグメント資産につきましては、棚卸資産の減少などにより、前連結会計年度末と比べて1,513百万円(同10.2%)減少し、13,394百万円となりました。
④ 金融・社会インフラ事業
売上収益は、公益向けや銀行向け案件などの増加により、前連結会計年度と比べて3,417百万円(同6.6%)増加し、54,879百万円となりました。税引前利益は、前連結会計年度と比べて251百万円(同9.2%)増加し、2,985百万円となりました。
セグメント資産につきましては、営業債権及びその他の債権、棚卸資産の増加などにより、前連結会計年度末と比べて3,920百万円(同25.9%)増加し、19,054百万円となりました。
⑤ ITサービス事業
当セグメントは、クラウド関連ビジネス及び保守・運用を中心としたサービスビジネスを全社横断的に提供しており、売上収益は前連結会計年度と比べて94百万円(同0.0%)減少し、188,985百万円となりました。税引前利益は、前連結会計年度と比べて999百万円(同12.9%)減少し、6,751百万円となりました。
セグメント資産につきましては、その他の流動資産の増加などにより、前連結会計年度末と比べて1,173百万円(同1.5%)増加し、78,609百万円となりました。
⑥ その他
一部の海外子会社における案件の増加などにより、売上収益は前連結会計年度と比べて435百万円(同1.3%)増加し、34,350百万円となりました。税引前利益は前連結会計年度と比べて85百万円(同9.4%)増加し、986百万円となりました。
セグメント資産につきましては、子会社の増加などにより、前連結会計年度末と比べて4,495百万円(同13.8%)増加し、37,120百万円となりました。
(3) 資本の財源及び資金の流動性に関する情報
① 流動性の確保
当連結会計年度末における当社グループの現金及び現金同等物(以下「資金」)の残高は、前連結会計年度末と比べて2,790百万円増加し、51,003百万円となりました。主な資金の内訳といたしましては、現金及び預金(預入期間が3か月を超える定期預金を除く)31,602百万円、預入期間が3か月以内の預け金19,401百万円となっております。
当社グループでは、キャッシュマネジメントサービスを導入し、グループ会社間の資金を集中管理することにより、効率的かつ安定的な運用を行っております。また、資金運用に際しては、信用リスクが低く安全性の高い金融資産に限定して運用を行っております。
② 資金需要の状況
当連結会計年度における設備投資額は5,208百万円であり、主な投資内容に関しましては、「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に記載のとおりであります。
当社グループにおきましては、運転資金及び設備投資等の資金需要に対して、安定した営業キャッシュ・フローに加えて、上述した内部資金を中心に賄っております。
なお、キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (3) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
3.経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は次のとおりであります。
前連結会計年度(自 2016年4月1日 至 2017年3月31日)
① 収益認識及び工事契約
システム開発及びインフラ構築取引について、日本基準では成果の確実性が認められる場合に工事進行基準を適用し、成果の確実性が認められない場合には工事完成基準を適用しておりました。一方、IFRSでは取引の成果を信頼性をもって見積ることができる場合には収益を期末日の進捗度に応じて認識し、そうでない場合には収益を費用が回収可能と認められる部分についてのみ認識しております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、売上収益が1,129百万円増加、売上総利益及び営業利益並びに税引前利益が714百万円減少しております。
② 有形固定資産
IFRS適用にあたり、一部の有形固定資産について、親会社のIFRS移行日現在の公正価値を当該日現在のみなし原価として使用することを選択しております。また、有形固定資産の残存価額及び減価償却方法に係る見積りも見直しております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、売上総利益が27百万円減少、営業利益及び税引前利益が196百万円減少しております。
③ のれん
日本基準では、のれんは投資効果が発現すると合理的に見積られる期間にわたって規則的に償却をしておりましたが、IFRSでは償却を行っておりません。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、営業利益及び税引前利益が285百万円増加しております。
④ 未消化の有給休暇
未消化の有給休暇について、日本基準では会計処理が求められておりませんでしたが、IFRSでは負債計上を行っております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、売上総利益が36百万円増加、営業利益及び税引前利益が9百万円減少しております。
⑤ リース
貸手のリースについて、日本基準ではリース取引開始時に売上と売上原価を計上し、その差額を売上損益(販売利益)と金融収益(受取利息)とに分け、それぞれリース期間にわたって繰延べる方法を採用しておりますが、IFRSでは売上損益を通常の売買取引に関する会計処理に従って計上し、金融収益のみリース期間にわたって繰延べる方法を採用しております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、売上収益、売上総利益、営業利益及び税引前利益が128百万円増加しております。
⑥ 従業員退職給付
日本基準では、数理計算上の差異及び過去勤務費用は、その他の包括利益累計額にて認識し、その後、将来の一定期間にわたり費用処理することとしております。
一方、IFRSでは、数理計算上の差異は発生時に、その他の包括利益(「確定給付制度の再測定額」)として認識し、ただちに利益剰余金に振り替えております。過去勤務費用については、発生時に純損益として認識しております。
また、複数事業主制度に関して加入者との間に、制度の積立超過又は基金の積立不足を加入者にどのように配分すべきかを定めた契約上の合意が存在するため、契約上の合意により生じる負債を認識し、その結果生じた費用を純損益に計上しております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、売上総利益が50百万円増加、営業利益が375百万円増加、税引前利益が382百万円増加しております。
当連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
① 収益認識及び工事契約
システム開発及びインフラ構築取引について、日本基準では成果の確実性が認められる場合に工事進行基準を適用し、成果の確実性が認められない場合には工事完成基準を適用しておりました。一方、IFRSでは取引の成果を信頼性をもって見積ることができる場合には収益を期末日の進捗度に応じて認識し、そうでない場合には収益を費用が回収可能と認められる部分についてのみ認識しております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、売上収益が145百万円減少しております。
② 有形固定資産
IFRS適用にあたり、一部の有形固定資産について、親会社のIFRS移行日現在の公正価値を当該日現在のみなし原価として使用することを選択しております。また、有形固定資産の残存価額及び減価償却方法に係る見積りも見直しております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、売上総利益が26百万円減少、営業利益及び税引前利益が153百万円減少しております。
③ のれん
日本基準では、のれんは投資効果が発現すると合理的に見積られる期間にわたって規則的に償却をしておりましたが、IFRSでは償却を行っておりません。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、営業利益及び税引前利益が313百万円増加しております。
④ 未消化の有給休暇
未消化の有給休暇について、日本基準では会計処理が求められておりませんでしたが、IFRSでは負債計上を行っております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、売上総利益が45百万円減少、営業利益及び税引前利益が259百万円減少しております。
⑤ リース
貸手のリースについて、日本基準ではリース取引開始時に売上と売上原価を計上し、その差額を売上損益(販売利益)と金融収益(受取利息)とに分け、それぞれリース期間にわたって繰延べる方法を採用しておりますが、IFRSでは売上損益を通常の売買取引に関する会計処理に従って計上し、金融収益のみリース期間にわたって繰延べる方法を採用しております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、売上収益、売上総利益、営業利益及び税引前利益が340百万円増加しております。
⑥ 従業員退職給付
日本基準では、数理計算上の差異及び過去勤務費用は、その他の包括利益累計額にて認識し、その後、将来の一定期間にわたり費用処理することとしております。
一方、IFRSでは、数理計算上の差異は発生時に、その他の包括利益(「確定給付制度の再測定額」)として認識し、ただちに利益剰余金に振り替えております。過去勤務費用については、発生時に純損益として認識しております。
また、複数事業主制度に関して加入者との間に、制度の積立超過又は基金の積立不足を加入者にどのように配分すべきかを定めた契約上の合意が存在するため、契約上の合意により生じる負債を認識し、その結果生じた費用を純損益に計上しております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、売上総利益が59百万円増加、営業利益が318百万円増加、税引前利益が375百万円減少しております。