有価証券報告書-第40期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/20 10:32
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1.経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。
(1) 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、各国の通商問題の深刻化などによる海外経済の減速が影響し、国内景気の一部に弱さがみられたものの、堅調な企業収益や雇用環境の改善などを背景として、全体的に緩やかに回復しました。
情報サービス産業におきましては、製造、流通分野などでIT投資が回復傾向にあり、ビジネス環境は堅調に推移しています。
このような状況下、当社グループにおきましては、「リーディング・カンパニーとして、IT産業の進化を担う」ことを目指した、2019年3月期から2021年3月期までの3か年の中期経営計画「Opening New Horizons ~新しい景色を見るために~」を策定しました。新しい活動領域を“Horizons”と定め、「上に広げる:ビジネス変革への挑戦」、「前に伸ばす:強みをさらに強く」、「外に出る:新たな分野・リージョンの開拓」、「足元を固める:経営基盤の強化」に注力しています。具体的な取り組みは次のとおりであります。
<「上に広げる:ビジネス変革への挑戦」に関する取り組み>・伊藤忠商事株式会社の基幹システム刷新の第一弾として、デジタルトランスフォーメーション時代を見据えた、より迅速かつ柔軟なビジネスデータ分析を支援する「次世代全社統合データ基盤」を構築しました。引き続き2020年度にかけて、販売情報や決算情報のリアルタイム処理による経営判断の迅速化・高度化、AIを活用した業務効率化などを支援する新機能を拡充していきます。
・サプライチェーン上の資源を安定的に調達・供給し、流通の透明性を確保するため、ブロックチェーン技術を用いたトレーサビリティ・システムの構築に向けた実証実験を伊藤忠商事株式会社と共に開始しました。伊藤忠商事株式会社の完全子会社である天然ゴム加工会社PT. Aneka Bumi Pratamaの原料調達サプライチェーンを対象とし、スマートフォンアプリを利用して生産から納品までに関わる複数の事業者の取引内容をブロックチェーン上に記録することで流通の透明化を図り、トレーサビリティの確立を目指していきます。
<「前に伸ばす:強みをさらに強く」に関する取り組み>・ソフトバンク株式会社が提供する法人向けモバイルアクセスサービス「セキュアモバイルアクセス(以下、SMA)」のデータ通信接続システムを構築しました。SMAは、在宅勤務などモバイル端末による社外からのアクセス環境の整備や、多量のIoTデバイスを活用するシステム構築などの様々なニーズに対応するサービスです。同システムの構築において、NFV(Network Functions Virtualization)技術を活用したことにより膨大な数の接続に対応可能な高い拡張性を実現しました。
・2011年から提供している、再生可能エネルギーなどの利用を管理するクラウドサービス「E-PLSM(エプリズム)」に、発電設備の異常予兆を検知する機能追加と、風力・太陽光の発電出力予測機能の精度向上に向けた機能強化を行いました。再生可能エネルギーの普及拡大には、電力需給のバランスを保つための発電出力予測の精緻化が必要です。今後もE-PLSMの拡充により、お客様の生産性向上を支援するとともに、クリーンエネルギー技術の発展を通じてSDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献していきます。
<「外に出る:新たな分野・リージョン開拓」に関する取り組み>・欧州や北米におけるITサービス事業の拡大やお客様サポートの強化を目的に、英国Newton Information Technology Ltd.との業務提携や、米国の海外子会社ITOCHU Techno-Solutions America,Inc.を通じて、米国SYSCOM (USA) INC.との資本提携(同社株式33.7%を取得)を実施しました。今後は、欧州、北米、ASEAN、日本で連携し、グローバルでお客様サポートを実現していきます。
・お客様の要望や仕様の変化に柔軟に対応しながら、新規ビジネスを素早くスモールスタートで始めることが可能なアジャイル開発のための専用スペース「アジャイルオフィス」を東京都と愛知県豊田市のオフィス内に開設しました。お客様と密に連携が取りやすい環境でデジタルビジネスの共創に努めるとともに、対応するエンジニアの育成にも注力しました。
・スタートアップ企業の支援やお客様との合弁事業による事業領域の拡大を目的に設立したコーポレート・ベンチャー・キャピタル「CTCイノベーションパートナーズ」の投資案件として、深層学習を活用した手書き文字認識(AI・OCR)分野でトップクラスの技術を持つ株式会社シナモンへ出資しました。また、循環型社会の形成やSDGsの達成への寄与にも鑑み、食品の売れ残りなどを買い手とつなぐフードロス削減のためのプラットフォームを提供する株式会社コークッキングや、シェアリングエコノミー分野を支えるリセールプラットフォームを手掛ける株式会社アクティブソナーに出資しました。
<「足元を固める:経営基盤の強化」に関する取り組み>・昨今のビッグデータ、IoT、AIの発展に伴い不足するデータサイエンス分野の人材を育成するため、学校法人早稲田大学と学術交流協定を締結しました。産学連携で、企業におけるデータ分析やAI開発を促進するとともに同分野の人材育成に注力していきます。また、大規模なAI利用の検証や学習が可能な環境「AI_LAB」を開設し、同施設における大学向け無償プログラムの提供も開始しました。更には、AIビジネスの推進体制を一層強化する目的でAIの教育プログラムを社員約3,000名に対して実施しています。
・社員が働きがいを持って健康で効率的に働けるよう「働き方変革」と「健康経営」施策を積極推進しています。それらの様々な取り組みが認められ、経済産業省と日本健康会議が主催する「健康経営優良法人2019(ホワイト500)」に3年連続で認定されました。また、積極的な女性採用のための女性管理職による就職セミナーの実施や、女性のキャリア形成支援のためのメンター・メンティー制度の整備、女性が働き続けるための育児関連制度の整備・拡充などの取り組みが認められ、経済産業省と東京証券取引所が共同で、女性活躍に優れた上場企業を選定する「なでしこ銘柄」において、「準なでしこ銘柄」に選定されました。
営業活動につきましては、通信向けネットワークやインフラ構築案件、製造向けインフラ構築や保守案件などに注力しました。
当連結会計年度の業績は、サービスビジネス、開発ビジネス及び製品ビジネス、全てにおいて増加し、売上収益は451,957百万円(前年同期比5.2%増)となりました。営業利益につきましては、増収及び売上総利益率の改善により、35,898百万円(同10.0%増)となりました。また、関係会社株式売却益の減少などがあったものの営業利益の増加により税引前利益は36,286百万円(同7.6%増)、当期純利益は24,878百万円(同4.6%増)、当社株主に帰属する当期純利益は24,616百万円(同4.4%増)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分方法を変更しているため、前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分方法に基づいております。
① 流通・エンタープライズ事業
売上収益は155,471百万円(前年同期比3.6%増)、税引前利益は9,813百万円(同0.8%増)となりました。
② 情報通信事業
売上収益は174,496百万円(同12.5%増)、税引前利益は14,935百万円(同19.4%増)となりました。
③ 広域・社会インフラ事業
売上収益は49,833百万円(同8.0%減)、税引前利益は1,117百万円(同41.1%減)となりました。
④ 金融事業
売上収益は42,560百万円(同5.3%増)、税引前利益は2,535百万円(同9.4%増)となりました。
⑤ ITサービス事業
売上収益は105,583百万円(同0.5%増)、税引前利益は9,214百万円(同23.1%増)となりました。
⑥ その他
売上収益は38,258百万円(同11.8%増)、税引前利益は2,270百万円(同130.2%増)となりました。
(注) 上記セグメントの売上収益及び税引前利益は、セグメント間の内部売上収益等を含めて表示しております。
(2) 財政状態の状況
当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末に比べて25,053百万円増加し、378,936百万円となりました。これは、主に現金及び現金同等物が7,875百万円、棚卸資産が3,329百万円、その他の流動資産が15,594百万円増加したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末に比べて10,798百万円増加し、153,830百万円となりました。これは、主に営業債務及びその他の債務が5,328百万円、未払法人所得税が1,875百万円、従業員給付(流動負債)が1,413百万円、長期金融負債が1,330百万円増加したことによるものであります。
資本は、前連結会計年度末に比べて14,255百万円増加し、225,105百万円となりました。これは、主に剰余金の配当による減少が11,199百万円あったものの、当期純利益による増加が24,878百万円、その他の包括利益による増加が482百万円あったことによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」)は、前連結会計年度末に比べて7,875百万円増加し、58,878百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と主な内容は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は20,622百万円となりました。これは、税引前利益が36,286百万円、減価償却費及び償却費が8,851百万円となったことに加え、営業債権及びその他の債権が16,332百万円の増加、法人所得税の支払額が10,336百万円となったことによるものであります。
前連結会計年度との比較では、税引前利益が2,556百万円、営業債務及びその他の債務の増加額が5,245百万円増加したことに加え、営業債権及びその他の債権の増加額が4,446百万円減少したこと等により、得られた資金は9,608百万円増加しております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は3,235百万円となりました。これは、預け金の純増減額が3,000百万円の収入となったものの、有形固定資産の取得による支出が3,248百万円、無形資産の取得による支出が1,646百万円、投資有価証券の取得による支出が963百万円、関係会社株式の取得による支出が504百万円となったことによるものであります。
前連結会計年度との比較では、預け金の純増減額が1,000百万円増加したものの、無形資産の取得による支出が568百万円、投資有価証券の取得による支出が564百万円、関係会社株式の取得による支出が504百万円増加したことや、関係会社株式の売却による収入が751百万円減少したこと等により、使用した資金は929百万円増加しております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は9,567百万円となりました。これは、セール・アンド・リースバックによる収入が3,806百万円となったものの、ファイナンス・リース債務の返済による支出が2,715百万円、当社株主への配当金の支払額が11,039百万円となったことによるものであります。
前連結会計年度との比較では、セール・アンド・リースバックによる収入が2,411百万円減少したことに加え、当社株主への配当金の支払額が1,214百万円増加したこと等により、使用した資金は3,572百万円増加しております。
(4) 生産、受注及び販売の状況
① 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
流通・エンタープライズ事業11,730102.2
情報通信事業9,227103.2
広域・社会インフラ事業4,44694.6
金融事業6,836103.5
ITサービス事業57068.4
その他1,72693.4
合計34,537100.4

(注)金額は外注費を除くシステム開発にかかる発生原価によっており、消費税等は含まれておりません。
② 商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
流通・エンタープライズ事業33,246104.2
情報通信事業70,426114.2
広域・社会インフラ事業12,289100.6
金融事業4,82484.8
ITサービス事業750282.4
その他22,267134.6
合計143,805112.1

(注)金額は仕入価格によっており、消費税等は含まれておりません。
③ 受注状況
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高
(百万円)
前期比
(%)
受注残高
(百万円)
前期比
(%)
流通・エンタープライズ事業151,623116.885,417108.6
情報通信事業179,975114.878,203117.7
広域・社会インフラ事業50,504104.747,527102.8
金融事業37,41075.527,04890.0
ITサービス事業10,79898.64,22389.1
その他39,86599.920,515116.9
合計470,177108.0262,935107.9

(注)金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。
④ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
流通・エンタープライズ事業155,471103.6
情報通信事業174,496112.5
広域・社会インフラ事業49,83392.0
金融事業42,560105.3
ITサービス事業105,583100.5
報告セグメント計527,945104.6
その他38,258111.8
調整額△114,246104.5
合計451,957105.2

(注) 1.セグメント間の取引については、調整額において消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
日本電信電話㈱及びそのグループ会社50,21411.774,28816.4

3.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1976年大蔵省令第28号)第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は次のとおりであります。
(売上収益)
当連結会計年度の売上収益は、情報通信、製造向けなどの増加により、前連結会計年度と比べて22,331百万円(前年同期比5.2%)増加し、451,957百万円となりました。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上総利益は、増収及び不採算案件の減少により、前連結会計年度と比べて6,108百万円(同6.0%)増加し、107,709百万円となりました。
売上総利益率は、主に不採算案件の減少により、前連結会計年度の23.6%から0.2ポイント増加の23.8%となりました。
(その他の収益及び費用)
当連結会計年度のその他の収益及び費用は、主に人件費や研究開発費などの増加により、前連結会計年度に比べて2,832百万円(同4.1%)増加し、71,810百万円となりました。
(営業利益)
営業利益は、前連結会計年度と比べて3,276百万円(同10.0%)増加し、35,898百万円となりました。また、売上収益営業利益率は前連結会計年度の7.6%から0.3ポイント増加の7.9%となりました。
(税引前利益)
当連結会計年度の税引前利益は、前連結会計年度に関係会社の株式売却益の計上があったものの、営業利益の増加により、前連結会計年度と比べて2,556百万円(同7.6%)増加し、36,286百万円となりました。
(当社株主に帰属する当期純利益)
法人所得税は、前連結会計年度に比べて1,453百万円増加し、11,407百万円となり、非支配持分に帰属する当期利益は前連結会計年度と比べて68百万円増加し、261百万円となりました。
以上の結果、当社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度と比べて1,034百万円(同4.4%)増加し、24,616百万円となりました。
なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
セグメント別の財政状態及び経営成績の状況は次のとおりであります。
① 流通・エンタープライズ事業
売上収益は、流通向け運用、製造向けインフラ構築や保守案件などが増加し、155,471百万円(前年同期比3.6%増)、税引前利益は9,813百万円(同0.8%増)となりました。セグメント資産は、営業債権及びその他の債権の増加などにより、72,716百万円(同16.0%増)となりました。
② 情報通信事業
売上収益は、通信向けネットワークやインフラ構築案件などが増加し、174,496百万円(同12.5%増)、税引前利益は14,935百万円(同19.4%増)となりました。セグメント資産は、営業債権及びその他の債権の増加などにより、79,436百万円(同9.3%増)となりました。
③ 広域・社会インフラ事業
売上収益は、公益向け案件の減少などにより、49,833百万円(同8.0%減)となりました。減収に加え販売費及び一般管理費の増加などにより、税引前利益は1,117百万円(同41.1%減)となりました。セグメント資産は、営業債権及びその他の債権、棚卸資産の増加などにより、21,273百万円(同16.0%増)となりました。
④ 金融事業
売上収益は、金融向けインフラ構築案件などが増加し、42,560百万円(同5.3%増)、税引前利益は2,535百万円(同9.4%増)となりました。セグメント資産は、営業債権及びその他の債権、棚卸資産の減少などにより、12,225百万円(同13.4%減)となりました。
⑤ ITサービス事業
当セグメントは、クラウド関連ビジネス及び保守・運用を中心としたサービスビジネスを全社横断的に提供しており、売上収益は105,583百万円(同0.5%増)、税引前利益は9,214百万円(同23.1%増)となりました。セグメント資産は、営業債権及びその他の債権、その他の流動資産の減少などにより、74,070百万円(同5.8%減)となりました。
⑥ その他
一部の海外子会社における案件などが増加し、売上収益は38,258百万円(同11.8%増)となりました。増収に加え持分法による投資損益の増加などにより、税引前利益は2,270百万円(同130.2%増)となりました。セグメント資産は、棚卸資産の増加などにより、37,355百万円(同5.6%増)となりました。
(3) 資本の財源及び資金の流動性に関する情報
① 流動性の確保
当連結会計年度末における当社グループの現金及び現金同等物(以下「資金」)の残高は、前連結会計年度末と比べて7,875百万円増加し、58,878百万円となりました。主な資金の内訳といたしましては、現金及び預金(預入期間が3か月を超える定期預金を除く)34,088百万円、預入期間が3か月以内の預け金24,789百万円となっております。
当社グループでは、キャッシュマネジメントサービスを導入し、グループ会社間の資金を集中管理することにより、効率的かつ安定的な運用を行っております。また、資金運用に際しては、信用リスクが低く安全性の高い金融資産に限定して運用を行っております。
② 資金需要の状況
当連結会計年度における設備投資額は7,236百万円であり、主な投資内容に関しましては、「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に記載のとおりであります。
当社グループにおきましては、運転資金及び設備投資等の資金需要に対して、安定した営業キャッシュ・フローに加えて、上述した内部資金を中心に賄っております。
なお、キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要(3) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
3.経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は次のとおりであります。
前連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
① 収益認識及び工事契約
システム開発及びインフラ構築取引について、日本基準では成果の確実性が認められる場合に工事進行基準を適用し、成果の確実性が認められない場合には工事完成基準を適用しておりました。一方、IFRSでは取引の成果を信頼性をもって見積ることができる場合には収益を期末日の進捗度に応じて認識し、そうでない場合には収益を費用が回収可能と認められる部分についてのみ認識しております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、売上収益が145百万円減少しております。
② 有形固定資産
IFRS適用にあたり、一部の有形固定資産について、親会社のIFRS移行日現在の公正価値を当該日現在のみなし原価として使用することを選択しております。また、有形固定資産の残存価額及び減価償却方法に係る見積りも見直しております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、売上総利益が26百万円減少、営業利益及び税引前利益が153百万円減少しております。
③ のれん
日本基準では、のれんは投資効果が発現すると合理的に見積られる期間にわたって規則的に償却をしておりましたが、IFRSでは償却を行っておりません。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、営業利益及び税引前利益が313百万円増加しております。
④ 未消化の有給休暇
未消化の有給休暇について、日本基準では会計処理が求められておりませんでしたが、IFRSでは負債計上を行っております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、売上総利益が45百万円減少、営業利益及び税引前利益が259百万円減少しております。
⑤ リース
貸手のリースについて、日本基準ではリース取引開始時に売上と売上原価を計上し、その差額を売上損益(販売利益)と金融収益(受取利息)とに分け、それぞれリース期間にわたって繰延べる方法を採用しておりますが、IFRSでは売上損益を通常の売買取引に関する会計処理に従って計上し、金融収益のみリース期間にわたって繰延べる方法を採用しております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、売上収益、売上総利益、営業利益及び税引前利益が340百万円増加しております。
⑥ 従業員退職給付
日本基準では、数理計算上の差異及び過去勤務費用は、その他の包括利益累計額にて認識し、その後、将来の一定期間にわたり費用処理することとしております。
一方、IFRSでは、数理計算上の差異は発生時に、その他の包括利益(「確定給付制度の再測定額」)として認識し、ただちに利益剰余金に振り替えております。過去勤務費用については、発生時に純損益として認識しております。
また、複数事業主制度に関して加入者との間に、制度の積立超過又は基金の積立不足を加入者にどのように配分すべきかを定めた契約上の合意が存在するため、契約上の合意により生じる負債を認識し、その結果生じた費用を純損益に計上しております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、売上総利益が59百万円増加、営業利益が318百万円増加、税引前利益が375百万円減少しております。
当連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
① 有形固定資産
IFRS適用にあたり、一部の有形固定資産について、親会社のIFRS移行日現在の公正価値を当該日現在のみなし原価として使用することを選択しております。また、有形固定資産の残存価額及び減価償却方法に係る見積りも見直しております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、売上総利益が26百万円減少、営業利益及び税引前利益が134百万円減少しております。
② のれん
日本基準では、のれんは投資効果が発現すると合理的に見積られる期間にわたって規則的に償却をしておりましたが、IFRSでは償却を行っておりません。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、営業利益及び税引前利益が147百万円増加しております。
③ 未消化の有給休暇
未消化の有給休暇について、日本基準では会計処理が求められておりませんでしたが、IFRSでは負債計上を行っております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、売上総利益が71百万円減少、営業利益及び税引前利益が249百万円減少しております。
④ リース
貸手のリースについて、日本基準ではリース取引開始時に売上と売上原価を計上し、その差額を売上損益(販売利益)と金融収益(受取利息)とに分け、それぞれリース期間にわたって繰延べる方法を採用しておりますが、IFRSでは売上損益を通常の売買取引に関する会計処理に従って計上し、金融収益のみリース期間にわたって繰延べる方法を採用しております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、売上収益、売上総利益、営業利益及び税引前利益が341百万円増加しております。
⑤ 従業員退職給付
日本基準では、数理計算上の差異及び過去勤務費用は、その他の包括利益累計額にて認識し、その後、将来の一定期間にわたり費用処理することとしております。
一方、IFRSでは、数理計算上の差異は発生時に、その他の包括利益(「確定給付制度の再測定額」)として認識し、ただちに利益剰余金に振り替えております。過去勤務費用については、発生時に純損益として認識しております。
また、複数事業主制度に関して加入者との間に、制度の積立超過又は基金の積立不足を加入者にどのように配分すべきかを定めた契約上の合意が存在するため、契約上の合意により生じる負債を認識し、その結果生じた費用を純損益に計上しております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、売上総利益が36百万円増加、営業利益が122百万円増加、税引前利益が9百万円増加しております。