四半期報告書-第41期第3四半期(令和1年10月1日-令和1年12月31日)

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2020/02/13 9:02
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文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、米中の通商問題の深刻化により製造業を中心に業績が下振れしているものの、依然として高水準な企業収益や雇用環境の改善などを背景として全体的に緩やかな回復基調が続きました。
情報サービス産業におきましては、製造、流通分野などでIT投資が回復傾向にあり、ビジネス環境は堅調に推移しています。
このような状況下、当社グループにおきましては、「リーディング・カンパニーとして、IT産業の進化を担う」ことを目指した、2019年3月期から2021年3月期までの3か年の中期経営計画「Opening New Horizons ~新しい景色を見るために~」の達成に向け、4つの“Horizons”「上に広げる:ビジネス変革への挑戦」、「前に伸ばす:強みをさらに強く」、「外に出る:新たな分野・リージョンの開拓」、「足元を固める:経営基盤の強化」に注力しています。具体的な取り組みは以下の通りです。
<「上に広げる:ビジネス変革への挑戦」に関する取り組み>・THK株式会社(以下:THK)、株式会社NTTドコモ(以下:ドコモ)、シスコシステムズ合同会社(以下:シスコ)と共同で、製造業向けIoTサービス「OMNIedge(オムニエッジ)」の正式受注を開始しました。本サービスは、製造現場の機械装置を構成する要素部品の状態データをTHKの「THK SENSING SYSTEM」を活用して取得し、シスコのエッジコンピューティングルータ、ドコモのLTE回線を通じて数値化して解析することで、故障などの予兆検知ができるサブスクリプション型のサービスです。4社の強みが連携することで実現した本サービスにおいて、当社はIoT基盤導入のコンサルティングや、構築、運用支援を行います。
・伊藤忠商事株式会社(以下:伊藤忠商事)と共同で、AIやIoTなどの新しい技術を活用したスマートストアの実現を総合的に支援する「CTC DX Solution for Retail」の提供を開始しました。本サービスは、スマートストアの構築に関連して、店舗に設置するセンサーやカメラの導入から、データを活用したマーケティング、メーカーとの小売・流通などのデータ連携まで、総合的なサービスを提供するリテールソリューションです。伊藤忠商事が持つネットワークも活用し、流通業界のお客様のデジタルトランスフォーメーション(以下:DX)に貢献していきます。
・ベトナムのIT最大手FPTグループ傘下のFPTジャパンホールディングス株式会社(以下:FPTジャパン)とアジャイル開発の推進を目的として業務提携を行いました。当社はローコード開発プラットフォーム「OutSystems」を提供し、FPTジャパンはベトナム国内に持つオフショア開発リソースを組み合わせたリモートアジャイル開発体制を構築することにより日本国内のアプリケーション開発需要やエンジニア不足に対応して行きます。
<「前に伸ばす:強みをさらに強く」に関する取り組み>・2018年度に引き続き、通信キャリアから5Gサービスに向けたネットワーク構築案件を獲得しました。当社は、数年前からネットワーク仮想化技術に関する人材育成や、お客様との共同検証などを行っており、こうした取り組みが案件獲得に繋がっています。2020年春に予定されている5Gサービスの商用化、およびその後の拡張に向けて、引き続き通信キャリアの5G展開を支援していきます。
・エッジコンピューティングの米国ベンチャー企業Volterra Inc.が提供するエッジクラウドサービス「Volterra Edge Cloud」の取り扱いを開始し、同社への出資も行いました。5Gの本格導入に伴いIoTの普及が見込まれる中、大量のデータを遅延なく処理することが求められており、データを端末の近くで処理するエッジコンピューティングに期待が集まっています。同社とのパートナーシップを強化することで、国内でのIoTサービスの開発や、北米・東南アジアでの「Volterra Edge Cloud」の展開などを推進します。
・米BitSight Technologiesが提供する、サイバーセキュリティ対策のレーティングサービス「BitSight Security Ratings」の取り扱いを開始しました。同サービスは、インターネット上から対象システムを検査し企業のサイバーセキュリティ対策状況を評価するSaaS型のサービスで、グループ会社や取引先を含めて最新のセキュリティ情報に基づいたセキュリティリスクの把握や管理を実現します。
・ヤフー株式会社のデータ分析基盤向けに「オープンネットワーキング※1・ソリューション」を提供しました。オープンソースソフトウェアベースの運用ツール活用による運用の効率化/自動化に加え、米国大手OTT事業者※2が導入するデータセンターネットワーク設計の採用によるネットワーク帯域の有効活用・拡張性の向上を実現しました。また、ネットワークの設定変更について検証プロセスを効率化するための開発支援や、一元的な保守サービスの提供も担っています。
※1:オープンネットワーキング:サーバのようにハードウェアとOSを状況に応じて組み合わせることで、特定メーカーの独自技術に依存することなく、柔軟にネットワークを構築する技術。
※2:OTT(Over The Top)事業者 : GoogleやFacebookなどに代表されるインターネット上でWebサイトや動画や音声などのコンテンツを提供する事業者のこと。
<「外に出る:新たな分野・リージョンの開拓」に関する取り組み>・伊藤忠商事と当社は、共同で設立したIW.DXパートナーズ株式会社を通じて、企業のデータ活用支援のソフトウェア・サービスを提供するウイングアーク1st株式会社(以下:ウイングアーク)の発行済株式の24.5%を取得しました。伊藤忠商事の各業界における事業ノウハウとウイングアークのデータ活用技術、当社のビッグデータやAIなどのデータ分析ノウハウを組み合わせ、3社共同でDX事業に取り組んでいきます。
・AI/ロボット事業を手掛ける台湾のベンチャー企業 碩網資訊股份有限公司(英語表記:Intumit Inc.(以下:Intumit社))へ出資し、日本における同社のAIチャットボット導入について協業を開始しました。当社はIntumit社の独自開発AIエンジンを使用したAIプラットフォーム「SmartRobot」の販売や保守対応に加えて、既存のチャットシステムや企業内システムとの連携などを担います。
・インドネシアのIT企業PT. Nusantara Compnet IntegratorとPT. Pro Sistimatika Automasiの2社の発行済株式のそれぞれ70%を既存の株主から取得し、子会社化しました。両社は、インフラからクラウド、アプリケーションを含めたトータルなITサービスを共同で提供しているシステムインテグレータで、現地企業の他に日・米・欧資本の企業向けにビジネスを展開していることから当社との親和性が高く、強い補完関係が期待できます。顧客基盤、ノウハウ、技術などの相互活用を通じてASEAN地域での更なるビジネス拡大を目指します。
<「足元を固める:経営基盤の強化」に関する取り組み>・ITに関連する奨学金や教育事業などを通じて次世代人材を育成する目的で、一般財団法人「CTC 未来財団」を設立しました。児童・青少年に対するIT教育、ITを志す青少年に対する修学、障がいのある青少年に対する修学および就労機会の創出などについて支援を行い、公益財団法人への移行も視野に積極的な社会貢献活動を推進していきます。
・地球温暖化対策ならびにSDGs(持続可能な開発目標)の達成への貢献を図り、中長期の環境目標「2050 CTC環境宣言」を策定しました。IoTやAIといった最先端技術による省エネルギーの推進、ITを用いたイノベーションの創出、再生可能エネルギーの活用などにより、自社の事業に伴うCO2排出量について、2030年までには2015年比で30%の削減、2050年までには排出量ゼロの実現を目指します。
・経済産業省と東京証券取引所が、経営革新、収益水準・生産性の向上をもたらす積極的なIT利活用に取り組んでいる企業を選定する「攻めのIT経営銘柄2019」に3年連続で選ばれました。新しい開発手法(アジャイル開発など)を活用した生産性の向上や、ビッグデータ、IoT、AIを含めた先端IT人材育成、また、大規模なAI利用の検証や学習向けに先進のAIシステムを取り揃えた「AI_LAB」の開設などの取り組みが評価されました。
営業活動につきましては、流通向け開発案件や、製造、公益向けや海外事業会社におけるインフラ案件などに注力しました。
当第3四半期連結累計期間の業績は、サービスビジネス、開発ビジネス及び製品ビジネス、全てにおいて増加し、売上収益は327,364百万円(前年同期比9.1%増)となりました。営業利益につきましては、増収及び売上総利益率の改善により、24,170百万円(同35.3%増)となりました。また、営業利益の増加により税引前四半期利益は24,070百万円(同31.9%増)、四半期純利益は16,481百万円(同32.4%増)、当社株主に帰属する四半期純利益は16,166百万円(同31.1%増)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
なお、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分方法を変更しているため、前第3四半期連結累計期間との比較・分析は変更後の区分方法に基づいております。
① エンタープライズ事業
製造や運輸向けインフラなどが増加し、売上収益は103,332百万円(前年同期比12.5%増)、税引前四半期利益は5,155百万円(同39.0%増)となりました。
② 流通事業
流通向け開発などが増加し、売上収益は33,690百万円(同11.7%増)となりました。増収に加え売上総利益率の改善などにより、税引前四半期利益は3,653百万円(同38.6%増)となりました。
③ 情報通信事業
通信やインターネットサービスプロバイダ向けインフラなどが減少し、売上収益は108,127百万円(同1.5%減)となりましたが、売上総利益率の改善や販売費及び一般管理費の減少により税引前四半期利益は7,316百万円(同26.3%増)となりました。
④ 広域・社会インフラ事業
公益や鉄道、製造向けインフラなどが増加し、売上収益は41,491百万円(同24.3%増)、税引前四半期利益は1,000百万円(前年同期は9百万円の税引前四半期損失)となりました。
⑤ 金融事業
政府系金融機関向け開発やインフラなどの減少により、売上収益は16,820百万円(同1.0%減)となりました。減収に加え売上総利益率の低下や販売費及び一般管理費の増加により、税引前四半期利益は545百万円(同4.8%減)となりました。
⑥ ITサービス事業
当セグメントは、クラウド関連やデータセンタービジネスを全社横断的に提供しており、売上収益は82,255百万円(同3.5%増)、税引前四半期利益は8,195百万円(同24.5%増)となりました。
⑦ その他
海外子会社におけるインフラ及びサービスの増加や、インドネシアIT企業買収に伴う連結取り込みの増加などにより、売上収益は31,941百万円(同55.9%増)、税引前四半期利益は1,616百万円(同146.5%増)となりました。
(注)上記セグメントの売上収益及び税引前四半期利益は、セグメント間の内部売上収益等を含めて表示しております。
(2) 財政状態の分析
第1四半期連結会計期間よりIFRS第16号「リース」を適用しております。詳細につきましては、「第4 経理の状況 1.要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しております。
当第3四半期連結会計期間末における資産は、前連結会計年度末に比べて22,888百万円増加し、401,824百万円となりました。これは、主に営業債権及びその他の債権が40,765百万円減少したものの、棚卸資産が16,762百万円、その他の流動資産が15,239百万円、有形固定資産が20,626百万円、のれんが9,419百万円増加したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末に比べて16,447百万円増加し、170,278百万円となりました。これは、主に営業債務及びその他の債務が13,681百万円、未払法人所得税が7,272百万円、従業員給付(流動負債)が4,660百万円減少したものの、その他の金融負債(流動負債)が11,341百万円、その他の流動負債が14,766百万円、長期金融負債が15,985百万円増加したことによるものであります。
資本は、前連結会計年度末に比べて6,440百万円増加し、231,546百万円となりました。これは、主に剰余金の配当による減少が12,453百万円、 IFRS第16号の適用に伴う期首調整額の計上が△2,155百万円あったものの、四半期純利益による増加が16,481百万円、子会社の新規取得による非支配持分の増加が3,154百万円あったことによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」)は、前連結会計年度末に比べて、153百万円増加し59,032百万円となりました。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況と主な内容は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は29,145百万円となりました。これは、税引前四半期利益が24,070百万円、減価償却費及び償却費が11,859百万円、営業債権及びその他の債権が36,210百万円の減少となったことに加え、棚卸資産が14,746百万円の増加、営業債務及びその他の債務が15,793百万円の減少、法人所得税の支払額が12,440百万円の支出となったことによるものであります。
前第3四半期連結累計期間との比較では、営業債務及びその他の債務の増減額が6,278百万円減少したものの、税引前四半期利益が5,818百万円、減価償却費及び償却費が5,348百万円増加したこと等により、獲得した資金は、6,404百万円増加しております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は13,778百万円となりました。これは、有形固定資産の取得による支出が3,730百万円、子会社株式の取得による支出が6,872百万円、関係会社株式の取得による支出が3,667百万円となったことによるものであります。
前第3四半期連結累計期間との比較では、子会社株式の取得による支出が6,872百万円、関係会社株式の取得による支出が3,163百万円増加したこと等により、使用した資金は11,879百万円増加しております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は15,224百万円となりました。これは、セール・アンド・リースバックによる収入が6,246百万円となったものの、リース負債の返済による支出が8,962百万円、当社株主への配当金の支払額が12,374百万円となったことによるものであります。
前第3四半期連結累計期間との比較では、セール・アンド・リースバックによる収入が3,633百万円増加したものの、リース負債の返済による支出が6,925百万円増加したこと等により、使用した資金は4,596百万円増加しております。
(4) 研究開発活動
当社グループの当第3四半期連結累計期間における研究開発費は、1,123百万円(情報通信事業 183百万円、その他 939百万円)であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。