四半期報告書-第36期第3四半期(令和1年8月1日-令和1年10月31日)

【提出】
2019/12/05 15:22
【資料】
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【項目】
30項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
なお、2018年8月2日に行われたNorthforge Innovations Inc.との企業結合において前第3四半期連結会計期間に暫定的な会計処理を行っておりましたが、前連結会計年度末に確定したため、前年同四半期連結累計期間との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いております。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の状況
(連結業績)
当社グループを取り巻く事業環境としては、センシング技術、通信技術、AI関連技術等の発展やそれらの利活用コストの低減を背景に、IoT(Internet of Things)関連市場やそれを支える5G通信技術が急速に成長しつつあります。当社グループは、これらの市場環境と自社の技術的優位性・事業経験を最大限に活用して中期的に大きな事業成長を実現すべく、製品開発投資・M&A等戦略投資・営業及び管理体制の強化等を加速・積極化しております。
当第3四半期連結累計期間におきましては、前年同四半期と比較して、国内事業におけるTV向けブラウザ案件が好調に推移したほか、ネットワークソフトウェア事業においては前連結会計年度に買収したNorthforge Innovations Inc.の連結等の増収要因がありました。他方で、海外事業においてはドイツにおける車載インフォテインメント向け分野の案件獲得遅れによる減収要因がありました。また、各種投資・体制強化施策の遂行に伴い事業拡大に先行して全社的に費用が増加しております。具体的には、製品開発投資の継続的な強化推進に伴うソフトウェア資産の減価償却費の増加や、Northforge Innovations Inc.、NetRange MMH GmbHの買収に伴いのれんを含む無形固定資産の償却費が発生しているほか、事業拡大に向けた営業及び管理体制強化等の費用が増加しております。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における連結業績は、売上高50億99百万円(前年同四半期比2.4%増)、営業損失10億76百万円(前第3四半期連結累計期間は営業損失3億88百万円)、経常損失10億29百万円(前第3四半期連結累計期間は経常損失4億8百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失11億30百万円(前第3四半期連結累計期間は親会社株主に帰属する四半期純損失4億86百万円)となり、前年比では増収減益となっております。
なお、当第3四半期連結会計期間において、当社の連結子会社であるIP Infusion Inc.は、米国の大手情報通信・メディアコングロマリットであるAT&T Inc.の子会社との間で通信キャリア向けネットワーク機器のホワイトボックス(ハードウェアとソフトウェアの分離)ソリューションに関するライセンス契約及び業務提携契約を締結しました。これにより、従来からIP Infusion Inc.が開発・販売している「OcNOS®」と共に、「DANOS-Vyatta edition」を開発・販売いたします。
「DANOS-Vyatta edition」は、現在AT&T Inc.のネットワークの実運用に使われており、通信事業者のネットワーク環境に求められる豊富な機能を備え、複数のハードウェアベンダーを選択して統合できるホワイトボックス型インフラ構築に必要な柔軟性を実現しています。
今後IP Infusion Inc.は、本提携を通じて従来のネットワークモデルに取って替わるコスト効率に優れた選択肢としてホワイトボックス型のソリューション(「OcNOS®」及び「DANOS-Vyatta edition」)の導入促進を図るとともに、ホワイトボックス型インフラ構築への顧客ニーズに対応してまいります。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
○ 国内事業
センシング技術・通信技術・クラウド技術等を活用した各種IoTソリューションを提供するIoT分野、スマートデバイス、情報家電や各種デバイス向けに豊富な搭載実績を持つ高性能・高機能ウェブブラウザ「NetFront® Browser」シリーズをはじめとした組み込みソフトウェア製品を提供するWebプラットフォーム分野、ならびに高度な表現力と多彩なコンテンツに対応する汎用性を兼ね備え、ユーザー向けアプリケーションからコンテンツ配信システム、サーバーシステムまでを包括的に提供するEPUB 3対応の電子出版ソリューション「PUBLUS®」を中核とする電子出版分野を主軸に事業展開しております。また、台湾子会社を通じて、現地に進出する日本の通販事業者向けに、業務支援システムや広告分析機能等を統合したクラウドサービス「CROS™」の提供を行うほか、国内子会社ACCESS Worksにおいて各種ソフトウェア・システム開発の強化に取り組んでおります。
IoT分野の取り組みとしましては、各種センサー、IoTゲートウェイ機器向けエッジコンピューティングエンジン、AI機能を搭載したIoTカメラ、IoTサービス開発・運用プラットフォーム等の多彩なIoT関連製品・技術の開発を推進しており、当社はセンサーデバイスから個別アプリケーション、クラウド基盤までをワンストップで提供できる数少ないベンダーとして、様々な業界においてIoTサービス開発・構築案件の受注に取り組んでおります。Webプラットフォーム分野につきましては、TV向けブラウザにおける高いシェアの維持に努めつつ、車載機器向けに車両制御や交通情報等の運転支援情報と各種コンテンツの視聴等の娯楽情報を統合して提供する車載インフォテインメント需要への対応を図っております。また、電子出版分野における取り組みとしましては、有力な顧客基盤である大手出版社や独自コンテンツを保有する事業者との関係強化を推進するとともに、購読履歴の分析やプロモーション支援等の新たなビジネスモデルに対応したプラットフォームの機能強化とサービス提供範囲の拡大に取り組む等、堅調に成長している電子出版市場においてマーケットシェア及び事業領域の拡大に努めております。
当第3四半期連結累計期間における当セグメントの業績につきましては、Webプラットフォーム分野・電子出版分野を中心に前年同四半期比で増収となっております。セグメント利益については、製品開発投資の強化に伴う減価償却費の増加や事業拡大に向けた営業・管理体制強化等の投資が先行し、減益となりました。
国内事業前第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
前年同四半期比
外部顧客への売上高3,444百万円3,547百万円3.0%
セグメント損益319百万円△99百万円-

○ 海外事業
ドイツ・中国・韓国に現地法人を設置し、海外市場におけるスマートデバイス及び情報家電関連分野向けにブラウザ製品等のWebプラットフォームの提供を行っております。
ドイツにおきましては、ウェブとの融合が進む車載機器やTV・セットトップボックス等の情報家電向けに、多彩かつ高付加価値なインターネットサービスの提供に適したHTML5対応のブラウザソリューションを開発・展開するとともに、新規事業として、あらゆるスマートデバイスへセキュアにマルチメディアコンテンツ配信を実現し、あわせて視聴履歴の分析等の事業者向けサービスを可能とする「ACCESS Twine™」シリーズの拡販に努めております。特に、自動運転技術の発展に伴い市場が立ち上がりつつある車載インフォテインメント向け分野に注力し、高付加価値なサービスプラットフォームを提供し、ストック収益基盤を構築する方針です。
中国・韓国における取り組みとしましては、現地の大手情報家電メーカー向けにブラウザ製品を提供するほか、本社で新規開発・事業化したソリューションの現地展開を図っております。
当第3四半期連結累計期間における当セグメントの業績につきましては、ドイツにおける車載インフォテインメント向け分野の案件獲得遅れやNetRange MMH GmbHの買収に関連する一時費用の発生等により、前年同四半期と比べ減収減益となりました。なお、通期に向けては、NetRange MMH GmbHとの営業・開発・サービス提供等でのシナジー創出に取り組んでまいります。
海外事業前第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
前年同四半期比
外部顧客への売上高707百万円421百万円△40.4%
セグメント損益△11百万円△301百万円-

○ ネットワークソフトウェア事業
米国子会社IP Infusion Inc.を中核としてインドやカナダ等に現地法人を設置し、既存ビジネスであるネットワーク機器向け基盤ソフトウェア・プラットフォーム「ZebOS®」シリーズの事業基盤維持に努めるとともに、新規分野として、ホワイトボックス向け統合Network OS「OcNOS®」の事業拡大に注力しております。ホワイトボックスは、5G時代を迎え更なる通信トラフィックの増加が見込まれる中、データセンター事業者、通信キャリア、IXP(インターネット相互接続ポイント)事業者等においてネットワークインフラ設備投資・運用コストを大幅に低減しつつ運用の自由度を高める有力な手段と目されており、米国を中心に近年急速に市場が拡大しつつあります。
前述の通り、当第3四半期連結会計期間において、AT&T Inc.の子会社との間でライセンス契約ならびに業務提携契約を締結いたしました。今後「DANOS-Vyatta edition」をOpen Optical & Packet Transport project groupを推進する、テレコム・インフラ・プロジェクト(Telecom Infra Project、TIP)のDisaggregated Cell Site Gateway (DCSG)の仕様に対応させてまいります。
当第3四半期連結累計期間における当セグメントの業績につきましては、前連結会計年度にNorthforge Innovations Inc.を買収したことに伴い、売上高・のれん含む無形固定資産の償却費が増加しております。
ネットワークソフトウェア事業前第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
前年同四半期比
外部顧客への売上高826百万円1,129百万円36.6%
セグメント損益△698百万円△677百万円-

② 財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ12億27百万円減少して304億61百万円となりました。その主な要因は、製品開発投資の強化に伴いソフトウエアが19億19百万円増加したことに対し、当該ソフトウエア開発投資やNetRange MMH GmbH買収の遂行に伴い現金及び預金が28億2百万円減少したことや前期末の大型案件受注により増加していた受取手形及び売掛金が13億58百万円減少したこと等であります。
負債は、IFRS第16号「リース」の適用による累積的影響を第1四半期連結会計期間より認識したこと等により、前連結会計年度末に比べ1億6百万円増加して20億37百万円となりました。
純資産は、配当金の支払い1億17百万円及び親会社株主に帰属する四半期純損失11億30百万円を計上したこと等により、前連結会計年度末に比べ13億33百万円減少して284億24百万円となりました。
(2) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は84百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 従業員数
当第3四半期連結累計期間において、NetRange MMH GmbHの全持分を取得し同社を連結の範囲に含めたことに伴い、海外事業における従業員数が前連結会計年度末に比べ18名増加し、79名となっております。
(6) 主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、主要な設備の重要な異動又は前連結会計年度末において計画中であった設備投資に著しい変更はありません。前連結会計年度末との比較では、製品開発投資の強化に伴いソフトウエアが28億31百万円から47億50百万円に増加しており、その主な内容は市場販売目的ソフトウエア及び顧客へサービスを提供するための自社利用ソフトウエアです。
(7) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金需要として、事業活動の遂行に係る運転資金需要に加え、製品開発投資やM&A等の外部成長施策の遂行に係る投資資金需要を想定しておりますが、当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は196億82百万円であることから、十分な流動性を確保しており、資金需要については手元資金及び営業活動によるキャッシュ・フローによって対応可能な状況であると認識しております。