四半期報告書-第44期第2四半期(令和4年7月1日-令和4年9月30日)

【提出】
2022/11/11 9:23
【資料】
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【項目】
38項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の新たな変異株の流行がみられたものの、感染症と社会経済活動の両立(ウィズコロナ)の新たな段階への移行や各種政策の効果もあり、持ち直しの動きがみられました。
情報サービス産業においては、半導体不足による供給面に不透明感が残るものの、成長分野への対応などを背景としたDX関連への投資の増加がみられました。
このような状況下、当社グループでは、企業理念であるMission(使命)「明日を変えるITの可能性に挑み、夢のある豊かな社会の実現に貢献する。」を目指す姿とした、中期経営計画(2021年4月から2024年3月までの3か年)「Beyond the Horizons~その先の未来へ~」を掲げています。
基本方針とする
「Accelerate:これからの豊かさを創る」
「Expand:今の豊かさを拡げる」
「Upgrade:実現可能性を高める」
を着実に実行し、2024年3月期の目標達成を目指すとともに、社会課題の解決に貢献してまいります。
具体的な取り組みは次のとおりです。
・米TetraScience,Inc.の実験データ統合基盤「Tetra Data Platform」の販売代理店契約を国内で初めて締結し、販売を開始しました。ライフサイエンスの分野において、実験する機器ごとに異なるフォーマットで出力されるデータを一元的に集約し、汎用的なフォーマットに変換して統合します。創薬研究における探索や分析、レポートなどの場面でのデータ活用を支援し、実験データの信頼性向上や新薬開発の期間短縮を実現します。機械学習や自然言語処理などAIを用いたサービスの拡充、化学品及び素材開発での活用を視野に入れ、お客様のDXに貢献していきます。
《Accelerate》
・カーボンニュートラルに向けた社会経済の変革(グリーントランスフォーメーション、GX)に貢献すべく、企業の温室効果ガス排出量の可視化や削減をはじめ、再生可能エネルギーの導入や利活用の支援、データ活用基盤の構築など、関連サービスを体系化しました。技術支援やGX戦略の策定支援を行う「GXソリューションフレーム」と、データ収集・管理・可視化、AIによる分析を実現する「GXデータプラットフォーム」の2つのメニューでサービスを提供します。
また、当社グループ神谷町オフィスのグループ共有フロアに、科学的知見や統計データに基づき、気象・海流・海水温・大陸移動など地球上で起こっている現象を動的にかつリアルタイムに映し出すデジタル地球儀「SPHERE」を設置しました。地球環境への意識を醸成し、GX分野での新規ソリューションの開発を促進して、ITを通じた更なる社会への貢献を図っていきます。
《Accelerate》
・仮想空間(メタバース)を利用したお客様のDX推進に向けて、様々な用途で取り組みを進めています。戸田市とはメタバースのビジネスシーン活用における課題と有効性の確認を目的として、当社のバーチャル空間「CTC Digital Base」でのビジネス展示会「VIRTUAL EXPO in TODA」の実証実験を行うなど、地域の課題解決につなげるために相互協力をしています。
また、製造業や建築業におけるお客様の業務プロセスの最適化を目的として、メタバース開発環境の簡易導入パッケージ「Omniverse Starterパッケージ」の提供を開始しました。導入に必要なライセンスや、活用のプランニングサービス、ハードウェアなどをパッケージとしてメニュー化し、企業におけるメタバースの構築や利用を短期間で可能にします。今後はリモートユーザーの環境を含めたメニュー化も視野に入れ、お客様の更なるDXに貢献していきます。
《Accelerate》
・伊藤忠商事株式会社(以下、伊藤忠商事)と当社は、顧客体験(カスタマーエクスペリエンス、CX)領域において世界最高の評価を受けるデジタルエージェンシーAKQAの日本拠点を新設するための合弁契約を締結しました。AKQAは、航空、通信、自動車等の各業界のトップ企業の顧客体験をデジタルとデザインで変革するデジタルエージェンシーです。本合弁会社を通じてAKQAのCX設計ノウハウと、伊藤忠商事の国内外のネットワーク、当社のシステム開発・運用力を結集し、国内企業向けにCXに特化したコンサルティング事業を本格的に展開し、企業全体のデジタル化、グローバル市場における競争力強化をサポートしていきます。
《Accelerate》
・コンタクトセンターソリューションの提供で蓄積したノウハウをもとに、コンタクトセンター業務のDXを支援するコンサルティングサービス「CC×DXコンシェルジュサービス」の提供を開始しました。本サービスでは、コンタクトセンター業務における課題の抽出、システム機能要件の確定、製品・ソリューション選定から導入までのトータルな支援に加え、導入後は、コンタクトセンターを利用する顧客や消費者の最初のコンタクトから購入までの行動を可視化・分析し、業務やシステムの継続的な改善につなげるジャーニー分析サービスも提供します。今後も、データ分析やAIの活用を含めてコンタクトセンター業務のDXに貢献していきます。
《Expand》
・お客様に関わるインターネット上の脅威情報を監視する「脅威インテリジェンスモニタリングサービス」の提供を開始しました。米Recorded Future,Inc.のSaaS型のサービス「Recorded Future Intelligence Cloud プラットフォーム」を活用して、不法な情報の売買や攻撃予告などの脅威情報をダークウェブを含めて監視し、新たな脅威を早期に発見することで迅速な対応につなげるサービスです。当社のサイバーセキュリティ運用サービス「CTCマネージド・セキュリティ・サービス(CTC-MSS)」から提供されます。マルチクラウド化・ハイブリッドクラウド化を進めるお客様への安全な運用とセキュリティ強化のためのサービスを拡充していきます。
《Expand》
・当社では開発者同士の密接なコミュニケーションが重視されるアジャイル開発やリモートワークでのシステム開発の経験を活かし、音声による情報共有で開発作業の効率化につなげるデスクトップアプリケーション「Team on Air」を開発し、ベータ版として無償公開しました。プロジェクトの進捗やスケジュールなどを音声で配信するため、開発作業を中断せずに効率的な状況把握が可能となります。今後、ベータテストを経て製品化を進めていきます。
《Expand》
・当社グループのマテリアリティ(重要課題)のテーマの一つである「明日を支える人材の創出」に向けて様々な取り組みを行っています。
2023年4月に徳島県神山町で開校予定の私立高等専門学校「神山まるごと高等専門学校(通称 神山まるごと高専)」の学費無償化を目的とした「スカラーシップパートナー」に参画し、奨学金基金へ10億円を拠出しました。スカラーシップパートナーでは、企業名を冠した奨学金を受け取る奨学生が各学年4名ずつ輩出され、共同研究や新事業の創造の取り組みといった連携を通して学生をサポートしていきます。
CTCテクノロジー株式会社(以下、CTCテクノロジー)では、ITインフラに関する無償のエンジニア育成プログラム「ミライをつくるプロジェクト」を開始しました。IT業界への就職希望者に向けた教育プログラムで、講師は、お客様や当社グループ向けの研修を担うCTCテクノロジーの社員が担当します。プログラム修了時には、受講生がITインフラエンジニアの知識と技術をひと通り身に着けることができるよう質の高い教育を提供します。
CTCひなり株式会社※1は、障がい者雇用の促進及び雇用の安定に関する取り組みが優良な事業主として厚生労働省の「もにす認定」を取得しました。当社グループ神谷町オフィス内の「HINARI CAFE」の運営のほか、社内の事務代行サービスやAI分析のためのデータ準備業務なども実施し、障がいのある社員の職域の拡大や働きがいの創出に取り組んでいます。
《Upgrade》
※1 障がい者雇用を推進する当社グループの特例子会社。
・当社は、2021年6月から人材派遣型の企業版ふるさと納税制度を活用して、新潟県への人材派遣を含む寄附を実施し紺綬褒章を受章しました。人材派遣型の本制度の活用は道府県で全国初のケースで、当社エンジニアが、新潟県庁の参与(特別職非常勤職員)として勤務し、地域DXやデジタル改革及びスマートシティの推進に共に取り組んでいます。今後も少子高齢化や過疎化など地域社会が直面する課題に対して、自治体や企業と協力しながら取り組みを進めていきます。
《Upgrade》
営業活動につきましては、製造、公共、金融など様々な分野向けのインフラ、開発、保守・運用案件に加え、海外事業案件などに注力しました。
当第2四半期連結累計期間の業績は次のとおりです。売上収益は、サービスビジネス、開発・SIビジネス及び製品ビジネスの全てにおいて増加し、254,443百万円(前年同期比9.0%増)となりました。営業利益につきましては、売上総利益率の低下と販売費及び一般管理費の増加により、17,300百万円(同11.7%減)となりました。また、営業利益の減少により税引前四半期利益は17,507百万円(同14.8%減)、四半期純利益は12,131百万円(同14.4%減)、当社株主に帰属する四半期純利益は11,957百万円(同14.9%減)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
なお、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分方法を変更しているため、前第2四半期連結累計期間との比較・分析は変更後の区分方法に基づいております。
① エンタープライズ事業
製造、建設、エネルギー向けインフラ、電力向け開発などが増加し、売上収益は55,088百万円(前年同期比14.9%増)となりました。増収による売上総利益の増加により、税引前四半期利益は2,401百万円(同25.5%増)となりました。
② 流通事業
情報サービス向けインフラ、流通向けインフラ、開発などが増加し、売上収益は32,181百万円(同17.9%増) となりました。増収による売上総利益の増加、売上総利益率の改善などにより、税引前四半期利益は2,514百万円(同89.0%増)となりました。
③ 情報通信事業
売上収益はほぼ前年並みの86,674百万円(同1.8%減) となりました。売上総利益率の低下、販売費及び一般管理費の増加などにより、税引前四半期利益は3,709百万円(同41.1%減)となりました。
④ 広域・社会インフラ事業
公共、官公庁向けインフラなどが増加し、売上収益は43,828百万円(同6.1%増)となりました。増収による売上総利益の増加、売上総利益率の改善などにより、税引前四半期利益は2,402百万円(同3.9%増)となりました。
⑤ 金融事業
メガバンク、系統金融機関向けインフラなどが増加し、売上収益は21,450百万円(同6.9%増)となりました。増収による売上総利益の増加あるも売上総利益率の低下、販売費及び一般管理費の増加などにより、税引前四半期利益は1,734百万円(同12.4%減)となりました。
⑥ ITサービス事業
当セグメントは、クラウドやデータセンター関連ビジネス、保守・運用を中心としたサービスビジネスを全社横断的に提供しており、売上収益は62,772百万円(同7.8%増)、売上総利益率の低下、販売費及び一般管理費の増加などにより、税引前四半期利益は5,514百万円(同18.0%減)となりました。
⑦ その他
海外事業会社における製品販売やインフラが増加し、売上収益は28,877百万円(同44.2%増)となりました。増収による売上総利益の増加あるも売上総利益率の低下、販売費及び一般管理費の増加などにより、税引前四半期利益は644百万円(同2.9%減)となりました。
(注)上記セグメントの売上収益及び税引前四半期利益は、セグメント間の内部売上収益等を含めて表示しております。
(2) 財政状態の分析
当第2四半期連結会計期間末における資産は、前連結会計年度末に比べて2,172百万円減少し、505,549百万円となりました。これは、主にその他の流動資産が13,353百万円、棚卸資産が11,981百万円増加したものの、営業債権及びその他の債権が21,547百万円、現金及び現金同等物が5,233百万円減少したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末に比べて6,365百万円減少し、212,872百万円となりました。これは、主にその他の流動負債が12,823百万円増加したものの、未払法人所得税が7,752百万円、営業債務及びその他の債務が5,315百万円、従業員給付(流動負債)が5,247百万円減少したことによるものであります。
資本は、前連結会計年度末に比べて4,193百万円増加し、292,677百万円となりました。これは、主に剰余金の配当による減少が11,624百万円あったものの、四半期純利益による増加が12,131百万円、その他の包括利益による増加が3,735百万円あったことによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」)は、前連結会計年度末に比べて5,233百万円減少し、88,845百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況と主な内容は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は10,297百万円となりました。これは、税引前四半期利益が17,507百万円、減価償却費及び償却費が7,531百万円、営業債権及びその他の債権が20,437百万円の減少となったものの、棚卸資産が11,504百万円の増加、営業債務及びその他の債務が6,368百万円の減少、法人所得税の支払額が12,644百万円となったことによるものであります。
前第2四半期連結累計期間において営業活動により得られた資金は6,514百万円でありました。前年同期との比較では、税引前四半期利益は減少したものの、運転資本の増減による支出が減少しております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は2,712百万円となりました。これは、有形固定資産の取得による支出が1,683百万円、投資有価証券等の取得による支出が1,101百万円となったことによるものであります。
前第2四半期連結累計期間において投資活動により使用した資金は7,024百万円でありました。前年同期との比較では、有形固定資産の取得による支出が減少しております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は14,003百万円となりました。これは、リース負債の返済による支出が6,212百万円となったことに加え、当社株主への配当金の支払額が11,554百万円となったことによるものであります。
前第2四半期連結累計期間において財務活動により使用した資金は13,282百万円でありました。前年同期との比較では、セール・アンド・リースバックによる収入が増加したことに加え、リース負債の返済による支出が減少したものの、当社株主への配当金の支払による支出が増加しております。
(4) 研究開発活動
当社グループの当第2四半期連結累計期間における研究開発費は、920百万円(情報通信事業 164百万円、新事業創出・DX推進 326百万円、その他の事業等 430百万円)であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。