四半期報告書-第38期第1四半期(令和3年2月1日-令和3年4月30日)

【提出】
2021/06/08 15:22
【資料】
PDFをみる
【項目】
34項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間(2021年2月1日~4月30日)における世界経済は、昨年来続く新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の感染拡大が依然として収束せず、一部の先進国においてはワクチンの接種が進む等、感染拡大の収束が見えてきている国もあるものの、アジアの一部都市におけるロックダウン、国内における3回目の緊急事態宣言の発令等、先行き不透明な状況が続いております。
前連結会計年度はいずれの事業も新型コロナの影響を大きく受けたものの、2020年後半より顧客の投資も再開の兆しが見えてきました。このような状況の中、オンラインでの営業活動やマーケティング施策ならびに試験評価を行う体制を徐々に整え、国内事業における産業用ドローン関連、データサイエンス関連、デジタル・トランスフォーメーション(以下、DX)関連での新規案件の獲得、ネットワーク事業における複数のユースケースでの案件獲得や引き合い件数の増加等がありました。
当第1四半期連結累計期間は、概ね計画どおりに推移いたしました。前年同四半期との比較においては、国内事業における受託案件やロイヤリティ収入が増加したほか、海外事業におけるロイヤリティ収入が増加した等の要因により増収増益となっております。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間における連結業績は、売上高17億37百万円(前年同四半期比30.4%増)、営業損失10億17百万円(前年同四半期は営業損失10億81百万円)、経常損失9億50百万円(前年同四半期は経常損失10億89百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失9億81百万円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純損失11億10百万円)となりました。
セグメント別の取り組みは以下の通りです。
○ 国内事業
センシング技術、通信技術、クラウド技術等を活用し、企業のDX推進を加速させるソリューションや各種IoTソリューションを提供するIoT分野と、スマートデバイス、情報家電や各種デバイス向けに豊富な搭載実績を持つ高性能・高機能ウェブブラウザ「NetFront® Browser」シリーズをはじめとした組み込みソフトウェア製品を提供するWebプラットフォーム分野、ならびに高度な表現力と多彩なコンテンツに対応する汎用性を兼ね備え、ユーザー向けアプリケーションからコンテンツ配信システム、サーバーシステムまでを包括的に提供するEPUB 3対応の電子出版ソリューション「PUBLUS®」を中核とする電子出版分野を主軸に事業展開しております。また、台湾子会社を通じて、台湾ならびにシンガポール等のアジア地域に進出する日本の通販事業者向けに、業務支援システムや広告分析機能等を統合したクラウドサービス「CROS®」の提供を行っております。
IoT分野の取り組みとしましては、各種センサー、IoTサービス開発・運用プラットフォーム等の多彩なIoT関連製品・技術の開発を推進しており、センサーデバイスから個別アプリケーション、クラウド基盤までワンストップで提供可能という当社の強みを活かし、様々な業界においてIoTサービス開発・構築案件の受注に取り組んでおります。Webプラットフォーム分野につきましては、TV向けブラウザにおける高いシェアの維持に努めつつ、車載機器向けに交通情報等の運転支援情報と各種コンテンツの視聴等の娯楽情報を統合して提供する車載インフォテインメント需要への対応を図っております。また、電子出版分野における取り組みとしましては、有力な顧客基盤である大手出版社や独自コンテンツを保有する事業者との関係強化を推進するとともに、購読履歴の分析やプロモーション支援等の新たなビジネスモデルに対応したプラットフォームの機能強化とサービス提供範囲の拡大による収益拡大に取り組む等、堅調に成長している電子出版市場においてマーケットシェア及び事業領域の拡大に努めております。
当第1四半期連結累計期間における当セグメントにつきましては、新型コロナによる対面営業の抑制等、営業活動への影響は一部発生しているものの、オンラインでの営業活動やマーケティング施策を活用し顧客接点の維持、獲得を行っております。IoT分野においては2020年後半よりインフラや建設関連の案件を中心に引き合いは回復傾向にあり、受注につながっております。また屋内・屋外での位置情報共有とビジネスチャットを組み合わせたサービスへの問い合わせも増加傾向にあります。Webプラットフォーム分野においては当社ブラウザを搭載したTVや車載機器の出荷台数が好調に推移しております。電子出版分野においては、既存サービスは堅調に推移しておりますが、引き続きコスト構造の見直しを優先とし、収益性の改善を図りました。これらの増収要因により、前期比で増収増益となっております。
国内事業前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
前年同四半期比
外部顧客への売上高868百万円1,212百万円39.7%
セグメント損益△364百万円△170百万円-

○ 海外事業
ドイツ・中国・韓国に現地法人を設置し、海外市場におけるスマートデバイス及び情報家電関連分野向けにブラウザ製品等のWebプラットフォームの提供を行っております。
ドイツにおきましては、ウェブとの融合が進む車載機器やTV・セットトップボックス等の情報家電向けに、多彩かつ高付加価値なインターネットサービスの提供に適したHTML5対応のブラウザソリューションを開発・展開するとともに、新規事業として、あらゆるスマートデバイスへセキュアにマルチメディアコンテンツ配信を実現し、あわせて視聴履歴の分析等の事業者向けサービスを可能とする「ACCESS Twine™」シリーズ、2020年1月期に買収したNetRange MMH GmbHのTV・車載向けの動画配信プラットフォーム及びプラットフォームを通じた動画配信サービスの提供を通じ、自動運転技術の発展に伴い市場が立ち上がりつつある車載インフォテインメント向け分野に注力し、コンテンツ配信・サービスプラットフォームを広く提供することによって、ストック収益基盤を構築する方針です。
中国・韓国における取り組みとしましては、現地の大手情報家電メーカー向けにブラウザ製品を提供するほか、本社で新規開発・事業化したソリューションの現地展開を図っております。
当第1四半期連結累計期間における当セグメントにつきましては、既存事業であるブラウザの収益基盤の回復を優先としつつ、今後の成長事業として車載インフォテインメント向け分野の事業の育成を図っております。足元では当社ブラウザを搭載したTVや車載機器の出荷台数の好調な推移に伴い、ロイヤリティ収入は回復傾向にあります。また車載インフォテインメント向け分野における商談件数も着実に増加しており、前期比で増収増益となりました。
海外事業前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
前年同四半期比
外部顧客への売上高89百万円120百万円34.4%
セグメント損益△179百万円△146百万円-

○ ネットワーク事業
米国子会社IP Infusion Inc.を中核としてインドやカナダ等に現地法人を設置し、既存ビジネスであるネットワーク機器向け基盤ソフトウェア・プラットフォーム「ZebOS®」シリーズの事業基盤維持に努めるとともに、ホワイトボックス向け統合Network OS「OcNOS®」の事業拡大に注力しております。ホワイトボックスは、5G時代を迎え更なる通信トラフィックの増加が見込まれる中、データセンター事業者、通信キャリア、IXP(インターネット相互接続ポイント)事業者等においてネットワークインフラ設備投資・運用コストを大幅に低減しつつ運用の自由度を高める有力な手段と目されており、世界的に市場が拡大しつつあります。この様な環境の中、IP Infusion Inc.では通信事業者向けのWAN/LAN向け共通プラットフォーム内のCSR(Cell Site Router)やuCPE(Universal Customer Premise Equipment、汎用顧客構内設備)、データセンター向けの商用版の「SONiC distribution」といった多岐にわたるホワイトボックスソリューションを展開しております。またKGPCoやTechDataといった大手ディストリビューターとの提携を通じ、通信事業者へのホワイトボックスソリューションやサポート等の安定的な提供につなげてまいります。
当第1四半期連結累計期間における当セグメントにつきましては、新型コロナによる対面営業や現地での試験評価の抑制等、活動への影響は一部発生しているものの、オンラインでの営業活動やマーケティング施策ならびに試験評価を行う体制を整え、大型案件の受注に向けた実証実験・交渉を継続しております。現在も引き合いは増加傾向にあり、第1四半期連結累計期間においてはアフリカを中心にホワイトボックスの案件を受注しております。一方で営業体制の強化に伴う人件費の増加が先行し、前期比で増収減益となりました。
ネットワーク事業前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
前年同四半期比
外部顧客への売上高374百万円403百万円7.9%
セグメント損益△539百万円△703百万円-

②財政状態の状況
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、製品開発投資の強化に伴いソフトウエアが増加したものの、受取手形及び売掛金が減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ3億43百万円減少して289億19百万円となりました。
負債は、未払法人税等の増加等により、前連結会計年度末に比べ17百万円増加して19億57百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する四半期純損失9億81百万円を計上したものの、為替換算調整勘定が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ3億60百万円減少して269億61百万円となりました。
(2) 経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・中長期的な成長戦略等について前事業年度の有価証券報告書に記載した内容から重要な変更はありません。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について前事業年度の有価証券報告書に記載した内容から重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は17百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 資本の財源及び資金の流動についての分析
当社グループの資金需要として、事業活動の遂行に係る運転資金需要に加え、製品開発投資やM&A等の外部成長施策の遂行に係る投資資金需要を想定しておりますが、当四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は165億79百万円であることから、十分な流動性を確保しており、資金需要については手元資金及び営業活動によるキャッシュ・フローによって対応可能な状況であると認識しております。