有価証券報告書-第35期(平成30年2月1日-平成31年1月31日)
(業績等の概要)
(1) 業績
当連結会計年度の当社グループを取りまく環境としましては、国内経済におきましては、雇用環境の改善を背景とした個人消費の改善や堅調な企業収益・設備投資等に支えられ、自然災害の影響はあったものの総じて内需主導の緩やかな回復基調が継続いたしました。世界経済におきましては、米国経済は減速しつつも引き続き拡大基調を維持する一方、ユーロ圏及び中国等では成長の鈍化あるいは景気停滞傾向が顕在化し始め、新興国経済もアジア地域を中心に景気減速傾向がみられております。また、当社グループの属する情報通信産業分野においては、ソフトウェア・ハードウェア両面での要素技術の発展やそれらの利活用コストの低減を背景に、IoT(Internet of Things)関連市場が急速に成長しつつあります。
このような環境の下、当社グループにおきましては、前連結会計年度において8期ぶりの増収を果たし、当連結会計年度は増収基調と利益計上の定着化を図りつつ製品開発投資・戦略投資を加速・積極化させ、IoT分野、電子出版分野及びネットワーク分野を注力事業として事業拡大に取り組んでまいりました。その結果、Northforge Innovations Inc.買収に伴う一時費用の発生等の要因はあったものの、連結売上高が概ね当初計画の水準となるとともに各段階利益はいずれも当初計画水準を達成し、前連結会計年度との比較においても増収増益となりました。
当連結会計年度における各セグメントの取り組みを、以下のとおりご報告いたします。なお、当社グループは、業務執行役員の管掌範囲の見直しに伴い業績管理区分を変更いたしました。具体的には、製品・サービス単位での事業シナジー効果及び関連性を鑑みてネットワークソフトウェア事業を区分し、主要販売地域に基づいて国内事業と海外事業を区分いたしました。この見直しに伴い、当連結会計年度より報告セグメントを変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後のセグメント区分に基づいております。セグメント情報に関する詳細は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 セグメント情報等」をご参照ください。
○ 国内事業
スマートデバイス、情報家電や各種デバイス向けに豊富な搭載実績を持つ高性能・高機能ウェブブラウザ「NetFront® Browser」シリーズをはじめとした組み込みソフトウェア製品及び各種IoTソリューションを提供するIoT分野と、高度な表現力と多彩なコンテンツに対応する汎用性を兼ね備え、ユーザー向けアプリケーションからコンテンツ配信システム、サーバーシステムまでを包括的に提供するEPUB3対応の電子出版ソリューション「PUBLUS®」を中核とする電子出版分野を主軸に事業展開しております。また、台湾子会社を通じて、現地に進出する日本の通販事業者向けに、業務支援システムや広告分析機能等を統合したクラウドサービス「CROS™」の提供を行うほか、国内子会社ACCESSテックにおいて組み込みソフトウェア開発やシステムインテグレーションサービスの強化に取り組んでおります。
IoT分野の取り組みとしましては、既存ビジネスの事業基盤の維持に努めつつ、ブラウザとIoTソリューションを2軸として事業拡大を推進しております。ブラウザにつきましては、TV向けブラウザの更なるシェア拡大を目指すとともに、車載機器・ゲーム機等のハイエンド機器向け製品の高機能化及び各トップメーカーへの採用拡大を図っております。IoTソリューションにつきましては、Beaconソリューションの拡販に努めるほか、各種センサーやIoTゲートウェイ機器等エッジデバイスでの高速リアルタイムAI処理を実現するトータルソリューション「NetFront® EdgeAI」の提供を開始しAI機能を搭載したIoTカメラへ応用する等、センサーデバイスから個別アプリケーション、クラウド基盤までをワンストップで提供できる数少ないベンダーとして、様々な業界においてIoTソリューションの導入・構築を推進いたしました。また、優れた他社技術との連携強化を積極的に推進しており、サーバーサービスにおける先進的な技術力を有する株式会社Link-Uや、組み込みディープラーニングソリューションを提供するLeapMind株式会社との協業を開始いたしました。
電子出版分野における取り組みとしましては、有力な顧客基盤である大手出版社をはじめとしたコンテンツ事業者との関係強化を推進し、購読分析やプロモーション支援、仮想通貨等の新たなビジネスモデルに対応したプラットフォームの機能強化とサービス提供範囲の拡大による収益拡大に取り組むほか、PDFやOffice®形式の電子テキストを手軽にクラウドで配信・管理し、教科書や参考書、専門書、電子テキスト等のペーパーレス化を支援するソリューション「PUBLUS® Lite」のブラウザ版「PUBLUS® Lite for Browser」の提供を開始する等、堅調に成長している電子出版市場においてマーケットシェア及び事業領域の拡大に努めました。
当連結会計年度における当セグメントの業績につきましては、IoT分野・電子出版分野ともに増収し、また、IoT分野においてロイヤリティ・ライセンス収益が当初想定を上回ったことから、セグメント全体として前期比増収増益となりました。
○ 海外事業
ドイツ・中国・韓国に現地法人を設置し、海外市場におけるスマートデバイス及び情報家電関連分野向けにIoTソリューション等の提供を行っております。
ドイツにおきましては、ウェブとの融合が進む車載機器やTV・セットトップボックス等の情報家電向けに、多彩かつ高付加価値なインターネットサービスの提供に適したHTML5対応のブラウザソリューションを開発・展開しております。また、新規事業として、あらゆるスマートデバイスへセキュアなコンテンツ配信を実現し、あわせて視聴履歴の分析等の事業者向けサービスを可能とするマルチスクリーンソリューション「ACCESS Twine™」の拡販に努めており、当連結会計年度においては自動車メーカー向けに自動運転技術確立後の高付加価値なインフォテインメント体験の設計・提供を可能とする車載向けマルチメディアコンテンツ共有ソリューション「ACCESS Twine™ for Car」をグローバルに提供開始し、事業拡大に努めてまいりました。
中国・韓国における取り組みとしましては、現地の大手情報家電メーカー向けにブラウザ製品を提供するほか、本社で新規開発・事業化したソリューションの現地展開を図っております。
当連結会計年度における当セグメントの業績につきましては、欧州における受託開発売上の減少により前期比で減収しましたが、ロイヤリティ収益の増加やコスト削減により収益性が改善したことによりセグメント利益は増益となりました。
○ ネットワークソフトウェア事業
米国子会社IP Infusion Inc.を中核としてインドやカナダ等に現地法人を設置し、既存ビジネスであるネットワーク機器向け基盤ソフトウェア・プラットフォーム「ZebOS®」シリーズの事業基盤維持に努めるとともに、新規分野として、ホワイトボックス向け統合Network OS「OcNOS®」の多様な半導体チップセットへの対応を含む機能拡張及び拡販に注力しております。ホワイトボックスは、5G時代を迎え更なる通信トラフィックの増加が見込まれる中、データセンター事業者、通信キャリア、IXP(インターネット相互接続ポイント)事業者等においてネットワークインフラ設備投資・運用コストを大幅に低減しつつ運用の自由度を高める有力な手段と目されており、米国を中心に近年急速に市場が拡大しつつあります。
本事業は通信キャリアからの「OcNOS®」の直接採用を中長期的な事業戦略に掲げており、その実現に向け当連結会計年度は「OcNOS®」の製品開発投資に注力しております。その取り組みの一環として、2018年7月12日付「カナダ Northforge Innovations Inc.社の株式取得に関するお知らせ」の通り、Northforge Innovations Inc.の有するエンジニアリングリソースとネットワーク機器向け半導体チップセットへの知見の「OcNOS®」開発への活用を図るため、2018年8月に同社の株式を100%取得し連結子会社化いたしました。
当連結会計年度における当セグメントの業績につきましては、売上高につきましては「OcNOS®」の販売増やNorthforge Innovations Inc.の連結開始に伴う売上増があったものの「ZebOS®」の販売減があり、全体では概ね前期比横ばいとなりました。損益につきましては、「OcNOS®」開発投資の強化に伴う減価償却費の増加やNorthforge Innovations Inc.の買収によるのれん含む無形固定資産の償却費の発生があったほか、Northforge Innovations Inc.買収に伴う一時費用が発生したことにより、セグメント損益は前期比で減益となりました。
なお、営業外費用として、為替差損73百万円及び投資事業組合運用損38百万円を計上しております。
以上の結果、当連結会計年度における連結業績は、売上高81億40百万円(前年同期比2.6%増加)、経常利益5億8百万円(前年同期比60.9%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益3億77百万円(前年同期比52.8%増加)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べて29億98百万円減少し、226億78百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金は5億85百万円の増加(前連結会計年度は7億9百万円の増加)となりました。その主な要因は、売上債権が7億8百万円増加した一方で、税金等調整前当期純利益5億26百万円及び減価償却費8億36百万円を計上したことであります。前連結会計年度との比較では、減価償却費が増加いたしました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金は31億58百万円の減少(前連結会計年度は7億86百万円の増加)となりました。その主な要因は、 定期預金の払戻による収入が1億28百万円であった一方で、無形固定資産の取得による支出が18億83百万円であったことであります。前連結会計年度との比較では、定期預金の払戻による収入が減少いたしました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金は4億円の減少(前連結会計年度は0百万円の減少)となりました。その要因は、引出制限付預金の預入による支出が3億33百万円であったことであります。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.金額は販売価格によっており、ソフトウエアのうち自社開発分(資産計上分)を含んでおります。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 受注実績
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
当社グループは連結財務諸表の作成にあたって、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りは、過去の実績や現在の状況を勘案し様々な要因に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比べ2億9百万円増加(対前年同期比2.6%増加)し、81億40百万円となりました。国内事業の売上高は、前連結会計年度から3億93百万円増加(対前年同期比8.5%増加)して、50億25百万円となりました。海外事業の売上高は、前連結会計年度から1億62百万円減少(対前年同期比13.3%減少)して、10億64百万円となりました。ネットワークソフトウェア事業の売上高は、前連結会計年度から21百万円減少(対前年同期比1.0%減少)して、20億50百万円となりました。
② 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、前連結会計年度から2億12百万円減少(対前年同期比4.6%減少)して44億46百万円となりました。売上原価率は前連結会計年度から4.1ポイント減少して54.6%となりました。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度から3億1百万円増加(対前年同期比10.5%増加)して31億59百万円となりました。
③ 営業利益
営業利益は、売上高の増加及びコストの徹底削減による売上原価の減少により、前連結会計年度から1億20百万円増加(対前年同期比29.2%増加)して5億34百万円の営業利益となりました。
④ 経常利益
経常利益は前連結会計年度から1億92百万円増加(対前年同期比60.9%増加)して5億8百万円の経常利益となりました。
⑤ 特別利益、特別損失
特別利益は18百万円となりました。(前連結会計年度は特別利益の計上はありません。)
特別損失は前連結会計年度から22百万円減少(前連結会計年度は22百万円)して0百万円となりました。
⑥ 法人税等
法人税、住民税及び事業税、及び法人税等調整額の合計額は、前連結会計年度から1億2百万円増加して1億48百万円(前連結会計年度は45百万円)となりました。
⑦ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、3億77百万円(対前年同期比52.8%増加)の親会社株主に帰属する当期純利益となり、1株当たり当期純利益につきましては、9.75円の1株当たり当期純利益(前連結会計年度は6.38円の1株当たり当期純利益)となりました。
(3) 当連結会計年度の財政状態の分析
当社グループの当連結会計年度末の資産は、現金及び預金が減少したものの、受取手形及び売掛金、ソフトウエアが増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ6億45百万円増加して316億88百万円となりました。
負債は、賞与引当金が減少したものの、長期未払金が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ3億52百万円増加し19億30百万円となりました。
純資産は、為替換算調整勘定が減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益3億77百万円を計上したこと等により、2億93百万円増加し297億58百万円となりました。その結果、自己資本比率は93.8%(前連結会計年度末は94.8%)となりました。
(4) キャッシュ・フロー
「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
なお、当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて29億98百万円減少し、226億78百万円となりました。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針
「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
(1) 業績
当連結会計年度の当社グループを取りまく環境としましては、国内経済におきましては、雇用環境の改善を背景とした個人消費の改善や堅調な企業収益・設備投資等に支えられ、自然災害の影響はあったものの総じて内需主導の緩やかな回復基調が継続いたしました。世界経済におきましては、米国経済は減速しつつも引き続き拡大基調を維持する一方、ユーロ圏及び中国等では成長の鈍化あるいは景気停滞傾向が顕在化し始め、新興国経済もアジア地域を中心に景気減速傾向がみられております。また、当社グループの属する情報通信産業分野においては、ソフトウェア・ハードウェア両面での要素技術の発展やそれらの利活用コストの低減を背景に、IoT(Internet of Things)関連市場が急速に成長しつつあります。
このような環境の下、当社グループにおきましては、前連結会計年度において8期ぶりの増収を果たし、当連結会計年度は増収基調と利益計上の定着化を図りつつ製品開発投資・戦略投資を加速・積極化させ、IoT分野、電子出版分野及びネットワーク分野を注力事業として事業拡大に取り組んでまいりました。その結果、Northforge Innovations Inc.買収に伴う一時費用の発生等の要因はあったものの、連結売上高が概ね当初計画の水準となるとともに各段階利益はいずれも当初計画水準を達成し、前連結会計年度との比較においても増収増益となりました。
当連結会計年度における各セグメントの取り組みを、以下のとおりご報告いたします。なお、当社グループは、業務執行役員の管掌範囲の見直しに伴い業績管理区分を変更いたしました。具体的には、製品・サービス単位での事業シナジー効果及び関連性を鑑みてネットワークソフトウェア事業を区分し、主要販売地域に基づいて国内事業と海外事業を区分いたしました。この見直しに伴い、当連結会計年度より報告セグメントを変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後のセグメント区分に基づいております。セグメント情報に関する詳細は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 セグメント情報等」をご参照ください。
○ 国内事業
スマートデバイス、情報家電や各種デバイス向けに豊富な搭載実績を持つ高性能・高機能ウェブブラウザ「NetFront® Browser」シリーズをはじめとした組み込みソフトウェア製品及び各種IoTソリューションを提供するIoT分野と、高度な表現力と多彩なコンテンツに対応する汎用性を兼ね備え、ユーザー向けアプリケーションからコンテンツ配信システム、サーバーシステムまでを包括的に提供するEPUB3対応の電子出版ソリューション「PUBLUS®」を中核とする電子出版分野を主軸に事業展開しております。また、台湾子会社を通じて、現地に進出する日本の通販事業者向けに、業務支援システムや広告分析機能等を統合したクラウドサービス「CROS™」の提供を行うほか、国内子会社ACCESSテックにおいて組み込みソフトウェア開発やシステムインテグレーションサービスの強化に取り組んでおります。
IoT分野の取り組みとしましては、既存ビジネスの事業基盤の維持に努めつつ、ブラウザとIoTソリューションを2軸として事業拡大を推進しております。ブラウザにつきましては、TV向けブラウザの更なるシェア拡大を目指すとともに、車載機器・ゲーム機等のハイエンド機器向け製品の高機能化及び各トップメーカーへの採用拡大を図っております。IoTソリューションにつきましては、Beaconソリューションの拡販に努めるほか、各種センサーやIoTゲートウェイ機器等エッジデバイスでの高速リアルタイムAI処理を実現するトータルソリューション「NetFront® EdgeAI」の提供を開始しAI機能を搭載したIoTカメラへ応用する等、センサーデバイスから個別アプリケーション、クラウド基盤までをワンストップで提供できる数少ないベンダーとして、様々な業界においてIoTソリューションの導入・構築を推進いたしました。また、優れた他社技術との連携強化を積極的に推進しており、サーバーサービスにおける先進的な技術力を有する株式会社Link-Uや、組み込みディープラーニングソリューションを提供するLeapMind株式会社との協業を開始いたしました。
電子出版分野における取り組みとしましては、有力な顧客基盤である大手出版社をはじめとしたコンテンツ事業者との関係強化を推進し、購読分析やプロモーション支援、仮想通貨等の新たなビジネスモデルに対応したプラットフォームの機能強化とサービス提供範囲の拡大による収益拡大に取り組むほか、PDFやOffice®形式の電子テキストを手軽にクラウドで配信・管理し、教科書や参考書、専門書、電子テキスト等のペーパーレス化を支援するソリューション「PUBLUS® Lite」のブラウザ版「PUBLUS® Lite for Browser」の提供を開始する等、堅調に成長している電子出版市場においてマーケットシェア及び事業領域の拡大に努めました。
当連結会計年度における当セグメントの業績につきましては、IoT分野・電子出版分野ともに増収し、また、IoT分野においてロイヤリティ・ライセンス収益が当初想定を上回ったことから、セグメント全体として前期比増収増益となりました。
国内事業 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 前年同期比 |
外部顧客への売上高 | 4,631百万円 | 5,025百万円 | 8.5% |
セグメント損益 | 298百万円 | 670百万円 | 124.9% |
○ 海外事業
ドイツ・中国・韓国に現地法人を設置し、海外市場におけるスマートデバイス及び情報家電関連分野向けにIoTソリューション等の提供を行っております。
ドイツにおきましては、ウェブとの融合が進む車載機器やTV・セットトップボックス等の情報家電向けに、多彩かつ高付加価値なインターネットサービスの提供に適したHTML5対応のブラウザソリューションを開発・展開しております。また、新規事業として、あらゆるスマートデバイスへセキュアなコンテンツ配信を実現し、あわせて視聴履歴の分析等の事業者向けサービスを可能とするマルチスクリーンソリューション「ACCESS Twine™」の拡販に努めており、当連結会計年度においては自動車メーカー向けに自動運転技術確立後の高付加価値なインフォテインメント体験の設計・提供を可能とする車載向けマルチメディアコンテンツ共有ソリューション「ACCESS Twine™ for Car」をグローバルに提供開始し、事業拡大に努めてまいりました。
中国・韓国における取り組みとしましては、現地の大手情報家電メーカー向けにブラウザ製品を提供するほか、本社で新規開発・事業化したソリューションの現地展開を図っております。
当連結会計年度における当セグメントの業績につきましては、欧州における受託開発売上の減少により前期比で減収しましたが、ロイヤリティ収益の増加やコスト削減により収益性が改善したことによりセグメント利益は増益となりました。
海外事業 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 前年同期比 |
外部顧客への売上高 | 1,227百万円 | 1,064百万円 | △13.3% |
セグメント損益 | 41百万円 | 84百万円 | 101.7% |
○ ネットワークソフトウェア事業
米国子会社IP Infusion Inc.を中核としてインドやカナダ等に現地法人を設置し、既存ビジネスであるネットワーク機器向け基盤ソフトウェア・プラットフォーム「ZebOS®」シリーズの事業基盤維持に努めるとともに、新規分野として、ホワイトボックス向け統合Network OS「OcNOS®」の多様な半導体チップセットへの対応を含む機能拡張及び拡販に注力しております。ホワイトボックスは、5G時代を迎え更なる通信トラフィックの増加が見込まれる中、データセンター事業者、通信キャリア、IXP(インターネット相互接続ポイント)事業者等においてネットワークインフラ設備投資・運用コストを大幅に低減しつつ運用の自由度を高める有力な手段と目されており、米国を中心に近年急速に市場が拡大しつつあります。
本事業は通信キャリアからの「OcNOS®」の直接採用を中長期的な事業戦略に掲げており、その実現に向け当連結会計年度は「OcNOS®」の製品開発投資に注力しております。その取り組みの一環として、2018年7月12日付「カナダ Northforge Innovations Inc.社の株式取得に関するお知らせ」の通り、Northforge Innovations Inc.の有するエンジニアリングリソースとネットワーク機器向け半導体チップセットへの知見の「OcNOS®」開発への活用を図るため、2018年8月に同社の株式を100%取得し連結子会社化いたしました。
当連結会計年度における当セグメントの業績につきましては、売上高につきましては「OcNOS®」の販売増やNorthforge Innovations Inc.の連結開始に伴う売上増があったものの「ZebOS®」の販売減があり、全体では概ね前期比横ばいとなりました。損益につきましては、「OcNOS®」開発投資の強化に伴う減価償却費の増加やNorthforge Innovations Inc.の買収によるのれん含む無形固定資産の償却費の発生があったほか、Northforge Innovations Inc.買収に伴う一時費用が発生したことにより、セグメント損益は前期比で減益となりました。
ネットワークソフトウェア事業 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 前年同期比 |
外部顧客への売上高 | 2,071百万円 | 2,050百万円 | △1.0% |
セグメント損益 | 86百万円 | △221百万円 | - |
なお、営業外費用として、為替差損73百万円及び投資事業組合運用損38百万円を計上しております。
以上の結果、当連結会計年度における連結業績は、売上高81億40百万円(前年同期比2.6%増加)、経常利益5億8百万円(前年同期比60.9%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益3億77百万円(前年同期比52.8%増加)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べて29億98百万円減少し、226億78百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金は5億85百万円の増加(前連結会計年度は7億9百万円の増加)となりました。その主な要因は、売上債権が7億8百万円増加した一方で、税金等調整前当期純利益5億26百万円及び減価償却費8億36百万円を計上したことであります。前連結会計年度との比較では、減価償却費が増加いたしました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金は31億58百万円の減少(前連結会計年度は7億86百万円の増加)となりました。その主な要因は、 定期預金の払戻による収入が1億28百万円であった一方で、無形固定資産の取得による支出が18億83百万円であったことであります。前連結会計年度との比較では、定期預金の払戻による収入が減少いたしました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金は4億円の減少(前連結会計年度は0百万円の減少)となりました。その要因は、引出制限付預金の預入による支出が3億33百万円であったことであります。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(千円) | 前年同期比(%) |
国内事業 | 3,649,542 | 120.8 |
海外事業 | 491,819 | 74.0 |
ネットワークソフトウェア事業 | 1,615,293 | 218.0 |
合計 | 5,756,654 | 130.1 |
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.金額は販売価格によっており、ソフトウエアのうち自社開発分(資産計上分)を含んでおります。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 受注実績
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) |
国内事業 | 3,295,600 | 117.4 | 547,857 | 119.0 |
海外事業 | 423,052 | 56.4 | 22,781 | 76.2 |
ネットワークソフトウェア事業 | 793,744 | 212.5 | 327,985 | 164.4 |
合計 | 4,512,398 | 114.8 | 898,624 | 130.3 |
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(千円) | 前年同期比(%) |
国内事業 | 5,025,205 | 108.5 |
海外事業 | 1,064,916 | 86.7 |
ネットワークソフトウェア事業 | 2,050,233 | 99.0 |
合計 | 8,140,354 | 102.6 |
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
当社グループは連結財務諸表の作成にあたって、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りは、過去の実績や現在の状況を勘案し様々な要因に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比べ2億9百万円増加(対前年同期比2.6%増加)し、81億40百万円となりました。国内事業の売上高は、前連結会計年度から3億93百万円増加(対前年同期比8.5%増加)して、50億25百万円となりました。海外事業の売上高は、前連結会計年度から1億62百万円減少(対前年同期比13.3%減少)して、10億64百万円となりました。ネットワークソフトウェア事業の売上高は、前連結会計年度から21百万円減少(対前年同期比1.0%減少)して、20億50百万円となりました。
② 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、前連結会計年度から2億12百万円減少(対前年同期比4.6%減少)して44億46百万円となりました。売上原価率は前連結会計年度から4.1ポイント減少して54.6%となりました。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度から3億1百万円増加(対前年同期比10.5%増加)して31億59百万円となりました。
③ 営業利益
営業利益は、売上高の増加及びコストの徹底削減による売上原価の減少により、前連結会計年度から1億20百万円増加(対前年同期比29.2%増加)して5億34百万円の営業利益となりました。
④ 経常利益
経常利益は前連結会計年度から1億92百万円増加(対前年同期比60.9%増加)して5億8百万円の経常利益となりました。
⑤ 特別利益、特別損失
特別利益は18百万円となりました。(前連結会計年度は特別利益の計上はありません。)
特別損失は前連結会計年度から22百万円減少(前連結会計年度は22百万円)して0百万円となりました。
⑥ 法人税等
法人税、住民税及び事業税、及び法人税等調整額の合計額は、前連結会計年度から1億2百万円増加して1億48百万円(前連結会計年度は45百万円)となりました。
⑦ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、3億77百万円(対前年同期比52.8%増加)の親会社株主に帰属する当期純利益となり、1株当たり当期純利益につきましては、9.75円の1株当たり当期純利益(前連結会計年度は6.38円の1株当たり当期純利益)となりました。
(3) 当連結会計年度の財政状態の分析
当社グループの当連結会計年度末の資産は、現金及び預金が減少したものの、受取手形及び売掛金、ソフトウエアが増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ6億45百万円増加して316億88百万円となりました。
負債は、賞与引当金が減少したものの、長期未払金が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ3億52百万円増加し19億30百万円となりました。
純資産は、為替換算調整勘定が減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益3億77百万円を計上したこと等により、2億93百万円増加し297億58百万円となりました。その結果、自己資本比率は93.8%(前連結会計年度末は94.8%)となりました。
(4) キャッシュ・フロー
「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
なお、当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて29億98百万円減少し、226億78百万円となりました。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針
「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。