有価証券報告書-第41期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/19 9:11
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1.経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要、これらに関する経営者の視点による認識及び分析・検討結果は、次のとおりです。
(1) 経営成績の状況
① 定性的成果
当連結会計年度におけるわが国経済は、高水準な企業収益や雇用環境の改善などを背景として全体的に緩やかな回復基調が続きました。情報サービス産業においても、製造、流通分野などでIT投資が回復傾向にあり、ビジネス環境は概ね順調に推移いたしました。
しかしながら年度末にかけて新型コロナウイルス感染症の影響により景気は急速に下押しされ、企業収益も製造業を中心に弱含み、足元は厳しい状況となっております。
このような状況下、当社グループにおきましては、「リーディング・カンパニーとして、IT産業の進化を担う」ことを目指した、2019年3月期から2021年3月期までの3か年の中期経営計画「Opening New Horizons ~新しい景色を見るために~」の達成に向け、4つの“Horizons”「上に広げる:ビジネス変革への挑戦」、「前に伸ばす:強みをさらに強く」、「外に出る:新たな分野・リージョンの開拓」、「足元を固める:経営基盤の強化」に注力しています。セグメントごとの具体的な取り組みは以下のとおりです。
a.エンタープライズ事業
<「上に広げる:ビジネス変革への挑戦」に関する取り組み>・ベトナムのIT最大手FPTグループ傘下のFPTジャパンホールディングス株式会社(以下:FPTジャパン)とアジャイル開発の推進を目的として業務提携を行いました。当社はローコード開発プラットフォーム「OutSystems」を提供し、FPTジャパンはベトナム国内に持つオフショア開発リソースを組み合わせたリモートアジャイル開発体制を構築することにより日本国内のアプリケーション開発需要やエンジニア不足に対応して行きます。
<「前に伸ばす:強みをさらに強く」に関する取り組み>・エッジコンピューティングの米国ベンチャー企業Volterra Inc.が提供するエッジクラウドサービス「Volterra Edge Cloud」の取り扱いを開始し、同社への出資も行いました。5Gの本格導入に伴いIoTの普及が見込まれる中、大量のデータを遅延なく処理することが求められており、データを端末の近くで処理するエッジコンピューティングに期待が集まっています。同社とのパートナーシップを強化することで、国内でのIoTサービスの開発や、北米・東南アジアでの「Volterra Edge Cloud」の展開などを推進します。
・日本マイクロソフトが提供するクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」の仮想デスクトップ環境(VDI)である「Windows Virtual Desktop」とシトリックスのクラウド基盤「Citrix Cloud」を連携させたソリューション「Citrix Cloud for Windows Virtual Desktop」の提供を開始しました。当社は、Windows10についての高度な設計・運用ノウハウとCitrix Cloud for Windows Virtual Desktopの管理機能を活かし、設計から移行開始まで約2か月という短期で、約1万人が利用する自社のVDI環境を全面刷新しました。自社導入を通じて蓄積した知見をもとに、効率的な移行計画の策定や運用設計、ネットワーク設定変更などを含めてVDI環境の構築をトータルで支援していきます。
・新規材料の開発や既存材料の特性向上などの高度な技術を有するQuesTek International LLC(以下:QuesTek社)と、合弁会社「QuesTek Japan株式会社」を設立しました。QuesTek社が有する技術をもとに、日本国内で新規材料の設計サービスの提供や、合金ライセンスの販売を行い、新材料の開発を通したコスト削減や社会課題の解決に貢献していきます。
b.流通事業
<「上に広げる:ビジネス変革への挑戦」に関する取り組み>・伊藤忠商事株式会社(以下:伊藤忠商事)と共同で、AIやIoTなどの新しい技術を活用したスマートストアの実現を総合的に支援する「CTC DX Solution for Retail」の提供を開始しました。本サービスは、スマートストアの構築に関連して、店舗に設置するセンサーやカメラの導入から、データを活用したマーケティング、メーカーとの小売・流通などのデータ連携まで、総合的なサービスを提供するリテールソリューションです。伊藤忠商事が持つネットワークも活用し、流通業界のお客様のデジタルトランスフォーメーション(以下:DX)に貢献していきます。
<「外に出る:新たな分野・リージョン開拓」に関する取り組み>・伊藤忠商事と当社は、共同で設立したIW.DXパートナーズ株式会社を通じて、企業のデータ活用支援のソフトウェア・サービスを提供するウイングアーク1st株式会社(以下:ウイングアーク)の発行済株式の24.5%を取得しました。伊藤忠商事の各業界における事業ノウハウとウイングアークのデータ活用技術、当社のビッグデータやAIなどのデータ分析ノウハウを組み合わせ、3社共同でDX事業に取り組んでいきます。
c.情報通信事業
<「上に広げる:ビジネス変革への挑戦」に関する取り組み>・THK株式会社(以下:THK)、株式会社NTTドコモ(以下:ドコモ)、シスコシステムズ合同会社(以下:シスコ)と共同で、製造業向けIoTサービス「OMNIedge(オムニエッジ)」の正式受注を開始しました。本サービスは、製造現場の機械装置を構成する要素部品の状態データをTHKの「THK SENSING SYSTEM」を活用して取得し、シスコのエッジコンピューティングルータ、ドコモのLTE回線を通じて数値化して解析することで、故障などの予兆検知ができるサブスクリプション型のサービスです。4社の強みが連携することで実現した本サービスにおいて、当社はIoT基盤導入のコンサルティングや、構築、運用支援を行います。
<「前に伸ばす:強みをさらに強く」に関する取り組み>・2018年度に引き続き、通信キャリアから5Gサービスに向けたネットワーク構築案件を獲得しました。当社は、数年前からネットワーク仮想化技術に関する人材育成や、お客様との共同検証などを行っており、こうした取り組みが案件獲得に繋がっています。2020年3月に開始された5G商用サービス、及びその後の拡張に向けて、引き続き通信キャリアの5G展開を支援していきます。
・ヤフー株式会社のデータ分析基盤向けに「オープンネットワーキング※1・ソリューション」を提供しました。オープンソースソフトウェアベースの運用ツール活用による運用の効率化/自動化に加え、米国大手OTT事業者※2が導入するデータセンターネットワーク設計の採用によるネットワーク帯域の有効活用・拡張性の向上を実現しました。また、ネットワークの設定変更について検証プロセスを効率化するための開発支援や、一元的な保守サービスの提供も担っています。
※1:オープンネットワーキング:サーバのようにハードウェアとOSを状況に応じて組み合わせることで、特定メーカーの独自技術に依存することなく、柔軟にネットワークを構築する技術。
※2:OTT(Over The Top)事業者: GoogleやFacebookなどに代表されるインターネット上でWebサイトや動画や音声などのコンテンツを提供する事業者のこと。
d.広域・社会インフラ事業
<「外に出る:新たな分野・リージョン開拓」に関する取り組み>・AI/ロボット事業を手掛ける台湾のベンチャー企業 碩網資訊股份有限公司(英語表記:Intumit Inc.(以下:Intumit社))へ出資し、日本における同社のAIチャットボット導入について協業を開始しました。当社はIntumit社の独自開発AIエンジンを使用したAIプラットフォーム「SmartRobot」の販売や保守対応に加えて、既存のチャットシステムや企業内システムとの連携などを担います。
e.金融事業
<「前に伸ばす:強みをさらに強く」に関する取り組み>・米BitSight Technologies,Inc.が提供する、サイバーセキュリティ対策のレーティングサービス「BitSight Security Ratings」の取り扱いを開始しました。同サービスは、インターネット上から対象システムを検査し企業のサイバーセキュリティ対策状況を評価するSaaS型のサービスで、グループ会社や取引先を含めて最新のセキュリティ情報に基づいたセキュリティリスクの把握や管理を実現します。
f.その他
<「外に出る:新たな分野・リージョン開拓」に関する取り組み>・インドネシアのIT企業PT. Nusantara Compnet IntegratorとPT. Pro Sistimatika Automasiの2社の発行済株式のそれぞれ70%を既存の株主から取得し、子会社化しました。両社は、インフラからクラウド、アプリケーションを含めたトータルなITサービスを共同で提供しているシステムインテグレータで、現地企業の他に日・米・欧資本の企業向けにビジネスを展開していることから当社との親和性が高く、強い補完関係が期待できます。顧客基盤、ノウハウ、技術などの相互活用を通じてASEAN地域での更なるビジネス拡大を目指します。
g.全社
<「足元を固める:経営基盤の強化」に関する取り組み>・ITに関連する奨学金や教育事業などを通じて次世代人材を育成する目的で、一般財団法人「CTC 未来財団」を設立しました。児童・青少年に対するIT教育、ITを志す青少年に対する修学、障がいのある青少年に対する修学及び就労機会の創出などについて支援を行い、公益財団法人への移行も視野に積極的な社会貢献活動を推進していきます。
・地球温暖化対策並びにSDGs(持続可能な開発目標)の達成への貢献を図り、中長期の環境目標「2050 CTC環境宣言」を策定しました。IoTやAIといった最先端技術による省エネルギーの推進、ITを用いたイノベーションの創出、再生可能エネルギーの活用などにより、自社の事業に伴うCO2排出量について、2030年までには2015年比で30%の削減、2050年までには排出量ゼロの実現を目指します。
・経済産業省と東京証券取引所が、経営革新、収益水準・生産性の向上をもたらす積極的なIT利活用に取り組んでいる企業を選定する「攻めのIT経営銘柄2019」に3年連続で選ばれました。新しい開発手法(アジャイル開発など)を活用した生産性の向上や、ビッグデータ、IoT、AIを含めた先端IT人材育成、また、大規模なAI利用の検証や学習向けに先進のAIシステムを取り揃えた「AI_LAB」の開設などの取り組みが評価されました。
・社員が働きがいを持って健康で効率的に働けるよう「働き方変革」と「健康経営」施策を積極推進しています。それらの様々な取り組みが認められ、経済産業省と日本健康会議が主催する「健康経営優良法人2020(ホワイト500)」に4年連続で認定されました。また、積極的な女性採用のための女性管理職による就職セミナーの実施や、女性のキャリア形成支援のためのメンター・メンティー制度の整備、女性が働き続けるための育児関連制度の整備・拡充などの取り組みが認められ、経済産業省と東京証券取引所が共同で、女性活躍に優れた上場企業を選定する「なでしこ銘柄」において、「準なでしこ銘柄」に2年連続で選定されました。
② 業績の状況
当社グループの当連結会計年度の経営成績は次のとおりであります。
(金額単位は百万円。%表示は、対前期増減率。)
売上収益売上
総利益
その他の収益
及び費用
営業利益税引前利益当社株主に
帰属する
当期純利益
2020年
3月期
487,0187.8%118,0519.6%△76,383△6.4%41,66716.1%41,54114.5%28,45115.6%
2019年
3月期
451,9575.2%107,7096.0%△71,810△4.1%35,89810.0%36,2867.6%24,6164.4%
2018年
3月期
429,6255.3%101,6015.1%△68,978△5.2%32,6224.8%33,7297.8%23,5817.9%

(売上収益)
当連結会計年度の売上収益は、製造、公益向けなどの増加により、前連結会計年度と比べて35,061百万円(前年同期比7.8%)増加し、487,018百万円となりました。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上総利益は、増収及び売上総利益率の改善により、前連結会計年度と比べて10,342百万円(同9.6%)増加し、118,051百万円となりました。
売上総利益率は、主に開発案件の採算改善により、前連結会計年度の23.8%から0.4ポイント増加の24.2%となりました。
(その他の収益及び費用)
当連結会計年度のその他の収益及び費用は、人件費の増加などにより、前連結会計年度に比べて4,573百万円(同6.4%)増加し、76,383百万円となりました。
(営業利益)
営業利益は、前連結会計年度と比べて5,768百万円(同16.1%)増加し、41,667百万円となりました。また、売上収益営業利益率は前連結会計年度の7.9%から0.6ポイント増加の8.6%となりました。
(税引前利益)
当連結会計年度の税引前利益は、前連結会計年度と比べて5,254百万円(同14.5%)増加し、41,541百万円となりました。
(当社株主に帰属する当期純利益)
法人所得税は、前連結会計年度に比べて1,672百万円増加し、13,080百万円となり、非支配持分に帰属する当期純利益は前連結会計年度と比べて252百万円減少し、9百万円となりました。
以上の結果、当社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度と比べて3,834百万円(同15.6%)増加し、28,451百万円となりました。
なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
③ セグメント別業績
セグメント別の財政状態及び経営成績の状況は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分方法を変更しているため、前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分方法に基づいております。
(金額単位は百万円。%表示は、対前期増減率。)
エンター
プライズ
流通情報通信広域・社会
インフラ
金融ITサービスその他
売上
収益
145,1707.9%46,3826.7%180,9453.0%60,99022.4%24,070△4.2%112,4443.8%41,44537.6%
税引前
利益
9,45123.1%5,12423.2%17,01913.3%2,412137.0%1,207△19.2%11,31624.2%631△52.0%
資産64,330△0.0%17,2386.7%90,72513.8%24,75516.3%7,4612.9%79,1016.6%45,75931.9%


a. エンタープライズ事業
製造や運輸向けインフラなどが増加し、売上収益は145,170百万円(前年同期比7.9%増)となりました。増収に加え売上総利益率の改善などにより、税引前利益は9,451百万円(同23.1%増)となりました。セグメント資産は、前年並みの64,330百万円(同0.0%減)となりました。
b. 流通事業
流通向け開発などが増加し、売上収益は46,382百万円(同6.7%増)となりました。増収に加え売上総利益率の改善などにより、税引前利益は5,124百万円(同23.2%増)となりました。セグメント資産は、持分法で会計処理されている投資の増加などにより、17,238百万円(同6.7%増)となりました。
c. 情報通信事業
通信事業者やインターネットサービスプロバイダ向けインフラなどが増加し、売上収益は180,945百万円(同3.0%増)となりました。増収に加え売上総利益率の改善などにより、税引前利益は17,019百万円(同13.3%増)となりました。セグメント資産は、営業債権及びその他の債権の増加などにより、90,725百万円(同13.8%増)となりました。
d. 広域・社会インフラ事業
公益や鉄道、製造向けインフラなどが増加し、売上収益は60,990百万円(同22.4%増)となりました。増収による売上総利益の増加などにより、税引前利益は2,412百万円(同137.0%増)となりました。セグメント資産は、営業債権及びその他の債権の増加などにより、24,755百万円(同16.3%増)となりました。
e. 金融事業
政府系金融機関向け開発やインフラなどの減少により、売上収益は24,070百万円(同4.2%減)となりました。減収に加え売上総利益率の低下や販売費及び一般管理費の増加により、税引前利益は1,207百万円(同19.2%減)となりました。セグメント資産は、営業債権及びその他の債権の増加などにより、7,461百万円(同2.9%増)となりました。
f. ITサービス事業
当セグメントは、クラウド関連やデータセンタービジネスを全社横断的に提供しており、売上収益は112,444百万円(同3.8%増)、税引前利益は11,316百万円(同24.2%増)となりました。セグメント資産は、使用権資産の増加などにより、79,101百万円(同6.6%増)となりました。
g. その他
海外子会社における案件の増加や、インドネシアIT企業買収に伴う連結取り込みの増加などにより、売上収益は41,445百万円(同37.6%増)となりましたが、一部の海外子会社における採算悪化などにより税引前利益は631百万円(同52.0%減)となりました。セグメント資産は、インドネシアIT企業買収に伴う資産の増加などにより、45,759百万円(同31.9%増)となりました。
(注)上記セグメントの売上収益及び税引前利益は、セグメント間の内部売上収益等を含めて表示しております。
中期経営計画の定量目標に対する進捗は次のとおりであります。
2021年3月期
目標
2020年3月期
実績
3
収益力強化
当社株主に帰属する当期純利益
300億円
284億円
6
注力ビジネスでの成長
クラウド・ITアウトソーシングビジネス
600億円
696億円
グローバル関連ビジネス
600億円
573億円
12
資本効率向上
ROE
12%以上
12.6%

(2) 財政状態の状況
当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末に比べて59,880百万円増加し、438,816百万円となりました。これは、主に現金及び現金同等物が15,736百万円、営業債権及びその他の債権が5,387百万円、その他の流動資産が4,941百万円、有形固定資産が20,893百万円、のれんが6,173百万円増加したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末に比べて46,421百万円増加し、200,252百万円となりました。これは、主に営業債務及びその他の債務が2,887百万円、その他の金融負債(流動負債)が9,339百万円、その他の流動負債が10,868百万円、長期金融負債が18,978百万円増加したことによるものであります。
資本は、前連結会計年度末に比べて13,458百万円増加し、238,564百万円となりました。これは、主に剰余金の配当による減少が12,453百万円、 IFRS第16号「リース」の適用に伴う期首調整額の計上が△2,155百万円あったものの、当期純利益による増加が28,461百万円、子会社の新規取得による非支配持分の増加が3,154百万円あったことによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」)は、前連結会計年度末に比べて15,736百万円増加し、74,615百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と主な内容は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は50,103百万円となりました。これは、税引前利益41,541百万円、減価償却費及び償却費16,240百万円等に加えて、法人所得税の支払額が12,450百万円の支出となったことによるものであります。
前連結会計年度との比較では、営業活動による収入は29,480百万円増加しております。これは税引前利益の増加、営業債権及びその他債権の増加額の減少等に加えて、IFRS第16号「リース」の適用に伴い、従来営業活動によるキャッシュ・フローとして表示されていた賃借料による支出が、財務活動によるキャッシュ・フローに変更されたこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は17,188百万円となりました。これは、クラウドコンピューティング分野への投資及び既存データセンターの設備増強等のため有形固定資産の取得による支出が4,921百万円となったことに加え、インドネシアIT企業2社への投資等のため子会社株式の取得による支出が6,872百万円、デジタルトランスフォーメーション事業の新規関連会社への投資等のため関連会社株式の取得による支出が3,684百万円となったことによるものであります。
前連結会計年度との比較では、投資活動による支出は13,952百万円増加しております。これは、上記インドネシアIT企業2社及び新規関連会社への投資等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は17,123百万円となりました。これは、リース負債の返済による支出が11,961百万円、当社株主への配当金の支払額が12,363百万円となったことによるものであります。
前連結会計年度との比較では、財務活動による支出は7,555百万円増加しております。これは、IFRS第16号「リース」の適用に伴い、従来営業活動によるキャッシュ・フローとして表示されていた賃借料による支出が、財務活動によるキャッシュ・フローに変更されたこと等によるものであります。
(4) 資本の財源及び資金の流動性に関する情報
① 当社グループにおける財務資本戦略の基本的な考え方
当社グループは、中期経営計画における重点施策(4つのHorizons)を着実に実行することにより、定量目標として「当社株主に帰属する当期純利益300億円」、「クラウド・ITアウトソーシングビジネス600億円」、「グローバル関連ビジネス600億円」、「ROE12%」の達成を目指しており、継続的な事業規模の拡大並びに営業利益率の向上を追求することにより、成長性と安定性を兼ね備えた高収益体質の企業グループを目指しております。
事業活動にて得た資金は、株主還元の実行を着実に進めるとともに、重点分野への成長投資の推進と、内部留保とのバランスを総合的に勘案し、適正に配分することで、企業価値の最大化に繋げることを基本的な考え方としております。
a.成長投資について
中期経営計画における重点施策「前に伸ばす」では、ITインフラやクラウドなどの当社グループの強みを発揮し、リカーリングビジネスの拡大を加速するために必要な事業用資産への投資を進めております。また、重点施策「外に出る」では、新たな地域やビジネス領域の拡張のために、コーポレートベンチャー・キャピタル「CTCイノベーションパートナーズ」を通じた投資や、ASEANを中心とした海外事業買収も進めてまいります。これらの投資にあたっては、資本コストを意識し、将来の投資に対するリターンを注意深く見極めながら進めてまいります。
また、新たな分野への投資やM&Aにおいては、その投資効果を高めるための投資後の融合作業が重要であり、その点も考慮した慎重な判断を行っております。
b.株主還元について
当社は、株主への利益還元を重要な経営課題として認識し、財務の健全性にも考慮したうえで、安定的かつ業績連動を意識した配当の実施を基本方針とし、連結配当性向は45%程度を目安として行っております。

② 流動性の確保
当連結会計年度末における当社グループの現金及び現金同等物(以下「資金」)の残高は、前連結会計年度末と比べて15,736百万円増加し、74,615百万円となりました。主な資金の内訳といたしましては、現金及び預金(預入期間が3か月を超える定期預金を除く)39,164百万円、預入期間が3か月以内の預け金35,450百万円となっております。
当社グループでは、キャッシュマネジメントサービスを導入し、グループ会社間の資金を集中管理することにより、効率的かつ安定的な運用を行っております。また、資金運用に際しては、信用リスクが低く安全性の高い金融資産に限定して運用を行っております。
なお、新型コロナウイルス感染症による当連結年度末以降のキャッシュ・フローに対する影響は一定程度見込まれるものの、当該影響に対応可能な流動性は確保できていると判断しております。
③ 資金需要の状況
当社グループにおきましては、運転資金及び設備投資等の資金需要に対して、安定した営業キャッシュ・フローに加えて、上述した内部資金を中心に賄っております。
なお、当連結会計年度における設備投資額は16,165百万円であり、主な投資内容に関しましては、「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に記載のとおりであります。
(5) 生産、受注及び販売の状況
① 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
エンタープライズ事業11,155106.7
流通事業5,51699.1
情報通信事業10,711116.1
広域・社会インフラ事業5,865131.9
金融事業4,12397.6
ITサービス事業884146.5
その他17252.3
合計38,273110.08

(注)金額は外注費を除くシステム開発にかかる発生原価によっており、消費税等は含まれておりません。
② 商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
エンタープライズ事業33,394112.9
流通事業3,93295.4
情報通信事業64,88791.9
広域・社会インフラ事業16,242132.3
金融事業3,73576.0
ITサービス事業941170.9
その他25,546117.2
合計148,679103.4

(注)金額は仕入価格によっており、消費税等は含まれておりません。
③ 受注状況
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高
(百万円)
前期比
(%)
受注残高
(百万円)
前期比
(%)
エンタープライズ事業131,441102.570,539103.3
流通事業41,64789.124,51579.0
情報通信事業176,16498.280,887103.4
広域・社会インフラ事業60,297119.347,14199.2
金融事業28,625136.319,718130.2
ITサービス事業11,561105.34,939112.5
その他40,968124.624,555133.7
合計490,707104.4272,298103.6

(注)金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。
④ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
エンタープライズ事業145,170107.9
流通事業46,382106.7
情報通信事業180,945103.0
広域・社会インフラ事業60,990122.4
金融事業24,07095.8
ITサービス事業112,444103.8
報告セグメント計570,004106.1
その他41,445137.6
調整額△124,431108.0
合計487,018107.8

(注) 1.セグメント間の取引については、調整額において消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
日本電信電話㈱及びそのグループ会社74,28816.472,67114.9

3.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(6) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1976年大蔵省令第28号)第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しております。