四半期報告書-第37期第1四半期(令和2年2月1日-令和2年4月30日)

【提出】
2020/06/12 16:10
【資料】
PDFをみる
【項目】
35項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間(2020年2月1日~4月30日)における世界経済は、新型コロナウイルス感染症による経済活動の停滞等、先行きが不透明な状況となっております。
現在、いずれの事業につきましてもグループ各拠点において、各国の行政等からの指示を踏まえ事業運営を行っております。今回の新型コロナウイルス感染症の拡大が当社に与える影響につきましては、本件を契機としたDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の論調は今後一層高まると見込まれること、また5G化に向けた移行トレンドについても大きな変化はないと見込まれること等から、各事業の方針・戦略の大きな変更は不要と認識しております。また、足元では既存顧客からの引き合い等は堅調に推移しておりますが、個別案件単位では顧客都合による案件の中止や延期が各事業で発生していることを踏まえ、中長期的及び短期的な業績への影響については注視しつつ慎重に検討しております。
このような状況の下、当第1四半期連結累計期間においては、各事業でイベントの中止に伴う新規顧客との接点減少、案件の規模縮小や延期、商談遅延が発生しており、国内事業セグメントにおけるロイヤリティ収入の減少やネットワーク事業セグメントにおける新規顧客獲得が当初想定を下回った等の短期的な減収要因がありました。加えて、製品開発等の投資に伴う減価償却費や事業拡大に向けた体制強化に伴う費用増が先行しております。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間における連結業績は、売上高13億32百万円(前年同四半期比16.0%減)、営業損失10億81百万円(前年同四半期は営業損失5億6百万円)、経常損失10億89百万円(前年同四半期は経常損失5億19百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失11億10百万円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純損失5億43百万円)となりました。
セグメント別の取り組みは以下の通りです。
○ 国内事業
センシング技術、通信技術、クラウド技術等を活用した各種IoTソリューションを提供するIoT分野と、スマートデバイス、情報家電や各種デバイス向けに豊富な搭載実績を持つ高性能・高機能ウェブブラウザ「NetFront® Browser」シリーズをはじめとした組み込みソフトウェア製品を提供するWebプラットフォーム分野、ならびに高度な表現力と多彩なコンテンツに対応する汎用性を兼ね備え、ユーザー向けアプリケーションからコンテンツ配信システム、サーバーシステムまでを包括的に提供するEPUB 3対応の電子出版ソリューション「PUBLUS®」を中核とする電子出版分野を主軸に事業展開しております。また、台湾子会社を通じて、現地に進出する日本の通販事業者向けに、業務支援システムや広告分析機能等を統合したクラウドサービス「CROS®」の提供を行うほか、国内子会社である株式会社ACCESS Worksにおいて各種ソフトウェア・システム開発の強化に取り組んでおります。
IoT分野の取り組みとしましては、各種センサー、IoTゲートウェイ機器向けエッジコンピューティングエンジン、AI機能を搭載したIoTカメラ、IoTサービス開発・運用プラットフォーム等の多彩なIoT関連製品・技術の開発を推進しており、センサーデバイスから個別アプリケーション、クラウド基盤までをワンストップで提供可能という当社の強みを活かし、様々な業界においてIoTサービス開発・構築案件の受注に取り組んでおります。Webプラットフォーム分野につきましては、TV向けブラウザにおける高いシェアの維持に努めつつ、車載機器向けに車両制御や交通情報等の運転支援情報と各種コンテンツの視聴等の娯楽情報を統合して提供する車載インフォテインメント需要への対応を図っております。また、電子出版分野における取り組みとしましては、有力な顧客基盤である大手出版社や独自コンテンツを保有する事業者との関係強化を推進するとともに、購読履歴の分析やプロモーション支援等の新たなビジネスモデルに対応したプラットフォームの機能強化とサービス提供範囲の拡大による収益拡大に取り組む等、堅調に成長している電子出版市場においてマーケットシェア及び事業領域の拡大に努めております。
当第1四半期連結累計期間における当セグメントの業績につきましては、売上高については商談遅延による案件の遅れや、TVや自動車の出荷台数減少によるロイヤリティ収入の減少が発生したこと、また製品開発投資の強化に伴う減価償却費の増加や体制強化に伴う費用増が先行し、前期比で減収減益となりました。
国内事業前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
前年同四半期比
外部顧客への売上高1,016百万円868百万円△14.6%
セグメント損益△179百万円△364百万円-

○ 海外事業
ドイツ・中国・韓国に現地法人を設置し、海外市場におけるスマートデバイス及び情報家電関連分野向けにブラウザ製品等のWebプラットフォームの提供を行っております。
ドイツにおきましては、ウェブとの融合が進む車載機器やTV・セットトップボックス等の情報家電向けに、多彩かつ高付加価値なインターネットサービスの提供に適したHTML5対応のブラウザソリューションを開発・展開するとともに、新規事業として、あらゆるスマートデバイスへセキュアにマルチメディアコンテンツ配信を実現し、あわせて視聴履歴の分析等の事業者向けサービスを可能とする「ACCESS Twine™」シリーズの拡販に努めております。特に、自動運転技術の発展に伴い市場が立ち上がりつつある車載インフォテインメント向け分野に注力し、高付加価値なサービスプラットフォームを提供し、ストック収益基盤を構築する方針です。
中国・韓国における取り組みとしましては、現地の大手情報家電メーカー向けにブラウザ製品を提供するほか、本社で新規開発・事業化したソリューションの現地展開を図っております。
当第1四半期連結累計期間における当セグメントの業績につきましては、一部案件の規模縮小や製品開発投資の強化に伴う減価償却費の増加に伴い、前期比で減収減益となりました。
海外事業前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
前年同四半期比
外部顧客への売上高119百万円89百万円△24.8%
セグメント損益△55百万円△179百万円-

○ ネットワーク事業
米国子会社IP Infusion Inc.を中核としてインドやカナダ等に現地法人を設置し、既存ビジネスであるネットワーク機器向け基盤ソフトウェア・プラットフォーム「ZebOS®」シリーズの事業基盤維持に努めるとともに、ホワイトボックス向け統合Network OS「OcNOS®」の事業拡大に注力しております。ホワイトボックスは、5G時代を迎え更なる通信トラフィックの増加が見込まれる中、データセンター事業者、通信キャリア、IXP(インターネット相互接続ポイント)事業者等においてネットワークインフラ設備投資・運用コストを大幅に低減しつつ運用の自由度を高める有力な手段と目されており、米国を中心に近年急速に市場が拡大しつつあります。
前連結会計年度に、当社の連結子会社であるIP Infusion Inc.と米国の大手情報通信・メディアコングロマリットであるAT&T Inc.の子会社との間で通信キャリア向けネットワーク機器のホワイトボックス(ハードウェアとソフトウェアの分離)ソリューションに関するライセンス契約及び業務提携契約を締結しました。本提携により、IP Infusion Inc.は「DANOS-Vyatta edition」の付加価値インテグレーターとして、商用ソリューションを通信事業者向けに、複数のハードウェア選択肢の中からユースケースに沿って柔軟に提供しております。また今後はその提供範囲を、これまでの通信事業者向けのWAN/LAN向け共通プラットフォーム内のCSR(Cell Site Router)に加え、uCPE(Universal Customer Premise Equipment、汎用顧客構内設備)向けにも拡大し、通信事業者のみならず企業向け市場へ広げてまいります。
当第1四半期連結累計期間における当セグメントの業績につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響で、新規顧客獲得の大きな機会と想定していたグローバル規模で行われる通信事業者向けイベント等が中止となったことや新規顧客との商談遅延が発生したこと、 顧客側での製品評価プロジェクトの中断等といった事象が発生した結果、製品開発投資の強化に伴う減価償却費の増加が先行し、前期比で減収減益となりました。なお、「DANOS-Vyatta edition」の営業活動進捗が当初想定より遅れておりますが、前述の通り、5G化に向けた移行トレンドについても大きな変化はないと見込んでおり、今後のネットワークトラフィックの増加や5G向けインフラ投資の増加による需要増を見据え、営業活動の加速を図ってまいります。
ネットワーク事業前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
前年同四半期比
外部顧客への売上高449百万円374百万円△16.8%
セグメント損益△269百万円△539百万円-

②財政状態の状況
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、製品開発投資の強化に伴いソフトウエアが増加したものの、受取手形及び売掛金が減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ17億8百万円減少して310億75百万円となりました。
負債は、未払法人税等の減少により、前連結会計年度末に比べ3億37百万円減少して22億21百万円となりました。
純資産は、配当金の支払い及び親会社株主に帰属する四半期純損失11億10百万円を計上したこと等により、前連結会計年度末に比べ13億70百万円減少して288億53百万円となりました。
(2) 経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・中長期的な成長戦略等について前事業年度の有価証券報告書に記載した内容から重要な変更はありません。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について前事業年度の有価証券報告書に記載した内容から重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は16百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 資本の財源及び資金の流動についての分析
当社グループの資金需要として、事業活動の遂行に係る運転資金需要に加え、製品開発投資やM&A等の外部成長施策の遂行に係る投資資金需要を想定しておりますが、当四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は191億60百万円であることから、十分な流動性を確保しており、資金需要については手元資金及び営業活動によるキャッシュ・フローによって対応可能な状況であると認識しております。